【高校日本1vs.】プレバト!! 俳句甲子園'18対外試合【俳都】
- 2018/09/20
- 21:00
2018年9月20日放送 プレバト!!
全国高等学校俳句選手権大会(俳句甲子園)の覇者とプレバト!!が誇る特待生との真剣勝負。
東国原・藤本・村上3名人と全国日本一となった徳山高校(山口)との対外試合で詠まれた俳句を紹介します。
●お題:俳都・松山
松山の街中に坊っちゃん列車が映る写真のお題
赤●:プレバト!!芸能人チーム(東国原名人・藤本名人・村上名人)
白○:山口県立徳山高校
◆1回戦
藤本名人vs.弘松君
●「マッチ箱の 汽車眩し 夕虹の街」 藤本敏史(FUJIWARA)
・夏目漱石の小説『坊っちゃん』から「マッチ箱のような汽車」の比喩を引用。その列車と美しい松山の夕暮れの街を詠んだ一句。
[質疑応答]
○弘松君 どことなく懐かしいイメージ。夕方の景も相まって感じられるが、どのような感じで詠まれたのか?
●藤本名人 えっ?あの、懐かしい感じかもしれんけど、時代は今です。今の時代を詠みました。オッケー?大丈夫?
○弘松君 「マッチ箱の汽車」とはどういうことなのか説明をお願いします。
→ 『坊っちゃん』であまりにも有名な一節について、あえて確認の質問をする徳山高校チーム。
●藤本名人 え?知らんの?『坊っちゃん』という小説の。え~。知らんねや!
→高校生の優しい質問に大人げなく切り返す藤本名人。
●藤本名人 だからマッチ箱の…
司会者 そこまで!(時間切れ)
→高校生を攻めている間にタイムアップ。大事な事を一切説明できず。
○「峯雲や 俳都へ向かう 船の上」 弘松君(徳山高校)
・俳句甲子園の開催地松山まで、徳山高校のある山口県からフェリーに乗り、期待で胸を膨らませながら向かう自身の気持ちを詠んだ一句。
[質疑応答]
●藤本名人 船の上で起こっている出来事や物事を俳句の中に組み込むともっと良い句になるんやないかなと思ったんやけどね。
→下五「船の上」で何をしていたのか具体的な表現がないということを指摘。
○神足君(生徒会長) ここは「船の上」として漠然とした感じがいい。船の上で僕ら話したんです。松山ってどんな感じかな?どんな俳句やるんかな?どんな人が集まるんかな?「俳都へ向かう船の上」で松山の風景が浮かんでくる。
【判定】
●7-4○
プレバト!!チームの勝ち
関先生
●「夕虹」というのが、時間の夕暮れで外の景色の広がり、街への視線の転じ方も出てきてかなり材料が多い割にはスッキリしている。
夏井先生
どっちも良い句。
○「峯雲や」と強く強調した後に、「俳都」という言葉だけでそこ「へ向かう船の上」で何を語ってどんな志を持っているか言わなくても分かる。ここの省略の仕方は高校生とは思えない。
●これだけの材料を入れてまとめた。対照的。「眩し」という風に描写したところが上手い。描写することで最後の「夕虹」という季語も活きてくる。これは本当に腕を上げている。
◆2回戦
村上名人vs.浅原君
○「トロフィー掲ぐ 松山の天高し」 浅原君(徳山高校)
・この句の提出は全国大会より前だが、優勝してプレバト!!チームと戦うことを夢見て、それが日の目を見たという句。
[質疑応答]
●村上名人 言うよね。優勝できてなかったらさ、優勝する前に実景でなく想像で描いた?ってことでよろしい?
○浅原君 はい、想像で描きました。でもその想像が今となっては実現したので、これは成立すると思います。
→村上の指摘は見事に空振り。うつむいてしまった。
●「西日へと 坊っちゃん列車 転回す」 村上健志(フルーツポンチ)
・人力で列車を転回する「坊っちゃん列車」。「西日」という季語で夏の夕暮れの風景を切り取った一句。
[質疑応答]
○弘松君 「西日へと」を見ていきたい。向きを変えるのであれば「へと」でなくても方向転換する言葉はある。西日「へ」とか。何故「へと」を使われたのか?
→夏井先生も普段から指摘する助詞の使い方に対する鋭い指摘。
●村上名人 更に西日「へと」向かっていくという、転回した後にその先も西日へ向かっていくという意味を込めて。
【判定】
●4-7○
徳山高校チームの勝ち
夏井先生
○「掲ぐ」の後に「天高し」がある。動作からの季語のクローズアップをきちんとやっている。
●絶賛した先生もいた。負けたのは気の毒だった。
◆3回戦
東国原名人vs.西村さん
●「鰯雲 仰臥の子規の 無重力」 東国原英夫
・「仰臥(ぎょうが)」とは仰向けに寝ている様子のこと。正岡子規が晩年書いた『仰臥漫録』(子規が死の直前まで書き留めた日記)の書名から発想を得た。「鰯雲」は子規の闘病の末、意識が無重力状態となってできたものではないかと発想を膨らませた一句。
[質疑応答]
○神足君 「鰯雲」という表現がとてもよく効いていると思った。あえて「鰯雲」「無重力」と浮いたような言葉を2つ使うことにどのような効果があるのか?
●東国原名人 「鱗雲」「鯖雲」でも良かったが、「鰯」という「弱い」イメージを出したかった。「鰯雲」「無重力」は浮いた感じにはなるが、読み手側の感性の問題かなと。
○「朧月 人それぞれに ある言葉」 西村さん(徳山高校)
・俳句甲子園で頂点を極めた高校らしく、俳句を生み出す苦労に焦点を当て、どの言葉を選ぶべきなのかを「朧月」に重ねて詠んだ一句。
[質疑応答]
●東国原名人 「朧月」「それぞれにある言葉」の両方ともボヤっとしている。これの狙いは?
○神足君 俳句ってなかなか詠むのが難しい。どういう風な言葉を紡いでいけば良いのか?言葉にしようとしたら自分の表現の稚拙さに困る、的な感じ。
【判定】
●9-2○
プレバト!!チームの勝ち
夏井先生
いやあ、手に汗握る戦いでした。
○大人びた句として良かった。
●この句の素晴らしさには皆がやられた。句が出た瞬間に会場が微かにどよめいた。それくらい上手かった。最後「無重力」という詩の言葉をよく持ってきた。子規が死んだ後、この死というものが子規の体自身を無重力にしていくのではないか、と。かなりの表現がこの最後の言葉に入っている。これはしょうがない。勝って当然だった。
2勝1敗でプレバト!!チームの勝利!
▼各審査員の投票結果(敬称略)
編集後記
今回も昨年に引き続き俳句甲子園のエキシビションマッチが行われました。
プレバト!!チームは石田さんに代わって東国原さんが大トリに入り、全員名人という負けられない立場での参戦でした。
1回戦赤はお題写真から情景描写に持ってきた句で比喩が大変活きており、白は決戦の地へと向かう高校生の素直な気持ちが滲み出ていた句で、どちらが勝ってもおかしくない対戦でした。
2回戦白はまさにこの企画の為に詠まれた勝負の一句であり、赤は1回戦同様写真のお題から動きを込めた一句での勝負でした。1回戦で上げた旗と逆の色の旗を9名の審査員が上げる展開となり、勝負は最終戦に持ち込まれました。
3回戦赤は正岡子規の晩年の病床の様子を「無重力」という見事な単語で表現し、白は俳句を詠む難しさを「朧月」という季語に託した一句でした。
高校生は優勝もつかの間で3名とも背伸びをしない句を詠んでおり、対するプレバト3人衆は日頃の成果をこの対戦でぶつけてくるというお互いの立場の違いも垣間見える印象でした。
今年は去年の開成高校とは異なり、相手をいじり倒すディベートではありませんでしたが、去年の石田さんが野球のお題ともマッチしていたこともあって無双感がすごかっただけに、やや物足りなさは否めませんでしたね。また、ディベート自体がナレーションによって意図的に脚色されている点も気になりました。夏井先生が審査から外されるのは仕方ないにせよ、もう少し他の審査員の論評も聞きたかったです。
全国高等学校俳句選手権大会(俳句甲子園)の覇者とプレバト!!が誇る特待生との真剣勝負。
東国原・藤本・村上3名人と全国日本一となった徳山高校(山口)との対外試合で詠まれた俳句を紹介します。
●お題:俳都・松山
松山の街中に坊っちゃん列車が映る写真のお題
赤●:プレバト!!芸能人チーム(東国原名人・藤本名人・村上名人)
白○:山口県立徳山高校
◆1回戦
藤本名人vs.弘松君
●「マッチ箱の 汽車眩し 夕虹の街」 藤本敏史(FUJIWARA)
・夏目漱石の小説『坊っちゃん』から「マッチ箱のような汽車」の比喩を引用。その列車と美しい松山の夕暮れの街を詠んだ一句。
[質疑応答]
○弘松君 どことなく懐かしいイメージ。夕方の景も相まって感じられるが、どのような感じで詠まれたのか?
●藤本名人 えっ?あの、懐かしい感じかもしれんけど、時代は今です。今の時代を詠みました。オッケー?大丈夫?
○弘松君 「マッチ箱の汽車」とはどういうことなのか説明をお願いします。
→ 『坊っちゃん』であまりにも有名な一節について、あえて確認の質問をする徳山高校チーム。
●藤本名人 え?知らんの?『坊っちゃん』という小説の。え~。知らんねや!
→高校生の優しい質問に大人げなく切り返す藤本名人。
●藤本名人 だからマッチ箱の…
司会者 そこまで!(時間切れ)
→高校生を攻めている間にタイムアップ。大事な事を一切説明できず。
○「峯雲や 俳都へ向かう 船の上」 弘松君(徳山高校)
・俳句甲子園の開催地松山まで、徳山高校のある山口県からフェリーに乗り、期待で胸を膨らませながら向かう自身の気持ちを詠んだ一句。
[質疑応答]
●藤本名人 船の上で起こっている出来事や物事を俳句の中に組み込むともっと良い句になるんやないかなと思ったんやけどね。
→下五「船の上」で何をしていたのか具体的な表現がないということを指摘。
○神足君(生徒会長) ここは「船の上」として漠然とした感じがいい。船の上で僕ら話したんです。松山ってどんな感じかな?どんな俳句やるんかな?どんな人が集まるんかな?「俳都へ向かう船の上」で松山の風景が浮かんでくる。
【判定】
●7-4○
プレバト!!チームの勝ち
関先生
●「夕虹」というのが、時間の夕暮れで外の景色の広がり、街への視線の転じ方も出てきてかなり材料が多い割にはスッキリしている。
夏井先生
どっちも良い句。
○「峯雲や」と強く強調した後に、「俳都」という言葉だけでそこ「へ向かう船の上」で何を語ってどんな志を持っているか言わなくても分かる。ここの省略の仕方は高校生とは思えない。
●これだけの材料を入れてまとめた。対照的。「眩し」という風に描写したところが上手い。描写することで最後の「夕虹」という季語も活きてくる。これは本当に腕を上げている。
◆2回戦
村上名人vs.浅原君
○「トロフィー掲ぐ 松山の天高し」 浅原君(徳山高校)
・この句の提出は全国大会より前だが、優勝してプレバト!!チームと戦うことを夢見て、それが日の目を見たという句。
[質疑応答]
●村上名人 言うよね。優勝できてなかったらさ、優勝する前に実景でなく想像で描いた?ってことでよろしい?
○浅原君 はい、想像で描きました。でもその想像が今となっては実現したので、これは成立すると思います。
→村上の指摘は見事に空振り。うつむいてしまった。
●「西日へと 坊っちゃん列車 転回す」 村上健志(フルーツポンチ)
・人力で列車を転回する「坊っちゃん列車」。「西日」という季語で夏の夕暮れの風景を切り取った一句。
[質疑応答]
○弘松君 「西日へと」を見ていきたい。向きを変えるのであれば「へと」でなくても方向転換する言葉はある。西日「へ」とか。何故「へと」を使われたのか?
→夏井先生も普段から指摘する助詞の使い方に対する鋭い指摘。
●村上名人 更に西日「へと」向かっていくという、転回した後にその先も西日へ向かっていくという意味を込めて。
【判定】
●4-7○
徳山高校チームの勝ち
夏井先生
○「掲ぐ」の後に「天高し」がある。動作からの季語のクローズアップをきちんとやっている。
●絶賛した先生もいた。負けたのは気の毒だった。
◆3回戦
東国原名人vs.西村さん
●「鰯雲 仰臥の子規の 無重力」 東国原英夫
・「仰臥(ぎょうが)」とは仰向けに寝ている様子のこと。正岡子規が晩年書いた『仰臥漫録』(子規が死の直前まで書き留めた日記)の書名から発想を得た。「鰯雲」は子規の闘病の末、意識が無重力状態となってできたものではないかと発想を膨らませた一句。
[質疑応答]
○神足君 「鰯雲」という表現がとてもよく効いていると思った。あえて「鰯雲」「無重力」と浮いたような言葉を2つ使うことにどのような効果があるのか?
●東国原名人 「鱗雲」「鯖雲」でも良かったが、「鰯」という「弱い」イメージを出したかった。「鰯雲」「無重力」は浮いた感じにはなるが、読み手側の感性の問題かなと。
○「朧月 人それぞれに ある言葉」 西村さん(徳山高校)
・俳句甲子園で頂点を極めた高校らしく、俳句を生み出す苦労に焦点を当て、どの言葉を選ぶべきなのかを「朧月」に重ねて詠んだ一句。
[質疑応答]
●東国原名人 「朧月」「それぞれにある言葉」の両方ともボヤっとしている。これの狙いは?
○神足君 俳句ってなかなか詠むのが難しい。どういう風な言葉を紡いでいけば良いのか?言葉にしようとしたら自分の表現の稚拙さに困る、的な感じ。
【判定】
●9-2○
プレバト!!チームの勝ち
夏井先生
いやあ、手に汗握る戦いでした。
○大人びた句として良かった。
●この句の素晴らしさには皆がやられた。句が出た瞬間に会場が微かにどよめいた。それくらい上手かった。最後「無重力」という詩の言葉をよく持ってきた。子規が死んだ後、この死というものが子規の体自身を無重力にしていくのではないか、と。かなりの表現がこの最後の言葉に入っている。これはしょうがない。勝って当然だった。
●プレバト!! | 結果 | 徳山高校○ |
藤本名人 | ![]() | 弘松君 |
村上名人 | 4-7![]() | 浅原君 |
東国原名人 | ![]() | 西村さん |
2勝1敗でプレバト!!チームの勝利!
▼各審査員の投票結果(敬称略)
回戦 | 高柳 | 鴇田 | 岸本 | 小澤 | 正木 | 西村 | 高野 | 中原 | 関 | 阪西 | 神野 |
1 | ● | ○ | ○ | ● | ● | ○ | ○ | ● | ● | ● | ● |
2 | ○ | ● | ● | ○ | ○ | ○ | ● | ○ | ● | ○ | ○ |
3 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ○ | ● | ● | ○ | ● |
編集後記
今回も昨年に引き続き俳句甲子園のエキシビションマッチが行われました。
プレバト!!チームは石田さんに代わって東国原さんが大トリに入り、全員名人という負けられない立場での参戦でした。
1回戦赤はお題写真から情景描写に持ってきた句で比喩が大変活きており、白は決戦の地へと向かう高校生の素直な気持ちが滲み出ていた句で、どちらが勝ってもおかしくない対戦でした。
2回戦白はまさにこの企画の為に詠まれた勝負の一句であり、赤は1回戦同様写真のお題から動きを込めた一句での勝負でした。1回戦で上げた旗と逆の色の旗を9名の審査員が上げる展開となり、勝負は最終戦に持ち込まれました。
3回戦赤は正岡子規の晩年の病床の様子を「無重力」という見事な単語で表現し、白は俳句を詠む難しさを「朧月」という季語に託した一句でした。
高校生は優勝もつかの間で3名とも背伸びをしない句を詠んでおり、対するプレバト3人衆は日頃の成果をこの対戦でぶつけてくるというお互いの立場の違いも垣間見える印象でした。
今年は去年の開成高校とは異なり、相手をいじり倒すディベートではありませんでしたが、去年の石田さんが野球のお題ともマッチしていたこともあって無双感がすごかっただけに、やや物足りなさは否めませんでしたね。また、ディベート自体がナレーションによって意図的に脚色されている点も気になりました。夏井先生が審査から外されるのは仕方ないにせよ、もう少し他の審査員の論評も聞きたかったです。

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