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20230907 プレバト!!俳句紹介【エレベーター】

2023年9月7日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※18日に全て更新しました。大変お待たせして申し訳ありません。
→プレバト!! 公式X(旧Twitter)/公式インスタグラム

挑戦者→斎藤司[4],和田アキ子[8],松倉海斗[初],秋元真夏[2],勝村政信[16],皆藤愛子[38],梅沢富美男[203] ※数字は挑戦回数

●お題:エレベーター
エレベーター

清水アナの俳句査定(プレバト!!公式Xより)
清水アナの俳句夏井先生評
残暑の夜エレベーター点検中凡人です。歩いて上がってきてね。

🔷挑戦者語録
和田アキ子○2△4×1※初回は才能ナシで8回目の挑戦。結果がどちらに転んでも涙を流しており、「今でも涙出そう」と大緊張で挑む。
「今日は3位までには絶対入りたい。ダメでも良くても緊張するんです」
秋元真夏○1※初回才能アリだったプレッシャーに打ち勝てるか。
斎藤司△1×2※初回は才能ナシだったが、NHKの俳句番組で夏井先生に褒められ「自信をつけて戻ってきた」と主張。しかし梅沢に「夏井先生はNHKの番組は甘いからね」と咎められる。さらに『よみ旅』で夏井先生と共演するローランドの名前が浮かばない梅沢は「イケメンの…あの、あの…」とテンパってしまう。
松倉海斗初挑戦※2022年に世界メジャーデビューを果たしたTravis Japanはダンス大会で全米4位の実力派グループ。「作詞・作曲が趣味なので言葉をうまく出せるんでないかな」と自身の表情。
★ランキングシートの分布は才能アリ2名、凡人0名、才能ナシ2名

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点斎藤司
(トレンディエンジェル)
小さな手2階ボタンに届く秋ちいさなてにかいぼたんにとどくあき
2才能アリ2位70点和田アキ子
NHKホール迫り上がる良夜えぬえいちけーほーるせりあがるりょうや
3才能ナシ3位30点松倉海斗
(Travis Japan)
秋涼しハンカチ社員笑み浮かべあきすずしはんかちしゃいんえみうかべ
4才能ナシ4位10点秋元真夏
若煙草纏いし君に気もそぞろわかたばこまといしきみにきもそぞろ
55級で現状維持勝村政信
この階で降りればいいのか鬼灯めこのかいでおりればいいのかほおずきめ
6名人5段へ1ランク昇格皆藤愛子
閉ボタン連打秋夜のエレベータへいぼたんれんだしゅうやのえれべーた
7特別永世名人なのにガッカリ…梅沢富美男
白桃や車いす用ボタン押すはくとうやくるまいすようぼたんおす
順位発表順:3位→2位→最下位→1位
→編集後記

●それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 斎藤司(トレンディエンジェル)
小さな手 2階ボタンに 届く秋

秋元 あ~。
和田 可愛い。子どもね。

【本人談】
娘が5歳になったが、昔はエレベーターを待ってる際に下と上の外のボタンすら押せなかったのが、もはや中に入って2階(のボタン)まで押せるようになったのを見た時、グッと成長を感じたという。

和田 ホッコリしますよね。
本人 ありがとうございます。
和田 また泣きそうです(笑)。

夏井先生 
上五の「小さな手」は子どもを表す表現としてはよくある。
そのため、ベタな感じで終わるのかと一瞬思うが、中七下五の展開が上手だった。
普通、俳句で数字は漢数字で書くのが定石だが、あえて(算用数字の)「2」にしている。
「2」の映像がこの句は大事なのではないかと。
そして、エレベーターと書かずにエレベーターを思わせ、しかも具体的な映像を描く。
ここら辺は手馴れている。
そして「秋」という季語がここでゆっくり出てくる。
ということは、春・夏の間は手が届かなかったが、秋になって急にスッと背が伸びたのかもしれない。
子の成長を喜ぶ親の思いが、露骨ではない形でゆったりと書けてあり、季語も主役に立っている。
なんと温かいほんのりした良い句だろうと思い、主役があなただったことにただ驚いている(笑)。
直しは要らない。
本人 ありがとうございます、先生。

●解説のポイント
「小さな手」のベタで終わらず後半の展開が上手
俳句は漢数字で書くのが定石だが「2」が機能
エレベーターと書かずに思わせる
具体的な映像を描くのも手馴れている
春夏は手が届かなかった子の成長を喜ぶ親の思い
露骨ではない形で季語も主役に
なんと温かいほんのりした句

添削なし


◆2位 才能アリ70点 和田アキ子
NHKホール 迫り上がる良夜

斎藤 うわ~なるほど。

【本人談】
プライベートのことで申し訳ないが、秋の10月から始まる(自身の)ラストツアーコンサートのことで頭がいっぱい。(舞台中央の)エレベーターで上がるというのを「迫り上がる」とし、気持ちと一緒にセリも上がるというのを入れて、場所が…(→嬉しさに泣きそうになる)。

浜田 もうよろしい、よろしい。分かりました。
本人 (今にも泣きそうな声で)場所が…初日がNHKホールなんですよ。だから…名前出すのあれかなと思ったけど、そのまんま「NHKホール」って入れて…。
浜田 声だけ聞いてたらオッサンが泣いてるみたい(笑)。
秋元 そんなことない。

皆藤名人 エレベーターというお題からここに実体験に持ってこられるのが本当に凄いなと思いました。
梅沢永世名人 いやもうこれ素晴らしい俳句ですよ。
本人 ホントですか?
梅沢永世名人 だって「NHKホール」っていったら全部場面が分かりますよね。これ、1位じゃないのがおかしいくらいだ。
本人 (即座に)梅ちゃ~ん!(笑)、梅ちゃんありがとう。
たかし 急に何?
浜田 何なん、今の?芝居やってるみたいや(笑)。

夏井先生 
これは固有名詞をとても上手に生かしたタイプの句。
「NHKホール」が出た瞬間、映像は完全に確保出来る。
「迫り上がる」が何かと思うが、先に「NHKホール」があるため、舞台の上がってくるセリだとほとんどの人が想像でき、そこに臨場感がある。
最後の「良夜」(※十五夜、中秋の名月の夜のこと)という着地。
NHKホールの(建物の)中のセリの舞台にいて、最後の「良夜」で外の季語という部分で、評価が分かれる所はある。
ただ、NHKホールを満月の美しい月が包んでいる。
自分がそこにせり上がっていく実感や感情を持って季語を置かれたのだと読み解き・鑑賞は出来ると思う。
さらに、この満月・良夜が自分をスポットライトのように照らしているかのような感覚で、舞台をずっと上がっていくのではないかと。
そう思うと、「良夜」は実の季語であり、作者の心の模様を映す季語でもある。
この難しい季語をよく扱ったなと、これは褒めたい。
このまま味わいましょう。

本人 良かった。
斎藤 凄い臨場感が。

●解説のポイント
「NHKホール」の固有名詞を上手に生かした句
舞台のセリだと想像できて臨場感がある
屋内のフレーズと屋外季語で評価は二分
NHKホールを満月が包んでいる
自分がせり上がっていく実感や感情
良夜のスポットライトが照らす感覚
実の季語+作者の心の模様を映す
難しい季語をよく扱ったのを褒めたい

添削なし


◆3位 才能ナシ30点 松倉海斗(Travis Japan)
秋涼し ハンカチ社員 笑み浮かべ

梅沢永世名人 あら~。

【本人談】
凄く暑い夏、エレベーターに社員さんが駆け込んできてハンカチで汗を拭いている。秋になると涼しくなるため、エレベーターに乗るときに(社員に)笑みがこぼれている。

梅沢永世名人 あの~若いからね、こういう俳句を作りたがる(笑)。
たかし 典型的な。
梅沢永世名人 教えときますよ。「秋」は季語だから。「ハンカチ」も季語なんだ。
本人 なるほど。
梅沢永世名人 「笑み浮かべ」って、笑みは浮かべるもんなんだよ(笑)。
本人 フルで。
梅沢永世名人 全部駄目だ。
本人 全部駄目っすか?
斎藤 「ハンカチ社員」ってのは、多分名前…Gパン刑事(デカ)みたいなもんで、彼の言いたかったことは。
本人 そうです、そうですね。
斎藤 普段ハンカチを使う名物の社員が使わないと、そういうことでしょ。
本人 そういう感じです。ありがとうございます、フォロー。
斎藤 どうです?
浜田 お前らだけ分かりあってるやん(笑)。
斎藤 (自分は)才能ナシっぽいな~。

夏井先生 
おっちゃんも長年見てきたため、指摘するところは全部指摘してくれている。
季重なりの問題よりも一番気になるのはやはり下五。
「笑み」と書いた瞬間にそれは浮かぶもの。
「浮かべ」が要らないと思うのが第一歩。
もう少し言うと、今の内容を聞けば「笑み」すら要らないということも分かった(笑)。
斎藤 余計なの多いよ。
夏井先生 「秋涼し」(※初秋の頃の涼気・涼風)全体が季語になる。
暦の上では秋になったが涼しさを感じている。
さらに「ハンカチ」が夏の季語。
こうやって、2つ季語が入ってきた時に"季重なり"を成立させるにはどうするか。
色々方法はあるが、これなら「涼し」を諦めてもらい、「秋のハンカチ」と1つの季語にしてしまう。
こういう手もある。
そうなったら「社員」と言っている場合でない(笑)。
浜田 どんどん消されてく。
夏井先生 どこにいるのか、さっきからエレベーターと言っているが書いてない。
「エレベーター」でも良いし、「エレベータ」という言い方もあるため「エレベータに」としておく。
「エレベータに秋のハンカチ」とし、使っているなら「使いをり」。
使ってないなら「使わざり」。
ひとまず、作者の言いたいことに言葉は寄っていく。
これから真剣にやるなら、まず笑みは浮かぶものだとここから理解してください。

浜田 どうですか、ほとんど消されたけど。
本人 ちょっと頑張って学びたいなと。
浜田 ここからね、ここから。いいですいいです。

●解説のポイント
季重なりの問題よりも下五が×
「笑み」は浮かべるもので「社員」も不要
「秋のハンカチ」とひとかたまりで季重なりを成立
「エレベータ」と場所を書く
肯定「使いをり」・否定「使わざり」
真剣にやるなら下五の問題に気づいて

添削後
 秋ハンカチ 使
 秋ハンカチ 使



◆4位 才能ナシ10点 秋元真夏
若煙草 纏いし君に 気もそぞろ

浜田 くっ…。
梅沢永世名人 何?

【本人談】
エレベーターに乗る際、扉が開いて人が入ってくると風も一緒に入ってくる。スーツを着ていた人が煙草を吸っていたのか、煙草(の匂い)をまとった状態で入ってきて、その空気を吸ったら「あ、嗅ぎ慣れない空気でドキドキするな」っていう気持ちを描いた。

勝村 今の説明はとても素晴らしいと思います。でも、そこからここ(→俳句の字面)にいったのが分からないですね(笑)。
本人 えっ?
梅沢永世名人 その通りですよ。説明聞きゃそんな気もしますけど、説明聞かなきゃ訳の分からない俳句になってますよね。
本人 え~!
梅沢永世名人 だからね、俳句をイチから勉強したいんだったらおじさんのところに電話よこしなさい(笑)。
浜田 もうええよ、もう。ええっちゅうねん。

夏井先生 
これは物凄く面妖で不可解な光景が描かれた句。
「若煙草」(※その秋に初めて作られ乾燥させた煙草のこと)は秋になって煙草の葉を収穫する。
その葉をかけて・干して・乾かしている、それが若煙草。
それを理解した上でこの句を読んでほしい。
(♪世にも奇妙な物語のBGMで)若煙草を掛けて、自分の体に纏って、そういう君に私は気もそぞろ(笑)。
読んだ瞬間、変人が変人と出会って恋に落ちたみたいな(笑)。
本人 違う。
夏井先生 「気もそぞろ」とあなたの気持ちを書いている場合ではない。
大体「纏う」が諸悪の根源だと思う。
「君」と書かなくても書ける。
浜田 全部消えてるやん。
本人 なくなっちゃう。
夏井先生 そして、若煙草の「若」があるため、煙草の葉を干す作業の現場を思わせる。
だからこの「若」さえなければ良かった。
残る言葉は「煙草」だけ(笑)。
あなたの思い描いた光景を書く。まず匂い。
それも普段感じたことのない匂いなら、その通り書く。
「嗅ぎ慣れぬ」で1つ言える。あまり嗅ぎ慣れてない。
そして、憧れの気分を出して季語を入れたい。
「秋の大人の煙草の香」。
梅沢永世名人 なるほどね。
夏井先生 こうするとあなたの言いたかったに近寄ってくる。

浜田 先生これ彼女前回才能アリ獲ってるんです。
本人 そうなんです。
夏井先生 (才能アリの)あの日が懐かしい(笑)。
斎藤 懐かしむ。
本人 悲しい。
浜田 秋元さん次回は頑張って下さい、ホントに。
本人 もう舞い戻ってきます。

●解説のポイント
面妖で不可解な光景が描かれた句
「若煙草」は秋に初めて収穫された煙草
なぜか若煙草の葉を体に纏った君を見てそぞろな気に
変人同士が出会って恋に落ちた?
下五で気持ちを書いている場合ではない
「纏いし」が諸悪の根源
残る言葉は「煙草」だけ
普段感じたことのない匂いを「香」と書く
憧れの気分を季語「秋」を入れて中七で

添削後
  煙草


★特待生昇格試験★

→<5級>・勝村政信は特待生認定後初めての昇格試験。2017年1月26日の才能ナシで「今日を限りに破門」と先生から宣告を受けるも、這い上がってきた。
浜田 いやよう来たよね、ここまで。
勝村 ほんとですよね。でもね、もうちょっとなんか落ち着けると思ったんですよ。ここ(→特待生席)来たらなんか、もっとドキドキします(笑)。

◆『この階で 降りればいいのか 鬼灯め 勝村政信

【本人談】
(秋の季語である)「鬼灯(ほおずき)」は死者の魂を導く提灯と言われている。エレベーターは人生に少し掛けていたりとか、自分の意思で降りる場所が分からないが、勝手に鬼灯の灯りがついてそこで降ろされる。そこでまた自分の新しい人生を切り開かなきゃいけないのかなという気持ちを俳句にした。

浜田 梅沢さんどうですか?
梅沢永世名人 私の意見でよろしゅうございますか?
浜田 そらそうですよ(笑)。誰の意見を今から喋るねん。
梅沢永世名人 言わしてもらいます。「鬼灯め」とくるとなんか俳句らしいんですね。ところが「降りればいいのか」っていうのが普通の言葉なんですよ。そうするとこの「降りればいいのか鬼灯め」。なんだかね、バランスが悪い。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 私はそう思いますね。
浜田 じゃあ、どうしたら良いですか?
梅沢永世名人 急に言われても…(笑)、急に言われてもね。

★評価ポイント
中七の口語・下五の強い言い方の是非

■査定結果
5級で現状維持

理由:表現者っぽくなってきたけど…

夏井先生 
「表現者ぽくなってきたけど」と言いつつ、これは得も言われぬ不思議な世界を描こうとしている魅力は凄くあった。
「この階で降りていいのか」と思い、鬼灯がポッと灯るようにある。
この世界は上質なお芝居の1シーンのような感じがして良いなと思っている。
ただ言いたい世界が言葉として補強されてないと、それをおっちゃんは今指摘した。
これは言い方を変えるだけで凄く良い句になる。
中七が冗長過ぎる。
「この階で」の後、「降りるか」として季語「鬼灯」を補強したい。
「め」が強すぎる。「鬼灯」の後「灯」を繰り返して「灯(とも)して」と持ってくる。
この階で降りたらいいのだろうか、降りようか。
手に持っている鬼灯を提灯のように灯して、恐る恐るその階でその次の人生に足を踏み出す。
直して悪いが、これならアンタ直せば2つ3つ上に行けたくらいの世界だと思う。
私今まで破門するなど酷いことは一杯言ってきたが、初めて"何かやってくれるかもしれない"というほのかな期待感を持ち始めた。

本人 ちょっと勉強します、また更に。
浜田 ねえ。

●解説のポイント
得も言われぬ不思議な世界の魅力
上質な芝居の1シーンのよう
言い方を変えれば凄く良い句になる
中七が冗長のため「降りるか」として季語を補強
「め」が強すぎる
手に持つ鬼灯を提灯のように灯して降りる
直せば2つ3つ上に行けた
何かやってくれる期待感を初めて抱いた

添削後
この階で降りか 鬼灯


◆『閉ボタン連打 秋夜のエレベータ 皆藤愛子

【本人談】
秋の夜に早く閉まってほしくて(エレベーターの「閉」のボタンを)連打している様子。

★評価ポイント
「閉ボタン」から始まる語順の是非

■査定結果
名人5段へ1ランク昇格

理由:カメラワークが効果的

本人 やった~!嬉しい!ありがとうございます。

夏井先生 
まずアップのボタンの映像から始まる。
なぜかそれを連打していると、その瞬間に「なんで?」と読み手は一瞬思う。
そして「秋の夜」という秋の季節・時間は分かるが具体的な映像がない季語にポンと切り替わる。
その瞬間に連打の意味が何となく読み手に伝わってくる。
理由もなく寂しい秋、何だか分からない不安のようなものに囚われがち。
「秋思」、秋の憂いを抱きがちな季節の夜。
そして、「エレベーター」と一音伸びるより、「タ」で終わった方が一音足りなさそうな気分が、「連打」「秋夜」の不安のようなものと微かに響き合う。
こういうところを意識して言葉を選んでいるに違いないと。
そういう句であった。

浜田 あら~、お見事でございました。
本人 ありがとうございます。嬉しいです。
浜田 昇格です。

●解説のポイント
アップのボタンの映像から
なぜ連打しているかと思う
季節や時間を持つ具体的な映像がない季語
理由もなく寂しい秋や不安
「秋思」のような秋の憂いを抱きがちな季節
着地に「ー」がない気分が不安と微かに響き合う
意識して言葉を選んでいるに違いない

添削なし


★特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句★

→<特別永世名人>・梅沢富美男は前回査定はシュレッダーだった。
浜田 皆さんの俳句に「あーだこーだ」言うてます。
梅沢永世名人 特別永世名人ですから。発想を飛ばすというお勉強を皆さんにして頂きたい(笑)。私の俳句は思い切り発想を飛ばしましたから。
***
浜田 最後はでも…永世名人に。
梅沢永世名人 私が締めないでこの番組成り立ちませんから。
浜田 そらそうです。

◆『白桃や 車いす用ボタン押す 梅沢富美男

和田 「白桃」って桃だよね?
秋元 「白桃」? 

【本人談】
皆さんご存じだと思うが、白桃は桃の中でも傷つきやすい。ちょっとしたことですぐ染みになってしまう。その白桃を大事に(車いすに)持ちながら(エレベーターの)車いす用ボタンを押す。普通のボタンを押すよりゆっくりと閉まる。ゆっくり閉まった時、「あ、もしかしたら上り下りもゆっくりになるんだなあ」ということを感じながら詠ませていただいた。

本人 白桃や車いす用ボタン押す。
浜田 何で2回言うねん(笑)。

■査定結果
特別永世名人なのにガッカリ…

理由:なぜ「や」で切る?

斎藤 あら!
浜田 ククク…。
秋元 ウソ!
斎藤 急に怖ぇよ。
秋元 (顔が)固まっちゃった。
(査定評後)
皆藤名人 あ~。
本人 何が?

夏井先生 
優しい取り合わせ。ホントに優しい句だと思う。
何が勿体ないかというと、おっちゃんが今語った内容が実現できてない部分が少しある。
それがまさにこの「や」。「白桃や」と詠嘆する。
「や」の詠嘆が悪いわけではないが、詠嘆した後にカットを切り替える働きも同時に持っている。
そうなって車椅子が出てくる。
そうではなく、ここは(桃と車椅子が)一緒に存在する映像にする方が絶対に良い。
「白桃」にこだわる気持ちも分かるが、それより動作にこだわるべき。
「桃抱いて」とし「車いす用ボタン押す」。
斎藤 なるほど。
夏井先生 桃を大事にお膝に抱いて、車椅子用ボタンをそっと押すと。
そうすると、小さな空間に桃の香りがゆっくり広がっていく。
桃はなんと素敵な果実だろうとその詠嘆を読者もゆっくり味わってくれる。
そのために「抱いて」「押す」という2つの動詞が必要となる。

浜田 なるほど。
本人 硬い桃もあるからね!(笑)
斎藤 いやいやいや。
本人 俺は桃に詳しいけど、白桃じゃなきゃダメなんだ!白桃じゃなきゃ!白桃のあの細かい神経の塊みたいな桃が、ちょっと触ると傷がつくんだ。
夏井先生 どうしても「白桃」にしたいなら「白桃抱いて」にすればいいだけのことでしょ(笑)。
浜田 そうですよね。
本人 泣くぞ!和田さんと一緒に泣くからな!(笑)

●解説のポイント
優しい取り合わせ
語った内容が実現できてない
詠嘆「や」はカットを切り替える働きもある
ここは一緒に存在する映像の方が良い
「白桃」にこだわらず動作を描く
桃を抱いて車椅子用ボタンをそっと押す
小さな空間に桃の香りがゆっくり広がる
「抱いて」「押す」という2つの動詞が必要
どうしてもなら「白桃抱いて」に

添削後
 車いす用ボタン押す』
『白桃 車いす用ボタン押す



浜田 はい。俳句はこうなります。
(シュレッダー演出)
一同 あ~!
梅沢永世名人 ジジイに厳しいな~(笑)。ローランドとイチャイチャしながら番組なんかやってるからだ!
浜田 (ローランドには)優しかったんですね。
梅沢永世名人 2人でイチャイチャしながら俳句番組やってるんですよ!
浜田 先生言うてますよ、イチャイチャしながら番組やってるって。
夏井先生 しあわせ♡(笑)。
梅沢永世名人 あ~、悔しい(笑)。

★次回9/14の兼題は、秋の夜長に食べたい「夜食」です。


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コメント

4位
番組内のイラストどおり、シュールな映像が浮かんだ。煙草の葉を纏っている恋しい人がいたら、そりゃ、気になって落ち着かない。

3位
ハンカチ王子なるあだ名の人がいたな、そういや、と思ったとき、ハンカチ社員と呼ばれる人がいて、秋の涼しさの中笑みを浮かべているという何だかよく分からない句だった。

今回は2位と3位の点数の差が派手に離れていて、バラエティとしては面白かったかも。

2位
破調ではあるが、NHKホールを初めに置いて、せり上がる、と来ればステージにせり上がってくるあの装置を思い出す。良夜で心情的な意味が強く出た季語だったが、月明かりがNHKホールであり、和田アキ子さんをスポットライトが照らしてるイメージには合っていたか。

1位
秋が春夏からの時間経過を示すのは無論のこと、どこか寂しさを感じさせるのも確か。秋を季語としたことで、子どもの成長を感じるととともに、大きくなっていつか自分の元から離れていくのだな、という親の想いも感じられる良い句だった。

勝村さん
独特な世界観を持った句だった。
添削は鬼灯を強化した形だったが、中七を「降りりゃいいのか」、下五の接尾語「め」が罵りや卑下する意味すると思うと、「よ」くらいにとどめて、「この階で降りりゃいいのか鬼灯よ」くらいでも良かったかも。

皆藤名人
閉ボタンを連打してる点、何か(誰か)から早く逃げたいような、恐怖感を得た。ただ、秋夜の持つしんみり、寂しさも感じるような印象にボタン連打はちょっと合わない気も。

御大
白桃(美味しそうで匂いも良くて繊細な見た目)「や」、と切ってしまったことで中七以降と季語が遠くなりすぎた。

煙草を纏ったシュールなイラスト、平場1位の句が見事なのと、現状維持とはいえ勝村さんの句の世界観が印象に残った。私的には記憶に残る回かもしれない。

No title

なんと言っても勝村さん、特待生剥奪もあり得る5級でこんな詩的で難解な表現を持って来たその胆力をまず褒めたいところ
相当なチャレンジャーなのね、嫌いじゃないわ

でも平場の時からずっと調子いい時はとことんいいけど毎度足元がどうも危うい気がするからまず安心させてほしいかな

昨日のプレバト

アッコさんが涙の才能アリ2位を獲得し、皆藤さんが5段に昇格するなどといい、とても素晴らしい内容でしたね。(勝村さんの現状維持、おっちゃんの2週連続ガッカリは痛かったけど・・・)

追記
これにより、番組史上11人目かつ女性挑戦者として史上3人目の名人5段到達者が現れましたね。

追記②
次回の放送で「2週連続ガッカリで後がない」と出ていましたが、どうなるのでしょうか!?

勝村政信
鬼灯の持つ不穏さを活かした句風で個人的に好みだったが…その淡々とした書き方が「鬼灯め」と合わないという結果に。
添削「鬼灯を灯して」は希望や明るさに寄ってしまっており原句の暗さを消してしまう改作に近い感じであまりいただけない。例えば「降りりゃええんか」とか口語体にすれば中八も解消できるし良かったのでは。
とはいえ「芸人がすべり楽しむ」だの「揚げ物軍隊出番待ち」だの書いてた暗黒時代は略略払拭されたといえよう。

皆藤愛子
逆にこちらは昇格に疑問を覚えた句。
「エレベータ」以外にある「閉ボタン」があるなら持ってこいってやつだし(と言いたかったけど、多目的トイレとかローカル電車にも閉ボタンはあるからやっぱりエレベータは必要なのかなぁ?)不安さを表現したかったとしても「連打」がちょっと強い言葉で「秋夜」と噛み合ってない気がする。
(自己添削)
閉ボタン押し続けをる秋夜なり

梅沢富美男特別永世名人
見た瞬間中七下五がどうも適当さというか「単なる報告」っぽさを感じた句。その原因が上五の切れと分かり納得。「抱いて」を加えることでエレベーターと桃が一つの光景になり「車椅子用ボタン」である意義もちゃんと加わってくる。

1位 トレンディ斎藤
俳句の「レベル上げ」を行ったのか、実に親の愛が溢れる一句に。算用数字の効果的な使い方に加え「秋」の寂しげなエッセンスが効いている。

2位 和田
固有名詞の勝利といえよう。NHKの大舞台を満月が優しく照らしてくれる…アッコさんらしい句だ。

3位 
季重なりは勿論「ハンカチ社員」と寸詰まりになった上に「笑み浮かべ」で何もかも台無しにした初心者丸出しの句(しかも三段切れ)。

最下位 秋元真夏
パッと読んだら葉煙草で出来た民族衣装着てる異性に惚れた句でしかない。「纏い」という凡人ワードが最悪の効果になったといえよう。
とはいえ伝えたい意図は実にシンプルだったので「底フィルム」とかいう全人類に伝わらないワードが爆誕した時と同じ10点は低すぎる説もあったりなかったり。

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