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20230601 プレバト!!俳句紹介【雨の日のカフェ】

2023年6月1日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※5日に全て更新しました。毎度お待たせしております。
→プレバト!! 公式ツイッター/公式インスタグラム

挑戦者→早見あかり[4],村山輝星[初],加納愛子[初],伊集院光[4],皆藤愛子[37],千原ジュニア[94],梅沢富美男[197] ※数字は挑戦回数

●お題:雨の日のカフェ
雨の日のカフェ

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点早見あかり
(元ももいろクローバー)
パパと子は留守番夕虹のテラスぱぱとこはるすばんゆうにじのてらす
2才能アリ2位70点村山輝星
夕立や計算ドリル3回目ゆうだちやけいさんどりるさんかいめ
3凡人3位60点加納愛子
(Aマッソ)
夕立を妬む期日の充電席ゆうだちをねたむきじつのじゅうでんせき
4才能ナシ4位35点伊集院光
止まぬならケーキセットじゃ梅雨の陣やまぬならけーきせっとじゃつゆのじん
5名人4段で現状維持皆藤愛子
梅雨寒のカフェ腿に愛犬の熱つゆさむのかふぇももにあいけんのねつ
6永世名人24句目に掲載決定千原ジュニア
珈琲は冷めて怯者の梅雨の闇こーひーはさめてきょうしゃのつゆのやみ
7特別永世名人5句目のお見事!梅沢富美男
濁りゆくソーダフロート減らぬままにごりゆくそーだふろーとへらぬまま
順位発表順:2位→3位→最下位→1位
→編集後記

🔷挑戦者語録
村山輝星[きらり]初挑戦※番組最年少の13歳で梅沢とは60歳違いの寅年。「小学校の百人一首大会で優勝したことがあるため頑張る」と自信満々で臨む。
加納愛子初挑戦※コラムやエッセイを多数執筆。初小説『これはちゃうか』の本の帯コメントを浜田の長男であるハマ・オカモトに書いてもらった。俳句は初めてながら「さすがに子どもには勝たないと」と村山を牽制する。
伊集院光○2※昨年の冬麗戦で立川志らくに勝ち「志らく君」と呼べるようになったとニヤリ。
早見あかり○2△1※前回才能アリ1位で夏井先生に褒められたため今回も上位入賞を狙う。
★ランキングシートの分布は才能アリ2名、凡人1名才能ナシ1名

●それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 早見あかり(元ももいろクローバー)
パパと子は留守番 夕虹のテラス
※真ん中の七音の間に意味の切れ目がある破調の一句。

梅沢永世名人 うん。

【本人談】
自分の子をパパに預けておうちに留守番して貰って、自分は夕立の後の虹を見ながらテラスで一人ボーっとするという。ママにもそういう時間が必要だという句。

皆藤名人 なんか「パパと子」であったかい感じと「夕虹」っていう季語が凄い素敵なチョイスだなと思いました。
梅沢永世名人 うん~。

夏井先生 
これもとてもよく考えて、良い意味で企んでいる。
「パパと子」で人物が2人出てくる。助詞「は」が重要。
「パパと子は」と言われると読んだ人は「ママは?」と反射的に思う。
それがこの「は」の効果。
それで留守番をしていると。
普通なら「テラス」に「私がいる」とか「ママがいる」とか書きたくなって音数が足りなくなって訳わからない句になるケースがよくある。
書く必要はないとこの人は分かって「夕虹のテラス」と季語と場所だけ添えている。
ここら辺が上手い。
読んだ人は「ママは久々に大人の時間を楽しんでいるのかな?」「その時間帯にパパと子はどんな夕飯かしら?」と。
とてもよく綺麗に書いている一句。
直しは要らない。

本人 ありがとうございます。

●解説のポイント
良い意味で企んでいる
人物2人と助詞「は」が重要
ママの動作だと読み取れる
「私がいる」と書きたくなって音数不足になる
書く必要はないと分かっている
季語と場所だけ添えているのが上手い
ママは久々に大人の時間を楽しむ
とてもよく綺麗に書いている

添削なし



◆2位 才能アリ70点 村山輝星
夕立や 計算ドリル 3回目

梅沢永世名人 大したもんだ。

【本人談】
急に雨が降ってきて、雨宿りでカフェに入った。なかなか降り止まないため、計算ドリルをやっていたら三回目に突入したという俳句。

梅沢永世名人 大したもんだね~。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 ねえ、梅雨なんてのはなかなか雨止みませんからね。なかなか雨止まないな~と思って計算ドリルが3回目になってたという。素晴らしいじゃないですか(笑)。
本人 ありがとうございます。

夏井先生 
基本の型をちゃんと勉強している。
頭の季語「夕立」を「や」で詠嘆する。
後半に12音のフレーズをつくるという基本中の基本。
中七「計算ドリル」で勉強している子どもの場面が見えてくる。
一番大事に企んでいるのが「3回目」という数詞。
雨が止むまでの時間経過を「3」という数詞で表現できている。
もうこれだけできたら十分上等。
本人 ありがとうございます。
浜田 え、先生直しは?
夏井先生 要ら…あ、1つある。
これだけ覚えておいて。俳句では…。
本人 あ、数字使っちゃった。
夏井先生 そう、漢数字「三」を使う。
「3」を使うのは何か特別な意図がある時だけ。
これ1つ覚えておいて。

●解説のポイント
季語+「や」+12音の基本の型
中七で勉強している子の場面
「3回目」の企みが成功した
雨が止むまでの時間経過を表現できている
これだけできたら上等
漢数字を使うことだけ覚えて

添削後
夕立や 計算ドリル 回目



◆3位 凡人60点 加納愛子(Aマッソ)
夕立を 妬む期日の 充電席

【本人談】
(執筆活動の)締め切り日に喫茶店(の店内)で作業することが多い。窓際に(USB端子などデバイスを)充電(できる)席があり、そこにずっと長くいるが、アイデアが(頭に)降ってこない時に夕立のザーッというのが羨ましいなっていう。自分にもアイデアが降って来いというアイディアと雨を掛けてみた。

千原永世名人 この「期日」がよう分からん。
梅沢永世名人 うん。
本人 「締め切り日」って書きたかったんですけど、入らなかったんです(笑)。

夏井先生 
これはいきなりインパクトのある入り方。
「夕立を妬む」が面白い入り方。
今お話を聞くと、締め切りの日という情報を入れたいと。
これはもう入れるしかない。
この「夕立」は"ゆうだち"なら4音だが、季語として"ゆだち"と3音で読む読み方もある。
「夕立(ゆだち)妬む」で1音字余りとなるが、これを上五に持ってくる。
そうすると、後半の音数に余裕ができる。
さっき仰った言葉を入れる。「〆切の日の充電席」と展開する。
本人 はぁ~。
夏井先生 これで言いたいことが全部入って「夕立」という季語も前面に押し出せる。
あなたがやりたかったことを聞いて今わかった。
これは将来性のある凡人。
浜田 あら~。
夏井先生 この人は多分上手くなると思う。
本人 え~!?嬉しい!(笑)え、ホントですか?先生。
夏井先生 ホントです。
俳句の型というのを少し覚えると、キスマイの二階堂君より早く上手になる(笑)。
本人 二階堂さんより早く?
夏井先生 早くなると思います。

浜田 彼には何回も言うてるんです、先生「型を型を」って。

●解説のポイント
「夕立を妬む」にインパクトがある
〆切日の意図なら入れるべき
「夕立(ゆだち)妬む」として上五字余りに
「〆切の日の」で中七
季語も前面に押し出せる
将来性のある凡人で必ず上手くなる
俳句の型を覚えると二階堂より早く上達

添削後
夕立妬む 日の 充電席



◆4位 才能ナシ35点 伊集院光
止まぬなら ケーキセットじゃ 梅雨の陣

浜田 あっ…。

【本人談】
雨が降ってきて少しの間s(サイズの)コーヒーを頼んで、なんとかすぐに仕事再開したいと思うがとても止みそうにない。だったらケーキセットもいっちゃうよと。これが俺の梅雨の構えだからという。

千原永世名人 はしゃがれましたね~(笑)。あ、そうですか。なんじゃこの(上五の)ホトトギス感(笑)。(→「鳴かぬなら○○○○○○○○ホトトギス」で有名な武将の喩え句を引き合いにモジる)
本人 はいはい。(頭を抱えて)はしゃいだな…(笑)。はしゃいだ、確かにこれはしゃいだわ。

夏井先生 
はしゃいで楽しい気分は私にも伝わっている。
ただ季語に無理がある。
「梅雨」は夏の真ん中あたりの天文の季語。
「止まぬなら」といっても、止まないから梅雨。
それを言われても梅雨も困ってしまう(笑)。
さらに「陣」まで持ち出して「何日この人はここに籠ってケーキを食べるのか?」と(笑)。
「梅雨」という季語の把握をやり過ぎて、はしゃぎすぎて自分が掘った穴に落ちたというのはまさにこれ。
浜田 それがこの句ですね。
夏井先生 それがこの句です。
「梅雨」という季語を活かすのであれば、「陣」は諦めるしかない。
素直に「雨宿り」と書くべき。「梅雨の雨宿り」で状況が書ける。
「止まぬなら」と家康を気取っている場合ではない(笑)。
「梅雨の雨宿り」で中七に意味が掛かってくる。
「ケーキもたのんじゃえ」と少し可愛い子ぶってみる。
ここで楽しさをチョコっと出す。
まあ、一から出直しましょう(笑)。

浜田 ちょっと伊集院さんホントに、才能アリを獲ってる人間ですから。
本人 はしゃいだ分加速度が凄いですね、落ちるのが特に(笑)。頑張ります、頑張ります。ここからハイ。

●解説のポイント
はしゃいで楽しい気分はわかる
天文の季語に無理がある
そもそも止まないから梅雨
「陣」で何日ここに籠ってるのか?
はしゃぎすぎて自分が掘った穴に落ちた
「雨宿り」で状況は書ける
家康を気取っている場合ではない
「たのんじゃえ」と可愛いこぶってみる
一から出直して

添削後
梅雨の宿 ケーキのんじゃ



★特待生昇格試験★

→<名人4段>・皆藤愛子は2級から5回連続で昇格中と絶好調。
浜田 やっぱ、ちょっと調子いいんでね。
皆藤名人 そうなんですよ。この勢いでまた昇格したいと思います。
浜田 分かりました。

◆『梅雨寒のカフェ 腿に愛犬の熱 皆藤愛子
※足して17音になる破調の一句。

梅沢永世名人 うん~。

【本人談】
梅雨で肌寒いカフェで愛犬をここ(→腿)にのせてちょっと和むという感じ。

★評価ポイント
「梅雨寒」「カフェ」「腿」「愛犬」「熱」の語順の是非

■査定結果
名人4段で現状維持

理由:もう少し触感を伝える工夫を!

本人 あ~、はい。

夏井先生 
この場面・体験を書こうとしているのが良い。
「梅雨寒」という季語の把握も正しい。
これは皮膚の感じを一番強く出している季語。
季語の「寒」と最後の「熱」の対比も企んでいるのはよく分かる。
「カフェ」という場所がなければ一句はもう少しゆったり書ける。
カフェで感じているということをやっぱり入れたいのだと、今お聞きして思った。
だとしたら残り出来ることは少ない。
「梅雨寒のカフェ」の後の語順を「愛犬の熱腿に」と持ってくる。
何が変わるかというと、"愛犬の熱が私の腿に残っております"と切れがない分ここに余韻ができる。
この余韻が季語の「梅雨寒」という皮膚感に戻ってくる。
こういう余韻を膨らませることで、季語が活きてくると。
小さなことだが勿体ないと思った。

本人 深みが全然変わりました。

●解説のポイント
体験を書こうとしているのが良い
季語の把握も正しい
皮膚感を出す「寒」「熱」の対比
「カフェ」の場所がなければゆったり書ける
本人の意図なら「カフェ」を残して語順を変える
切れがない「腿に」で余韻が残る
季語の皮膚感に戻ってくる
余韻を膨らませて季語を活かす
小さなことだが勿体ない

添削後
梅雨寒のカフェ 愛犬の熱腿に



★永世名人 ジュニアのお手本★

→<永世名人>・千原ジュニアは3回連続でシュレッダー。
浜田 これジュニアはちょっとここええ加減にしとかんとダメですよ。
千原永世名人 そうなんですよ。今日は抜けたいなというのと、ホントに改めてこう(→永世名人に)なって、(梅沢さんの)素晴らしさが分かるという。ホントに句集出すって大変…あの句集のタイトル『一日店長』でしたっけ(笑)。
梅沢永世名人 いやいや。
浜田 タイトルでいつも遊びすぎや。
梅沢永世名人 「一日店長」って俳句…句集があるのか?『一人十色』。
千原永世名人 あ、『一人十色』ね。

◆『珈琲は 冷めて怯者の 梅雨の闇 千原ジュニア
※「怯者(きょうしゃ)」とは臆病者のこと。

【本人談】
ずっと黙って珈琲を飲むわけでもなく、決断できないこの臆病者というか。「やります」とか「行きます」といえば始まるのにそれが言えずにずっと黙っている、あそこのテーブル全く1時間2時間喋ってないなというのを詠んだ。

梅沢永世名人 素晴らしい!
本人 え?
梅沢永世名人 「梅雨の闇」、これで勝負ありだね。
浜田 …えっ?
梅沢永世名人 この一言、下五。この下五の言葉だけで全体の俳句がドゥン!とこっちに伝わるね。
本人 あ、そうですか。
梅沢永世名人 すばらい!(笑)

■査定結果
永世名人24句目に掲載決定

理由:(下五の余韻が深い)

本人 (立ち上がって)よ~し!よしよし!
早見 すごーい。
本人 よし!

夏井先生 
「珈琲は冷めて」という前半は、フレーズとしてありがち。
どこかの喫茶店みたいなところで珈琲は冷めてしまったと。
よくある感じだと思うとここで「怯者」という言葉が出てくる。臆病者という意味。
"珈琲は冷めきっている。臆病者の私はその珈琲に手を付けることもできず、飲み残しているのかもしれない。
返事も出来ず、この梅雨の闇の底に座っているだけだ"という。
辛い気持ちをもって座り続けている。
迫力もあって引き締まっており、季語も生きている。
こういうのが名人の句だと思う。
浜田 当然直しは?
夏井先生 要りません。

浜田 ちょっとね、足踏みしてましたけど、やっとここで抜けましたから。
本人 今日はケーキセットじゃ(笑)。
加納 はしゃいだなあ。
伊集院 あんまりはしゃぐとあるよあるよ、危ないよ(笑)。

●解説のポイント
前半のフレーズはありがち
「怯者」からの展開が上手い
臆病な私は冷めた珈琲に手を付けられない
梅雨の闇の底に座っているだけ
迫力もあって引き締まっている
これが名人の句

添削なし



★特別永世名人 梅沢富美男の締めの一句★

→<永世名人>・梅沢富美男はここまでお見事を4回連続で決めている。
清水アナ 梅沢さんには名人たちよりもハイレベルな俳句で番組を美しく締めて貰いたいと思います。
浜田 もうもう皆さんから全員のやつを最後に締めてもらう。
梅沢永世名人 はい。
浜田 調子いいんですよ。
梅沢永世名人 勿論ですよ。4回連続ですから。
浜田 ちゃんと締めてます。
梅沢永世名人 だから、ジュニア君の句集の前に私が第2弾出そうかと思ってる(笑)。
千原永世名人 (お辞儀して)はい。ありがとうございます。
梅沢永世名人 今日は輝星(きらり)ちゃんが来てるんですよ。「梅ジイ」としてしっかり見せないと。
浜田 分かりました。
***
梅沢永世名人 「純喫茶」と「喫茶店」の違いをさ、梅ジイ教えといてあげるね。「純喫茶」ってのは、ホントにお茶だけでアルコール(飲料)がないんですよ。で、「喫茶店」ってのはアルコールが置いてある。
村山 はは~。
梅沢永世名人 えらい頭いいな~(笑)。
浜田 なんやねん。

◆『濁りゆく ソーダフロート 減らぬまま 梅沢富美男
※季語は「ソーダフロート」。

【本人談】
前に経験したが、喫茶店に行ったときに表がザァーザァー降ってるのに、窓際で(ソーダフロートを)飲んでいる(人物を見た)。ところが全然(中身が)減らない。あんまり飲んでしまうと、無くなってしまうと(店を)出ていかなきゃならない。長居すると嫌がられる。ただ、誰かを待っている。なかなか来ない。それを見て、「ああ早く来れば良いのになあ」と他人事のように考えた。

■査定結果
特別永世名人5句目のお見事!

理由:心情が伝わる

千原永世名人 うわ~凄い。
皆藤名人 凄い。
本人 アハハッ。
(査定評後)
本人 ほら、こういうことですよ。

夏井先生 
眼の前にあるのはソーダフロートがあるだけの句。
ただ、句の背後に色んなことを伝えられている。
そこはやっぱり上手い。
「濁りゆく」の部分に時間経過が入っている。
さらに「減らぬまま」と切れのない形で、この後に時間を膨らます思いも余韻に入ってくる。
「ソーダフロート」は元気で明るく楽しそうな季語。
それをこんな風に憂いを含んで書くことが出来る。
これも年の功というやつかもしれない。

本人 ありがとうございます。
浜田 当然直しは?
夏井先生 要りません。
本人 ありがとうございます。

●解説のポイント
眼前にソーダフロートがあるだけの句
句の背後に色んなことを伝えられている
上五に時間経過
切れのない下五に時間や思いが入る
季語は元気で明るく楽しい
憂いを含んで書けるのは年の功

添削なし



浜田 「お見事」が続きますね。
梅沢永世名人 自分でも驚きますよ。
浜田 凄いっすね。
梅沢永世名人 もう…これはまあ第2弾句集出すしかないですね。
浜田 しつこいな、もう(笑)。

※次回6/8の俳句の兼題は「水族館」です。


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コメント

今回も更新お疲れ様です

ジュニア永世名人
匿名希望さんの指摘ですが、自解では「あのテーブル冷え切ってるな」と語っているので「第三者の目線的」というのは本人の意図通りなのかもしれません。
シチュエーションを決めて光景と立場を確定すると分かりやすい一方、自分は「別れを切り出したいんだけれどできていない」という状況が見えました。コーヒーも冷めてるし、相手の気持ちも、その場の空気も冷めきっている。そんな雰囲気を感じる句と読み取りました。

御大
私もそのまんま名無しさんと同じく原句が好きです。
よくコメダだったりマックでフロートを飲んでいるのですが、原句には「なぜフロートが濁っていくほど時間をかけているのか」「なぜ減らないと感じるほど飲んでいないのか」が書いてありません。ここを読み手を信頼したポイントかもしれません。
自分の場合は外の天気がどうであれスマホゲームに夢中で濁るほど減らないなんてことはありますが、同じように「何か動画を見てる」「仕事に集中している」「会話に夢中になっている」など、それぞれの「フロートが濁るほど時間が経っているけれど減らないシチュエーション」に当てはめて楽しんでいく句だと感じました。勇気のいる中々の一物仕立てでしたが流石。

平場の句から発表順に

二位の句
・基本の型をちゃんと弁えている。中七の「計算ドリル」が句の登場人物の年代を表しているのは得。また、下五の「3回目」、ここが時間経過を表しているが、「3回目」を「夕立がなかなかやまないのか?」「ドリル1回自体は大した時間はかからないから、4回目はあるのか?」など、結構数詞から詠み手であり句の登場人物の心境を考える余韻も残されている。
・問題点は3を三と書くべきところと、三段切れ。ただ、全くの素人が「五音の季語+12音の一塊」(もしくは四音の季語に『や』を付けて+12音の一塊……この句の良いところは、「夕立や」に対して中・下の一塊が程々に距離があること)という型だけ習って三段切れだよ、と言われるのは傷つくだろう。夏井先生の指摘が切れの問題まで及ばなかったのは優しい世界だし意味はちゃんと通じた句だった。
・子どもと一緒に見ることもあった「えいごであそぼ」に出ていた子が13歳になってプレバトに出ていること自体感慨深かった。大きくなったなぁ。

3位の句
・「夕立を妬む」。夕立の良い部分を見つけて自分には足りない部分があるのだと、羨ましいと思いながら憎んでいる。
・「妬む」が心情的な動詞なので、普通なら「その気持ちを状況を描写して示せ」となる。しかし、「夕立」という負の印象もある自然現象と「妬む」という人間の負の感情を持つ動詞の組み合わせが掛け合わされ、季語「夕立」がなんか良いイメージになってくる。マイナス同士の掛け算みたいだ。

私はここまでは大絶賛です。

期日の充電席
・期日とは、ある特定の日、という意味。
・読み手は、何かの〆切の日という意味で「期日」、いわば「〆切期日」を言いたいのだが「期日」では良く分からない。ここは、ジュニア永世名人の「期日が分からん」、ご本人の「〆切日を入れたかったが入らん」というコメント通り。
・夏井先生は添削句で「言いたいことが全部入る」と仰ったが、自分ならば、「夕立を妬む〆切日の白紙」くらいにし、充電席は捨てる。この句だけで状況であり、夕立を妬むくらいの詠み手の苦悩は思い浮かぶだろうし、兼題写真にプリントしたらそれなりに合うと思えた。

4位の句
・はしゃぎすぎという指摘であり詠み手の反省もうなずけるし、やりすぎ感は否めなかった。
・ただ、「梅雨」など、負の印象も持つ季語をポジティブに捉えていく点だけは評価できる。措辞によって季語の印象も随分違ってくるもの。
・季語のイメージとは色んなものがあるのだと、はしゃぎすぎずに捉えていきたい。

1位の句
・「パパと子は」の「は」がやはりポイント。ある集団中に、他にいろいろあるなかの、特定の存在を「は」が見事に指し示した。
・「夕虹(虹の傍題)」の「テラス(露台の傍題)」が季重なり。しかし、これは上手な使い方。「季節が同じ」で、「天文+生活」の形など、時候や天文等、大きな季語に生活や生物の季語を組み合わせ、かつ、季語同士の意味の重複が無い場合、季重なりは成功しやすい。それを示していた。

皆藤名人
・原句は調べが悪い
・「腿に愛犬の熱」というと、自分の触感が主体となるが、「愛犬の熱腿に」とすると、犬の方が熱源となっていて、それを腿に感じられる句となる。
・梅雨寒を感じるカフェである、そこに、自分の腿に愛犬の熱を感じているというと、ちょっと自分大好き、愛犬を好きな自分が好き、という感じを受ける。
・それよりは、梅雨寒を感じるカフェである、見下ろせば腿の上に犬がいて、そこから熱を感じるという語順の方が、カメラワークの上でも得だった。

ジュニア永世名人
・いまいち何を言いたいのか、ぼやける句。というのも、怯者=臆病者であるが、何に臆病になっているのか分からないのと、梅雨の闇=五月闇、梅雨闇の傍題だろうか。五月闇とせずに「梅雨の闇」としたことで期間は広がっていること。
・また、「怯者の」の「の」。「の」は使い方が多岐にわたるので、「怯者の梅雨の闇」が、冷めたコーヒーによってもたらされたのか、元から感じていた闇だったのかなど。
・ただ、どんな読みを繰り広げても、怯者が冷めたコーヒーを前に何かしら思っているのは伝わる。文法とかの解説を前に、雰囲気で感じられた句だった。

・御大
・上と下を入れ替えても句として成立する句。

・御大の句は、濁っていくソーダフロートが減らないままそこにある。一方、上下を入れ替え、「減らぬままソーダフロート濁り行く」とすると、減らないままにソーダフロートが濁っていくという句となる。

・どっちが良いかは、読み手にお任せしたいが、私は御大の句の方が好き。

昨日のプレバト

ジュニアさんが久々の掲載決定を果たすといい、おっちゃん(梅沢さん)が5連続でお見事といい、素晴らしい内容でしたね。(皆藤さんが名人になって初の現状維持になったのは痛かったけど・・・)

追記
次回の放送でフジモンが永世名人になって初の挑戦になるので、どうなるのかが楽しみですね。(現時点で「句集完成まで残り27句」と「プレバト」公式サイトで判明)

追記②
ついに芸術部門において、初めて10段到達者が現れましたね。

皆藤愛子四段
梅雨寒の肌の感覚、愛犬の暖かな肌の感覚。取り合わせとして素晴らしかったが、余韻が足りず。添削では七・五・五の定型に近い型となり、七・十の不安さを感じる調べから落ち着きが戻った感じ。

ジュニア永世名人
三連続ボツからの脱出となったが、個人的には違和感を覚えた。急に暗い作風になったのもそうだが「珈琲は冷めて」と一人称視点での句の筈なのに「怯者」というのが客観的な言葉でありどうにもズレを感じるからだ。カフェにいる「怯者」を憐れんでいる第三者の視点のようにも読めてしまう。
「珈琲は冷めて梅雨闇の商談」
など、自分の立ち位置がはっきり分かる言葉を用いるべきだったのではないか。

梅沢富美男特別永世名人
これも高評価に違和感を覚えた句。
「濁りゆくソーダフロート」までは色彩感覚が良かっただけに「減らぬまま」の説明臭さがどうにも気になった。減ってないからアイスが溶けて濁るんだろって突っ込みたくなる。「下五に時間や思いが入っている」と先生は評していたが、自分は素直に別の情報を加えて取り合わせにしたい。
「失職やソーダフロート濁りゆき」
「濁りゆくソーダフロート雨のカフェ」

1位 早見あかり
「は」の使い方が非常に上手いほか、夕虹が丁度良い明るさの世界観で良い。きっと留守番の親子も仲良くやってるだろうと想像させてくれる。
とはいえ過去4回の句は芸能生活ないしは子育ての句と、全て実体験が元になっており句材のワンパターンさが否めないため、違う切り口で攻めないと特待生は厳しいと思われる。

2位 村山輝星
齢十三でここまで俳句の基本を頭に叩き込んでいるとは恐れいった。夕立の勢いと計算の反復練習に打ち込む姿、子供らしい良い取り合わせのセンスだと思う(夕立という短時間を切り取った季語と時間軸が合っているかは議論の余地があるか)。
アラビア数字にしても計算ドリルという理数学的かつ幼年向けな物のため違和感はさほどない(とはいえ基本使用しないことは基礎として知るべきだが)。

3位 Aマッソ
どこに音数を割くべきかというバランスを考えさせられる句。個人的には何の「締切」かまで具体的に書いてしまうのもありかと思った。まあ「充電席」でパソコンで仕上げる何かと分かるか。

最下位 伊集院光
「夢のあとはぐれ牛すじおでん鍋」に続いて、ちょっと表現がはっちゃけすぎた句。上五が完全に「鳴かぬなら」のアレだし、「梅雨の陣」も臭い。どうせ雨止まないからケーキも注文しようという句材が悪いとは思わないので、次回までに反省していることを願う。

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