2023年8月31日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※4日に全て更新しました。お待たせいたしました。
→プレバト!!
公式X(旧Twitter)/
公式インスタグラム挑戦者→勝俣州和[6],弓木奈於[2],坂井良多[2],尾上右近[3],森口瑤子[41],横尾渉[78],梅沢富美男[202] ※数字は挑戦回数●お題:夏休みの宿題

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挑戦者語録勝俣州和 | ○1△2×2 | ※才能アリは初挑戦時のみ。「今までの『プレバト!!』の俳句を全部見直して勉強し直しました」と並々ならぬ気合で臨む。 「先生が良い俳句のどこをどう直すのか全部チェックした。ホントに一から勉強し直しました。努力は嘘をつかない」 |
尾上右近 | ○1△1 | ※前回は先生から「特待生を狙える素質がある」と褒められただけに下手な俳句は見せられない。 「勉強したが、最初に『こうだ!』と思ったところに行きついちゃう。らしさを今回は…。僕も(才能ナシになっている)勝俣さんのメンタルが欲しい」 |
弓木奈於 | △1 | ※乃木坂46の11人大家族アイドル。母が元教師で姉が現役教師。前回は嬉しい反響があった。 「地元京都に帰った時、『プレバト!!観てたよ』と言って下さり、本当に鼻の下伸ばしました(⇒鼻が高い)」 |
坂井良多 | ×1 | ※前回は先生に「伝えたいことがくだらない」と酷評され、リベンジを誓う。 |
★ランキングシートの分布は
才能アリ1名、凡人2名、才能ナシ1名。
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位70点 | 勝俣州和
| 誘蛾灯英語テストは三十点 | ゆうがとうえいごてすとはさんじってん |
2 | 凡人2位45点 | 弓木奈於 (乃木坂46) | 花火背に夢中で描いた父と母 | はなびせにむちゅうでかいたちちとはは |
3 | 凡人3位43点 | 坂井良多 (鬼越トマホーク) | 夏の果明日は来るなと神頼み | なつのはてあすはくるなとかみだのみ |
4 | 才能ナシ4位35点 | 尾上右近
| すぐ後ろママの姿は入道雲 | すぐうしろままのすがたはにゅうどうぐも |
5 | 名人7段へ1ランク昇格 | ★森口瑤子
| 箱庭の四人家族の無表情 | はこにわのよにんかぞくのむひょうじょう |
6 | 永世名人21句目に 掲載決定 | ★横尾渉 (Kis-My-Ft2) | 日盛りのマック課題図書のあらすじ | ひざかりのまっくかだいとしょのあらすじ |
7 | 特別永世名人なのにガッカリ… | ★梅沢富美男
| 一心に日焼けの鱗はぐ子かな | いっしんにひやけのうろこはぐこかな |
順位発表順:3位→2位→最下位→1位→編集後記●それでは順位別に見ていきます◆1位
才能アリ70点 勝俣州和『誘蛾灯 英語テストは 三十点』【本人談】夏休み、親がお金を出して塾に通わせてくれた。でも通えど通えど英語が全然理解できず、夏休みの終わりのテストが(100点中)30点で、暗い夜道を帰るとき、誘蛾灯に虫が入ってバチバチ鳴っている。申し訳ない気持ちとこの後の親への恐怖とか、色んな気持ちが混ざって、凄く嫌な夏休みだった。
森口名人 いや「誘蛾灯」が最高です、この句の中で。もう気持ちが全部この誘蛾灯で分かります。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 「誘蛾灯」と「英語テスト」が最高ですね。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 この調べがあってこそ、「三十点」が活きてくるんです。素晴らしい!
夏井先生 基本型をしっかり勉強している。
本人 ありがとうございます。
夏井先生 5音の季語と、季語と関係ない12音のフレーズを取り合わせる。
取ってきてガチャンと合体させるから取り合わせという技。
考え方は大変シンプル。
「誘蛾灯」と掛けて「英語テストは30点」ととく、その心は…。
英語テスト三十点貰って帰るその帰り道がどんなに心細いか、誘蛾灯にピシッと音を立てて落ちていく虫の心に作者はなっていると。
これが分かってくれたら、ここからは上手くいくことを私は期待する。
直しは要らない。
浜田 いや勉強したっていうのが、ホンマに良くわかるっていうことですよ。
本人 やっと俳句が好きになりました(笑)。いや、本当に落ち込むんですよ、評価されないと。頑張ります!
●解説のポイント |
基本型をしっかり勉強している 5音の季語+12音の取り合わせ 考え方は大変シンプル 誘蛾灯と掛けてテストは30点ととく その心を読者に問いかける 誘蛾灯に落ちる虫の心の状態にある作者 ここから上手くいくことを期待する |
添削なし
夏の生活「誘蛾灯」とテストが30点だった苦い思い出を取り合わせた定型句。型の力を信じた上、渋い季語の選択が勝った印象。「三十点」は試験の赤点をギリギリ回避したものの、ほぼクラス最下位という複雑な心境。ご指摘の通り季語で夜と分かり、夜道に見上げる誘蛾灯に思いを馳せる生徒のデリケートな心情が表現されており、利点をご本人も理解して自解を述べた印象です。ただ、「誘蛾灯」は田畑や果樹園で、蛾などを内部の水に集めて溺死させる害虫殺傷装置として明治~昭和戦後までに使われたもの。蛍光灯や農薬の技術が発達した今日は滅法使われておらず、この句は非常に古めかしい過去の田舎道での思い出を詠んだ風にも受け取られます。虚の季語として用いられたとしても季語の選択が功を奏した一句であり、三十点のテストネタが70点の才能アリに化ける成果を生みました。
◆2位
凡人45点 弓木奈於(乃木坂46)『花火背に 夢中で描いた 父と母』【本人談】絵の宿題で花火が上がっているが、それよりも花火を観ている父と母の方が素敵に見えて、それを描いているというピュアな句にしてみた。
金ちゃん 素敵じゃない。
横尾永世名人 父と母、そして自分がどこにいてどこから見てるのか(→位置関係)を書いた方が分かりやすかったかなと。
夏井先生 言いたいことはボンヤリと分かるが、細部がスッキリしない。
「花火背に」が自分自身が花火を背にしているのか、花火を背にしている両親を描こうとしているのか、位置関係が分かりにくいのが一つ。
それからもう一つ。「夢中で」は作者の気持ちになっている。
俳句は作者の気持ちではなく、映像を描写する。
描写した映像から読み手が勝手に色々想像してくれる。
どこに誰がどういう風にいて花火がどう上がっているのか。
その位置関係が分かるように書く。
父と母が花火を観ていることが分かるように「花火観る父母(ちちはは)」とする。
「を描(か)く」として「花火背に」と展開する。
本人 わあ~。
梅沢永世名人 ホホホホ。
夏井先生 両親を描く自分が花火を背にする。
こういう風に描写がきちんと出来るようになると上が見えてくるということ。
本人 やっぱり位置関係とか、あの~「おのれで勝手に想像してみろ」って感じで書いちゃったので…。
浜田 「おのれ?」君、ちょいちょいオカシイで(笑)。
本人 そういうのが出てしまったのかなと思いますね。
●解説のポイント |
意図は分かるが細部がスッキリしない 自分が「花火背に」?両親が「花火背に」? 位置関係が分かりにくい 「夢中で」は作者の気持ち 俳句は映像を描写する 父と母が花火を観ている 両親を描く自分が花火を背にする 描写が出来るようになると上が見える |
添削後
『花火観る 父母を描く 花火背に』
夏の生活「花火」を背に向けた作者自身が、その花火を観る両親をデッサンなどで描いた光景を詠んだ定型句。家族三人で仲良く花火を鑑賞するのではなく、自身は裏方に回って花火を慎ましく観ている両親をデッサンするという非常に独特なシチュエーション。非常に外は暗いはずですが、花火の明かりを照明に画用紙に描く経験でもされたのかもしれません。不明瞭な位置関係、「夢中で」の感情語が論点になりましたが、「夢中で」によって季語「花火」が脇役に成り下がったのも問題です。添削は「花火」を二度用いる高度な技で、そう簡単に初心者が扱えるものではありません。ご指摘の通り、「絵日記」など宿題要素がある方が共感性を得たかもしれません。
◆3位
凡人43点 坂井良多(鬼越トマホーク)『夏の果 明日は来るなと 神頼み』【本人談】8月31日に夏休みの宿題に手を付けても間に合わないのを「夏の果」という表現にした。そして、「明日は来るな」と神に頼んでいる。
金ちゃん そのままじゃねえかよ。
梅沢永世名人 これが俳句だと思うか!?何なんだ?「明日は来るなと神頼み」。誰に頼んでんだ?
本人 え~っと…。そっすね…。この…。いや…こんなに言われるとは(笑)。
夏井先生 これは何に対して「明日は来るな」とお願いしているのかが書かれてない。
これだけ読めば、夏休みの宿題なのか?ノストラダムスの大予言なのか?どこにも書いてないため分からない。
これは発想がキング・オブ・ザ・凡人のど真ん中。
「明日は来るな」と祈っているなら「神頼み」は書かなくても良いことには気づいてほしい。
「夏の果」の季語の傍題に「夏果(なつはて)」がある。
「夏果の宿題」と先に宿題であることを押さえてしまう。
神頼みの感じを「明日よ」「来るな」で出す。
残り2音ある。2音で何をやっても良いが、プレバトあるあるで2音を埋める時に「嗚呼(ああ)」と呟いてみる。
本人 嗚呼~(笑)。
夏井先生 こうすると言いたいことはひとまず入る。
整ったところで凡人(笑)。
浜田 坂井。
本人 いやもう才能ナシより嫌です、キングオブ凡人(笑)。
●解説のポイント |
何に対しての神頼みかが不明 夏休みの宿題?ノストラダムスの大予言? キング・オブ・ザ・凡人 「来るな」と祈るなら「神頼み」は不要 傍題「夏果」で「宿題」と押さえる 「明日よ」で神頼みのイメージを 余った2音は「嗚呼」でプレバトあるある 整ったところで凡人 |
添削後
『夏果の宿題 明日よ来るな嗚呼』
時候「夏の果」と宿題が終わってないことを理由に登校日が来ないよう神様に願う子の心境を意図した定型句。8月8日頃の立秋に近づくと朝晩が涼しくなり秋の到来が近づく喜びが感じられるのが本来の季語の意味。最近は9月まで残暑ならぬ猛暑が続いており、暑さの感じ方のタイムラグも深刻で、「夏果」が本来の意味で非常に用いられにくくなっています。小中高の夏休みが8月末までだと考えると、晩夏の「夏の果」は夏休み真っ只中で、ここにも時期とのずれがあります。無計画でズボラが故、宿題が終わらずに明日が来ないことを願う経験は多くの方に共感は出来るでしょうが、抽象的で映像が描けてない点を鑑みると「キングオブ凡人」にもなりきれていません。季語は「夏休み」なら素直ですし、何の宿題だったのか描写すべき句材でした。
◆4位
才能ナシ35点 尾上右近『すぐ後ろ ママの姿は 入道雲』梅沢永世名人 う~ん。
【本人談】夏と言えば入道雲で、モクモクして迫りくるような圧を感じる存在が"母"でもあり、「宿題も早くやって」と後ろで見ていることがある。僕も実際こういうことがあった。
梅沢永世名人 これ、あの~どうして皆さんがそうやって季語をね、喩えに使うのか。使っちゃいけないと言っているわけじゃないですよ。使うんだったら、季語が立つように使わないと。
浜田 なるほど。
本人 季語が立ってると思っちゃってるんです、いまだに…まだ僕。
梅沢永世名人 これが季語が立ってると思ってんのか!?
本人 思っちゃってます。
梅沢永世名人 一回俺と一緒に稽古しましょう(笑)。
浜田 どういうことやねん。
本人 それは嬉しいですけどね。
浜田 どういうことやねんな、「稽古しましょう」って。
夏井先生 今おっちゃんが分かりにくくゴチャゴチャ言っているのはどういう意味か。
季語は「入道雲」になるが、季語を比喩(たとえ)として使うと季語が立たないとおっちゃんが言っている。
「ママが入道雲みたいだね」と「入道雲」が比喩になっている。
こうなると、季語としての鮮度が落ちてしまう。
本人 あ~そうなんですね。
夏井先生 一番簡単な対処法は語順を逆にすること。
浜田 「入道雲」からやね。
夏井先生 その通り。今誰か言いました。「入道雲」から。
梅沢永世名人 浜田さんです。
夏井先生 あ、そうですか(笑)。
まず「入道雲」から。
「すぐ後ろ」と書いている暇はない。
これが宿題だと分かるように書くことも大事。
「宿題迫る」でどうか。
「ママみたい」ぐらいにして子どもらしさを出してみる。
こうすると、意味が逆転して季語「入道雲」が立つ。
とはいえ、直したところで凡人(笑)。
浜田 右近!
本人 ママ…ああ~、もっと子どもになっちゃって良かったんですね(笑)。中途半端なんですね、だから要は。
●解説のポイント |
季語を比喩で使うと季語が立たない ママが入道雲みたい 季語としての鮮度が落ちる 簡単な対処法は語順を逆にする (浜田 「入道雲」からや) 「すぐ後ろ」と書いている暇はない 宿題と分かるように 「ママみたい」で子どもらしさを出す 意味が変わって季語が立つ 直したところで凡人 |
添削後
『入道雲 宿題迫る ママみたい』
夏の天文「入道雲」を宿題をせかす母の比喩に用いた定型句。宿題をやらざるを得ない場面を実体験から書き、その母の様子を入道雲に比喩するのは挑戦的な発想ですし、「ママ」から作者と母の年齢層のイメージも想像できます。しかし、季語の比喩に頼ったがゆえに、季語の映像が全く描けておらず、「すぐ後ろ」も非常に説明的。添削では語順を入れ替えることで「入道雲」の映像を立ち上げ、母の姿を想像させる作りに変貌しています。梅沢さんとのやり取りを見るに、取り合わせの基本型に立ち返って学ばれた方が上達への近道かもしれません。
★特待生昇格試験★◆『箱庭の 四人家族の 無表情』 森口瑤子※夏の季語「箱庭」は箱の中に人形や木などを配置して作られた庭園。
梅沢永世名人 うん。
【本人談】夏休みの宿題で箱庭を作った経験がある。その四人家族をドラマを入れて置いた途端、その無表情な四人家族があまりにもつまらなそうで、なんとなく箱庭も褪せてしまったと思った。
★評価ポイント下五「無表情」の着地の是非
■査定結果名人7段へ
1ランク昇格理由:
―横尾永世名人 凄い。
本人 あ~良かった。
右近 おめでとうございます。
夏井先生 「箱庭」が夏の季語だとあまり知られておらず、知らない人が多いかもしれない。
箱庭には、大きさを表現するために人も置く。
「家族」で紙粘土で何かで作ったと想像した。
とても小さい人形なので、顔の細部表現はなかなか難しい。
「いい感じに出来たぞ」と思ってよくよく見ると、四人家族の顔が何とも無表情でつまらなさそうな感じをしている。
四人家族が無表情でそこにいるということが、日常生活の中の人間関係を象徴するようなそんな気がハッとする。
そうなると、最後の「無表情」で奥行き・心理の陰影のようなものを示唆すると。
上手いことここ最後に持ってきたと思う。
一筋縄ではいかない箱庭の一句を作ってくださった。
浜田 いや、おめでとうございます。
●解説のポイント |
「箱庭」が夏の季語とあまり知られてない 大きさの表現に人も置く 紙粘土で作ったと想像した 大変小さく顔の細部表現は難しい よく見ると四人家族の顔がつまらない感じ 日常生活の人間関係を象徴するよう 「無表情」で奥行き・心理の陰影を示唆 一筋縄ではいかない箱庭の一句 |
添削なし
夏の生活「箱庭」とその中に配置された人物像の表情を描写した定型句。室町時代の茶室で作られたとされる「箱庭」は、鉢や箱に土を入れ、草木や石・苔をあしらった上に陶器の橋や人などを配するミニチュアの山水。これを眺めることで涼味を味わう夏の風物詩の一つです。箱庭が夏の宿題となるとは随分と風流な学校ですが、粘土などで箱庭を模したものを作る美術の課題と解するでしょうか。「四人家族の無表情」は小さな像を無骨に配することで、複雑でやっかみの多い実生活の人間関係から切り離したい思惑も感じ取れます。漢字が多く淡々と書かれたところも、箱庭の無機質なさまを引き立てる効果を生んでいます。
★永世名人 横尾のお手本★→<永世名人>・横尾渉(Kis-My-Ft2)は先日6人目の永世名人となったばかり。句集完成まで30句と発表されている。
浜田 さあ、初挑戦ですけどね。
横尾永世名人 はい。いや、ここは大事ですよね。ホント、ここは獲りたいです。
浜田 分かりました。
◆『日盛りのマック 課題図書のあらすじ』 横尾渉(Kis-My-Ft2)【本人談】夏休みの宿題で出された読書感想文を家ではできないため「マクドナルド」に涼しいので行った。ただ全然進まず、あらすじだけ覚えて帰ろうという感じの句。
梅沢永世名人 この「マック」、ここら辺もオシャレです。
浜田 なるほど、マックがオシャレですか(笑)。これ「マクド」やったらアカンのかな(笑)。
本人 僕がやると…関東なんで(笑)。
浜田 関東やからね、いきましょう。
■査定結果永世名人21句目に
掲載決定
理由:
良き青春あるある森口名人 良かった。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 素晴らしい。
夏井先生 まず「日盛り」から始めた判断が良かった。
暑さを逃れて涼しいところに行く展開も良く分かる。
それからマクドナルドの店内から見る外の暑さのギラギラした感じも前半で分かる。
ここから後の展開が面白い。
課題図書を一生懸命に読むのかと思うと「あらすじ」と着地する。
一冊丁寧に全部読むのではなく、ネットか何かであらすじを検索しているのか、一緒にいる友達にあらすじを教えてもらうという展開もあるかもしれないとも思った。
無理のない書き方で、ありそうな光景。
まさに青春あるあるをちゃんと書けている。
もう、ホントに横尾さん安定してきて何だか嬉しい。
本人 ありがとうございます。
浜田 句集に向かって頑張って下さい。
梅沢永世名人 うん、凄いね。
●解説のポイント |
日盛りから始めた判断が良い 暑さを逃れて涼しいところに行く展開 店内から見る外のギラギラ 後半の展開が面白い 課題図書を丁寧に読むのではない ネットであらすじを検索している 友達にあらすじを教えてもらう 無理のない書き方でありそうな光景 まさに青春あるあるを書けている ホントに安定してきて何だか嬉しい |
添削なし
夏の天文「日盛り」とマクドナルドの店内で課題図書のあらすじを読む意図を表現した一句。横尾さんお得意の「○○の○○」が2つ並ぶ対句表現。昼下がりの時間帯、若者が集うマクドナルドの店内で読書感想文に携わる場面ですが「あらすじ」でまともに取り組んでないサボり癖のある学生を想像させる作りになっており、4つの名詞が否応なく配置された形で自身の立ち位置を描写しています。ただ、「太陽が頭上にある暑い"屋外"で、"Macのパソコン"を開き、課題図書のあらすじを必死になってタイピングで"書いて"いる学生・サラリーマン・コピーライター」という読みも成立するため、議論すべき点(季語分類・略語の解釈・動詞の欠落)がないとは言い切れません。時候の季語に変える、「マクド」の他「喫茶店・カフェ」などの方法も検討すべきですが、そもそも名詞4つが情報過多とも捉えられます。定型で詠まれていないこともあって、評価や解釈に色々と困る一句に感じましたが、若者らしい共感性を表現した点を褒めたいところです。
★特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句★→<特別永世名人>・梅沢富美男は10回中7回の「お見事」査定と絶好調。
梅沢永世名人 右近くん、舞台の後輩ですから。
浜田 はい。
梅沢永世名人 ………。先輩というのはこんだけ凄いんだっていうの、是非見ていただいて。
浜田 ちょっとした間は何や(笑)。なんかあんのかな~と。
梅沢永世名人 いえいえ、ちょっと間を置いてしまいました。
***
浜田 ず~っと調子が良いですから。
梅沢永世名人 このお二人の俳句がホントにハイレベルな良い俳句なんですよ。その上を詠まなきゃいけないのは私なんです。
一同 (笑)
梅沢永世名人 私はもう、俳句界の人間国宝を狙ってますから(笑)。
浜田 また言うてるわ、また言う…。
右近 狙ってらっしゃる。
浜田 分かりました。
◆『一心に 日焼けの鱗 はぐ子かな』 梅沢富美男【本人談】皆さんはお題の写真をボーっと見てたと思うが、あなた達凡人とは観察力の違いがある。(兼題写真に映るカレンダーの8月)5日の予定に「パパと海」と書いてある。ここを私は見て、親子の俳句を詠もうと思った。「宿題やらなきゃいけないよ」と親に言われて「よし、仕上げるぞ」と頑張ったが、日焼けで皮が剥けてしまう。それが魚の鱗みたいで、この子は宿題をやらずに一生懸命に皮(→皮膚)を剥いているその姿を詠んだ。
■査定結果特別永世名人なのに
ガッカリ…理由:
工夫はあるが書き足りていない勝俣 アハハ!
坂井 えっ?
右近 そうなん?
夏井先生 日焼けの皮を「皮」と書いては芸がないため、「鱗」とした所は工夫があり、その点は認めたい。
ただ、全体を見た時「一心に」は説明。こういう説明は書かなくて良い。
本人 これ!これ!(笑)特別永世名人の上五消すか!
夏井先生 消す!要らないものは消します。
さらに、「かな」という詠嘆もそれほど効いてない。
おっちゃんが言ってたように、宿題をやらずに子が皮をはいでいると今言った。
本人 そうだよ。
夏井先生 それなら「宿題」と持ってくる。
宿題が「嫌だなあ、しんどいなあ」と言いながら全然進んでないと。
本人 そうだよ。
夏井先生 それならその状況を書く。
「遅々(ちち)と進まず」という言葉がある。
「宿題は遅々と日焼けの鱗」。
最後「剥ぐ」と漢字で書いた方が良い。
こうすると、パパと海に行った子に違いないと思ってくれるということ。以上です。
本人 いいかい?先生(笑)。この番組だったらもうちょっと立ててみたらどうだ?俳句界の人間国宝を狙ってるんだ(笑)。
夏井先生 私が今思っているのは、役者は俳句がヘタだということです(笑)。
浜田 バサ~って。
本人 (靴を脱ぎ捨てる)
浜田 いやいや何やってんのもう(→本人が投げた靴をさらに遠くへ放り投げる)。
●解説のポイント |
芸がない「皮」を「鱗」とした工夫は○ 「一心に」は完全に説明 「かな」という詠嘆も効いてない 宿題が進まずに子が皮をはいでいる 「遅々と進まず」から引用 「剥ぐ」と漢字の方が良い パパと海に行った子に違いないと想像できる (本人 俳句会の人間国宝を狙ってる) 役者は俳句がヘタだということ |
添削後
『宿題は遅々と 日焼けの鱗剥ぐ』
夏の生活「日焼け」によって黒くなった皮膚を「鱗」に比喩し、宿題をサボって夢中に皮を削ぐ子の様子を描写した定型句。紫外線によって小麦色に皮膚が変わる日焼けは健康のシンボルと捉えられてきましたが、浴び過ぎは勿論厳禁。剥がれやすい皮膚を魚の「鱗」に喩える御大の発想は効いています。「一心に」は「念仏する」など宗教用語に用いられやすい語で、「一途に」「ひたすらに」の意味。芥川龍之介や宮沢賢治など文豪も用いています。御大も恐らく演目の台詞などで用いたことがある語で、動作に集中するさまを表現したい意図は重々分かりますが、平場2位の「夢中で」とほぼ同様な説明語に。その場で子を観察して感心しているさまであれば詠嘆「かな」が活きますが、日焼けの皮膚を剥ぐ行為自体が日常的・健康的とはいえず、「かな」の詠嘆で本人の心境を示す行為に蛇足感が強くあります。総じてなぜこのような謎の動作を子が行っているかが分からず「書き足りてない」評に繋がりました。夏休みの宿題に集中できないという契機があるだけで随分と句の印象が変わる添削に。先週から「俳句界の人間国宝を狙ってる」など自分で言うものではない大袈裟な台詞で自身を鼓舞する御大ですが、先生も「役者は俳句が下手」と過去の功績を全て台無しにする発言で応戦する始末に。夫婦漫才と称される梅沢名人と夏井先生のやり取りですが、今回は演出だとしてもあまり気持ちの良い口論ではありません。
浜田 さあ、これは世に出せないので消去します。せぇ~の、ドン。
(シュレッダー演出)
浜田 「夢芝居」も掛かっておりました。
梅沢永世名人 いい加減にしろよ、お前ら。1曲しかないヒット曲をなんだと思ってるんだ!(笑)小椋先生に電話してやるからな!
浜田 今の感じは小椋佳さん許可してくれたの?
(⇒作詞・作曲家 小椋佳先生了承済み)
梅沢永世名人 全然曲が違ってるじゃねえか!(笑)
★次回9/7の兼題は「エレベーター」です。
色鉛筆の後半が俳句。兼題は「夏休みの宿題」で、宿題に打ちひしがれる小学生が映る写真。2017年のスペシャル回の同じ兼題では「マンモスの滅んだ理由ソーダ水」という藤本名人の名句が誕生。2年前の「宿題」回でも右近さん、森口さん、梅沢名人が出演していました。元々北海道地区では8月中に学校が再開する学校が多かったものの、最近では全国的に2学期再開を8月25日前後に前倒しする学校が多いよう。その代わりに秋休みを設定したり、冬休み期間を長くしたりと様々な工夫を凝らしているようです。
立秋をとうに過ぎているにもかかわらず、今回は全員が夏の季語。生活が4名(「誘蛾灯」「花火」「箱庭」「日焼け」)、天文2名(「入道雲」「日盛」)、時候1名(「夏の果」)と分かれています。1位はテストで酷い点を取った経験、2位は絵日記を思わせる課題、3位は宿題が終わっていない神頼み、4位は迫りくる母を入道雲に喩えるという発想。森口名人は箱庭の課題、横尾名人は課題図書のあらすじ検索、梅沢名人は日焼けの皮を剥ぐ光景。全体的に宿題の内容そのものを思わせるのは森口名人くらいで、宿題の嫌な思い出や面倒くさいなど負のイメージを持つ句材が多いという少々お粗末ともいえる印象ですが、俳句のタネは色々な観察力から生まれることを体現した結果ともいえます。
さて、横尾名人が幸先よく掲載を決めた句集への挑戦。4永世名人のデッドヒートにも注目したいところですし、空席となった10段に誰が最初に到達するかも見ものですが、今後の梅沢名人・夏井先生の「夫婦漫才」がエスカレートしないかも注視したいところであります。
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