「プレバト!!」で披露されたジャニーズ 横尾渉(Kis-My-Ft2) キスマイ横尾の全俳句一覧です。
永世名人(名人10段★5) 横尾渉(よこおわたる) 合計78句
成績(2023年8月31日時点) <通常挑戦者時代>
才能アリ 3回
<特待生時代>
1ランク昇格 14回、
現状維持 19回、
1ランク降格 0回
【永世名人への道】 ★★★★★ 前進 7回、
現状維持 0回(うち星持ち0回)、
後退 2回(添削があれば即降格)
【永世名人のお手本】 暫定21句・残り29作(50句で句集出版決定)
認定20句+
掲載決定 1句、
ボツ 0句
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第1回俳桜戦2位 、第1回炎帝戦4位、第1回金秋戦2位 、第1回冬麗戦7位 第2回俳桜戦5位、第2回炎帝戦決勝5位、第2回金秋戦決勝5位、第2回冬麗戦決勝4位第3回春光戦決勝3位 、第3回炎帝戦決勝5位、第3回金秋戦決勝3位、 第3回冬麗戦優勝第4回春光戦決勝8位 、第4回炎帝戦予選A2位、第4回金秋戦予選B1位 、 決勝2位、 第4回冬麗戦9位 第5回春光戦優勝 、第5回炎帝戦8位 、第5回金秋戦決勝2位、 第5回冬麗戦6位 第6回春光戦決勝4位、 (第6回炎帝戦12位)、
第6回金秋戦予選C2位 ・
決勝4位、 第6回冬麗戦8位 第7回春光戦予選A2位 ・
決勝7位、 浜田杯8位、第7回炎帝戦4位 秋の他流試合SPで東大王・林輝幸に10-8で
判定勝ち ふるさと戦(写真俳句)で
福岡編5位(最下位) 査定とは別に2017年月間MVH一度受賞(10月)
●通算昇格率 51.2%(22/43) 掲載率:100%(1/1) 前進率:78%(7/9) 昇格率:42%(14/33) ◆添削なし秀句 34句/78句 (現状維持査定は母数のみ含める)
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人物紹介 ◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 才能アリ サングラス外して対す海の青 2 才能アリ 夏帽子夜行列車の網棚に 3 才能アリ 秋の夜の酒に肴は選ばざる 4 現状維持 紅葉散る京都は冷たき雨の中 5 現状維持 湯につかり人も猿も佳き元旦 6 1ランク昇格 春愁の言わで別れし日の記憶 7 現状維持 卒業の君まなざしの大人びて 8 1ランク昇格 時間止まる人と駅舎の上に虹 9 1ランク昇格 許されて寺の笹切る星祭 10 1ランク昇格 鰯雲蹴散らし一機普天間に 11 現状維持 凍原を抜け越し名残列車着く 12 現状維持 風止みて闇の深きを雪舞えり 13 1ランク昇格 行け行けど迷路のごとき花の路 14 俳桜①2位 夜に入りて雨となりにし花万朶 15 炎帝①4位 籐椅子の脚もとにある水平線 16 現状維持 賑わいも酒の肴に夏座敷 17 1ランク昇格 秋の暮街路に鳩のふくみ声 18 金秋①2位 千年の樹海の風と枯葉の香 19 現状維持 湯けむりが道しるべとなり神の旅 20 冬麗①7位 産ぶ声や皆の顔が冬暖か 21 現状維持 春光の嬉しさそこに足下に 22 俳桜②5位 もの思うこと忘れおり花衣 23 1ランク昇格 おもひではぽろぽろ遠い二重虹 24 現状維持 スパイクやグローブ置いて夏の海 25 炎帝②決勝5位 夏の雲ぼくら日陰探検隊 26 金秋②決勝5位 ニュータウンの剥げたポストや降り月 27 現状維持 足袋汚し初日輝き演舞城 28 冬麗②決勝4位 雪晴れやエース区間の九人抜き 29 現状維持 地下鉄に迷い込んだシャボン玉 30 春光③決勝3位 リハ室のコーヒー苦し八重桜 31 現状維持 10日間おろすの忘れ春眠 32 1ランク昇格 ひまわりや廃線沿いのラーメン屋 33 炎帝③決勝5位 父語る敬遠五つ夏の雲 34 現状維持 七色の果実が並ぶ秋の声 35 金秋③決勝3位 天泣のプラチナ通り檸檬の香 36 冬麗③決勝1位 庖丁始都心は計画運休 37 現状維持 風光る硬式グラブ縛る紐 38 春光④決勝8位 夕桜新居の床に宅配ピザ 39 現状維持 玄関ドアに貼る「ありがとう」夕立晴 40 炎帝④予選A2位 夕虹やデビュー知らせし茶封筒 41 1ランク昇格 遠雷の夜汽車カカオの奴隷史 42 1ランク昇格 ヘッドホン外しはとバス初紅葉 43 秋の他流試合○ 2020年 体温だけ記す九月の予定帳44 金秋④予選B1位 休暇明アルトのビブラート太し 45 金秋④決勝2位 流星のターミナル三分で蕎麦 46 冬麗④9位 七日の名もなき家事パズルの樹氷 47 春光⑤決勝1位 浜風光るスクイズの土埃 48 現状維持 披露宴白靴のスタッズ眩し 49 炎帝⑤8位 星空の渋谷白シャツCEO 50 1ランク昇格 八合目のドラム缶風呂シャーベット 51 現状維持 父からの返球身に入む黄昏 52 金秋⑤決勝2位 フリードリンク夜学子の電子辞書 53 現状維持 凍空の窓をゴンドラ紅茶の香 54 冬麗⑤6位 雪晴の転勤ミニマリストの棚 55 1ランク昇格 春夜のおもちゃ屋プラレールのやわやわ 56 春光⑥決勝4位 日曜の空港ホテル雪の果 57 1ランク昇格 函嶺のスイッチバック朝燕 58 現状維持 夕立晴モップのごと微睡む犬 59 1ランク昇格 夕虹のA席タイムラプスの街 60 炎帝⑥12位 ※番組解説なし晩涼のRe:Re:Re:セットリストの見せ場 61 1つ前進 浄水場の金魚懐メロのサビ 62 金秋⑥予選C2位 丸善の古書フェア檸檬ケーキの香 63 ふるさと戦(福岡)5位 豚骨の湯切り良夜のご報告 64 1つ前進 ズル休みさやか駅前純喫茶 65 金秋⑥決勝4位 総立ちのフェンウェイパーク星月夜 66 1つ前進 金秋のローンチ駅のおむすび屋 67 1つ後退 冬の星信号待ちのポテト2本 68 冬麗⑥8位 初旅は海へ黄色の京急来 69 1つ前進 ガード下シメのおでんはクミンの香 70 1つ前進 靴脱げたランナー春塵の入賞 71 春光⑦予選A2位 夕桜学ラン捲り1on1 72 春光⑦決勝7位 春光の起業ゲーミングチェア届く 73 1つ後退 花冷の砂かぶり席売り子駆く 74 浜田杯8位 浜田雅功さん還暦 66穿くレジェンド薫風の温泉へ75 1つ前進 炎天の列や限定二十食 76 炎帝⑦4位 古都眩し夜は酒場の氷店 77 1つ前進 秋光の跳ね橋ドローン追うチワワ 78 掲載決定 日盛りのマック課題図書のあらすじ
▼人物紹介 「プレバト!!」ではジャニーズでも特にキスマイメンバーが多数出演する中、安定した実力を発揮し、夏井先生からも歳時記や辞書を真剣にめくっていると頑張りを評価されている。通算4人目の特待生かつ4人目の名人で、ジャニーズ初の特待生かつ名人である。
句の特徴は兼題写真の背景から感じ取る詩心。時事用語や追悼の想いを句に取り入れるなどのセンスは他の特待生にはないと高く評価されている。また、映像描写にこだわらず心情描写に徹した句があるのも特徴である。また名人以降は破調や句またがり等、定型以外の俳句も目立つようになっており、定型を好む梅沢名人からも注意される場面が見られる。
夏井先生曰く「ありとあらゆる世界に詩を探しに行く好奇心は、俳人として大きな才能の一つである(秋の一斉昇格試験)」「細やかな詩心が常にあり、社会的な句材は詩にするのが難しいが、あの若さで挑もうとしている(新年の一斉昇格試験)」と類稀な才能や努力を認めている。
その一方、語順や言葉の詰めが甘いことが多く、名人の中で添削を受ける割合が高い方だが、東国原はジャニーズさんの作風はロマンチックであると褒め称えることが多い。
自身を「プレバトジュニア」と呼び、「プレバト」の第一人者梅沢富美男の弟子だとしており、同時出演が多いためか「ミスタープレバト」からも可愛がられている。
同じくキスマイメンバーの特待生千賀と比べて、一時期停滞する印象があったが、徐々に復調。「歌は歌えないが、俳句は詠える」という本人のフレーズの通りよみがえった。夏井先生はキスマイメンバー同士で切磋琢磨してほしいと期待を寄せている。
査定は名人として足踏みが続き、スランプからの脱出が急務であったが、自分を追い込んでおよそ1年ぶりに4段昇格を決め、浜田から提案された丸刈りを免れた。しかし、千賀や北山の活躍でネットで検索しても自分の名前が出ないことを気にかけていると発言。
タイトル戦は毎回参加し、1年目は準優勝2回と調子が良かったが、ライバルの千賀が優勝した冬麗戦以降は中位から下位に沈みやすかった。しかし、第2回冬麗戦では久々の添削なし4位と好成績で、春光戦では3位、炎帝戦は4人の名人10段に続く5位、そして金秋戦でも3位と最近は安定して上位に食い込んでいる。第3回冬麗戦で遂に、10段4名を抑えての初優勝と快挙を達成。「無冠の名人」の汚名を返上し、梅沢名人からも「もう(プレバト!!)ジュニアじゃない」と成長ぶりを褒められた。一方、防衛戦となった第4回春光戦は8位と9大会ぶりの下位に沈む。そして、続く炎帝戦ではデビュー当時の熱い思いを俳句に読み、予選を2位につけるも決勝進出とはならず。金秋戦では予選1位通過・決勝も2位と高評価だったが、冬麗戦では9位に沈み波乱万丈である。しかし、第5回春光戦では10段ら俳句四天王を破って2度目のタイトル戦制覇をおさめた。
秋の他流試合では第二試合に登場。番組初の「前書き」を入れた句が成功し、東大生に勝利した。
タイトル戦覇者となってからも査定は苦しい展開が続いたが、初段から実に14回、179週の修羅場をくぐり抜けて名人5段に。さらに連続昇格を決めて現在5人目となる7段に到達。名人の威厳を保ったまま破竹の勢いで10段まで駆け上がれるかに注目を集めていた。2022年6月、名人となって5年3か月の長き歳月を経て遂に番組6人目・ジャニーズ初の10段となった。
永世名人への道はここまで7回挑戦。初回挑戦で破調の二物衝撃で幸先よく前進を決めるも、俳句は五七五が重要だと先生から注意を受けた。3回連続前進と滑り出しは好調で、4度目の挑戦で初めて後退の洗礼を受ける。2度目の後退を経て、永世名人への王手を2度掛け、遂に2023年8月、通算77句目にして史上6人目の永世名人へ昇格。名人10段から査定9回・60週という速さは千原ジュニア名人に次ぐ2番手のスピード認定である。
永世名人到達時の句集認定句は20句。永世名人のお手本としてここまで1度挑戦し、初回は幸先よく掲載を決めた。
ちなみに、[44]の句が中学生向けの明治図書出版副教材掲載を決めている。
2023年2月の放送で、一般女性との結婚を報告。春光戦予選の収録時のキスマイ北山・MC浜田と本人のやり取りが放送された。
● [1] @15/07/16◆お題:夏の海と江ノ電
『サングラス外して対す海の青』 才能アリ2位 78点
添削なし
● [2] @15/07/30◆お題:真夏のひまわり畑
『夏帽子夜行列車の網棚に』 才能アリ2位 75点
添削なし
● [3] @15/10/01◆お題:秋の棚田
『秋の夜の酒に肴 (さかな) は選ばざる』 才能アリ1位 70点
添削なし
上五の「の」、中七の「に」の助詞の使い方に工夫があり、ニュアンスが良いと評された一句。
[ここから特待生として査定] ● [4] @15/11/26◆お題:紅葉の京都・南禅寺
『紅葉散る京都は冷たき雨の中』 5級で
現状維持 添削なし
無難な句だと評された
● [5] @16/01/21◆お題:猿と温泉
『湯につかり人も猿も佳き元旦』 5級で
現状維持 添削後
『湯に人も猿もこよなきお 元日 』 ● [6] @16/02/25◆お題:房総半島 菜の花列車
『春愁の言わで別れし日の記憶』 4級へ
1ランク昇格 添削後
『春愁の言わで別れし日の鉄路 』 「春の思いを持っておりました。言わないで別れてしまったあの日の記憶が春が来るたびに私の心を悩ませます。」という意味。「で」が上の言葉を否定して下に続ける役割、「し」が過去の意味として正しく使えている。映像描写にこだわらず助詞の使い方が完璧であると評された勉強の成果がみえる一句で、「若い人が努力を積み重ねて頼もしい」と絶賛した。
● [7] @16/03/10◆お題:教室と桜
『卒業の君まなざしの大人びて』 4級で
現状維持 添削後
『卒業の君その まなざしの深し 』 季語は「卒業」。二階堂が「全く意味不明」と語る句は、甥っ子などが卒業式に凛々しい顔立ちで「また一歩大人になったね」という心情を描写。先生は「よく勉強している。色んな技を使っている」と解説し、句またがりでカットが切れる表現と、七五五の調べも褒める。感心する二階堂は「歌のテクニックは一切ないのに」といじるが、「あれは"歌"う。こっちの"詩(うた)"とは違う」と反論。査定後に「描写が甘い」と先生は評し、「大人びて」が感想になってしまい、その場の様子を描写すべきと指南。「深し」で眼差しが深く感じられれば、大人びていると思えると語り、「その」を加えて、七七三の構成に変更。句またがりのさらなるテクニックに「ここまでやれるのももうすぐだよ君は」と成長を認めるも、本人は「いや、まだまだですね」と難しそうな反応をした。
● [8] @16/06/09◆お題:東京駅と虹
『時間 (とき) 止まる人と駅舎の上に虹』 3級へ
1ランク昇格 添削なし
● [9] @16/07/07◆お題:七月七日 七夕
『許されて寺の笹切る星祭』 2級へ
1ランク昇格 添削なし
季語は「星祭」。近くの寺で七夕祭りがあり、寺で願い事をしても良いが、笹を家に持ち帰っても良い。僧侶から「笹を大事に命を大事にしなさいよ」と教えられると語った句。梅沢名人は「粋な句ですよ。若いのに洒落た句を詠んだね」と名人口調で褒める。先生は、一見地味だが味わいのある句で、状況、場所、物、動作、季語の各言葉がお互いを邪魔せずに置かれたと特待生の確かさを査定前に褒める。「生き生きと描く力がついてきた」と評す先生は、読めば読む程味わいが深く、状況から入る語順が上手いと称賛。寺にお願いして笹を切る許可を和尚さんからもらい、笹を持って帰って賑やかに飾る夜のことまでが句の背後に想像できると解説する。句の最後の余白を十分作っており、これぞ俳句と褒めた。「上手になった、横尾君。お見事」と添削不要で、連続昇格を決めた。
● [10] @16/09/01◆お題:秋の空(特待生のみの昇級昇段試験)
『鰯雲蹴散らし一機普天間に』 1級へ
1ランク昇格 添削後
『鰯雲蹴散らし一機普天間へ 』 ● [11] @16/12/08◆お題:雪の列車
『凍原を抜け越し名残列車着く』 1級で
現状維持 添削後
『片側は吹雪に凍る 列車着く 』 ● [12] @17/01/05◆お題:新春の富士山(特待生のみの昇級昇段試験)
『風止みて闇の深きを雪舞えり』 1級で
現状維持 添削後
『風止みて闇の深きを雪しずか 』 ● [13] @17/03/16◆お題:江ノ電と桜
『行け行けど迷路のごとき花の路 (みち) 』 名人初段へ
1ランク昇格 添削後
『行けど 行けど迷路のごとき花の路』 ● [14] @17/04/06◆お題:満開の桜
『夜に入りて雨となりにし花万朶 (はなばんだ) 』 第1回 俳桜戦2位 添削後
『夜に入りて雨となりたる 花万朶』 ● [15] @17/06/29◆お題:海
『籐椅子の脚もとにある水平線』 第1回 炎帝戦4位
添削後
『籐寝 椅子のあし もとにある水平線 』 ● [16] @17/08/17◆お題:京都と朝顔
『賑わいも酒の肴に夏座敷』 名人初段で
現状維持 添削後
『川音も 酒の肴ぞ 夏座敷 』 ● [17] @17/09/21◆お題:月と鎌倉大仏
『秋の暮街路に鳩のふくみ声』 名人2段へ
1ランク昇格 添削なし
● [18] @17/10/12◆お題:紅葉
『千年の樹海の風と枯葉の香』 第1回 金秋戦2位 添削なし
2017年10月月間MVH受賞句 ● [19] @17/12/14◆お題:雪の露天風呂
『湯けむりが道しるべとなり神の旅』 名人2段で
現状維持 添削後
『湯けむりは 道しるべなり 神の旅』 ● [20] @18/01/04◆お題:雪と青空
『産ぶ声や皆の顔が冬暖か』 第1回 冬麗戦7位
添削後
『産声や冬暖かき 顔々かお 』 ● [21] @18/03/15◆お題:都会のたんぽぽ
『春光の嬉しさそこに足下に』 名人2段で
現状維持 添削後
『春光の嬉しさそこここ にここ に 』 季語は「春光」。春は桜など目線を上にしがちだが、実は下にも春がいっぱいで都会のコンクリートにもそれがあるのではないかと語った一句。東国原名人は「"に"で韻を踏むテクニックを使った。"嬉しさ"が今回のポイントです」と先生気取り。査定ポイントは下五で名人はズッコケる。先生は、蒲公英をそのまま詠まない発想のレベルが良く、春の風光など様々な景色を含めた季語で、難しいことに挑戦して善戦したと褒める。「嬉しさ」の感情の後、「そこに」と手触りのある言葉も良いが、「下五が説明的」と評す。方法はいくつかあると語り、「こ」の音を重ねる方法でアレンジ。「ここに」で手触りをもう一回強く打ち出し、季語に戻ってくる添削に、名人らは脱帽。「名人ならこれくらいの技に挑戦できるが、詰めが甘かった」と添え、浜田も「これは難しいな」と本人の反応に同調した。
● [22] @18/04/12◆お題:
桜と富士山 『もの思うこと忘れおり花衣』 第2回 俳桜戦5位
添削後
『やるべきを忘れ 花衣 のうつつ 』 ● [23] @18/06/07◆お題:
梅雨の駅 『おもひではぽろぽろ遠い二重虹 (ふたえにじ) 』 名人3段へ
1ランク昇格 添削なし
2018年4月に亡くなったスタジオジブリの高畑勲監督の追悼の想いを込めた一句。見事9カ月ぶりの昇格で復活した。
● [24] @18/07/19◆お題:
砂浜 『スパイクやグローブ置いて夏の海』 名人3段で
現状維持 添削後
『スパイクも グローブも 置き夏浜のランニング 』 助詞「や」が切れ字なのか並列を示すのか誤解を受けるとして添削された一句。
● [25] @18/08/09◆お題:
ラジカセ 『夏の雲ぼくら日陰探検隊』 第2回 炎帝戦決勝5位
添削後
『夏の雲ぼくらは 日陰探検隊 』 17音で作ることにこだわった結果、リズム感を失った一句。
● [26] @18/09/27◆お題:
郵便ポスト 『ニュータウンの剥げたポストや降 (くだ) り月』 第2回 金秋戦決勝5位
添削後
『ニュータウンの剥げたポストや 月煌々 (こうこう) 』 ● [27] @18/12/06◆お題:
銀座のイルミネーション 『足袋汚し初日輝き演舞城』 名人3段で
現状維持 添削後
(演舞城 ) 『足袋汚す 稽古百日 初日 の灯 』 ジャニーズならではの発想。新橋演舞場に通い詰め、舞台の稽古で足袋を汚すほど練習した経験をもとに、初日の来客で舞台に灯がともるイメージを詠った句。「演舞城」は2006年に出演した「滝沢演舞城」公演のこと。「散文的」と評され、材料を詰め込みすぎて「演舞城」への思い入れが強くてバランスを悪くした。俳句の前書きとして「演舞城」と入れて本句から外し、「百日」という多い時間を表す美称の名詞を入れて韻を踏み、「灯」で映像を残すよう添削された。
● [28] @19/01/03◆お題:
結露 『雪晴れやエース区間の九人抜き』 第2回 冬麗戦決勝4位
添削なし
季語は「雪晴れ」。箱根駅伝を家族でテレビ観戦し、注目区間でごぼう抜きをする優秀な選手が毎年現れると、自身も感化されて今年の決意を固めるという想いを詠んだ句。梅沢名人は「読んだだけで光景が全てわかる」とプレバトジュニアと謳う弟子を称賛し、先生は「俳句の型の力を信じた句で、数詞を用いた迫力が良い」と褒める。タイトル戦では優勝は成らなかったが、添削なし上位につけた。
● [29] @19/03/14◆お題:
春の引っ越し 『地下鉄に迷い込んだシャボン玉 』 名人3段で
現状維持 添削後
『シャボン玉のごと 地下鉄に迷い たり 』 季語「シャボン玉」は、新社会人として都会の迷路に迷いこみ戸惑った若者の喩え。都会の人間関係が複雑化している様子を「地下鉄」に喩え、社会の一員を担うと決意を固めた様子を詠んだという句。中七を敢えて字足らずにし、不安な心を表現した。藤本名人に「季語を喩えに使うと力が弱くなる」と指摘され、「それ北山にも言われた」と悔しがる。浜田に「降格、気持ちはね」と査定で悪ふざけされるが、中七は「やはり七音が良い」と評す先生は、シャボン玉の素直な描写の句と読んだ場合、字足らずの中七の直後に空欄が1マスあれば、ポカンとした空白を表現する行為もあると解説。しかし、本人の意図に沿って「シャボン玉」が比喩とわかる添削をした。季語の力は弱まっても、頼りなげな若者の表情の描写としてはいけていると添えた。査定は3回連続足踏みと名人昇段が遠い。
● [30] @19/04/04◆お題:
コーヒー 『リハ室のコーヒー苦し八重桜 』 第3回 春光戦決勝3位 添削なし
季語は「八重桜」で4~5月頃に咲く桜。コーヒーの苦みを感じたときに、アイドル幼少期のリハーサルの辛さを思い出した実体験を語り、デビューが遅かった自身と遅咲きの八重桜とのイメージを重ねた句。円楽は「苦労して咲いたという話で納得した。情景がパッと浮かんだ」と褒める。夏井先生は「リハ室」からの場面展開が良く、稽古をする人物も見え、省略された言葉に様々な情報が濃縮されていると評価。「コーヒー苦し」で稽古が順調ではないのでは?という心情も読み取れると解説。季語を「八重桜」とした点が最も良く、窓の外の八重桜をコーヒーを飲みながら眺めて心を癒す場面で、少し遅めに咲く花と晩成する人物とを重ねていくと読み手はゆっくりと想像できるとし、取り合わせが分かってきたと褒めた。タイトル戦で久々のTOP3に食い込んだ。
● [31] @19/04/25◆お題:
ゴールデンウイーク[カレンダー] 『10日間おろすの忘れ春眠 』 名人3段で
現状維持 添削後
『現金 おろすの忘れ春眠十 日間 』 季語は「春眠」。改元で10連休となるゴールデンウイークに銀行から現金が引き出せず「寝るしかないか」と考える、長期休暇を台無しにした悲哀な人物を詠んだ一句。「どうしたの?何をおろすかがわからない」と梅沢名人にダメ出しされ、査定のポイントも中七となり、昇格ならず。「肝心なことを書け」と評す先生は、梅沢名人に同調し、なぞなぞのような語順も問題点の一つで、率直に書くべきと指南する。「現金」を最初に入れ、算用数字も漢数字に直して句を整えた。最後の時間情報で、読み手の心に共感が生まれる添削に、「二階堂高嗣がやりそうな失敗を犯した」とグループメンバーを罵って反省した。
● [32] @19/07/11◆お題:
夏の日光 ハイキング 『ひまわりや廃線沿いのラーメン屋 』 名人4段へ
1ランク昇格 添削なし
季語は「向日葵」。今回も足踏みなら、炎帝戦はシードなしの予選から参加すると意気込み、浜田からは丸坊主にと提案され、まさに背水の陣。日光・戦場ヶ原の歩道の兼題写真から、かつて見た光景へと発想を飛ばした句は、廃線の線路沿いには定食屋やラーメン屋があるイメージで、時代を乗り越えて頑張る店の姿を見れるのではと語った。3つの単語の取り合わせの是非が査定ポイントで、1年ぶりの昇格に思わずガッツポーズ。「対比から生まれる『映像』と『味わい』」と評す先生は、"季語+や+季語とは関係ないフレーズ"の基本の型に立ち戻った姿勢を褒める。「沿い」が大事な部分で、線路の長い広い光景に切り替わり、下五まで読んだ瞬間に、かつて繁盛していたラーメン屋を想像できると講評し、説明せずに全部伝えたと称賛した。「ひまわり」の明るさと「廃線」の暗さの対比が良く、「廃」の字で店のイメージも培われると解説し、言葉を信じないと17音で伝えるのは難しいと力量を認め、名人の面目が保たれた。
● [33] @19/07/25◆お題:
夏の波紋[緑の映る水紋] 『父語る敬遠五つ夏の雲 』 第3回 炎帝戦決勝5位 添削後
『敬遠五つ父にあの日の 雲 の峰 』 季語は「夏の雲」。緊張感のあるシーンで何かを語る時、漫画でよく使われる波紋から連想。甲子園で松井秀喜選手が5打席連続で敬遠を受けた談話を父から聞いたことを思い出して詠んだ一句。千賀は「上五で緊張感が伝わる」と本人の言葉をなぞる。先生は中七が語る情報量の多さを褒め、この時の経験を苦い思い出として持つ心情も伝わると解説。また、父の体験談かどうか確認したかったとも述べ、もしその方向性で行くならば、苦さや悔しさを句に込めるべきだと指摘。語順を変えて、季語を厳しさの伝わる「雲の峰」とし、添削後なら順位がグンと上がると評した。1位を獲れなければ次回は予選から参加するという言葉に現実味を帯びてしまう結果に。
● [34] @19/09/19◆お題:
秋の果物屋さん 『七色の果実が並ぶ秋の声 』 名人4段で
現状維持 添削後
『店先 の果実七色秋 うらら 』 『七色の果実が並ぶ秋 うらら 』 『七色の果実が並ぶ秋 さやか 』 季語は「秋の声」。買い物で商店街に行くまでの間に空気や音の全てで秋を感じ取れるが、店で果実を見た瞬間に改めて秋になることを実感する句だと語った。藤本名人は「『七色の果実』が詩人。僕は凄い気に入りました。良かったね」と昇格ジェスチャーで適当に誤魔化す。名人の指摘に賛同する先生は、色々な果実の名前を具体的に出すと山のような季重なりになるが、それを避ける前半の表現が素敵だと褒める。査定ポイントの下五において「季語の理解が浅い」と評し、"秋の物寂しい感じ"を風・水・鳥などの音からしみじみと感じるのが季語「秋の声」の本意だと解説。明るく豊かなイメージの前半と合わず、読み手をキョトンとさせると指摘し、秋のよく晴れた日を指す「秋うらら」や、秋風が吹き心地よい気分の「秋さやか」と季語を例示した。さらに「が並ぶ」も散文的要素と指摘し、場所を示すことで豊かな感じが出る添削に、出演者も思わず唸る。最後に「勉強しようぜ!」と励ました。
● [35] @19/10/10◆お題:
歩行者信号 『天泣 (てんきゅう) のプラチナ通り檸檬の香 』第3回 金秋戦決勝3位(次回シード権あり) 添削後
『天気雨 のプラチナ通り檸檬の香 』 季語は「檸檬(れもん)」で「天泣(てんきゅう)」は「天気雨」のこと。オシャレな店が集う東京都港区"プラチナ通り"で天気雨に遭ったが、雨の光とイチョウ並木の黄色の光とが綺麗だと感じ、休憩しようかと思うと近くのカフェから檸檬の香りがしたと語った一句。志らくは「イチョウと檸檬の黄色を取り合わせた。アイドルの鑑だ」と持ち上げる。先生は「オシャレな句」と評し、「プラチナ」「檸檬」の色合いの取り合わせを褒め、キラキラ感のある単語を並べたと解説。唯一の問題点が「泣」の一字で、明るいキラキラ感を削ぐと指摘し、即座に「天気雨で良い」と正解を述べた浜田を、驚愕した芸人衆が「俳句の天才」などといじる。格好つけた点が損したと添削されるも、季語にフレーズを取り合わせる基本の型を押さえた点を褒め、「よく勉強している」と添えた。本人は「背伸びした。次回は素直に書きたい」と反省した。
● [36] @20/01/03◆お題:
お鍋 『庖丁始都心は計画運休 』 第3回 冬麗戦決勝優勝 (次回シード権あり) 添削後
『庖丁始め 都心は計画運休 』 季語は料理が得意な横尾らしい「庖丁始(ほうちょうはじめ)」。都心に雪が降り、前もって計画運休したため電車が動かない。予定がなくなったため久しぶりに料理をしに包丁をとったいう句。2位の東国原名人は「これがチャレンジ。(今まで)ずっと定型で優勝にあと一歩だったと思っていたら、いきなりチャレンジしてきた」と姿勢を評価し、梅沢名人は「遂に(プレバト)ジュニアじゃなくなった。素晴らしいチャンピオンだ」と感服する。千賀名人は「頑張っている姿をずっと見てきた。一番グループ内で勉強熱心。本当に嬉しい」と語ると急に感極まる。先生は「リズムがギクシャクしており、最初は高い評価ではなかった」と意外な一言から始め、丁寧に『分析』すると評価が上がるタイプの句と評す。7音の季語から始めた場合、後半を七五で整えるが、定石を無視した型破りな挑戦と語る。「都心計画運休す」なら調べが入るものの、助詞「は」が外せない大事な1音で、自分の住まいは電車が動くが、都心”は”大晦日から大雪で計画運休すると予めニュースで知っているという読みが出来るとし、この段階で七七五を潔く諦めたと作者の意図を解説。最後に「す」や「日」を入れると、後半のフレーズに比重が重くなり、季語とのバランスが崩れると続ける。都心の計画運休の報道で、自分は初詣も福袋も諦め、今日は台所で庖丁始めをするという気分があるという味わいを語り、微妙な言葉のバランスを考えて、この形で良いと決めたのではないかという感触があったとし、『分析』を紐解いていく。俳句は一行で書くため、送り仮名を入れた方が漢字続きにならず句の姿が綺麗と微修正するも、2位の東国原名人の句との違いは、肝心の季語を活かす心遣いの差で、季語を主役にできたと工夫を高評価。今回は破調だが、俳句は定型が安定するため、五七五の調べで詠む王道の勉強をしてほしいとエールを送り、「(優勝が)若い横尾さんだったと今嬉しく思う」と賛辞を呈した。名人10段4名を抑えて悲願のタイトル戦初優勝という快挙を成し遂げた。
● [37] @20/03/26◆お題:
桜と校舎 『風光る硬式グラブ縛る紐 』 名人4段で
現状維持 添削後
『風光る硬式グラブ締 め る紐 』 季語「風光る」は春の日差しが強まり、風が光るように感じられること。現状維持が続いていたが、冬麗戦優勝の波に乗りたいと意気込んだ一句。(野球部の)新入生が新しいグラブに変えるため、型を作るためにボールを入れて紐で縛るという光景を描写し、次の練習までに気合いを入れている感じを出したと語った。梅沢名人は「素晴らしい!」と”プレバトジュニア”をベタ褒めし、「イっちゃうんじゃない?」と隠語を用いる。査定ポイントは「縛る紐」の是非。「一単語だけ違う!」と評す先生は、季語「風光る」が良く、春の日差しが増えるハツラツした感じと中七の物だけで勝負する選択が良いと褒めるも、「縛る」の動詞が勿体ないと指摘。荷造りの紐で複数のグラブをまとめて縛っているかと誤読されると解説。即刻浜田が「締める」と答え、その通りだと先生も同調。革の鳴るような感触も出てくる添削をし、「何とこの子は勿体ないことをするのか」と一喝。浜田がなぜ問題点を指摘しないのかと、査定を控える梅沢名人に問うが、「私は今自分のことで一杯です」と言い訳することに。
● [38] @20/04/09◆お題:
不動産屋さん 『夕桜新居の床に宅配ピザ 』 第4回 春光戦決勝8位(次回シード権なし) 添削後
『夕桜荷 解 く 床にピザ広 げ 』 季語は「夕桜」。新居への引っ越し作業でバタバタし、御飯も食べずに「お腹減ったな」と夕方にピザを頼んだが、段ボールの中身を出してない状況のため、床で仕方なく食べる状況を詠んだと語った。梅沢名人は下五の字余りを指摘し、先生も2つある問題点の1つに挙げる。字余りにして「宅配」と書かずとも思わせればよく、さらに「新居」は引っ越し当日の作業が終わらないイメージが思いにくく、友達数人と床でパーティするようにも読め、慌ただしさが微量足りないと指摘する。本人が語った荷物をほどくことを書けば問題点は解消すると解説し、床の荷物との間にピザを広げる映像へと添削。タイトル戦の王者陥落に「1位になって調子に乗ってました。あと、プレッシャーに負けました」と反省の弁を述べた。
● [39] @20/05/21◆お題:
デリバリー 『玄関ドアに貼る「ありがとう」夕立晴 』 名人4段で
現状維持 添削後
『夕立は 晴れ ドアに貼る「ありがとう」 』 季語は「夕立晴」。降雨のために家で出前を頼むが、今は(自粛の)この状況で「ありがとう」と店員に直接言えないため、玄関ドアに紙で貼って感謝を伝える場面を描写。外は晴れて晴れ晴れした気持ちになると語り、北山から「優しさがある」と褒められる。査定ポイントは上五「玄関ドア」の是非。「季語が生かしきれていない!」と評す先生は、兼題写真から今の情勢を優しさを持って素直に描いた姿勢を褒めるも、季語を活かす最後の気遣いに問題があるとして、語順の悪さを指摘する。「玄関」を外し、季語から始める語順に変える。注文時は大雨だったが、雨の中で配達する人に感謝を伝えようと言葉を書き、ドアを開けると「晴れてるではないか」という展開へと添削。「今日は昇格して欲しかった」と残念そうに総括した。
● [40] @20/07/23◆お題:
封筒 『夕虹やデビュー知らせし茶封筒 』 第4回 炎帝戦予選A2位(予選敗退) 添削後
『夕虹やデビュー知らせる 茶封筒』 『夕虹やデビューを 告 げ し茶封筒 』 季語は「夕虹」。自身のグループ「Kis-My-Ft2」のデビュー当時の思い出を詠んだ。ライブ中に渡された茶封筒をステージ上で開けたら、ジャニーさんの手書きで「CDデビュー決定」の知らせが書かれていた。この日はファンから「茶封筒の日」と呼ばれ、自身にとってもメモリアルな日。グループの人数と同じ7色の「虹」にしたと語った。藤本名人は「掴んだ幸せを"夕虹"に託したのが凄く良い」と褒め、後輩ジャニーズグループの河合は「当時を凄く覚えてる。キスマイが先にデビューしてるんで、次の公演の回に観に行き、悔しくて夜湯船で泣いたのを思い出した。句は凄い好きだ」と饒舌に話す。微笑ましい気持ちになったと語る先生は、一般人には経験しにくいことをストレートに書いた姿勢を称賛。状況を知らない読み手にも下五の事務的な物にリアリティーが強く表現されたのも良いと褒める。中七「し」が、過去の意味で良いのか悩んだとし、「夕虹」が今出たならば「る」として季語を立てるべきだと提案。「告げし」の言い方もあるが、過去の事を思い出す封筒ならこのままでも良いと添削なしを許容した。自分の想いが凝縮されている句で、作者にとって大事な句だというのがよく分かったと嬉しそうに語った。
● [41] @20/08/20◆お題:
カレーライス 『遠雷の夜汽車カカオの奴隷史 』 名人5段へ
1ランク昇格 添削なし
「遠雷」が夏の季語。兼題から得意な料理へと発想を展開し、カレーの隠し味でカカオを入れる発想から詠んだ。夜汽車に乗った時に読んだ本でチョコレート栽培の歴史を知った。近世~19世紀に、欧州で需要が拡大したカカオは、植民地で事実上の奴隷制度のような重労働を強いられた悲しい過去があり、もっと時代が良くなって欲しいと思って書いたと語った社会派句材の一句。「素晴らしい」と褒める梅沢名人だが、字足らずを指摘し、「さあ~どうなのかね~」と具体的には言わず。査定ポイントは、足して16音の字足らずの是非。「1音足さない勇気」と評す先生は、2カットの構造だと押さえ、夜汽車に乗っている人物が本を読むに違いないと読み手が想像できると語る。1音足して17音にする方法は簡単で、前半の最後に「よ」で詠嘆するか、最後に「は」で余韻を残す方法があると解説する。しかし、全体のバランスが崩れるのを避け、季語が主役として読み手の心に残るバランスではないかと作者が判断したと作者の意図を認め、かつての「奴隷史」を今年に句に詠みこむ意味も、若い作者が詠む意味も、心の中に深く受け止められると味わいを語る先生。ようやく遅咲きの5段到達となった。
● [42] @20/09/10◆お題:
イヤホン 『ヘッドホン外しはとバス初紅葉 』 名人6段へ
1ランク昇格 添削なし
季語は「初紅葉」で、「はとバス」は東京圏を走る定期観光バス。普段からヘッドホンを使うと語る本人。せっかくのはとバスに乗って1人旅をし、自分の世界ではなく外を見てみようとヘッドホンを外してみると、秋の虫の声や葉っぱの擦れる音を聴きながら、初紅葉を楽しもうという一句。梅沢名人が成長を認め、査定ポイントは「はとバス」を選んだ是非となる。「声に出して読むと楽しい句」と評す先生は、非常に軽やかな内容・韻律で、定型を守った点を語り、基本が身体に入ってきた印象だと認める。「はとバス」の2階の気持ちの良い席を想像させ、「初紅葉」と光景がさらに広がる語順展開を述べる。最大の工夫が韻で、中七以降の3つの「は」が頭の韻を踏むことで非常にワクワクするような楽し気な韻律を手にしたと称賛。上五の「ヘ」「ホ」とハ行の音も韻の補強をしたと解説し、名人芸だと褒めた。技術力を疑う浜田だったが、「一応、アイドルで。歌ってるんで」としっかり返答した。
● [43] @20/09/24◆お題:
文房具 2020年『体温だけ記す九月の予定帳 』秋の他流試合SP 第2試合10-8で
判定勝ち 添削なし
季語は「九月」。「2020年」は前書きで句の注釈のようなもの。去年であれば、○○に行こう~と思っても旅行に行けたが、(コロナ禍で)今年は無理だった。僕らは体温を測るが、それをスケジュール帳に書くという年になった今年ならではの一句と語り、「素晴らしい」と梅沢名人も太鼓判。敵チームの鈴木光は、「前書きを上手く使い、言葉で書かずに何で体温を測るんだろうと想像させるのが名人。ただ、『だけ』がやや散文的なので、その評価がどう転ぶか」と細かく分析する。結果は、使い切ったボールペンの山で勉強の成果を可視化する映像を詠んだ東大王・林輝幸の「銀杏散る屑物の山ボールペン」 に判定勝ち。先生は、「これは上手い」と評す。先生も仰天した「前書き」はうっかり使うと失敗するが、今年ならではの効果がしっかりあると解説。「だけ」もうっかり使うと散文的(趣がない)になるが、特殊な事情を示す単語として機能し、2020年9月は仕事の予定が何も入らず体温だけが記されていくと句の味わいを語った。「シンプルだが見事。ここの所、横尾さんは何か掴んでいる」と称賛した。
● [44] @20/10/29◆お題:
ピアノ 『休暇明アルトのビブラート太し 』 第4回 金秋戦予選B1位(決勝進出) 添削なし
季語「休暇明(きゅうかあけ)」は夏休みが明けて二学期が始まったこと。合唱コンクールでソプラノのパートだったが、夏休み明けで声変わりしてアルトのパートに変えて練習する様子を詠ったと語った句。梅沢名人は「素晴らしい。あなたと今度決勝で戦うのが怖い」と祝福する。先生は「とてもコンパクトに上手く言葉を選んだ」と評し、「アルトのビブラート」一点に絞ったことで、「休暇をどんな風に過ごしたのか?」と読み手の想いが向かうと語り、絶妙な切り取り方を絶賛。「アルト」「ビブラート」と言葉の選択も褒め、「休暇明」「アルト」で合唱部のような部活か何かで、夏休みに一生懸命練習した成果として、太い豊かな声が出たようになったと読んだと味わう。本人談のように声変わりの可能性もあると述べ、最後の3音に苦心したはずだと指摘。「太し」で「アルト」の声の質・大きさなどの豊かさが見えると褒め、「大事な勝負・着地を見事に決められるようになった点を褒めたい。上手になってきた」と成長ぶりを絶賛。見事2大会ぶりの決勝進出を決めた。
● [45] @20/11/12◆お題:
7時過ぎの時計 『流星のターミナル三分で蕎麦 』 第4回 金秋戦決勝2位(次回シード権あり) 添削なし
季語は「流星」。次の電車・バスが来るまでに小腹が減るが、少し時間があるなと思い、パッと見た立ち食い蕎麦屋に寄ってから次の現場に向かおうかという心情を詠んだと語った。千賀名人は、「『流星のターミナル』が凄く良い綺麗。『三分で蕎麦』というあるあるをくっつけたのが凄い好き」と分析し、1位が気になる梅沢名人も高揚気味に褒める。先生は、「流星のターミナル」が良いフレーズで、長距離夜行バスを思ったと語り、乗り物は列車やフェリー乗り場でも良いと味わう。「流星」の後の「ターミナル」が普通のターミナルではなく、『銀河鉄道の夜』みたいだと鑑賞する先生は、微量のロマンチックも入ったと解説。このままロマンチックで終わらず、「三分で蕎麦」という実感・慌ただしさに持ってくるのが成長した点だと絶賛する。今まではロマンチックの沼にズボズボと沈む失敗があったが、そうではないと分かったのが素晴らしいと語り、10音+7音の破調も上手く、出発しそうな乗り物を横目で見ながら急いで食べていると分かるため、自分の思い通りの語順になったのも新鮮で良いと終始称賛する先生。取り合わせの型の理解を認める形でシード権を獲得した。
● [46] @21/01/14◆お題:
輪ゴム 『七日の名もなき家事パズルの樹氷 』 第4回 冬麗戦9位 添削後
『七日名もなき家事ジ グ ソ ー の一 片 』 季語は「七日」「樹氷」。兼題の輪ゴムから家事へ発想し、中七は炊事や洗濯ではなく名前がついていない家事(雑用)で、正月の年賀状を束ねるなど。正月に暇だったためパズル(で樹氷を作る)などをするが、気付くとやることが多くて"てんわやんわ"となる。「樹氷」で冬の映像を確保し、「七日」と季重なりで勝負したと語った。千賀名人は「輪ゴムで名もなき家事に持ってくる所がよく発想を飛ばしたな」と褒めるも、梅沢名人は「『パズルの樹氷』がイマイチ分からない。失敗こいたな横尾君」とコメント。先生は、視点や意図が良く、前半を褒める。「七日」が正月の7日で、「名もなき家事」も良く、「七日」「名もなき」で「な」の韻も踏んだ工夫を称賛する。着地が問題で、パズルの絵柄が樹氷であるという情報は不要だと指摘し、「名もなき家事」の1つを軽く示唆するだけで良いと忠告。「ジグソーの一片」を置き、これをわざわざ片づけるのも名もなき家事の一つだという作者のため息も聞こえると味わいを語り、「上位3席を争っていた」と残念そうに語った。本人は「映像がしっかり見えますよね。言いたいことがはっきりして良いですね。ちょっとチャレンジ、無謀しました」と反省した。
● [47] @21/03/25◆お題:
じゃんけん 『浜風光るスクイズの土埃 』 第5回 春光戦決勝優勝 添削なし
季語「風光る」を甲子園特有の海風の通称「浜風」にアレンジして詠み、七五五と定型を崩した一句。キャッチャーが出すサインがじゃんけんに似ているところから発想し、季語「風光る」に「浜」を入れ、甲子園と分からせて良いのかなとチャレンジしたと語った。梅沢名人は「大したもんだ!」と優勝を褒めちぎる。先生は、兼題写真から野球のサインを思う発想力を称賛し、一位にした最大の理由に挙げる。「浜」をつけるか否かはケースバイケースだが、「スクイズの土埃」という後半のフレーズが野球だと明らかに分かるため、挑戦は成功していると言えると解説。野球の句も沢山あるため、類想句がないとは言えないが、この句は作者の思い通りに読者の読みを誘導出来ており、「浜」の一字で「スクイズ」があれば、海に近いスタジアムではないかと思い、「土埃」までで甲子園球場で春のセンバツを行っているのだと味わえると述べる。作者の思った方向に読者の読みを引っ張ることが出来ており、非常に確実に詠まれた句だと解説。「作者が横尾さんだと分かって、本当に頑張ってるなと思った」と終始べた褒め。2度目のタイトル制覇を達成した。
● [48] @21/05/13◆お題:
シューズ売り場 『披露宴白靴のスタッズ眩し 』 名人6段で
現状維持 添削後
『婚 祝 う 白靴のスタッズ眩し 』 季語は「白靴」。「スタッズ」とは鞄や靴に飾りつける金属製の鋲。友人の披露宴に行った時に、少し気合いを入れてスタッズのついた靴を自分が履いていくと、場違いで恥ずかしいと思う感じの句と語った。梅沢名人は「一皮も二皮も向けた良い俳句」と語る。査定ポイントは上五「披露宴」の是非。「主人公は誰?」と評す先生は、「スタッズ」による季語の具体化、「眩し」の描写を褒め、句の安定感を認める。問題点は上五「披露宴」で、カジュアルな友達だけの披露宴では新郎自身が履いている可能性も否定できないと指摘する。その場合は「新郎の」となるが、本人の意図を汲む先生は、「婚祝う」と添削。新郎と友達のような間柄の出席者がお洒落な靴を履いている様子を思わせる添削に本人も納得。「後は言葉探しだけ。むしろ中七下五が書けるようになっている横尾さんを凄く褒めたい」とエールを贈った。
● [49] @21/07/22◆お題:
Tシャツ 『星空の渋谷白シャツCEO (しーいーおー) 』 第5回 炎帝戦8位(60名中) 添削なし
季語は「白シャツ」。ニュースを見ると渋谷の社長たちが輝くように見えて活躍していることを俳句にしたと語った。梅沢名人は惜しかったとしながらも頓珍漢なことを語り、スタジオ出演者から総スカンを食らう。先生は「お洒落な取り合わせ」と評し、「渋谷」「白」「シャツ」「CEO」と「し」の韻を踏むことでリズムが生まれ、口にした時に気持ちが良い点を高評価。「渋谷」の地名から単語で畳みかける手法もキチンと使えていると褒める。悩ましい点が「星空」で、色々と上五を試した工夫の跡が見て取れると解説する。夜の光景にすることで後半の言葉が響き合い、大人のおしゃれな感じが出てくる点を称賛した先生。8位だったが、添削なしに本人も満足げな様子だった。
● [50] @21/08/05◆お題:
ソフトクリーム 『八合目のドラム缶風呂シャーベット 』 名人7段へ
1ランク昇格 添削なし
季語は「シャーベット」。夏の登山の場面。八合目の宿泊小屋にあるドラム缶風呂で疲れを取り、熱くなったためシャーベットを食べて「明日は頂上に行くぞ、頑張るぞ」という決意を句にしたと語った。凡人の藤ヶ谷や玉森に「内容が入ってこない」と言われてしまう。査定ポイントは上五を「八合目」にした判断の是非。「季語を活かす対比を工夫」と評す先生は、これは本当に良い句だと絶賛し、「内容が入ってこないから凡人の席に座っていると改めて感じた」と手厳しい。「八合目」で場所・麓から登る頑張った感が伝わり、「ドラム缶風呂」の展開も鮮やかだと褒める先生は、"今晩は八合目の山小屋でゆっくり休み、明日頂上を目指すに違いない"と普通に読めば全部わかると忠告。最後に「シャーベット」が出てくる切り返しが面白く、熱い「風呂」と冷たい「シャーベット」の対比が効いてくるため、季語が気持ちよく出ると称賛した。いよいよ10段まであと3つと迫った。
● [51] @21/09/02◆お題:
実家の柱 『父からの返球身に入む黄昏 』 名人7段で
現状維持 添削後
『返球の身に入む黄昏に父は 』 季語「身に入(し)む」。は秋の冷気や物寂しさが身に深くしみるように感じること。父が言葉で教える人ではなかったが故、この季語を使いたかったという本人。キャッチボールを人生で父と1回しかしなかったが、1球1球にドンドン力が入り、何かそこで教えてくれるのではないかと感じ、言葉ではなく自分の体に入れていけというメッセージを受け取った父との思い出を書いたと語った。村上名人は「身に入む」の物寂しさで、大人になって父の返球の力が弱まる意図を感じたと述べ、本人と異なる解釈をする。査定ポイントは助詞「から」の効果の是非。先生も「身に入む黄昏」で、村上名人の読みと同調する。原句でも成立するが、一番勿体ないのが「から」の2音の助詞を選んだ点だと指摘。「父の返球」で同じ意味になり、「から」の念押しが不要だと語り、添削を行う。「返球の身に入む」で、誰かから受けた返球をしみじみと受け止めていると読み手に思わせ、「黄昏に父は」と言い留めないで映像を作るよう提案。「夕暮れにたたずむ父は…」と余韻を持つ映像になる味わいとなり、「こういうことができるようになると、10段に向けてエンジンが掛かってくる」と本人へアドバイスした。
● [52] @21/09/30◆お題:
バッテリー切れ間近(携帯電話の電池残量) 『フリードリンク夜学子の電子辞書 』 第5回 金秋戦決勝2位(次回シード権あり) 添削なし
季語は「夜学子」。夜学校に通う生徒が学校終わりにファミレスとかに行き、フリードリンクを飲みながらずっと勉強して電子辞書の充電がなくなるイメージの句だと語った。ジュニア名人は「ドリンクバー」よりも時間経過を感じる「フリードリンク」が良いと述べる。先生は、「フリードリンク」から入る語順が成功したと評す。ファミレスでバイトなどの仕事が終わり、学校が始まるまでの僅かな時間に、小腹を満たすような光景が中七までで立ち上がり、そこら辺の組み立てが上手いと述べる。「電子辞書」という今どきの文房具で締め、それぞれの言葉が映像を立てて、登場人物もきちんと見せたと解説。作者を知って納得したのが七五五の型で、最近七五五攻めが多いため、五七五の基本も忘れずにやってほしいとアドバイスするが、この句は内容とリズムが似合っていると総評を述べた。
● [53] @22/01/06◆お題:
カーテンを開けた瞬間 『凍空の窓をゴンドラ紅茶の香 』 名人7段で
現状維持 添削後
『窓を拭 く ゴンドラ凍空の紅茶 』 季語は「凍空(いてぞら)」。休日に窓の方を見ると、窓掃除の清掃員の乗るゴンドラが降りてきて、紅茶を飲みながら寒い空を眺めている様子を詠んだという一句。梅沢名人は、ヴェネツィアのゴンドラを想起したと述べ、清掃員のゴンドラには思わない点を指摘する。査定ポイントは中七「窓をゴンドラ」の描写の是非となるが、先生の指示によりABの査定のうち、Aの結果が通達される。「もう少しだけはっきりと!」と評す先生は、「凍空の窓を」の「を」の使い方は上手く、優雅な句と称賛。問題は「ゴンドラ」で、イタリアのヴェネツィアの手でこぐものの他に、飛行船、気球、観覧車も「ゴンドラ」に当てはまり、窓を拭く掃除のゴンドラは読まれる可能性が低いと指摘する。意図をしっかり描くべきだと指南して「拭く」を挿入。「凍空の紅茶」で「香」を諦めるように添削した。窓の外でゴンドラが窓拭きをし、凍空を眺めながら、紅茶を飲んでいる光景になると解説。仮にヴェネツィアのゴンドラを意図していれば昇格査定だっただけに、「もう少しだけ、誠実に言葉を選ばれるべきでは。名人7段ですから」と忠告された本人は、「勉強し直します」と反省した。
● [54] @22/01/13◆お題:
人生ゲーム 『雪晴の転勤ミニマリストの棚 』 第5回 冬麗戦6位(14名中) 添削後
『も の 少 な き 転勤雪晴の街 へ 』 季語は「雪晴」。兼題から人生の一大事・転勤に発想を飛ばした。「ミニマリスト」とは必要最小限の物で暮らす人のことで、「今年はより一層頑張るぞ!」という意味で色んなことを整理したのが一番分かりやすいのが本棚だと思って書いたと語った。北山は「インパクトはあるが、『棚』の描写があると良い」と語り、東国原名人も同意。先生は、長い単語に果敢に持ち込んで挑戦した姿勢、「雪晴」という季語との取り合わせが前向きな表現で良いと褒めるが、名人らが指摘した後半が勿体ないと述べる。最終的に物がないか、少しだけ置いてある棚の映像や、荷物の少ない転勤の状況が明確にあれば「ひょっとすると、この人はミニマリストかもしれない」と読者の感想に残した方が良いタイプの句だと解説。焦点を「棚」「転勤」のどちらに当てるかで2通りあるが、後者で「ミニマリスト」を諦める方向で筆を執る。「もの少なき転勤」で一回切れ、"この人ホントに転勤かしら?"と読者に思わせ、「雪晴の街へ」で動きを出すことで、僅かな荷物で次の街へ行く描写となるよう添削。最後に「こういう挑戦はとても大事だと思う。ドンドンやりましょう」と指南し、本人も「チャレンジしすぎた感もありますけど、言われた通りこっちの方が分かりやすいですね」と頷いた。
● [55] @22/03/03◆お題:
おもちゃ屋さんの雛人形 『春夜のおもちゃ屋プラレールのやわやわ 』 名人8段へ
1ランク昇格 添削なし
季語は「春夜」。「やわやわ」とは、列車を連結する時、駅員が発する減速を指示する掛け声のこと。男三兄弟のため、「雛」ではなく「おもちゃ屋」から発想したという本人。夜、おもちゃ屋に行くとプラレールがゆっくり走っており、列車同士が連結する際の掛け声「やわやわ」と重ねたという一句。破調が最近多いことを注意する梅沢名人に対し、「や」の韻を散りばめた点を褒める志らく名人。査定ポイントはオノマトペ「やわやわ」の効果の是非。「二重三重の工夫!」と評す先生は、兼題写真の外を詠む発想の展開がとても良く、「夜」という時間軸を動かした点を褒める。また、「や」の韻を入れ込めるのも名人のテクニックだと続ける。「やわやわ」は、プラレールを繋ぐ感触以外に、模型の電車がゆっくり動く様子も感じられ、最終的に季語「春夜」の手触りにも及んでおり、良い選択・面白い工夫だったと解説。最後に、梅沢名人の「五七五で詠みなさい」も正しいアドバイスで、五七五の基本をしっかりやれば揺るがない足腰が出来ると忠告した。名人10段まであと2つに迫った。
● [56] @22/03/31◆お題:
ハプニング 『日曜の空港ホテル雪の果 』 第6回 春光戦決勝4位(シード権なし) 添削後
『春 雪に 閉 ざ さ れ 空港ホテルの夜 』 『春 雪に 閉 ざ さ れ 空港ホテルの朝 』 季語は「雪の果」。予期せぬ春の大雪で立ち往生し、飛行機が飛ばないため空港に隣接するホテルに泊まるハプニングを詠んだ一句。「雪の果」は今年最後の雪だが、日曜に家に帰ったら頑張ろうという感じの句にしたと語った。東国原名人は意味が伝わりにくい点を指摘。先生は、作品としては基本に忠実な句で、敢えて直す必要はないと前置き。ただ、兼題の「ハプニング」らしさを日曜日で表現するのに無理がある点を指摘する。春の最後の雪を示す「雪の果」ではなく、春に降る「春雪」へ季語を変えるよう指南。「春雪に閉ざされ」の後、「空港ホテルの」で描写し、最後に時間帯を置いた。「夜(よ)」なら最終便が出なかった意になり、「朝」なら今朝も飛ばない心情が出ると解説。順位を大きく上げていた可能性もあったと述べると、本人はざっくばらんに「え~~!。できないすよ、こんなの~」と述べ、浜田に注意された。
● [57] @22/04/28◆お題:
ゴールデンウィーク 『函嶺 (かんれい) のスイッチバック朝燕 』名人9段へ
1ランク昇格 添削なし
季語は「燕」。「函嶺(かんれい)」とは箱根山の別称で、「スイッチバック」は急勾配をジグザグに登る運転形態。箱根旅行で登山電車に乗りながら窓外で燕が飛ぶ様子を詠み、「函嶺」とした方が語呂や雰囲気が出ると思って使ったと語った。「素晴らしい」と褒める梅沢名人に続き、中田名人も取り合わせの良さを称賛。査定ポイントは季語「朝燕」の効果の是非。「気持ちのいい一句!」と評す先生は、「函嶺」の硬い響きが非常に涼やかで良く、一句に似合っていると述べる。「燕」だけで季語だが、「朝」の時間情報を入れたことで、爽快な気持ち良さや、空気の冷たさが表現され、「函嶺」という響きと付かず離れずになったと解説。さらに「スイッチバック」の動きもジグザグで、燕の動きも鋭角でと、ここも付かず離れずになったと称賛。五七五の定型が堂々として気持ちが良いと述べた。いよいよ千原ジュニア名人に追いつく9段に到達。名人10段を目前に仕留めた。
● [58] @22/05/26◆お題:
待て(犬の写真) 『夕立晴モップのごと微睡む犬 』 名人9段で
現状維持 添削後
『夕立晴モップのよ う な 犬微睡む』 『夕立晴モップのよ う に 犬微睡む 』 季語は「夕立晴」。雑誌『いぬのきもち』で連載コーナーを持つため自信満々のお題と語る本人。散歩に行けなかったワンちゃんの待つ姿が掃除用品のモップに見えた句だと語った。定型でないことを気にするは梅沢名人。査定ポイントは中七「ごと」の是非。「どっちなの?」と評す先生は、「ごと」の部分が御大の指摘した五六六の韻律と密接な関係を持っていると述べる。犬そのものがモップみたいなのか、モップのように微睡む様子なのかが、「ごと」では読み取れないと指摘。下五を「犬微睡む」とし、中七を「モップのような」か「モップのように」とするだけで犬の様子を表す微妙なニュアンスの違いが表現できると解説。「ごと」で誤魔化してはいけないと忠告し、中七は俳句の定石で確実に作るべきだと指南した。「犬微睡む」の字余りは、ゆっくりと静かに寝ている余韻を作るため添削例の方が原句よりも得になると述べた。本人は「説明し過ぎちゃうかなと思って、色々調べたら"ごと"で『これだ!』って思っちゃったんですよね」と反省。10段昇格は持ち越しとなった。
● [59] @22/06/16◆お題:
クーポン 『夕虹のA席タイムラプスの街 』 名人10段へ
1ランク昇格 添削なし
季語は「夕虹」。「タイムラプス」は早送りのような動画を撮る機能のこと。兼題から航空券を発想し、空を飛んでいる時に、タイムラプス機能で撮った早送りの街並みの映像がダイナミックに見え、綺麗な虹を取り合わせたという一句。「A席」は新幹線などもあると指摘する梅沢名人。「こだわりの言葉選び」と評す先生は、読んだ瞬間に「A席」の考え方の是非があると述べる。飛行機なら「機窓(きそう)」などを使うべきだが、「A席」は列車や飛行機などどんな乗り物でも窓際の席であることを押さえたと解釈を述べる。「タイムラプスの街」が「A席」との関連で、横に動く車窓からの街並み、飛行機の機窓からの街並みなど光景が広がり、色んな街の夕虹を見せようと作者は企んだに違いないと分析をつづった。浜田に企みを聞かれた本人は「勿論です」と肯定。千原ジュニア名人に続き、6人目の10段に到達した。
● [60] @22/07/21◆お題:
メール 『晩涼のRe:Re:Re:セットリストの見せ場 』 第6回炎帝戦12位(58名中) 添削されず
季語は「晩涼」。ライブ期間中のメンバーとのメールのやり取りをするが、返信される度に増える「Re:(り)」というフレーズを使って表現した一句。先生は、凄く挑戦したことを認める。勿体ない点は「晩涼」という季語の選択で、"だいぶ涼しくなってきて"という時間経過を表す季語ではなく、セットリスト(※演奏する曲の順番を記した一覧表)の中身を想像させる季語を思い切って取り合わせれば、順位が上がっていたと解説。それだけの潜在能力を持った句だと評した。初めてランク外となり、番組内で俳句が発表されない洗礼を受けた。
● [61] @22/08/11◆お題:
金魚すくい 『浄水場の金魚懐メロのサビ 』 名人10段★1へ
1つ前進 添削なし
季語は「金魚」。浄水場の水の汚染具合を検査するバイオアッセイの金魚へと発想。日本の水が綺麗であることや平和の表現として「懐メロのサビ」が分かりやすいと思って取り合わせたと語った。査定ポイントは「浄水場」という場所を選んだ是非。「季語金魚への新たな気づき」と評す先生は、兼題の季語から「場所」を発想するのも一つの方法だと述べ、「浄水場」の単語を取り合わせた点を称賛。「浄水場」「金魚」の関係を調べ、金魚の意外な使われ方があることを知って驚いたと述べる。そうなると、浄水場の金魚は季語ではなく、むしろ無季の句に近いような金魚の生き死にというもの・平安の意味へとガラッと変わり、それを提示している意味で驚いた一句だと語った。また、俳句は定型の五七五が一番良く、それを忘れないことが大事だと忠告した。「永世名人への道」で幸先よく前進を決めた。
● [62] @22/09/15◆お題:
食欲の秋② 『丸善の古書フェア檸檬ケーキの香 』 第6回 金秋戦予選C2位(決勝進出) 添削なし
季語は「檸檬」。兼題から夏東京・丸の内の書店「丸善」では、昭和の作家・梶井基次郎の代表作『檸檬』に因んだケーキが売られている。秋の味覚も一緒にしようと思い「檸檬のケーキの香」で匂いに誘われてカフェに入っていく感じの句だと語った。先生は作品としてはキチンと出来ていると評す。まず、「丸善」という固有名詞・本屋から始まり、「古書フェア」へ展開。「丸善」に「檸檬」が出た瞬間、本人の企み通り、梶井基次郎の丸善京都本店が舞台の小説『檸檬』が否応なく連想させられると解説。本物の檸檬かと思うと、「ケーキ」のため季語としての力が少し弱まるが、美味しそうな檸檬ケーキを表現できたと味わう。最後に香りを残すあたりも手慣れており、直す必要はないと評した。
● [63] @22/09/22◆お題:
中洲の屋台(福岡県) 『豚骨の湯切り良夜のご報告 』 ふるさと戦②(福岡)5位(最下位)★ 添削後
『豚骨のス ー プ 良夜のご報告』 『豚骨の香 り良夜のご報告 』 季語は「良夜」。中華料理屋の店主が湯切りをしている時、同僚や上司に良い報告をしているという句と語った。先生は「作品としてはなかなか面白い所を狙った」と褒め、場面は手に取るようにわかると述べる。ただ、「湯切り」から「良夜」に移る流れが少し損で、「良夜」の中秋の名月の美しい夜に対して「湯切り」の印象が強く残って季語が沈む点が勿体ないと指摘する。ジュニア名人が指摘した「豚骨」か「湯切り」かどちらかに絞るのが的確な考え方で、「スープ」「香り」などを提案。動作を出さない方が「良夜」にポンと飛び、「豚骨のスープ」などとすれば、"写真俳句"としてとても面白い作品になると指南した。ランキング戦では、タイトル戦を含めて最下位を初めて味わった。
● [64] @22/10/06◆お題:
店のオープン 『ズル休みさやか駅前純喫茶 』 名人10段★2へ
1つ前進 添削なし
季語は「さやか」。別の収録回の俳句をマネージャーに送信すると同時に今回のお題が送られてきて、今は作る時ではないと思い、休息に近くの純喫茶に入った体験だという本人。「ズル休み」「純喫茶」で面白くなると思い、取り合わせたと語った。梅沢名人は「純喫茶」の単語を絶賛。査定ポイントは傍題「さやか」の位置の是非。先生は「さやか」が秋の「さわやか」の傍題だと季語を前置き。秋の澄んだ気持ちの良いさっぱりとした空気で、かつ心情を表現する際にも使う季語だと解説する。季語の置き場所が大きな評価の分かれ目を作ると述べる。「ズル休み」より前に「さやか」だと"ズル休みがさわやか"という意味に限定され、最後だと"純喫茶がさわやか"に意味を限定すると解説。ズル休みしている時間と空間が自分にとって居心地が良い「さわやか」なという意図なら、この位置で季語の効果を上下双方に上手に及ぼし、読者は共感をすると称賛した。幸先よく2連続前進を決めた。
● [65] @22/10/13◆お題:
大谷翔平 『総立ちのフェンウェイパーク星月夜 』 第6回金秋戦決勝4位(シード権なし) 添削なし
季語は「星月夜」。「フェンウェイパーク」はボストンレッドソックスの本拠地で、ベーブ・ルースも活躍したメジャーリーグ最古のスタジアム。二刀流記録の記事を見て発想し、最古の球場を取り入れてメジャーリーグだと思わせ、「総立ち」でホームラン打ったり、三振を取ったりと記録が達成できたと分かるので、これに落ち着いたと理論づけて語った。北山は中七の固有名詞を褒める。先生は、作者の意図を固有名詞に語らせるタイプの句で、始まりも良く、「総立ち」でインパクトがあると称賛。「総」の一字で沢山だと分かり、中七の固有名詞で完全に映像が現れ、抑えの「星月夜」も沢山の人が集まる野球場の頭上全部を覆うような美しい星空が大変綺麗だったと評した。作者を知った先生は、破調が多かった本人に「五七五は良いですよ。落ち着きますでしょ。」とエールを送った。
● [66] @22/11/03◆お題:
スーパーマーケットのシャケ 『金秋のローンチ駅のおむすび屋 』 名人10段★3へ
1つ前進 添削なし
季語は「金秋」。「ローンチ」は、新しい商品・サービスを世に送り出す意味のビジネス用語で、兼題のスローガン「SDGs促進週間」から発想。企業が長々と企画してきたことがやっと実現できたという意味の句になっていると語った。梅沢名人は「ローンチ」を最初発音できなかったが、リズムが良いとコメントする。査定ポイントは季語「金秋」が機能しているかどうか。「2つの企みが成功している!」と評す先生は、初耳の専門用語の意味を調べたと述べ、ビジネス用語だと分かると、面白い取り合わせだったと述べる。伝統的な季語「金秋」は「金」の一字のイメージを強く、使いどころが難しいと解説する。「ローンチ」のようなビジネス用語を取り合わせ、"新しいことが始まる"、"一生懸命コツコツ頑張って来た"状況が一発で分かると評価。さらに、「おむすび」で豊かな実りの秋の「金秋」と響き合わさった点も褒める。調べも"対句"の型「○○の○○」を使っており、見えない所に小さな響き合いを作れたと称賛し、「これが名人」だと総評した。浜田から「ここまで言われたら直しなんてね」と返事を促された本人は「いりませんよ」と微笑みながら述べた。
● [67] @22/11/10◆お題:
ドライブスルー 『冬の星信号待ちのポテト2本 』 名人10段★2へ
1つ後退 添削後
『ポテト2本信号待ちの冬の星 』 季語は「冬の星」。車の運転手が信号待ちの時くらいしか食べるタイミングがなく、フライドポテトを2本ほどしか食べられないという句だと語った。藤本名人が語順の是非とコメントするも、査定ポイントは季語を主役に立てる工夫の是非。「語順のミス」と評す先生は、「ポテト2本」を具体的に出したのが一番良いと述べる。ポテト2本を食べる信号待ちの時間は、フロントガラスの向こうにある冷たい冬の星を綺麗だなと眺める時間でもあると述べ、このアイデアを絶賛する。しかし、語順が逆だと指摘し、手元のポテトを2本を食べるところから広い光景へいくべきだと忠告。「ポテト2本信号待ちの冬の星」と語順を整えれば、最後に季語が残り、冬の星を見上げながらポテトを食べ、"さあ、いつでも信号変わっていいよ"という時間も出てくるという、更なる味わいになると述べた。大変勿体ないミスにより、初めて後退を経験した。
● [68] @23/01/12◆お題:
ラッキー 『初旅は海へ黄色の京急来 』 第6回冬麗戦8位(15名中) 添削後
『京急は黄色だ 初旅は海へ』 『イ エ ロ ー ハ ッ ピ ー ト レ イ ン 初旅は海へ 』 季語は「初旅」。京浜急行電鉄に「イエローハッピートレイン」という車体の塗装が黄色の珍しい列車があり、これに出会うと運が上がる言い伝えから、初旅で乗車した幸運な状況を詠んだ一句。千賀名人は「京急」で神奈川県と絞れることを評価するが、二階堂は低順位に沈んだ本人に「名人になってあぐらをかいている」とダメ出しする。先生は前半のフレーズを称賛。「初旅は海へ」の余白の部分に思いが全て入るが、後半の「黄色の京急来」が淡々と書いており、全体のバランスが少々悪い点が損だと忠告。さらに、京急の黄色がどれだけラッキーなのかという認知度の問題も指摘する。語順を変えて「京急は黄色だ」とわざと口語で押さえ、「は」の効果で読者に投げかけるべきだと添削。本人が語った「イエローハッピートレイン」を前半に置く方法でも良いと告げると、本人は「はぁ~。タイトル戦でそんな勇気出せない」と本音を溢した。
● [69] @23/01/19◆お題:
おでん 『ガード下シメのおでんはクミンの香 』 名人10段★3へ
1つ前進 添削なし
季語は「おでん」。兼題から"ガード下"を思い浮かべたという本人。色んな国どうしで料理をコラボする最近の兆候から、シメのおでん鍋がカレーの味になることを「クミンの香」で想像させる意図で詠んだと語った。リズムの良さを褒めるジュニア名人は、本人が「香」が好きなことに言及。査定ポイントは下五「クミンの香」を選択した是非。「新しい型へのチャレンジ」と評す先生は、上五・下五に季語を入れて作る取り合わせの基本型ではなく、中七に季語「おでん」を入れ、全体のバランスを取って成立させる新しい型をマスターした点を称賛。中七までで、中年の男性が飲み交わす光景を詠み手に思わせ、「クミンの香」で従来のイメージから空気を変えた点も良いと解説した。星を3つに取り返すことに成功した。
● [70] @23/02/16◆お題:
つまずく 『靴脱げたランナー春塵の入賞 』 名人10段★4へ
1つ前進 添削なし
季語「春塵」は雪解けで乾燥した早春の大地に吹く強風により、塵や埃が舞い立つ様子を指す。兼題を貰ったのが正月の箱根駅伝の頃で、スポーツと「つまずく」から、男子マラソンで足を踏まれて靴が脱げるも8位に入賞を果たしたバルセロナ五輪の谷口浩美選手を想起して詠んだと語った。特待生に上がった森迫永依は「情景が浮かんでくる」、森口名人は「語順が上手く、埃臭さや懸命に塗れている感じが見える」と両者称賛。査定ポイントは季語「春塵」を取り合わせた効果の是非。「季語を信頼している!」と評す先生は、マラソン・駅伝の光景であり、季語を信じて使った点を褒める。前半「靴脱げたランナー」は眼前の光景を淡々と書いているが、"何がどうしてこうなった"と事の顛末を書きたくなるところ、必要以上のことは書かなかった点が成功し、俳句のメカニズムが理解できている本人を称賛する。後半でランナーが走ってから最後まで「春塵」の空間にあり、結果だけを「春塵の入賞」と書くことにより、大変な波乱含みのレースだと思わせる効果があると解説した。書かないで良いことがわかれば、安心して見ていられると評し、永世名人王手を祝福。最後に、36回の挑戦でも特待生になれない二階堂に、このような句またがりの型が課題だと伝言してほしいと通達した。また、紹介時に結婚後初の収録の様子も放送された。
● [71] @23/03/02◆お題:
卒業[式の壇上] 『夕桜学ラン捲り1on1 』 第7回春光戦予選A2位(決勝進出) 添削なし
季語は「夕桜」。卒業式終わりの夕方、部活が一緒だった友達や後輩と最後の思い出としてバスケットボールの1on1(ワンオンワン)をするイメージで書いたと語った。「兼題が浮かばない」と1位を逃した原因を指摘する梅沢名人に対し、藤本名人は「映画の『SLAM DUNK』を観たでしょ」とコメントし、笑いを取る。漫画「SLAM DUNK」を全巻所持しているという先生は、読んだ瞬間に「スラムダンク」にすぐ思ったと述べる。兼題「卒業」が即座にわからない問題はあるが、よく企んであると評す。桜が咲く頃の夕方に、練習着ではなく、わざわざ学ランを捲ってバスケをしている場面を考えれば、卒業の時期ではないかと読み手に伝わり、季語「夕桜」を信じることで「卒業」の方向に読みが絞られていく効果があると解説。作者の実力を鑑みて、"読みが誘導できる"と確信をもって季語を置かれたに違いなく、力がついている証拠だと称賛した。
● [72] @23/03/30◆お題:
給与明細 『春光の起業ゲーミングチェア届く 』 第7回春光戦決勝7位(シード権なし) 添削後
『春光の起業ゲーミングチェア導 入 』 季語は「春光」。「ゲーミングチェア」は長時間のゲーム用に開発された疲れにくい構造の高価な椅子。兼題から「起業」を発想し、ゲーミングチェアを使っている企業が段々増えていることを取り合わせたと語った。千賀名人は「起業」に複数名の印象があるが、「ゲーミングチェア」に1人のイメージがある矛盾を指摘し、梅沢名人は「届く」を別の単語に変えるべきだと同調する。先生は、「春光の起業」と「ゲーミングチェア」の物との取り合わせの良さを褒める。勿体ない点はまさに「届く」の違和感で、自分の所に1台だけ"自分のため"の物が届くというニュアンスを持ってしまうと指摘。起業らしさを入れるため「導入」に変えた。カッコいいオフィスでみんながこれに座り、"こういう会社に就職したい"印象になると解説。大事な押さえになる所での取りこぼしに本人は落胆した。
● [73] @23/04/20◆お題:
水筒 『花冷の砂かぶり席売り子駆く 』 名人10段★3へ
1つ後退 添削後
『売り子駆く花冷の砂かぶり席 』 季語「花冷(はなびえ)」は桜が咲く頃の急激な寒さ。「砂かぶり席」は野球場でグラウンドに最も近い観客席を指す。野球観戦の目線が低い席から、ホット・コールドの両方のドリンクを持ちながら走り回る売り子さんの様子を見て「大変だな」と思って詠んだと語った。梅沢名人は「砂かぶり席」を相撲の席に思いやすいと指摘する。査定ポイントは「花冷」「砂かぶり席」「売り子」の語順を選んだ是非。「狙いはわかるけど…ここはどこ?」と評す先生は、梅沢御大の指摘に同情し、「砂かぶり席」の認知度が野球より相撲の方が強い点を述べる。「花冷」が屋外を思わす季語で、「砂かぶり席」で屋外の土俵の座席を思うと、「売り子」が出てくるため、野球場だと読み手に辿りにくい点が勿体ないと指摘。先に「売り子」を出す語順にすれば、野球場に思う確率が高くなると忠告し、「売り子駆く花冷の砂かぶり席」と語順のみを入れ替えた。もう一押し工夫ができていたら永世名人になれたチャレンジだったと評した。本人は「"売り子"で場所は分かると思ってしまった。(3月に開催された)WBCを観てたもんで」と言い訳をするも、2度目の後退で落胆した。
● [74] @23/05/11◆お題:
浜田雅功 浜田雅功さん還暦 『66穿くレジェンド薫風の温泉へ 』浜田杯8位(20名中) 添削後
浜田雅功さん還暦 『温泉へ行 こ う 薫風のリ ー バ イ ス 』 季語は「薫風」。浜田といえばヴィンテージジーンズを履いているイメージで、上五でリーバイス66を思わせる表現を意図。浜田の歌(H jungle with Tの)「WOW WAR TONIGHT」(※1995年)の歌詞"温泉でも行こうなんていつも話してる"を引用し、還暦でみんなで行けたらなと思う句にしたと語った。梅沢名人から詰め込み過ぎと指摘される。先生は、エピソード俳句として前書きを入れる判断は良かったと前置きする。「66穿くレジェンド」で「リーバイス」と理解できる読み手が何割いるかは一種の賭けで、さらに有名な歌を引用して自作する「本歌取り」の意図まで込めたことを確認。「温泉へ」の後に「行こう」まで書かないと作者の意図は読み取りにくいと指摘し、本歌取りだと分からせるように指南する。「薫風の」の後「リーバイス」とし、前書きを効かせて"66"と思いやすくなるように添削。頑張った意欲作だと最後に総評を述べた。前書きを用いる挑戦だったが、内容を入れ過ぎて8位に沈んだ。
● [75] @23/07/06◆お題:
冷やし中華 『炎天の列や限定二十食 』 名人10段★4へ
1つ前進 添削なし
季語は「炎天」。暑い中、店の行列に並ぶが、自分が限定20食にたどり着けるのか不安の中で待つ句だと語った。上手いと褒めるジュニア名人は「炎天や」でも詠めると指摘する。査定ポイントは「炎天の列や」とした判断の是非。「映像が鮮やか!」と評す先生は、「や」の位置が悩みどころだと述べる。「炎天や限定二十食の列」でも意味は同じだが、映像をどう鮮やかに伝えるかを考えると良い判断をしたと褒める。炎天の列をくだくだ説明せず「限定二十食」という単語だけを打ち出すだけで、何のために並んでいるか一目瞭然であり、「二十」という数詞も自分が食べられるか分からない心情を思わせる絶妙な数詞を選んだと解説。最後に最近の安定感の良さにも言及した。再び星4つと永世名人へ王手となった。
● [76] @23/08/03◆お題:
行きつけのお店 『古都眩し夜は酒場の氷店 』 第7回炎帝戦4位 添削なし
季語は「氷店」。夜はBARだが、昼はかき氷屋という昼夜で客層が変わる店を詠んだ一句。昼に来店する子どもから見ると、BARで使われる酒瓶を見て「どういうお店なの?」と考えを馳せるような句にしたと語った。千賀名人は昼夜の発想の展開を称賛する。先生は、「眩し」を置いたのが上手いと褒め、日中の強い日差しを思うと「夜の酒場の」と繋ぐ展開を解説する。助詞の「は」で、自分は店の昼夜の両方の様子を知っているという行きつけ感を出す効果がある点も良いと褒める。「古都眩し」からの展開のため、行きつけではなく観光パンフレットの情報として読まれる可能性がある点を指摘。作品としては良いが、順位戦で多少損になったと述べた。永世名人が下位に沈む中、名人10段としての意地を見せた。
● [77] @23/08/10◆お題:
吊り橋 『秋光の跳ね橋ドローン追うチワワ 』 永世名人へ
1つ前進 添削なし
季語は「秋光」。ドローンから俯瞰で跳ね橋を見る感じで、チワワがドローンに向けて興味を持って走っていく句だと語った。査定ポイントは「秋光」「跳ね橋」「ドローン」「チワワ」と多くの材料を入れ込んだ判断の是非。「普通なら失敗している句」と評す先生は材料の多さに言及する。これらを17音に入れると大概失敗するが、キワキワで持ってきた点を評価。次に、複数の動きを表現した点を押さえる。ドローンが空気・秋の光をかき回し、チワワも走り回ってかき回し、跳ね橋が上がっていく空間があり、色んな動く物を配して「秋光」という季語の世界を主役にできた点を称賛する。意図してやろうとしたら相当難しいことをやっていると述べると、本人に念のため確認を取る浜田。先生はそれらの点を含んだ上で、星を5つ獲得したことを称えた。77句目の挑戦にして遂に念願の永世名人に昇格した。
● [78] @23/08/31◆お題:
夏休みの宿題② 『日盛りのマック課題図書のあらすじ 』 永世名人21句目に
掲載決定 添削なし
季語は「日盛」。夏休みの宿題で出された読書感想文を涼しいマクドナルドにてやろうと出向いたが、全く進まずに課題図書のあらすじだけ覚えて帰る印象で詠んだと語った。梅沢名人は「マック」がオシャレだと褒めるが、関西出身の浜田から「マクド」が良いと揶揄われる。「良き青春あるある」と評す先生は、「日盛り」から始めた語順の判断を褒め、暑さを逃れるために涼しいマクドナルドに行き、店内から見る外のギラギラした感じが伝わると述べる。後半の展開が面白く、課題図書を一生懸命に一冊読むのではなく、「あらすじ」をネット検索あるいは友達に聞いている展開などを思わせると解説。無理のない書き方だが、ありそうな光景で、まさに青春あるあるを書けていると評し、「横尾さん安定してきて何だか嬉しい」と称賛した。永世名人として幸先良く掲載を決めた。
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