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20180705 プレバト!!俳句紹介【かき氷】

2018年7月5日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

●お題:かき氷

◆1位 才能アリ72点 岩永徹也
かき氷 思ひ出に色 加えたり

【本人談】
思い出はどんどん色褪せていく。でも、かき氷のシロップの原色の色が一番脳裏に焼き付いているので、その日を思い出す時にかき氷の色が思い出されてくることを詠んだ。

ジュニア シュッとした男前な俳句やな。アホみたいな帽子被ってる割には。
→岩永はピンクのマカロンを思わせる洒落た帽子をかぶっていた

夏井先生
とてもシンプルな言葉だけで出来上がっているが、世界・奥行きがある。
今目の前にあるかき氷の色が、1点のかき氷の色の思い出という過去にピューンと飛んでいく。
その過去に色を付けてくれる。これ全体が詩として成立している。
「かき氷」という季語が持っている季節感はもちろん、懐かしさのような匂いがこの季語にはある。それもちゃんと表現している。
「思ひ出」「かき氷」が良い具合に響きあっている。
直す点はたった1箇所。
「思出」という歴史的仮名遣いになっている。文法の話だが、もう1箇所歴史的仮名遣いに整えた方が良い。わかりますか?
本人 「加えたり」の「え」。
夏井先生
その通り。ちゃんとわかってる。「加たり」とすれば良い。最後の「たり」の抑え目も良い。
お見事でしたよ。
浜田 せんせーい。岩永これ4回連続才能アリになってるんですよ。
夏井先生
5点からの出発としては良く勉強したと思う。
これはもう特待生になってまた苦労していただきましょう。
浜田 わかりました~!特待生!

添削後
かき氷 思ひ出に色 加たり
▲特待生昇格句

◆2位 才能アリ70点 徳光和夫
路地裏の 記憶をたどる かき氷

【本人談】
「バス旅」という路線バスの旅番組で、自分の小中学校時代に遊んでいた周辺に行った。その頃の路地裏が2本くらい残っていて、入っていくと「駄菓子屋があったはず」だと。駄菓子屋というと、かき氷を思い浮かべる。そのかき氷の機械を見た時にまさに子どもの頃の光景だと思って。

ジュニア めちゃめちゃ良い。同じバス乗ってても蛭子能収さんはこうは詠めない。

夏井先生
とても穏やかに丁寧に詠めている。
「記憶」とあれば「たどる」が要らないかも?というところはある。
しかし、この句は「路地裏の記憶をたどりながら」と「路地裏の道もたどりながら」の意味が込められている。
本人 そうなんですよ。
夏井先生 あ、ほんと?
本人 「辿る」と漢字にしようか、平仮名にしようかと迷ったところが両方に掛けたいなと。
夏井先生 ちゃんとね、心が通じましたね、私たちね。
本人 先生、今日、ヘアスタイル素敵ですね
浜田 いらんこと言わんでええねん。
夏井先生
「たどる」は好意的に認めて良いと思った。
もし、ご本人が「たどる」に深い意図をお持ちでない場合はということも想定していたが、参考にちょっとやってみる。
このままでも良いが、「記憶」とあれば「たどる」のイメージが出るから、余った音数で主役となるべき「かき氷」を描写する。
句またがりで、「かき氷は甘し」と今目の前にあるかき氷を言う。
路地裏の記憶をたどって、そのお店を見つけてかき氷を食べてみると、あの時と同じ味だったと思っても良い。
この駄菓子屋はなかったけれども、今食べているかき氷は(子どもの頃と)同じように甘いよ、と読んでくれるかもしれない。
「甘し」という描写を付けるだけで、かき氷が鮮やかに具体的に見えてくる。こうすると、これが1位だったかもしれない。

本人 おっしゃる通りでございますね。人間は甘いんですけどね

[ここがポイント]

季語を具体的に描写
※季語「かき氷」の味を描写することで、季語がより具体的になるだけでなく、語っている記憶も甘やかで懐かしいものだろうと想像が膨らむ一句になります。

添削後
路地裏の 記憶かき氷は 甘し

◆3位 凡人60点 誠子(尼神インター)
好きなのに 溶ける言葉と 氷水

【本人談】
好きな人と夏祭りに行って、告白したいけど緊張して好きだと言えず、その間にかき氷も溶けていっちゃったという切ない俳句。

ジュニア 「氷水」は「氷水」。かき氷が溶けて氷水になったと思えない。「かき氷」でいいんじゃない?
中田 胸がキュンキュンするこの俳句。私好きですよ。私もこういう時代がありました

夏井先生 (笑いながら)中田さん、私にもこういう時代がありました
浜田 もうええわ!
夏井先生 まず季語の疑問から。
千原ジュニアさんが指摘した「氷水」。意味は2つある。
(1)文字通り、氷の入った水。 (2)昔の言い方で、かき氷。
季語としての機能はあると言える。「かき氷」とストレートに言った方がイメージが伝わりやすい。
この句の良さは、中七と下五。「溶ける言葉と氷水」には詩としての核になるものがある。
問題点は、「好きなのに」の言い方。俳句は17音しかないので、「~なのに~だ」という因果関係をとても嫌う。
この句は上五が原因、中七以降が結果となっている。
上五に言葉を入れて、好きという状況がどういう状況か言える。
これはどんな感じなの。初恋系?片思い系?
本人 片思いが長い。
夏井先生
そしたら、そういえば良い。「片恋」という言葉は知ってますか?「や」と一回切る。
こうすると、「好きなのに」の状況がわかる。
5音というのは俳句で3分の1を占める。そこら辺を丁寧に考えれば、ひょっとすると才能アリの道が見えてくるかもしれない。

[ここがポイント]
因果関係を入れ込まない

添削後
片恋や 溶ける言葉と 氷水

◆4位 才能ナシ35点 浅利陽介
かき氷 先取りし過ぎた 外は雨

【本人談】
何を句にしたらいいか分からなくなったので、かき氷を食べに行った。時期が早すぎて、外も雨降っている中「寒いな」と言いながら、一人で食べていた。その思ったままを句にした。

中田 中七がね、これあのう~説明しちゃいましたね。もっと違う言葉選びの方が良かったのではないか。

夏井先生
問題点の一つはそこにある。「先取りし過ぎた」は完全に説明の言葉。
さらに、大きな問題は「かき氷」ガッカリ感しか出てない。季語「かき氷」が主役になってもらいたい。俳句では。
この句は「結局かき氷にガッカリしました。外は雨です」で終わってしまっている。そこが損。
もう少し季語を尊敬する形に持っていく。主役に押し出す。
どっちにしろ説明である中七は消す。勝手に先取りして勝手に過ぎてってください。
「外は雨」という外の光景からいくべき。「外は雨です。私たちはかき氷を喜んで食べてます」と。
そのギャップだけでもOK。
少し明るくするなら、「~だけど」を意味する逆説の接続詞「されど」を入れて、「我らの」とし、「かき氷」に持っていくとにぎやかになる。
かき氷はかき氷並にやせ我慢して楽しんでるんだけど、「外は雨」とあるから、見栄張って強そうなこと言ったって、かき氷冷たかったんじゃないの?って。詠み手は勝手に読んでくれるということ。
それが"説明をしない"という意味になる。

[ここがポイント]
季語を主役にする

添削後
外は雨 されど我らの かき氷

◆最下位 才能ナシ30点 熊谷真実
長瀞に 滑る小舟の 氷飛沫(ひょうしぶき)
※かき氷機の光景から、有名なかき氷のお店がある埼玉県長瀞(ながとろ)をイメージして詠んだ一句。

【本人談】
埼玉県長瀞では川のライン下りがあるが、かき氷も有名。ライン下りをやってたら、水しぶきがかかる。その水しぶきが氷に見えて、「あ~かき氷食べたいな」というような思いを書いた(最下位でうなだれてしまう)。

中田 真実さん、かき氷って作ればよかったのに滑っちゃいましたよ~。それと、ねぇジュニアさん。
ジュニア 季語が…。
本人 「氷」じゃだめか。
中田
 「氷」は冬の季語
本人 あ~ちゃ~。夏井先生、すみません!

夏井先生
これが、凝って凝って凝っているうちに、大事な主役の季語のことをうっかりしてしまうというタイプの句。
冷静に季語はどれかしら?と考えたら「氷」しかない。これ氷ですよ。
極寒の命を懸けたライン下りですよ。
→雪の中、船頭のいる舟でライン下りをする一枚絵で、ドアップの女性の顔に氷の粒が容赦なく当たる様子が映し出される。
厳しい寒さの中、この氷のようなしぶきが船を襲う。そういう句になってる。冷静に見れば。
そこを変えないとどうしようもない。
ここは「氷のような」と比喩だとわかるよう書くしかない。
「氷のごと飛沫」とするが、比喩にすると季語ではなくなる。
長瀞という地名を信じる。「長瀞」=「ライン下り」だと思ってもらう。
中七はバッサリいらない。
本人 あっちゃ~。
夏井先生
あっちゃ~どころの騒ぎじゃない。
ここで「夏」という季語をせめて入れる。
「長瀞の夏よ」と詠嘆する。
こうすると、「長瀞、あ~ライン下りね。長瀞の夏、素晴らしいわね。氷のような冷たい水しぶきね。船上がったら、かき氷をどうぞお食べ下さい」

本人 先生!その気持ちだったんです!

添削後
長瀞の夏よ 氷のごと飛沫

★特待生昇格試験★

ジュニア だいぶしんどい思いしてるんで、今日はいきたいね~。中田さん!いきたいね~。
中田 ぜひ行ってください!

◆「家族旅行 上がる花火に ジロ逃走」 千原ジュニア
※かき氷から子どもの頃の夏の思い出に発想を飛ばした一句。

【本人談】
小さい時に家族で旅行をした実体験。みんなで旅館に荷物を置き、花火を見に行って「綺麗な~」なんて言ってたら、一緒にいた犬「ジロ」が初めての花火の音にびっくりしたのかいなくなってしまった。、みんなで「ジロ~、ジロ!」と探したら、宿の入口で待ってた。この時期やったな~と思って書いた。

夏井先生
この句の評価のポイントはここ「上がる」です。

■査定結果
4級で現状維持

理由:散文的

夏井先生
かき氷の写真から、夏、花火、家族旅行へと連想を広げていく。ここら辺の展開はちゃんとできている。
勿論「かき氷」の映像を俳句にしても良いが、発想を飛ばそうという時には連想ゲームをしていくのは大事なやり方。
もったいないのは、普通の文章の部分部分をちぎってギュッと詰め込んだという語りになっている。そこが散文的。
「家族旅行の時に、上がった花火に驚いてジロが逃走しました」という文章をちぎっているから、読んだ時にギシギシ言葉が入っている様な感じがする。
調べに少しゆとりを持たすと良い。
「上がる」の3音を外すだけで1句がわりとゆったりと調べが動き出す。
「上がる」を外す。上五の字余りはOKなので、「家族旅行の」とし、「花火にジロの逃走す」と整える。
散文から俳句らしい調べに変わってくる。
「逃走」でも良いが、同じ意味で「遁走(とんそう)」という言葉がある。
意味は「逃げる」で一緒だが、「顔を盾で隠す」「尻込みする」「陰に隠れる」というニュアンスになる。
ジロの様子としては、この方がユーモラスで可愛らしい感じにはなる。

本人 遁走したいです。

添削後
家族旅行 花火にジロの 遁走す

中田 「名人」という2文字が、さぁ俳句を作ろうとするときに「グッグッグッ」とのしかかってくる。あ~でもなりたい。

◆「削氷(けづりひ)の けづりし音や 海に消へ」 中田喜子

【本人談】
かき氷を削っているのが海の家。その削る音が海に消えていくかのような、という情景を詠んだ。

ジュニア 上がりましたやん。名人ですやん。

夏井先生

この句の評価のポイントはここ「けづりし」です。

■査定結果
1級で現状維持

理由:問題点が4つ

夏井先生
表現しようとした光景はとてもきれい。感覚的にも繊細で良い
微かな音をちゃんと聞きとって、それが海に消えていくところまで、まさに俳人の耳が作った作品ということになる。
小さな問題点が4つある。
まず、「削氷(けづりひ)」という綺麗な言葉は良い。「かき氷」と比べて奥ゆかしさ・雅さが全然違う。
ただ、中七に「けづり」ともう1回出てくる。意図的にやったのは分かるが、あえて重ねる意味があるのかというのが1点。
2点目は「」。基本的には過去の意味。今削っているなら「けづれる」のような言い方にすべき。
なんだかんだ「けづりし」全部消せば問題点は2つに減る。
「音や」でかき氷を削っている音が読み手に聞こえてくる。「けづりし」の音数の分を、最後の消えていく音の描写に使う。
3つ目の問題点。「海に」消えますか?海は広いですよ。波打ち際のキラキラした波の音に消えていくんじゃないですか?
本人 (泣きそうな声で)そうです。
浜田 波だねー。
夏井先生
そうですね。しかも、波も音になるのでここで映像を少し入れる。泣かないで聞いて!
光れる波」とする。
最後の問題点は仮名遣い。「消へ」はヤ行下二段活用で本来「消え」となる。ここは流さないで、「消ゆ」と言い止める方が綺麗。
直すと、キレイでしょ。これなら今日は名人だったのに。

添削後
削氷の 音や光れる 波に消ゆ

【編集後記】(詳細版の更新が大変遅れました。)
今回は昔なつかし業務用かき氷機の写真でした。子どもの頃は良く食べました。
1位の句はかき氷のシロップの色を詠むかと思ったら、その思い出にも色が重なるという様々な色があるかき氷を逆手にとった見事な句でした。17音の分量も丁度良い印象で岩永さんは特待生でも大活躍間違いなしですね。
2位の句も「記憶をたどる」というところにかき氷らしさが出ていて風情のある句でした。「甘し」と味を率直に語るより原句の方が良いのではとも感じました。
3位4位は説明語があるのが残念。最下位の句は意味としては伝わりますが、冬の季語を否応なしに使ったのが大減点のようでした。
ジュニアさんは降格後に連続現状維持と調子が上がらず。散文的な点が指摘されましたが、発想の飛ばし方は良かったので次回こそが正念場です。
中田さんは名人目前で足踏みが続きます。問題点が4つという指摘は厳しいように思いましたが、壁がまだ厚いです。最もポイントとなったのが削る音が海ではなく、さざ波の音と重なるように消えるという解釈の点でした。大変綺麗な情景を詠まれるのでリベンジを果たして欲しいですね。


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コメント

Re: 更新はいつでしょうか

あゆ様

いつもご覧いただきありがとうございます。
当記事を含めた7月の2つの速報版記事は、近日中に必ず更新しますので、もう少しお待ち下さい。すみません。

更新はいつでしょうか

更新はいつでしょうか?
密かに待っています。

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