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20181115 プレバト!!俳句紹介【朝食の風景】

2018年11月15日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

●お題:朝食の風景

◆1位 才能アリ71点 厚切りジェイソン
息白し 熱いココアと ミシガン湖
※日本の朝食の風景から発想を飛ばしてミシガン湖の朝を詠んだ一句。

【本人談】
僕はミシガン州生まれ。結構な雪国で10月から4月はずっと雪が降ったままで、毎朝とにかく寒い。そのときのミシガン湖を見ながら、朝の最初の一口のホットココアは格別に美味い。

夏井先生
良い発想の飛ばし方だった。語順も良く考えてる
息白し」が冬の季語。息が出るだけで白い。これだけで冷たい冬が描かれる。息を吐いている人物も当然そこには存在する。
「し」は終止形なので、カットがここで切れる。白い息のアップだけ。
そこからカットが切り替わって熱いココアのアップにいく。「息白し」の後なので、「両手で持っているのではないか」という想像も生まれる。
「と」と並列で2つを並べてる。「熱いココア」はかなりのアップ。「ミシガン湖」は広い光景がバーンと広がる。
「息白し」があるため、広い光景が出てきた瞬間にこの湖もひょっとしたら「凍っているのではないか」「雪が降っているのではないか」と想像させると、最終的に季語の「息白し」が再び生きてくる
直しはいらない。

添削なし

◆2位 才能アリ70点 磯野貴理子
新米で 普段の朝が ひかりだす

【本人談】
なんてことないメニュー。鮭と納豆なんて。会話もない夫婦だったけど、新米を炊いたことによって話も弾むというか、色んな物が光り出す。

浜田 それ実話?
本人 あははは!
浜田 笑てるで。
本人 実話と言うか、どこのお宅でもそうだと思って。

岩永 「新米」という言葉と「朝」と「ひかりだす」という言葉の取り合わせがすごく綺麗で爽やかなイメージが浮かんだ。
東国原名人 「新米」で「ひかりだす」という発想が素敵ですね。「で」「が」という助詞の使い方が散文的。その辺ちょっと変えればもう少し上に上がったのでは。

夏井先生

名人さすが。大事な所を見抜いてる。
新米」が季語。今年初めて食べた新米を中七・下五のフレーズで見事に実感を表現した。この素直さが良い。
「新米が光る句」は山ほどある。だって新米は光ってるから
ただ「新米が光る」といってるのでは無く「普段の朝が新米によって光り出す」と言ってるので、言葉上ではベタな関係だけど文脈上はとても詩的な表現
もったいないのは名人の指摘した「で」だけ。「で」は非常に散文的。「新米で」「朝が」という叙述が普通の文章になっていく。
1文字だけ変えていたら今日はこれが1位だった
「で」が違う。何にする?
本人 「新米」?
一同 www
東国原名人 笑いとしては絶好調だな。
夏井先生

これは「や」ですよ。「や」という切れ字はすぐ上の言葉を強調する。「素晴らしい新米だ。何という新米だ」と。カットを切る働きもある。
お茶碗の新米のアップからカットが切り替わって「普段の朝がひかりだす」とい場面に切り替わる。
ここを「や」で切らないといけないとわかり出したら特待生が近づいてくる

本人 ちょっと(特待生)近いんじゃないですか、もうじゃあ?
浜田 近いんかもわからないけど、「や」にした方がええっていうのは分からなかったということですよね?
本人 わからなかった。

[ここがポイント]

「や」で場面を切り替える

添削後
新米 普段の朝が ひかりだす

◆3位 凡人50点 久保裕丈
秋寒の 日に照らされて 朝餉(あさげ)ぬくぬく

【本人談】
外に出ると肌寒くて寂しい季節になってくると、みんなで団らんして朝ごはんを食べている時間がありがたく感じるという気持ちを詠んだ。

岩永 「日」「照らされて」「ぬくぬく」とイメージが被ってるので、頭の良い方なので工夫をすると良い
浜田 なるほどね。お前もそこそこ頭良いからね!
東国原名人 これもね、「秋寒」といえば上がるかもしれない。

夏井先生
この句が今回のキングオブザ凡人。もう誰でも考えるパターン。
名人が言った上五の問題。「の」を「や」にした方がいいのではというのは、まさに正解。
なぜなら「秋寒の日」ときたら「寒い日」と読む人はみんな思う。日差しも寒い。「日」に対して「照らす」がいらないのは特待生が指摘してくれた通り。ここら辺に問題はある。
もう1つの問題は下五の字余りをどうするか。ほんとに凡人の発想の中で、唯一「ぬくぬく」だけが作者のささやかな工夫のような気にさせる。ここを消すと作者の存在がなくなるから、ここの字余りは置いておくしかない。
整える。上五は「」で切らないと意味が流れる。
中七は「日」以外全部要らない。どういう場所か書かないといけない。今の話だと家に日が入ってくる感じでしたね。ひとまず「日の入(い)る居間の」とする。一応、映像として光景は書ける。
発想は凡人なので、直しても凡人の範囲は越えないタイプの句。

本人 (ルミ子に)ティッシュをお貸しいただけますか。
(涙をふくしぐさ)
浜田 泣くな!

添削後
秋寒 日入る居間の 朝餉ぬくぬく

◆4位 凡人45点 小柳ルミ子
忍ぶれど 見上ぐる頬に 紅葉雨
※季語「紅葉雨」にある想いを詠んだ一句。

【本人談】
人に悟られないように秘めていても涙が溢れて来る句。私の愛犬ルルが先日亡くなり、それを想って書いた。

浜田 いや…もう…泣かないで
本人 だから…(泣きそうな顔で)…ごめんなさい。
浜田 いいえ。
本人 ルルのことを語らずしては詠めなかった。だから朝食とは全く関係ないんですけど。

東国原名人 この俳句だと…。ルミ子さん聞いてますか? これではルルが死んだってわからないから。そう書いた方がいい。

夏井先生
これはとにかく作者の話を聞かないと一歩も前に進めない
兼題の写真からなぜ「忍ぶれど」にくるかは、句だけ見た人にはわからない。
日常の朝食の写真見たら、あの写真が作者の心のひだに何かを訴えかけ何かを思い出したという事だけは分かる。
名人の指摘の通り、ルルが死んだ事を書かないと読み手を置き去りにするので、そこだけ入れる。
「紅葉」とあれば「見上げている」。「忍ぶれど」だから「頬」に涙もあるかもしれない。「雨」で濡れると。そう考えると中七がいらない要素
「ルル」と書く。書いた方がルルが喜ぶ。「ルル逝きし日の」と書くだけ。
ルルが亡くなったあの日も紅葉に雨が降っていたと。来年も再来年も紅葉の雨を見るたびにルルを私は思い出すわという。
これだけ泣いてくれる人も初めて。

本人 すごく良いです。毎朝こういう想いになるので、ルルも喜んでると思います。
浜田 静かにしてもらっても良いですか?

添削後
忍ぶれど ルル逝きし日の 紅葉雨

◆最下位 才能ナシ35点 アンミカ(当初は凡人40点)
夫婦して 取り合ふ納豆 ほお緩む

【本人談】
旦那(夫はアメリカ人のセオドール・ミラー)さんが魚を食べれないので、毎朝納豆を食べるけど、写真が家の食卓かと思ったくらい。旦那が納豆の混ぜ方にこだわりがあって、いつも取り分けてくれる。納豆取り分けてくれたら頬も心も緩むじゃないですか。そんな感じ。

東国原名人 夫婦で「取り合う」ってのがケンカしてる感じがする。旦那さんが外国人で納豆混ぜてる景を詠めば愛情が表に出ます。

夏井先生
字面だけ読んだ人は、夫婦でたった1パックの納豆を取り合って、さらにそれを自分が独り占めしてほくそ笑んでいる。ほくそ笑んでいるとしか受け取れません。
浜田 ほくそ笑んでいる。
夏井先生
仲の良い夫婦を描きたかったんですね?もうそれは才能ナシです。
(アンミカのランキングシートのパネルが凡人才能ナシに変更される)
本人 先生、「分け合う」、「分け合う」は!
浜田 変わった。
夏井先生
下五が全くいらない。「ほお」が緩むとか緩まないとかは、場面を書けば読み手が夫婦の表情を想像してくれる。こういうのが全くいらないのがわからないのが、凡人と才能ナシのギリギリのところにいるという証拠。
上五は「して」ではなく「夫」だけでよい。「夫」=「おっと」なら3音だが、「夫」=「つま」と2音で読んだりもする
夫まぜし」と書く。「して」とか言ってる場合ではない。何を混ぜるか。「納豆」とつなげる。
「取り合ふ」んじゃなくてどうするの?
本人 「分け合ふ」。
夏井先生
早く書きなさいよ。「分け合ふ」。
こっちはちゃんとした「妻」を書く。「妻と分け合ひぬ」としてまとめる。
こうすれば、幸せな仲の良いご夫婦が「夫」「妻」を「つま」と読ませながら映像化されていく。

本人 素敵~。

添削後
夫(つま)まぜし 納豆妻と 分け合ひぬ
※本人談の後、凡人40点から減点された

★特待生昇格試験★

岩永 今日が初めての昇格試験なので、良いスタートを切って順調に登っていきたい。

◆「ハロウィンの翌朝 スープと化すカボチャ」 岩永徹也

【本人談】
家でハロウィンの翌朝にスープを作ってもらったことがある。前日のハロウィンの夜まではお化けだったものが、今度はカボチャがスープに化けた感じがして、それを「カボチャ」という季語を使って詠んだ。

東国原名人 よろしいですね。破調(拍数が定型を外れること)ですよね、9音+9音の18音になっているが、「スープと化すカボチャ」というのがスーッと来ますね。この破調で浮き上がってきますね。

夏井先生
この句の評価のポイントはここ「化す」の是非です。

■査定結果

5級で現状維持

理由:「化す」のせいでスープが不味くなっている

本人 そういうことですか。

夏井先生
写真から、洋風のスープに発想を持っていく。しかも、ハロウィンという言葉・場面にいくという発想の飛ばし方は特待生だなと。そこは強く褒めておく。
何が問題かと言うと、これ全部が散文をちぎった形。「ハロウィンの翌日にはスープと化すカボチャです」。「には」「です」を取って俳句の空気に持っていった感じ。
よく考えて。「ハロウィンの翌朝には」という言い方だから、まだハロウィンので、「翌朝にはスープと化すカボチャ」が今ここにあるという表現。
これを今目の前にちゃんとスープがあるという書き方にすると季語「カボチャ」も活きてくる。
今回は動詞を全く使わずにその光景を描く。「化す」を消す。「翌朝」を「次の日」とする。「次の日のスープはハロウィンのカボチャ」。
「次の日」だと昨日がハロウィンだったんだ。次の日である今日のスープは、昨日のハロウィンのカボチャがこのスープになって化けた
スープは美味しそうに読み手の目の前にあるということになる。

[ここがポイント]
食べ物は美味しそうに
※季語でもある「カボチャ」を美味しく感じられる句になっているかどうかで読み手に伝わる印象も大きく変わってきます。

添削後
次の日のスープ ハロウィンのカボチャ

★永世名人への道★

◆「炊き出しや 並べば遠き 秋の雲」 東国原英夫

【本人談】
これは災害ではなく、生活貧窮者や困窮者を想像してください。炊き出し「」で切る。炊き出しの風景があってそこに並ぶ。「遠き秋の雲」は自分の過去だったり故郷だったり。自分は炊き出しに並んで一体何をやってるんだろう。これからの生活どうなるんだろう。ちょっと雲を見ると故郷や家族を思い出す。

夏井先生
この句の評価のポイントは「や」の是非です。

ジェイソン やっちゃった?
浜田 散々みんなに「や」が良いって

■査定結果
名人10段★1へ1つ前進

理由:ファーストカットの画力

夏井先生
「や」を思い切って使ったなとホントに褒めたい
平場の皆さんならここはだいたい「」にしたくなる。「に」にしたから意味が通じないわけではない。むしろ通じやすい。
「炊き出しに並べば」だとずるずるずると1つのカットで画が続く感じになる。
」で切るとどんな効果があるか。頭にイメージを浮かべてほしい。「炊き出し」と強調されると大きな渦に注いでいる大きな杓子とかおたまとか見えてくる。カットがここで切り替わり「並べば」とくる。そうすると広い光景にカットが変わる。この編集効果が「や」1つで生まれる。
言葉で映像を描くという意味がはっきりわかっている。さらに褒めないといけないことが沢山ある。
「並べば」は、「並んで」でも意味は通じる。「並べば」は3種類の意味がある。
(1)原因理由:並んだので~ (2)偶然条件:たまたま並んでみたら~ (3)恒常条件:並ぶときはいつも、常に~
(3)の解釈を選べば、「遠き秋の雲」を見上げているこの人が、どんな境遇で並ぶときはいつも遠い秋の雲を見上げるのか。
心情を読み手は想像し始める。そうなってくると、ご本人も語ったように被災地というよりは生活困窮者という対象の人たちに向かっての炊き出しではないかと。そこまで読み手はきっちり読んでくれる。
これをやれるのが名人です。

添削なし

編集後記
今回は朝食の風景でしたが、「鮭」は秋の季語、「納豆」は冬の季語であり、どのような季語と取り合わせるか、また切れ字の効果についても勉強になる回でした。
1位の句は外人らしく海外に発想を飛ばすスケールの大きさが良かったですね。ココアとミシガン湖を並列させる大胆さも秀逸でした。以前も春香クリスティーンさんが「はや6年遥かスイスや古都は雪」で才能アリを獲得していますが、冬と海外の取り合わせは良い発想に繋がりやすいのかもしれません。
2位の句は言葉は普通ですが、「新米」によって「朝の光景がひかりだす」というベタではない取り合わせが褒められていました。ただ、本人がもう少し勉強してもらわないと、特待生としては時期尚早すぎるようですね。
3位の句はキングオブザ凡人と言われていましたが、結局「朝餉」しか画に残らないのが残念な印象。綺麗に詠もうとする人ほど陥りやすいミスにも思える典型例でした。
4位・最下位は「頬」がとにかくベタ過ぎました。この番組で「頬」を使って詠んだ句は24句になりますが、そのうち才能アリはわずか2句です(梅沢名人の「頬紅き少女の髪に六つの花」と鳥越俊太郎さんの「五歳児の頬の産毛や風光る」)。最下位の方は凡人から下げられてましたが、伝えたいことと出来上がった句に大きな差異があると容赦なく減点されます。最近の流行ですね。
さて特待生昇格試験は明暗分かれる結果に。
特待生認定後19週と最も長いスパンをかけて初査定に臨んだ岩永さんは残念ながら「現状維持」でしたが、ポイントは3つ。1つ目は散文的。2つ目は「化け」が不味い印象に。3つ目は当日か翌日かの時制の不明瞭。個人的には1つ目が最も致命的だったのかと感じました。2つ目については、夏井先生は「食べ物は美味しそうに」書かないと昇格させませんという姿勢の表れを感じます。過去にも梅沢名人のまくわ瓜の句でも同じ理由で現状維持でしたし、某俳句雑誌の夏井先生の連載企画にも同様の兼題で募集がありました。
そして東国原名人は、一見平凡とも取れる句にも思えましたが発想の仕方はやはり東ワールドでしたね。「や」という切れ字の使いどころ、以前の志らくさんの句の添削例に使った「~めば」という読み手に意味を委ねる語の選択。日本語の効果をかなり勉強して使っているのがわかります。夏井先生とも読み方はシンクロしていましたね。一歩前進して次の出演もすぐとのことですが、果たして二歩目にいけるかまた振り出しかで今回の苦労が意味を持つか水の泡と化すかが決まるので次回に注目です。

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コメント

No title

外国人の1位はパックンさん以来ですね。
外国人おそるべし、ですね。

そして、2週連続で凡人→才能ナシへの減点がありましたが、このパターンはおそらくこれで4人目(加藤茶さん、高橋ひとみさん、森公美子さん、そして今回のアンミカさん)ということになるのでしょうか。
個人的にはほお緩むが一番致命的なのがすぐ分かりました。ちょうど昨年に二階堂さんが使ってましたね。

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