2023年8月24日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※28日に全て更新しました(私用で速報版記事を掲出できないため、番組中に暫定版記事を投稿致しました)。大変お待たせしまして、申し訳ございません。そのまんま名無し様、匿名希望様、S.K様、毎度コメント投稿いただき、誠にありがとうございます。 |
→プレバト!!
公式X(旧Twitter)/
公式インスタグラム挑戦者→荒川(エルフ)[初],えなこ[初],武田真治[3],IKKO[5],<2級>北山宏光(Kis-My-Ft2)[51],<永世名人>千原ジュニア[99],<特別永世名人>梅沢富美男[201] ※数字は挑戦回数●お題:アウトドアのカレー

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挑戦者語録えなこ | 初挑戦 | ※古着リメイク査定などで活躍。世界に日本文化の魅力を伝えるクールジャパン・アンバサダーを務めるため、絶対に才能ナシは避けたい。 |
荒川 | 初挑戦 | ※コンビのネタ作り担当。書籍も出版するなど文才に自信がある。消しゴムはんこ挑戦の相方「はる」と出演。 |
武田真治 | △1×1 | ※前回は最下位だったがリベンジのチャンス。
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IKKO | ○2△1 | ※ここ2回連続才能アリで、昨年冬麗戦にも出場。「絶対に才能アリになりたい」と並々ならぬ気合で臨む。 |
★ランキングシートの分布は
才能アリ3名、才能ナシ1名。
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位71点 | えなこ
| 残暑の夜誰も洗わぬカレー鍋 | ざんしょのよだれもあらわぬかれーなべ |
2 | 才能アリ2位70点 | 武田真治
| 青空の炊事遠足しゃばカレー | あおぞらのすいじえんそくしゃばかれー |
3 | 才能アリ3位70点 | IKKO
| 寸胴に溶かすカレー粉秋の蝉 | ずんどうにとかすかれーこあきのせみ |
4 | 才能ナシ4位10点 | 荒川(エルフ) | 秋涼し銀に口紅底フィルム | あきすずしぎんにくちべにそこふぃるむ |
5 | 1級へ1ランク昇格 | ●北山宏光 (Kis-My-Ft2) | 秋晴や焦げ石に米粒一つ | あきばれやこげいしにこめつぶひとつ |
6 | 永世名人27句目に 掲載決定 | ★千原ジュニア
| 山雀の高音竹皿のカレー | やまがらのこうおんたけざらのかれー |
7 | 特別永世名人 7句目のお見事! | ★梅沢富美男
| 芋煮ゆる紙の器の頼りなく | いもにゆるかみのうつわのたよりなく |
順位発表順:3位→2位→最下位→1位→編集後記
浜田 清水ごめん、ちょっと…。
清水アナ はい。
浜田 (シュレッダー装置間近の席を指し)あそこ、なんで空いてるの?
清水アナ あのですね、ジュニアさんが渋滞に巻き込まれてまだ(スタジオに)到着してないんですよ(笑)。
この後、どこかのタイミングでは入られると思います。
浜田 あ~そういうことなの。
清水アナ そうなんです。
浜田 無条件で「降格」ってことで良いんじゃないですか。
清水アナ 梅沢富美男さんは先日、夏のタイトル戦に見事優勝・5月の浜田杯でも優勝だったので、いよいよ名実ともに特別永世名人です。
梅沢永世名人 ありがとうございます。
浜田 久しぶりにあそこ(→スタジオ正面上の肖像画)に梅沢富美男がいます。
梅沢永世名人 これから全部これ私が飾りますから(笑)。
清水アナ さあそれでは浜田さん、査定結果が届いています。
浜田 いただきます。
?? 着きました!着きました!
荒川 あれ?声が。
千原永世名人 (左脇から登場しながら)ちょいちょい…。危ないとこや。
浜田 もうこれ降格にしようかな…。
千原永世名人 ギリギリ大丈夫です(笑)。ギリギリ。いや、ホンマに。
浜田 そんな渋滞してたんや。
千原永世名人 全く動かなくて。久しぶりに素で「どんだけ~」って言いました(笑)。
IKKO どんだけ~!
浜田 分かりました。
●それでは順位別に見ていきます◆1位
才能アリ71点 えなこ『残暑の夜 誰も洗わぬ カレー鍋』梅沢永世名人 なるほど。
【本人談】友達とたまにバーベキューに行くが、カレーも作る。楽しくてワイワイ盛り上がっていて、洗い物を誰もやらない。盛り上がった楽しさもあるが、洗い物をしたら楽しいバーベキューが終わるという名残惜しさだったり。「残暑」で暑さが残る夜を少し掛けて詠んだ。
北山 「誰も洗わぬ」っていうので、一人じゃないってこともそうだし、色々な仲間たちがいることも全部分かるので、素晴らしいと思いました。
本人 え~、嬉しい。
夏井先生 これは「誰も洗わぬ」というリアリティが大変良い。
北山さんも仰った通り「誰も」を丁寧に読めば、一人ではないし、みんなで一生懸命作るところからやったのかもしれないと。
結果論、バーベキューのついでにカレーを作ったのか、など読者が想像してくれる句だと思う。
語順も良かったと思う。
映像を持たない時候の季語、「夜」という時間、「誰も」という人物、「洗わぬ」という動作、最後に「カレー鍋」。
しかも、カレー鍋は空っぽになっているに違いない。
映像の焦点が最後に絞られていく。
鍋の横には、汚れた皿やスプーンも置いてあるに違いないと。
そこまでしっかりと、焦点が絞られる語順を考えて実現している。
巧いものだと思う。直しは要らない。
浜田 直しなし、お見事でございます。
先生、これ初めてで上等ですよね?
夏井先生 上等以上ですよ。これはよく勉強してきたなと思った。はい、期待します、この方。
本人 え~嬉しい。ありがとうございます。
●解説のポイント |
中七のリアリティが大変良い 「誰も」で複数人が一から作った バーベキューのついでと読者が想像できる 語順も良かった 映像のない季語+時間+人物+動作 空っぽのカレー鍋に映像の焦点が絞られる 汚れた皿やスプーンも置いてある 巧いもので初めてでは上等以上 この先を期待したい |
添削なし
秋の時候「残暑」とカレーのルーがこびり付いて洗われてないキャンプ場のカレー用大鍋を取り合わせた定型句。兼題からの句材の切り取り方が上手く、中七の状況で実体験からの場面描写が明快。「誰も」から複数名でカレーを食べた背景も分かり、季語選びから夏休み中の思い出とも伝わります。気になる点は3つ。上五「残暑の夜」の説明的な季語の置き方。特に「夜」は熱帯夜、短夜など他にも候補がある中で、この表現にする必要性は甚だ疑問です。当事者目線ならば、「うだるような残暑で苦しい」→「誰も洗わない」という因果関係も匂います。「誰か洗え」というご指摘の通り、キャンプ場の管理責任者目線なら「今日の客人はみなカレー鍋を洗わない、けしからん」など穿った読みに取られても仕方ありません。語順も含めて「カレー鍋誰も洗はぬ良夜かな」など色々な表現が可能です。今回は初心者として句材の発見の素晴らしさが大きく評価された印象です。
◆2位
才能アリ70点 武田真治『青空の 炊事遠足 しゃばカレー』※「炊事遠足」は遠足で飯ごう炊さんを行う北海道では定番の行事。
【本人談】小学校高学年の頃に炊事遠足というのがあり、川べりにみんなでアウトドアの料理をしに行く遠足が学校行事であった。煮込んでいる時間が短いため、カレー自体がシャバシャバだが、そのシャバシャバなカレーと同時に瑞々しい思い出が残るものだなぁみたいなつもりで詠んだ。
千原永世名人 この「しゃばカレー」が良いですね。
本人 あぁ良かった。
千原永世名人 ない言葉だけど意味がみんなに分かるという。
本人 ありがとうございます。賭けだったんですぅ(笑)。
夏井先生 この「炊事遠足」というひとかたまりで情景が全部伝わる。
最後の「しゃばカレー」。
多分、子どもたちが「炊事遠足のカレーはシャバシャバしている」などと言っているのを短くして「しゃばカレー」と言っているに違いないという感触も手に入る。
実体験というのはリアリティがある。
今回は2位・3位に同じ70点を付けた。
浜田 そうなんです。
夏井先生 こっちの実感というもの。
まさにこのしゃばカレーを味わった、あの時の実感が強いということが一つ。
それからこの句に関しては添削をする必要がないという、その意味で2位にした。
本人 ありがとうございます。
浜田 お見事でございました。直しもなしでございます。
本人 こんなに嬉しいもんですね(笑)。こんだけ~!
浜田 何を言うてんねん。
本人 何を言ったんでしょう。
●解説のポイント |
「炊事遠足」で情景が全て伝わる 造語「しゃばカレー」をどう受け止めるか 「シャバシャバしたカレー」と子が言っている そういった感触は手に入る 実体験はリアリティがある 2位・3位は同じ点数 しゃばカレーを味わった当時の実感の強さ 添削の必要がない点で2位にした |
添削なし
北海道の小学校での思い出、炊事遠足の調理実習で作ったシャバシャバなカレーを造語で表現した無季(と判断した)定型句。「遠足」は晩春の生活季語ですが、「炊事遠足」は春から秋にかけて催されるもの。北海道では炊事場が併設された公園も多く、開拓の歴史と関係がありそうです。中七のオリジナリティが高く、下五のオノマトペ的な「しゃばカレー」も水が多くとろみが弱いカレーだと想像しやすい造語です。気になる点は2つ。季感がないため、上五は「秋天の」など季語を入れて補強すべきでしょう。また、「しゃばカレー」の表現も少々強引。「カレー」がインド発端であるためか同じくインド発端の仏教から「娑婆(しゃば)」を匂わせてしまい、煩悩塗れの現世を味わうカレーにも誤読されます。その辺りの解釈の幅がありますが、思い出を詩にした点は褒めるべき部分です。
◆3位
才能アリ70点 IKKO『寸胴に 溶かすカレー粉 秋の蝉』【本人談】幼少期、お盆過ぎに必ずキャンプに行っていた。寸胴鍋を使ってカレー粉を溶かしている最中に、蝉の声が聞こえている。楽しい思いと「もうじき夏休みが終わる」という切ない気持ちを晩夏にかけた。
梅沢永世名人 これは良い俳句ですよ。とっても。でもどうして3位になったのか?というのをこれから私が言いますので、聞いてください。俳句界の人間国宝を狙ってる…(笑)。
浜田 いやいやいや。
梅沢永世名人 …梅沢富美男が。
浜田 何を言うてる。
梅沢永世名人 語順が悪い。「秋の蝉」から始まった方が良い。
本人 あ~。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 俳句界の人間国宝を…。
浜田 もうええわ!
夏井先生 取り合わせが良かったと思う。
「秋の蝉」「カレー」を取り合わせている。
これをどうすれば1位になったのかを話したい。
それに関してはおっちゃんの指摘がやはり正しい。
大事な所は語順が一つだと私も思う。
もう一つ惜しいのは、「溶かす」と書かなくても"今溶かしている"とわかる書き方が実はできる。
そこをやってみる。「秋の蝉」から。
「寸胴」でも良いが「寸胴鍋」と書いても十分入る。
「へ」が大事で「寸胴鍋へ」で「溶かす」を書かなくても大丈夫になる。
「カレー粉」でも良いが「カレールー」とすると溶かす感が出てくる。
梅沢永世名人 出ます。
夏井先生 "今入れた"、"これから当然溶かす"と、こういうところもわかる。
このまま着々と伸びていけば、特待生になれる日がくると思います。
本人 やった~!
浜田 いやいや、まあ。あそこだけテンションおかしい(笑)。
●解説のポイント |
「秋の蝉・カレー」の取り合わせは良い 3位になった理由は語順の悪さ 「溶かす」なしでその情景は表現可能 「鍋へ」で溶かす感じに 粉も「ルー」でより溶ける印象を 今入れてこれから溶かすイメージに 着々と伸びれば特待生になれる日がくる |
添削後
『秋の蝉 寸胴鍋へ カレールー』
動物「秋の蝉」は立秋後に鳴く蝉のこと。それとカレーを寸胴鍋で作成する動作を取り合わせた定型句。典型的な取り合わせの型で、「秋の蝉」もご本人の中では動かない季語。屋外の季語選びに加え、「カレー粉」「溶かす」「寸胴」の描写からキャンプの炊事を想像させる作りで、粉から作ることで手間暇をかけていることや、寸胴で大きな鍋だと否応なしに伝わり、非常に上手い作り。番組では語順の悪さが指摘されましたが、個人的には上五の散文的助詞「に」が大きく障りますし、「(寸胴)鍋」まで入れるべきでした。添削では音数の関係で「カレールー」となりましたが、原句「粉」を活かして「寸胴鍋へカレー粉溶く」なども考慮したい表現です。また、句発表時の手書きでは「蟬」表記でしたが、解説・提出時は「蝉」表記でした。表現行為として大変重要ですので、ここは統一すべき点でした。
◆4位
才能ナシ10点 荒川(エルフ)『秋涼し 銀に口紅 底フィルム』武田 ぶっ…。
本人 良くないですか?
【本人談】アウトドアのカレーは楽しいもの。スプーンで食べる際に思いっきり口を開けて、口紅がスプーンにつく。写真をすぐにギャルは撮りたいもの。写真を撮るもの忘れるくらい、「楽しいよね」「アゲだよね」みたいな感じ。
武田 カレーはどこに行ったのかな?
本人 カレーを書くこと忘れてました。カレーは「スプーンを使う」っていうので。
梅沢永世名人 何言ってんだ?(笑)
はる ブチ切れてる。
本人 うそ!
梅沢永世名人 普通はね。お題頂いて写真が出て、写真を見ないと分からないという俳句はいっぱいありましたよ。
浜田 あ~そうですね。
梅沢永世名人 アンタのは写真見ても分かんねえわ!(笑)
本人 分かる、分かるって。
梅沢永世名人 「底フィルム」って何よ?
本人 あ、そっか。
底フィルムってのは鞄の底にケータイをどこ行ったっけ?
梅沢永世名人 そんなのはケータイって書きゃいいだろ!どこにフィルムがあるんだ!?
本人 いやだからケータイが…。
千原永世名人 ホンマに「底フィルム」はマジで分からん。
浜田 分からん、確かに。
千原永世名人 ほんで、トータル何が「秋涼し」やねん(笑)。
夏井先生 久しぶりに意味が全く分からないものが来た。
今聞いてハッキリと言えることは、たった17音に盛る材料が途轍もなく多すぎる。
結果論として、世界でたった一人自分にしか分からない句が出来上がっているということになる。
こういうタイプの句の時は、もっと短く1カット1カットで映像にしていく意識でやっていくしかない。
一番最初の一句だけ作ってみる。
「秋涼し」の後に「カレー」と書くしかない。
浜田 まあ、出てないんでね。
夏井先生 「カレーのための」と。「底フィルム」は論外。
本人 論外?
夏井先生 「口紅」も勝手にしてください。
「に」も不要。「銀の匙」。
この「匙」から一句目が始まっていく。
そして、この後は自分で今晩で作りなさい。
浜田 だいぶ直されたよ。
本人 でもなんか…、俳句って楽しいですね。
浜田 ホンマに?
千原永世名人 ホンマか?「底俳句」やで(笑)。
●解説のポイント |
久しぶりに意味が全く分からない 17音に盛る材料が多すぎる 世界で自分だけしか分からない句に 1カットで短く映像にする意識を 最初の一句だけ作る 「カレー」と書くべき 「底フィルム」は論外で「口紅」も不要 「匙」から一句目が始まっていく 二句目からは今晩自分で作りなさい |
添削後
『秋涼し カレーのための 銀の匙』
時候「秋涼し」とアウトドアのカレーを食べた失敗談を取り合わせた意図の定型句。「カレーを食べたら銀のスプーンに口紅が付いてしまい、バッグの底にある保護フィルム付きのスマホを取り出してお茶目な写真を撮ろうとした涼しい秋の光景」というイメージでしょうが、三段切れの上に完全に内容が破綻して意味不明な一句に。ご指摘の通り、三句程度に分けるべき分量の内容です。ギャルがゆえに略語でモノを呼び合う習慣が根付いているのか、単語に複数の意味や感情を乗せる言葉遣いがネックになった印象も。初心者らしい失敗だと肝に銘じて頂き、リベンジに期待しましょう。
★特待生昇格試験★→<2級>・
北山宏光(Kis-My-Ft2)は6回連続現状維持の泥沼から前回脱出。1年半ぶりに昇格した。
北山 泥沼からやっと抜けたんで…。
浜田 今日は出来るだけ上がっといてほしいですね。
北山 ねっ。
◆『秋晴や 焦げ石に 米粒一つ』 北山宏光(Kis-My-Ft2)IKKO 凄いよね。
【本人談】秋晴れの中でバーベキューなのか、カレーを作ったのか。河原とかにバーベキューの跡の焦げ石がある。そこで、カレーを食べたであろう米粒が焦げ石の上に一つということで、ちょっと表現してみた。
梅沢永世名人 良いと思います。この発想の飛ばし方は大したもんだ。
浜田 あら。
梅沢永世名人 これは言うんですよ、凡人はね。「写真見ないと分かんないんじゃないか」とか、「カレーはどこ行ったんですか」とか。そんなことはもう、名人を狙うような人は…私もそうなんですがね。これから人間国宝を狙うような人は…。
浜田 もうええから(笑)。
梅沢永世名人 発想を飛ばす、これが上手い。
浜田 なるほど。
本人 勝負だな。
★評価ポイント中七・下五のフレーズの効果の是非
■査定結果1級へ
1ランク昇格理由:
これが俳句の真髄かも本人 (立ち上がって)よっしゃー!
梅沢永世名人 よっしゃ!
本人 良かった。
梅沢永世名人 名人までもうすぐですよ。
浜田 あと一歩や北山。
本人 嬉しい~。
(査定評後)
梅沢永世名人 あららら。
本人 震える。
夏井先生 読めばわかる。
焦げ石がそこにあって米粒が一つくっついている。ただそれだけの光景。
ここで、火を起こして米を炊いて蒸らして食べた一連の行為が行われたに違いない。
そのことが「焦げ石」「米粒一つ」だけで表現している。
作者自身はこの光景が目に入った時、ふっと気になって言葉にしてみる。
これがまさに俳句だと思う。
どうでも良いことを掬い取って詩にしてしまう文芸の一面がある。
北山さんがこういう句を引っさげて1級になっているのに、ささやかな感動を覚える。
ここからこの人の成長をしっかりと見守っていきたいと思う一句だった。
浜田 そうですよね。
本人 頑張ります。
浜田 はい、北山君おめでとうございます。
●解説のポイント |
焦げ石に米粒が一つ落ちているだけの光景 火を起こして米を炊いて食べた一連の行為 作者は光景をふっと気になって言葉にした これがまさに俳句 どうでも良いことを掬い取って詩にする文芸 ささやかな感動を覚える この人の成長を見守りたいと思う一句 |
添削なし
天文「秋晴」と焦げた石に米粒が一つ付着した光景の五五七の一句。まず「焦げ石」が一般的ではない造語。石内部の有機物が化学反応で炭化しないと焦げないため、自然の河原にある石というよりは、キャンプ用のセラミック製や人工大理石など特殊素材の石が現実的。造語にする勇気に加え、大変無骨に小さな米粒一つの光景まで着眼した点は見事といえますし、季語選びで屋外の天地の対比も効いています。定型を崩すことで、その一粒を取り出して片したいけどそうできない作者の事情やアンニュイな心情を想像させる作りではありますが、この点が評価の分かれ目。「焦げ石に米粒一つ秋の晴」あるいは「秋晴や焦げたる石に米の粒」など定型にも出来る句材のため、ここの技巧判断は俳人によって大きく分かれそうです。
★永世名人 ジュニアのお手本★→<永世名人>・
千原ジュニアは句集完成まで24句。一歩リードの村上が残り19句、ライバルの藤本名人が25句、横尾新永世名人は30句と判明。
千原永世名人 ここはちょっとフジモンを離して村上に近づくしかないですね。
浜田 っていうことですね。
千原永世名人 はい。
◆『山雀の高音 竹皿のカレー』 千原ジュニア※「山雀(やまがら)」は鳴き声が特徴的な野鳥。キャンプ中、山雀の高音の囀りを聞きながら、竹皿でカレーを食べている光景を詠んだ一句。
【本人談】カレーが僕の中で色々あまたある食べ物の中で、テンション高めの食べ物じゃないかなと思うし、その場も楽しいからというのを対で詠んでみた。
梅沢永世名人 良い俳句ですね。できれば、これから私を目指すんだったら、やっぱり五七五で作ってほしかった。これで。
浜田 なるほどね。
梅沢永世名人 そしたら、私の近くに来れるはずなんですよ(笑)。五七五言うと思いますよ。
■査定結果永世名人27句目に
掲載決定
理由:
―本人 (立ち上がって)よ~し!
IKKO ジュニアさ~ん。
本人 よし、ありがとうございます。
夏井先生 ここに持ってくる季語として「山雀」という鳥が良い。
人に凄く慣れやすい可愛い鳥。
それがホントに澄んだ高音で鳴く。
「高音」で切れて2カットの構造の句になっている。
「山雀の高音」で山雀の声だけが聞こえてくる場所である。
カットが切り替わって、手元の竹皿にポンと行く。
その瞬間、キャンプ・コテージ・林間学校を思い浮かべる。
この竹皿も青竹を半分に割って自作した皿かもしれない。
当然、カレーも自分たちで作ったに違いない。
書いてはいないが、読み手の側の自然な想像として伝わってくる。
そうなってくると、季語「山雀」が再度効いてくる。
みんなでやっと完成した皿とかスプーンでカレーを食べる。
そうすると、人に慣れている鳥が「何食べているんだろう?」と興味深くチョンチョンと寄ってくるかのような印象まで手に入った。
もうコンパクトで見事。
楽しいと書かなくても楽しさも伝わる。
これが今日最下位の人(→荒川)に言いたい台詞(笑)。
浜田 はい、ジュニアさんお見事でございました。
本人 ありがとうございます。
●解説のポイント |
季語「山雀」がとても良い 人に慣れやすい可愛い鳥が高音で鳴く 2カットの句の構造 キャンプ・コテージ・林間学校と広がる 竹皿やカレーも自分たちで作ったに違いない 読み手の自然な想像として伝わる 季語が再度効いてくる コンパクトで見事に 楽しいと書かなくても楽しさを表現できる これが最下位の人に言いたい台詞 |
添削なし
夏の動物「山雀」と竹皿で作ったカレーを取り合わせた対句表現。「山雀」は愛玩性のあるシジュウカラ科の小鳥で、低地の林に来て高い声で「ツツピー」と鳴く特徴があります。その生態を考えると屋外の林に居て、竹皿のカレーを食すという場面で、森林浴のような心地良い光景にも思います。「山雀」・「竹皿」、「高音」・「カレー」とヒップホップのライミングを意識したような絶妙な韻の踏み方で押さえる所もジュニアさんらしい意図的な工夫です。まさに、そのような表記や韻で場面の楽しさを凝縮させており、破調ながらに緻密に句を構築した点もよく分かります。スタジオ収録に遅刻ながらに間に合ったことで降格を免れたジュニアさん。藤本名人から先行し、村上名人を追う立ち位置となりました。
★特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句★→<特別永世名人>・
梅沢富美男はここまでお見事6句。夏のタイトル戦優勝後初の査定。
梅沢永世名人 自分の才能をね、ようやく認識したというね。
浜田 あら?だいぶかかりましたよ。
梅沢永世名人 実力を出さずにみんなに上がってきてほしいと。
浜田 あえてということですか?
梅沢永世名人 そうですよ。私は芝居が上手い、歌がうま…。
浜田 (遮って)さあ、お隣…特待生2級は…。
***
浜田 どうでしょうか、今回は。ビシっといけるでしょうか。
梅沢永世名人 勿論。これこそ、永世名人の発想です。皆さん、これを詠んで勉強してください。
IKKO はい。
清水アナ それでは富美…梅沢富美男特別永世名人の締めの一句、ご覧下さい。こちらです。
浜田 はい、どうぞ。(清水アナに)呼び捨てしたな(笑)。
◆『芋煮ゆる 紙の器の 頼りなく』 梅沢富美男【本人談】「カレーじゃないじゃないか」と皆さんは言うが、発想を飛ばした。私はアウトドアに興味が無くて経験がない。表に出てカレーを作ったり食べたりした経験がない。ふと…経験のあることを思い出した。芋煮鍋に山形で何度か参加させてもらった。それに入れてもらった時に、なんと紙の器はふにゃふにゃして頼りない。熱いし手で持てないし、これ「きっとカレーもそうなるんだろうな」と思いながら、頼りないと思って少し芋煮の方に寄って詠まさせていただいた。
千原永世名人 これ良いですねえ、なんかさすがという感じですね、素晴らしいです。
本人 人間国宝狙ってますから。
千原永世名人 そうなんや?(笑)
■査定結果特別永世名人7句目の
お見事!理由:
フツーにお見事です本人 やった~!
(査定評後)
本人 まあまあ、ありがとうございます。
千原永世名人 絶好調ですね。
夏井先生 あの兼題写真から紙皿とか紙の器の感触に発想が動いていったのは手に取るようにわかる。
勿論メニューも「カレー」にしても良いが、「カレー煮ゆる」とすると別に季語を入れる必要が出てくる。
ここに「芋煮」という季語が入れば、後半でゆっくり紙の器の感触を描写し、調べも整えることが出来ると。
そこまで考えてここに季語を置こうとした。
これは経験値のなせる技というしかない。
率直な書きっぷりだが、それが読み手へそのまま伝わる。
まあホント、フツーにお見事だと思う。
●解説のポイント |
兼題写真から紙の器の感触へ発想する 手に取るようにわかる カレーだと別に季語を入れる必要性 季語以外の後半で器の感触の描写 全体の調べも整えて季語を置いた 経験値のなせる技というしかない 率直な書きっぷりがそのまま読者へ伝わる |
添削なし
秋の行事「芋煮」とそれを食す紙皿の耐性が弱い様子を「頼りなく」で表現した定型句。句材の切り取り方は毎度鋭い御大。上五・下五の状況描写は「濁りゆくソーダフロート減らぬまま」にも見られましたし、「フツーにお見事」評のように、過去の御大句をご存知なら、一見すると真新しいことに挑戦していない無難な一句にも思うかもしれません。特筆すべきは二点。まず「芋煮ゆる」の連体形が効果的です。「芋煮ゆ」で止める方法もありますが、この句は「紙の器」に繋がる形。本来、芋煮は大鍋で調理し、紙の器で煮ることはしませんので、芋煮を行う”動作”ではなく、芋が煮えている”状態”にある紙の器の描写と捉えるのが自然な解釈です。また、下五「頼りなく」の擬人化もごく自然で、芋煮会参加者なら共感を得る光景。「なし」などで言い留めない点も余韻を残す効果とともに、作者自身もどことなく頼りない心境が残っていることを暗示させます。知識を大っぴらにひけらかさないようでいて、実は表現技巧が上手い具合に隠されている御大の一句。俳句のお手本として長年リードしてきた実績は大きく、どのように読み解くかがその俳人の鑑賞力に大きく関わってくる意味でも御大の句は非常に学びやすい素材であると感心させられる次第です。
梅沢永世名人 ありがとうございます。
浜田 お見事でございました。素晴らしい締めでございました。
梅沢永世名人 絶好調ですね。
浜田 絶好調でございます。
梅沢永世名人 次のタイトル戦も私が優勝しますから。まあ、束になって掛かってらっしゃい(笑)。
★次回8/31の兼題は「夏休みの宿題」です。
消しゴムはんこのコーナー後半が俳句。兼題は「アウトドアのカレー」でした。3年前の「カレーライス」、2年前の「夏野菜カレー」に続く3回目の「カレー」兼題。今回はカレーについて詠まなかった梅沢名人でしたが、過去2回とも挑戦し「ライスカレー匙のすっくと氷水」でボツ、「玉葱を刻む光の微塵まで」で掲載を決めています。
今回は「山雀」が夏の動物季語である以外は全員が秋の季語。時候2名(「残暑」「秋涼し)、天文「秋晴」、行事「芋煮」、動物「秋の蝉」、遠足関連の無季1名ずつと分かれました。アウトドアで食べるカレーは多くの人が経験しているだけに、何に着眼するかが非常に重要。1位はカレー鍋の始末、2位はシャバカレーを作った経験、3位はカレー粉を溶かす仕草に着目。北山さんがキャンプ後の焦げ石、ジュニアさんが竹皿と山雀の取り合わせ、御大が芋煮の紙皿へ発想しました。
コメントもいただきましたが、番組セットがタイトル戦以来となる新セットでの収録(発表待ちの格子状LEDは番組初期を彷彿とさせます)となりました。
また、北山さんが8月末をもってジャニーズ事務所退所となるため、キスマイを冠しての出演は最後となりました。9月以降、どのような形で活躍されるのかを含めて視聴者として見守っていきたいところです。
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