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【炎帝戦予選】20180802 プレバト!!俳句紹介【夏の太陽】

2018年8月2日放送 プレバト!! 俳句炎帝戦予選結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
夏の季節に行われる第2回炎帝戦・予選で特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
上位2人のみが名人が参戦する炎帝戦・決勝に進出できます。
東国原名人の盗作騒動の釈明はこちら。

●お題:夏の太陽(俳句をクリックするとリンク内移動します)
1位「光束ねるごと 日焼子(ひやけご)ら走る」1級 中田喜子(決勝進出)
2位「油照り 毛糸のような 犬拾う」5級 立川志らく(決勝進出)
 3位「満タンの声 炎天の 肩まくり」3級 ミッツ・マングローブ
 4位「風死すや 現場検証 顰(しか)め面」4級 千原ジュニア
 5位「日蝕(にっしょく)の 森の灯火や 向日葵(ひまわり)よ」1級 千賀健永(Kis-My-Ft2)
 6位「議事堂の 壁齧(かべかじ)り付く 空蟬(うつせみ)よ」4級 松岡充
 最下位「炎帝や 船の影 海底に落とす」5級 岩永徹也

★オープニング・名人の意気込み
梅沢名人 この連中とは意気込みが違いますからね!(中略)私の為のお題だなと。
藤本名人 夏の俳句詠ましたらフジモンの右に出る者はおらへんなみたいな。
東国原名人 ずーっと目標に、1年間ずーっと勉強してきた。
横尾名人 ここは梅沢師匠と1・2フィニッシュ。

※今回は過去最多12名の名人特待生が参加するため、予選と決勝の2回に分かれて行われる。
予選では特待生1~5級の参加者7名が同じお題で俳句を詠み、上位2名のみが決勝に進出。
決勝では名人5人と予選通過者2名の合計7名が予選とは異なるお題で俳句を詠み、タイトルを争う。


★東国原の盗作疑惑の件
千原ジュニア 今回は滅茶苦茶自信あります。地方の新聞に良い俳句を見つけたんですよ。
浜田 てめぇ やりやがったな?(「梅雨明や指名手配の顔に×」の句が盗作疑惑だとスポーツ紙に報じられた東国原にヤクザ歩きで詰め寄りながら)
東国原名人 いやいや、申し訳ないけど…。
藤本名人 東さん、やったんですか?
東国原名人 やってません!申し訳ないんですけど~。
梅沢名人 (小声で)ないんでしょうね。
浜田 ほんまですか~?
東国原名人 そんなつもりは全く無いんですよ!結果的にああなってしまって…。
千原ジュニア (スタジオにあるタイトル戦覇者の額縁の)顔にバツしなくていいんですか!
浜田 せんせーい。ごちゃごちゃ言われてる件は、先生はどう思われるんでしょうか。
夏井先生
あのね~。俳句の世界では"同じような句が出来てしまう"というのはよくある話。
たった17音しかない俳句ですから、類想類句は山のようにできる。
ただ俳句の世界の慣習では全てを性善説で考える。
わざと悪いことしたって考えないわけ。「同じ句がたまたまできたんですね」ってみんな考えるわけです。
自分の句より先に似たような句が発表されているときの対処方法も決まっている
それ以降、「自分の句」だと主張しない。それだけのこと。
私も「良い句が出来たな」と思ったら、高浜虚子の句と一言一句変わらなかったことがある。
そういう時に私は、「いよいよ高浜虚子のところまで来たな」と自分をほめる。
一同 そういう風にとらえるんですね。
藤本名人 でも僕は信じませんけどね
千原ジュニア フジモン、奇遇やな?

★名人の予選1位予想
藤本梅沢村上東国原横尾
千賀千賀千賀中田千原ジュニア

浜田 (千賀は)期待されてるやん。
横尾名人 (千賀に)おい!全てのお前出せ!
藤本名人 三振か?ホームランか?みたいなとこあるやん。ホームラン打つときあるから怖いんですよ。
村上名人 大舞台に強い。通常回は大したことない
藤本名人 そうそう。三振ばっか。

★岩永の賄賂疑惑
岩永 初回5点。上に上がった勢いでタイトルを獲ろうと。
豊崎アナ アンケートに長文を書いてらっしゃったので読ませていただきます。
夏井先生に出会わなかったら
僕は俳句をやっていなかったと思います
俳句を始めて半年ですが毎日の生活の中で
俳句の種を見つけることが
喜びであり人生が楽しくなりました
夏井先生 ありがとうございます

浜田 お前は汚いな(円楽の手口)
岩永 ホントに俳句を知らなかったので、毎日の生きる楽しみを見つけて嬉しくなりました。
梅沢名人 若いのになあ。そんな生き方したら人生ダメになるぞ。

★中田喜子のライバル
豊崎アナ 予選で最もライバル視しているのは岩永徹也さんだそうです。
中田 特待生になったばかりで一緒だった。私は現状維持で岩永さんが上から目線で「頑張りましょう」と言った
岩永 僕ファンなんですよ。
中田 私もファンですよ。
浜田 何を言うとんねん。
藤本名人 付き合え!付き合え!付き合えよ!
浜田 やめとけ!お前、そういう声は。

★立川志らくのライバル
志らく 私は、ジュニアには負けたくない。ジュニアは近頃落語をやるようになって、私のことをリスペクトしてくれている。これがジュニアの下ならそれが消えてしまう
千原ジュニア 下ならば、ただのハリー・ポッターですよね
梅沢名人 上手い。

★千賀へダメ出し
豊崎アナ ある方からプレバトの俳句に関してダメ出しをされたそうです。
千賀 サウナでオリエンタルラジオの藤森慎吾に会い、「冬のタイトル戦見たよ」「良かったね1位」「でも泣き顔がメチャメチャブスだね」「ジャニーズじゃないね」てあのテンションで言われて。ちょっとむかついた。


○順位別に見ていきます



1位「光束ねるごと 日焼子ら走る」 中田喜子(決勝進出)

【本人談】
他の特待生が作るような発想の句ではダメだと思った。勝てないと。私なりの独特な俳句を作ったつもり。
夏井先生お願いです。評価してください。
夏休みで真っ黒に日焼けしている子どもたちが思いっきり走っているという光景を詠んだ。シンプルに。

東国原名人 女性が決勝に残ってよかった。今度特待生になったのも野郎野郎じゃないですか。ずーっと言っている。女性が上がってきてくれないと。見てください。この汚い画(5名人を映して)。
梅沢名人 私を除いて言ってくれないと。確かにこの辺は汚いよ。Mr.プレバトとジュニア(横尾)は外してもらいたい。後は汚いと言ってもらって結構ですけど。
浜田 違う違う。この句について言え!
東国原名人 破調としては最高。
梅沢名人 岩永くん、この破調でなきゃいけない。これだよ。
夏井先生
破調というのは難しい。
「光束ねるごと」で9音、「日焼子(ひやけご)ら走る」で8音。全部で17音だが、5・7・5の調べを裏切っている。
何でもかんでも17音になっていれば良いというわけではなく、この句の内容がその調べを要求しているか?そこが一番大事。
敢えて破調を薦めようとは思わない。5・7・5が一番安定した美しい調べである。
この句は前半の比喩の勢いがいい。抽象的なイメージ。読み手の脳の中に光が束ねられるイメージが出現する。
その奥から日焼けした子どもたちが飛び出てくる。「ら」の複数もいい。ここでしっかりとした映像が出てくる。
最後に「走る」という動詞で、夏の光を弾き飛ばすようにこっちに走ってくるという印象がある。
破調をここまで使いこなしたらこれは見事。普通の回だったら文句なく名人昇格
直しは要らない。

添削なし

2位「油照り 毛糸のような 犬拾う」 立川志らく(決勝進出)

【本人談】
名人と区別するため、普段と違うスーツを着た。廊下でマネージャーと間違えられた。オーラが消えてしまった。
夏の季語「油照り」はうす曇りで風がなく蒸し暑い気候を表す。
真夏の暑い日に、捨て犬がいて子どもが拾って帰ってきた。お母さんは何だかわからない。「何を拾ってきたの?」と毛糸みたいな犬を見て。
あまりの暑苦しさにそんな犬飼いたくないけど、捨てるわけにもいかず毛糸のような犬を引き取ったという、小さい頃の田舎で見た光景を詠んだ。

東国原名人 「毛糸のような」という比喩の是非でしょうね。「毛糸」っていうのは冬のイメージ。夏の季語「油照り」と「毛糸」をどう響き合わせるか。この対照が2位と3位の差なのでは?
浜田 村上はどう?
村上名人 そうですよね…、本当にそうですよね…。
梅沢名人 何か言えよ!
村上名人 だって、普通に良いから!普段だともっと分かりやすい下手クソがね~。
梅沢名人 どこがいいのか、言ってみろってんの!
村上名人 夏の俳句で毛糸を持ってきたところですよ。
東国原名人 それは言った!
村上名人 …「犬拾う」ってのが良いですね。何か良いじゃないですか。
夏井先生
非常に愉快な作品。「油照り」は夏なので、当然夏の句と思う。
次にいきなり「毛糸」が出てくる。メチャクチャ冬の感じ。
「毛糸編む」とかやったら季重なりになる。冬の気分が出てくるから、暑苦しいなと思う。
そしたら「ような」で比喩だとわかる。何だと思うと「犬」が出てくる。この比喩への展開が非常に愉快。
「毛糸のような犬」と「油照り」の取り合わせだけでも面白い。最後の「拾う」という動詞でトドメ。
汗一杯かいて毛糸のような犬を抱いて帰っていく、そういう光景がこの中に小さな物語として入る。
読んだ時、家に持って帰ってまたひと騒動が起きているというのも見えてくる。
「油照り」の暑苦しい日の出来事だなと。上手いもんですね。こんなのは直しちゃダメ。

添削なし

◆3位「満タンの声 炎天の 肩まくり」 ミッツ・マングローブ

【本人談】
こねくり回してしまうと、嘘はばれてしまう。自分の見た景色・感じたことと太陽を擦り合わせた。
夏と太陽と言ったらガソリンスタンドを思い浮かべる。
「レギュラー満タン!」「オーライ!」という声が聞こえてきてパッと見ると、スタンドの店員が肩まで袖をたくし上げて焼けた腕に汗がタラ~っと。大好きなの

藤本名人 いいですよ、これは。「満タンの声」というあんまり聞かない言葉を持ってきてるのも良い。「肩まくり」って言葉ないなぁと思って。「腕まくり」は聞いたことあるけど。
本人 辞書にはもちろんない言葉。
梅沢名人 わかりますよ。オレは好きですね。お芝居にもよく使いますから。
藤本名人 「肩まくり」って言葉ある?
梅沢名人 国語辞典にはないでしょうけど、下町の言葉でほら肩まくりなんて粋に見える。颯爽(さっそう)としてね。
藤本名人 でも聞いたことないから!
梅沢名人 お前は聞いたことないだろうけど…。
浜田 ケンカせんでもええやんか。
藤本名人 勝手に作って良いのかな?
梅沢名人 あるんだよ。
東国原名人 字余りにして「肩めくり上げ」にした方がまだ良かったんじゃないか。
藤本名人 そうですよね!
梅沢名人 粋でいいじゃないか。字余りでも。(フジモンを指さし)お前粋じゃないから分からないんだよ!
浜田 3人でワーワー言うな。後ろの2人しゃべれや!
横尾名人 ここには入っていけない
村上名人 そうですよね。別に「肩まくり」でもいいんじゃない?
夏井先生
「肩まくり」は辞書にはない言葉。強引な造語ではあるが、「腕まくり」では言いたいことが表現できない。
「炎天の肩までめくって」では勢いが削がれてしまう。そのような判断からこの造語を敢えて使ったと私も判断。
作者の意図なので尊重すべき。ただ何でも造語を使えばいいものでもない。
この造語を映像で見せるための仕掛けを置いていかないといけない。それはとてもよくできてます
「満タン」でほとんどの人がガソリンスタンドを思い浮かべる。そこには人もいる。「声」が音として出てくる。
季語「炎天」で光景が広がる。「肩まくり」で労働の姿。元気な、やる気のある表情も出てくると。
この造語を活かすための言葉が大事な場所に置かれている。これは尊重すべき。
「炎天」は夏空など色んな置き方があるが、「炎」の字があるため、ガソリンの匂いと良い詩的反応が出てくる。
添削しようと思えばできるが、この句は作者の意図を尊重してこのまま味わった方が良い。
藤本名人 添削なしなのに3位?
夏井先生 今回はそれだけ良い句が揃っているわけで。
梅沢名人 なんでいちいち聞いてるんだ?NHKの番組に出てるからそういうことがわからない!
浜田 そんな揉め方せんでも。
藤本名人 うるさいわ。ライザップじじい

添削なし

◆4位「風死すや 現場検証 顰め面」 千原ジュニア

【本人談】
照りつける真夏の太陽の下、現場検証が行われている光景に発想を飛ばした一句。
バイクで事故を起こして退院した後の現場検証が夏の暑いときだった。
「風死す」は夏の盛りに風が途絶えて耐え難い暑さになることを示す夏の季語。
渋滞はするし、現場検証は長いし、警察官も本人も周りの車に乗っている人も全員しかめ面だった。

梅沢名人 「風死すや」の文言はいい。好きよ。ただ、言葉が全部プツップツッと切れてる。だから4位なんだと思う。これを直したら上に行けたんじゃないか。 →○正解
東国原名人 三段切れは気になる。上五と中七は呼応している。なんか事件が起きたんだな。この辺のチョイスは素晴らしいと思うけど。 →○正解
浜田 村上はどう思うん?
村上名人 えっ?い…いいと思う。全然いいと思うけど。
夏井先生
名人にも色々いる。
「風死す」が季語。風がピタッと止まった暑さ。太陽が差すかのような感じ。
「現場検証」が出てくる。発想が良いなと思ったら、自分の体験を書いていることがわかった。それがまさに良い所。
自分の体験だから、「風死す」という季語や「顰め面」という場面をすくい取ることができた。
問題点はたった一つ、三段切れ。三段切れとは五・七・五のそれぞれの末で切れ3つに分かれた句のことで、調べや焦点が分断されてしまうため俳句では好まれない。
「風死すや」で強く切れて、中七・下五でもプツプツと切れてしまう。これがもったいない。
こういう時は、上五に字余りで「現場検証」を持ってきた方が得。これで場面がすぐに出てくる。
三段切れはどこか1か所をくっつけるだけで解消される。中七を「風死せる日の」とする。
「の」で「顰め面」につながっていく。三段切れを解消するだけで順位は上がっていく。
本人 こんなんでけへんもん。
夏井先生 やんなさいよ、これぐらい。
本人 でけへんもん。

[ここがポイント!]
三段切れは避ける

添削後
現場検証 風死せる日の 顰め面」

◆5位「日蝕の 森の灯火や 向日葵よ」 千賀健永(Kis-My-Ft2)

藤本名人 内野ゴロでした。
浜田 凡打でしたね。

【本人談】
夏の晴れ渡る太陽の写真から日蝕(日食)の光景に発想を飛ばした一句。
真夏の太陽がどんどん暗くなっていく。日蝕だと。真っ暗な中森を見ると黄色い部分がある。
何だろう。向日葵がそこに咲いていた。
日蝕で真っ暗な太陽の代わりに向日葵が照らしてくれているという意味があった。

横尾名人 灯火自体が向日葵に見えたのか、ひまわり…何て言うんですかね?
名人一同 良いんじゃない?
横尾名人 向日葵自体のことを詠んでるのか?灯火を比喩で向日葵に例えているのか?それで合ってますか?
梅沢名人 合ってます。
横尾名人 何を言いたいのかが分からない。
梅沢名人 だから「向日葵が灯火のよう」とはなかなか難しいですよってことを言いたいんだよね。その通りです。これは無理がある。千賀君、あなたの気持ちわかりますよ。この言葉には無理がある。「向日葵が灯火に見える」ようにというのはちょっと無理だわ。読み手として非常に感じない。惜しかった。
本人 どうすれば良いですかね?
浜田 それはフジモンに聞いたらええ。
本人 フジモンさん、どうしたらいいと思いますか?
東国原名人 (フジモンに)千賀君の優勝を予想してたんだよね?
藤本名人 …してましたね(笑)。
東国原名人 (梅沢に)御大もそうですよね?
梅沢名人 オレお前を推薦したんだよ!何してんの!
本人 本当に申し訳ございません。
藤本名人 何よ、コレ。千賀ちゃん。
本人 すいません、本当すいません。
夏井先生
発想は一種のファンタジーの味わい。日蝕の訪れた森。森の中に灯火のようなものが見える。それが向日葵だったと。
頭の中に生まれているファンタジーは今わかった。
問題はそれが比喩なのか?灯火と向日葵を提示したのか?この字面ではそこがわからない。
簡単なこと。諸悪の根源の一音がある。それはわかりますか?
本人 わかりません
夏井先生 
いっそ、清々しかったです
それはこの「や」。強調の「や」なのか、並列の「や」なのか、読み手に判断できない。
しかも最後に「よ」という詠嘆が入る。「や」で強調して「よ」で詠嘆するとは読み取りにくいため、「灯火や向日葵」と並列で並べているのだと読みとれる。そこで迷う。
強調と詠嘆が前に出過ぎてベタベタする。この2音とって、意味をキチンと伝えるのが一番大事。
簡単なこと。「森の灯火として向日葵」と字余りにしないと分からない。
こうすると間違いなくみんな脳の中に描いてくれる。

添削後
日蝕の 森の灯火として 向日葵

◆6位「議事堂の 壁齧り付く 空蟬よ」 松岡充

【本人談】
前回最下位。こっから勉強しようと思った。修行させていただく気持ち。
夏の日差しが国会議事堂に降り注いでいると発想。
晩夏の季語の「空蝉」はセミの抜け殻のことで、元々は『この世に生きている人』の意味が転じている。
夏の太陽の下に白く輝く未来を託された国会議事堂があって、その壁にかじりつくようにセミの抜け殻が国に対して期待をしている。
そういうドラマを詠んだつもり。

横尾名人 セミと議員を結びつける想像が難しい。
梅沢名人 確かに読み取りにくい。
浜田 なるほどね。村上くん。
村上名人 そうですよね~
浜田 いやいやいや。「そうですね~」あらへん。
夏井先生 
やろうとしたことは悪くはない。
「議事堂」という大きなもの。「空蟬」がセミの抜け殻を示す季語。大小の対比は良く考えている。
読んだ時にもっと単純な句だと思った。
議事堂の壁にかじり付くかのように空蝉がくっついている、という光景だと解釈した。
意図を聞いて、心情的なものが「齧り付く」の擬人化と「よ」の詠嘆に含まれていて、この語順になっているとわかった。
この句を作品として良くするためには、描写する映像化に持っていくべき。
「齧り付く」の位置を変える。擬人化の言葉だけど心情を込めない。
「壁空蝉の齧り付く」と返すだけ。「齧り付く」はしがみついている様子の映像にすっと入る。
擬人化を鼻につかない形で使って映像にする。
こうやってたら、順位はトントントンと上がっていた。
本人 あんなんでけへんもん。
浜田 マネすんな。

添削後
議事堂の壁 空蟬の 齧り付く

◆最下位「炎帝や 船の影 海底に落とす」 岩永徹也

村上名人 (1位目指すのは)やっぱり、まだまだ早いよ。
浜田 お前、今エラそうやったな。
藤本名人 言うてた。
浜田 でも彼はこういうこと(最下位に)されると火がつくんですよ。次ん時またエラいことしてきよるかもしれませんが。

【本人談】
ハワイに行ったとき、太陽が燃えていた様子を詠もうと思った。
季語「炎帝」は夏をつかさどる神のこと。太陽の化身を示していてその凄さを伝えたかった。
船の影が海底に落ちている様子を詠んだ。5・5・7に挑戦した。

梅沢名人 名人10段の私が言わせていただきます。これは破調。一番ダメな破調。5・5・7でキチッと作らないと。この破調は5・5・8になっている。これはダメだ!こういうことをやって…
浜田 村上はどう思うの?
村上名人 これは本当にダメ!破調は早いわ。手を出すの。破調をやれば珍しいことになるでしょ?って思うかもしれんがそうではない。「影」は「落とす」とかいらないし、そもそも。→○正解
夏井先生
村上名人も時々あたったこと言う。この句で指摘しないといけないのはまさにそこ。
光景をキッチリ描こうとしているというその意識は俳人的。
「炎帝」は擬人化した季語。夏のみかど。
「炎帝や」という季語を持ってくる迫力に対して、「船の影」が海底に落ちているように見えるという映像の切り取り方も決して悪くない。
一番罪深いのは「落とす」。完全に説明の言葉。
「海底に船の影」と言えば「に」の助詞のおかげで、海底に船の影が映っているとか落ちているというのは映像として切り取れている。
「炎帝」という擬人化の季語に「落とす」という擬人をさらに足すのはお互いに殺し合う。
破調の問題は先輩方が語った通り。破調はその句の内容が5・7・5ではない調べを要求するときに、敢えて使う。
この句は破調と内容が見合っているとは言い難い。
「落とす」はやっつける。この3音で擬人化だけど映像につながる添削をしてみる。
藤本名人 できるんですか?
夏井先生 できるのよ~。任してちょうだい。
まず後半。「海底に船の影」で映像がしっかりできている。
「炎帝の黙(もだ)」とする。句またがりに持ってくる。「黙」は沈黙、静けさ。
「炎帝」という季語の擬人化にはなっているが、深閑とした人も何もいない深い暑さのイメージを「黙」で表現できる。
これをやってればトントントンといけた。

[ここがポイント!]
破調に見合う句・見合わない句
※松尾芭蕉「海くれて 鴨のこゑ ほのかに白し」という破調の名句もあるが、句の内容がその調べを要求しているときに使う定石破りの技。まずは定石通り5・7・5の定型の調べで詠むことを学びましょう。

添削後
炎帝の黙 海底に 船の影

編集後記
今回から初めてタイトル戦が予選・本戦の2部構成になりました。最近立て続けに特待生が誕生していたのでこのタイトル戦も前回の俳桜戦から4か月と時間がありました。
1位の中田さんは破調ですが気持ちの良い光景でした。「分校の一樹 入学児一名」でも破調でしたが、子どもを描く句が得意な感じがありますね。見事です。
2位は志らくさんですが、5級で特待生になり立てとはいえ俳句を詠む経験は豊かなだけに侮れないところ。「ような」の比喩は前回の特待生昇格句でも使っていましたし、比喩を用いた光景が得意な感じ。
3位のミッツさんは惜しかったですが、光景を描くという点ではやはり良いですね。女性的心情を入れる癖が強いのと言葉の寸詰まりになりやすい弱点を克服しているのかもしれません。
4位のジュニアさんもコツコツ成長しています。ただ三段切れは以前もやらかしているので言葉の詰めといったところでしょうか。
5位の千賀さんはタイトル戦で天体に焦点を当てる傾向が強いですが、今回は「日食」でした。向日葵が森に咲くというイメージが全く現実的でないのと切れ字「や」の使い方でしょうか。以前の「鯖」の件でもそうでしたが、ファンタジーに飛ばす傾向が強いですね。
6位の松岡さんは「空」「聴覚」という傾向を変えてきたのかと思いきや、若者に向けたメッセージと擬人化という点では俳桜戦と同じでした。想いを詰め込みたい気持ちもわかりますが、映像化に焦点を絞らないと上位は厳しそう。
屈辱の最下位となった岩永さんですが、炎帝戦だけに「炎帝」という季語を使いたかったのでしょうか。ただ、描きたい光景はやはり特待生らしいし、今後の成長に期待したいところです。
全体的にレベルが上がっているのがわかりますね。順位づけにも先生苦労しているのではないでしょうか。
名人は梅沢・東国原両名人の指摘は毎回さすが。横尾名人も頑張っている感じ。村上名人はほぼ毎回のように浜田さんからふられますが、「そうですよね~」の返しだけではキツイですね。通常挑戦者のヘタクソな俳句にしか指摘できないとしたらまだまだか、という感じ。
ちなみに名人の1位予想は千賀さんに人気が集中しましたが、同じキスマイの横尾名人は票を入れてませんでした。ライバル意識が相当強いのか、受け狙いなのか。
最後に、東国原名人の盗作疑惑の件でも番組で触れられていましたが、見解としては予想通りでした。特に昇格取り消しにはなっていません。フジモンと千原ジュニアは疑って突っ込んでいましたが、ネットで叩かれやすい名人のことですから、今後は類想類句にはより気を付けてほしい所ですね。

→炎帝戦・決勝はこちら。


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