2023年2月16日放送 プレバト!! 特待生候補者集結スペシャル
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※22日に全て更新しました。大変お待たせ致しました。→プレバト!!
公式ツイッター/
公式インスタグラム挑戦者→本上まなみ[4],こがけん[3],勝村政信[12],久代萌美[3],森迫永依[5],森口瑤子[33],横尾渉[70],梅沢富美男[186] ※数字は挑戦回数●お題:つまずく

※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位72点 特待生に昇格 | 本上まなみ
| あの崖の上がわらびの萌える野と | あのがけのうえがわらびのもえるのと |
2 | 才能アリ2位71点 特待生に昇格 | こがけん (おいでやすこが) | 鍵失せてファミレスにいる春の月 | かぎうせてふぁみれすにいるはるのつき |
3 | 才能アリ3位70点 特待生に昇格 | 勝村政信
| つまずいて春を見つけた排水溝 | つまずいてはるをみつけたはいすいこう |
4 | 凡人4位55点 | 久代萌美
| 原稿に「摘出手術」春の虹 | げんこうにてきしゅつしゅじゅつはるのにじ |
5 | 4級へ1ランク昇格 | ●森迫永依
| 春風のマーチ擦り傷にマキロン | はるかぜのまーちすりきずにまきろん |
6 | 名人3段へ1ランク昇格 | ★森口瑤子
| 覚えなき青痣きっと春のせい | おぼえなきあおあざきっとはるのせい |
7 | 名人10段★4へ1つ前進 | ★横尾渉 (Kis-My-Ft2) | 靴脱げたランナー春塵の入賞 | くつぬげたらんなーしゅんじんのにゅうしょう |
8 | 永世名人49句で掲載ボツ | ★梅沢富美男
| 赤チンの膝の記憶や養花天 | あかちんのひざのきおくやようかてん |
順位発表順:最下位→2位→3位→1位
※通常挑戦者の査定後に特待生に昇格する人数を「
3位まで」と発表。
→編集後記■トーク集
★特待生候補者集結スペシャル。本上まなみは冬麗戦で森迫に次ぐ2位、こがけんは2回連続才能アリ、久代萌美は初出場から2か月後の昨年の炎帝戦で8位、夏井門下生の勝村政信は炎帝戦10位の他才能アリ5回獲得している。
森迫 冬麗戦でご一緒させて…。
浜田 君そこ(→特待生席)に座ってんのや。
清水アナ そうなんです。今回特例で…。
浜田 すげえな。
清水アナ 冬麗戦を制しましたので特例で特待生になりました。
浜田 あ、そうなんだ。どうですか?でも、こうなってくるとだいぶこうプレッシャーもあると思いますよ。
森迫 そうなんですよ。もう大変なことになってしまったので。収録終わってすぐに大きな本屋さんに行って、名俳句集とか上手い俳句の作り方とか…。
浜田 大きい本屋さんってあるんや。
森迫 いっぱい買いました。
清水アナ 今回はですね、全ての順位が分かった後で特待生に昇格する人がいるのかどうかを発表します。
浜田 あ~そういうことですね。分かりました。
***
本上 実は小学4年生の息子が「プレバト!!」に出るのを物凄く喜んでくれて、めちゃめちゃ推してくれてるのでちょっと期待に応えて今回は何としてもと思っています。
勝村 いやでも最近なんか三振かホームランかみたいなことになってますからね。ちょっと安定させないと。
浜田 そらそうですよ。
こがけん 僕ね、やっぱり勝村さんのこと尊敬してたんですよ。あとドラマの現場でもね、声掛けて下さって。それで尊敬してたんですけど、揚げ物軍隊事件(→勝村が詠んだ「出番待つ揚げ物軍隊秋の宵」が才能ナシとなった)があったじゃないですか。揚げ物軍隊事件で夏井先生にとんでもなく怒られてて。
浜田 そうね。
こがけん そこからちょっと下に見てます(笑)。揚げ物軍隊は相当なインパクトでしたよ。
***
浜田 さあ、残っているのはこの2人。まあどちらかは当然(才能アリ)1位ですけど。3位がちょっとね、何かわからない。
清水アナ はい、まだ査定結果分かりません。
こがけん 嬉しいですね。僕が2人の間に入るわけですもんね。
浜田 そうですよ。
こがけん ハラハラしてください(笑)。
浜田 かっちゃんどうですか、ここまでくると。
勝村 いや、嬉しいは嬉しいですけど、強敵ですから。ちょっとレベル高いですからね、本上さん。
浜田 3位の査定がちょっと分からない。本上さんどうですか。
本上 ホントに緊張しますね。もうどうしよう。
勝村 ドラマとかの現場、こんなに緊張しないもんね(笑)。
本上 そうですよ。もう何よりも。
浜田 なるほど、分かりました。
清水アナ では何位から見ましょうか。
本上 あ~緊張する。
勝村 どの現場より緊張するよね。
本上 そうですね。
浜田 最下位。
一同 え~!
こがけん え、ちょっとちょっと。え?うそ~?
浜田 いきましょう、最下位はこの人!
▼最下位は久代萌美
こがけん 久代さん。
本上 久代さん。
清水アナ 査定は凡人でした。
久代 え、うそ~。
こがけん こんな華やかな服着て。
浜田 でもまあ普通最下位とかは20~30点とかね。
清水アナ はい。才能ナシが多いですけどね。
横尾名人 やっぱレベル高いですよね。
浜田 そういう意味ではね。点数も55点ですから。
梅沢永世名人 うん。
***
清水アナ それでは続いては何位を開けましょうか。
浜田 2位。
一同 おっ。
梅沢永世名人 惜しかった。
浜田 いきましょう、第2位はこの人!
▼2位はこがけん
こがけん は~い!良かった。
梅沢永世名人 点数高い。
こがけん 結構いいんじゃないですか、これで2位は。
梅沢永世名人 上等ですね。
***
浜田 さあ、それでは1位を発表しましょう。才能アリ第1位はこの人!
▼1位は本上まなみ、才能アリ3位は勝村政信
こがけん 1点差だ。
梅沢永世名人 3位まで才能アリ。
清水アナ しかも3位まで1点差ですね。
浜田 全員が1点差。
梅沢永世名人 接近してたんだなあ。
清水アナ さあ、そしてここから特待生に昇格する人の発表となります。
浜田 あ、そうなんや。
清水アナ はい。昇格する人数が書いてあります。浜田さん開封をお願いします。
→査定結果を手渡す
浜田 じゃあこの(才能アリ)3人の中でと。
清水アナ はい。
浜田 さあ、それでは発表しましょう。
こがけん うわうわうわ…。
浜田 特待生に昇格するのは…!
【3位まで】
浜田 全員!
こがけん よっしゃ~!やりました。
清水アナ 本上さん、こがけんさん、勝村さん3人とも特待生に昇格です!
勝村 すごい。
浜田 久代、何しに来たんや!
久代 こんな悲しいことありますか(笑)。
浜田 じゃあ、ちょっと聞いてみましょう。
夏井先生 黙々と俳句の筋肉をつけてきてくれたなあと。2位と3位については思います。(勝村は)揚げ物軍隊からよくここまで来たと(笑)。1位の本上さんについては、もうこの人の感覚というものの中に詩がちゃんとある。特待生でどんな作品見せてくるか楽しみです。
浜田 なるほど。
夏井先生 ただですね。俳句の筋肉って怠けるとすぐに落ちます。2位と3位は怠けるとすぐ落ちるタイプの筋肉なので(笑)、頑張りましょう。
浜田 いやでも特待生ですからね。
梅沢永世名人 大したもんだ。
浜田 かっちゃんも良かったね~。
勝村 もう泣きそうです(笑)。
こがけん ホントにウルウルしてるじゃないっすか。
浜田 上を目指して頑張って頂きましょう。
勝村 大きな本屋さんに行かないと(笑)。
こがけん 一緒に行きましょうか、大きな本屋。はい。
●それでは順位別に見ていきます◆1位
才能アリ72点 本上まなみ『あの崖の 上がわらびの 萌える野と』梅沢永世名人 うん~。
【本人談】小学生の頃、初めてわらび採りに連れて行ってもらった。母親が横に立ち、凄い急斜面を指差して「あそこらへんにわらびがあるよ」と言った。「この急斜面を登るのか」と衝撃を受け、必死になって落ちないように(浜田「すっげえスパルタやな」)必死で登ってわらびを探しに行ったという記憶があり、その時の母のフレーズが残っていて、俳句に詠んだ。
梅沢永世名人 これはもう1位の俳句ですね。この中七がたまらないじゃないですか。「上がわらびの」というね。上に行くとわらびがパっと生えてるんでしょうね。あ~素晴らしい俳句です!
本人 ありがとうございます。
浜田 横尾。
横尾名人 はい。
浜田 梅沢さん喋ってる時、ちょっと馬鹿にした顔してるよね。
横尾名人 してないですよ。「何言ってんだろ」と思いながら聞いて…(笑)。
梅沢永世名人 「何言ってんだ」って。中七がいいっていう話を…。
横尾名人 凄い良い句ですよ、はい。
夏井先生 これは最後の「と」の一音だけで、誰かが誰かに向かって教えているのを聞いていると。
それがこの「と」だけで分かる。ここら辺が上手い。
この句の難しいところは、実際にわらびは見えていない。
見えてない季語を主役にして描くのは、とんでもなく難しい。
それをどのように実現しているか。
「あの」と指差すような表現でまず「崖」を見せ、その崖の上だと映像を作っていく。
その上に見えないけれども、わらびの萌える野原があるのだと。
最後の「と」がその効果を作って一句が成立していく。
今回の「つまずく」というテーマも、この余白の後に"この人はつまずきながら登って行ったに違いない"と余白で匂わすのが上手いもの。
基本の型が出来るようになれば、中七のどこかに季語を入れる。
勝村さんの句も同様に中七に季語。これもまた別の高度の技。
直しは要らない。
本人 ありがとうございます。
浜田 おめでとうございます。
●解説のポイント |
最後「と」で伝言と分かるのが上手い 見えない季語を主役に描く高度な技 兼題から苦労して登ったに違いない 中七に季語を入れる技も高度 この人の感覚に詩がちゃんとある |
添削なし特待生昇格句
春の植物「蕨」と幼少期に聞いた台詞を口伝する形式で書かれた定型句。シダ植物のワラビは全国の比較的開けた場所や山の斜面を中心に群生しますが、この句は山菜採りの絶好のスポットを誰かに教えている意図が見てとれます。BS朝日「そこに山があるから」のレギュラーも担当され、その経験も活きています。指示語「あの」から始まり、指差す場面からわらびの野が広がる場面へと展開しますが、最後の「と」の一音が上手く、場所を教えて貰ったことを別の人物に伝える用法。「と」がそれまでの6単語を全て受け止める形で意味が理解され、季語の現場が見えなくても非常に季語の実感を持ったセンスのある書き方。「崖」は「丘」の方が良い可能性もありますが、「崖」の程度は読み手に任せた方が広がりがあります。過去3句は地理・生活・動物の季語選びで、一般に使いやすい時候・天文を使わずに特待生に認定され、4句連続添削なしは4句目が無難だと言われた横尾さん以来。さらに、家族や人物の背景描写を広げる書き方が出来る点も強みですが、恐らく歳時記を読み込む学習をされているはずで、タイトル戦でも手強い人物といえるでしょう。
◆2位
才能アリ71点 こがけん(おいでやすこが)『鍵失せて ファミレスにいる 春の月』梅沢永世名人 なるほど。
【本人談】深夜に仕事から家に帰ってきて、鍵が見つからずに諦めてファミレスに行くことが1年に4回くらいある(→浜田「多いな」)。四季折々。そのファミレスに行った時の煌々としたファミレスの光と春の月の朧の霞んだ感じが対比で詠めればいいなと。
森口名人 これ同じ経験したこと私もあるんで、すごいあるあるって思いながら読ませていただいたんですが、心もとない気持ちが窓ガラスから見える月の雰囲気と相まってて凄く良いなと思いました。
本人 一日頑張ったのに、ここでつまずくかって話なんですよ。
森迫 凄くファミレスっていう単語が良いなって思って、これがカフェとかだったら「そんな夜遅くないのかな」って思うんですけど、なんか「ファミレスにしか行くところがなかったのかな?」ということは凄く夜遅いってことまで想像さしてくれるので、素敵だなと思いました。
夏井先生 取り合わせの型は完璧にマスターしている。
本人 うわ~嬉しい。
夏井先生 12音のフレーズに「春の月」という季語を持ってきた。
この取り合わせはとても良かった。
ファミレスでぼんやりと待っている、そのぼんやりとした思いが春の月の朧と似合う。
煌々と明かりのついているファミレスと、ぼんやりと上がる春の月のささやかな対比もあり、映像もくっきりしている。
俳句として迷いがちなのは、「て」「にいる」という書き方。
俳句では特に「いる」が要らないケースの方が多い。
そこに居るから「ファミレス」と書くことが出来るため。
この場合、「鍵失せて」の時間から「ファミレスにいる」までの時間経過が表現できている。
そのため、意図的にやっている。
必要な言葉という判断がこの人は出来ているに違いない。
浜田 ホンマかな~?
夏井先生 そういう風に理解できる。
本人 そうですね~。そういう判断が出来ておりました(笑)。
浜田 先生、これ直しは?
夏井先生 直しは要らないけど、本当に判断できてるんだよね?
本人 判断できてますとも!夏井先生!(笑)
夏井先生 はい。
浜田 直しはなしでございました。
本人 よっしゃ!嬉しい!
●解説のポイント |
取り合わせの型は完璧にマスターした ファミレスでぼんやりと待つ その思いが春の月の朧と似合う 明るさの対比で映像もくっきり 「て」「いる」で時間経過を意図的に表現した |
添削なし特待生昇格句
天文「春の月」と自身がファミレスにいるという状況を取り合わせた定型句。一読して意味が伝わる句で、帰宅できずに、途方に暮れる中ファミレスで誰かを待っている様子を思うのと同時に、失くし癖があるおっちょこちょいな作者の性格も伝わります。「て」「にいる」の判断はご指摘もございましたが、御自身がそこにいる状態を示すことで、静的な季語とマッチ。夜のファミレスと春の朧な月の明りも似合い、年度切替で気分が虚ろで安定しない春らしさの表れでもあります。こがけんさんは情景の季節感とマッチした季語選びの感覚に優れています。上五は「鍵失くし」なら主体が全て作者になり意味がすんなり通りますが、敢えて「失せて」と主語を変えたことで、作者の抽象的な存在感を表現したところまで計算されていたならば伏兵的な実力者だといえます。
◆3位
才能アリ70点 勝村政信『つまずいて 春を見つけた 排水溝』梅沢永世名人 うん。
【本人談】今年還暦を迎える。朝、家の前をほうきで掃いていると何もない所でつまずく。道路の横に排水溝があり、溝の端っこのところに少し(植物の)芽が出ているのを見て「これはタンポポなのか?」と。排水溝は汚いイメージだが、ここにも平等に春は来るのだということを思って書いてみた。
梅沢永世名人 俳優さんが考える俳句ですよね。
浜田 あ~そうですか。
梅沢永世名人 うん、素晴らしい。世界が見えますもん。こういう句を俳優は詠むんですよ。私も含めて。
浜田 ふふっ。(遮って)横尾君はどう思われますか。
梅沢永世名人 いや…。
横尾名人 「排水溝」っていうのをよく見つけてきたなとか。いいなと思いましたね。素敵です。
夏井先生 「春」という季語をそのまま使うのは、春の大きなイメージがあるだけになかなか難しい。
この句は非常に素直に「春」を使って成功したケース。
「春を見つけた」というフレーズは結構あるが、下五が良く、リアリティーがあった。
「排水溝」に春の陽気で多少汚水の臭いがする場所。
そこにも小さな春があることを気づいて、そこに詩があると発見できたことが良い。
仮に下五を「アスファルト」とすると、そこから芽を出す植物以外に無くなる。
「排水溝」が面白いのは、そこには植物だけでなく生き物がいる。
春の陽気の臭くなっている排水溝の中にも小さな芽吹き・生命が動き出している。
季語「春」の力も「排水溝」によって倍増していく。そういう配慮があった。
「排水溝」は汚いから書くのをやめようなどと思わないのが俳人だということ。
直しはない。
本人 ありがとうございます。
浜田 素晴らしい。
●解説のポイント |
扱いにくい「春」を率直に用いて成功 「排水溝」にリアリティー 汚水が臭う場所にも春の生命の存在に気づく 季語の力が「排水溝」で倍増する配慮 汚いから書かないと思わないのが俳人 |
添削なし特待生昇格句
時候「春」と排水溝での発見を取り合わせた下五字余りの一句。兼題から「つまずく」動作を用いて状況を述べ、抽象的な中七と具体的な「排水溝」という場所で構成されています。様々な臭いを持つ「排水溝」の着眼点が良いのは勿論ですが、上五「つまずいて」のネガティブなきっかけも排水溝の網の周囲にある植物や昆虫、水の流れに泥や葉など普段注視しない所を楽しい発見に消化していく感覚が良いといえます。抽象的な「春」と具体的な「排水溝」の「ハ」の韻を重ねることで、後ろ向きな字面を前向きにしていく音の効果もあります。紆余曲折あった勝村さんですが、今後の活躍にさらに期待しましょう。
◆4位
凡人55点 久代萌美『原稿に 「摘出手術」 春の虹』【本人談】アナウンサーにとって「つまずく」のは言葉を噛むことだと解釈した。摘出手術が成功したニュースと(その原稿を)私が嚙まずに読めたという2つの喜びを春の虹に込めた。
梅沢永世名人 それを詠んだんだったら、ちょっと言葉が足らなかったかな。
本人 え~。
梅沢永世名人 原稿に「摘出手術」って書いてあるだけにしか、読み手としては感じないんですよ。あなたがそれ読みにくいとか、噛んじゃったという言葉が1つも入っていないの。
夏井先生 俳句そのものはひとまず成立している。
12音のフレーズ+5音の季語という基本の型。
読んだ時、「摘出手術」を鍵括弧まで書いた理由が読み取りにくい。
本来は季語によって読み解くヒントがある。
「春の虹」はアナウンサーとして上手に発音できた気持ちを表現したい意図として取り合わせたよう。
その気持ちは分かるが、なぜこの言葉を書いたのか読んだ人には伝わらない。
原稿であることを匂わせながら作者の本当に言いたいことを文字にするしかない。
まず「摘出手術」と出し、中七に率直に書くしかない。「噛まずに言えた」。
「春の虹」が作者の気持ちを表現している。
「摘出手術」を諦めれば「噛みそうなニュース原稿」と展開しても良い。
梅沢永世名人 お~ほっほ。
夏井先生 言葉にこだわり過ぎて細部の迷路に入ってしまったかもしれない。
本人 なるほど。
●解説のポイント |
基本の型で成立している 「摘出手術」を用いた理由が読み取りにくい 率直に意図を中七に書く 言葉にこだわり過ぎて細部の迷路に入った |
添削後
『「摘出手術」 噛まずに言えた 春の虹』
『嚙みそうな ニュース原稿 春の虹』
天文「春の虹」と「摘出手術」と書かれたニュース原稿を正しく読み上げる嬉しさを意図したアナウンサーらしい目線の定型句。具体的な用語で書かれ、うっすらと掛かる春の虹に気分を託すところまではセオリー通りですが、状況が特殊だけに伝わらないという失敗。とはいえ、句会でも0点となる句の中にはこのような句が沢山あり、俳人なら誰もが経験する道の一つです。専門性が強いことで共感性が得られにくい点もあり、詩を生み出す表現を磨く必要があります。真面目なニュースで特に噛むのは御法度で、「摘出手術」が成功したか否かを含めて読者に想像させることも出来るでしょうか。とはいえ、アナウンサーが嚙む噛まないを気にしている心意気では本職を全うする姿勢として少々疑問ではあります。同じアナウンサーで特待生になった皆藤さんや馬場さんを見習うくらいが丁度よいかもしれません。
★特待生昇格試験★→<5級>・
森迫永依は5回目の挑戦。冬麗戦優勝後、初の昇格試験。
森迫 前までの自分を超えないと上に上がれないじゃないですか。それが凄い怖いです。
浜田 新しい特待生もう3人出ましたから。あなたの下にやってきますよ、こうやって。
森迫 そうですよね。だいぶ頑張ったので、ちょっと良い評価を頂きたいです。
◆『春風のマーチ 擦り傷に マキロン』 森迫永依【本人談】つまずいた記憶を考えていった。部活で吹奏楽部だったがマーチング練習している時に、転んだ記憶が頭の中にあり、その時に顧問が持ってきてくれたマキロンを塗って染みている感じと、部活だし頑張らなきゃという自分の気持ちを俳句に込めて詠んだ。
梅沢永世名人 素晴らしいと思います。で、もしも梅沢さんを目指してくれるんだったら…。
本人 はい。
梅沢永世名人 語順を変えたらもっと良い。
浜田 またや、語順。
梅沢永世名人 人のやつは分かるんです。
浜田 ということは「擦り傷」からの方が良い?
梅沢永世名人 そうです。「擦り傷に"春"マキロン春風のマーチ」。
浜田 「春」って何回か出た(笑)。
梅沢永世名人 「擦り傷にマキロン/春風のマーチ」。こうしたらもう、名人はすぐじゃないですか?
浜田 なるほど。
★評価ポイント「春風」「マーチ」「マキロン」の取り合わせの是非
梅沢永世名人 全然違うじゃねえか(笑)。
■査定結果4級へ
1ランク昇格理由:
取り合わせの感覚がわかっている本人 うわ~。嬉しい!
夏井先生 中七まで意味が繋がって、中七の途中で意味が切れる型。この型を完全にマスターしている。
そして、取り合わせが良かった。
「春風」の明るい季語と「マーチ」の2拍子のリズムの元気が良くて弾んでいる。
「マーチ」「マキロン」で「マ」の韻を踏んでいる。
俳句は短い韻文のため、同じ音を重ねるだけでリズムが出来ている。
そこもそつなく上手に作っている。
そして、"特待生5級ならOK"と言いたいが、名人目指すならと思っている部分があった。
それを今おっちゃんがその通りに仰ったので、今ビックリしている。
この語順でも良いが、最後に「擦り傷にマキロン」のアップの映像が残る。
マキロンのCMならそれで良いが、俳句は季語を主役に立ててほしい。
どういう形かと考えた時、「擦り傷にマキロン/春風のマーチ」とする。
本人 確かに。
夏井先生 こういう風にすると、マーチのリズムで一句が進んでいく。
おっちゃんだって、ダテに永世名人をやっているわけではない。
時々こういうことはちゃんと分かる。
おっちゃんの言うことも時々聞いてみましょう(笑)。
本人 いやホントに、先生と梅沢さんの仰る通りかなと思いました。なんか勉強することがホントに多くて楽しいです。
梅沢永世名人 あ~良い子だ(笑)。
●解説のポイント |
中七まで意味が切れる型をマスター 明るい季語に2拍子の元気なリズム 片仮名で「マ」の韻をそつなく作った マキロンのCMより季語を主役に 前後半を逆にしてマーチのリズムの印象を |
添削後
『擦り傷に マキロン 春風のマーチ』
天文「春風」とマキロンを塗っている光景を表現した破調の一句。「マキロン」は後述の「赤チン」に取って代わった通称「白チン」と呼ばれる消毒薬の名称。破調と4単語の取り合わせは、まさに横尾さんを参考にしているかと思うほどです。「マ」の韻を踏めており、「擦り傷」と「マーチ」の陰陽の対比があります。「春風のマーチ」で楽しく行進する吹奏楽部隊などを思いますが、「転んだ」状況が分からないと「擦り傷にマキロン」との関連性に迷いが生じやすいのが難しい所で、読者の共感にも関わってきます。添削では語順を変えることで解決しており、擦り傷が出来た状況から光景を広くしていくことで、より状況を想像しやすくする手法に。大変若者らしい言葉遣いで果敢に攻めていますが、今後が正念場になるかもしれません。
→<名人2段>・
森口瑤子は炎帝戦では3位に食い込んだ。
森口名人 今日特待生になられた3人も素晴らしい句を作ってらして。
浜田 そうでしょ。
森口名人 自信があるかと言われると悩ましいものが…。
浜田 でも上がっとかないとあなたちょっと足踏みが多いので。
森口名人 はい。あの~じゃあ自信を持って頑張ります。
◆『覚えなき青痣 きっと春のせい』 森口瑤子梅沢永世名人 ふふっ、まあね。
【本人談】ある日、全く覚えがないのに青痣が出来ていた。春が大好きで行動的になってウキウキしすぎて作ったという気持ちと、「春」を自分の好きな人や夢中になっている仕事など、心が騒ぐようなことに夢中になっているからちょっとした傷も出来ているけど楽しいぞというイメージ。
横尾名人 森口さんらしい可愛い句だと思います。
浜田 これなんか森口が作ったという感じ…。
横尾名人 森口さんしか作れないというか。
★評価ポイント「春のせい」という着地の是非
■査定結果名人3段へ
1ランク昇格理由:
強引なのがいい!梅沢永世名人 凄い。
本人 う~。
夏井先生 前半の「覚えなき青痣」はあるあるの経験。
その分、俳句でもそれなりに見るフレーズ。
しかし、後半でぐっとオリジナリティーが高くなる。
強引に決めつけることで詩を生み出すメカニズムの俳句。
「春」という季節のせいだと全部押し付けてしまうことで、一句の奥行きが色々広がってくる。
「春」は陽気になって浮かれる季節でもあり、春愁というものを感じる季節でもある。
そして、「青」「春」が一句の中に出ると、読み手の脳内のどこかで青春・甘さ・挫折を想像する。
色んな所を狙ってないようなフリをして、ちゃんと達成している。
こういうのが森口さんから生まれるようになると、あなたなりの句柄が出来てきたなと。
ますます面白くなりそう。直しはありません。
浜田 おめでとうございます。
本人 ありがとうございます。
●解説のポイント |
「覚えなき青痣」はあるあるの経験 後半のオリジナリティーが高い 「春」に全て押し付けて奥行きを出した 「青」「春」で青春・甘さ・挫折を脳が想像 作者なりの句柄が出来てきた |
添削なし
時候「春」と青痣が出来た原因を季語に押し付けてしまう発想で詠まれた開放感のある破調の一句。痣ができる経験はありますが、「青痣」と色を出したのが一つのポイントで、出来立ての痣を想像させます。本来ならネガティブに受け止める症状を「きっと春のせい」と打ち出すポジティブさで開放するところに作者なりの捉え方やストレス解消のような開放感を感じます。この考え方ができるのが森口さんの強みでもあり、「ぴこんぴこん」の句が生まれる真骨頂でもあります。ご指摘の通り、文語と口語のギャップによる意外性もあると言えます。ただ、青痣は外的損傷だけでなく頻度が多い場合は肝機能障害など重度の病気に冒されている可能性もあり、青痣を適切に治療・処理する必要性があります。その点、前半の捉え方次第で「春」という季節の重みが読み手によって変化する可能性もありそうです。
★永世名人への道★
→<名人10段>・横尾渉(Kis-My-Ft2)は現在星3つ。
※以下、結婚発表後の春光戦予選収録
浜田 これ、北山どうなの?キスマイの中から。
北山 いや、遂に出たなと。
浜田 なあ。一発目でしょ。
北山 そうです、でもまあ。ちょっと振り返ってみるとやっぱ僕ら21年くらいの付き合いなので。だからホントにおめでとうだなと。
浜田 なるほどね。他のメンバーどうなんやろな。
北山 他のメンバーなんて言ってた?俺横尾さんとたまたま2人になった時に「実は…報告あるんですけど」と。
浜田 他のメンバーは?
横尾名人 あ、喜んでくれました。
浜田 ほんまに?
横尾名人 はい。ホントですよ(笑)。
浜田 まあ、そこ反対する意味ないもんな。
***
浜田 横尾君は次獲ったら4つか。
横尾名人 4つ目です。なので、今日はみんなここまで昇格してるじゃないですか。ここも昇格して梅沢さんにパスしたい。全員昇格してるんでね。今日は。
浜田 分かりました。
◆『靴脱げた ランナー 春塵の入賞』 横尾渉(Kis-My-Ft2)※季語「春塵」は乾燥した早春の大地に強い風が吹き、塵や埃が舞い立つ様子。
梅沢永世名人 うん。
【本人談】考えている時に箱根駅伝をやっていた。そういえばスポーツでもこける・つまずくというのを考え、(1992年バルセロナオリンピックの男子マラソンに出場して8位に入賞した)谷口浩美選手が足踏まれて靴が脱げたことを思い出した。そこから書いて作った。
※谷口氏 (VTR)途中でこけちゃいました。それがいけなかったですね。後半は追い上げるリズムがあったんですけど、ようやくどうにか8番まで辿り着くことができました。森迫 凄い情景が頭に浮かんでくるというか、読んだだけでこういう場面を切り取ったんだなと分かるのがさすがだなと思いました。
森口名人 もう「靴脱げたランナー」って時に「あ、どうなるんだろう」と思ったら、最後の着地が「春塵の入賞」って上手いなあって。埃臭さとか、一生懸命でまみれちゃっている感じとかも見えて素晴らしいなと思いました。
★評価ポイント季語「春塵」を取り合わせた効果の是非
■査定結果名人10段★4へ
1つ前進理由:
季語を信頼している!本人 やった~。ありがとうございます。
夏井先生 マラソンか駅伝の光景。
季語「春塵」は、春の風が吹いて塵が舞い上がる。
雪・霜が解けて乾燥して一気に舞い上がるという感じの季語。
季語をよく信じて使ったと思う。
前半「靴脱げたランナー」で目の前に起こっている状況を淡々と書いているだけ。
こういうタイプの句は"何がどうしてこうなった"という事の顛末を面々と書きたくなるタイプの句。
それを必要以上のことは書かなくて良い。
俳句のメカニズムが横尾さんの中でしっかりと理解できているため、書かないことで成功したというタイプの句。
「靴脱げたランナー」に意味の切れ目がある。
この後を書きたいが、全部書かずに「春塵」という季語に。
ランナーが走ってから最後まで「春塵」の空間にある。
最後の結果だけを「春塵の入賞」と書くことで、どんなに大変な波乱含みのレースであったに違いないとか全部わかる。
横尾さんが書かないで良いことがわかるようになれば、ここから後は安心して見ていられるのではないかと思う。
1つお願い。二階堂君に、アンタの宿題はこの型だからって(笑)。
浜田 あいつは何回言っても分からへん。
本人 (音数)八・九とかずっと言ってましたけど。言っときます。
●解説のポイント |
(バルセロナ五輪で8位入賞の谷口浩美を意図) 「春塵」の季語を信じた 必要以上の事の顛末を書かないのが○ 選手が走る最後まで「春塵」の空間に 大変な波乱含みのレースだったに違いない |
添削なし
天文「春塵」と靴脱げたランナーの一末を意図した破調で18音の一句。季語は「休業と手書き格子戸に春塵」と詠んだ皆藤さん以来。前半「靴脱げたランナー」で状況を示し、「春塵の入賞」で結果を示した形で、前後半は時間経過の違いで並べた型です。季語の選択が功を奏し、塵が舞う逆境にも打ち勝った印象が読み手に強く残ります。夏の五輪での谷口浩美氏のハプニングを発想されていますが、この件を強く認知しているのは恐らく40代以上の世代で、春の時期を考えれば2月の京都マラソンなど別の大会になると思います。その点の季節感の相違はありますが、実際に靴が踏まれて脱げる事故は大変危険ですし、そこから挽回するのも並大抵のことではありません。読み手の記憶への訴求力に加え、季語でオリジナリティを出した点が成功しましたが、個人的には実体験の発想で次は決めてほしいと思いました。
★永世名人 富美男のお手本★
→<永世名人>・梅沢富美男は句集完成まで残り1句。
浜田 全員(昇格に)行きました。
梅沢永世名人 はい。僕のためにこの形を作ってくれたんだと思いますよ。
浜田 なるほどね。
梅沢永世名人 はい。3人が特待生。ポンポンポンとあんた昇格。次は私がパッと来て、今日は何という番組なんだと。
浜田 ふふっ。
梅沢永世名人 …という回です。
浜田 はぁ~い!(笑)
***
梅沢永世名人 とっといたんです。今日のために。私の後を継ぐのは彼女(→森迫)だと。娘の前で私が句集を出すこの瞬間を…。
浜田 見せてやろうと。
梅沢永世名人 今日のためにとっといたんです。
浜田 分かりました。
◆『赤チンの 膝の記憶や 養花天』 梅沢富美男【本人談】「養花天」(※桜が咲く頃の曇り空)は春のちょうど曇り。先生も仰ったように、ウキウキする春もあればちょっと暗い感じの春もある。自分の幼少期のことを詠ませて頂いた。(怪我した時は)どんな状況でも赤チンを塗っていて、膝がカピカピになる。子どもの頃は貧乏で、旅役者の子どもだっていじめられたり差別されたりした。それでも私は頑張って、「よし、いつかコイツらを見返してやろう」と思ってこうきた。
本人 (声を張り上げ)こんな立派な人間になれたのも、この赤チンのおかげ…。
浜田 (遮って)横尾君どうですか?この句は。
本人 いやいや…。
横尾名人 最後の句を基礎に忠実にしてくるというのは、僕らにも教えられてる気がして凄い良い句だなと思いました。
浜田 マジで?森口さんどう思われますか。
森口名人 「養花天」の何とも言えない白黒なイメージの中に赤チンの色がポンとあって映像的にも凄い素敵だと思いました。
浜田 あら?森迫さんどうですか?
森迫 「赤チン」っていう単語、ホントに生まれた時とかなんか小っちゃい頃とかに聞いたような記憶があって、なので多分書かれた方は凄く世代が上なのかなというのと、「赤チン」からの「記憶」なので、凄い長い年月が経たれてて、「養花天」っていうとこに着地するのが何か人生を表しているようで素晴らしいと思います。
浜田 赤チンはもう知らない世代なんですか?
本人 そうですよね。
森迫 そうですね。赤チン使ったことないです。
本人 娘の前で私が句集を出すこの瞬間を…。
浜田 あ、見してやろうという。さあ、いきましょう。この流れでいきましょう。
清水アナ 先生からの結果届いております。
浜田 良い流れが来てるよ。
本人 良い流れが来てますよ。私のための流れです。
■査定結果永世名人49句で掲載
ボツ理由:
本当に言いたい事が欠落している浜田 ボツボツボツボ~ツ。ボツボツボツボツ。ボ~ツボツボツボ~ツ!
横尾名人 良い流れだったのにな。
(査定評後)
本人 何が欠落してんだ!どこが欠落してんだ!
夏井先生 「赤チン」と「養花天」の取り合わせは良かった。
薄暗いグレーの中に仄かに桜の色が隠れている印象のある季語。
それと「赤チン」の印象と丁度良い取り合わせだったと思う。
あなたが本当に言いたかったのは、膝の赤チンではなく、いじめられた記憶が言いたかったのではないかと。
そうなれば「膝」が不要。
赤チンはだいたい膝小僧につけるのが私たちの年代だった。
本人 (肘を見せて)ここもつけるからね!
浜田 (なだめて)つけますけど。
本人 鼻のここにもつけるからね。
浜田 赤チンって大体そうそう…。
夏井先生 それは好きなようにつけてください(笑)。
「赤チン」と言われた時、それぞれ自分がどこに付けたかという場所はみんなの記憶にある。
となれば「膝」を書くのではなく、おっちゃんのまさに生々しい記憶を書く。
「赤チンと」の後に敢えて「イジメ」と片仮名で書く。
そうすると、赤チンの匂いを嗅ぐたびに子どもの頃にいじめられた記憶を思い出すと。
その記憶を癒してくれるかのように桜を育てる天が今ここにあると。
こうしておいたら、50句目としてとても良い句だったのに。
横尾名人 分かりやすい。
浜田 うわ~残念。
本人 「赤チン」はどうしても使いたかったんです。
夏井先生 だから残してるじゃない(笑)。
●解説のポイント |
「赤チン」と季語の取り合わせは良い 赤チンは大体膝小僧につけるもの いじめられた記憶が言いたかったはず 生々しい記憶を片仮名で表記する 「赤チン」の回想と記憶を癒す養花天に |
添削後
『赤チンと イジメの記憶 養花天』
春の天文「養花天」と赤チンを塗られた過去の記憶を取り合わせた定型句。失礼ながら、上五を見た瞬間にゲンナリしたのが正直なところで、御大にしてはデジャブ感がある発想。「赤チン」はマーキュロクロム液と呼ばれる消毒薬でかつてはどこの家庭にもありましたが、製造工程で水銀化合物を含む廃液が発生するなどの理由から製造が徐々に縮小。水俣条約による規制もあり、2020年をもって国内から姿を消しました。それと「養花天」を取り合わせることで、大小・明暗の色の対比が明確です。それを塗られた「膝の記憶」とすることで、回想していることも伺えますが、御大が好む季語「養花天」で3度目の正直とはならず、またも具体性の欠如が指摘される結果に。御大の傾向として、アンニュイさを持った季語を用いる際に過去のネガティブな回想を重ね合わせるイメージが強くあるのでしょうか。特に幼少期のいじめの回想を意図していましたが、「膝の記憶」はかつての赤チンを塗られた記憶が今なお残っている意味になり、再現性が難しい現代において現実的な共感は得られにくいでしょう。添削では「イジメ」と並列にすることで、季語に現実味が生まれてそこに託す感情が想像しやすい形に。御大らしい言葉遣いではありますが、50句目に相応しい句が生み出せない梅沢名人。何かをハッとさせられる意外性のある句を待ちましょう。
浜田 (本人の前に立ち塞がって)赤チンは残してるわけですから、だからと言って膝だろうが肘だろうが…。
こがけん 映ってもいない。
浜田 その人の記憶ですよと。どこでいじめられたか、ね。
こがけん 映ってもいないぞ。
浜田 じゃあ今回、申し訳ございません。これは表に出せないので。えーと、横尾君、はい押して。
横尾名人 (立ち上がって)はい、失礼します。
梅沢永世名人 横尾君押せるか?大先輩のこの私の一句を…。
浜田 せーの、ドン。
横尾名人 (ボタンを押す)
こがけん すぐいったよ。
(シュレッダー演出)
浜田 永世名人の句ですから。世に出せない。これはボツですから。これはもう…次回頑張って頂きましょう。梅沢さん。
梅沢永世名人 世界の子どもを敵に回したからな!
浜田 (ずっと本人の前に立ち)…さ、というわけでございまして(笑)。
こがけん 完全に見えない、もう。
□春光戦予選抽選会 組合せ結果(※ABブロックは抽選順掲載)
Aブロック | Bブロック | Cブロック | シード権 |
横尾渉 <名人10段> | 的場浩司 <5級> | 立川志らく <名人6段> | 藤本敏史
<名人10段> |
松岡充 <2級> | 本上まなみ <5級> | 馬場典子 <2級> | 梅沢富美男 <永世名人> |
北山宏光 <2級> | 千賀健永 <名人8段> | 森迫永依 <4級> | 村上健志 <永世名人> |
春風亭昇吉 <4級> | 中田喜子 <名人7段> | こがけん <5級> | 千原ジュニア <永世名人> |
犬山紙子 <4級> | 皆藤愛子 <名人4段> | 勝村政信 <5級> | |
※多くの参加を募るため収録日は2日に分ける。前半の収録日のみ参加可能な「横尾」「松岡」「北山」「昇吉」はAブロック確定。それ以外の11名は梅沢のシャッフルと浜田の抽選により決定。
※各ブロック1位は通過、各2位以下から優秀3名を加えた合計6名が予選通過、決勝はシード4名を含めた10名
※兼題は各ブロックで異なり、"
人生の転機"が主題。浜田によるくじ引きで決定。
Aブロック「卒業」・
Bブロック「引越し」・
Cブロック「入学」です。
※3/2にAブロック、3/9はWBC中国戦で休止、3/16以降にBブロック、Cブロックを放送
スタジオ出演:横尾渉、千賀健永、北山宏光、森迫永依、勝村政信、本上まなみ、こがけん
リモート出演:中田喜子、立川志らく、皆藤愛子、松岡充、馬場典子、犬山紙子、春風亭昇吉、的場浩司
見届席(シード権):梅沢富美男
清水アナ シード権を持っているのは、金秋戦で優勝したFUJIWARA藤本さんと、永世名人の梅沢富美男さん、千原ジュニアさん、フルーツポンチ村上さんです。残り6つの枠を15人の名人・特待生で競います。
浜田 キスマイは3人とも予選から。
千賀名人 そうなんですよ。
浜田 ここで潰し合いということにもなるんですよね。
千賀名人 絶対嫌っすね。予選から。
浜田 これ、仕方ないもん。
横尾名人 3人ばらけたいです。
浜田 本来わね。
横尾名人 梅沢さんは出るんですか、タイトル戦。
清水アナ はい、もうシードで。
浜田 シードですから。
横尾名人 前回もう出ないって言ってましたよね。
浜田 前回出ないって言ってた?
横尾名人 もう出ない。
梅沢永世名人 だから、私が出ないって言いましたけど、お手紙が沢山来て世界中の子どもから。梅沢さんがいないタイトル戦なんて見たくない、誰も見ないって言うんです。
浜田 一番位が上なのに、凄い下に座ってる(笑)。
こがけん 確かに。
北山 低っ!一番低っ!
***
清水アナ それでは早速抽選に参りたいと思いますが、とり多くの方に参加してもらうために収録日は2日に分けています。その中で片方の収録日しか参加できない人たちをまず割り振りたいと思います。
浜田 あ~そういうことか。
清水アナ Kis-My-Ft2の横尾さんと北山さん、松岡さんと昇吉さんは初回の収録しか参加できませんので、4人は同じ(A)ブロックとなります。
浜田 いやもうここで横尾・北山が一緒なってもうてるやん。
横尾名人 被っちゃいましたね。
北山 しかもスケジュールの兼ね合いでしょ(笑)。
千賀名人 暇で良かった~。
松岡 いや、なかなかの…もう横尾君とか北山さんもいますし、昇吉さんもいますし。
昇吉 あとは志らく師匠入ってほしいですけど、やっぱり(笑)。
志らく名人 なんで俺が入るの?
北山 なんで削り合いたいのそこで。
***
→Aブロックの残り1名を抽選する
浜田 ちょっと混ぜてもらって良いですか?
梅沢永世名人 いいですよ、はい。
→腰を振って抽選箱を振る
梅沢永世名人 昔バーテンでしたから(笑)。
清水アナ 足もステップ踏んで。
浜田 じゃあ引かせて頂きます。4人と同じブロックになる残りの1人はこの人!
【犬山紙子】
犬山 あ~!
松岡 うわ、強敵。
***
浜田 横尾君どうなの?
横尾名人 いや僕はもう誰が来てもどのお題来ても通過するので大丈夫です(笑)。
清水アナ 強気ですね。
浜田 腹立つわ~。
北山 ということはもう俺眼中入ってないじゃん。
千賀名人 さっき前進したから。
***
→Bブロックの5名の抽選
清水アナ でも浜田さん、ボックスから札を…。
→浜田が梅沢名人に箱を渡す
清水アナ あ、まずはシェイクですね。
こがけん 軽快ですね。
梅沢永世名人 今度バーテンなります(笑)。はい、お願いいたします。
浜田 いきましょう、まず1人目は…。
【的場浩司】
的場 おお。お願いします。
梅沢永世名人 乗ってるからね。
浜田 2人目は…。
【本上まなみ】
梅沢永世名人 強敵入ったな。
浜田 さあ、3人目は…。
千賀名人 ここ入りたいな。
【千賀健永】
千賀名人 よっしゃ~!
浜田 「よっしゃ」言うた。
横尾名人 その「よっしゃ~!」は何に対して?
浜田 4人目は…?
【中田喜子】
千賀名人 きっつ!
清水アナ はい、名人2人が続いてきました。
浜田 さあ、ラスト5人目は…。
【皆藤愛子】
横尾名人 強いぞ、ここは。
***
浜田 ちょっと今千賀が前半「よっしゃ~!」言うてましたけど、君の中で的場と本上さんは別に?
千賀名人 ホントに申し訳ないですけど眼中になかったっすね(笑)。
的場 失礼だな!
こがけん だから、そういう意味ではすぐに罰当たりましたよね。
浜田 なあ、アハハ。
皆藤名人 ちょっとよほどのミラクルが起きないと難しいなと思うので。
中田名人 いや私ちょっと一番ね、この3つのテーマの中で「引越し」が弱かったんですよ。
浜田 いやいや毎回言うてんねん(笑)。
中田名人 ホントにホントにそうなんです。アララララ~ですね。
浜田 さあそして、的場。ちょっとなんか今千賀が的場が入って喜んでたよ。なんか勝てるみたいな。
千賀名人 ちょっと、やめてください。
的場 ええ、しっかり聞いてましたので、千賀君のことは忘れません(笑)。
こがけん 怖いな。このトーンで言いますか?トーンが変わらない。
***
→Cブロックは残り5名(志らく・馬場・森迫・こがけん・勝村)が入った。
梅沢永世名人 何たって、この娘が。
浜田 はい、森迫さんね。
梅沢永世名人 抜き出る森迫ちゃん。抜き出るんじゃないかな。
浜田 え~、マジっすか。
梅沢永世名人 はい、志らくさんもしかしたらもう、お休みになるんじゃないかな(笑)。
★次回2/23は初心者が集結。兼題は「富士山」です。
1時間全てが俳句で、特待生候補者集結の兼題は「つまずく」。つま先などに何かがぶつかり、転びそうになることを指す動詞です。その場で何かにつまずく行為でもあり、人生のどこかでつまずくなど大きく捉えられる兼題ですが、以前のタイトル戦「ラッキー」と相反するようにも聞こえる中々難しい印象です。ちなみに、「つまづく」は歴史的仮名遣い、「つまずく」が現代仮名遣いですが、どちらも「躓く」と表記します。さらに、特待生候補者の査定という意味では昨年10月の「セルフのうどん店」以来。今回の出演者のうち、森迫・こがけん・勝村の3氏はそこでも平場出演者として挑戦していました。
さて、季語は時候「春」が2名、天文が5名(春の月・春の虹・春風・春塵・養花天)、植物が1名(蕨)でした。特筆すべきが1位の本上さんで、「蕨」を用いた発想と「崖」でつまずくことを思わせる兼題の使い方。2位は鍵を失くした、3位は直接つまずく行為を詠み、最下位はアナウンサーでつまずきそうな原稿読みを発想していました。また、特待生以上は「擦り傷」「青痣」「靴脱げた」「赤チン」といずれもケガなどを想定した発想に共通点があります。その意味では、特待生昇格者の発想の意外性に注視していきたいところです。ちなみに、特待生昇格者が一度に三名出るのは番組初の事態です(当ブログの記録上、特待生昇格者が複数名出た場合初出場が早い順に記録しますので、勝村→本上→こがけんの順に誕生したこととしています。特待生昇格回の成績順ではありません)。
今回はコーナーが俳句のみだったためか、先生の解説や特待生同士のコメントなどもほぼカットされずに丁寧にゆったり観れた印象が強くあります。また、森迫さんの即興のコメント力にも光るものを感じ、句作の力のみならず鑑賞力の点も等身大で素直に答えているように感じました。そして、全体的にハイレベルな作品が並ぶ見応え充実な回になりました。
また、森迫さんが冬麗戦優勝を受けて特待生に昇格するという特例が初めて適用され、この点に関しても反響がございました。タイトル戦は段位無関係の一発勝負のため優勝しても一切昇格は無かったのですが、この掟を破る事例となりました(犬山紙子さんも平場優勝しながらその後通常回査定を受けています)。若手という将来性、それから今回のような査定の突き上げがあること、さらに梅沢名人の「俳句の申し子」発言を考慮されたものといえます。
さて、早くも春光戦の予選のブロック決め抽選会が敢行されました。シードを持つ4名に予選から勝ち上がった6名の合計10名で決勝を競う二段階方式。予選は昨年の金秋戦同様、3ブロックに分かれ各1位の3名と敗者復活から3名が進出できる形式です。抽選会は恐らくこの回の収録直後に行われたのでしょうが、森口さんが辞退されるのを残念に思うコメントもございました。最近は段位の高さによる経験値よりも、瞬間風速で最も勢いがある人物が通過する可能性も高まっており、新参が多い今回は通過者が全く読めないといえます。また、永世名人が今後増えてくれば上位者以外の自動シード獲得者が増加し、予選通過枠が減少することになり、再度のルール改訂もありそうです。次で25回目となるタイトル戦。どのような展開になるのか期待しましょう。
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