2023年3月30日放送 プレバト!! 俳句春光戦2023決勝戦結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
春の季節に行われる第7回
春光戦決勝戦で名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
※7日に全て更新しました。大変お待たせ致しました。→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細(決勝ブロック) →編集後記⇒予選Aブロック記事⇒予選Bブロック記事⇒予選Cブロック記事※過去のタイトル戦結果などは
こちらまたはブログカテゴリからどうぞ。
挑戦者:<5級>勝村政信[14],<4級>森迫永依[7],<4級>春風亭昇吉[13],<名人4段>皆藤愛子[35],<名人6段>立川志らく[63],<名人10段★4>横尾渉(Kis-My-Ft2)[72],<永世名人>千原ジュニア[90],<永世名人>藤本敏史(FUJIWARA)[89],<永世名人>村上健志(フルーツポンチ)[84],<永世名人>梅沢富美男[189] ※[数字]は挑戦回数見届け人:千賀健永(Kis-My-Ft2)、北山宏光(Kis-My-Ft2)、犬山紙子◇春光戦2023(第7回春光戦)のルール 【予選】 ・ABCの3ブロック制で、各ブロック5名が参加 ・ブロック分け・挑戦する兼題は事前に抽選済(2023/02/16放送) ・各ブロック1位の合計3名が自動的に決勝進出 ・各ブロック2位以下は補欠となり、全ブロック終了時予選通過者発表 ・補欠から優秀句を詠んだ上位3名が決勝進出(敗者復活) 【決勝】 ・第6回金秋戦上位2名および永世名人がシードで参加 ・決勝はシード4名(永世名人含む)、予選通過6名の合計10名 |
■兼題春 光 戦 | 放送日 | 兼 題 |
予選Aブロック | 3/2 | 卒 業 |
予選Bブロック | 3/16 | 引越し |
予選Cブロック | 3/16 | 入 学 |
決 勝 | 3/30 | 給与明細 |
◆全参加者(19名)の段位一覧 ※
が決勝進出者 | Aブロック | Bブロック | Cブロック | 予選免除 |
永世名人 |
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| 藤本 梅沢
村上 ジュニア |
名人10段 | 横尾 | | | |
名人9段 | | | | |
名人8段 | | 千賀 | | |
名人7段 | | 中田 | |
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名人6段 | | | 志らく | |
名人5段 | | | | |
名人4段 | | 皆藤 | | |
名人3段 | | | | |
名人2段 | | | | |
名人初段 | | | | |
1級 | | | | |
2級 | 北山 松岡 | | 馬場 | |
3級 | | | | |
4級 | 犬山
昇吉 | | 森迫 | |
5級 | | 的場 本上 | 勝村 こがけん | |
●兼題:給与明細
※仕事の思い出に発想は飛ばしやすいが、お金のエピソードは詩になりにくく、実体験と詩的な表現が必要という厄介な兼題。
※次回の金秋戦のシード権は「2位まで」(永世名人のシード権は要検討)と発表されました。※順位クリックでリンク内移動します。
1位 | 藤本敏史(FUJIWARA) | 永世名人 | 給与手渡し春宵の喫煙所 | きゅうよてわたししゅんしょうのきつえんじょ |
2位 | 皆藤愛子 | 名人4段 | ギャラ明細は二行療養の春 | ぎゃらめいさいはにぎょうりょうようのはる |
3位 | 梅沢富美男 | 永世名人 | 鞦韆に退職の日の花束と | しゅうせんにたいしょくのひのはなたばと |
4位 | 村上健志(フルーツポンチ) | 永世名人 | 保護シール剥がす手応え啄木忌 | ほごしーるはがすてごたえたくぼくき |
5位 | 千原ジュニア | 永世名人 | 口座開設朱肉拭き取る夏近し | こうざかいせつしゅにくふきとるなつちかし |
6位 | 森迫永依 | 4級 | 本採用朧夜の缶チューハイ | ほんさいようおぼろよのかんちゅーはい |
7位 | 横尾渉(Kis-My-Ft2) | 名人10段★4 | 春光の起業ゲーミングチェア届く | しゅんこうのきぎょうげーみんぐちぇあとどく |
8位 | 立川志らく | 名人6段 | 桜蘂降る陸自の戦車しづか | さくらしべふるりくじのせんしゃしづか |
9位 | 春風亭昇吉 | 4級 | 職を辞したる尾崎放哉鳥曇 | しょくをじしたるおざきほうさいとりぐもり |
10位 | 勝村政信 | 5級 | 我が給与マックのバイトに負けた春 | わがきゅうよまっくのばいとにまけたはる |
順位発表順:2位→8位→9位→7位→4位→最下位→6位→5位→3位→1位→編集後記【トーク集】(クリックで展開)
※上段左から永世名人の梅沢・村上・ジュニア・藤本。中段左から特待生の昇吉・森迫・勝村。下段左から名人の横尾・志らく・皆藤が座る。
夏井先生 少なくとも上位9人まではちゃんと詩がありました。
浜田 アハハッ。
千原永世名人 え、え~!?
村上永世名人 なんでそんなこと言うの?
藤本永世名人 誰ですか?
浜田 最下位は(詩が)なかったと(笑)。
清水アナ そういうことになりますね。
藤本永世名人 え~、そういうの先言うのなしよ。10位だけ発表してほしいな。
***
清水アナ 去年の春光戦優勝者は立川志らくさんですね。
浜田 春はそうですね。
志らく名人 去年の春の優勝者でありながら、予選では(唯一)3位からの通過ということだからビリということです。この中で。だから、自分の立ち位置がよくわからない(笑)。
浜田 今回どうですか、自信のほどは。
梅沢永世名人 優勝です!(笑)
藤本永世名人 言い切った。
梅沢永世名人 句集を出して優勝しなかったら、そんな優勝もできないような句集誰が買いますか?
浜田 そらそうです。
清水アナ 先日50句が揃いました。(本を持って)こちらですね。表紙やデザインのタイトルもご本人がこだわり抜いたそうです。
浜田 あ~そうなんですか。これタイトル…。
→『句集 一人十色』(くしゅう いちにんといろ)は4月7日に全国発売。
梅沢永世名人 はい。一人十色。本当は十人十色というのが本当なんですけど、一人の人間が色んな芸を持ってますよね。私の場合、ほらお芝居で女形もやれば立役もやる三枚目もやる…。
浜田 (無視して)さ、お隣は…(笑)。そんなんいいんです。ジュニアさん今回どうですか、このメンツで負けたくないとか。
千原永世名人 やっぱりその…永世名人なりたてのフジモン。今も第一声「フカフカや!」って。(永世名人専用の)椅子の座り心地にまだ慣れていないような奴には負けたくないなと(笑)。小さい声ではっきり「フカフカや!」って。
藤本永世名人 よう聞いてるな。
浜田 今回どうですか?
森迫 冬麗戦で1位を頂いたからには、マグレじゃなかったというのを証明したいので…。
浜田 なるほど。上位に。
森迫 ちょっと…上位に入りたいです。
浜田 (見届け席へ)こちらはなぜいるんでしょうかということです(笑)。
北山 応援しに…。
浜田 予選に落ちたお3人さん。
千賀名人 横尾さん、僕たちブログやってるんですけど、ブログで「勝ちたい勝ちたい いや絶対勝つ」っていう言葉だけを(笑)。で、次の月にこのプレバト!!の予選があって、このために一生懸命句を考えて気持ちが高ぶってて。
北山 ちょっとそれで炎上していた。急に「勝つ」って言いだしたから。プレバト!!のことだったのね。
浜田 なるほど。
***
→去年の金秋戦で志らく名人(9位)が昇吉(3位)より順位が下となり、本人の公約通り昇吉の独演会で前座での出演が決定していた。3月の「春風亭昇吉独演会」で志らくがノーギャラで出演した。
志らく名人 (VTR)お後お目当て、昇吉師匠までの繋ぎでございます。
志らく名人 (楽屋)普段の落語よりも拍手が大きかったので驚いてしまいました。
昇吉 (VTR)三月の志らくに負けるわけがない(笑)。
***
浜田 出たんですか?
志らく名人 取り敢えず。はい。今回もし、昇吉に負けるようなことがまたあれば、今度は昇吉のことを「師匠」と呼びます(笑)。
浜田 え、志らくはんをどう見てますか?
昇吉 いやちょっともう、なんで来たんかなあっていうぐらい。
志らく名人 あのね、(昇吉は)毎回(週に)700句くらい詠んでるんですよ。それを師匠の(春風亭)昇太さんに言ったら「バカじゃねえか」(笑)。「もっと落語の稽古しろ」と。
***
清水アナ 今回、お題が「給与明細」ということで、皆さんの初任給の金額を聞いたところ、村上さんと藤本さん、ジュニアさん、志らくさんが500円だったそうです。
藤本永世名人 大阪の難波の二丁目劇場の舞台にネタで一回出て、でも税金引かれて450円に。
浜田 そう、450円。
千原永世名人 だから2か月たっても900円なんで、カードで引き落とせなかったっすね(笑)。引き落とすまで3か月かかったんです。
藤本永世名人 ちなみに、浜田さんは…。
浜田 我々も500円。
藤本永世名人 ホンマですか?
浜田 うめだ花月・なんば花月、どこ行っても500円です。はい。
藤本永世名人 2~3000万くらい?(笑)
浜田 なんでやねん!梅沢さんどうやった?
梅沢永世名人 私は貰った時には300円でしたけど、でも他にはご祝儀でバンバン貰ってましたよ。もうガンガン貰ってました。
浜田 いや、今初任給の話をしてるの!(笑)おひねりの話は関係ない。
藤本永世名人 何でもいいんじゃないですか、じゃあ。
千原永世名人 お年玉なんぼ貰ったとか、そんな話でも。
藤本永世名人 何でもええやん。
梅沢永世名人 ごめんなさいね!訳わかんなくて。
浜田 ジャニーズの給与明細はどんな感じなんですか?
横尾名人 普通に封筒で送られてくるんですけど。見たことないです。ちゃんと…そのまま…税理士さんに渡しちゃうんで。
浜田 何になんぼとか書いてんの?
横尾名人 安かったらイヤじゃないですか(笑)。気持ちが入らないんで。
浜田 あ~はいはい。
横尾名人 だから見ないようにしてます。
***
浜田 今回どうですか、自信のほどは。
村上永世名人 梅沢さんが句集を出されたので、ここいらでとっておかないと。
浜田 そらそうです。あなたにとって、今回の強敵ってのはどなたになります?
村上永世名人 迫(さこ)さんです。
藤本永世名人 「迫さん」言うてんの?
森迫 私ですか。
村上永世名人 森迫さん。
千原永世名人 迫さんって。我々で言う「迫さん」は宮迫や(笑)。
村上永世名人 (シーッの仕草をして)僕が俳句の神様なら2連覇させると思うんで。
千原永世名人 違うからな。
村上永世名人 そうなんすよ。
犬山 (2021年夏を制覇後に特待生降格を経験した)私はマグレだってことを自分で証明しちゃった派なんで。だから、迫さん。マグレじゃない人がいてほしいんですよ。
浜田 あぁそういうことね。
森迫 ありがとうございます。
犬山 私の分も1位になってほしい。
森迫 ありがとうございます。
浜田 森迫さん、どうでしたかこのお題?
森迫 すっごい難しくて。全然出てこなかったんです、俳句の種が。泣きながら考えてました。ホントに号泣しながら。
浜田 マジで?
森迫 焦りと悔しさと、泣いた分私なりに頑張ったんで。
浜田 分かりました。
***
清水アナ 梅沢さんは2018年の秋から優勝していません。
梅沢永世名人 この番組を盛り上げるために、わざとタイトル戦は手を抜いていたんです。
千原永世名人 どういう意味ですか?
梅沢永世名人 はい、すいません(笑)。
清水アナ では何位からみましょうか。
浜田 めっちゃ多いな…。2位。
一同 え~!
千原永世名人 2位!
村上永世名人 スゲーいいんだけどな。
浜田 いきましょう。春光戦第2位はこの人!
▼2位は皆藤愛子 ※下剋上その1
皆藤名人 いや、うそ!すごい!ありがとうございます。嬉しい!やった~!
梅沢永世名人 凄い。
藤本永世名人 いいなあ。2位。
千原永世名人 2位ええな~。
***
清水アナ 続いては何位を見ましょうか。
浜田 う~ん、下のほう行くか、じゃあ。9…9…8位!
藤本永世名人 8位!
千原永世名人 長いよ、こっから~。
藤本永世名人 これ分かるでしょ。
浜田 いきましょう、春光戦第8位はこの人!
▼8位は立川志らく ※王座陥落
藤本永世名人 ヤバイ。
浜田 あら、ディフェンディングチャンピオンが8位になってしまいました。
藤本永世名人 (昇吉を)師匠って呼ばないと…。
千原永世名人 …ていう可能性がだいぶ高くなってるよ。
浜田 これ分からへんよな。可能性出てきたね。
***
清水アナ それでは続いては何位を開けますか。
浜田 上…ええわ。志らくはんの下、9位!
藤本永世名人 いや!
千原永世名人 ここまでや。
梅沢永世名人 ギリギリ詩があるんだね。
浜田 ここまでは詩が。アハハ。
藤本永世名人 詩があっても9位は嫌やな。
浜田 いきましょう、春光戦第9位はこの人!
▼9位は春風亭昇吉
藤本永世名人 マジか。
千原永世名人 狭いとこ入った。
浜田 (志らく名人を指さして)助かった。
千原永世名人 狭いとこ入ったよ。
梅沢永世名人 こりゃ面白い。
浜田 いいね~。あら~。
千原永世名人 ボロクソ言うてたやん。「どこの戦車ですか?」って。
浜田 あっら~。志らくはん、めっちゃ嬉しそうな顔してた(笑)。
***
清水アナ では続いては何位を発表しましょうか。
藤本永世名人 まだいっぱい空いてるな。
浜田 上の段(→永世名人)4人ともまだいますね。
村上永世名人 10(位)残ってんな。
浜田 じゃあ、もう志らくはんの上、7位。
千原永世名人 ありそうやな。
浜田 いきましょう、春光戦第7位はこの人!
▼7位は横尾渉(Kis-My-Ft2)
一同 ここで。
梅沢永世名人 10段が落ちた。
浜田 ハハハハ。
***
浜田 さあ、残っているのはこの6人でございます。上の段はまだしっかり残って。
清水アナ はい、永世名人は残ってますね。
千原永世名人 ヤバイよ、10位が残ってるよ。
浜田 まあね、ちょっと横尾君は消えてしまったんで。どうですか、残ってるこの皆さんですが。
犬山 永世名人以外がいってほしい、と思ってるんで。
浜田 あ、上の?
犬山 はい。迫さんか、勝村さんが。
浜田 なるほど。あの2人に。
犬山 はい。
浜田 なるほど、なるほど。
北山 いや、どうだろう。僕もそうかもしんないですね、永世名人以外に。
浜田 それ気持ちやろ「いってほしい」。
北山 いってほしい。
千原永世名人 いやもう、10位がイヤ(笑)。
藤本永世名人 10位だけ、小っちゃいメモに書いてみんなに渡して貰えません?(笑)チラッと見ときたいみたいになるな、もう。
浜田 さあ、それでは参りましょう。ちょっと上の方いきましょうか。じゃあ。え~、4位。
千原永世名人 よしやな、よし。
森迫 入りたい。
浜田 いきましょう。春光戦第4位はこの人!
▼4位は村上健志(フルーツポンチ)
村上永世名人 うわ~。
藤本永世名人 うわフルーツポンチ・村上やん。
村上永世名人 うわフルーツポンチ・村上じゃないですか(笑)。
***
浜田 じゃあもう残ってるからね、5人が。最下位いきましょうか。
千原永世名人 きた~。きたよ~。
藤本永世名人 いやいや…。ヤバいわ。
浜田 いきましょう。
梅沢永世名人 詩がないのは誰?
浜田 春光戦最下位はこの人!
▼最下位は勝村政信
→速攻で最下位の席まで駆けだす勝村
浜田 早い早い。早いって。
勝村 すいませんでした!
藤本永世名人 ありがとうございます。
勝村 お時間は取らせませんので(笑)。
***
浜田 残っているのは(優勝経験者の)この4人。まぁ、そうね5位…6位。
森迫 6位かぁ。
千原永世名人 6位かあ~。
浜田 何なんよ、もう。
藤本永世名人 6位は俺も好きじゃない。どっちかと言えば、嫌いな部類やなあ。
浜田 いきましょう。春光戦第6位はこの人!
▼6位は森迫永依
森迫 いや~そうですよね~。
犬山 でもすごいです。すごいことです!
藤本永世名人 すごいことね。
清水アナ 大健闘です。
梅沢永世名人 大したもんだ。
浜田 いや上等でしょ。
北山 気持ち分かるわ~。
***
浜田 残っているのはこの3人。
梅沢永世名人 はい。
浜田 全員が永世名人です。
千賀名人 僕あの(優勝は)梅沢さんかな。
梅沢永世名人 ほう。俺。
藤本永世名人 いや、ない。
千賀名人 永世名人で、偉そうなこと沢山言われているのに(笑)、まったく上位を取らないという。僕らリスペクトしているんですよ、昔から色々教えを頂いたりしているので。ここでちょっと1位をとって。しっかりとはい。
梅沢永世名人 ありがとうございます。
藤本永世名人 梅沢さんは僕大丈夫だと思うんですよ(笑)、ホントに弱いホンマにタイトル戦、ホン~マに弱いので。
梅沢永世名人 今までは遊んでたんだよ~。お前たちが上がってくるまで待ってたんだ。
清水アナ (遮って)はい、では続いては何位をみましょうか(笑)。
千原永世名人・藤本永世名人 (立ち上がって)いやいや…。初めて切られた。
千原永世名人 アナウンサーに初めて切られたよ。
梅沢永世名人 こら。
清水アナ もうもう…もう「行け」みたいな圧を感じた気がしてすいません。
浜田 いえいえ、良かったよ。良かったよ。
清水アナ 続いては何位を見ましょうか。
浜田 5位。
梅沢永世名人 ここにいればいいんじゃないの。
千原永世名人 5位か~。
藤本永世名人 いいでしょう。いや、ええことないか。ここまで来たらなあ。
浜田 春光戦第5位はこの人!
藤本永世名人 どうぞ、ジュニア。
千原永世名人 フジモンいって。
▼5位は千原ジュニア
藤本永世名人 どうぞ、ジュニア。
浜田 アハハハハ。
梅沢永世名人 ようやく来たな!
藤本永世名人 きたぞ!
千賀名人 メチャメチャ嬉しそう。
***
浜田 さあ、残っているのはこのお2人。
梅沢永世名人 はい!
浜田 どちらかが優勝ということでございます。久しぶりじゃないですか、でも。
梅沢永世名人 はい、これ今頃視聴率ガン↑ガン↑ですよ(笑)。
藤本永世名人 絶対言いますね。そんな持ってないでしょ、視聴率。
浜田 フジモンどうですか。
藤本永世名人 ここまできたら、(優勝者の)パネル2枚いきたいですね。
浜田 ホンヤや。
藤本永世名人 久々でしょ、2枚。
梅沢永世名人 お前が優勝するよりも、俺が優勝した方がどんなに絵面がいいか!(笑)
藤本永世名人 そんな絵面よくないですよ。
千原永世名人 絵面は両者どっこいどっこい。
藤本永世名人 「両者」言うな。
浜田 さあそれでは参りましょう。
藤本永世名人 よしこい。
浜田 今年の春光戦を制した第1位はこの人!
梅沢永世名人 よしこい。
藤本永世名人 よしこい。
▼1位は藤本敏史(FUJIWARA)、3位は梅沢富美男
藤本永世名人 (立ち上がって)やった!やった。
浜田 (顔が固まる梅沢名人へ)ええ顔すんな!ええ顔。
藤本永世名人 残念!
梅沢永世名人 (スタッフへ)お前ら絵面も考えろよ。
藤本永世名人 よくないですって、そんな。
浜田 最後まで残ったん久しぶりやったんですけど。
清水アナ 久しぶりでしたが、惜しくも3位となりました。
浜田 まあでも3位ですからね。
***
藤本永世名人 やった!(春と秋の)2枚。いやいやいや。
清水アナ 2つ並びました。
浜田 夏取ったら3枚並ぶしな。
藤本永世名人 そうなんですよ。全部いっちゃいますか、4枚とも。
浜田 (秋の大会の予選免除の)ボーダーラインは…。
【2位まで】
梅沢永世名人 あら、きつい。
清水アナ ということで、藤本さんと皆藤さんまでがシード権を獲得。次回は予選免除となります。
藤本永世名人 皆藤さん、良かったね。
夏井先生 季語がちゃんと主役に立っていて、リアリティがあって詩がある。そして、3・4・5位の永世名人の皆さんですが、シード権があると言いつつ…予選からやってもいいんじゃないかなと私は思うぐらいなんですよ。
藤本永世名人 うわっ。
一同 え~!
千原永世名人 何でなんですか。(消しゴムハンコで)消しゴム削ったり、色々忙しいんです(笑)。
藤本永世名人 それ関係ないよ。関係ないでしょ、それは。
浜田 3位以下の方は予選から頑張って頂くということで、先生よろしいんでしょうか。
夏井先生 私ならそうするけど…。
梅沢永世名人 受けて立ちましょうよ!
村上永世名人 なんで、梅沢さんが熱くなってるんですか。
梅沢永世名人 実力の差を見せつけてやりましょうよ。みんなでバシッと。
村上永世名人 …。
千原永世名人 …。
梅沢永世名人 ちょっと、乗ってこないの!?(笑)
浜田 さあ、というわけで。
清水アナ さあ、それでは2023年春光戦を制したFUJIWARA・藤本さんには賞金30万円とトロフィーが贈呈されます。
藤本永世名人 あぁ嬉しい。
浜田 2023年春光戦優勝はフジモン!
犬山 凄い!
●それでは順位別に見ていきます1位
◆『給与手渡し 春宵の 喫煙所』 藤本敏史(FUJIWARA)【本人談】給与を手渡しで貰っていた時代の町工場をイメージした。給与を貰ったら気持ちもウキウキする。みんなで喫煙所へ集まって、タバコを吸いながら「今日、飲みに行くか?」みたいな。
千原永世名人 素晴らしいと思いますけど、1つ言わしてもらうなら、給与手渡しの頃なんて(喫煙所がなく)どこでも吸えましたから。
浜田 ふふっ。
本人 そんな、何今の?(笑)
千原永世名人 いや、喫煙所とか無かったから。どこでも吸えたから。
犬山 確かに。
本人 そんな、重箱の隅をつつくような。
千原永世名人 「喫煙所」の是非です(笑)。
本人 いやいや。
夏井先生 「春宵(しゅんしょう)」という季語が中七にあって主役としてしっかり立っている。
「やっと給料日が来たよ」というほのぼのとした談笑が聞こえてくる。
タバコの匂いもする。
直に受け取る充実感とまさに懐が少し温かい。
そんな感じの「春宵」で、タバコを吸い終わったら「よし!今日はちょっと1杯やって帰るか」みたいな「春宵」、春の宵。
小さな所にちゃんと目をつけて季語を主役に立てる。
お見事だと思う。直しはいらない。
●解説のポイント |
中七の季語が主役に立っている ほのぼのとした談笑とタバコの匂い 直に受け取る充実感と懐の温かさ 「宵」でお酒一杯飲みに行く会話も 小さな所に目をつけて季語を主役に立てた |
添削なし
時候「春宵」と給与が手渡された後の喫煙所の風景を描写した七五五の一句。ご指摘の通り、ざっくばらんな小規模なオフィスで、給与が手渡される場面を描いた温かみのある光景です。年度切り替えの忙しさゆえ気分も浮つきやすい「春」、その後の夜会に誘うなどプライベートな談笑を想像させる「喫煙所」と「宵」がマッチした形に。今でも給与を手渡しされる立場なら大変共感できるはず。上五の寸詰まりのご指摘もございましたが、渡す側・渡される側どちらをも思う点で許容範囲でしょう。インパクトは確かに弱く、「手渡し」「喫煙」の経験がないほど共感性も下がりますが、季語を主役にする定型でない語順が永世名人らしい技巧です。個人的に引っ掛かるのが2点。ジュニア名人が指摘した時代の齟齬と、同じ型の使い回し。給与が手渡しされた古い時代・喫煙所でないと吸えない今の時代という、回想と眼前の光景のギャップは確かにあります。また、藤本さんは「秋気の御堂筋」「小春のキネマ」など”時候+場所を含む対句表現”を最近多用しがち。他の永世名人が時候以外の季語にも挑戦している中、この型に味を占めている可能性があり、句集に今後掲載を決めていく立場であるなら様々な技巧をバランスよく載せてほしいと切に願いたい部分。優勝はしましたが、今後意外な点に苦戦しないか注視したいところです。
2位◆『ギャラ明細は二行 療養の春』 皆藤愛子※2年前、突発性難聴と診断され活動休止を余儀なくされた実体験を詠んだ句。
【本人談】数ヶ月事務所からお休みを頂いていた時、事務所から届いたギャラ明細が衝撃的で「再放送」とかしかなく、それを句にした。
村上永世名人 「ギャラ」ということによって、なんとなくこの人のしてる仕事というのが見えてくる上手さ。
梅沢永世名人 うんうん。
本人 ありがとうございます。
村上永世名人 うわ~、2位だよな~。上手いな~。
梅沢永世名人 これは上手いですよ。「春」というのがとても明るい春もあれば暗い春もあるんです。それを上手に表現している。「二行」というのがたまらないっすね。かぁ~いいな。
夏井先生 今のコロナ禍の時代を詠んだ句なのかもしれないと受け止めた。
細部が上手。
「ギャラ」という言葉から入るため、芸能系の仕事だと想像はつく。
そして、その明細はたった「二行」であると。
この数詞にリアリティーがある。そこが良い。
季語をもう少しだけ主役に押し上げるとすれば、(語順を)逆からいった方が良いかもしれない。
梅沢永世名人 逆?
夏井先生 「療養の春や」とここで詠嘆する。
病気になることは誰にも可能性はある。
ここから「ギャラ」を出してくる。そうすると人物が詳しくなる。
共感を作っておいて、細部に切り込んでいく。
「ギャラ明細二行」。この「は」がなくなるだけで引き締まる。
梅沢永世名人 はい。
夏井先生 こうすると、今日はまた勝負が動いたかもしれない。
梅沢永世名人 あらららら。
藤本永世名人 そうか。
●解説のポイント |
コロナ禍の状況とも読める 「ギャラ」で芸能系の仕事だと想像 「二行」の数詞にリアリティ 季語を押し上げるため語順を逆に 引き締めていれば勝負が動いていた |
添削後
『療養の春や ギャラ明細二行』
時候「春」に突発性難聴で仕事ができず給与がほぼなかった状況を詠った破調の17音。数詞が得意な皆藤さんならでは。一般人なら給与とは別に「講演料」などが明細の補注に示されることもあり、行数を示すことはあまり得策ではありません。馴染みが薄い「ギャラ明細」が芸能人らしい独特の表現で、「二行」の多少が「療養」によって明らかになる手法。いわゆる定収入ではなく出来高制と考えれば少ない給与に落胆している様子が伺えます。ご指摘の通り、2年前の夏に療養した体験談から詠まれた句材で、兼題に合わせて「春」とした点は気にはなるものの、アンニュイな気持ちを最も効かせた季節だとも考えられるため、大目にみたいところ。語順がポイントでしたが、定型を外した上、助詞「は」・「春」を含む季語を用いた点が予選のカーテン句と酷似しています。兼題に真っすぐ挑戦した点は素晴らしいため、技法の点でも色々な物に挑戦してほしいと願います。
3位◆『鞦韆に 退職の日の 花束と』 梅沢富美男※「鞦韆(しゅうせん)」はブランコを指す春の季語。
藤本永世名人 「鞦韆」?
【本人談】「鞦韆」を探すのにどれだけ苦労したか。給与明細を貰ったことがないため、イメージが沸かない。ふと思った。私のような年になれば定年になるしかない。ブランコに乗っているように毎日毎日会社に行っていた。で、いつかは(ブランコから)降りなきゃならない。それを私の気持ちとして読ませていただいた。
本人 この「鞦韆」! この季語みんな知ってたか?
村上永世名人 はい。
本人 知ってたか、お前。
村上永世名人 はい、知ってました。
千原永世名人 歳時記に載ってます。
本人 知ってたのかよ(笑)。
浜田 フジモンどうですか。
藤本永世名人 「退職の日に」「ブランコ」を取り合わせたのはすごく良いと思いますけどね。
夏井先生 「鞦韆」はブランコのこと。これと取り合わせてくるのはとても良い。
「退職の日の花束と」の「と」が大事。
花束"と"一緒に自分が今ぽつねんとそこにいる。
「鞦韆に」の「に」がいいのかどうかという問題。
「に」という助詞が散文的・説明的味わいになってしまう。
こういうことになる。
上五の「に」は要注意の助詞。
「に」以外にあり得ないかを吟味し、その上で使うか使わないかと。
そういうタイプの助詞になる。
梅沢さんの話を聞くと、ブランコ「に」乗っていると。
この「に」はとても大事な要素だと分かった。
そうなると、この「に」の説明臭さを少し取って余韻に変える。
「退職の日の花束と鞦韆に」。
最後の「鞦韆に」がブランコに腰掛けていると。
ここに余韻が生まれ、もう一度退職の日の感慨に戻っていく感じになる。
藤本永世名人 聞いてます?
浜田 梅沢さん、どうですか。こう直されると。
本人 恐れ入りました。
浜田 はい。
本人 でもね、なっちゃん。これで十分じゃない?
夏井先生 アハッ!
本人 絵面も考えなさいよ、絵面も(笑)。句集を出した永世名人が優勝して当然でしょうが。
夏井先生 あんたね、これでいいじゃないかって。自分を甘やかすんなら、句集出すのもうちょっと延ばした方がいいかもしれない。
浜田 あら。そんなこと言うから。
藤本永世名人 廃刊ね。
本人 編集で、切れよ今の!(笑)
千賀名人 いやもう伝わってるんですよ。
●解説のポイント |
ブランコとの取り合わせは◎ 最後の「と」で自分がぽつねんといる 要注意助詞「に」が散文・説明的味わいに ブランコ「に」乗る作者の意図を尊重 語順を変えて「に」に余韻を出す 再度退職の日の感慨に戻っていく (吠えるなら句集の出版を延期すべき) |
添削後
『退職の 日の花束と 鞦韆に』
春の生活「鞦韆」と退職の日の花束を取り合わせた定型句。兼題から退職した人物を発想し、健気に真面目に努力してきた行いが「日」の時間軸と「花束」という物に表れています。季語は「ふらここ」「ぶらんこ」などともできますが「しゅうせん」の堅く収まる響きが、余生を静かに暮らしたい思いとも重なります。要注意用法の上五「に」は本人の意図通り場所であり、最後の「と」の余韻で人物を思わせて光景が広がるため、原句でも十分成立しています。添削ではカメラワークを絞り、読後に「退職」の思いを巡らす形ですが、季語が動く可能性も感じてしまい、悩ましい部分です。共感性は大変ありましたが、発想力の点で少々不利だったでしょうか。御大の句集完成後の活躍を見守っていきたいところです。
4位◆『保護シール 剥がす手応え 啄木忌』 村上健志(フルーツポンチ)※「啄木忌」は明治を代表する俳人・石川啄木の命日で4月13日。
【本人談】石川啄木という人の生活苦、庶民の感じとかいう雰囲気と個人情報保護シールというのが明細にあって、あれを剥がすときの何とも言えない感触というものが何かこう相性良いんじゃないかなと思って作った。
藤本永世名人 お題の写真から「保護シール」を持ってきたのが、持ってきて句として成立させているのが良いかなと僕は思いますけどね。
夏井先生 あの兼題写真から「保護シール」への着眼が良いというのには同感する。
しかも、難しい忌日の季語に挑戦をしていると。
ここのチャレンジも決して失敗はしてないと思う。
悩ましいのは「手応え」の部分。
私たちはあの写真を見ているため、「手応え」は剥がすときの指の感触だと無条件に思う。
ただ、この文字面だけ読んだとき、"今月の給料は絶対あるに違いない"という「手応え」と読んでしまう人の割合が何割かいると思う。
そうなると、「手応え」が金銭的に苦労した石川啄木に対しての皮肉めいた読み方をされると作者の思いと随分離れてしまう。
これは「手応え」を諦め、別のところを補強すると村上さんの言いたい所に真っ直ぐ行くと思う。
後半「啄木忌の」の後に「明細」とストレートに書いてしまう。
「明細」と書くとあの「保護シール」かと。
「保護シール剥がす」でその手の感触は再生できる。
さらに、この「剥がす」ではなく、「強(こは)し」(※「堅い」の意味)なら詩としての純度が上がってくると思う。
でも良い所に目はつけたと思う。
本人 いや~いいところに目ぇつけたなぁと思いますね(笑)。
浜田 いやいや、言うたよ、言うた。今言うた。
●解説のポイント |
兼題から保護シールへの着眼が良い 忌日季語へのチャレンジも失敗ではない 悩ましいのは「手応え」 手触りではなく給料の額の手応えにも 金銭に苦労した啄木への皮肉だと意図が離れる 明細の保護シールで手の感触を再生させる 「強(こわ)し」なら詩の純度が上がる |
添削後
『保護シール剥がす 啄木忌の明細』
『保護シール強し 啄木忌の明細』
春の行事「啄木忌」と明細に貼られていた個人情報保護シールを剥がす際の手応えの触覚を詠った定型句。句材は勿論季語でもチャレンジを仕掛けた意欲作で、句会では十分に点が集まりそうな句です。税務署からの確定申告の還付金の通知で保護シールを剥がす場合、案外あっさりと剥がれるもの。一方、給与明細は封筒の封を切ることが多いでしょうか。文豪でもありながら金繰りに苦労した石川啄木の命日に来た何らかの明細は、督促状のようなものを思わせますし、「手応え」は困窮した啄木への皮肉として給与残高の手応えと読まれても、滑稽な読みとして良いと考えます。ただ、「保護シール」はスマホの画面保護のものと読まれてしまっては味わいの点で大損。「明細」など現物を示す形の添削となりましたが、大変挑戦しての失敗に本人は相当悔しかったに違いありません。
5位◆『口座開設 朱肉拭き取る 夏近し』 千原ジュニア藤本永世名人 あ~いいですね。
犬山 あ~いい。
梅沢永世名人 いいねえ。
【本人談】15歳の時、吉本興業から「銀行口座を作ってこい」と言われ、100円でハンコを買って人生で初めて銀行口座を作った。その時、「ホンマに今からお笑いで飯食っていけんのか?」みたいな凄い不安と「ここにギャラが振り込まれるのか」と(期待を)思った15歳の春を詠んだ。
梅沢永世名人 いや、良い俳句ですよ。これが3位になった要因はですね。
本人 5位です。
浜田 5位です(笑)。
梅沢永世名人 いや…。
千原永世名人 (席を移動して)3位でいいですか。
浜田 アカンアカン。5位5位。
梅沢永世名人 私は3位も5位も気にしてないので(笑)。これはね、この季語の「夏近し」というところ。これがちょっと動きそうなんですよ(→他の季語でも成立してしまうこと)、この俳句だと。
本人 いや、これは動かないです。村上永世名人 これは動かない。
浜田 アハハハハ。
本人 「夏近し」にはメチャメチャ不安も入ってるんで。
梅沢永世名人 いやいや、ジュニア。どっちにしたって、俺が3位にいこうと1位にいこうとお前より上なんだよ(笑)。
本人 それはもちろんそうですけど、季語は動かないです!
藤本永世名人 これは動かないですね。
梅沢永世名人 私は何かこれは…。
夏井先生 中七がリアルだというのは間違いない。
最後に朱肉を拭き取った綺麗にしたハンコが見えてくるのがとても良い。
今、季語が動く・動かないという話が出てきた。
「夏近し」という季語を置くことで溌剌とした感じがあり、夏が近いということは春が終わっていくという微妙なニュアンスもある。
「この季語に自分の思いを託しているのだからいい」という意見と「これは色んな風に動く」という意見と、意見は半分に分かれるタイプの句だと思う。
季語の力というもの。
藤本永世名人 (ピースをする梅沢名人に)半々なんです。
夏井先生 半々です。
本人 僕でも15歳、すいません先生。4月じゃなくて、ちょっと遅れて入ったんですよ。っていうこともあって、自分の中では季語は動かないです。
夏井先生 作者として大事なところで、「自分としては動かさない」とお決めになればよいと思う。
もう一つのささやかな問題。
読んだときに上五・中七で一回切れるような印象に本人も引っ掛かっているのではないかと。
本人 そこはホントにそうです。
夏井先生 ですよね。
その理由は「近し」が形容詞で終わっていて、「拭き取る」も複合動詞で動作を書いている。
この「拭き取る」「近し」が揃い踏みするような形になるため、韻律が少しバタつく。
ここは「朱肉」を残すだけで良い。
「口座開設拭き取る朱肉夏近し」と。
本人 はぁ~。
梅沢永世名人 これはリズムがいい。
夏井先生 でしょ。
そしたら、朱肉の色とか、匂いとか、押すときの手触りを残して「夏近し」という映像を持たない季語に行くため、こうすれば季語「夏近し」が動かないともっと言い張れるようになる。
これは物凄い勿体なかったと思う。
本人 いやホンマですね、これです…これでした(笑)。うわ~やってもうた(笑)。
●解説のポイント |
中七にリアリティがある 朱肉を拭き取ったハンコが見える 季語が溌剌とした感じ 季語が動く意見もあるが本人の意志を尊重 「拭き取る・近し」の用言で韻律がガタつく 中七の語順を変えるだけ 朱肉の色・匂い・手触りでより季語が動かない |
添削後
『口座開設 拭き取る朱肉 夏近し』
春の時候「夏近し」と口座開設した時の若き日の動作を取り合わせた上五字余りの一句。実印の押印と朱肉を拭き取る動作を考えれば、銀行で口座開設をしたり保険契約したりする場面。誰しもが経験をする最初の行動を切り取るところに共感性があります。本来ならば、春の早い段階で開設しますが、「夏近し」が晩春の4~5月のやや遅れた時期で、様々な準備に勤しんでいた心境も伝わります。原句も添削も三段切れですが、添削では季語以外の措辞が名詞+「拭き取る」+名詞の順でややリズミカルに。三段切れを解消するには「朱肉拭き取る口座開設」など語順を入れ替える必要がありますが、説明臭さが増してしまうため、上五字余りで「口座開設」の場面を示してから、具体的な動作へ向かう展開に落ち着かせるのがベターという判断かもしれません。
6位◆『本採用 朧夜の 缶チューハイ』 森迫永依【本人談】バイトは大体最初に試用期間があるが、試用期間が終わった後の「本採用」と書かれた給与明細を開いたとき、そのままちょっと嬉しくなって外で缶チューハイを買ってみたっていうような句。
千賀名人 「本採用」って聞くと何かすごく嬉しいことのイメージなんですけど、「朧夜(※月が霞んで見える夜のこと)の缶チューハイ」ってので、何かちょっと切ないイメージがくるから。気になりますね。
梅沢永世名人 いや、私はいいと思いますけどね(笑)。まぁ1つ言えることは、「缶チューハイ」じゃなくて「レモンサワー」にして。
藤本永世名人 出た。
浜田 いやいや。
藤本永世名人 またやった。
横尾名人 (サントリーのレモンサワーを)宣伝してる。
浜田 またやったな。
藤本永世名人 降ろされへんかな、あのCM。
千原永世名人 (CMの着ぐるみの)レモン脱いでほしいわ(笑)。
夏井先生 やろうとしていることは良い。
「本採用」で一つ作って、季語を含んだ後半の塊の型に挑戦しているのも良い。
問題点は千賀さんが見事だと思う。ちゃんと見抜いていると思う。
千賀名人 ありがとうございます。
夏井先生 「朧夜」という季語が微妙になる。
本採用になりたいけど、決まらなくてモヤモヤしているのかと。
読み手が迷ってしまう。
ここにちゃんと「通知」が来たことをしっかり書いて押さえた方が得だと思う。
「本採用通知」とすれば、通知が届いたのは分かる。
「朧夜」ではなく、季語は「春夜(しゅんや)」とする。
でも、相当着々と色んなことを身に着けていて、この調子でやっていきたい。
本人 やっぱり季語というものがどういう意味を含むのかっていうのは、色んな俳句を読まないと自分の中に染み込んでこないと思うので。
藤本永世名人 うわ。
本人 勉強不足でした。
梅沢永世名人 あーいい。
本人 頑張ります、ありがとうございます。
●解説のポイント |
季語を含んだ11音で意図は良い 朧夜だと本採用の嬉しさがなく読みに迷う 「通知」が来たことを書くべき 季語は「春夜」で嬉しさを示す 着々と学習していてこの調子で良い |
添削後
『本採用通知 春夜の 缶チューハイ』
時候「朧夜」は霞がかった朧月の夜を指す感傷的な季語です。それと本採用された夜に缶チューハイを飲む様子を取り合わせた六五六の一句。大学生から就職を決めた「本採用」の嬉しさと缶チューハイの取り合わせは実態に合っており、下手にレモンサワーとすると詩の鮮度がだいぶ下がります(「缶」がさりげなく重要です)。実際の体験が「朧夜」ならば、「本採用」に関して全面的に嬉しいと感じておらず、どことなく不安を煽るような形でしみじみと酒を一人で嗜むような印象となるため、季語の選択は認めたい部分。気になるのはリズムの悪さで、添削で「春夜」とともに解消されました。今回は下位でしたが、そもそも永世名人4名を相手に「優勝したい」宣言は超強気の発言です。優勝した「ケサランパサラン」のようにオリジナリティーを前面に発揮しないと難しいといえます。
7位◆『春光の起業 ゲーミングチェア 届く』 横尾渉(Kis-My-Ft2)※ゲーミングチェアとは、長時間ゲームをしても疲れにくい構造のゲーム用の椅子だが、最近は仕事で使用する人も増えている。
【本人談】「起業」に発想を飛ばし、ゲーミングチェアを使っている企業が段々増えているようなので、これはいいなと思って取り合わせに使ってみた。
北山 「ゲーミングチェア」という長い言葉をここに入れてきたのは横尾さん凄いなと思いましたけどね。
千賀名人 「ゲーミングチェア」って聞くと1人しかいないのかなと。何か「起業」だったら何人もいて起業するイメージですけど。
梅沢永世名人 そうね。「届く」、ここが「届く」がマズいんですよ。「届く」とくると一人の所にしか来てないと思っちゃうんですよ。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 これ「購入」か何かにすれば。
本人 あ~。
夏井先生 「春光の起業」という前半と「ゲーミングチェア」という具体的な物を取り合わせるのは良い。
勿体ないと思うのはまさに「届く」というここの問題だけ。
これはね、千賀さんもおっちゃんも偉いと思う。よく気づいた。
なぜ「届く」に違和感を感じるかと言えば、自分のところに一台だけ、"自分のため"のものが届くという印象・ニュアンスを持ってしまう。
こういうこと。
おっちゃんも何やら言ってましたけど、何て言ってたんですか?
梅沢永世名人 購入。
夏井先生 購入。惜しいですね(笑)。
千原永世名人 惜しいですね。
夏井先生 購入は自分一人が購入したのと一緒でしょ。
梅沢永世名人 あ、そうなっちゃうの、ごめんなさい。
夏井先生 これは起業らしさを入れれば良いだけ。
「導入」はどうか。
そしたら、カッコいいオフィスでみんながこれに座っている。
"こういう会社に就職したい"なんてそんな感じになる。
大事な押さえになる所だった。とても勿体なかった。
●解説のポイント |
前半と「チェア」の物の取り合わせは○ 「起業」に対して「届く」に違和感 "自分のため"のものが届くニュアンスに 起業らしさで「導入」とする 大事な押さえが勿体ない |
添削後
『春光の起業 ゲーミングチェア 導入』
天文「春光」とゲーミングチェアを導入する昨今の仕事場の風習を切り取った破調の18音。句材の着眼は面白く、非常に機能的で高価な椅子をオフィスに導入する例が増えている時事に目を向けました。詩になりにくい「ゲーミングチェア」を入れ込んだことで、流行に敏感かつ資金も潤沢なIT系の若いオフィスを思わせます。「起業」が三人称、「届く」が一人称という点の違和感は個人的に気になりませんでしたが、「春光の起業」の用法の方が少々気になります。タイトル戦の名を冠しているがゆえ使いやすいものの、春の景色・春の光の意味合いを持つ季語に「起業」を合わせても映像がなく、「春光」らしさを発揮したと言い難いでしょうか。「春光の職場にゲーミングチェアを」など余韻を持たせる方が効果的になるのかもしれません。
8位◆『桜蘂降る 陸自の戦車 しづか』 立川志らく※「桜蘂降る」は桜の花びらが散った後しべが降ることを指す春の季語。
【本人談】給与明細の経験がないため、給料を貰って一番大変な人が誰かなと思い、自衛隊の災害の時かなと。それから「明細」と自衛隊の「迷彩」色も含めて。それで「桜蘂降る」。桜がバーッと散っているそこに、移動の戦車が実に静かだっていう映像が私の中で浮かんだため、それを詠んだ。
昇吉 この「給与明細」と離れているのと、あとどこでしょうか?場所は?
本人 基地だよ。公道走ることあるもの。
昇吉 ありますけど、あまりリアリティーを感じない。どこなんだろう?
本人 自分で調べろ!(笑)「どこなんだろう?」って。
夏井先生 テーマとの絡みとの点において多少損はしている。
作品の方向性としては、なかなか面白い物を出してきた。
「桜蘂降る」全体が季語。桜の花びらが散った後に蘂(しべ)だけが落ち、地面がほんのりと桃色に感じ取れると。
美しい優しい季語。
それに対し「戦車」を取り合わせることで対比も出た。
柔らかさ・硬さ、冷たさ、大小。
勿体ないと思うのは、この「陸自」という言い方でまとめてしまったのが損したと思う。
ここを別の言い方すると、先ほど昇吉さんが突っ込んでいた部分も結構うまく解消できると思う。
「陸自」をやめて「戦車」から。
「戦車しづか」から始める。動かない戦車だけを思う。
「桜蘂降る」の後、ここがどこかを書くだけ。
「駐屯地」でどうか。ここに空間ができる。
駐屯地の大きな空間の中、静けさの中に桜蘂が降ってくると。
これ、添削の形で今回もし出てきていれば、上位3句には入れたいという可能性を持った句だったと思う。
本人 なんか、8位でもとっても嬉しいです(笑)。
●解説のポイント |
テーマとの絡みは損 桃色の地面と硬く冷たい戦車と対比が○ 「陸自」より「駐屯地」でリアリティを 「戦車」から始める語順に 添削例なら上位3句に入れた可能性 |
添削後
『戦車しづか 桜蘂降る 駐屯地』
春の植物「桜蘂降る」と陸上自衛隊の戦車が動いていないことを「しづか」で描写した七七三の句。失礼ながら拙句「駐屯地の重機のしづか寒蟬鳴」を思い出した次第。この句は音の対比ではなく、「陸自の戦車」というごつごつした堅い印象と季語の持つ柔らかさ、儚さを呼応させています。「明細」と「迷彩」からこの発想に着眼するのは面白いですが、兼題からの発想の飛躍を考えるとストック句材の可能性も感じます。「陸自」は基地を持たない移動部隊のため、本人の認識の矛盾を突いた昇吉さんはやり手です。最大の悩みどころであるリズムの悪さは解消すべきでした。桜蘂が降っている春の大らかさに加え、蘂が残っている地面の平和さを感じられれば、良い句に仕上がると言えます。
9位◆『職を辞したる 尾崎放哉 鳥曇』 春風亭昇吉※尾崎放哉は大正時代に活躍した自由律俳句の代表的俳人。酒におぼれ職を転々とするなど波乱の人生を送った。
【本人談】尾崎放哉は自分で何回も職を辞めたり辞めさせられたりしている。人は生きていくために働かなければならないが、「仕事辞めたい」「職場が合わない」ことが時たまある。「鳥曇」(※渡り鳥が北へ帰る頃の曇り空)は鳥が列になって飛んでいくこと。集団主義というか、それに取り残されるみたいなことを尾崎放哉に重ね合わせて詠んだ。
志らく名人 画(え)が浮かばないですよね(笑)。
藤本永世名人 画は浮かぶでしょ、「鳥曇」で。
梅沢永世名人 これはね、「尾崎放哉」と書くんだったら「放哉」だけで皆さん分かるんです。そういうところを勉強しないと。えぇ?さっきから偉そうに。師匠に何を言っているんですか!(笑)
藤本永世名人 めっちゃ言われるやん。
夏井先生 作者が分かってみると昇吉さん。
また知識をねじ込もうとしやがったと(笑)。そんな感じがしないでもない。
尾崎放哉は自由律俳人。有名な教科書にも載っている句で「咳をしても一人」。
藤本永世名人 あぁ!
夏井先生 これを作った方。
発想自体は悪くないが、おっちゃんの提案に賛成する。
尾崎放哉は「放哉」で十分通用する。
そうなると、上五の部分。
「職を辞したる」なら"一回辞めた"、"定年まで勤めた"と普通に読む人がいるはずだが、そうでないことを匂わせたい。
頭に「またも」と入れる。「またも職辞せる放哉」。
梅沢永世名人 あぁいい!
夏井先生 放哉らしさが少し出て、鳥曇という季語に収斂(しゅうれん)していく。
それはできるかと。
人の名前を出してくる場合は、もうひと工夫あってもいいのかなと。
そこが勿体なかった。
本人 いや~、でもよく分かりました。師匠になれるように修行してきます。
浜田 はい、分かりました。
●解説のポイント |
知識をねじ込もうとしやがった 自由律「咳をしても一人」で有名 「放哉」で通用する 何度か辞めたことを匂わせる表現に 放哉らしさと季語への収斂 人物名を出す場合はもうひと工夫ほしい |
添削後
『またも職 辞せる放哉 鳥曇』
春の天文「鳥曇」と職を転々とする紆余曲折の人生を送った尾崎放哉を重ね合わせた意図の上五字余りの一句。渡り鳥が去る頃の曇り空と人物を取り合わせるチャレンジは面白く、定職が長続きしないアンニュイな感情と季語の持つ将来への不安な心境が絶妙です。ご指摘の通り、東大卒の落語家がゆえ思い入れの深い人物と予想されますが、なぜ放哉を引き合いに出したのかきっかけが見えにくい形に。また、季語の説明が動物季語「鳥雲に入る」と誤解している可能性も感じました。人物・固有名詞を挑む場合は必然性が求められますが、感情がこもり過ぎにもなりがちで、匙加減が大変難しいと思います。昇吉さんは先月の独演会(拝聴しました)で志らくさんに俳句で勝った場合、再び前座で出演して貰う確約を得た一方、負けた場合はその処遇について「今後検討する」と仰っていました(→決勝戦収録後の講演と思われる)。円楽師匠亡き後の落語家バトルの対抗として是非ご研鑽いただきたいと思います。
10位◆『我が給与 マックのバイトに 負けた春』 勝村政信※マクドナルドのアルバイトに憧れていた勝村が、その時の思い出を詠んだ一句。
梅沢永世名人 何?
【本人談】高校を卒業して就職した。初めて貰った給与が少なくて十万ちょっとで、仲間と(居酒屋で)飲んでいるとき、(友人は)マックでバイトしていた(ことを知った)。その頃マックのバイトは凄い人気があり、衣装も綺麗だった。それでも(当時)時給400円くらいで、「大変だね」なんて話していて、「今日は僕が払うから」と(みんなの分の会計を)払った。家に帰って、何気なく"給与を時給で計算したらいくらくらいになるのか"と計算したら300円くらいだった。その時の気持ちのまま詠んでみたらこの結果だった。
夏井先生 実体験を詠んだ句に思った。
この考え方に類想感があるというのが1ついえる。
テーマに完全に合致したが、詩がないという一言になってしまう。
ご本人の話を聞くと「マック」は絶対にいると思った。
勝村さんの時代もそうだろうが、私のちょっと上の世代もあの頃は(マクドナルドが)憧れるバイトの一つだった。
憧れていた「マック」は外せない。「我が給与」も外せない。
そうすると季語の入る余地が「春」くらいでしかない。
直したところであまり変わりはないが、「マック」からいった方がいいかもしれない(笑)。
「マックのバイトに」。
少し前向きに「追いつきたし」と明確に願望を書く。
「春の我が給与」とすると、春だけが多少季語としての匂いを発するが、添削したところで大して違いはないです(笑)。
本人 ま、俳句じゃなかったですね。また頑張ります。
浜田 はい、分かりました。
●解説のポイント |
社員の時給換算がバイトに負ける考えは類想 テーマに合致したが詩がない 昔はマクドナルドが憧れバイトの一つ 上向きの願望をストレートに書く 添削したところで大して変わらない |
添削後
『マックのバイトに 追いつきたし春の 我が給与』
時候「春」にマクドナルドのアルバイトの給与が会社員の給与に時給換算で負けたことを意図した中七字余りの一句。句材はサラリーマン川柳(旧名)にありそうな考えで、マクドナルドのバイトに憧れを抱いていたり、何かと嫉妬心を持ったりする人物の春を想像させます。少なくとも時給換算で負けたという意図は伝わらず、給与総額で他人に負けた、あるいは過去の自分のバイト時代と比較したなど色んな意味に取れます。映像が皆無な事物俳句で、給与の一点しか述べられておらず、季語のつけたし感も否めず、中八は問題点。「我が」が添削も含めて文語的な意味合いとして用いるなら「負けた」の口語も「負けし」にすべきでしょうか。「マック」「バイト」は略語として許容できますが、「マック」をApple社の"マッキントッシュ"と考えれば給与額に自惚れ過ぎの作者にも捉えられます。兼題に擦り寄り過ぎたのが逆効果で、背景の想像の広がりが弱いことが「詩がない」(※個人的には最下位を叱責するためのバラエティー的発言にも受け取りました)に繋がった印象の勝村さん。波が激しいイメージですが、通常回でリベンジしていただきましょう。
★放送では1位前に発表された、次回2023年夏の炎帝戦のルールを発表◆炎帝戦2023のルール◆ ①参加資格は過去に1度でも才能アリを獲得した人物(才能アリ経験者・200名以上該当) ②俳句の募集は本日(3/30)から2か月間。優秀上位者がスタジオ収録
兼題:行きつけのお店 ※俳句ポスト365のように投句して上位入選を争うタイトル戦のようです。 |
丸太アート・黒板アートと3本立ての3時間スペシャル。俳句の兼題は「給与明細」。毎月の給与額や勤怠などが記されたもので、封筒形式やメール通知で貰うことが多いでしょうか。一般の企業に勤める社会人としては馴染み深いものですが、アルバイトを含めた勤務経験がない芸能人ほど逆に難しい兼題の可能性があり、いわゆる定収入の形式ではない舞台俳優や芸人の方ほど苦労する印象がありました。
季語は時候5名(「春」×2、「春宵」「朧夜」「夏近し」)、天文2名(「春光」「鳥曇」)、行事1名(「啄木忌」)、生活1名(「鞦韆」)、植物1名(「桜蘂ふる」)に分かれる形。兼題から「給与」を入れたのが優勝した藤本名人、最下位の勝村さん。「明細」が2位の皆藤さん。その他、「退職」の日、明細の「保護シール」、銀行の「口座開設」、「本採用」、「起業」と続き、志らく名人が「明細」「迷彩」を掛けて命懸けで働く「陸自」、昇吉さんが職を転々とする発想から尾崎放哉を詠みこみました。下手なテクニックに走らず、兼題に沿った上に時候の季語を主役にした2名が無難に上位に。”お金”が詩になりにくいのも事実ですが、今回は技術力以上に発想力で順位を決した印象がありました。最近は難しい兼題がタイトル戦では続きますが、雪月花に近い伝統的な季節感を持った兼題で技術力勝負をしても面白い印象があります。
さて、次回シード権に関して、3位以下となった永世名人が次回予選から出場すべきという夏井先生からのお達しがあり、梅沢名人のみが挑戦を受ける発言で締められた今回。以前から永世名人が自動的にシード権を獲得するのは理不尽という視聴者の声があり、それに応えた形です。当番組の教養かつバラエティー的な面からみて、永世名人のシード権に反対はしませんが、過去にも「名人」の人数の増加に伴いシード権が撤廃された実績があります。もともと永世名人は番組の出場機会が多く、予選から出場となればさらに出場回数が担保されることで、本来その枠に出場すべきだった出演者の出場機会がさらに失われる可能性があり、メンバー固定化によるマンネリを危惧しかねない可能性があります(その点、梅沢名人の卒業しない発言に頭を抱えるスタッフもいるかもしれません)。仮に、名人・永世名人に昇格すれば1度だけシード権を獲得できるなど、予めルールを決めておけば今後昇格する方々にもルールが適用されて公平性が担保されますが、永世名人の人数増加に伴ってという実態に即したルール変更は少々理不尽と言わざるを得ません(群雄割拠な状況になっている点は認めます)。その点、予選の出場枠増加で対応するかもしれませんが、夏井先生の選句・順位付け・解説の負担も増える形になります。梅沢さんの句集発売という大きな節目を迎えましたが、参加人数があまりにも多くなり過ぎたタイトル戦の今後の扱いを十分に検討していただきたいと切に願います。
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