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【金秋戦予選】20180927 プレバト!!俳句紹介【紅葉】

2018年9月27日放送 プレバト!! 俳句金秋戦予選結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
秋の季節に行われる第2回金秋戦・予選で特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
上位3人のみが名人が参戦する金秋戦・決勝に進出できます。

●お題:紅葉[こうよう]の絶景(順位クリックでリンク内移動します)
1位石田明(NON STYLE)2級紅葉ふるコントラバスを弾くはやさもみじふるこんとらばすをひくはやさ
2位千原ジュニア3級750ccのアクセル戻し紅葉踏むななはんのあくせるもどしもみじふむ
3位中田喜子1級耳すます闇の羽音や紅葉谷みみすますやみのはおとやもみじだに
4位岩永徹也5級千本鳥居紅葉辿りて神隠しせんぼんとりいもみじたどりてかみかくし
5位ミッツ・マングローブ3級色ながら散る今夜から横恋慕いろながらちるこんやからよこれんぼ
6位千賀健永(Kis-My-Ft2)1級地球の血潮ぞ足下の紅葉谷ちきゅうのちしおぞそっかのもみじだに
7位三遊亭円楽2級老いてなほ色変えぬ松芸の道おいてなおいろかえぬまつげいのみち
最下位柴田理恵5級主人なき庭に満天星紅葉燃ゆあるじなきにわにどうだんもみじもゆ
[順位発表順] 7位→5位→3位→最下位→6位→1位→4位→2位

※今回は過去最多13名の名人特待生が参加するため、予選と決勝の2回に分かれて行われる。
予選では特待生1~5級の参加者8名が同じお題で俳句を詠み、上位3名のみが決勝に進出。
決勝では名人5人と予選通過者3名の合計8名が予選とは異なるお題で俳句を詠み、タイトルを争う。


★名人の予選1位予想
藤本梅沢村上東国原横尾
千原ジュニア千賀千賀石田千賀岩永

千賀 うれしーい。
梅沢名人 お願いしますよ。
横尾名人 (千賀は)感性が鋭いので、当たればホームランなんで。
藤本名人 三振かホームラン。最近は三振ばっかりやけどね!
東国原名人 (石田の)才能が開花するとスゴイですよ。去年の炎帝戦で「喧騒の溽暑走り抜け潮騒」。あの破調が2位だった。
浜田 よく覚えてますね?
東国原名人 あの才能が出たら確実に1位ですよ。時々出るんですよ。漫才はちょっと下火になってるから。
石田 誰がや!全部(相方の)井上のせいや
浜田 言わんでエエねん!
石田 いやいや、「言わんでエエねん」って言ったら本当にそうなるから

○順位別に見ていきます

1位紅葉ふる コントラバスを 弾くはやさ」 石田明(NON STYLE)(決勝進出)

【本人談】
紅葉が降っている動きを想像すると、弦楽器を弾いているような動きではないか。
中でもコントラバスは大きいので、よりゆったり。弾くのに大きなストロークがあり、ゆっくりなんだけどたまに速くなったり。
コントラバスの音の重厚感みたいな風景を感じ取った。

東国原名人 やっぱりこれがあるんですよ。持ってるんですよ。最近漫才が調子良くないから
本人 なんで1回褒めたら1回ディスるんですか
東国原名人 コントラバスを持ってくるのが効いてますね。

夏井先生
良い句だよ。「誰だろう?」と思ってたんですよ。あなたでしたか。人は見かけによらない。素晴らしいです、ほんとに。
本人 なんでみんなディスって来るんですか
夏井先生
本当に素敵な句。「紅葉ふる」という静かな光景・映像から始まる。そこに「コントラバス」という楽器が出てくる。
その瞬間にこの紅葉降る光景にコントラバスの音が重なってくる
それを「弾く」音なんだなと思ったら「はやさ」と持ってきて、ここで一句の意味が全部わかる。
紅葉が降っているよ。その紅葉が落ちてくるスピードは、コントラバスを弾くようなその速さで落ちてくるよ。」
最後で頭の「紅葉ふる」に戻り、季語を主役に立てる仕掛けがある
もう一つ褒める。「ふる」「はやさ」を平仮名にしている。「紅葉」ふるという主役、それから「弾く」という動きを見せることで速さを意識させる。
素晴らしい。あなた知らないうちに俳句作って勉強して、本当に素晴らしい。
ささやかな感動を覚えました

添削なし

2位750ccの アクセル戻し 紅葉踏む」 千原ジュニア(決勝進出)
750cc(ナナハン)とは、排気量750ccの大型バイクのこと。

【本人談】
ツーリングで走ってたら紅葉が綺麗で、落ち葉にメチャメチャ タイヤを持っていかれてスゴイ滑る。
スピードを落としてゆっくり峠を走っていくという。

藤本名人
 あれ?前にもよく似た俳句詠んでなかったっけ?
梅沢名人
 詠んでる詠んでる。
特待生昇格を決めた「750ccのタンクにしがみつく寒夜」を指摘。
藤本名人 ナナハン好きやな~。中3やん!
本人 
持ってるのがナナハンやからエエねん。
藤本名人 
メッチャナナハン出してくるやん
本人 
お前もようソーダ水」出すで
→番組対抗戦で詠んだ「マンモスの滅んだ理由ソーダ水」を指摘。
藤本名人 違う違う、1回や。
本人
 お前、ソーダ水とセイウチしか出さへんやん。
昨年の炎帝戦優勝句「セイウチの麻酔の効き目夏の空」を指摘。
藤本名人 
どっちも1回や。
梅沢名人 
ジュニアらしいですね。これはジュニアにしか詠めない。東さんに段々似てきた。この感性はこれから気を付けないと。僕らにはこういう感性ないから。
藤本名人 ナナハンの俳句を詠ませたら右に出る者はいないナナハン俳句の本出したらいいねん。

夏井先生
素材そのものに現場証明がある。確かにこの人はこういう体験をしたに違いないという手触りのようなものがある。
俳句においてとても大事な事。自分が実際に経験したことから取材をするとそこに新鮮な材料が必ずある
そこを謙虚にやっていることを褒めたい。
ちょっと気になったのは、最後に「踏む」が来る語順。最初に「750cc」があるので、「750ccに乗っているという句だと思ったけど、人間?」と750ccに縁のない方に「え?」と思われてしまう。
「踏む」の動詞と「750cc」をもうちょっと近づけた方がオートバイ知らない人には親切かなという感じ。
やり方はいくつかある。
例えば「アクセルを戻し750cc紅葉踏む」と時間軸で持っていってもよい。
もう一つ。「紅葉踏む750ccアクセルを戻し」とひっくり返す。踏んでいるのは750ccだとわかる。しかも、スピードが落ちている感じの映像が見えてくる。倒置法で、「さっきアクセルを戻したことで今紅葉を踏む750ccがここにある」と。

本人 直された方をナナハン俳句本に書きたいと思います。
藤本名人 出すんかい!

添削後
アクセル 戻し750cc 紅葉踏む(時間軸)
紅葉踏む 750ccアクセル戻し(倒置)

3位耳すます 闇の羽音や 紅葉谷」 中田喜子(決勝進出)
紅葉の観光地の夜に発想を飛ばした一句。

【本人談】
紅葉で有名なお寺の宿坊に泊まって、深夜に「バタバタ」と羽音がして気味が悪くて耳をそばだてているという俳句。

梅沢名人 これは良い句。ただ「や」というのが、読んでいくときにあそこでひっかかる。あれが「や」じゃなかったら1位だったと思う。俳句ってそういうものなの。
藤本名人 「や」じゃなかったら?
千原ジュニア 
何やったら?
梅沢名人 何だったらと言ってもね…。
千原ジュニア おかしいねん。
浜田
 それを言わないと!
藤本名人 毎回言わないよね。
浜田 「や」じゃなかったら何ですか?
梅沢名人 今見てね、読んでね。あれが「や」じゃなかったら、もっと上行ったんだろうな…。
浜田 
じゃあ村上言ったれ!
村上名人
 「や」じゃないやつ?えーーーーーーー?だって「や」で良いと思ってるんだもん。

夏井先生
この句の一番作者の意図がはっきり出たポイントは中七の「や」です。これは大事な押さえ。
これを何かに変えようなどと誰かがおっしゃってた(梅沢名人)がここは「や」です。
「や」はすぐ上の言葉を強調する。「羽音」を強調する働きが一つ。それから強調した後に全然違う映像にカットが切り替えられる働きもある。
「や」で作者は何を狙ったか。闇の中の羽音に紅葉谷とくるので、見えない谷の紅葉を暗闇の奥に見せるという工夫が「や」の切れ。
ここをダラダラ続けると、作者の意図は半減以下になる。そうだよね、中田さん。
本人 はい、そうです!
夏井先生
それは読み取れますよね。この句の問題点は他にある。
「耳すます」という言い方。「耳すます」と中七の「音」が説明的なベタな関係になる
上五を消して動詞を一つ入れたらいい。しかも、今あなたがおっしゃいました。
本人 そばだてる?
夏井先生 そうです!
本人 あ~!(両手を広げて)
藤本名人 
嘘みたいなリアクションしますね。あ~!って。
夏井先生
「欹(そばだ)てる」というのは注意をして聞いたり見たりするという2つ入る。これを使う効果をあなたの句は持っている
聞こえてくる羽音に"耳を欹てる"。そして闇の中の紅葉谷に"目を欹てる"。注意深く見る。
これをやってたら順位はゴンと上がる。

浜田 
ご自身でおっしゃったことですからね。
本人 
そうなんですけど、なかなかそう詠めないんですよ

[ここがポイント]
「欹(そばだ)てる」で情景が鮮明に

添削後
欹てる 闇の羽音や 紅葉谷

◆4位「千本鳥居 紅葉辿りて 神隠し」 岩永徹也

【本人談】
稲荷大社(神社)を歩き、紅葉を追いながらくぐっているとどんどん知らない場所に来て神秘的な感じが「神隠し」という言葉とピッタリだと思って詠んだ。

村上名人 良いですけどねー。何かが足りないんですよね?3位よりも良くなかったと。
梅沢名人 3位よりも悪いから4位なってるんだよ。
村上名人 怒んなくてもいいじゃない
!何で「良いものを良い」って言って怒られるんですか?

夏井先生
何か言えよ!と思いました。
この句の一番の工夫は、「紅葉」「鳥居」という違う種類の赤を一句の中に入れて、なおかつ映像として描こうとしている
「紅葉」の赤と「鳥居」の赤を一緒に入れて両方を際立てる。これはなかなかのチャレンジ。
もったいないのは、「千本鳥居」と「紅葉」の位置が近い。一行で書いた時に、赤がバンバンと続く
この句の一番良い意図がたったの語順だけで消されている。もったいない。
「鳥居」と「紅葉」の位置をちょっと離してやる。簡単に離すことができる。
「千本鳥居」を辿るんでしょ。「辿り」「紅葉の」とする。
それぞれの色が際立った色として見えてきて最後の神隠しという作者の感じた世界も捨てないで表現できる。
今日は惜しかった。

本人 最下位と同じですよね、4位って。決勝に行けないんで。 
浜田 すごい考えやな。
千賀 ケンカ売ってんのか?
藤本名人 嫌味っぽかったな。さらっと。
村上名人 4位を喜ぼうよ。

添削後
千本鳥居 辿り紅葉の 神隠し

◆5位「色ながら散る 今夜から 横恋慕」 ミッツ・マングローブ
紅葉の風景から叶わぬ恋心を抱く女性の心情に発想を飛ばした一句。

【本人談】
今回はノンフィクション。5年くらいずっと片思いをしていた男がこの間結婚した。季語を考えたときに、「色ながら散る」(紅葉しながら散る様子)という秋の季語が良いと思って、落ちてもなお散ってもなお煌々と燃えている思いを込めて句を書いた。

東国原名人 ミッツは恋愛の詩が多い。そのたびにゾッとする。この季語は素晴らしいですね。
藤本名人 僕も「色ながら散る」という季語をよく勉強しましたね。そこは評価しますよ~。

夏井先生
「色ながら散る」という季語を名人の皆さんは本当に知ってたのか怪しんでるんですけど?
藤本名人 知ってるに決まってますやん!
夏井先生 
「色ながら散る」は何の傍題ですか?
藤本名人 すみません。傍題って何ですか?
ミッツ メインの季語があって、その類季語みたいなもの。
夏井先生 その通り。メインの季語があって、メインの季語の横に「色ながら散る」という傍題(季語の類義語や形を変えた言葉)がある。
藤本名人 「紅葉」でしょ。「紅葉」でしょ。
夏井先生 違います!
東国原名人 ハメた。
藤本名人 ハメられた!小っちゃい声で(東国原名人が)「紅葉」っていうから。
千原ジュニア 梅沢さん!ズバッと言ってください。
梅沢名人 私は正直に言いますよ。「色ながら散る」は知りませんでした。
藤本名人 もっと申し訳なさそうに言って。何なんすか。
梅沢名人 俳句じゃなくてこれは詩だと思ってます。
藤本名人 いやいや。話すり替えてますやん。傍題ですやん!
梅沢名人 だから「色ながら散る」は知らねぇって言ってんじゃない!
ミッツ 言っていいですか?「紅葉かつ散る」の傍題。
夏井先生 偉い。その通りです。
秋の季語「紅葉かつ散る」というのが主たる季語としてあって、その横に「色ながら散る」という傍題がある
紅葉というのは色づきながらかたわらで散っていくという時間と映像を一緒に含んだかなりマニアックな季語。
勉強しているのは本当に褒めたい。
この句のもったいないところはバランス
「色ながら散る」という傍題は名人ですら知らなかった。パッと読んだ時にこれが季語だとわかりにくい。
読み進めていくと、最後の「横恋慕」が強く主張してしまう。そうなると季語が色褪せてくる。その強弱の問題
もう一つ。「から」もちょっとしつこい。今夜から永遠に横恋慕したるで!みたいな。
本人 思い続けますよ!
夏井先生 本人はそうだろうと思うけど、作品としては…
本人 ぶち壊してやる!
夏井先生 「色ながら散る」は一回「や」で強調する。ここから柔らかく。本人の思いはわかりますが。
「今夜」は「今宵」に変える。「今宵の横恋慕」とすると、少し「横恋慕」のトーンが落ちる。
「今夜から横恋慕」だと思過ぎて辛い。ちょっと柔らかくなる。こうすると順位が微妙に変わる。

本人 (相手に向かって)絶対 結婚式の招待状送ってこないでね!
藤本名人 こわ!

添削後
色ながら散るや 今宵の横恋慕

◆6位「地球の血潮ぞ 足下の紅葉谷」 千賀健永(Kis-My-Ft2)

本人
 待って待って?現実?
藤本名人 新しいIKKOさんみたい。
本人 げんじつ~!(IKKOのまね)
浜田 期待してる人間おったのに6位って。

【本人談】
崖の上から紅葉谷を見たときに、地球が割れて地球の中から血のように湧き出てる紅葉谷をストレートに表現した。

藤本名人 いや、地球って。オーバー! 
いやもう何?まぼろし~!(IKKOのまね)

夏井先生
良いところも十分にありますから。
一番の工夫は後半。「足下の紅葉谷」という言い方で高低差が表現できる。ここら辺が良い。
問題は前半。
本人 いや、一番そこがポイント。
夏井先生 大体ね、本人がポイントって言う所が一番こけるもと。大体そういうもん。

「地球の血潮」は比喩として大げさすぎ。どう考えても。それは藤本さんのおっしゃる通り。
「地球の血潮」が主役になって、季語を含む後半の素晴らしい工夫が損をする。ちょっとだけ前半のトーンを薄めよう。
「地球」ではなく「地」として印象を弱める。「噴きし」として、「血潮」は許すというか歩み寄る。これ消したくないでしょ。
「血潮」は「ぞ」と強調しないで、「か」ぐらいに。「か」とすると、「血潮だろうか?いやそうではないぞ?紅葉ではないか?という風になる。
ここからもうひと押し。「足下の」にすると微妙に緩む。これは非常に迫力のある句、大きな光景を詠んでるので、ひっくり返す。
「紅葉谷足下」と畳み掛ける。「地の噴いた血潮でしょうか?いやそうではない、紅葉谷ではありませんか?」となり、光景が出た次の瞬間足元から崖が落ちるような迫力になる
これやってたら3人の中に入ってたかも。

藤本名人
 これは出来ないよ。
本人 そっかあ…。
藤本名人 何か出来るみたいな感じやめてもらっていい?もうちょっとやったら出来るみたいな?

[ここがポイント]

ダイナミックに映像を描く

添削後
地の噴きし血潮 紅葉谷足下

◆7位「老いてなほ 色変えぬ松 芸の道」 三遊亭円楽
「色変えぬ松」とは晩秋に木々が紅葉・落葉する中松が緑でいることをたたえた言葉で、秋の訪れを印象付ける季語。

浜田 うなぎ効かず!うなぎ師匠お疲れ!(夏井先生への賄賂としてウナギ三枚のうな重を送っていた)
梅沢名人 スタッフが多いから。(ウナギ)4枚はなきゃ

【本人談】
もうすぐ桂歌丸師匠(享年81)の百箇日。芸の道は案外曲がりくねっているけど、あの師匠は一本気でまっすぐ歩いていた。年をとっても高座を務めてらっしゃった。
季語は大事だと思い、調べたら「色変えぬ松」があった。ふっと歌丸師匠と結びついて、「老松」で詠んだ。

梅沢名人 
非常に良い句ではあるんですが、これでは落語家の人の俳句には詠めない。誰のことを詠んでるのかな?ちょっと迷ってしまう。もしかしたら、これ梅沢富美男かもしれない。300年に1人の役者。
浜田 いえいえ、5年。
本名人 3年
に1人。
梅沢名人 なんか、落語家さんだとわかる言葉を入れたら順位が変わってたと思う。

夏井先生
おっちゃん、エラい~!おっしゃる通りですよ。
でも今、作者がわかってそういう事かと思ったら大きな共感を抱きました。
追悼の思いを伝えることができるのも俳句。
しかも、「色変えぬ松」という季語がまさに歌丸さんのイメージを伝える季語と判断したのは見事な選択だと思う。
あっさりと添削するのであれば、「なほ」が説明になっているので消し、「老いて色変えぬ松あり」でしっかり切って、「芸の道」とするのも1つの方法。
でも今「歌丸さんに捧げたい」ということがわかったら、もう少し手を入れたくなった。それがまさにおっちゃんが指摘した所。
落語家だとわかる言葉を補う。そうなるとどこか言葉を省略する必要があるが、「老いて」がなくても「色変えぬ松」にその気分を込めることができる。他の所で言えるので外す。
落語家らしい言葉を1つ入れる。例えば「高座」という言葉を入れてみる。「色変えぬ松」を上五で大きく置いて、「高座に」とすると落語家さん系の方だとわかる。亡くなったことも表現したいので「遺す」まできたらどうか。
もう一声いきたい。遺す物を1つ。「これは落語家だ」と象徴するもの下五に入れてみる。
高座に使う扇子を”かぜ”と言いますか?
本人 "かぜ"です。かぜとまんだら。
夏井先生 ああ、いいですね。「扇子」と書いて"かぜ"と読みます。「扇子一本」と書きます。
一同 あぁ~!!
梅沢名人 いい!
夏井先生 「色変えぬ松高座に遺す扇子(かぜ)一本」
(拍手)
藤本名人 ノってるね~!今日。なっちゃんノってるね~!
夏井先生 こうすると、歌丸さんは満足して下さると思う。化けて出ないと思う。

本人 これね、私の辞世の句にしよう。
藤本名人 歌丸さんに捧げたヤツでしょ?

[ここがポイント]

対象者を明確にする言葉を

添削後
色変えぬ松 高座に遺す 扇子一本(かぜいっぽん)

◆最下位「主人なき庭に 満天星紅葉燃ゆ」 柴田理恵
秋の季語「満天星紅葉」とはドウダンツツジの葉が紅葉すること。

【本人談】
散歩していたら、いつも庭を綺麗にしているおばあちゃんがいた。あるとき「最近 庭がバサバサになってるな…」と気づき、「おばあちゃん病気になったのかな?」と思ったその庭にドウダンツツジの花が綺麗に紅葉していた。

村上名人
 これはもう定番。”あるある”です。
浜田 何の"あるある"?
村上名人 燃やしちゃダメなんです。(「燃やす」はありきたり)
東国原名人 去年の金秋戦で「紅葉燃ゆ」が上五で優勝した。「紅葉」に「燃ゆ」を使う覚悟が必要なんですよ。相当覚悟を持って「これは言い切る」という形でやらないと「紅葉」と「燃ゆ」は合併させちゃいけない。

夏井先生
みんなが言ったように、問題点の1つが「燃ゆ」。
東国原さんが言った「覚悟を持って使う」というのは良い言葉。俳句でやっていけないことは何一つない、何をやってもよい。
ただ、常套的な使い方が機能するかどうか、しっかりと考えた上で「ここは燃ゆしかない!」と自身を持って言える時に思い切ってやる。
もう1点は「主人なき」。俳句の世界でこういう発想の句は結構ある。「ご主人がいなくなった」から「転勤した」から「亡くなった」から、庭が荒れてきましたね、という発想。
「主人なき」と説明せず、せめて映像に。今、本人がおっしゃいました。この庭はどんな庭ですか?
本人 荒れてます。
夏井先生 その通り。それだけ入れればいい。荒れ兆す」は荒れ始めたという意味。「荒れ兆す庭の」とし、最後「燃ゆ」は「かな」で詠嘆。
これぐらいで、ちょうどいい分量になる。

本人 勉強になります。「紅葉」と「燃ゆ」が常套なんだとか。
梅沢名人 私、はじめに言いましたよ
本人 そうなのよ。一番最初に言ったから…。
梅沢名人 私、東さんの前に言いましたよ
本人 わかってる。
浜田 ホンマ?
梅沢名人 私は言いましたよ
藤本名人 自信あるならもっと大きな声でハッキリ言いましょうよ!
梅沢名人 はっきり言いましたよ。ああいう映像を見ちゃうと発想を飛ばさないと、「燃ゆ」とか何とか「散る」とか何とか…。
浜田 (さえぎって)残っているのはこの4人!

添削後
荒れ兆す 庭満天星紅葉かな

編集後記
今回も夏の炎帝戦に続いて予選・決勝形式でした。特待生は2句詠まないといけないのでタイトル獲るのは大変ですね。
1位の石田さんは弦楽器の音を紅葉の落葉に重ね合わせた一句で見事夏井先生を感動させました。バイオリンではなく重厚なコントラバスという単語が良かったです。
2位のジュニアさんは大好きなツーリングを紅葉の感触に重ねた一句でしたが、ナナハンの句はすでに詠んでいたことを藤本名人から指摘されました。実体験を詠んでいるのは理解できますが、語順の添削を考慮しても順位が高すぎる印象もありました。
3位の中田さんは夜に発想を飛ばした綺麗な一句。以前の冬麗戦でも「くら谷を震わせたるや雪の声」と谷と音に着目した句を詠んでいましたので、もう少し違う視点が欲しかったかなという感じ。
4位の岩永さんはジブリアニメを彷彿とさせる句でした。「辿る」の主語が「鳥居」「紅葉」のどちらか分からないのが惜しかったです。しかし、学問として俳句を学んでいるようで、「決勝に行けないなら4位も最下位も変わらない」というある種挑発的な発言も彼の考え方を反映したとするなら納得できる印象。
5位のミッツさんは得意の女性目線の句でしたが、自身に寄せて発想すると想いが先行してしまって大体評価は良くないですね。前回の炎帝戦のような日常的な映像の切り取り方にも挑んでほしいです。
6位の千賀さんは梅沢名人をはじめ毎回期待されているのに、また撃沈する結果に。「地球」で背伸びをしてしまいました。視点は悪くなかっただけに、再度奮起してもわらないと、名人は厳しいかな。
7位の円楽さんは歌丸師匠に捧げる追悼句でしたが、対象がはっきりせず大幅な添削は受けたものの、夏井先生の熱のこもった添削にスタジオが感動に包まれていました。素材は大変良かったので、「落語家枠」として志らくさんに負けぬよう精進することでしょう。
最下位の柴田さんは発想が凡なのと「燃ゆ」というありきたりな形でしたが、「満天星紅葉」という季語の選択は良かったのでは。特待生に昇格して俳句部屋を新調しているほど意欲はありそうなので、これからに期待でしょうか。
下位に沈んだ方々は音数の多い特殊な季語で勝負しているのも印象的でした。その使い方次第ではかなり化けそうで今後の活躍を注視したいです。
名人方ですが、横尾さんが全く活躍していませんでした(編集で削られたのかも)。あと、藤本名人が「傍題」を知らないのは仰天しました。バラエティ的には良い反応といっていいのかもしれませんが勉強不足な印象もあります。東国原名人の指摘も歯切れが悪い感じもありました。それだけハイレベルだったのかとも思います。
夏井先生はやはり国語の先生という感じで、添削も説明もさすがですが、出演者の一言一句を聞き漏らさずにその場で理解してさらに丁寧に解説して、時には切り返していじる姿には毎回感心させられます。コミュニケーション能力がかなり高いのが伝わってきますよね。今更ではありますが、参考になる部分が多いです。

金秋戦・決勝はこちら。


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