「プレバト!!」で披露された俳優 岩永徹也の全俳句一覧です。
名人初段 岩永徹也(いわながてつや) 合計26句
成績(2022年3月17日時点)<通常挑戦者時代>
才能アリ4回、
才能ナシ1回
<特待生時代>
1ランク昇格6回、
現状維持2回、
1ランク降格1回
第2回炎帝戦予選7位(最下位)、第2回金秋戦予選4位、第2回冬麗戦予選6位
第3回春光戦予選5位、第3回冬麗戦予選5位
第4回春光戦予選A2位・決勝4位、第4回炎帝戦決勝9位、第4回金秋戦予選B2位
第5回春光戦予選C4位、(第5回炎帝戦圏外)、
第5回金秋戦予選A3位
第6回春光戦予選C4位(最下位)●昇格率 66.7%(6/9)◆添削なし秀句 7句/26句→50音別一覧ページへ →ページ下へジャンプ→
人物紹介◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 | 才能ナシ | 雪弾み芽と花の咲きスプリング |
2 | 才能アリ | 冬晴れや絵の具の青を買い替える |
3 | 才能アリ | えんぴつに桜の歯型入学式 |
4 | 才能アリ | 石段を200数えて夏の空 |
5 | 才能アリ | かき氷思ひ出に色加えたり |
6 | 炎帝②予選7位 | 炎帝や船の影海底に落とす |
7 | 金秋②予選4位 | 千本鳥居紅葉辿りて神隠し |
8 | 現状維持 | ハロウィンの翌朝スープと化すカボチャ |
9 | 冬麗②予選6位 | 雪明かり辿り夜汽車は寝床へと |
10 | 1ランク昇格 | 煮大根や円周率の崩る音 |
11 | 1ランク昇格 | 冴え返るA.I.棋士の白き腕 |
12 | 春光③予選5位 | 春ぼこり固定電話の指の跡 |
13 | 1ランク昇格 | 梅雨寒やジャズレコードの傷拾う |
14 | 1ランク降格 | 三度目のATMや菊花賞 |
15 | 冬麗③予選5位 | 駅弁の箸割る音や去年今年 |
16 | 1ランク昇格 | 花冷えや解体前の観覧車 |
17 | 春光④予選A2位 | 赤本で蓋す春夜のカップ麺 |
18 | 春光④決勝4位 | 枳殻の棘や引き篭りの寝癖 |
19 | 現状維持 | 梔子の残り香不在票の無言 |
20 | 炎帝④決勝9位 | 花は葉に彼女は妻にそして母に |
21 | 金秋④予選B2位 | 色のなき風やボカロのラブソング |
22 | 春光⑤予選C4位 | どちらとも言えないに○双葉かな |
23 | 1ランク昇格 | 驀進の棋士は少年青嵐 |
| 炎帝⑤凡人 ※結果のみ発表 | バーチャルの装備に課金す裸の子 |
24 | 金秋⑤予選A3位 | 軸足のギプスの寄せ書き山粧ふ |
25 | 1ランク昇格 | 秋暁の富士へ遊覧飛行船 |
26 | 春光⑥予選C4位 | 初虹の窓辺プランター葬の鉢 |
▼人物紹介「プレバト!!」では初回出演時にまさかの才能ナシ5点と言う不名誉を与えられて大撃沈した若手男性タレント。しかし、IQ148以上の持ち主しか入会できない天才集団MENSAの会員で、宇宙飛行士適性試験でオールAAAの評価をされるなど浜田も仰天する超逸材である。他にも薬剤師の資格を持つなど勉強は得意なようで、語学も独学で習得している。初回から一転し、必死に勉強を重ねて才能アリを続けて獲得し、才能ナシ経験者としては千原ジュニアに次いで2人目、通算15人目の特待生となる。また、芸術系査定も得意で色鉛筆査定は一発で特待生に認定された。
句の特徴はさりげない場面の描写力と若者なりの発想力。季語の良さを引き出すフレーズとの取り合わせが上手い句が多く、ワンシーンの切り取り方が絶妙であり、ジャニーズの作風とは一線を画す形である。
初回撃沈からの特待生昇格と下剋上達成の印象が強く、初回の句の内容より夏井先生から「スプリングお兄ちゃん」と呼ばれ、司会の浜田から「最下位にされると逆境に燃えるタイプ」と認識されている。
タイトル戦は初挑戦で最下位となるが、第2回金秋戦では4位と健闘するも予選敗退。本人は「決勝に行けないなら最下位と同じ」と他の出演者を挑発する発言でスタジオを不穏な空気に。また、冬麗戦は6位・第3回春光戦も5位で予選敗退。夏井先生へ向けた賄賂として円楽同様に可愛らしい贈答品が毎回のように紹介されるも、タイトル戦ではなかなか成果が出せておらず、第3回冬麗戦も5位に屈した。しかし、6回目の挑戦となる春光戦で悲願の予選通過を果たし、決勝も意欲的な挑戦で4位と初めてシード権を獲得した。炎帝戦も時間経過を持つ季語に果敢に挑戦するも無念の9位となった。
東国原名人は「俳句を学問として詠んでいる」と学習姿勢をたたえているが、当の本人は「俳句は学問じゃなく感性」と別番組で否定している。
また、初の昇格試験では破調に挑戦するも昇格に失敗したが、2度目は誰も思いつかない発想と褒められ見事初昇格。
その後の一斉昇格試験・通常回と、3回連続昇格を果たして波に乗っていたが、一斉査定SPで無念の降格を経験した。しかし、再び一斉査定試験でリベンジを果たし段位の返り咲きに成功した。
過去に「仮面ライダー」のキャストとして出演していたため、特待生の松岡と仲が良く、俳句を作り合ってはお互いに指摘し合うなど切磋琢磨している。中田名人からも期待されており、インテリ若手男優としての地位を築きつつある。
本人は、早く名人になって(特番で)着物を着たいと意気込んでいた。
そして、久々の査定で美しい光景描写を詠み、見事番組13人目となる念願の名人に。着物姿披露にも期待したい。
●[1]お題:雪の露天風呂
『雪弾み芽と花の咲きスプリング』才能ナシ5位(最下位)5点
添削不可能
季語は「雪」と「花」。「スプリング」は温泉のこと。ダジャレを多く取り入れたのが本人の工夫だが季語だらけで意味不明と先生にバッサリ。なお、才能ナシ5点は番組過去最低点(当時)で、博多華丸、NON STYLE井上、佐藤二朗に次ぐ4人目である。
●[2]お題:つらら
『冬晴れや絵の具の青を買い替える』才能アリ1位71点
添削後
『絵の具欲し冬晴れのこの青が欲し』●[3]お題:入学式と桜
『えんぴつに桜の歯型入学式』才能アリ1位70点
添削後
『えんぴつに桜の歯型入学す』●[4]お題:
新緑の高尾山『石段を200数えて夏の空』才能アリ2位70点
添削後
『二百段目の夏空がそそり立つ』●[5]お題:
かき氷『かき氷思ひ出に色加えたり』才能アリ1位72点
添削後
『かき氷思ひ出に色加へたり』季語「かき氷」の季節感や懐かしさの引き出し方がうまいと絶賛されて見事に特待生に昇格した一句。
[ここから特待生として査定]●[6]お題:
夏の太陽『炎帝や船の影海底に落とす』第2回炎帝戦予選7位(最下位)添削後
『炎帝の黙(もだ)海底に船の影』●[7]お題:
紅葉の絶景『千本鳥居紅葉辿りて神隠し』第2回金秋戦予選4位添削後
『千本鳥居辿り紅葉の神隠し』●[8]お題:
朝食の風景『ハロウィンの翌朝スープと化すカボチャ』5級で
現状維持添削後
『次の日のスープはハロウィンのカボチャ』
散文的な点と「化す」がスープを不味くしているという点を指摘され、「スープ」が目の前にあるような描写により季語「かぼちゃ」を引き立てるような語順にするよう添削を受けた。
●[9]お題:
年末の満員電車『雪明かり辿り夜汽車は寝床へと』第2回冬麗戦予選6位添削後
『雪明かり辿り夜汽車は眠りへと』
季語は「雪明かり」。広い雪原の大地に小さな明かりが灯り、それを辿るかのように夜汽車が車庫へと眠りにつく様子を詠んだ一句。美しい光景だが、「寝床」の比喩が詩としての鮮度を落とし、17音も少々破綻していると先生は指摘。季語を立てるように下五を添削された。タイトル戦は3戦連続下位と厳しい結果に。
●[10]お題:
コンビニのおでん『煮大根や円周率の崩る音』4級へ
1ランク昇格添削後
『煮大根や円周率の崩るる音』
季語は「煮大根(にだいこ)」。大根が好きで、煮ている大根の丸みの徐々に崩れる様子が、円周率も耐え切れずに壊れていくイメージと重なったと語った句。東国原名人に「君の頭が壊れているのでは?"円周率"が読み手に伝わりづらいのではないか」といじられるが、取り合わせの意外性が認められて見事初昇格。「楽しい意外性」と評した先生は、読んでいくと「なるほど」と思う展開でユニークな発想を褒めた。最後の「音」は大根が煮える美味しそうな音が円周率が崩れる音だと解釈すれば、読み手に伝わると添え、連体形の文法ミスのみ添削した。
●[11]お題:
春の号外(特待生一斉昇格査定SP)
『冴え返るA.I.棋士の白き腕』3級へ
1ランク昇格添削後
『冴返るA.I.棋士の白い腕』
季語は「冴返(さえかえ)る」。春の号外の兼題写真から、将棋界でプロ棋士にも勝利した人工知能ロボット「A.I.(エーアイ)棋士」へ着想。駒を動かすロボットの感情を持たない白い腕を描写し、その冷たさを寒さがぶり返す季語との取り合わせで詠んだ一句。連続昇格となり「果敢な挑戦」と評す先生は、「A.I.棋士」という固有名詞は、そのインパクトと季語とのバランスをとるが難しいが、よく挑戦したと評価。季語と硬質な中七とが響き合い、下五で映像も出来ている点を褒め、元々ロボットで白い腕だが、人工のものだと解釈できると解説。季語の表記を添削され、下五も文語を口語に直されるが、季語をきちんと主役に立てる工夫をした上で果敢な挑戦をしてほしいとエールを送った。
●[12]お題:
春の鮮魚店『春ぼこり固定電話の指の跡』第3回春光戦予選5位添削後
『魚屋の電話機春埃の指跡』
季語は「春埃(はるぼこり)」。鮮魚店に実際に行ったと語った句は、目についた固定電話が埃をかぶり、表面に指の跡が見えて、繁盛していない店なのではと思って詠んだ。村上名人は「"固定"と言わなくても固定電話とわかる」と くどくど説明するが、梅沢名人に「何言ってんだ。魚屋のお題が出てないことをビシッと言え」と調教されてしまう。先生は、店の奥にある固定電話に目を付け、指の跡までズームアップする切り取り方も悪くないと褒めるが、両名人の指摘に賛同する。「魚屋の」と場所情報を入れ、「電話機」という物が見える言い方に直し、「埃」も漢字表記にして語順を添削した。添削後、本人は「カッコよくなって埃が好きになりました」とインテリらしい返しをしたが、タイトル戦は4回連続で予選突破できず、中田名人からも「弱いですね」といじられてしまった。
●[13]お題:
梅雨の物干しハンガー『梅雨寒やジャズレコードの傷拾う』2級へ
1ランク昇格添削なし
季語は「梅雨寒」。早く名人になって着物を着たいと意気込んだ句は、ジャズ喫茶での体験を詠んだ。梅雨時はレコードの針が傷を拾って音が飛びやすいと店員に聞いたことから着想。志らくは「とっても良い句。俳句も人も良いから、いじると悪党に思われる」と自身を卑下する。ポイントは季語と下五の関係となるが、3回連続昇格を決める。「触覚と聴覚を巧みに表現した句」と評す先生は、皮膚感・触覚に軸足のある季語でカットを切るが、下五のレコードの「傷」も皮膚感のイメージがあり、「寒」「傷」が響き合うと解説。「音」と書いてないが、着地の動詞で音飛びの音を読み手の耳に聞かせる効果を生み、丁寧に考えて作ったと称賛した。レコードの溝1本ずつに湿気が及ぶかのような感触も全体から伝わり、よく勉強していると褒めた。自身初の添削なしとなり、調子に乗ってきた。
●[14]お題:
ATMの行列『三度目のATMや菊花賞』3級へ
1ランク降格添削後
『菊花賞今日三度目のATM』
表面的な季語は「菊」。「菊花賞」はJRA(日本中央競馬会)が主催し、10月下旬に行われる京都競馬場の重賞レース。兼題写真に季節感がないため物語を作った句は、菊花賞のレースに賭けた経験を描写。ATMで何度もお金を下ろして臨んだときの心情を詠み、上五に「三度目の正直」という気持ちを込めた。藤本名人は「上五は"三年目"って事?」と鋭く指摘。本人は「その日にお金を使った(菊花賞以外のレースでも浪費したという意味だと推測)ので3度ATMに行った」と説明。名人は「少し分かりにくい」と続け、「想像力の欠如じゃない?」と自身の句にも批評されたパックンが返し、「うるせえな、お前!」と名人。査定ポイントはやはり「三度目」の是非で、初の降格査定に。「足りない言葉がある!」と評す先生は、大事な情報を単語1つだけ抜かしたと語り、語順もあだになったと指摘。ここで「"いつや"と入れてない」と浜田の呟きが的中して出演者が仰天し「天才や!」と藤本名人が持ち上げる。「今日」一日という時間情報がなく、銀行のカードを新規発行した人物かと誤読される語順だとも解説し、「菊花賞」の現場から書くべきと語順を変えた。前半で当たり馬券を3回も出したかと思うと、下五で"おけら街道"と分かるオチになると解説。5級なら見逃したミスだが、1級を目指すならキッチリ押さえるべきだと忠告した。
●[15]お題:
年末年始の駅弁売り場『駅弁の箸割る音や去年今年』第3回冬麗戦予選5位添削後
『駅弁の箸割る去年今年の車窓』
季語は「去年今年(こぞことし)」。高浜虚子の句「去年今年貫く棒の如(ごと)きもの」のようなオシャレな句を作りたいと思い立ち、この季語に挑戦。1膳の割り箸は割ると2本に分かれるように、月日は「去年」「今年」と本来は繋がっている流れも時間を点として捉えた時に言語という手段で扱いやすく(分割出来ると)しており、個性が出る駅弁を目の前にして割り箸を割る仕草で新年を迎える気持ちを表現したと、隣の順位の北山に話しかけるように語った。藤本名人は「虚子の季語を引用したのは凄く良い」と知ったかぶりで語るためジュニア名人にはたかれるも、「高浜虚子の口癖や」と返し、「風呂入ってあ~『去年今年』」とジュニアも続け、俳句ギャグが先生に大うけする。「物凄く頑張っている姿勢を強く褒めたい」と語る先生は、難しい季語への挑戦を称賛。ゆく年くる年という単純な感慨を指す季語ではないと解説し、さっきまでの時間が去年に切り替わる一瞬のイメージの他に、ゆく年くる年の感慨は永遠にまた来ると付け加え、”一瞬の奥に永遠を抱える”ような難解な意味合いを虚子の例句も持つと続ける。「音や」の強調で、箸を割った瞬間に去年になった一瞬だけを意図したため、季語の一面しか描けない点が勿体ないと指摘。一方、年をまたいだ瞬間に列車に乗ったまま駅弁を食べる人物の状況に興味を引いたと岩永の句に筆を執る先生は、「音や」を光景を描くべきと「車窓」に変える。車窓の暗闇の中、所々の街灯の光が通り過ぎる時間のイメージと重なって映像化されていく添削なら1位を争ったと発想の良さに太鼓判を押されるも、タイトル戦は5大会連続予選落ちに終わった。
●[16]お題:
観覧車『花冷えや解体前の観覧車』2級へ
1ランク昇格添削なし
季語「花冷え」は桜が咲く頃に急に冷え込む感じを指す。小さい頃から通った遊園地が閉園することになり、よく乗っていた観覧車も解体することが決まった。その寂しい気持ちを季語で表現したという一句。村上名人は「良さそう…」ととぼけるも、大きな失敗ポイントがないとコメント。梅沢名人は「置きに来た」と指摘する。査定ポイントは季語「花冷え」を選んだ是非。「季語が効果的」と評す先生は、季語+「や」+映像をもつ取り合わせという基本の型を守ったと褒め、梅沢名人の指摘を一蹴。季語勝負で、どんな季語を用い、かつ主役にできるかが重要だと解説する。桜の美しさと解体前の観覧車の明暗の対比を表現し、「冷え」で誰も乗らない鉄骨が冷える感触も感じ取れるとし、効果的な季語を選んだと称賛した。
●[17]お題:
カップラーメン『赤本で蓋す春夜のカップ麺』第4回春光戦予選Aブロック・2位(決勝進出)添削なし
季語は「春夜」。受験勉強の場面を詠んだという句は、赤本の分厚さを利用し、お湯を注いだカップ麺に蓋をする動作を描写。過去問を解いた後の休憩時間を表したと語った。村上名人は「短い17音の中に、赤本で受験勉強する映像が何の無理もなく浮かぶ」と褒め、ジュニア名人は「良いですね~、頭の良い感じ。俺から"赤本"は出てこない。赤本の厚みはどれくらいか知らない」とボケる。先生は、本でカップ麺の蓋をする発想は見られるが、「赤本」で受験生と分かる言葉の経済効率が良いと褒める。「赤本で蓋す」と季語を含む「春夜のカップ麺」という句またがりの2フレーズを取り合わせ、俳句の応用の形を自然に作ったと称賛。6度目にして初のタイトル戦予選通過となった。
●[18]お題:
不動産屋さん『枳殻の棘や引き篭りの寝癖』第4回春光戦決勝4位(次回決勝シードあり)添削なし
無季。ただし、「枳殻(からたち)の花」は春、「枳殻の実」は秋の季語。兼題写真から、引きこもりの人物の様子を詠んだ。白い花を咲かせるカラタチの鋭い棘が、引きこもりの大事なあらゆるものに尖って守る感じを、髪型の整ってない感じに重ねたと語った。梅沢名人の「チャレンジした。”枳殻の花”は春の季語だが、”枳殻の棘”では季語にならない」とのコメントに感動を覚えた先生。一般に樹木単独では季語にならず、「花」や「実」ができる季節が季語となると解説し、この句は無季の句と思う読み手が多いと前置きする。「や」で「棘」を強調し、引きこもる人物の人を拒絶する棘や、自身を責める棘を想像させると解説し、上五と「引き篭り」をくっつけて読むと奥行きが広くなると続け、「意欲的で嬉しい」と総括。シード権を獲得する大活躍を遂げた。
●[19]お題:
デリバリー『梔子の残り香不在票の無言』2級で
現状維持添削後
『不在票あり梔子の香の夕べ』
季語は「梔子(くちなし)」。兼題から郵便受けの不在票へと発想。ポストに不在票があると、無言の主張を感じて気になり、クチナシの残り香と取り合わせたと語った。梅沢永世名人は「この句はクドい」と吐き捨て、「『梔子』とあれば、『残り香』は不要」だと指摘。査定ポイントは「残り香」と「無言」の関係の是非。「ちょっとクドい!」と評す先生は名人の意見に同意し、「梔子」の香りが強いため、「残り香」で余韻を読者に押し付けられる感じがすると指摘する。「残り」は不要で、帰宅時の不在票のアップから描く語順に変え、時間情報を入れて、夕暮れに香りがずっと濃くなるという表現へと添削した。梅沢名人と心が分かり合えたのが奇妙だと先生は語り、梅沢永世名人はご満悦に。
●[20]お題:
ポイントカード『花は葉に彼女は妻にそして母に』第4回炎帝戦決勝9位(次回シード権なし)
添削後
『花は葉に彼女は匂はしき妻に』
『花は葉に彼女は母として生きる』
季語「花は葉に」は「葉桜」の傍題で、桜の花が散って葉桜へと変わりゆく美しさを指す。ポイントカードが日常の小さな積み重ねの変化のイメージを持つ点から着想。付き合っている彼女が時間を追って「妻」「母」に変わっていく様子を詠んだと語った。梅沢名人は「詰め込み過ぎ」と指摘。先生は「花は葉に」を使った姿勢が良く、時間経過を持つ季語を使うのは難しいと押さえる。時間経過に対して、女性の姿を描こうとした意図を褒めるも、人生を早送りしすぎたと問題点を指摘。「妻」「母」の片方に絞り、ワンポイント添えるだけで良くなると忠告し、「妻」の場合は表情を添える添削を行う。なお、放送後の自身のTwitterで、出産して母になった妹に宛てた句だと明かしている。
●[21]お題:
ピアノ『色のなき風やボカロのラブソング』第4回金秋戦予選B2位(予選敗退)添削なし
季語「色なき風」は「秋の風」の傍題。「ボカロ」は「ボーカロイド」の略で人工音声合成装置のこと。自身は作曲も行うが、キーボードにスマホで歌詞を送信してから、鍵盤を弾くと初音ミクなどの機械の声で再生されるボーカロイドでラブソングを作る様子を詠んだ。ボカロで作曲をし、歌ってくれる機械音声は、色っぽさや切なさが感じられず、華やかさや艶っぽさがない「色のなき風」の季語と取り合わせたと語った。内容を理解できない浜田は、「ボカロ」について詳しく問うが、内容を知る周囲から事例を次々に囁かれ、「あ゛~、もうええわ!分からへん」と諦めてしまう。先生は、省略の良し悪しの意見は分かれるが、周囲の若者は普通に使うようで、略語は許容できると判断したと評す。「色なき風」は平安時代の和歌にも使われる古い季語で、秋のイメージカラーである白を由来とする季語だと解説。御大の指摘通り、「色なき風」と表記すべきで、「色なき風やボーカロイドのラブソング」でもあまり違和感はなかったはずと例示する。新旧のものを合体させる意気込み・挑戦を認めたいと語り、添削なしを許容した。補欠4名では唯一の添削なしだったが、決勝進出を果たせなかった。
●[22]お題:
きのこの山とたけのこの里『どちらとも言えないに○(まる)双葉かな』第5回春光戦予選C4位(予選敗退)添削後
『双葉萌ゆどちらとも言えないに○』
季語は「双葉」。先日答えたアンケートの選択肢に、「はい」「いいえ」「どちらとも言えない」の3つがあり、「どちらとも言えない」に丸をする心境が、兼題の「きのこの山」「たけのこの里」のどちらが好きかの論争で、両者とも好きだと答える心境と同じで、論争には触れない「双葉」のイメージを取り合わせたと語った一句。梅沢名人は「○」の工夫を褒めるも、意味が伝わりにくいと指摘。先生は、兼題からの発想の展開に仰天し、その挑戦を褒める。「かな」の詠嘆が浮き上がっている問題点を指摘し、映像にとどめるべきと捨て石の言葉「萌ゆ」を季語の後ろに加え、語順も整えた。最後に「○」が来ると、「○」と双葉の形が触れ合うと解説。1位も狙えただけに先生は「掴んでいたものを自分からドブに落とした」と敗因を語る。本人は「『萌ゆ』の方がオシャレで良い」と納得していた。
●[23]お題:
コーラ『驀進の棋士は少年青嵐』1級へ
1ランク昇格添削なし
季語は「青嵐」。昨年の王位戦の様子を詠み、藤井聡太さんが将棋界を駆け上がる姿を「青嵐」と明るくて力強い季語と合わせたという一句。「桂馬」の使い方が独特で定評があり、午年生まれの藤井氏にあやかり、「馬」の字が入る「驀」の字を入れたと語った。梅沢名人は「大したもん。五七五でまとめたのは梅沢富美男がモデルだ」と自身を鼓舞し、定型俳句を今後も詠むように促す。査定ポイントは「驀進」「棋士」「少年」「青嵐」の4つの単語を並べた是非。「たくさんの情報をスッキリ入れている!」と評す先生は、手堅く基本の形にきっちり入れてきたと前置きする。一見、多くの情報を入れているが、季語「青嵐」ともう1つの要素「少年」を入れた取り合わせの型のセオリー通りだと語る。突き進むイメージの「驀進」、何者か表す「棋士」が、「少年」に集約されるため、季語ともう1つのものという基本の作り方を守っていると解説。さらに、4つの単語それぞれに「し」が含まれる韻にも触れ、一句の中に響いている調べが特徴的だと褒めた。いよいよ1級となり、「将棋だけに名人まで王手です」と嬉しそうな本人だが、覗き込むように「ん?」と返す浜田へ、「そんな顔しないの」とミッツ名人がなだめた。
●[24]お題:
スポーツの秋『軸足のギプスの寄せ書き山粧ふ』第5回金秋戦⑤予選A3位添削後
『軸足のギプスに金秋の寄せ書き』
季語は「山粧(よそお)う」。サッカー部にいた実体験に基づいた句と語る本人。軸足を怪我した友達が白いギプスを巻かれているが、そこにメンバーが多色ペンで寄せ書きをした思い出があり、秋の山が紅葉でカラフルになる様子の「山粧う」と状況を重ね合わせたと語った。東国原名人は3位以下に終わった高学歴挑戦者へ、「勉強はできても俳句の詩的な心・人としての心をもうちょっと磨いて」と手厳しい。先生は、「軸足」と書いた判断がとても良いと述べ、サッカーなどのスポーツを思わせる効果を語る。「ギプス」でケガをしたと分かり、白の印象も効いていると褒める。勿体ないのは季語の選択だと指摘。「軸足」「ギプス」「寄せ書き」と映像が徐々に細かくなる視点だが、いきなり山の光景へポーンと飛ぶのが物凄く損だと述べ、語順を変えるよう指南。「ギプスに」と助詞を変えれば、「に書いている」ことが間違いなく伝わり、今書いている感じもすると述べる。秋の華やかな印象の季語として、「金秋」とし、「ギプスに金秋の寄せ書き」と寄せ書きのアップで終わる語順にすれば、鮮やかさや次への期待感が出ると解説。「良い所まで詰めていた」と惜しかったように述べ、本人も悔しそうに反省の弁を述べた。
●[25]お題:
富士と紅葉『秋暁の富士へ遊覧飛行船』名人初段へ
1ランク昇格添削なし
季語は「秋暁(しゅうぎょう)」。富士山のご来光を見に行くツアーがあり、いつか乗ってみたいと言う本人。秋の日の出の頃、富士に向かう遊覧飛行船の大きいスケールの絵が浮かんだため、今回の兼題で作りたかったと語った。お腹が空いていた梅沢名人は「素晴らしい!」と絶賛し、助詞「へ」を褒める。査定ポイントは助詞「の」「へ」を選択した是非。「季語を主役にする工夫!」と評す先生は、まず語順を褒める。「秋暁」の季節と時間により、ゆっくりと暗いところから明るくなる表情が出る点を述べる。一番褒めるべきは方向を示す助詞「へ」で、「秋暁の富士」により大きな光景・空間が既に出来ているため効果的だと語る。何が来るかと思うと、大きなゆっくりとした「飛行船」が大きな光景に入ることで、「暁」もまたゆっくりと明るさを増す効果を生み、季語「秋暁」が一番主役に立っていると解説。「これが出来だしたら名人」だと称賛した。遂に念願の名人となり、着物を着たいという夢が叶うことに。
●[26]お題:
階段orエスカレーター『初虹の窓辺プランター葬の鉢』第6回春光戦予選C4位(最下位・予選敗退)添削後
『プランター葬はつ虹の大きな窓』『プランター葬を選べば春の虹』(二者択一に寄せる)
季語は「初虹」。「プランター葬」は、プランターや植木鉢の土の中に死んだペットを埋葬すること。小さい頃にプランター葬を行ったという本人。実家の階段を上がった所にある大きな窓の傍に鉢を置き、窓辺に虹が出たり、植物に実がなったりするとペットのことを思い出すが、「初虹」と「プランター葬」が命を感じる言葉で響きあうと思って詠んだと語った。発想力を褒める梅沢名人だが、「プランター葬」を頭に持ってくる語順の方が良いと指摘。先生自身も「プランター葬」が初耳だったが、兼題写真からなぜ出てくるかが大きな一つの疑問だったと前置きする。「プランター葬」と「初虹」と取り合わせる選択は悪くないが、全体のバランスでは「プランター葬」の印象・言葉の質量が大きくなり、季語「初虹」が脇役になるのが最大の問題だと指摘。梅沢名人の指摘通り、語順を変えた上、「プランター」と「鉢」で情報が重なる点も軸足が重くなる要因の一つで解消すべきだと指南。「プランター葬」の後、漢字が続くため季語を「はつ虹」と平仮名にし、本人の語った"命のイメージ"を出すため「大きな窓」と光景を広げた。希望や"新しい芽が出て実がなる"イメージを後半で補償すればバランスが取れた面白い句材だと評した。また、兼題の二者択一のテーマ性でも取りこぼしており、仮に「プランター葬を選べば春の虹」とすれば二者択一のニュアンスが入るとアドバイス。今回も決勝進出とはならなかった。
- 関連記事
-
スポンサーサイト