「プレバト!!」で披露された元東大生 鈴木光の全俳句一覧です。
特待生3級 鈴木光(すずきひかる) 合計11句+共作1句
成績(2020年9月24日時点)<通常挑戦者時代>
才能アリ2回
<特待生時代>
1ランク昇格2回、
現状維持1回、
1ランク降格0回
第3回春光戦予選1位・
決勝5位、第3回金秋戦予選5位
第4回春光戦予選A3位・決勝9位
第4回番組対抗戦で凡人3位(『東大王』林輝幸と共作)秋の他流試合SPで梅沢富美男に10-9で
判定勝ち査定とは別に2018年度月間MVH受賞(19年1月)
●
昇格率 66.7%(2/3)
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人物紹介◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 | 才能アリ | 賽銭の音や初鳩青空へ |
2 | 才能アリ | 教室のわたしを富士へ白き梅 |
3 | 現状維持 | センター街滲む号外春の雨 |
4 | 1ランク昇格 | 道化師のギャロップのごと牧開 |
5 | 春光③予選1位 | 昼網や明石メバルのピチカート |
6 | 春光③決勝5位 | 馬の仔の立ちて十勝の缶コーヒー |
7 | 1ランク昇格 | 蹲のあめんぼ揺らす零雨かな |
8 | 金秋③予選5位 | 本を閉じ秋の灯しづか製氷音 |
W1 | 凡人(共作) | 初買や液晶で見るあかき頬 |
9 | 春光④予選A3位 | 新歓の部室カップ麺の匂いかすか |
10 | 春光④決勝9位 | ゴッホのごとく引越し春雲追ふ |
11 | 秋の他流試合○ | 封筒の刃痕やボンの月の暈 |
▼人物紹介「プレバト!!」では番組対抗戦で東大王チームを背負って初出演した元東大生(文科一類→法学部)。藤本・東国原両名人が共演する自身のクイズ番組「東大王」では女性の中心メンバーとして大いに活躍した才色兼備な人物で、高校時代に松本清張記念館の読書感想文コンクールで優秀賞を受賞した逸材。
俳句査定は2回連続の才能アリを獲得し、難なく通算20人目、女性として中田喜子・柴田理恵に続く3人目の特待生に認められた。わずか2回での認定はフルポン村上以来である。
句の特徴は、綺麗な描写と確実に伝わる表現力。瞬間的に読み手の脳内に再生される映像描写力が武器である。助詞の使い方が効果的な句も多く、俳句の型にパズルのように言葉を当てはめている印象がある。また、古文が得意なようで他者の句の文法ミスを指摘できる実力者。
俳句自身は高校時代に修学旅行で1回詠んだきりだったものの、初挑戦時に過去の番組俳句を「過去問」として学習し、出演に向け5~6時間俳句に向き合った。そして、見事に「プレバト!!」チーム代表の立川志らくから大金星を奪い、他の名人をも唸らせ、まさに鮮烈デビューという印象。その披露句は月間最優秀俳句に選ばれるほどである。
中でも「東大王」で共演する藤本名人からは可愛がられているよう。「プレバト!!」の特別企画・番組対抗戦では「プレバト!!」チームではなく、鈴木光属する「東大王」チームを応援していたことを「東大王」収録時にフジモン本人から聞かされたというエピソードを披露している。
浜田からも一目置かれている。本人の落ち着いた静かな話し方に反応し「ご飯食べてないの?」ととぼけられる場面も当初あったが、回を重ねるごとに声が大きく出ていることを褒められた。
梅沢名人も2回連続で太鼓判。夏井先生は「光るものがあることは間違いない。この後どうなるかは未知数だが、若い才能を上に送り込んで、トロトロしている特待生の尻を叩きますか?こんだけ書けるんですもの」と特待生昇格を祝福した。
紹介BGMは、本人が好きな曲と語る椎名林檎のデビュー曲「幸福論」である。
ダークホースとして期待された初回査定は三段切れを指摘されて現状維持となるが、2回目の挑戦で見事に初昇格を決め、さらに連続昇格を果たす。
歳時記なども熟読しているようで他の俳句への批評も的確だが、年少であるがゆえ、本人も周囲も互いに気を遣っている様子が見られる。
そして初参加のタイトル戦では4級ながら見事に予選をトップで通過。決勝は名人を除くと最上位の5位と健闘した。
因縁の相手である立川志らくは「東大王ではなぞかけでボコボコにしているが、プレバト!!では逆にボコボコにされる」と実力を認めるエピソードを明かす。
浜田を含め他の出演者から「光(ひかる)ちゃん」と気軽に呼ばれているが、梅沢名人から「プレバト!!の女性アイドル」、志らくから「俳句モンスター」、円楽から「志らくの天敵」と異名も多くもつ。また、最も尊敬するのは村上名人で、「日常的な場面を詩にできるセンスが素晴らしい」と語っている。さらに、中田名人から「プレバトシスターズ」、藤本名人から「『東大王』仲間」、村上名人から「村上チルドレン」と呼ばれるなど、各陣営の囲い込み競争は熾烈である。
しかし、夏井先生は査定時に「俳句はこの程度書いてりゃ先生OKって言うからいいかなってのが少し見えた」と厳しい言葉も投げかけており、さらに攻めてきた句も見せて欲しいと愛のムチを与えている。この件について、本人の反省文がタイトル戦で紹介された。
また、最多15名が参加した金秋戦では予選5位となるも決勝進出を逃す悔しい結果に。しかし、予選2ブロック制に分かれた第4回春光戦で見事に予選を突破した。しかし、決勝はブービーと厳しさを味わった。
多くの特待生が俳句作りに苦労している中、「映像として思い浮かべたものを形にしていく作業が楽しい」と番組のインタビュー記事で語っており、目が離せない注目の人物となった。
そして、2020年初回の番組対抗戦では再び『東大王!』の一員として林輝幸の発想を自身がアドバイスする形の共作に挑戦。屈辱の凡人査定に沈むも、林の才能と鈴木の的確なアドバイスは先生に認められた。
秋の他流試合では「東大王!」のチームリーダーとして、満を持して梅沢永世名人と直接対決。論理的な句で見事に勝利した。
また、一発名人査定に挑戦した東大の先輩・林修氏から「コメントも的確で、夏井先生に教わった本質を正確に理解している。光ちゃんはいずれ名人になるはず。同期に彼女みたいな素敵な子がいたら、絶対に片思いして人生が狂っていた」と実力に太鼓判を押されている。
東大卒業を機に、2021年3月24日放送『東大王!』をもってテレビ出演から卒業した。
●[1]お題:
初詣のお賽銭『賽銭の音や初鳩青空へ』才能アリ1位75点
※得点は発表後の浜田の発言から判明。ただし、2020年番組対抗戦では当句は73点と紹介される添削なし
2019年1月月間MVH受賞句
「初鳩」が新年の季語。年初の第3回番組対抗戦で東大王チームを背負って披露した句。静まり返った境内の賽銭箱に5円玉を投げ入れると音が響いて、それに驚いた鳩が空へ飛び立つ様子に願いを空へ届けてくれるような思いを込めた。破調の美しい句にプレバト名人衆も非の打ち所がないと絶句し、梅沢名人も「大した娘だ」と絶賛。夏井先生は、フレーズ+「や」+季語の入ったフレーズという型を理解して作っている人の句と高評価。音の表現の仕方にも一工夫あり、賽銭の微かな音を「や」で強調した上で、最後の「へ」という助詞によって鳩の羽ばたきの音が被るのが見事だと解説。「や」「へ」という助詞の使い方を褒めた。1位となったため、対戦する「プレバト!!」の立川志らくにも大きなプレッシャーを与えた。両者添削なしで譲らないが、一瞬で読み手の脳内に再生される描写力が決め手となり、結果は見事に勝利と大健闘。他番組でも共演する藤本名人から賛辞を受けた。
●[2]お題:
東京から見る富士山『教室のわたしを富士へ白き梅』才能アリ1位▸5級72点
添削後
『教室のわたしを富士へ朝の梅』
『教室のわたしを富士へ風の梅』
季語は「白き梅」。前回は「ビギナーズラックだった」と発言し挑んだ回だったが、2回連続で1位を獲得。教室で授業を受けている最中に、ふと窓から梅の香りがして外を見るとそこに初めて富士山があることに気付いたという句。梅沢名人は「恐れ入りました。凄いな~東大。言ったことが全部句に入っている。情景から何から素晴らしい」と絶賛。5級のキスマイ北山は「2回目で何ですぐ出来んの?」と僻む発言が飛び出し、浜田から特待生降格をほのめかされる。夏井先生は「とても気持ちの良い句」と評し、敢えて「わたし」という存在を明確に打ち出したと解説。中七の「を」「へ」の助詞の使い方を理解しており、凡人なら書きたくなる「連れてって」という動詞を書かずとも読み手に伝わっていると判断出来ている姿勢を評価。季語「白き梅」も気持ちよいが、さらに上を目指すアドバイスとして、時間や動きを付加することで、読み手が梅の様子を想像できる添削例を2例示した。「目ん玉でんぐり返る」と仰天する先生は、「光るものがあるのは間違いない」と太鼓判を押し、「成長は未知数だが、低調な特待生の尻を叩く」と稀有な才能を大いに認めた。初出演から6週間、わずか2回の査定で特待生入りを果たした。
[ここから特待生として査定]●[3]お題:
春の号外(特待生一斉昇格査定SP)
『センター街滲む号外春の雨』5級で
現状維持添削後
『センター街号外滲む春の雨』
季語は「春の雨」。「センター街」は東京渋谷の繁華街のこと。通学路の途中にあるセンター街で、夜の雨に濡れている号外が落ちているのを見つける。号外は大きなニュースのはずだが雨に打たれて文字が滲んで風化していく様であり、渋谷の若い街の勢いを詠んだと語った。藤本名人は「"センター街"という名詞を持ってくるセンスがたまらなく良い」とべた褒めし、千原ジュニアも査定のポイントとなる中七の描写が良いと唸る様子であるが、査定発表でスタジオは騒然。素材はとても良く切り取れており、渋谷の雑踏と滲む号外の場面が映像として伝わってくる点を評価するも、先生は「三段切れ」と評し、五・七・五がそれぞれ名詞で終わることで意味・映像・調べが断片的になりがちで、俳句の技法の点だけがもったいないと指摘。中七の語順を入れ替え、リズミカルな一句に添削した。本人は「三段切れは勉強してなかったので、消化して頑張ります」と次回への意気込みを語った。
●[4]お題:
春の旅行計画『道化師のギャロップのごと牧開』4級へ
1ランク昇格添削なし
季語は「牧開(まきびらき)」。牧開きの季節になると馬屋に閉じ込められた動物たちが牧場へ一斉に駆けていく様子を描写し、クラシックの組曲「道化師」の第2曲「ギャロップ」にある規則的な旋律が、蹄を連想させる音と重なるような春の始まりをイメージしたと語った一句。東国原名人は降参したかのように「秀才」と語り、「"のごと"の直喩は月並みのものは陳腐だが、このね~ギャロップのごとね~」と感心する。長い比喩の効果の是非がポイントとなるが、見事に初昇格。「溢れ出す音楽と映像」と評す先生は、曲の明るさ・元気さのイメージを音楽として聞かせながら、句の3分の2を用いる長い比喩として展開すると、残りは季語との勝負となるが、「牧開」という季語の選択が良かったと指摘。春になり牛や馬が勢いよく駆けだす映像が「ギャロップ」「牧開」によって確保され、喜んでおどけている様子が「道化師」でイメージされ、春を喜ぶ牛や馬の脚や蹄が全部見えたと絶賛。音楽と映像を合わせて表現する発想も見事と褒めた。浜田は19回出場しても凡人にとどまるキスマイ二階堂に「お前も音楽と俳句を合わせろ」とアドバイスするが、本人は無理だと返答する羽目に。
●[5]お題:
春の鮮魚店『昼網や明石メバルのピチカート』第3回 春光戦予選1位(決勝進出)添削なし
季語「眼張(めばる)」は明石の春を代表する魚。再び志らくに打ち勝った句は、黒メバルが有名な明石の昼市を詠んだ。メバルの釣り立てで尻尾がピチピチする感じを「ピチカート」というバイオリンを指で弾く奏法の一つと語感や映像を掛けた。藤本名人は「"ピチカート"というオシャレな言葉が入った句が今まであったか」と雰囲気を発言。東国原名人は「学習能力があり、過去問を全部勉強している。頭に公式があり、この句は"ごとく"俳句として言葉を型に当てはめる作業をしている。これができるのは全然違う」と警戒し、本人は頷く反応。先生は「様々な配慮をしている句」と称し、上五+「や」+季語の入ったフレーズの型を使いこなしたと褒める。馴染みのない言葉「昼網」を「明石」の地名で読み手が調べるヒントとなり、季語がその場所の名産であることも伝わる。「ピチカート」の比喩で、季語のメバルの動き・新鮮さ、さらに映像も見えると高評価。季語のカタカナ表記は図鑑を思わせるので嫌われやすいが、漢字だと全体が重くなるため、「ピチカート」と呼応するように配慮したのも読み手に伝わると称賛した。タイトル戦は初参加ながら予選トップとなり、梅沢名人も闘志を燃やすきっかけになった。
●[6]お題:
コーヒー『馬の仔の立ちて十勝の缶コーヒー』第3回 春光戦決勝5位
添削後
『馬の仔の立ちて未明の缶コーヒー』
『馬の仔の立ちて獣医の缶コーヒー』
季語は「馬の仔(こ)」。コーヒーの写真から北海道の牧場へと発想し、酪農家の視点に立って詠んだ。仔馬の出産に立ち会い、容体を気にしながら馬の仔がようやく立って安心した人物が、缶コーヒーを飲む気持ちを描写した一句。志らくは「あんな若い子が酪農家の視点で詠むのにビックリ」と実体験でない句に驚愕し、2位の東国原名人は「素晴らしい句だが、公式とか法則には限界がある。そこを超えられるか」と論理的に語る。先生は「今の指摘は興味深い。型に言葉を当てはめるとある程度の俳句は成立する」と解説し、実体験を詠まずに酪農家の視点に立ったのが微量足りてないと指摘。しかし、非常にうまく作れており、出産の場面とすぐにわかる書き方で、安堵の気持ちでコーヒーを飲む人物も伝わると褒める。「十勝」の地名が勿体なく、牧場の気持ちを添えるため安易に置いたのではと指摘し頷く本人。遠景を指す地名が損で「3音に泣いた句」と評し、時間や人物を入れて実感が伴う句に添削。「ちょっと改善し、次は頑張ります」とリベンジを誓う優等生の発言に他の名人も仰天した。
●[7]お題:
梅雨晴れ間の水たまり『蹲のあめんぼ揺らす零雨かな』3級へ
1ランク昇格添削後
『蹲に雨粒あめんぼを揺らす』
季語は「あめんぼ」。「下五を間違えたかも」と不安げな一句は、神社にある手水(ちょうず)の石の容器を指す蹲(つくばい)の中のあめんぼを、静かな雨である零雨(れいう)が揺らす光景を切り取った。千原ジュニアは「めちゃくちゃ良い」と絶賛するが、難しい言葉を使う是非が査定ポイントに。「手堅くまとめている」と評す先生は、「蹲」の一字で神社仏閣の境内や茶室の庭を思わす場所の映像化がなされ、さざ波のような小さな雨粒の「零雨」があめんぼを揺らしている光景も伝わると褒める。しかし、全体として優等生的で小器用な句と語る先生は、「"俳句はこの程度書いてりゃ先生OK"って言うからいいかなというのが少し見えた」と辛辣な言葉を浴びせる。下五が良かったのか不安になったと本人が正直に語った姿勢は見事と認め、下五を諦めて季語とガチンコ勝負すべきと指南。「零雨」の光景が広いため、季語への焦点の当たり方が緩いと指摘し、雨粒のアップの光景から始めるよう筆を執る。雨粒の余波であめんぼがくらっと揺れた映像にし、「攻めてきて」と添えた。本人は「アップにすべきと思っていたが、どうしてよいかわからなかった。凄くすっきりした。頑張ります」と先生からの愛のムチに応じた。
●[8]お題:
冷蔵庫『本を閉じ秋の灯しづか製氷音』第3回 金秋戦予選5位添削後
『秋灯(しゅうとう)に本閉づ製氷音かすか』
季語は「秋の灯」。秋の夜長は読書をするが、読後に読書灯の下で静かな中、余韻に浸っていると、冷蔵庫の製氷の音で我に返される光景を詠んだ句。村上名人は「凄く良い」と褒めるも、難癖をつける梅沢名人に追い詰められ、「『秋の灯』に"しづか"の気配はある。この3音でもうワンパンチできたのかも」とアドバイスする。先生は、製氷の音に目を付ける感覚と「製氷音」という表現を考えた工夫を褒める。しかし、全体的に内容が多く上五がなくても素材は十分にあると指摘する先生は、季語「秋灯(しゅうとう)」から始めて2カットの映像へと語順を変え、村上師匠のお告げ通りに「しづか」を消して「かすか」とした。微かな製氷音が聞こえるからますます静かになる情景を想う添削に、梅沢・藤本名人は「難しい」と本音をこぼす。添削後なら予選通過を果たしていた結果に、本人は「これからもっと勉強して上手くなるように頑張ります」と意欲を見せた。
●[W1]お題:
福袋(第4回番組対抗戦)
『初買や液晶で見るあかき頬』凡人3位63点
添削後
『中継映像見る初買のあかき頬』
季語は「初買(はつがい)」。『東大王』チームとして挑戦し、文学部4年・林輝幸の発想を元に共作した一句。福袋を買ったことがないという林は、福袋を買う人物の風景をテレビなどの画面越しで見る情景を詠んだと語った。林の原句「窓の雪福買う人の頬あかく」に対し、2点指摘した本人。「福買う」の表現の誤りに対して同じ音数の「初買」を提案し、「窓の雪」は自宅から画面で見る表現で、素敵な発想を活かすべく「液晶」を入れるべきと忠告したと論理的に語り、さらに「で見る」でなく、「稚児の」にすべきだったと反省の弁まで述べる。ジュニアは「原句は中七・下五と流れが繋がるが、提出句は中七により人物の情景が分断された」と鋭く指摘し、北山は「『液晶』って携帯もあるな」とコメントするも、浜田に進行される。先生はジュニアの分析力を褒めた上、本人の提示した添削のヒントも的確だと称賛。まさに問題点は、同じ光景にある「初買」「頬」が分断された点で、上五字余りでも「中継映像」と丁寧に書くべきと指南し、人物の光景に繋がる語順へと添削。最後に、初めて作ったのか林に確認する先生は、アドバイスを的確にキャッチしたと認め、「勉強すればすぐ上にいく」と今後の成長を期待する言葉で締めくくった。
●[9]お題:
カップラーメン『新歓の部室カップ麺の匂いかすか』第4回 春光戦予選Aブロック・3位(決勝進出)添削後
『新歓の部室カップ麺の匂い』
アバンギャルドな挑戦と語った句は無季の20音。大学の文化部で、部室を訪れると何となくカップ麺の匂いを感じるという自身の経験をもとに「新入生歓迎」で時期を設定し、季語は敢えて入れずに新たな季語を作るチャレンジというコンセプトで詠んだと語り、たまげた反応になる浜田。ジュニア名人は「まさに"アオハル"。カップヌードルのCMそのままイケる」と笑いをとる。先生は、「新歓」の攻めは強く褒めたいと評し、市民権を得た言葉は次の時代の歳時記に載る可能性が十分あると語る。しかし、3位と4位を悩んだ理由として、字余りがどうしても気になると語る先生は、不要な言葉があると指摘。浜田が「"匂い"までで良い」と呟き、問われた本人も「かすか」と答え、真っ先に指摘を当てた浜田を「浜田さんも言うてました。天才や!俳句やりましょ」と藤本名人がいじる。「かすか」まで言って字余りにする損得を考えると、なくても十分面白く、匂いの強さは読者に想像を委ねるのが得だと解説し、音数を切り詰めれば調べが乗ると総括した。本人は「直してとても良くなった。想像の余白を残して句を作りたいなと思います」と反省した。
●[10]お題:
不動産屋さん『ゴッホのごとく引越し春雲(しゅんうん)追ふ』第4回 春光戦決勝9位(次回シード権なし)添削後
『ゴッホのごとく引越す春雲(はるぐも)を追うて』
『ゴッホのごとく引越す春の雲追うて』
季語は「春雲(しゅんうん)」。美術大学に通う知人から発想を得た一句。題材を探すためか頻繁に色んな所に引っ越す。それが生涯に30回以上引っ越したゴッホのようで、雲を追うような生活に思うと語った。梅沢名人は、「村上を師匠と思うから」とたしなめるも、適当にコメントを誤魔化す。先生は「攻めた句で作者にビックリした」と評し、「ゴッホ」は中々発想できず、挑戦を強く褒める。意図は悪くないが、「春雲」の響きと「ゴッホのごとく」のイメージが展開としてそぐわないと指摘し、水色の空の柔らかい雲のイメージで損したと続ける。前半の比喩を活かすなら上五字余りとし、一回カットを切った上、「春雲(はるぐも)」に季語の読みを変えて、最後を柔らかく流すと季語が活きると解説する。季語に「の」を入れると主役が半歩前に出ると添削を2例示した。無難にチマチマすると先が見えないが、「こういうことをやってこそ」と若者の挑戦を評価する一方、本人が師匠と慕う村上名人に対し、「大して攻めてない」と、とばっちりを食わせた。
●[11]お題:
文房具『封筒の刃痕やボンの月の暈』秋の他流試合SP 第5試合10-9で
判定勝ち添削なし
季語「月の暈(かさ)」は月の周囲に現れる光の環のことで、「ボン」はドイツの地名。大学1年の時にドイツへ短期留学をした際の封筒や資料が、家を掃除した際に出てきた。封筒にハサミで切った際の刃痕を見て、ドイツの陰険な天気の中で山登りをした際に見た月を思い出したと語った一句。対戦相手の梅沢名人は「『ポン』が分からない」と述べ、教養不足を露呈する形でチームメイトから散々な非難を浴びる。結果は「暮れてゆく秋の飴色セロテープ」と詠んだ梅沢名人に判定勝ち。先生は良い句だと褒め、封筒の「刃痕」でハサミかペーパーナイフで切ったと分かり、「や」の強調で「封筒」から「痕」へアップになる映像が確保できた描写力を認める。「ボン」が何かと一瞬思うが、ドイツのボンと理解した瞬間に「月の暈」の映像が出て、月の周囲に滲むように輪っかが出てくる後半の展開を解説し、滲んだような印象が封筒の中身・内容にまで及ぶと味わう。「や」が強すぎる印象を持つ読み手に対しては、この封筒の中に作者の心を強く揺するような中身・手紙が入っていたかもしれないと想像させるため「や」が許容できると補足し、「とても丁寧に見事に一句を作っている。たかが小さな刃の痕を使って外国の月を描く」と評し、勝利を祝福した。
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