2023年3月16日放送 プレバト!! 俳句春光戦2023予選Cブロック結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
春の季節に行われる第7回
春光戦予選Cブロックで名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
※23日に全て更新しました。お待たせいたしました。
→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細(Cブロック) →編集後記⇒予選Aブロック記事⇒予選Bブロック記事⇒決勝戦記事※過去のタイトル戦結果などは
こちらまたはブログカテゴリからどうぞ。
挑戦者:
Cブロック→<名人6段>立川志らく[62],<2級>馬場典子[25],<4級>森迫永依[6],<5級>こがけん(おいでやすこが)[4],<5級>勝村政信[13] ※[数字]は挑戦回数見届け人:梅沢永世名人、藤本永世名人、千原永世名人◇春光戦2023(第7回春光戦)のルール 【予選】 ・ABCの3ブロック制で、各ブロック5名が参加 ・ブロック分け・挑戦する兼題は事前に抽選済(2023/02/16放送) ・各ブロック1位の合計3名が自動的に決勝進出 ・各ブロック2位以下は補欠となり、全ブロック終了時予選通過者発表 ・補欠から優秀句を詠んだ上位3名が決勝進出(敗者復活) 【決勝】 ・第6回金秋戦上位2名および永世名人がシードで参加 ・決勝はシード4名(永世名人含む)、予選通過6名の合計10名 |
■予選の兼題春 光 戦 | 放送日 | 兼 題 |
予選Aブロック | 3/2 | 卒 業 |
予選Bブロック | 3/16 | 引越し |
予選Cブロック | 3/16 | 入 学 |
◆全参加者(19名)の段位一覧 | Aブロック | Bブロック | Cブロック | 予選免除 |
永世名人 |
|
|
| 藤本 梅沢
村上 ジュニア |
名人10段 | 横尾 | | | |
名人9段 | | | | |
名人8段 | | 千賀 | | |
名人7段 | | 中田 | |
|
名人6段 | | | 志らく | |
名人5段 | | | | |
名人4段 | | 皆藤 | | |
名人3段 | | | | |
名人2段 | | | | |
名人初段 | | | | |
1級 | | | | |
2級 | 北山 松岡 | | 馬場 | |
3級 | | | | |
4級 | 犬山 昇吉 | | 森迫 | |
5級 | | 的場
本上 | 勝村
こがけん |
●兼題:入学
※各ブロック1位が無条件で決勝進出。2位以下は補欠となり全てのブロックから上位4名が進出(各2~4位は進出可能性あり)※順位クリックでリンク内移動します。
順位発表順:2位→4位→3位→最下位→1位
→編集後記
夏井先生 明暗は分かれました。
***
浜田 まず名人6段は立川志らくさんでございます。どうですか?
志らく名人 どう考えてもここはね、予選突破しないといけない。後輩の昇吉がですね、予選Aブロック1位で通過したと。
浜田 そうなんです。
志らく名人 で、あいつとの約束で私今度あいつの独演会(→3月20日)に前座で出るんです。
浜田 言うてましたよ。
藤本永世名人 聞いてますよ。
志らく名人 それはそれで約束で良いんだけども、割と普段の独演会はね、100人くらいのちっちゃ~いとこでやってんですよ。
浜田 ほう。
志らく名人 今回私を前座でドンと出して、500人(の会場)ところで(笑)。私で客と呼ぼうとしている。そういうわけで、あいつに負けるわけにいかない。
浜田 そらそうですよね。どうですか、今回。
森迫 いやもうSNSでの反響がすごくて、頑張らなきゃいけないというホントに「プレバト!!」のプレッシャーにいま押しつぶされそうで怖いですね。
浜田 あなたも予選通過するとね。
森迫 頑張ります。
浜田 はい。梅沢さんいかがですか。
梅沢永世名人 このメンバーだったら私はね、(森迫を)俳句の申し子と言ったじゃありませんか。彼女、娘が来ると思いますよ。
浜田 え、志らくはんはダメですか?
藤本永世名人 志らく師匠…。
志らく名人 いやさっき中田さんと廊下で会ったら、「落ちろ!落ちろ!」と言われました(笑)。
梅沢永世名人 じゃあ呪いかかってるかもしんない。
浜田 あの人悪い人やな。
志らく名人 落ちる気がしてきちゃう(笑)。
***
浜田 (先生の破門を乗り越えて特待生になった勝村に)ここまで来ましたよ。
勝村 よくぞここまできましたね。自分でも思います。
浜田 ほんとにそうです。
勝村 でも近所の人の評判があまり聞かれなくて、調子が悪い時あったじゃないですか。全然ダメな時。
浜田 はい、ありました。
勝村 あの時、凄い皆さんが応援して下さったんですけど。だから落ちてるときの方がみんな嬉しいんでしょうね(笑)。
浜田 なるほど。こがけんどうですか?
こがけん ちょっとあの~、失うもの何もありませんから。冬麗戦の志らく師匠が最下位だったということで、今弱っているじゃないですか(笑)。今弱っているので、残りのみんなで引きずりおろす(笑)。
馬場 頑張りましょう。
こがけん はい、頑張りましょう。
清水アナ 馬場典子さんは、収録前に意気込みを聞いたら「志らくさんの自爆に期待します」と答えていました(笑)。
浜田 そうなんですか?
馬場 はい、やっぱり志らくさんね。深い世界をお詠みになるんですけど、深すぎて迷うということは時々お見掛けするんで。
浜田 なるほどね。
志らく名人 2回に1回はそうですね(笑)。
馬場 そこにワンチャンを見出したいと。
浜田 分かりました。
清水アナ さあそれでは浜田さん。Cブロックの結果、このようになっております。
浜田 はい、いただきます。
清水アナ それでは何位から見ていきましょうか。
浜田 う~ん、2位。
一同 お~。
こがけん いきなり。
馬場 もうなんか2位でいい気がするな。
浜田 予選Cブロック第2位はこの人!
▼2位は森迫永依
藤本永世名人 大健闘よ。
森迫 嬉しいです。
浜田 素晴らしい。
森迫 やった~。うわ~。
清水アナ 大健闘ですね。
浜田 いいいい。いやもう上等でしょ。
こがけん すごいなあ。
浜田 素晴らしい。
***
清水アナ 続いてはどこを開けましょうか。
浜田 4位。
馬場 絶対呼ばないで。
藤本永世名人 「絶対呼ばないで」。
千原永世名人 アハハ。
馬場 ほんともう…。
浜田 いきましょう。予選Cブロック第4位はこの人!
▼4位は馬場典子
馬場 え~!
浜田 そんなこと言うから、もう。
馬場 言ったからですか、ホントに?
千原永世名人 上手に入れるわ~。
藤本永世名人 自分で良いフリしたね~。
浜田 ホンマやホンマや。
***
清水アナ 続いて何位を開けますか?
浜田 この3人ですね。真ん中いこうか。3位。
千原永世名人 うわ~。
浜田 いきましょう。
千原永世名人 どのおっさんや(笑)。
浜田 予選Cブロック第3位はこの人!
▼3位は立川志らく
志らく名人 う~ん…。
藤本永世名人 志らく師匠。
志らく名人 小っちゃく自爆ですね(笑)。
藤本永世名人 自爆パターン。
千原永世名人 まだ分からないっちゃ分かりませんけど。
浜田 まあね。
千原永世名人 はい。
***
浜田 さあ皆さん。残っているのはこのお2人。
梅沢永世名人 いやこれはマズいでしょ、最下位になったら。
浜田 ここまでくるとかっちゃんどうでしょう。
勝村 僕は割とホームランか三振かで。(1位か最下位かの)このポジションにいることが多いんですよ。恐ろしいですね、だから。
浜田 なるほど、こがけんどうですか。
こがけん ちょっとまあ冒険というか、その部分がどっちに転んでるのかっていうのちょっと思ってます。
浜田 分かりました。さあそれでは発表しましょう。予選Cブロック第1位はこの人!
▼1位は勝村政信(決勝進出)、最下位はこがけん(予選敗退)
勝村 (立ち上がって)よっしゃ!
浜田 アハハッ。
勝村 よっしゃ~!
藤本永世名人 アハハ。
森迫 元気。
千原永世名人 声出てますね。
勝村:びっくりした。
こがけん (表情を変えず)
藤本永世名人 こがけん、何して…。
浜田 芸人は期待してましたよ。
こがけん いや~ちょっともう…。
藤本永世名人 こがけん。
こがけん いや~そっか。
藤本永世名人 オーマイガ。
こがけん オーマイガ!(笑)
***
浜田 あんなガッツポーズとらんでも。
梅沢永世名人 素晴らしい。
勝村 ありがとうございます。
藤本永世名人 どん底から這い上がりましたね。
浜田 ハハハ。
勝村 いやいや。
清水アナ ふふふっ。
1位
◆『亡き妻と 入学前夜の ハイボール』 勝村政信志らく名人 う~ん。
【本人談】後輩の話。何年か前、奥様を病気で亡くされた。幼稚園児の一人息子がようやく入学することができた。ごめんなさい、泣きそうになっちゃう。その前の日に遺影を前に2人で…奥さんが好きだったハイボールを飲んだという。
千原永世名人 これは凄い。
浜田 なるほど。
千原永世名人 小っちゃい(勝村さんの)肖像画をもう作っても良いんじゃないですか、これ(笑)。
藤本永世名人 あれ、あの小さいの何?ってなれへんそれ。
浜田 ホンマやなあ。
千原永世名人 え、あの(春の肖像画の)志らく師匠の右上あたりに(笑)。
梅沢永世名人 いや、良い俳句だね。
藤本永世名人 いい。
梅沢永世名人 今度詠む時は是非、(自身がCMを持つ)レモンサワーで詠んで(笑)。
千原永世名人 今のはひどいわ(笑)。
藤本永世名人 今のわね。
千原永世名人 今のは是非オンエアしてほしい。
浜田 ホンマな。
藤本永世名人 アハハ。
夏井先生 これは読んだ瞬間、この家族の1つの物語が立ち上がってくる。
男手一つで育てた子どもの入学の前夜であると。
よくこの「前夜」という状況をここの言葉だけで綺麗に持ってきた。
そしてもう1つ言わないといけない。
先ほど(最下位の解説で)「入学」という季語は、小学校か年齢が分かるように書くべきだと言った。
この句の場合、どの年齢でもちゃんと浮かんでくる。
ひょっとしたら、やっと大学に入るその入学前夜だと思ってもある程度の年齢のお父さんがちゃんと浮かんでくる。
そこら辺の奥行き・幅もこれだけの言葉で書けている。
この人は誰だろうと思ったら、アンタだったのか!(笑)
本人 師匠、ありがとうございます。
夏井先生 顎が外れそうになった。おめでとうございました。
本人 ありがとうございます。
浜田 先生、これ直しは?
夏井先生 いらない、いらない。
浜田 いりません。はい、かっちゃんおめでとうございます。
●解説のポイント |
家族の1つの物語が立ち上がる 男手一つで育てた子の入学前夜 子がどの年齢でも場面が浮かぶ 奥行き・幅もこれだけの言葉で書けている 作者を知って顎が外れそうになった |
添削なし
春の生活「入学」に妻の遺影写真とハイボールを交わす夫目線の心境を表現した中七字余りの一句。シングルファザーとして懸命に子育てしたことを妻の遺影に報告する酒の場面というドラマをジワジワと奮い立たせる心象句。ご指摘の通り、中七は字余りですが「にゅ」「ん」の音であまり気にならない作りです。「レモンサワー」などと軽くせず「ハイボール」でより玄人志向な酒を呑まれている印象が際立ち、「入学」で子はまだ酒を呑めないため一人で盃を持つ愁いと入学の喜びが交錯しています。「前夜」が入学当日ではないため、季語として効いているかという点は議論すべき部分ですが、「入学の夜」とすると報告的な印象が強く、「前夜」である意味妻とのけじめのような意図を出したいのでしょう。ネガティブな心境句は好き嫌いが分かれるのは言わずもがなですが、生死を思わせる句は入選も難しいので、ここは素直に称賛したいところです。
2位◆『新歓を 断る理由 春眠し』 森迫永依馬場 はあ~。
【本人談】入学式の後は、先輩から新入生歓迎会に良く誘われると思う。私は凄い人見知りで、あまり行きたくないためどうやって断ろうかなと思っていた時、天気のせいにしちゃえってので、「春眠し」という季語を入れてみた。
藤本永世名人 いやこれはね、凄く良い俳句ですね。
本人 ありがとうございます。
藤本永世名人 あの~僕が前詠んだ俳句で、「マンモスのほろんだ理由ソーダ水」って詠んだんですけど、それ参考にしたんですよね。
千原永世名人 全然ちゃうがな!
浜田 アハハッ。
藤本永世名人 オマージュですよね、これ。
梅沢永世名人 違う。
本人 あ、でもその俳句凄く好きで、好きな俳句の中の一つです。
藤本永世名人 やっぱりね。アハハッ。
浜田 なんやねん、それ。さあ、梅沢さん。
梅沢永世名人 うん。いい俳句だと思いますよ。だからこれ1位が相当いい俳句だと思う。
浜田 あ、そうですか。
梅沢永世名人 間違いなく娘は(決勝に)残りますよ。
浜田 アハハッ。いやいや、そら分かんないですけど。
梅沢永世名人 私が…私が審シャ員をしても…。
藤本永世名人 「審シャ員」(笑)。
浜田 言えてないから。
藤本永世名人 「審シャ員」。
こがけん フレッシュマンってことですか。
梅沢永世名人 残しますよ。良い俳句ですもの。
本人 ありがとうございます。
夏井先生 テーマの入学からこの「新歓」という言葉を引っ張りだしてきている。
「新歓」だけで"大学"の入学とわかるのが大事なポイント。
そして「断る理由」。断りたいんだと。
この後の季語の置き方によっては、理由を説明する季語となってしまう可能性もある。
例えば「花の宴」「花見酒」など、花見に行くから断るなどの季語。
ただ「春眠し」というのは理由になっているようでなってない。
そこを押さえたことによって、説明臭がスッと消えている。
ここら辺のさじ加減がわかっているのが面憎いですね、この娘さん。
本人 ありがとうございます。
夏井先生 もうお顔を見て「あ、上手いなあ。やっぱりこの人は」と今思った。
直しはいらない。
本人 あ~嬉しい。ありがとうございます。
●解説のポイント |
兼題から「新歓」を引っ張った "大学"入学とわかるのが大事なポイント 季語の置き方次第で「理由」を説明する 「春眠し」の選択は説明臭くなく○ さじ加減がわかっているのが面憎い |
添削なし
生活「春眠し」と大学入学での人見知りのあるあるを取り合わせた定型句。「新歓」はかつて鈴木光さんも用いており、若者らしい実景です。入学時のオリエンテーションとして先輩方が誘い込む恒例行事ですが、実際にはプライベートを重視したい人も多いでしょうし、その点はコロナ禍の影響もあり多様に変化し続けています。藤本さんのマンモス句も「理由」でしたが、取り合わせの句としても大いに違いがあります。ご指摘の通り、春で眠いから断る理由にしようとは本来は思いにくいものの、それを独自の因果関係として捉えかねないのが議論すべき点で、評価が難しいでしょうか。季語の因果というより、「断る理由を考えているうちに春眠についた」など取り合わせの句として解釈できれば素直で滑稽な句として解釈でき、その辺りの距離感の塩梅が上手くいった森迫さん。決勝での活躍にも期待しましょう。
3位◆『弟子入りの日 墨色の八重桜よ』 立川志らく梅沢永世名人 うん。
【本人談】私だけではなく、どこかに弟子入りする人は心がとても晴れやかで、八重桜が応援してくれている。しかし、不安の方が多いから私の記憶の中では、街の色が見えてない白黒(モノクロ)になっている。
梅沢永世名人 私はよくわかります。ええ、同じ気持ちで弟子入りしましたからね。これ1つ変えるだけで良いんです。
浜田 あら。
梅沢永世名人 これは私わかります。なっちゃんに褒められるぐらい分かります(笑)。
千原永世名人 お願いします。
梅沢永世名人 「弟子入りの日"よ"墨色の八重桜」。こうしたら1位だったかもしれない。
浜田 あら。
梅沢永世名人 私これだけは分かります。私もそういう経験しましたから。
浜田 (遮って)聞いてみましょう。せんせ~い!
こがけん アハハッ。
夏井先生 テーマの入学から自分に引き付けて弟子入りのその日に持ってきた。
非常にオリジナリティー・リアリティーがあると思う。
「弟子入りの日」のちょっと不安な気持ちがこの「墨色」にきている。
その匂わせ方も悪くない。
本当に惜しいのは、おっちゃん今日は冴えてる。
千原永世名人 やっぱそうなんや。
夏井先生 仰る通りです。ここですよ、これ。
梅沢永世名人 (カメラ目線に自分をアピールする)
夏井先生 志らくさん独特の韻律にはなっているが、もう少しだけ五七五の韻律に近づけるだけで調べが気持ちよくなる。
「弟子入りの日よ墨色の八重桜」と。
そうすると着地が「八重桜」の名詞で切れる。
そうすれば「八重桜」という季語が読み終わった瞬間にヴァーっと広がってくる。
最後に下手に詠嘆するより、「弟子入りの日」を軽く詠嘆して季語を主役として最後に残すと。
これやってりゃね。ホントに、勿体なかった。
浜田 志らくはんどうですか?
本人 うん。「よ」ですね(笑)。
藤本永世名人 「よ」。
本人 もうそうなんです。「よ」をどっちにつけるかで相当悩んだんです。
浜田 なるほど。
●解説のポイント |
兼題から自身の弟子入りの日の発想が◎ 「弟子入り」の不安な気持ちを「墨色」で表現 五七五の韻律に近づけてリズミカルに 「よ」の位置を変えるだけ 「八重桜」の季語が広がる読後感に |
添削後
『弟子入りの日よ 墨色の八重桜』
春の植物「八重桜」と弟子入りの心境を表現した破調の一句。談志一門への弟子入りという人生の決断。大きな節目でその際の心境を捉え、特に「墨色」とした点に不穏な心情を感じる上に陰影だけが強調された遠い過去の思い出を想起させます。「八重桜」はソメイヨシノよりも遅く咲いて多くの花をつけますが、一度の突風でも吹けば花弁が全て吹き飛ぶかもしれない一途でもあり綺麗にも表現できない複雑な心情を示す象徴と捉えられ、特に「日」の部分に八重桜が咲き誇っている今この瞬間にという時間軸の短さと決断の確固たる信念をまざまざと表現。「よ」の位置の判断に関して、やはり中七に入れるべきで、リズム感を改善できるこの句の中核となる部分。そして、共感性の点においても「弟子入り」の経験の有無が重要でしたが、発想のオリジナリティーが高く評価され、3位ながら決勝進出となりました。
4位◆『一年生 さいしょのともだち だん子虫』 馬場典子※「一年生」は春の季語。
梅沢永世名人 うん。
【本人談】小学校入学の頃の記憶が、花壇の前にしゃがんでだんご虫をじっと見ている自分。新しい学校が楽しみだけど不安もあり、だんご虫を見ている時が落ち着いてた。
千原永世名人 あの~その頃に戻ってやってはる。これ俺が審シャ員なら(笑)。
藤本永世名人 「審シャ員」言わへん。ないねん、その言葉。
こがけん 2人目いた(笑)。
梅沢永世名人 言えてない。
夏井先生 俳句として、ひとまず書こうとすることは書けている。
ただ「だんご虫が友だち」というタイプの句はありはする。
子どもたちはみんなだんご虫が好き。コロコロと。
そういう意味での「ともだち」「だん子虫」という展開が少しあるというのが1点。
もう一つは「さいしょの」が少し説明臭くなっている。
「一年生さいしょ」の部分の時間経過を明確にしようと思えば出来はする。
藤本永世名人 どうするんですか。
夏井先生 例えば「一年生」を「入学」と書く。
「の朝」で時間軸が鮮明になる。
「ともだちはだん子虫」なら、入学式の朝に友だちと触れ合わないでだん子虫だと。
あるいは「入学三日目」とすれば、まだ友だちは出来ていない。
こういう風にここをもう少し具体的にすると、オリジナリティー・リアリティーが少し乗っかってくる。
そういうことになる。
本人 いや、そうですね。「朝」の方が鮮明にさらに蘇ってくるなと思って。にゃあ~、ね~。
浜田 まあでも4位ですから。これはどうなるか。
清水アナ まだ可能性はあります。
●解説のポイント |
俳句としてはひとまず書けている 「だんご虫が友だち」がありがちな発想 「さいしょの」が少し説明臭い 「入学の朝」で時間を鮮明に 措辞の状況を少し具体的にすれば独自性が出る |
添削後
『入学の朝 ともだちは だん子虫』
『入学三日目 ともだちは だん子虫』
春の生活「一年生」と友だちがダンゴムシであることを取り合わせた可愛らしい中七字余りの一句。小学生の新入生らしい目線での表現で、一年生で習う漢字で用いた表記も相応らしい心境を匂わせており、触われば形を丸くする「だん子虫」の習性の面白さに共感性が大いにあります。おとなしいのか友だちを作るのが難しい微妙な心境を表現した小学生の作品としてならば評価ができるものの、季語と措辞の距離感が近く、類想らしい点が勿体なく、オリジナリティーがほぼありません。中八は勿体なく、中七・下五の繋がりは意味の上で伝わりますが、タイトル戦で出すのは非常に厳しい印象。過去の思い出から詠まれていましたが、時間軸を細かくすることで、作者の心境をより表現する添削に。馬場さんも通常回に多く出演した方が良いかもしれません。
5位◆『入学や 書いては消して わが名前』 こがけん(おいでやすこが)藤本永世名人 うん。
【本人談】小学1年生の時の自分を振り返ってみた。入学の時にやることはプリントに名前を書くぐらい。それは、それまでの自分の実力みたいなものが試される。やっぱり自分の名前を書いては消してを繰り返す。一番いい感じになるように。
藤本永世名人 いや、こがけん。小学1年生でしょ。
本人 はい。
藤本永世名人 「わが」っておかしくない?
梅沢永世名人 そう。
藤本永世名人 ちょっと、おっさん臭いというのか。
梅沢永世名人 そう。
藤本永世名人 1年生で「わが」は使わへんやろなっていうのはあるかなぁ。
浜田 梅沢さんも頷いております。
梅沢永世名人 その通りですね、調子こくなよ!(笑)
本人 一発目がそれおかしいんですよ。
梅沢永世名人 特待生になるとみんな調子こくんだ(笑)。気をつけろよ。
浜田 いやいや…。
藤本永世名人 めっちゃ怒られたやん。
夏井先生 季語の「入学」を使う時の1つの基本的な考え方。
小学校か、中高あたりなのか、大学なのか。
それが分かるように表現するのが基本の考え方。
そう思った時、中七・下五が少し中途半端。
「わが名前」だから小さい子ではないのかと思うと、中七が「書いては消して」でどういうことだろうと。
今お話を聞かないと分からないと思って聞いていた。
これは小学1年生だと。ならばこれは「一年生」と書いた方がいいかもしれない。
「入学や」でも良いが、「一年生」と書いて、ここから。
平仮名で「おなまえ」って書いてみる。
これなら小学1年生だと思う。
「おなまえ書いて消して書く」とここまで押さえる。
本人 凄い。
夏井先生 これだと年齢がある程度わかる。
こういう細かい所を少し詰めるのを覚えるとすぐに力がつくと思う。
本人 たまたま今まで良くて添削されてないんですよ。
藤本永世名人 あ~。
本人 なので、添削されたときに「あ、こんなに凄いな」と思って正直鳥肌立ちました。調子こかないように、はい(笑)。
●解説のポイント |
季語「入学」は小中高大を明確にするのが基本 中七は幼いが「わが」の年齢が高い 小学生なら「一年生」と書くべき 「おなまえ」で年齢層を想像させる 「書いて消して書く」とダメ押しする |
添削後
『一年生 おなまえ書いて 消して書く』
春の生活「入学」と記名に失敗しながら何度も書き直す光景を意図した定型句。教科書を貰う際などの記名の訓練を受けるのはやはり小学校入学を思いやすく、共感性は強く感じる部分。長く使いたいからこそ、綺麗な字で書きたいものの、最初はペンの持ち方も雑で失敗も多いもので、この辺の心境は強く出ています。「入学」に対して小学生らしい中七、大人を思わせる「わが」と一人称表現の矛盾が疑問視されました。季語に対して類想フレーズにもなりやすいのが気になる点。中七と「名前」の口語表現に対し、切れ字「や」と「わが」が文語なのに違和感があり、そこが年齢の齟齬に繋がったでしょうか。添削では季語を「一年生」に変更されてしまいました。予選で出場した唯一の芸人として結果を残すことが叶いませんでした。
■敗者復活者(3名)Cブロック2位 | 森迫永依 |
Aブロック2位 | 横尾渉(Kis-My-Ft2) |
Cブロック3位 | 立川志らく |
清水アナ 決勝に進める残り3人を発表したいと思います。あと3人入ります。
浜田 (A~Cブロック各2位~4位までの)この中からということでございます。
清水アナ さあ、それではその結果が届いております。順番にお願いします。
浜田 3人ということで。
清水アナ 3人が選ばれます。誰が選ばれるんでしょうか。
浜田 いきましょう、発表します。敗者復活1人目は?
【森迫永依】(Cブロック2位)
森迫 うわ、よっしゃ!うわ、嬉しい。良かった。
藤本永世名人 乗ってるなあ。
梅沢永世名人 やっぱりそうか。
森迫 ありがとうございます。
***
浜田 敗者復活2人目は?
【横尾渉(Kis-My-Ft2)】(Aブロック2位)
梅沢永世名人 まあ順当でしょ。
[VTR]結果を後日本人に伝える
横尾名人 自信ないです。
スタッフ ないですか?
横尾名人 今回なかった。全然わかんなかった。
→カードを開く
横尾名人 「出場決定」!2位ですもん。
スタッフ アハハ。
横尾名人 3位だったらドキドキしてました。正直2位ですもん。
***
→残る1枠の可能性はAブロック3位の犬山・Bブロック2位の千賀・Cブロック3位の志らく
浜田 残り1人ですけど。どうですか。
千原永世名人 まあ千賀君行きたいやろなあ。
藤本永世名人 こがけん、ないよ(笑)。凄いこうこんな感じで待ってるけど。
こがけん いやいや、これを楽しむだけであると思ってないですよ。
藤本永世名人 ないよ。
こがけん どんだけバカなんですか、僕(笑)。
梅沢永世名人 千賀君の良かったからね。志らくさんのも良かったしね。
浜田 なるほど。いきましょう、敗者復活3人目は?
【立川志らく】(Cブロック3位)
藤本永世名人 え~!
志らく名人 お…ほほ。
梅沢永世名人 すごい。
藤本永世名人 滑り込んだ。
浜田 結局、Bブロックからは1位しか行ってない。
[VTR]結果を後日本人に伝える
千賀名人 お願いします。うわ、最悪。梅沢さん!いけるって言ったじゃん。う~わ、マジか。マジか、悔しいな。
***
浜田 さあ、この顔ぶれで梅沢さんどうでしょう。
梅沢永世名人 私ね、かっちゃんが怖いかな。ちょっとこっちは良い方に調子こいてるからね(笑)。きてますよ。はい、ちょっと怖いなあ。
浜田 さあ、フジモンどうでしょう。
藤本永世名人 いや森迫ちゃんですよ。怖いわもう。何なんすか。ずっと良い成績~。
浜田 そうね、確かに。さあ、ジュニアさんどうでしょう。
千原永世名人 いやここで志らく師匠が滑り込んで、今頃中田さん帯叩きつけてるんじゃないですか(笑)。
浜田 「落ちろ」言うてたからね。アハハ。
■決勝の顔ぶれ ※決勝は3/30の3時間SPで放送
シード権 | 1位通過 | 敗者復活 |
藤本 | 梅沢 | 村上 | ジュニア | 昇吉 | 皆藤 | 勝村 | 森迫 | 横尾 | 志らく |
Bブロックに続いてCブロック。兼題「入学」は5年前の「入学式と桜」でも出題され、岩永さんが「えんぴつに桜の歯型入学式」で才能アリを獲得。中田喜子さんが「分校の一樹入学児一名」で昇格を勝ち取っています。
季語は兼題「入学」が2名の他に傍題の「一年生」と「春眠し」、唯一の植物が「八重桜」でした。生活季語の4名はいずれも入学式や入学関連を思わせやすい措辞でしたが、弟子入りの入門へ発想を飛ばしたのが志らくさん。1位となった勝村さんは俳優として様々なドラマ・脚本に触れている分その筋書きを思わせる点が有利に働きました。
敗者復活ではAブロックから横尾さん、Cブロックから森迫さん、添削のあった志らくさんが選出され、Bブロック2位の千賀さんと添削なしでAブロック3位の犬山さんは辛くも予選落ちに。実は前回の金秋戦でもA・Cブロックから2名ずつ選出されてBブロックから選出なしという不均衡な結果となっています。必ずしも添削がないことが条件とはいえませんが、季語を主役に立てる工夫があるか、措辞のオリジナリティが強いかという点が重視される傾向が読み取れます。初心者はその辺りの表現技巧も磨いていきたいところです。
さて、先日20日に催された春風亭昇吉独演会を拝覧致しました。500人集まる小ホールはほぼ満員の入りで、後ろには「プレバト!!」のテレビまで潜入するイベントに。真打で先輩にもかかわらず"前座"を見事に務め上げた志らくさんは、中入りのリレー落語も務められるというほぼ「ゲスト」扱い。普段やらないという珍しい落語を披露されました。対する主役の昇吉さんは開口一番にAブロック予選通過の自句を語られ、二言目には「三月の志らくに負けるわけがない」と強気の宣言。プレバト!!での番組の意気込みも大いに語られ、三席の落語を見事に披露されました。最後にはお二方で談笑する形で締めくくり、その際にも次回対戦での目標を掲げられました。収録済みのはずの決勝戦でお互いに見えるため、そこで重要な宣言があるのかもしれません。それはさておき、昇吉さん、志らくさん、楽しいお時間をありがとうございました。これをもって感謝の辞とさせて頂きます。
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