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20190228 プレバト!!俳句紹介【ひな祭り】

2019年2月28日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

●お題:ひな祭り(紙雛)

◆1位 才能アリ73点 星野真里
雛の間と なりて迎えし 朝の声

【本人談】
娘が喜ぶ顔が見たいから、娘が寝た後にそっと夜飾りつけをするのを想像して、雛があることでいつもの居間が雛の間となって朝特有の忙しい雰囲気みたいなのも伝えられないかと思ってこの句を考えた。

梅沢名人 素晴らしいですね。何でしょ
浜田 いや、知らんがな。何言うてんの。「何でしょう?」って何なん。
梅沢名人 素晴らしい俳句が良くできた。

夏井先生
いつものお座敷なんだけど、昨夜から雛の間になっている。そういうお座敷が読んだだけで浮かんでくる
「朝の声」が何より上手い。「音」ではなく「声」とするところがうまかった。
さえずりだったり、家族の生活の音が聞こえ始めたり、朝日のイメージも「声」にすることで想像できる
「し」という過去の活用が気になる人もいるかもしれない。
「迎えた」より「今迎えている」とした方が、「朝の声」の鮮度が高くなると考える人もいる。
その場合「迎え」と一音変えるだけで良い。私なら「迎える」にするかもしれない。
いずれにしても17音でこれだけのことを描写できる。大したもん

浜田 めっちゃ喜んでるやん!
本人 ありがとうございます。

添削なし

◆2位 才能アリ70点 パックン
ハイパーインフレ ボリバル札の 紙雛

【本人談】
ベネズエラの話。マドゥロ政権でハイパーインフレーションが起きて、ベネズエラの紙幣であるボリバル札を大量に出さないと物が買えない。ベネズエラにいる日本人が紙雛を折ろうと思っても折り紙が買えない。逆にボリバル札で折ったほうが安い。それを句にした。

志らく 「ボリバル札」とあったら、「ハイパーインフレ」はいらないって気もしないではない。わかる人は「ボリバル札」だけでもそういう事態だっていう。

夏井先生
どんな紙で紙雛を折るかという発想の句はないことはないが、これが出てくるとは思わなかった。驚いた。
志らくの疑問から片づける。「ボリバル札」とあれば、「ハイパーインフレ」と書かなくても良いのではないか。その考えも1つある。
ただ、このニュースを私たちは今の時代で共有できているが、社会・経済情勢はどんどん変わる。全然違う状況に陥った時に、中七・下五だけでは意味が分からない日もやってくる。そういう意味で「ハイパーインフレ」を添えておく方が、句として長生きができる
1つだけ、1位にならなかった理由がある。
ボリバル札で雛を折るというのは発想として面白いが、でも敢えてお雛様である必要があるのか?という季語の必然性というところで損をしている。
例えば無季の句と腹をくくって、平和とか願いを込めた折り鶴を折った戦いのイメージの兜を折ったとか、そういう展開もあり得る。敢えて雛にしたことで、季語の説得力がちょっとだけ損したかな。
これだけの発想ができるのは褒める。

[ここがポイント]
季語を選ぶ必然性
※この句は「紙雛」ではなく、「折り鶴」などでも無季の句として成立します。「紙雛」という季語の必然性がやや弱い点が惜しまれます。

添削なし

◆3位 凡人60点 向井慧(パンサー)
陽だまりに 見つめ合う雛 子のしわざ

【本人談】
子どもの頃を振り返って、雛人形は好き同士の2人なのに真正面を向いているのかな?と疑問に思い、陽だまりに見つめ合う雛があって、子どものイタズラというか。という句。

梅沢名人 これは凡人の句。そう簡単に特待生になれると思ったら大きな間違い
志らく 可愛らしい句だけど、「子のしわざ」とは言ってほしくない誰が向かせたんだろう?と想像してもらったほうが良い
梅沢名人 良い事言うね!
浜田 言えよ!じゃあ。
梅沢名人 この程度のことじゃ…。
浜田 今の志らくはんに乗っかっただけ
梅沢名人 この程度のこと考えたくもないので。

夏井先生
それなりに発想としては工夫している
何でお雛様が見つめ合っているんだろう?という小さな疑問。
「子どものしわざ」とか「陽だまりに」ありますよとか、それなりに工夫はしている。
「陽だまり」「子のしわざ」も2つとも入れ込む必要はない
どっちを残すかという問題はあるが、志らくは「子のしわざ」消してほしいと言っていたので、あえて下五を使ったらどうなるかを逆にやってみる。
別に「子のしわざ」と言わずとも「どうしてかしら?」と普通思う。本人は「子のしわざ」と書きたかったんでしょ?ね?
本人が書きたかったことを入れたらどうなるか。
梅沢名人 (上五を)消しましょ。
夏井先生
はい、消しましょ。こういう時だけおっちゃんと気が合う
この句の場合は結論から言ったほうが面白い
「子のしわざなり」と言い切る。子どもはどんなイタズラをしたのか?と読み手は勝手に想像し始める。
「見つめ合う」につなげ、完全に映像にする。
「雛と雛」と書くだけ。最後に雛と雛のアップの映像で終わる。季語がより鮮やかに読み手の印象に残る

浜田 向井、やっぱその本捨てた方がええんじゃない?
本人 そういうわけにいかない。これに書いてなかった。
※向井は前回同様、祖母の形見の俳句本である「俳句入門三十三講」講談社刊を手に俳句に挑戦していた。

[ここがポイント]
映像が鮮やかに残る語順

添削後
子のしわざなり 見つめ合う 雛と雛

◆4位 凡人45点 渡辺満里奈
雛しまう 手に桃の花 はらりはらり

【本人談】
ひな人形をしまう時はいつも寂しいなと思う。箱の中に入って1年後までが切ないという情景と同時に飾っていた桃の花が散る様子を詠んだ。

志らく せっかく本を読んだのに季重なりのミスがもろに出ている。「桃の花」と「雛」と。両方が食い合っているから。
梅沢名人 1位獲ったのはビギナーズラックってやつね。季語は1つで良い。だからこの…
浜田 せんせーい!

夏井先生
おっちゃんより分かりやすく説明します。
間違いなく季重なり。「雛しまう」とあるため、「雛」と「桃の花」というよりは、「雛納め」(雛祭りが終わった後に雛人形をしまうことを指す春の季語)との季重なりとなる。
季重なりがダメということではない。どちらかを主役にする配慮があればなんとかなる。
原句に一番近い形で直すなら、「桃の花」を主役にすることは可能かもしれない。
「雛しまう」は現在進行形で今しまっている。「桃の花」も今散っている
ちょっとだけ、上五の時間を止める。雛をしまい終わったとする。
しなしまい…
浜田 しな?
夏井先生 小さいことをちょこちょこ言わんでよろしい!
「雛しまひたる」と完了の言い方にして、雛をしまってしまった。その手に今、桃の花が「はらり」と散っている
「雛しまひたる手に桃の花ひらり」
あ、「はらり」!
浜田 慌てて訂正した!
夏井先生 言われる前に言い直した。
こうすると、雛をしまう行為は終わっていて、桃の花がはらりと落ちた。

本人 あと2冊本買います。

[ここがポイント]
季重なりは強弱を
※季語が2つある季重なりの場合、季語の強さが同じになってはいけません。どちらかの季語をメインにすることを忘れないようにしましょう。

添削後
雛しまひたる 手に桃の花はらり

◆最下位 才能ナシ37点 小池徹平
君がため 雛飾りしは そのうちに

浜田 (観覧席に)何か言うたってよ!

【本人談】

(昨年11月結婚)結婚していつか生まれてくる子どものことを考えて、もし女の子であれば雛を飾る日が来るのかなという気持ちを込めて書いた。

志らく そういう意味だった。全く分からなかった。「君がため」って誰のためなんだろう?と
梅沢名人 
番宣なんかで出てくるからこんな目にあう。飾りし」は過去の話だからね。

夏井先生 おっちゃん、偉い!そこですよ、大事なのは。まさに、3つに1つは当たるよね。
梅沢名人 今、良いこと言ってんのに。
夏井先生 だから褒めてる。
今、特待生・名人が言ったことはすごく大事。
「君」というのが何かよくわからないのがこの句の一番悲しいとこ
「雛」で娘だろうなと読み手は読み始める。娘だろう人物に雛を飾る。
「し」は過去。過去に飾ったんだ。じゃあこの娘はどうなったの?もう亡くなったのか、婆さんなのか。えって思う。
「そのうちに」ではぁ?とキョトンとする。
まだお子さんは生まれてきてないわけですね。それを書きゃいい。
生まれくる子に」とし、「雛飾る時を待つ」とすればお話なさったことが全部入る。

本人 むちゃくちゃ勉強になります

添削後
生まれくる 子に雛飾る 時を待つ

★特待生昇格試験★

志らく 1回鼻をへし折られたけど、ここから這い上がってこちらにいる(梅沢の)天狗の鼻を・・(折る仕草)。

◆『母手折(たお)る 紙びな父の ラブレター
 立川志らく

【本人談】
母が紙雛を折っている。それを娘が見ていて、あれ?折り紙じゃないなと。何だろうと思って、ある程度年いったときに何気なく開いてみたらば父のラブレターだったと。そういうエピソードを聞いたことがある。紙雛でなく、鶴を折ってたというそういう話ではあるが。

梅沢名人 惜しいですね。母手折る」ってのは、枝を手でボキッと折ること何で電話くれないの?
浜田 なんでやねん!

夏井先生
この句の評価のポイントはここ「手折る」。

→指摘が的中した梅沢名人はダブルピース。
浜田 ダブルピースすな!

■査定結果
4級へ1ランク降格

理由:発想は昇格レベルなのにね…

パックン また折られた。
浜田 これは志らくはん初めて出ましたよ。

夏井先生
何でこんな勿体ないことするんだろう、この男は!
しかもおっちゃんの言うことが当たっているのがはがいたらしい(歯がゆいという愛媛の方言)。
梅沢名人 何で?
夏井先生 おっちゃん、よく知ってましたね、これ(手折る)。偉いです
梅沢名人 勉強してますから、なっちゃんの本で。
夏井先生 あ、そうですか。ありがとうございます。
浜田 やらしいな。
夏井先生
このエピソードがなんたって良い。さっきも何の紙で雛を折るかという発想の句(パックンのボリバル札)はあった。
紙の雛を折るのが、「父のラブレター」となると、わざわざその紙で雛を折る季語としての必然性が出てくる
ここが平場と特待生の違いを叩きつける良い例だった。
問題は上五「手折る」だけ。おっちゃんの説明にもあったが、「手折る」には意味が2つある。
手折る(たおる)
(1)道具を使わず手で花や枝を折る
(2)女性を自分のものにする
そうなってくると、(2)の意味で「母を手折ったのか」「母が(父を)手折ったのか」。
浜田 何を言うてんねん!
夏井先生
「父のラブレター」とあるので、この言葉を使ったことによる大きな落とし穴が言葉の意味にある
簡単なこと。「手」を除けりゃいいだけ。「母折る」とする。
これなら1ランク昇格(だったのに)。

浜田 はははっ。
本人 やっぱり、梅沢さんに電話すりゃよかった
梅沢名人 そうね。

添削後
折る 紙びな父の ラブレター

★永世名人への道★

梅沢名人 この番組のおかげでお子さんに物凄い人気がある
浜田 ホントですか?
梅沢名人 ホントに。「1番になってもらうのが観てて楽しい!梅沢さんが1位でなきゃいけません!」
浜田 小学生がそんなこと言います?
梅沢名人 私がトップじゃなきゃダメなんです!この番組は私がトップじゃなきゃ…
浜田 さー行きましょう!

◆『紙雛のにぎやか 島の駐在所 梅沢富美男

【本人談】
島の駐在さん。島ですから大した事件もない。ひな祭りになると、紙雛をお子さんが持ってきたり、おばあちゃんが持ってきたり。テーブルが紙雛でいっぱいになる。でもお仕事はしないといけないので、申し訳なさそうに隅でメモを取っているという句。

夏井先生
この句の評価のポイントはここ「にぎやか」です。

本人 嘘でしょ
浜田 指摘されて「嘘でしょ」って小っちゃく言うのやめて

■査定結果
名人10段★3へ1つ前進

理由:手慣れの技!

本人 よく言ってくれた!

夏井先生
この句全体を読めば場面はスッキリわかる
問題なのは「にぎやか」という言葉の使い方。
俳句において「にぎやか」という書き方は大雑把な表現なので、成功することが少ない
ところが、この句はちゃんと機能している
「紙雛」は普通一対だと思う。一対がにぎやかということではなく、「にぎやか」まで読んだときにひょっとすると、色んなタイプの紙雛がそこに並んでいるのではないかというイメージが浮かんでくる。
具体的ではないけど、浮かんでくる。
後半「島の駐在所」が出てきた瞬間にドラマのワンシーンみたいな鮮明な映像が出てくる
愛される駐在所、愛されるお巡りさんがちゃんと浮かんでくる。
「にぎやか」がこの位置にあるのが、一番大事
文脈で言うと、「にぎやか」なのは紙の雛で、ここで意味は切れる。
1行で書いたときに、意味は前半にくっつくが、雰囲気は後半にも影響を及ぼす
その置く位置も考えたに違いない。
今日はおっちゃんを褒めようと思う
直しはいりません。

浜田 当然直しはなし。はい、おめでとー。(そっけない態度で)

添削なし

編集後記

今回は一対の紙雛が兼題写真でした。毎年この時期は雛祭りが必ず取り上げられますね。平場は7回目の向井さんを除く4人が2回目の挑戦で初挑戦の人はいませんでした。
1位は着物姿で挑戦した星野さん。雛段を準備する状況と時間軸に発想を飛ばしました。添削無しではありましたが、「迎えし」よりも「迎える」の方が意味がスッキリするように思いました。
2位はコメンテーターとしても活躍するパックン。雛を何で折るかという点で発想を膨らませました。字余りでカタカナ表記が続くので、上五は「インフレや」とする方法もあると思いますが、どうでしょうね。
3位は祖母の形見の俳句本で挑戦する向井さん。残念ながら3回連続の才能アリならず。発想は良かったのですが、下五が説明的に思いました。1冊に固執せず、夏井先生の俳句本でも勉強すべきですね。
4位は前回は才能アリだった渡辺さん。下五の「はらりはらり」のリフレインが特徴的でしたが、季重なりという失敗。初心者が良くやる発想に思いました。
最下位は新婚ほやほやの小池さん。なんとなく俳句っぽくなっているものの情景がイマイチ伝わりにくくなってしまいました。新しい家族ができる期待感をストレートに書くべきでしたね。
特待生昇格試験は予想だにしない展開でした。
志らくさんはたった1字とはいえ、言葉の使い方を誤るという重大ミスで降格が告げられました。「手折る」は「花を折る」という意味に思っていたので、句の意味が説明されるまで全く分かりませんでした。「降格」は少々厳しいですが、次回の特待生一斉昇格試験を意識して厳しめに査定したのではないかと思われます。
梅沢名人は無傷で3度目の前進。定型句ではありますが、今回も句またがりの形で紹介されました。長閑な島の駐在所が浮かぶ風情もあり粋な句でした。さりげなく書いてあるのですが、言葉の質量がわかっている人の句という感じで、案外こういう句がなかなか書けないものなんですよね。見事に3つリードという展開に。
さて、次回は久々の特待生一斉昇格試験ということで、臨戦態勢をとる予定ですが、全俳句一覧やその他の記事の更新は後日になりますので、ご了承ください。

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