【番組対抗】20190103 プレバト!!俳句紹介【初詣のお賽銭】
- 2019/01/03
- 21:00
2019年1月3日放送 プレバト!!
第3回番組対抗戦で出演者が詠んだ俳句を紹介します。
スタジオは冬麗戦のように、挑戦者の全番組が発表待ちシートにまず座り、名人4人が左横で戦況を見守る形式。
出場した6番組と俳句の挑戦者は以下の通り。
※各チーム代表者1名が俳句に挑戦。プレバト!!以外の5チームでランキングを発表し、1位のチームとプレバト!!が直接対決。どちらが勝ったかを夏井先生が査定するという形。
[順位発表順] 2位→4位→3位→最下位→1位
★プレバト!!チームの意気込みと夏井先生の講評
梅沢名人 俳句は志らくさんが。十分です。
志らく こんなアマチュア相手に負けるわけないじゃないですか。
豊崎アナ 負けたら降格ということで、よろしいですか。
梅沢名人 いいんじゃないですか。
志らく いやいや、私が負けたら梅沢さんが降格で。
梅沢名人 結構ですよ。2つでも3つでも全部、何だったら凡人になってもいいですよ。そのぐらい志らくさんで十分。こいつだろ?(バナナマン日村の方を指さす)
浜田 よっぽどの自信ですけど、『プレバト!!』チーム大丈夫ですか。
東国原名人 そりゃそうですよ、言うたら草野球ですよ、あの辺は。こっちは甲子園で優勝レベルですよ。夏井監督に日夜しごかれてるんですよ。昨日今日出た人間に負けちゃダメですよ。
梅沢名人 負けませんよ。ダテになっちゃんに「クソじじい」って言われてるわけじゃないから。
浜田 さあ、先生。皆さんの出来はどうですか。
夏井先生 番組対抗なんで、あんまり期待していなかったんですけど、平均的なレベルはかなり高い。しかも俳句のメカニズムを分かってるなと思う句もあってビックリしています。
浜田 言うてますけど、大丈夫ですか?
梅沢名人 大丈夫ですって!(ゲストに対して)ヨイショしてるだけ、珍しく。番組対抗だから。
→夏井先生は苦笑い。
●お題:初詣のお賽銭
◆1位 才能アリ75点 鈴木光(『東大王』)
「賽銭の音や 初鳩青空へ」
藤本名人 光ちゃん、すごいよ。
浜田 75点はなかなかの点数ですよ!
藤本名人 光ちゃん!
浜田 志らくはんの(東大はダメ)仮説がこれで崩れましたよ。
志らく この人達に勝てるかどうかという自信がだいぶなくなってきました。
梅沢名人 何言ってるんですか、大丈夫ですよ。
【本人談】
静まり返った境内のお賽銭箱に5円玉を投げ入れると音が響いて、それに驚いたように鳩が空へ飛び立っていって願いを空へ届けてくれるようだなと思って俳句を詠んだ。
→出演者から「美しい」の声が上がり、志らくをはじめプレバト!!陣営は無言に。
浜田 お前ら、何かしゃべれよ!
藤本名人 (拍手して)もうお見事。非の打ち所がない。
志らく 負けたかもしれません。だって俳句初めて詠んだのに破調でしょ(8・4・5音のリズム)。これで17音に収めて、言ってることは普通なんだけどもポッと画が浮かんでくるから。頭の中どうなってんですかね~。
梅沢名人 いや、大したもんだ。初めて俳句やったんでしょ?
本人 1回高校の修学旅行で詠んだきりなので。
梅沢名人 それにしたって、あんた。大したもんだわ。
浜田 さっきから「大したもんだ」しか言ってない。
梅沢名人 いろんな情景も音も全部入ってきてるんです。大した娘だねぇ。
浜田 これが出た段階で名人衆が「うーん」言うて。
東国原名人 我々は3年間ね、七転八倒して叩かれながら3年かかってやっとここ(このレベル)に到達した。それを高校時代に1回詠んだだけで何でこんな句ができる? 普段東大王に出してもらって、けちょんけちょんにやられる。今日はけちょんけちょんにやろうかと思ったら・・やられてる。
藤本名人 何で勝てんねんって話に・・。
村上名人 5時間で作ったと言ってたけど、オレ丸三日間くらい考えてる。
伊沢拓司(同じチーム) 初めて見た時にすごいなと思って、音もあるし動きもあるし情景も最後にパッと浮かぶしすごくいいなと思いました。
横尾名人 それを言えるのもすごいな。
藤本名人 そうそう。あと音も感じ取れる。
浜田 パッと言えって、それを。
梅沢名人 俺言ったから!(→確かに言ってました)
藤本名人 言ってないですよ!言ってないよね?
梅沢名人 聞いてないだけだろ。
浜田 言うた?
藤本名人 言ってない、言ってない。
梅沢名人 VTR戻せよ、俺言ってるんだよ。
東国原名人 御大は言いました。小さな声で。
藤本名人 「大したもんだ」しか、言うてない。
志らく 名人たち、見苦しいわ!
藤本名人 言いましたっけ?
梅沢名人 言ったよ、お前が聞いてないだけだよコンチキショウ!
藤本名人 「大したもんだ」しか言うてませんよ。
夏井先生
これは本当に見事。型の力を理解して作っているとしか思えない。
「賽銭」で物や場所が一緒に想像でき、「音」もちゃんと出てくる。「初鳩(はつばと)」(元旦の初詣で見かける鳩)という新年の季語が出て、最後に「青空」という広い背景が出てくる。丁寧に押さえている。
句またがりの形で「音や」が中七に入り込み、カットが切れる。この型も見事に使いこなしている。
名人たちが「音を表現している」と言っていたが、音の表現にも一工夫ある。
中七の「音」はまさにそのままだが、「や」による強調で賽銭の微かな音を強調しておき、カットが変わる。
その後の音は「へ」という助詞が聞かせてくれる。初鳩の羽ばたきの音が被って出てくる。そこが見事。
「や」「へ」の2つの助詞で一句の中に音を響かせている。これはお見事。直しはいらない。
添削なし
◆2位 凡人??点 日村勇紀(『消えた天才』)
「寒空や しんとし偶に ヘリの音」
※初詣の光景からお正月の静かな町の情景へ発想を飛ばして詠みあげた一句。
→ランキングシートへ移動の際に、モタモタする日村に浜田から蹴りを一発かまされてしまう。
【本人談】
場所にもよるが、正月三が日は車も人も全部いなくなって音がシーンとする感じがある。そこに各局のヘリコプターが神社の中継とかで飛んでいると、この世に俺とヘリしかいないような感じを受ける。
梅沢名人 うん、惜しいね。「しんとし」という言葉はあまり俳句では使わない普通の言葉。それを使うぐらいなら「寒空」もやめて季語も考えたほうがいい、他のに。
浜田 どういう感じがいい?
梅沢名人 まあ、今急に言われてもね。
一同 (笑)
梅沢名人 今、季語出ましたよ。「初空や」とか。お正月で俺しかいないんじゃないかというイメージで詠むんだったら。その時は「しんとし」なんて言葉使わない。他の言葉使っとけば1位になったかもしれない。
浜田 だから他の言葉っていうのは?
梅沢名人 いや、急に言われても…。
夏井先生
おっちゃん、エラいエラい!
一番大事な2箇所をしっかり押さえている。ただどうすればいいか言えないのはいつもの通り。
季語を「初空」にするという考えはとてもいい。
お正月にしたかったら立派な季語「初空」にする。これぐらいはすぐに思いついてほしい。
「しんとし」は気になった。確かにしんとはしているが、違う表現にしたい。
「初空」がしんとしているという意味なので、「や」で切らず「の」として続ける。
中七は「深閑(しんかん)」(物事が聞こえずひっそりとしている様子)という言葉に変えてカットを切る。
漢字を続けず、「偶に」は「たまに」と平仮名にする。
ここまでやってくれたら今日は1位の句といい勝負だった。
本人 「深閑」を知らなかったんで。
藤本名人 ふつう知ってるでしょ。
浜田 ウソつくな!ちゃんと言えよ!
本人 このメンツで2位ですから。相当嬉しい。
[ここがポイント]
新年の季語「初○○」
※「初空」以外にも「初晴」「初富士」「初星」「初笑顔」「初電車」「初テレビ」などの様々な季語があります。
添削後
「初空の 深閑たまに ヘリの音」
◆3位 凡人??点 賀来千香子(日曜劇場『グッドワイフ』)
「社にて 父母の背そっと 初明り」
【本人談】
初詣に家族で並び、自分の前にいる高齢の両親への健康への祈りとそっと背中を触りたくなるような感謝・労りを詠んだ。これしか浮かばなかった。
小泉孝太郎(同チーム) 涙腺が緩みました。
浜田 全然、泣いてへんし。
小泉 情景が浮かんだんで僕はすごく好きな句です。
本人 それで十分です。
梅沢名人 これはきついことを言うようですけど、これ俳句の言葉としてはちょっと違う。普通の言葉なんです。これを読んで「あっ良い俳句だな」ということにはならない。イメージとしてはいい。
浜田 じゃあ、どうしたら良いんですか?
梅沢名人 急に言われても。私はこういう句を詠まないから。
浜田 こちらの名人の方々どうですか。言えることありますか?
名人たち ・・・・
梅沢名人 オメエら言えねえのかい!よくオレのこと言えたな!?
東国原名人 梅沢さんの言うように、「にて」が場所を示しているので、散文的というのは正しい。ただ「そっと」は初明りがそっとなのか、何がそっとなのかが伝わりづらいのかな。
横尾名人 でも「初明り」という季語でがお父さん、お母さんへの感謝の気持ちというのはわかるかな、ていうのは。
夏井先生
みんなエライ。大事な所がちゃんと言えてますよ。今回は名人がちょっとずつ批評できるように育ってる感が嬉しいです。
藤本名人 育ってるっちゅうねん!どれだけ育ってるか。
東国原名人 毎週どれだけ厳しいんだよ!
夏井先生
頭の「お社(やしろ)」という場所が出て、「父母」という人物、「背」という部位、「初明り」という季語が最後に。
それぞれの言葉がお互いを邪魔しないで置かれている。これが一番良いところ。
問題点はまさにおっしゃった通り。「にて」が散文的である。
そして「そっと」は作者は父母の背を「そっと」と言ったが、この字面では「そっと初明りが差す」とも読めてしまう。
「そっと」は無くても十分。横尾名人が言ったように「初明り」という季語の中に、父母への感謝や思いやりの気分を感じ取れるのではないか。
微調整。「にて」「そっと」は不要。「父母の」は「ふぼの」ではなく「ちちははの」として詠い出す。
「背に」と場所を示し、「お」を「社」につけて優しくなる。やわらかい光景が映像として浮かんでくる。
本人 素敵です。凄い温かい気持ちにさせていただきました。
小泉 涙腺緩みますね。
→浜田からグーのサインをゲット。
[ここがポイント]
季語の力を信じる
添削後
「父母(ちちはは)の 背にお社の 初明り」
◆4位 凡人58点 深田恭子(火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』)
「本厄も アラサーも去り 年酒酌む」
【本人談】
昨年は本厄で年女で36歳になりアラサーも過ぎた。今年は本厄もアラサーがも去って寂しいけど、ホッと一息お酒を友達と飲み交わす、ハイ。
東国原名人 僕は完璧だと思いますね。
浜田 汚い。
本人 優しい。
浜田 ちょっと待て、4位よ。
東国原名人 非の打ち所がない。なぜ58点かわからない。
浜田 4位や!(→東のおでこにビンタ)
藤本名人 1位ですよね?
浜田 違うやろ!
東国原名人 僕らだったら完璧に1位だよね。
→うなずく4名人
浜田 ちゃんと言いなさい。
東国原名人 凡人ですわ。「も」とか「も」は真面目に言うと、並列の助詞は使うなら慎重にしないといけない。俳句では17音しかないので、意味が重なるのを嫌うので、「年酒」だけで「酌(く)む」はいらないかな。
夏井先生
決して上手な作り方とは言えないが、作者なりの今の思いが非常に正直に書かれている。それがとても大事なところ。
そういう所をきちんと語るというのが出発点。
季語「年酒」(新年を祝う酒、年始の客に勧める酒)は新年の季語で、お正月に客を迎えて一緒に飲む酒。
「酌む」の問題もあるが、お正月にワイワイという感じなら許容しても良い。
問題は、東国原名人も指摘した「も」「も」「去り」の書き方が散文的な調子。この言い方だけやめれば、自分の気持ちをしっかりと語った良い句になりえる。
言いたいことがちょっと多いので、字余りでリズムを作る。「も」「も」「去り」を削って、要は「さようなら」と言いたい。
「本厄さよならアラサーさよなら」とすれば、「さよなら」の寂しさとホッとした感じが一緒に出る。
しかも、同じ言葉を繰り返すと自ずとリズムが生まれる。
特に最後の「酌む」という欠点にもなりがちな部分も、このリズムによって明るさを最後に生み出す。
これがあなたの気分に一番近いのではないか。
本人 すごい気持ちのいい句になりましたね。気持ちがよくて明るい。
浜田 先生が直した段階で名人チームが「無理無理無理無理!」と。
藤本名人 初めてですもんね?俳句ね~。無理だよね?キョンちゃん。(一緒に出演した横浜流星の呼び方に乗っかるフジモン)
→浜田から頭を叩かれる
浜田 お前、言いたいだけやないか。
[ここがポイント]
リフレインで思いを明確に
添削後
「本厄さよなら アラサーさよなら 年酒酌む」
◆5位 凡人55点 草野仁(『世界ふしぎ発見!』)
「とりどりに はずむ振袖 娘(こ)らの春」
梅沢名人 これはダメだ。
【本人談】
新春の風景で目に付くのはやっぱり晴れ着姿の若い女性。振袖を着ることで心も弾み、その動きも外に弾んだ感じになる。そういう人たちを見ていると高齢の人間からは「幸せ多き人生を送ってください」という思いで見ることができる。
野々村真(同じチーム) これが最下位だとは思えない、最高の俳句だと思います。
浜田 なるほどね、はい。孝太郎のかぶせろよ!(「涙腺緩みますね」)
東国原名人 「ふしぎ発見」という番組は「不思議」が毎回出てくるが、この句には不思議が全然出てこない。つまり、どこで何か読み手をだましてくれるのかな?良い意味で裏切ってくれるのかな?と思いきや、全部普通に。そのままじゃんみたいな感じ。「振袖」は女性なので「娘(こ)」はいらない。「振袖」は弾むもの。無駄な言葉が多い感じがする。
藤本名人 ボッシュートですよね~。
浜田 「ボッシュート」言わなくていい。
藤本名人 いや、「娘」という言葉がいらないのでボッシュートかな~。デデッデデ~。
浜田 村上どうですか?
村上名人 一緒ですね。全部言われたんで。残しておいてくれ。
浜田 全部先に言われた?
村上名人 そうですね、おっしゃった通り振袖が色とりどりであるとか・・・
浜田 (遮って)それじゃあ行きましょう。
村上名人 あの~。
浜田 お前、ちょっとしばらく黙っとこう。
藤本名人 スベリ笑い、真骨頂。
夏井先生
この句が今回のキングオブザ凡人。この作者じゃなくても書けるのが、一番の問題。
指摘がいろいろあったが、「とりどりにはずむ」までは何が弾むかわからない。中七までは許容して良い。
問題は「娘ら」の二音。「振袖」とあれば娘、「とりどりに」とあれば複数であることはわかる。
この二音でいろいろとできる。
「けさ(今朝)」なら「今朝の春」という季語で、新年のまさに今日がお正月の春になるという感じ。
「ビル」なら仕事始めで若いお嬢さんが出てくるニュース映像のような感じ。
「村」なら若い人たちが帰省してお正月に帰るから一緒に成人式やっとくかみたいな雰囲気が出る。
たった2音でもこれだけの場面を描くことができる。
本人 先生や名人の皆さんのおっしゃる通りで、平平凡凡な句になってしまった。申し訳ありませんでした。
浜田 でも凡人ですから。
梅沢名人 55点ですもんね。
[ここがポイント]
独自の視点を入れる
添削後
「とりどりに はずむ振袖 けさの春」
「とりどりに はずむ振袖 ビルの春」
「とりどりに はずむ振袖 村の春」
★『プレバト!!』と1位の『東大王』との直接対決
東国原名人 ちょっと一回、どんなの書いたかみんなで見てみよう。不安になってきたわ。
藤本名人 みんなで添削して。
浜田 みんな出してるんやから、志らくはんだけ今から添削はもう無理です。
志らく 日村さんまでは、屁みたいなもんだと思ってた。ここにきて急に。
梅沢名人 東大生に見せてあげましょう。「東大出なくたってこんなに俳句が詠めるんだ」というところを。バシッと、よく見とけよお前たち。
浜田 まあまあ、そんな(負けるなんて)ことはないですよね。
梅沢名人 あり得ませんよ、あってたまりますか!
横尾名人 そうだ!志らくさん、自信もって。
志らく そりゃもう、草野球に負けるわけがない。
梅沢名人 その通り。これ見てビックリしろよ。
◆「懐手(ふところで) 解いて絵馬書く 癌の人」 立川志らく(『プレバト!!』)
【本人談】
能天気に初もうでに出かけ、もの凄く深刻に絵馬をぶら下げている人を見かけた。悪いなと思ったんだけど、何気なくふっと見たらば、「がんには負けない」と書いてあった。それが「生きる」って凄いことだなっていう、神頼みとは言うが目の当たりにして壮絶な感じがしてそれを詠んだ。
梅沢名人 (東大生を指差して)これが俳句だ!お前さんのは偶然にできた俳句だと思うけど、これが考えて考え抜いた俳句。映像が出るでしょ、これ読んだだけで。こうやって懐手(ふところで)して、歩いてきてフッとしてあれっと思ったら・・
浜田 何を言うてんの?
藤本名人 何言うた今?
浜田 今わからへん、「あっときてふっとしてふっ!」
梅沢名人 「癌の人」、素晴らしい。これが映像もちゃんと出てます。素晴らしい!素晴らしい!
東国原名人 攻めてますよね!ただ「癌の人」の表現をどう採点されるか、という所ですね。もうちょっと柔らかくわかるように表現するのか、ストレートにポンといくのか。
浜田 例えば、どういう感じですか?
東国原名人 それはちょっと、わからないですけど。急に言われても。
浜田 村上もそういう意見ですね。
村上名人 全く一緒ですね。
日村 なんだよ、アイツ?マジで。
■査定結果
東大王チームの勝ち
プレバト!!チーム敗北により3級へ1ランク降格
(志らくが悔しそうな表情に、梅沢名人が例のごとく無表情になる)
一同 (拍手)
藤本名人 すごいすごい、すごいわ。光ちゃん、すごいよ。
東国原名人 これちょっと、番組一度解散だね。ミーティング、ミーティング。
浜田 梅沢さんが何階級落ちてもいいとおっしゃってました。
豊崎アナ 凡人でもいいって。
浜田 何ちゅう顔してんねん!正月から何ちゅう顔してんねん!
藤本名人 いくつ落としましょうかね~。
夏井先生
これも決して悪い句ではない。気落ちする必要は全然ない。
「懐手(ふところで)」(和服を着て寒さのために手を引っ込めて懐に入れることを示す冬の季語)から始める。無頼な感じ。
「解いて」で動作、「絵馬」という物、「書く」という動作で畳みかける。最後人物が出てくる。この辺りはきちんと押さえてある。
問題はまさに「癌の人」。この表現が少々固いというか、冷たいというか、少なくとも身内に対してはこういう言い方はしない。
「癌の人」と作者はどういう関係なのかと読者は色々と考え始める。
それで良いのか判断を迷っていたが、作者の話を聞いたらまさに「見ず知らずの人がたまたま絵馬に書いたのを見た」と。それならば、「癌の人」という言い方を選んだのはわかると理解をした。
この句に決して問題があるわけではない。これぐらいのレベルの句は常に特待生たちは詠んでいる。この句も直す必要は全くない。自分の言いたいことをしっかりと持った上で言葉を選んでいるので、直す必要がない。
梅沢名人 じゃあ、何で負けたんだい?
夏井先生
いい質問ですね、おっちゃんね。それが分からないからそこで偉そうな顔をしてるんですね?
梅沢名人 待ってよ。オレは付き人として出てるんだよ。少しは俺たちの顔も立てたらどうなんだい?これのどこが悪いんだ?
夏井先生 だから悪くないって・・
浜田 (かぶせるように)悪くないって言ってるやろ!ボケ~!お前、さっきからコラー!
藤本名人 浜田さん。
浜田 メガネ割るぞ!
夏井先生
先ほどの句との比較をする。
[東大王鈴木光の句]→一瞬にして映像・音・動きが読み手の脳に入ってきて鮮やかに再生されていく。
[志らくの句]→かなり読み込んでいかない。「なぜ癌の人という言い方をしたのか?」「絵馬にどういうことを書いたのか?」「作者と癌の人との関係は?」と。丁寧に読み込んでいけば、作者の言いたいところにはたどりつくが、そこまでに少々時間がかかる。
時間がかかるのはダメではないが、2択でどっちかと言われたら、一瞬の鮮やかさをもつ「青空へ」の句に軍配を挙げざるを得ない。
梅沢名人 深い俳句じゃねえか!
夏井先生 深いって言ってるだろ!
浜田 それは言ってますから。
志らく 先生のはおっしゃる通りです。今の私の心境は(将棋の)藤井聡太に負けた羽生善治ですね。
藤本名人 まだ言うか。それと梅沢さんの降格は?
浜田 なんぼでもええって言ってたじゃないですか。
梅沢名人 落としてもらおうじゃねえか、コンチキショウ!落としてみやがれ、このくそババア!
豊崎アナ 何てこと言うんですか。
→浜田からおでこにビンタ。
→プレバト!!に勝利した東大王チームは落とし玉をGET!
添削なし
編集後記(更新が遅くなりすみませんでした)
1年ぶりの番組対抗戦ということで番宣が目的のため、俳句のレベルには正直期待していませんでしたが、今回はなかなか見ごたえがありましたね。また、得点発表が毎回開示されないのですが、出演者の発言から判明したものだけ記載しています。
1位の東大王チーム鈴木さんの鮮やかな句に、名人衆は絶句していましたが、表記の問題で定型ともとれる作品。この句を見た時、特待生中田さんと同じようなセンスを感じました。平場時代に詠んだ「発車ベル待たずやうさぎ雪の野へ」と今回の句は型がそっくりで、音を前半に季語を後半に持ってくる点も一緒です。また、「柏手のひびく境内梅ひかる」と音に着目した句も詠んでいるので、もしかしたら中田さんの句を"過去問"として使ったのかも。得点もかなり高いですが、今回の結果が偶然だったのかは次の出演があればわかることでしょう。
2位は特番から日村さん。最初に発表され、ランキングシートに上手く移動できず浜ちゃんからパワハラを受ける事態になりました。音が静かになるお正月に中継ヘリの音が感じ取れるということは、地方の有名な神社付近に実家があるということでしょうか。こちらの句も聴覚を刺激する点で芸人らしい視点はジュニアさんと似ている印象があります。
3位は日曜劇場から賀来さん。「そっと」というのが背を優しく叩くイメージがありましたが、「初明かり」がそっと照らすという意味も綺麗な読みではないかと感じました。ただ、2位の「しんとし」と同様にやや説明的で散文的になるため、俳句には使いにくいということでしょうか。
4位は火曜ドラマから深田さん。句全体として特定の年齢を過ぎた女性の心情を細やかに表現していました。名人衆も昔から第一線で活躍する女優にメロメロな感じが面白かったですね。夏井先生の劇的添削に真似できそうにない反応も素直なのが印象的でした。
最下位といえ凡人は「ふしぎ発見」の司会者である東大文学部首席卒業の草野さん。確かに凡人的要素が強い句ですが、華やかさを持った内容でした。先生も前半を許容していましたが、詠んだ人によっては大幅に添削を受けていたかもしれません。
さて、プレバト!!が擁するは志らくさん。今回は絵馬を書いた癌の人をモチーフにしました。文学じみた特有の言い方が志らくさんの特徴でもありますが、今回は描写力が一歩及ばす、深く考えさせる句ということで残念ながら敗北を味わいました。この判断は紙一重な感じを受けましたが、夏井先生は解釈の判断に迷う発言があったので、仕方ない所でしょうか。
名人衆の批評力ですが、優劣をつけるなら 東国原名人>梅沢名人>横尾名人>村上名人≒藤本名人 という印象ですかね。
東国原名人は批評というより分析という印象を受け、大変説得力がありましたね。梅沢名人は雛壇名人の襟を正して堂々とした態度で通常挑戦者にもふるまい、かつ夏井先生にも噛みつくという大仕事。横尾名人は発言は少な目ですが、先生が何より成長を喜んでいる様子でした。村上名人は発言が遅いので説得力のある批評ができない感じ。藤本名人は批評というより他人の発言のオウム返ししかしてないガヤ芸人の印象。10段なんですから頑張ってもらわないと。
今回で卒業の豊崎アナもたまに暴走する浜ちゃんや梅沢名人を止める役割には必要ですね。まさに、それぞれの個性を発揮しており、番組が育っているなという印象を改めて感じました。
ところで、夏井先生は昨年の紅白歌合戦の審査員をノリノリで務めましたが、「チコちゃんは紅に入れて良いの?」と発言して司会者が逆に狼狽えるあたり、本当にまじめに審査しているんだなと改めて思いました。今年も面白い番組を提供してもらいたいですね。
第3回番組対抗戦で出演者が詠んだ俳句を紹介します。
スタジオは冬麗戦のように、挑戦者の全番組が発表待ちシートにまず座り、名人4人が左横で戦況を見守る形式。
出場した6番組と俳句の挑戦者は以下の通り。
日曜劇場『グッドワイフ』 | 賀来千香子 |
火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』 | 深田恭子 |
『世界ふしぎ発見!』 | 草野仁 |
『東大王』 | 鈴木光 |
『消えた天才』 | 日村勇紀(バナナマン) |
『プレバト!!』 | 立川志らく |
※各チーム代表者1名が俳句に挑戦。プレバト!!以外の5チームでランキングを発表し、1位のチームとプレバト!!が直接対決。どちらが勝ったかを夏井先生が査定するという形。
[順位発表順] 2位→4位→3位→最下位→1位
★プレバト!!チームの意気込みと夏井先生の講評
梅沢名人 俳句は志らくさんが。十分です。
志らく こんなアマチュア相手に負けるわけないじゃないですか。
豊崎アナ 負けたら降格ということで、よろしいですか。
梅沢名人 いいんじゃないですか。
志らく いやいや、私が負けたら梅沢さんが降格で。
梅沢名人 結構ですよ。2つでも3つでも全部、何だったら凡人になってもいいですよ。そのぐらい志らくさんで十分。こいつだろ?(バナナマン日村の方を指さす)
浜田 よっぽどの自信ですけど、『プレバト!!』チーム大丈夫ですか。
東国原名人 そりゃそうですよ、言うたら草野球ですよ、あの辺は。こっちは甲子園で優勝レベルですよ。夏井監督に日夜しごかれてるんですよ。昨日今日出た人間に負けちゃダメですよ。
梅沢名人 負けませんよ。ダテになっちゃんに「クソじじい」って言われてるわけじゃないから。
浜田 さあ、先生。皆さんの出来はどうですか。
夏井先生 番組対抗なんで、あんまり期待していなかったんですけど、平均的なレベルはかなり高い。しかも俳句のメカニズムを分かってるなと思う句もあってビックリしています。
浜田 言うてますけど、大丈夫ですか?
梅沢名人 大丈夫ですって!(ゲストに対して)ヨイショしてるだけ、珍しく。番組対抗だから。
→夏井先生は苦笑い。
●お題:初詣のお賽銭
◆1位 才能アリ75点 鈴木光(『東大王』)
「賽銭の音や 初鳩青空へ」
藤本名人 光ちゃん、すごいよ。
浜田 75点はなかなかの点数ですよ!
藤本名人 光ちゃん!
浜田 志らくはんの(東大はダメ)仮説がこれで崩れましたよ。
志らく この人達に勝てるかどうかという自信がだいぶなくなってきました。
梅沢名人 何言ってるんですか、大丈夫ですよ。
【本人談】
静まり返った境内のお賽銭箱に5円玉を投げ入れると音が響いて、それに驚いたように鳩が空へ飛び立っていって願いを空へ届けてくれるようだなと思って俳句を詠んだ。
→出演者から「美しい」の声が上がり、志らくをはじめプレバト!!陣営は無言に。
浜田 お前ら、何かしゃべれよ!
藤本名人 (拍手して)もうお見事。非の打ち所がない。
志らく 負けたかもしれません。だって俳句初めて詠んだのに破調でしょ(8・4・5音のリズム)。これで17音に収めて、言ってることは普通なんだけどもポッと画が浮かんでくるから。頭の中どうなってんですかね~。
梅沢名人 いや、大したもんだ。初めて俳句やったんでしょ?
本人 1回高校の修学旅行で詠んだきりなので。
梅沢名人 それにしたって、あんた。大したもんだわ。
浜田 さっきから「大したもんだ」しか言ってない。
梅沢名人 いろんな情景も音も全部入ってきてるんです。大した娘だねぇ。
浜田 これが出た段階で名人衆が「うーん」言うて。
東国原名人 我々は3年間ね、七転八倒して叩かれながら3年かかってやっとここ(このレベル)に到達した。それを高校時代に1回詠んだだけで何でこんな句ができる? 普段東大王に出してもらって、けちょんけちょんにやられる。今日はけちょんけちょんにやろうかと思ったら・・やられてる。
藤本名人 何で勝てんねんって話に・・。
村上名人 5時間で作ったと言ってたけど、オレ丸三日間くらい考えてる。
伊沢拓司(同じチーム) 初めて見た時にすごいなと思って、音もあるし動きもあるし情景も最後にパッと浮かぶしすごくいいなと思いました。
横尾名人 それを言えるのもすごいな。
藤本名人 そうそう。あと音も感じ取れる。
浜田 パッと言えって、それを。
梅沢名人 俺言ったから!(→確かに言ってました)
藤本名人 言ってないですよ!言ってないよね?
梅沢名人 聞いてないだけだろ。
浜田 言うた?
藤本名人 言ってない、言ってない。
梅沢名人 VTR戻せよ、俺言ってるんだよ。
東国原名人 御大は言いました。小さな声で。
藤本名人 「大したもんだ」しか、言うてない。
志らく 名人たち、見苦しいわ!
藤本名人 言いましたっけ?
梅沢名人 言ったよ、お前が聞いてないだけだよコンチキショウ!
藤本名人 「大したもんだ」しか言うてませんよ。
夏井先生
これは本当に見事。型の力を理解して作っているとしか思えない。
「賽銭」で物や場所が一緒に想像でき、「音」もちゃんと出てくる。「初鳩(はつばと)」(元旦の初詣で見かける鳩)という新年の季語が出て、最後に「青空」という広い背景が出てくる。丁寧に押さえている。
句またがりの形で「音や」が中七に入り込み、カットが切れる。この型も見事に使いこなしている。
名人たちが「音を表現している」と言っていたが、音の表現にも一工夫ある。
中七の「音」はまさにそのままだが、「や」による強調で賽銭の微かな音を強調しておき、カットが変わる。
その後の音は「へ」という助詞が聞かせてくれる。初鳩の羽ばたきの音が被って出てくる。そこが見事。
「や」「へ」の2つの助詞で一句の中に音を響かせている。これはお見事。直しはいらない。
添削なし
◆2位 凡人??点 日村勇紀(『消えた天才』)
「寒空や しんとし偶に ヘリの音」
※初詣の光景からお正月の静かな町の情景へ発想を飛ばして詠みあげた一句。
→ランキングシートへ移動の際に、モタモタする日村に浜田から蹴りを一発かまされてしまう。
【本人談】
場所にもよるが、正月三が日は車も人も全部いなくなって音がシーンとする感じがある。そこに各局のヘリコプターが神社の中継とかで飛んでいると、この世に俺とヘリしかいないような感じを受ける。
梅沢名人 うん、惜しいね。「しんとし」という言葉はあまり俳句では使わない普通の言葉。それを使うぐらいなら「寒空」もやめて季語も考えたほうがいい、他のに。
浜田 どういう感じがいい?
梅沢名人 まあ、今急に言われてもね。
一同 (笑)
梅沢名人 今、季語出ましたよ。「初空や」とか。お正月で俺しかいないんじゃないかというイメージで詠むんだったら。その時は「しんとし」なんて言葉使わない。他の言葉使っとけば1位になったかもしれない。
浜田 だから他の言葉っていうのは?
梅沢名人 いや、急に言われても…。
夏井先生
おっちゃん、エラいエラい!
一番大事な2箇所をしっかり押さえている。ただどうすればいいか言えないのはいつもの通り。
季語を「初空」にするという考えはとてもいい。
お正月にしたかったら立派な季語「初空」にする。これぐらいはすぐに思いついてほしい。
「しんとし」は気になった。確かにしんとはしているが、違う表現にしたい。
「初空」がしんとしているという意味なので、「や」で切らず「の」として続ける。
中七は「深閑(しんかん)」(物事が聞こえずひっそりとしている様子)という言葉に変えてカットを切る。
漢字を続けず、「偶に」は「たまに」と平仮名にする。
ここまでやってくれたら今日は1位の句といい勝負だった。
本人 「深閑」を知らなかったんで。
藤本名人 ふつう知ってるでしょ。
浜田 ウソつくな!ちゃんと言えよ!
本人 このメンツで2位ですから。相当嬉しい。
[ここがポイント]
新年の季語「初○○」
※「初空」以外にも「初晴」「初富士」「初星」「初笑顔」「初電車」「初テレビ」などの様々な季語があります。
添削後
「初空の 深閑たまに ヘリの音」
◆3位 凡人??点 賀来千香子(日曜劇場『グッドワイフ』)
「社にて 父母の背そっと 初明り」
【本人談】
初詣に家族で並び、自分の前にいる高齢の両親への健康への祈りとそっと背中を触りたくなるような感謝・労りを詠んだ。これしか浮かばなかった。
小泉孝太郎(同チーム) 涙腺が緩みました。
浜田 全然、泣いてへんし。
小泉 情景が浮かんだんで僕はすごく好きな句です。
本人 それで十分です。
梅沢名人 これはきついことを言うようですけど、これ俳句の言葉としてはちょっと違う。普通の言葉なんです。これを読んで「あっ良い俳句だな」ということにはならない。イメージとしてはいい。
浜田 じゃあ、どうしたら良いんですか?
梅沢名人 急に言われても。私はこういう句を詠まないから。
浜田 こちらの名人の方々どうですか。言えることありますか?
名人たち ・・・・
梅沢名人 オメエら言えねえのかい!よくオレのこと言えたな!?
東国原名人 梅沢さんの言うように、「にて」が場所を示しているので、散文的というのは正しい。ただ「そっと」は初明りがそっとなのか、何がそっとなのかが伝わりづらいのかな。
横尾名人 でも「初明り」という季語でがお父さん、お母さんへの感謝の気持ちというのはわかるかな、ていうのは。
夏井先生
みんなエライ。大事な所がちゃんと言えてますよ。今回は名人がちょっとずつ批評できるように育ってる感が嬉しいです。
藤本名人 育ってるっちゅうねん!どれだけ育ってるか。
東国原名人 毎週どれだけ厳しいんだよ!
夏井先生
頭の「お社(やしろ)」という場所が出て、「父母」という人物、「背」という部位、「初明り」という季語が最後に。
それぞれの言葉がお互いを邪魔しないで置かれている。これが一番良いところ。
問題点はまさにおっしゃった通り。「にて」が散文的である。
そして「そっと」は作者は父母の背を「そっと」と言ったが、この字面では「そっと初明りが差す」とも読めてしまう。
「そっと」は無くても十分。横尾名人が言ったように「初明り」という季語の中に、父母への感謝や思いやりの気分を感じ取れるのではないか。
微調整。「にて」「そっと」は不要。「父母の」は「ふぼの」ではなく「ちちははの」として詠い出す。
「背に」と場所を示し、「お」を「社」につけて優しくなる。やわらかい光景が映像として浮かんでくる。
本人 素敵です。凄い温かい気持ちにさせていただきました。
小泉 涙腺緩みますね。
→浜田からグーのサインをゲット。
[ここがポイント]
季語の力を信じる
添削後
「父母(ちちはは)の 背にお社の 初明り」
◆4位 凡人58点 深田恭子(火曜ドラマ『初めて恋をした日に読む話』)
「本厄も アラサーも去り 年酒酌む」
【本人談】
昨年は本厄で年女で36歳になりアラサーも過ぎた。今年は本厄もアラサーがも去って寂しいけど、ホッと一息お酒を友達と飲み交わす、ハイ。
東国原名人 僕は完璧だと思いますね。
浜田 汚い。
本人 優しい。
浜田 ちょっと待て、4位よ。
東国原名人 非の打ち所がない。なぜ58点かわからない。
浜田 4位や!(→東のおでこにビンタ)
藤本名人 1位ですよね?
浜田 違うやろ!
東国原名人 僕らだったら完璧に1位だよね。
→うなずく4名人
浜田 ちゃんと言いなさい。
東国原名人 凡人ですわ。「も」とか「も」は真面目に言うと、並列の助詞は使うなら慎重にしないといけない。俳句では17音しかないので、意味が重なるのを嫌うので、「年酒」だけで「酌(く)む」はいらないかな。
夏井先生
決して上手な作り方とは言えないが、作者なりの今の思いが非常に正直に書かれている。それがとても大事なところ。
そういう所をきちんと語るというのが出発点。
季語「年酒」(新年を祝う酒、年始の客に勧める酒)は新年の季語で、お正月に客を迎えて一緒に飲む酒。
「酌む」の問題もあるが、お正月にワイワイという感じなら許容しても良い。
問題は、東国原名人も指摘した「も」「も」「去り」の書き方が散文的な調子。この言い方だけやめれば、自分の気持ちをしっかりと語った良い句になりえる。
言いたいことがちょっと多いので、字余りでリズムを作る。「も」「も」「去り」を削って、要は「さようなら」と言いたい。
「本厄さよならアラサーさよなら」とすれば、「さよなら」の寂しさとホッとした感じが一緒に出る。
しかも、同じ言葉を繰り返すと自ずとリズムが生まれる。
特に最後の「酌む」という欠点にもなりがちな部分も、このリズムによって明るさを最後に生み出す。
これがあなたの気分に一番近いのではないか。
本人 すごい気持ちのいい句になりましたね。気持ちがよくて明るい。
浜田 先生が直した段階で名人チームが「無理無理無理無理!」と。
藤本名人 初めてですもんね?俳句ね~。無理だよね?キョンちゃん。(一緒に出演した横浜流星の呼び方に乗っかるフジモン)
→浜田から頭を叩かれる
浜田 お前、言いたいだけやないか。
[ここがポイント]
リフレインで思いを明確に
添削後
「本厄さよなら アラサーさよなら 年酒酌む」
◆5位 凡人55点 草野仁(『世界ふしぎ発見!』)
「とりどりに はずむ振袖 娘(こ)らの春」
梅沢名人 これはダメだ。
【本人談】
新春の風景で目に付くのはやっぱり晴れ着姿の若い女性。振袖を着ることで心も弾み、その動きも外に弾んだ感じになる。そういう人たちを見ていると高齢の人間からは「幸せ多き人生を送ってください」という思いで見ることができる。
野々村真(同じチーム) これが最下位だとは思えない、最高の俳句だと思います。
浜田 なるほどね、はい。孝太郎のかぶせろよ!(「涙腺緩みますね」)
東国原名人 「ふしぎ発見」という番組は「不思議」が毎回出てくるが、この句には不思議が全然出てこない。つまり、どこで何か読み手をだましてくれるのかな?良い意味で裏切ってくれるのかな?と思いきや、全部普通に。そのままじゃんみたいな感じ。「振袖」は女性なので「娘(こ)」はいらない。「振袖」は弾むもの。無駄な言葉が多い感じがする。
藤本名人 ボッシュートですよね~。
浜田 「ボッシュート」言わなくていい。
藤本名人 いや、「娘」という言葉がいらないのでボッシュートかな~。デデッデデ~。
浜田 村上どうですか?
村上名人 一緒ですね。全部言われたんで。残しておいてくれ。
浜田 全部先に言われた?
村上名人 そうですね、おっしゃった通り振袖が色とりどりであるとか・・・
浜田 (遮って)それじゃあ行きましょう。
村上名人 あの~。
浜田 お前、ちょっとしばらく黙っとこう。
藤本名人 スベリ笑い、真骨頂。
夏井先生
この句が今回のキングオブザ凡人。この作者じゃなくても書けるのが、一番の問題。
指摘がいろいろあったが、「とりどりにはずむ」までは何が弾むかわからない。中七までは許容して良い。
問題は「娘ら」の二音。「振袖」とあれば娘、「とりどりに」とあれば複数であることはわかる。
この二音でいろいろとできる。
「けさ(今朝)」なら「今朝の春」という季語で、新年のまさに今日がお正月の春になるという感じ。
「ビル」なら仕事始めで若いお嬢さんが出てくるニュース映像のような感じ。
「村」なら若い人たちが帰省してお正月に帰るから一緒に成人式やっとくかみたいな雰囲気が出る。
たった2音でもこれだけの場面を描くことができる。
本人 先生や名人の皆さんのおっしゃる通りで、平平凡凡な句になってしまった。申し訳ありませんでした。
浜田 でも凡人ですから。
梅沢名人 55点ですもんね。
[ここがポイント]
独自の視点を入れる
添削後
「とりどりに はずむ振袖 けさの春」
「とりどりに はずむ振袖 ビルの春」
「とりどりに はずむ振袖 村の春」
★『プレバト!!』と1位の『東大王』との直接対決
東国原名人 ちょっと一回、どんなの書いたかみんなで見てみよう。不安になってきたわ。
藤本名人 みんなで添削して。
浜田 みんな出してるんやから、志らくはんだけ今から添削はもう無理です。
志らく 日村さんまでは、屁みたいなもんだと思ってた。ここにきて急に。
梅沢名人 東大生に見せてあげましょう。「東大出なくたってこんなに俳句が詠めるんだ」というところを。バシッと、よく見とけよお前たち。
浜田 まあまあ、そんな(負けるなんて)ことはないですよね。
梅沢名人 あり得ませんよ、あってたまりますか!
横尾名人 そうだ!志らくさん、自信もって。
志らく そりゃもう、草野球に負けるわけがない。
梅沢名人 その通り。これ見てビックリしろよ。
◆「懐手(ふところで) 解いて絵馬書く 癌の人」 立川志らく(『プレバト!!』)
【本人談】
能天気に初もうでに出かけ、もの凄く深刻に絵馬をぶら下げている人を見かけた。悪いなと思ったんだけど、何気なくふっと見たらば、「がんには負けない」と書いてあった。それが「生きる」って凄いことだなっていう、神頼みとは言うが目の当たりにして壮絶な感じがしてそれを詠んだ。
梅沢名人 (東大生を指差して)これが俳句だ!お前さんのは偶然にできた俳句だと思うけど、これが考えて考え抜いた俳句。映像が出るでしょ、これ読んだだけで。こうやって懐手(ふところで)して、歩いてきてフッとしてあれっと思ったら・・
浜田 何を言うてんの?
藤本名人 何言うた今?
浜田 今わからへん、「あっときてふっとしてふっ!」
梅沢名人 「癌の人」、素晴らしい。これが映像もちゃんと出てます。素晴らしい!素晴らしい!
東国原名人 攻めてますよね!ただ「癌の人」の表現をどう採点されるか、という所ですね。もうちょっと柔らかくわかるように表現するのか、ストレートにポンといくのか。
浜田 例えば、どういう感じですか?
東国原名人 それはちょっと、わからないですけど。急に言われても。
浜田 村上もそういう意見ですね。
村上名人 全く一緒ですね。
日村 なんだよ、アイツ?マジで。
■査定結果
東大王チームの勝ち
プレバト!!チーム敗北により3級へ1ランク降格
(志らくが悔しそうな表情に、梅沢名人が例のごとく無表情になる)
一同 (拍手)
藤本名人 すごいすごい、すごいわ。光ちゃん、すごいよ。
東国原名人 これちょっと、番組一度解散だね。ミーティング、ミーティング。
浜田 梅沢さんが何階級落ちてもいいとおっしゃってました。
豊崎アナ 凡人でもいいって。
浜田 何ちゅう顔してんねん!正月から何ちゅう顔してんねん!
藤本名人 いくつ落としましょうかね~。
夏井先生
これも決して悪い句ではない。気落ちする必要は全然ない。
「懐手(ふところで)」(和服を着て寒さのために手を引っ込めて懐に入れることを示す冬の季語)から始める。無頼な感じ。
「解いて」で動作、「絵馬」という物、「書く」という動作で畳みかける。最後人物が出てくる。この辺りはきちんと押さえてある。
問題はまさに「癌の人」。この表現が少々固いというか、冷たいというか、少なくとも身内に対してはこういう言い方はしない。
「癌の人」と作者はどういう関係なのかと読者は色々と考え始める。
それで良いのか判断を迷っていたが、作者の話を聞いたらまさに「見ず知らずの人がたまたま絵馬に書いたのを見た」と。それならば、「癌の人」という言い方を選んだのはわかると理解をした。
この句に決して問題があるわけではない。これぐらいのレベルの句は常に特待生たちは詠んでいる。この句も直す必要は全くない。自分の言いたいことをしっかりと持った上で言葉を選んでいるので、直す必要がない。
梅沢名人 じゃあ、何で負けたんだい?
夏井先生
いい質問ですね、おっちゃんね。それが分からないからそこで偉そうな顔をしてるんですね?
梅沢名人 待ってよ。オレは付き人として出てるんだよ。少しは俺たちの顔も立てたらどうなんだい?これのどこが悪いんだ?
夏井先生 だから悪くないって・・
浜田 (かぶせるように)悪くないって言ってるやろ!ボケ~!お前、さっきからコラー!
藤本名人 浜田さん。
浜田 メガネ割るぞ!
夏井先生
先ほどの句との比較をする。
[東大王鈴木光の句]→一瞬にして映像・音・動きが読み手の脳に入ってきて鮮やかに再生されていく。
[志らくの句]→かなり読み込んでいかない。「なぜ癌の人という言い方をしたのか?」「絵馬にどういうことを書いたのか?」「作者と癌の人との関係は?」と。丁寧に読み込んでいけば、作者の言いたいところにはたどりつくが、そこまでに少々時間がかかる。
時間がかかるのはダメではないが、2択でどっちかと言われたら、一瞬の鮮やかさをもつ「青空へ」の句に軍配を挙げざるを得ない。
梅沢名人 深い俳句じゃねえか!
夏井先生 深いって言ってるだろ!
浜田 それは言ってますから。
志らく 先生のはおっしゃる通りです。今の私の心境は(将棋の)藤井聡太に負けた羽生善治ですね。
藤本名人 まだ言うか。それと梅沢さんの降格は?
浜田 なんぼでもええって言ってたじゃないですか。
梅沢名人 落としてもらおうじゃねえか、コンチキショウ!落としてみやがれ、このくそババア!
豊崎アナ 何てこと言うんですか。
→浜田からおでこにビンタ。
→プレバト!!に勝利した東大王チームは落とし玉をGET!
添削なし
編集後記(更新が遅くなりすみませんでした)
1年ぶりの番組対抗戦ということで番宣が目的のため、俳句のレベルには正直期待していませんでしたが、今回はなかなか見ごたえがありましたね。また、得点発表が毎回開示されないのですが、出演者の発言から判明したものだけ記載しています。
1位の東大王チーム鈴木さんの鮮やかな句に、名人衆は絶句していましたが、表記の問題で定型ともとれる作品。この句を見た時、特待生中田さんと同じようなセンスを感じました。平場時代に詠んだ「発車ベル待たずやうさぎ雪の野へ」と今回の句は型がそっくりで、音を前半に季語を後半に持ってくる点も一緒です。また、「柏手のひびく境内梅ひかる」と音に着目した句も詠んでいるので、もしかしたら中田さんの句を"過去問"として使ったのかも。得点もかなり高いですが、今回の結果が偶然だったのかは次の出演があればわかることでしょう。
2位は特番から日村さん。最初に発表され、ランキングシートに上手く移動できず浜ちゃんからパワハラを受ける事態になりました。音が静かになるお正月に中継ヘリの音が感じ取れるということは、地方の有名な神社付近に実家があるということでしょうか。こちらの句も聴覚を刺激する点で芸人らしい視点はジュニアさんと似ている印象があります。
3位は日曜劇場から賀来さん。「そっと」というのが背を優しく叩くイメージがありましたが、「初明かり」がそっと照らすという意味も綺麗な読みではないかと感じました。ただ、2位の「しんとし」と同様にやや説明的で散文的になるため、俳句には使いにくいということでしょうか。
4位は火曜ドラマから深田さん。句全体として特定の年齢を過ぎた女性の心情を細やかに表現していました。名人衆も昔から第一線で活躍する女優にメロメロな感じが面白かったですね。夏井先生の劇的添削に真似できそうにない反応も素直なのが印象的でした。
最下位といえ凡人は「ふしぎ発見」の司会者である東大文学部首席卒業の草野さん。確かに凡人的要素が強い句ですが、華やかさを持った内容でした。先生も前半を許容していましたが、詠んだ人によっては大幅に添削を受けていたかもしれません。
さて、プレバト!!が擁するは志らくさん。今回は絵馬を書いた癌の人をモチーフにしました。文学じみた特有の言い方が志らくさんの特徴でもありますが、今回は描写力が一歩及ばす、深く考えさせる句ということで残念ながら敗北を味わいました。この判断は紙一重な感じを受けましたが、夏井先生は解釈の判断に迷う発言があったので、仕方ない所でしょうか。
名人衆の批評力ですが、優劣をつけるなら 東国原名人>梅沢名人>横尾名人>村上名人≒藤本名人 という印象ですかね。
東国原名人は批評というより分析という印象を受け、大変説得力がありましたね。梅沢名人は雛壇名人の襟を正して堂々とした態度で通常挑戦者にもふるまい、かつ夏井先生にも噛みつくという大仕事。横尾名人は発言は少な目ですが、先生が何より成長を喜んでいる様子でした。村上名人は発言が遅いので説得力のある批評ができない感じ。藤本名人は批評というより他人の発言のオウム返ししかしてないガヤ芸人の印象。10段なんですから頑張ってもらわないと。
今回で卒業の豊崎アナもたまに暴走する浜ちゃんや梅沢名人を止める役割には必要ですね。まさに、それぞれの個性を発揮しており、番組が育っているなという印象を改めて感じました。
ところで、夏井先生は昨年の紅白歌合戦の審査員をノリノリで務めましたが、「チコちゃんは紅に入れて良いの?」と発言して司会者が逆に狼狽えるあたり、本当にまじめに審査しているんだなと改めて思いました。今年も面白い番組を提供してもらいたいですね。

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