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20231019 プレバト!!俳句紹介【渋谷スクランブル交差点】

2023年10月19日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※30日に全て更新しました。大変お待たせ致しました。
→プレバト!! 公式X(旧Twitter)/公式インスタグラム

挑戦者→水野真紀[2],山下真司[2],武田真一[初],青山フォール勝ち[初],中田喜子[69],千原ジュニア[101],梅沢富美男[207] ※数字は挑戦回数

●お題:渋谷スクランブル交差点
渋谷スクランブル交差点

清水アナの俳句査定(プレバト!!公式Xより)
清水アナの俳句夏井先生評
秋時雨傘握りしめ交差点凡人です。中七をもう一工夫!

🔷挑戦者語録
水野真紀○1※前回才能アリを獲得。句会経験者だと自白している。元NHK朝ドラヒロイン(「凛凛と」)。現パナソニック(松下電器)のCMキャッチコピー「きれいなおねえさんは、好きですか。」の初代イメージキャラクター。
「やっぱりプレッシャーはあります」
山下真司×1※俳句査定は7年ぶり。夏井先生のYouTubeで予習したと豪語。
「(お題の現場に)行きましたよ。それで閃いたんです!先生!」
武田真一初挑戦※30年勤めたNHKを今年2月に対局したフリーアナウンサーで56歳。名字は濁らない「タケタ」読み。趣味はギター。学生時代はバンドを組んで自分で作詞した歌を歌っていた。
「NHKに勤めてましたから毎日渋谷に通っていた。季節を感じないことがないから難しかった」
青山フォール勝ち初挑戦※お笑いトリオ・ネルソンズのメンバー。岸健之助と共に出演(※和田まんじゅうは水彩画に出演)。
「僕らが所属するヨシモト∞ホールが渋谷にある。15年通ってるんで、僕の気持ちをそのまま乗せた」
★ランキングシートの分布は分布を明かさずに発表。

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位71点
※特待生昇格
水野真紀
オーディション帰り渋谷の秋そぞろおーでぃしょんかえりしぶやのあきそぞろ
2才能アリ2位70点山下真司
秋の夜ビルの谷間に光る傘あきのよるびるのたにまにひかるかさ
3凡人3位60点武田真一
三十年余勤めし渋谷野分晴みそとせよつとめししぶやのわきばれ
4凡人4位55点青山フォール勝ち
(ネルソンズ)
天高しビジョンに写る同世代てんたかしびじょんにうつるどうせだい
5名人9段へ1ランク昇格中田喜子
青年の歩幅につられ秋空へせいねんのほはばにつられあきぞらへ
6永世名人28句目に掲載決定千原ジュニア
秋雨や渋谷の路地に鼠と吾あきさめやしぶやのろじにねずみとあ
7特別永世名人なのにガッカリ…梅沢富美男
甘栗の香を行く渋谷交差点あまぐりのかをゆくしぶやこうさてん
順位発表順:2位→最下位→3位→1位
→編集後記

●それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ71点 水野真紀
オーディション帰り 渋谷の秋そぞろ

【本人談】
34年前の秋のこの時期にNHKの朝ドラのオーディションを受けていた。戻る途中、渋谷の交差点で垢ぬけた人を見て「うわ~、もうやっぱり私じゃダメかな」「あの演技で良かったのか」と不安で、心もとない気持ちに襲われてしまった。

夏井先生 
のっけの「オーディション」である程度の人物像が見える。俳優・歌手・ダンサー・タレントと。
「帰り」がこの位置にあることで、終わったという状況も分かる。
その結果を「そぞろ」で匂わせている。
意味は複数あるが、心が落ち着かない・不本意で思うようにいかない。
そういう解釈ができる。
とても確かな一句に仕上がった。直しは要らない。
本人 ありがとうございます。

浜田 先生、これ水野さん2回連続で才能アリ獲ってますけど、どうですか?これ。
夏井先生 確か前回の部活の口語の句だった(→「冷やし中華明日も朝練あるってよ」)と記憶しているが、ああいうタイプの句もこういうタイプの句も作れる。基礎がしっかりしている印象があるため、特待生になってもやっていけるんじゃないかなと思う。
本人 えっ?えっ?
浜田 水野真紀さん、特待生~!
梅沢永世名人 やった!
本人 えっ?ありがとうございます。えっ…こんなことってあるんだ。
千原永世名人 最短じゃない?
浜田 もう、遠慮します?
本人 いえいえいえいえ(笑)。

●解説のポイント
「オーディション」で人物像が見える
俳優・歌手・ダンサー・タレント
落ち着かない心・不本意など「そぞろ」で匂わせる
とても確かな一句に仕上がった
前回の句とは異なるタイプで基礎が出来ている
特待生になってもやっていける

添削なし
※特待生昇格句



◆2位 才能アリ70点 山下真司
秋の夜 ビルの谷間に 光る傘

【本人談】
渋谷スクランブル交差点に行ったら大雨が降っていて、傘(を差す人)が凄かった。周囲の広告塔がブルーやグリーンで、傘に反射した明かりが光る傘の群れになっている。コレはいけるなと思った。

梅沢永世名人 これはいい俳句ですよね。
本人 嬉しい。
梅沢永世名人 もしかしたらこれが1位になれなかったのは、「に」だと思いますね。「ビルの谷間に」という「に」がちょっと私気に入らない。それと語順かな。
浜田 う~ん。
梅沢永世名人 いや、何か原因はあるんです!(笑)
千原永世名人 そらありますよ!
浜田 それはそうですよ。
梅沢永世名人 いやそのぐらい…。
浜田 それはそうだから1位になれなかった。
梅沢永世名人 悪いところを指摘するとなると迷うぐらい良い俳句なんです。
浜田 あ~なるほど、なるほど。

夏井先生 
「光る傘」と着地しているところが良い。
「雨」と書いてないが、雨が降り出したことが映像として描けている。
おっちゃんは今日乗っけから冴えている。
中七「に」が障るというのは私もまったく同じ意見。
まず「ビル」から。光景を少し広げる。
「ビル街の谷間」とすれば、少し俯瞰な光景で映像が広くなる。
「秋の夜」を「秋夜(しゅうや)」と言い換えて、「を」として「光る傘」に持ってくる。
梅沢永世名人 あら!素晴らしい。
夏井先生 ビル街の谷間を上から見て、カットがポンと切り替わって、秋の夜を光っている傘が沢山ある。
もう、ホントお上手になってます(笑)。

本人 良かった~。
浜田 才能ナシからですからね。
本人 今日はね、ここ(→最下位の席を指さす)を覚悟して来ていたんですよ。
浜田 なるほどね、我々もそうだと思ってました(笑)。

●解説のポイント
「光る傘」の着地が良い
雨が降り出した映像が描けている
中七「に」が障る
「ビル街」として俯瞰な光景へ広げる
「秋夜(しゅうや)」で句またがりの型に
ホントに上手になっている

添削後
ビルの 谷間秋夜 光る傘



◆3位 凡人60点 武田真一
三十年余 勤めし渋谷 野分晴

【本人談】
(NHKに勤務する)ほとんどの期間を渋谷スクランブル交差点を渡って通勤していた。その思いを振り返ると「野分晴」(※台風一過の晴天)で、苦しいことも楽しいことも色々あったが、まるで台風一過のような今はスッキリした気持ちだという思いを込めた。

夏井先生 
上五は「みそとせよ」と読めば確かに5音に入るが、どこか実感が薄い読み方。
普通に「三十余年(さんじゅうよねん)」とすれば実感が出てくる。具体的に何年?
本人 33年です。
夏井先生 それならストレートに「三十三年」と書くとあなたらしさが出てくる。
もう1つの悩みどころは最後の季語の使い方。
どうしても、33年勤めてきた自分の人生を託す方に軸足がグッと来ている。
「野分晴」という季語の映像が薄くなっている。
最後の季語は「野分晴」でダメという訳ではないが、例えば「天高し」や「秋高し」などこういうのをストンと置けば、33年間に色々あったと読み手が読んでくれる。
うじゃうじゃ言ったが、退職の思いを書いた句としては普通(笑)。

本人 あ、でも「三十三年」だとだいぶ字余りになりますよね。それは良いんですか?
梅沢永世名人 上五につけることは大丈夫なんです。
本人 あ、良いんですね。
梅沢永世名人 今度、ご連絡下さい(笑)。

●解説のポイント
上五は5音だが実感が薄い
「三十余年」なら実感が出る
人生を託す方に軸足があり季語の映像が薄い
「天高し」や「秋高し」などに
33年に色々あったと読み手が受け取る
退職の思いの句としては普通

添削後
三十余年 勤めし渋谷 



◆4位 凡人55点 青山フォール勝ち(ネルソンズ)
天高し ビジョンに写る 同世代

梅沢永世名人 これはね。

【本人談】
ずっと渋谷の劇場に通っていた。今より仕事がない時、上(の街頭ビジョン)を見ると同期(の芸人)が映っている。そういうのを見て「今日も頑張って売れてやろう!」という思いをぶつけたんですけど。

千原永世名人 初めてにしては良いと思います。
本人 あ、ホントですか?
千原永世名人 写真がなかったら果たして渋谷のスクランブル交差点が出てくるか?っていうのはありますけど、「天高し」で「ビジョン」やと俺は分かるかなと思うから。

夏井先生 
まず「天高し」からビジョンへ見上げる視線。
ここら辺の展開に無理がない。
少し惜しいのは「ビジョンに」といえば大きな画面を思うため、「写る」がいるかどうかというのはある。
正確に表現するなら「街頭ビジョンに」として街の映像は確保できる。
高いところにあるビジョン。
最後に同世代が映るのは「に」で分かる。
意味が分かった瞬間、この人がどんな思いで見上げているかが伝わってくる。
季語の選び・目の付け所は結構将来性のある凡人だと思う。

岸 すごいじゃん。
本人 僕もこの季語を敢えて選んだんです。
夏井先生 あるのは可能性だけだからね(笑)。

●解説のポイント
季語からビジョンへ見上げる展開に無理がない
惜しいのは「写る」がいるか否か
正確に「街頭ビジョン」として映像確保
季語の選び・目の付け所は将来性アリ

添削後
天高し ビジョンに 同世代



★特待生昇格試験★

→今夜査定を受ける3名人はいずれも金秋戦で涙を飲んだ(→ジュニア7位・梅沢8位・中田予選5位で敗退)
中田名人 あそこ(→肖像画)を見て。ねえ、森迫さんが秋と冬並びましたよ。
浜田 ねえ、あの若い子が秋と冬2つ獲ってるんですよ。
中田名人 ホントに「俳句の申し子」って永世名人が仰ってましたけど。
梅沢永世名人 大したもんですよ。私の跡を継ぐのはあの娘かなと(笑)。
浜田 いやいやいやいや。

◆『青年の 歩幅につられ 秋空へ 中田喜子

【本人談】
渋谷のスクランブル交差点の斜め横断。隣にいた青年が大股で歩く。それにつられて私も大股で歩き、秋空へ向かって歩いているような気分だということを詠んだ。

千原永世名人 これは素晴らしいですね。
本人 嬉しい。
千原永世名人 これは凄い。
本人 ホント?
千原永世名人 これね、「秋空へ」は行けないっすよ。最後の着地が凄いと思います。
梅沢永世名人 その通りです(笑)。情景が分かりますもの。

★評価ポイント
「青年」から「秋空へ」と展開する語順の是非

■査定結果
名人9段へ1ランク昇格

理由:視点の誘導が良い

本人 あ~アハハッ。嬉しい、ありがとうございます。

夏井先生 
「青年」という人物から始まる。
次に「歩幅」で足元の方へ視点が動く。
季語「秋空へ」で一気に広がる爽快感がある。
「へ」の助詞の使い方も上手い。
もう一つ褒めたいのが、書いてないけど交差点のイメージが浮かんでくる。
溌溂たる青年の歩幅に引っ張られて、自分もグングンと歩き出す。
全部素直に自分が書けていると。素直が一番。

本人 ありがとうございます。

●解説のポイント
人物から足元へ視点が動く
季語で一気に広がる爽快感
「へ」の助詞の使い方も上手い
交差点のイメージが浮かぶ
溌溂たる青年につられてグングンと歩き出す
素直が一番

添削なし



★永世名人 ジュニアのお手本★
◆『秋雨や 渋谷の路地に 鼠と吾 千原ジュニア

【本人談】
大阪の仕事を全部やめて東京へ出てきた時、渋谷公園通り劇場(1995~98)に通っていたが、東京の仕事がほとんど無くなって雨が降ってきたセンター街の路地に入ってみたらドブネズミが濡れながらいる。「俺この先やっていけるのか?」「大丈夫か俺?」というのを詠んだ。

梅沢永世名人 素晴らしいです。これ合格(→掲載決定)だったら、私名前を渡しますよ。
浜田 え?
梅沢永世名人 梅沢ジュニア。
浜田 いやいやいやいや。
梅沢永世名人 素晴らしい。
浜田 いや、梅沢ジュニアじゃないし(笑)。

■査定結果
永世名人28句目に掲載決定

理由:やっぱり吾は得意なんですね

本人 よ~し!よし!ありがとうございます。
梅沢永世名人 素晴らしい。
(査定評後)
本人 先生がイジってますやん(笑)。

夏井先生 
「秋雨」という季語は、しとしとと降り続く長雨のこと。
「渋谷」という華やかな街を描くのではなく、「路地」へ焦点を絞られていく。
この場所「に」という助詞の後、いきなり「鼠」が出てくる。
さらに、鼠と自分を「と」という助詞で並列して同じ場所・同じ位置に並べる。
自分も鼠のような存在ではないか。
そう書かれていないが、読者の心の中に作者の思いが流れ込んでくる。
これホントジュニアさんは、1個1個丁寧に学んでいく人。
浜田 真面目ですから。
夏井先生 私は思った。こないだ森迫さん(→金秋戦の予選の回)に「真面目か!」と言っていたはず。
本人 はい。
夏井先生 アンタこそ真面目だよ(笑)。

本人 やめてくださいよ、違いますよ。
浜田 いや、お見事でございました。掲載決定。これで?
清水アナ これで残り22句となりました。

●解説のポイント
しとしとと降り続く長雨
華やかな街から路地へ焦点を絞る
「鼠」「吾」を並列で同じ場所に並べる
自分も鼠のような存在ではないか
読者の心に作者の思いが流れ込む
1個ずつ丁寧に学んでいく人

添削なし



★特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句★

清水アナ 秋のタイトル戦は8位と定位置に戻ってしまいました。
梅沢永世名人 「定位置」って言うなんです(笑)。調子が下がってしまったんですよね。
浜田 何でそんな煮えこまないんですか。
梅沢永世名人 煮えこまないんです。
浜田 何でですか?
梅沢永世名人 (嬉しそうに)売れてんの~(笑)。
***
梅沢永世名人 実体験を詠ませていただきました。今から55年前です。まだジュニアなんて世の中に出てない頃だよ。
千原永世名人 はいはい。
梅沢永世名人 そん時、俺は感じたんだ。
中田名人 梅沢さんはお料理好きだし、香りに敏感な方だなって…。
***
浜田 梅沢さん、二人がトントンときてますから。
梅沢永世名人 勿論、大きく締めますよ。
浜田 最後の最後にバシッと皆さんに。
梅沢永世名人 はい。

◆『甘栗の 香を行く渋谷 交差点 梅沢富美男

【本人談】
実体験を詠んだ。今から55年前、まだ渋谷は今のようではなく東横劇場(※東横ホール。1954年に開業した渋谷初の大劇場)があり、ハチ公の後ろ側にある。交差点に行った時、甘栗屋(→天津甘栗を売っている店)があった。甘栗の香りがプンプンする。それで、その劇場に行って私はいつかはヒノキブタイニ(→浜田が「えっ?」と聞き返す)、「いつかは檜舞台に上がってやるぞ。こんな小さい劇場ではなく、立派な舞台に上がってみせるぞ」と。

本人 これで私はスターになったんですよ。
中田名人 ん?
千原永世名人 えっ?
本人 この志で私はスターに…。
浜田 (遮って)さあ、いきましょう。

■査定結果
特別永世名人なのにガッカリ…

理由:不要なものと足りないものがある

夏井先生 
この「行く」が本当に必要なのか、それが一番の問題点。
本人 俺は行ったんだよ!劇場に。
夏井先生 は~い、おつかれさんでした~(笑)。説明する。
「行く」の2音を諦めれば、渋谷における甘栗の香りをもう少しだけ表現できる。
「渋谷」から始め、甘栗に表情をつける。
「渋谷はや」なら、早くも甘栗の香りがすると。
「甘栗の香の交差点」。"あ、もうこんな季節だな"となる。
今、おっちゃんの話を聞いていると、昔のかつての甘栗の香のニュアンスだと聞き取った。
本人 そうよ!
夏井先生 だとしたらもう一手ある。
例えば「かの」は"あの有名な「かつて」嗅いだ甘栗の香"の意味になる。
「かの」「香の」で韻が生まれてくる。
武田 すご…。
夏井先生 特別永世名人ですから、これぐらいのことはやってほしかった。
浜田 まあ、そうですね。
本人 それはね、高等技術よ!
浜田 高等…いや特別永世名人やから。

●解説のポイント
「行く」が本当に必要なのか
渋谷の甘栗の香りを更に表現できる
昔のかつての甘栗の香の意図なら「かの」
「かの」「香の」で韻が生まれてくる
特別永世名人ならこれぐらいは

添削後
渋谷 甘栗の香の 交差点』
『渋谷 甘栗の香の 交差点




梅沢永世名人 私の気持ちも少しは汲んだらどうなの?えっ?あのドサ周りの役者、三文役者と言われた時代に(→浜田が静かにボタンへと歩き出す)、いつかは檜舞台を踏んでやると志を持った渋谷の交差点を描いて書いたのに、どうしてあんたは…。
浜田 そ~れ!
(シュレッダー演出)
浜田 これやっぱり締めに相応しくなかったということで、申し訳ございませんが。
千原永世名人 句集も出されてる方が、句集…え~『二人羽織(ににんばおり)』でしたっけ?
梅沢永世名人 『一人十色』(笑)。

★10/25はプロ野球ドラフト会議のため休止。次回は11/2(※日本シリーズの場合は放送延期、TBS系放送の第3戦が2日連続雨天中止でずれ込んだ場合など)で、兼題は「夜更かし」。



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その他

水野真紀さんの全俳句一覧を作って頂きたいです。

遅れましたが名人以上の句

中田名人
最初の視点は信号待ちでもしている状況。目の前に青年がいる。初めは背~後頭部位が見える距離。そこから青信号になる。青年も自分も歩みだすが、青年と差が開いていく。青年の歩幅に気付くくらいの差ができる。追ってみよう、負けてられるかといつもより頑張って歩く。するといつもより速く歩ける自分がいる。秋空へ飛んでいけるくらい身が軽く感じたのだろう。

良い句だなと思いながら、これは中田さん自身が老いを自覚しているからこそ詠める句なんだろうな、と感じたところです。

千原ジュニア永世名人
THE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」を思い出させられた句(番組内のご本人の「ドブネズミが濡れながら」という部分と、ご本人の生年が1974年、リンダリンダの発表が1987年、ご本人のデビューが1990年という所で、世代的にどうしても思い出してしまいました)。

句だけ見ると、「鼠と吾」という並列の表現と、秋雨のバランスを考えて鑑賞すると、もの寂しさが際立つ鼠と自分という存在。
ここに「リンダリンダ」の歌詞をかぶせて見てみると、また別な感想をおぼえます。例えば、あの曲の「決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ」。
鼠と吾がいた路地で、もしかすると「負けない」と詠み手は思ったかもしれないな、と。

千原ジュニアさんと同世代である、私の妄想ですけども。


御大
御大は、記憶や思い出を句にすることが苦手なんじゃないかと。
今回の場合、記憶や思い出にダイブして、ついつい「行く」(行った)経験を客観的に捉えられなかったのではないかと。
ご家族やご自身の子ども時代とか若かったころのことを描いた句で、没とか現状維持を喰らっているイメージが多いので、あくまで印象論にしか過ぎませんけども。
反対に、ご自身の見た・最近経験したことに一つの修飾を加えたような句が高評価な気がしますが、これも印象論。こちらのブログで御大の句を見直してみます。

まず平場の句から

4位
・ビジョンには構想とか展望といった意味がありますが、私はこれらの意味でビジョンという単語を使うことが多いので、「ビジョンに写る」だと、今後の構想に写る同世代とは?と思ってしまったところです。この点、添削句で「街頭ビジョン」となったところはありがたかったです(中八となりますが、やはり長音とンの音が組み合わさった語句だと違和感が薄れるようです)
・添削句で、街頭ビジョンに詠み手の同世代(お笑い第〇世代)が映っていると読めるようにはなりました。ただ、これは自解を聞いたうえでの話。読む側の世代、境遇、心境によって、街頭ビジョンに映る人は変わる。街頭ビジョンではニュースも流れたりするけれど、若いのにとんでもない偉業を成し遂げた人とか、永年の研究の果てにノーベル賞をとった老科学者、あるいは、とんでもない犯罪者かもしれない。ここの振り幅の大きさがこの句の魅力かもしれないけど、自解とはかけ離れたことを想像されてしまう句だったかもしれない。

3位
・上五の三十年余(みそとせよ)、どうにか五音で表現したかったという努力には魅力を感じました。
・三十年余り同じ勤務先、あるいは途中で転職しても同じ街で勤めたと中七までで分かります。こんなに長く勤めれば、悲喜こもごもの出来事があったであろうことは、容易に想像できます。
・季語の選択。野分晴だと、「台風のような事態もあった」とも読めるし、「これまでのことを台風並みのことがないと思い出せないのかよ!」とも突っ込みたくなります。だからきっと、より日常的な、ちょっと空を見て気づける季語で正解なんだと思います。

2位
・助詞がやはり気になりました。「に」だと静止画。「を」だと動画となる風景。
・自分なら、一段階目の推敲で「秋の夜ビルの谷間を光る傘」とすることでしょう。でも、これだと秋の夜である必要は無いと判断します。夜→ビルの谷間→傘、とカメラは絞られていくので、別にどの季節でもいいだろうし、下手すれば電飾でもついている傘が動いているようにも見えるなぁ、と。
・自分としては電飾の誤読も避けたいので、「ビル街の夜の秋雨を光る傘」、とでもして、推敲をしていくと思いました。

1位
・句会に出ていたとのことで、技術は確かだと思いました。
・プレバトを見ていると、芸能人の「オーディション」云々という句は結構見せつけられるので、この句もどこか既視感がある感じ。でも、意味はちゃんと伝わるし、結果はどうだったのかと想像できる余地もある句でした。
・二句での特待生昇格は、句会経験者という経験値を含めての評価という部分もあるかと感じました。

昨日のプレバト

水野さんが2度目の挑戦で特待生に昇格し、中田さんが10段に王手をかけるなどといい、素晴らしい内容でしたね。(10/26はドラフト会議のため放送なし)

追記
これで千賀くんと中田さんが9段で並びましたね。(どちらが早く史上7人目の名人10段に昇格できるかが見物である)

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