「プレバト!!」で披露された元AKB48 篠田麻里子の全俳句一覧です。
特待生2級 篠田麻里子(しのだまりこ) 合計21句
成績(2023年1月26日時点)<通常挑戦者時代>
才能アリ5回、
凡人3回
<特待生時代>
1ランク昇格3回、
現状維持4回、
1ランク降格0回
●昇格率 42.9%(3/7)第4回炎帝戦予選D4位(最下位)、第4回金秋戦予選B3位
第5回春光戦予選B5位(最下位)
第6回金秋戦予選B4位
ふるさと戦(写真俳句)で
福岡編優勝(PRポスター掲載決定)、京都編5位(最下位)→50音別一覧ページへ →ページ下へジャンプ→
人物紹介◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 | 凡人 | 朝戸風隣家の幟雲揺らす |
2 | 凡人 | 降り立てば煉瓦造りや駅に虹 |
3 | 才能アリ | 波際の異国の瓶と雲の峰 |
4 | 才能アリ | 雪晴れた五時間待ちのテイクオフ |
5 | 才能アリ | 秋の宵独身女とサンマ缶 |
6 | 凡人 | 着膨れの母の手を引きベネチアよ |
7 | 才能アリ | 蝋梅や米寿の鼻腔蕩かさん |
8 | 才能アリ | 引き波を自転車で追う秋夕焼 |
9 | 炎帝④予選D4位 | アイスの当たり棒そっと仕舞う甥 |
10 | 現状維持 | 秋暁に肘掛けで割る茹で卵 |
11 | 金秋④予選B3位 | 秋の夜「黒鍵のエチュード」に挑む |
12 | 1ランク昇格 | ジーンズの聖地「KOJIMA」よ冬の虹 |
13 | 1ランク昇格 | レンズ視る裸足の少女海は冬 |
14 | 春光⑤予選B5位 | 春の闇洗う寿司桶荼毘し祖母 |
15 | 1ランク昇格 | 夏至夜風余ったコーラで煮る角煮 |
16 | 現状維持 | 祖母のもの日付指定の春ショール |
17 | 現状維持 | 万緑や多様性なる人の色 |
18 | 金秋⑥予選B4位 | 山粧ふ三年タグ付き登山靴 |
19 | ふるさと戦(福岡)1位 ※PRポスターに掲載 | 中洲の満月ホークスの白星 |
20 | 現状維持 | ズワイガニ無音の宴50分 |
21 | ふるさと戦(京都)5位 | 天然の若鮎群れて遡上中 |
▼人物紹介「プレバト!!」ではAKB卒業後に女優業に勤しむ中コンスタントに出演。最初は凡人だったが、才能アリを3回連続で獲るなど実力をメキメキとつけている。盛り付けでは先に特待生となっている。
句の特徴は確かな言葉選びによる場面描写力。当初は雲や空に発想して光景を描く傾向が強かったが、最近は人物描写の句も詠んでいる。歳時記を真剣にめくっているようで、表現力も徐々に上達していると先生にも認められている。季語と複数の名詞との取り合わせが多く、情報量が多くなりがちで、難しい言葉を使うがゆえに若い人の詠んだ句と思えないと先生や梅沢名人から指摘されることもある。特待生となってから、固有名詞を入れたり季語を2つ入れたりする挑戦句が目立っている。
句は語順を添削されやすいが、通常挑戦者として全ての回で63点以上と成績も安定しており、発想力や表現力は先生も認めている。
2019年、一般男性との結婚を正式発表し、司会の浜田にも真っ先に報告した。
若手女性として待望の特待生候補と目される中、才能アリを5回獲得。夏井先生から「自身の世界観がある」と絶賛され、遂に通算24人目、女性5人目の特待生に認定された。
産休後となる久々のテレビ出演では、いきなりタイトル戦に出場。勉強していたと自信がある句で臨むも決勝進出ならず。金秋戦予選は3位と健闘するも予選突破を逃し、春光戦予選でも最下位と厳しい結果に。
初の昇格試験は一斉査定スペシャル。特待生の挑戦者として唯一昇格を逃したが、その後は3回連続で昇格を決めた。その後は2回連続現状維持と苦戦しているが、オリジナリティを発揮しており発想力もあるため今後にも期待したい。
2022年9月放送の「ふるさと戦」で地元出身らしい一句で福岡編優勝。添削はあったものの原句は県の観光PRポスターに掲載されることになった。また、2023年1月の京都編では最下位に散ってしまったが、添削次第で1位に上がれる視点の句だった。
●[1] @16/05/05◆お題:端午の節句・鯉のぼり
『朝戸風隣家の幟(のぼり)雲揺らす』凡人3位63点
添削後
『朝戸風雲揺る隣家の鯉幟』
特待生梅沢に「朝戸風」が難しくて句に合わないと指摘されるが、辞書を調べて「キレイ」と感じて意図的に使ってみた表現行為に工夫があると先生に一蹴。「雲揺らす」の描写も褒められるが、季語「幟」では「鯉幟」だと伝わらないと添削された一句。
●[2] @16/06/09◆お題:東京駅と虹
『降り立てば煉瓦造りや駅に虹』凡人2位65点
添削後
『降り立てば煉瓦造りの駅や虹』
上京して東京駅の空に虹がかかり安堵した時の情景を素直に詠んだ句だが、「や」の詠嘆の箇所選びで「煉瓦造り」と「駅」が別物と思われるのが残念。「降り立つや」「駅や」の詠嘆の二択となる。言葉選びの上達を褒められた。
●[3] @17/08/03◆お題:真夏の海水浴場
『波際の異国の瓶と雲の峰』才能アリ1位71点
添削なし
季語や言葉の勉強をして、学生時代の海岸での夏の思い出を詠んだ句。波の音や打ち上げられた瓶の透明感、雲の遠近感を見事に表現したと絶賛され、初の添削なし。自分の表現したいことをきちんと17音で書ける力量を褒められた。
●[4] @18/01/11◆お題:雪晴れの空港
『雪晴れた五時間待ちのテイクオフ』才能アリ2位70点
添削後
『五時間を待ち雪晴れのテイクオフ』
大雪が止みようやく飛び立つ飛行機の乗客の安堵を表現した句。数詞を用いた場面の切り取り方が上手いと評され、散文的な語順により1位を逃したのが勿体ないと季語「雪晴れ」を活かすよう添削を受けた。浜田にも調子が良いと評された。
●[5] @18/09/06◆お題:
秋の味覚[店先のサンマ]『秋の宵独身女とサンマ缶』才能アリ2位70点
添削後
『独身や秋の宵なるサンマ缶』
仕事帰りで独り身でサンマ缶を開けて食べる寂しい情景を詠んだ句。「秋刀魚」をストレートに詠まない発想のずらし方は良いが、主役となるべき季語「秋の宵」より独身女が目立つのが勿体ないと添削され、季語の効果的な演出をすれば1位を獲れたと評された。
●[6] @18/12/06◆お題:
銀座のイルミネーション『着膨れの母の手を引きベネチアよ』凡人4位63点
添削後
『着膨れの母連れベネチアを行かん』
冬に着込みながら母とベネチアに旅行した体験談を詠んだ句。梅沢名人の「上五中七がヨボヨボのババアに見える」という指摘が的中し、若い母親の年齢を想像させ、場所と空間の経過を表す助詞「を」を用いた句に添削された。季語「着膨れ」を活かした発想は高評価。
●[7] @19/02/21◆お題:
春のベランダ『蝋梅や米寿の鼻腔蕩(とろ)かさん』才能アリ3位70点
添削後
『祖母米寿鼻腔を蕩かせる蝋梅』
季語「蝋梅(ろうばい)」は蝋細工のように艶のある黄色い花を咲かせる樹木。花が大好きで米寿を迎える祖母が蝋梅のもつ石鹸を思わせる良い香りを嗅ぐ様子を想像し、とろけるような雰囲気を出すため言葉を調べたと語った句。梅沢名人は「中七の表現が素晴らしいが、自分の事を言っているように聞こえるのが残念」と指摘。先生も、作者が若い女性という事実に驚くが、句は成立しており、「蝋梅」「鼻腔」の取り合わせでにおいを嗅ぐ様子がわかると評価。下五の着地も手馴れていると絶賛したが、手馴れ具合が88歳の人物の句だと勘違いするほどで、「祖母」と対象の人物を明記して誤解のないように語順を添削した。「これだけ作れたら大したもん」と実力を認めた。
●[8] @19/09/12◆お題:
夕方の買い物帰り『引き波を自転車で追う秋夕焼』才能アリ1位▸5級71点
添削なし
季語は「秋夕焼(あきゆやけ)」。才能アリを獲得できなければ筆をおくと語るほどの意欲作。出身の福岡県糸島市は海に面し、学校帰りの自転車から夕陽の見える沖に通った漁船に着目し、通った跡の引き波の白い線と、夕日の赤とのコントラストがロマンティックな印象だったという学生時代の実体験を詠んだ一句。「綺麗にできた」と評す先生は、「引き波」は波打ち際の砂浜をイメージしたと語り、情景を明確に書いてないが「秋夕焼」の光景が断片的に立ち上がるため、逆にこれくらいで良いと解説。「追う」の動作の後に季語が奥行きを持って出るのが良いと褒め、各言葉が互いを邪魔していない上に、一種のムード・抒情があり、「これは褒めて良い」と2回目の添削なしと評価する。浜田の"特待生は?"のお尋ねに対し、先生から「良いレベルで作り続けており、ご自身らしい世界を持っている。(キスマイ)北山君より安定している」と実力を認められ、念願の特待生に認定された。
[ここから特待生として査定]●[9] @20/07/30◆お題:
アイスクリーム売り場『アイスの当たり棒そっと仕舞う甥』第4回炎帝戦予選D4位(予選敗退)添削後
『甥っ子が仕舞うアイスの当たり棒』
季語は「アイス」。親戚で集まった時にアイスを食べたが、甥が当たり棒だったのをそっと隠したという実体験。普通「当たったよ~」と見せるところをそっと隠したところに性格が出ると思い、キュンときたと語った。梅沢名人は「五七五ならリズムが出た」と語る。先生は可愛い光景を切り取った一句と評し、梅沢名人の指摘通りで、調べが掴み取れてないケースの句だと指摘。語順を変えればよく、「そっと」「甥」のどちらかを残す方向性となるが、語った内容から「甥」を残す添削を試みる。「甥っ子」の人物と小さい年齢を先に出せば、作者との関係性も分かり、最後に当たり棒が映像として残ると解説した。解説に素直に反応する本人だったが、初のタイトル戦は予選最下位に終わった。
●[10] @20/09/17◆お題:
たまご『秋暁に肘掛けで割る茹で卵』5級で
現状維持添削後
『秋暁のバス肘掛けで割る卵』
季語は「秋暁(しゅうぎょう)」。アイドル時代の一動作を詠んだ一句。AKB48在籍時、大人数でロケバスで移動する。毎朝、おにぎり2個と卵のお弁当で、卵を座席の肘掛けでコンコンと割る音で「朝が始まるな」と毎回思ったと語った。良い句だと認める梅沢名人は、「『肘掛け』でなく『おでこ』で割るのも遊びで良い」と述べるも、誰からも共感を得られず。「必要な言葉を入れ忘れている」と評す先生は、「バスの肘掛け」だという発想が面白いと褒めるも、字面では食卓の肘掛けで卵を割ると捉えかねないと指摘する。頭で一気にバスの光景を描くべきと指南し、「秋暁のバス」なら生卵をバスの肘掛けで割る状況は考えられないため、「茹で」は不要だと解説した。七五五の形の添削に、本人は「凄い、先生」と納得した。
●[11] @20/10/29◆お題:
ピアノ『秋の夜「黒鍵のエチュード」に挑む』第4回金秋戦予選B3位(予選敗退)添削後
『「黒鍵のエチュード」秋の夜を挑む』
季語は「秋の夜」。ピアノを習っていた本人の一句。「黒鍵のエチュード」は右手が凄く動くためピアニストには難しい曲で、幼少期にこれを弾きたいと思い、一生懸命練習した記憶がある。この時期にどこかで頑張る子がいるだろうという想いを詠んだと語った。藤本名人は「曲名を持ってきたのは良い。ただ『に』が散文的で気になる」と述べ、後者は鈴木光の指摘の台詞をパクったと暴露する。先生は、「秋の夜」と「黒鍵のエチュード」の2つの取り合わせがしっとりとした響き合いを生んだと称賛。しかし、「黒鍵のエチュード」で9音もあり、構成が難しかったと思うと意図を汲み、「黒鍵の」で5音が作れるため、ここから書き始めた方が得だと指南し、語順を整える。「夜」は「よる」ではなく「よ」と読ませ、「に」は「を」に変えた。「を」は時間と空間をという意味で、この難しい曲を秋の夜長に一生懸命練習している様子が「を」で言えると解説。「これが分かるようになれば勝負ができる」と発想の良さは認めた。本人は「凄く勉強になります」と感心した。
●[12] @20/12/03◆お題:
ジーンズ『ジーンズの聖地「KOJIMA」よ冬の虹』4級へ
1ランク昇格添削後
『ジーンズの聖地「KOJIMA」よ冬虹よ』
季語は「冬の虹」。兼題から国産ジーンズ発祥の地を発想。岡山県倉敷市児島(こじま)地区は、日本で初めてジーンズが製品化され、ジーンズの聖地と呼ばれる。コロナ禍でファッション業界が大変だが、それに負けずに頑張ってほしい気持ちを込めた応援句と語った。査定ポイントは季語「冬の虹」を選んだ是非。「難しい二語を使って成功している」と評す先生は、「印象の強い言葉が2つある」と述べ、「聖地」「KOJIMA」の2語をあげる。強い言葉があると句のバランスが難しくなり、固有名詞は季語に匹敵する力を発揮することもあるとポイントを解説。しかし、2語がお互いに抑え合うようにバランスをとり、「冬の虹」に視線を引っ張ることが出来ていると褒める。最後の季語で、大変な状況の中で次の希望として冬の虹を見出しているかのような印象があるとし、季語の選び方も称賛した。中七の「よ」の詠嘆にならい、季語も「冬虹よ」とリフレインするとさらに希望の量が増えると添削はしたが、「この調子で頑張っていきましょう」と本人にエールを送った。見事に初昇格を決めた。
●[13] @21/01/21◆お題:
雪の東京駅②『レンズ視る裸足の少女海は冬』3級へ
1ランク昇格添削なし
季語は「裸足」(夏)と「冬」。兼題から自身の上京時の思い出へと発想を飛ばした一句。AKB48時代、寒い冬の海でグラビア撮影をした時の大変な思いを込め、季重なりだがどうしても「裸足」を表現したかったと語った。査定ポイントは「裸足」「冬」の季重なりの是非。「着地が上手い!」と評す先生は、兼題からの発想の展開に仰天し、良く考えている語順を強く褒める。「裸足」で読む人は真夏を想像し、友達とプライベートな被写体として楽しんでいるに違いないと読み手に思わせる。明るい太陽かと思う瞬間に「は冬」の着地に勇気がいると感触を称賛。「冬」の季語が強く出ているため、季重なりは成功だと褒める。「少女」は楽しい様子ではなく、仕事のような形で被写体となっているのかと想像させると解説。作者の狙いが凝縮され、「本当に見事。この句で感心をしている」と終始絶賛した。連続昇格で波に乗ってきた。
●[14] @21/02/18◆お題:
雲丹の軍艦巻き『春の闇洗う寿司桶荼毘し祖母』第5回春光戦予選B5位(最下位)添削後
『寿司桶洗う祖母を荼毘せし夜の春』
季語は「春の闇」。2年前に死去した祖母の葬式で感じたことを句にしようと思ったと語る本人。親戚一同が集まり、亡き祖母の好物だったお寿司を食べながらワイワイやっていたが、寿司桶を洗った時に何ともいえない感情が湧いてきたと語った。梅沢名人は「ホラーの句。祖母が亡霊で出てきて、寿司桶を洗う光景に読める」と指摘するも、先生は即座に否定。ただ、1割程度の人はおっちゃんみたいなことを言い出しかねないため、誤読されぬように修正を提案し、寿司桶を洗う手元から始めるべきと添削を開始する。上五「寿司桶洗う」で、洗う生身の人を思わせ、「祖母を」の後に「荼毘(だび)せし」と使役表現にすれば幽霊の読みではなくなり、祖母を家族が荼毘したとなると解説。季語も「闇」にホラーっぽさが残るため、「夜の春」として生暖かく優しく残る春を表現。「やろうとしていることは絶対良い。微量の技術を身につけましょう」と本人にアドバイスした。本人は「いつも褒めて下さるんですけど、あと一歩がなかなかできなくて、勉強します」と謙虚に語った。
●[15] @21/05/27◆お題:
コーラ『夏至夜風余ったコーラで煮る角煮』2級へ
1ランク昇格添削なし
季語は「夏至夜風(げしよかぜ)」。昼間に買って余ったコーラを夜の料理に使うとトロトロの角煮が出来るが、凄く美味しくて「夜風」に煮る角煮の香りが乗り、みんながハッピーになるような俳句にしたと語った。梅沢名人は「素晴らしい」と褒めちぎる。査定ポイントは、季語「夏至」の傍題「夏至夜風」を選んだ是非。「生活感の勝利!」と評す先生は、「コーラ」の兼題写真から角煮が出る点に感心したと感触を述べる。歳時記をよく勉強している点に触れ、「夏至夜風」が大判の歳時記にしか掲載されておらず、相当勉強されたと称賛。6月21日前後の「夏至」は昼が一番が長い日だが、やっと夜になって涼しくなるという「夜風」の効果がとてもあったと解説する。最後の着地がしっかりしており、「角煮」が出た瞬間に、明日の食材として仕込んでいるのか、コトコト煮ているのかを想像させ、言葉で匂いを嗅がせるのは大した主婦だと嬉しそうに褒めた。
●[16] @22/02/17◆お題:
宅配便『祖母のもの日付指定の春ショール』2級で
現状維持添削後
『今日届く祖母の形見の春ショール』
季語は「春ショール」。祖母が亡くなった翌年、日時指定で自分の誕生日に祖母が大事にしていた春ショールが届いたが、様々な思いが宅配便とともに届いたのを句にしたと語った。東国原名人は上五と下五が分断されている点を指摘するが、ジュニア名人は良い経験をしている点を褒める。査定ポイントは中七「日付指定の」の是非。「本当に大切な情報ですか?」と評す先生は、17音しかない俳句では盛り込む優先順位を考えるべきだと忠告する。本人の語った「形見」は入れるべきで、上五・下五が離れている語順も損だと述べる。ここで浜田が「形見か」と添削例を呟くが、誰が言ったのか先生に問われると「二階堂君です」とジュニア名人が咄嗟に答え、二階堂も「『形見』だと思います」とあたかも自分の手柄のように答える。先生は「祖母の形見の春ショール」とし、「日付指定」の特別感を「今日届く」として上五を整えた。まさに今日届いたそれがおばあちゃんの形見の春ショールだったという形の添削に感心する本人は「入れたいものが凄く溢れてて、こういう言葉でまとめていくのが句の面白さだなと思いました」と素直に答えた。
●[17] @22/06/30◆お題:
キッチンカー『万緑や多様性なる人の色』2級で
現状維持添削後
『万緑や百の国旗の色いくつ』
季語は「万緑」。キッチンカーは昔に比べて多様性が増えてきたと思い、多様性に焦点を当てて句を考えたと語った。「多様性」を俳句にするのは難しいと指摘する梅沢名人。査定ポイントは「多様性なる」の措辞の是非。「気負い過ぎ」と評す先生は、17音に収めるには大き過ぎるテーマを握りしめてしまった印象だと述べる。作者の意図とは異なるが、多種多様なものでこの世界は出来上がっていることを、何か1つの要素に絞って具体的な映像化をすることを提案する。「万緑や」の後に、「百の国旗」で国旗を映像として見せ、「色いくつ」として、さらに多種多様な色が使われている喩えから、多様性を伝えたいという意図を読者に導く仕掛けが必要だと忠告。最後に「難しいが、やろうとしたことは頑張った」と挑戦を評価した。
●[18] @22/09/08◆お題:
行楽の秋[鎌倉大仏]『山粧ふ三年タグ付き登山靴』第6回 金秋戦予選B4位(予選敗退)添削後
『三たび山粧ふタグ付き登山靴』
季語は「山粧う」(秋)、「登山靴」(夏)。コロナ禍の前に買っておいた登山靴がこの3年間靴箱に眠ったままだが、毎年紅葉は綺麗に彩る段階で、まだまだ今まで通りに登山を楽しめないという寂しい句と語った。先生は、語順は良く、季重なりの挑戦は読み取れるとしながら、セオリーである季語の強弱のつけ方が弱い点を指摘。「三年(みとせ)」が「タグ付き登山靴」にくっつけたのが損で、「山粧ふ」の方にくっつけると、見える光景が変わってくると指南する。3年を指す「三たび」を用いて「三たび山粧ふタグ付き登山靴」と添削すると名人らも思わず唸ってしまう。今年で3年目の山が粧い、そのままの登山靴がぽつねんとそこにある光景に。強弱の付け方は勉強次第でいくらでも出来るようになると先生が忠告した。
●[19] @22/09/22◆お題:
中洲の屋台(福岡県)『中洲の満月ホークスの白星』ふるさと戦②(福岡)1位★
添削後
『ホークスは白星中洲には満月』
季語は「満月」。福岡代表として、一番屋台が盛り上がる日を句にしてみたと述べる本人。中洲の美しい満月に、福岡ソフトバンクホークスの白星を飾る素敵な日に、観光客に盛り上がる日を体感して頂きたいと思ったと語った。ジュニア名人は「PRが上手く街中に貼った方が良い」と述べ、同じ福岡出身の武田鉄矢も「音が聞こえる」と褒めて応援歌を歌い始める。一方、「2位の志らく名人の方が句は上手いが、"写真俳句"ならこの句が1位だ」と述べるはヒール役の梅沢名人。先生は「おっちゃんは、僻んで言っているわけではない」とフォローし、作品の出来は2位に劣る点を認める。ただ、"写真俳句"となった時、「写真×俳句」の掛け算の効果が何倍にもなる作品になったと称賛。語順を逆にすると季語がより残ってくるとし、「ホークスは白星中州には満月」と添削した。先に「ホークス」が出て「白星」で盃を交わし、カメラが引いて中州の満月が映る光景になると解説。この写真の外側にある情報だけで取り合わせをすると、語らなくてもこの「写真×俳句」で何倍もの効果を発揮すると忠告する。1位となったため「福岡県ふるさと俳人」の称号を獲得した本人。黄金のタスキが贈呈され、原句が地元PRの観光ポスターに掲載されることとなった。
●[20] @22/12/15◆お題:
観光バス『ズワイガニ無音の宴50分』2級で
現状維持添削後
『ずわい蟹食む音のみの50分』
季語は「ずわい蟹」。カニの食べ放題の旅行を思い出して詠んだ一句。山ほどあるズワイガニをみんなが無言で食べる様子が凄く面白く、「食べ放題」ではなく「50分」の時間で表現したと語った。ジュニア名人が三段切れの可能性、村上名人は蟹と無言の類想を指摘するも「無音の宴」にオリジナリティがあるとコメントする。査定ポイントは中七「無音の宴」の是非。「臨場感が足りない」と評す先生は、「50分」の具体的な時間にリアリティがあると褒め、勿体ない点を2点指摘する。生物季語は基本的に片仮名表記を使わず、「ズワイガニ」は「ずわい蟹」とすべきと筆を入れる。問題は中七の方が根深いと述べる先生は、「無音」「宴」に言及する。「無音」は、現実的には何かの音はしており、ひたすら「むしゃむしゃ」と静かに食べている音だけがあるはずで、「食(は)む」の動詞を入れて、蟹を無心に食べる音の気分を出すべきだと指南。「宴」と使いたい気持ちも分かるが、「宴」という言葉に甘えず、「無」を誤魔化さず、中七のリアリティーを明確に表現すれば季語が立つと忠告した。3回連続現状維持で、1年半ぶりの昇格とはならなかった。
●[21] @23/01/26◆お題:
春の京都 三条大橋(京都府)『天然の若鮎群れて遡上中』ふるさと戦⑥(京都)5位★添削後
『若鮎を都の水はよろこびて』
季語は「若鮎」。京都の鴨川は天然の鮎が来るほど水質がとても良く、鴨川と京都の良さを写真の中で併せて詠んだ自信作だと語った。村上名人は「若鮎」とあれば「天然の」が不要だと指摘。先生は、写真の川の波に着眼した点を強く褒める。季語「若鮎」に対し「群れて遡上中」が説明的で勿体ないと指摘。"まさか、あの鴨川にも若鮎が上ってくるのか"という意外性の情報が最も重要のため、若鮎の生き生きした姿を描写すべきだと忠告。京都を「都(みやこ)」とし、「都の水はよろこびて」と整えた。京都に若鮎が遡上して春が来る光景に、添削例なら1位だったと評した。本人は「視点がいいって言われたことは嬉しかった」と述べた。
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