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20230216 プレバト!!俳句紹介【つまずく】

2023年2月16日放送 プレバト!! 特待生候補者集結スペシャル
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※22日に全て更新しました。大変お待たせ致しました。
→プレバト!! 公式ツイッター/公式インスタグラム

挑戦者→本上まなみ[4],こがけん[3],勝村政信[12],久代萌美[3],森迫永依[5],森口瑤子[33],横尾渉[70],梅沢富美男[186] ※数字は挑戦回数

●お題:つまずく
つまずく

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点
特待生に昇格
本上まなみ
あの崖の上がわらびの萌える野とあのがけのうえがわらびのもえるのと
2才能アリ2位71点
特待生に昇格
こがけん
(おいでやすこが)
鍵失せてファミレスにいる春の月かぎうせてふぁみれすにいるはるのつき
3才能アリ3位70点
特待生に昇格
勝村政信
つまずいて春を見つけた排水溝つまずいてはるをみつけたはいすいこう
4凡人4位55点久代萌美
原稿に「摘出手術」春の虹げんこうにてきしゅつしゅじゅつはるのにじ
54級へ1ランク昇格森迫永依
春風のマーチ擦り傷にマキロンはるかぜのまーちすりきずにまきろん
6名人3段へ1ランク昇格森口瑤子
覚えなき青痣きっと春のせいおぼえなきあおあざきっとはるのせい
7名人10段★4へ1つ前進横尾渉
(Kis-My-Ft2)
靴脱げたランナー春塵の入賞くつぬげたらんなーしゅんじんのにゅうしょう
8永世名人49句で掲載ボツ梅沢富美男
赤チンの膝の記憶や養花天あかちんのひざのきおくやようかてん
順位発表順:最下位→2位→3位→1位
※通常挑戦者の査定後に特待生に昇格する人数を「3位まで」と発表。
→編集後記

■トーク集




●それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 本上まなみ
あの崖の 上がわらびの 萌える野と

梅沢永世名人 うん~。

【本人談】
小学生の頃、初めてわらび採りに連れて行ってもらった。母親が横に立ち、凄い急斜面を指差して「あそこらへんにわらびがあるよ」と言った。「この急斜面を登るのか」と衝撃を受け、必死になって落ちないように(浜田「すっげえスパルタやな」)必死で登ってわらびを探しに行ったという記憶があり、その時の母のフレーズが残っていて、俳句に詠んだ。

梅沢永世名人 これはもう1位の俳句ですね。この中七がたまらないじゃないですか。「上がわらびの」というね。上に行くとわらびがパっと生えてるんでしょうね。あ~素晴らしい俳句です!
本人 ありがとうございます。
浜田 横尾。
横尾名人 はい。
浜田 梅沢さん喋ってる時、ちょっと馬鹿にした顔してるよね。
横尾名人 してないですよ。「何言ってんだろ」と思いながら聞いて…(笑)。
梅沢永世名人 「何言ってんだ」って。中七がいいっていう話を…。
横尾名人 凄い良い句ですよ、はい。

夏井先生 
これは最後の「と」の一音だけで、誰かが誰かに向かって教えているのを聞いていると。
それがこの「と」だけで分かる。ここら辺が上手い。
この句の難しいところは、実際にわらびは見えていない。
見えてない季語を主役にして描くのは、とんでもなく難しい。
それをどのように実現しているか。
「あの」と指差すような表現でまず「崖」を見せ、その崖の上だと映像を作っていく。
その上に見えないけれども、わらびの萌える野原があるのだと。
最後の「と」がその効果を作って一句が成立していく。
今回の「つまずく」というテーマも、この余白の後に"この人はつまずきながら登って行ったに違いない"と余白で匂わすのが上手いもの。
基本の型が出来るようになれば、中七のどこかに季語を入れる。
勝村さんの句も同様に中七に季語。これもまた別の高度の技。
直しは要らない。

本人 ありがとうございます。
浜田 おめでとうございます。

●解説のポイント
最後「と」で伝言と分かるのが上手い
見えない季語を主役に描く高度な技
兼題から苦労して登ったに違いない
中七に季語を入れる技も高度
この人の感覚に詩がちゃんとある

添削なし
特待生昇格句


◆2位 才能アリ71点 こがけん(おいでやすこが)
鍵失せて ファミレスにいる 春の月

梅沢永世名人 なるほど。

【本人談】
深夜に仕事から家に帰ってきて、鍵が見つからずに諦めてファミレスに行くことが1年に4回くらいある(→浜田「多いな」)。四季折々。そのファミレスに行った時の煌々としたファミレスの光と春の月の朧の霞んだ感じが対比で詠めればいいなと。

森口名人 これ同じ経験したこと私もあるんで、すごいあるあるって思いながら読ませていただいたんですが、心もとない気持ちが窓ガラスから見える月の雰囲気と相まってて凄く良いなと思いました。
本人 一日頑張ったのに、ここでつまずくかって話なんですよ。
森迫 凄くファミレスっていう単語が良いなって思って、これがカフェとかだったら「そんな夜遅くないのかな」って思うんですけど、なんか「ファミレスにしか行くところがなかったのかな?」ということは凄く夜遅いってことまで想像さしてくれるので、素敵だなと思いました。

夏井先生 
取り合わせの型は完璧にマスターしている。
本人 うわ~嬉しい。
夏井先生 12音のフレーズに「春の月」という季語を持ってきた。
この取り合わせはとても良かった。
ファミレスでぼんやりと待っている、そのぼんやりとした思いが春の月の朧と似合う。
煌々と明かりのついているファミレスと、ぼんやりと上がる春の月のささやかな対比もあり、映像もくっきりしている。
俳句として迷いがちなのは、「て」「にいる」という書き方。
俳句では特に「いる」が要らないケースの方が多い。
そこに居るから「ファミレス」と書くことが出来るため。
この場合、「鍵失せて」の時間から「ファミレスにいる」までの時間経過が表現できている。
そのため、意図的にやっている。
必要な言葉という判断がこの人は出来ているに違いない。
浜田 ホンマかな~?
夏井先生 そういう風に理解できる。
本人 そうですね~。そういう判断が出来ておりました(笑)。
浜田 先生、これ直しは?
夏井先生 直しは要らないけど、本当に判断できてるんだよね?
本人 判断できてますとも!夏井先生!(笑)
夏井先生 はい。

浜田 直しはなしでございました。
本人 よっしゃ!嬉しい!

●解説のポイント
取り合わせの型は完璧にマスターした
ファミレスでぼんやりと待つ
その思いが春の月の朧と似合う
明るさの対比で映像もくっきり
「て」「いる」で時間経過を意図的に表現した

添削なし
特待生昇格句


◆3位 才能アリ70点 勝村政信
つまずいて 春を見つけた 排水溝

梅沢永世名人 うん。

【本人談】
今年還暦を迎える。朝、家の前をほうきで掃いていると何もない所でつまずく。道路の横に排水溝があり、溝の端っこのところに少し(植物の)芽が出ているのを見て「これはタンポポなのか?」と。排水溝は汚いイメージだが、ここにも平等に春は来るのだということを思って書いてみた。

梅沢永世名人 俳優さんが考える俳句ですよね。
浜田 あ~そうですか。
梅沢永世名人 うん、素晴らしい。世界が見えますもん。こういう句を俳優は詠むんですよ。私も含めて。
浜田 ふふっ。(遮って)横尾君はどう思われますか。
梅沢永世名人 いや…。
横尾名人 「排水溝」っていうのをよく見つけてきたなとか。いいなと思いましたね。素敵です。

夏井先生 
「春」という季語をそのまま使うのは、春の大きなイメージがあるだけになかなか難しい。
この句は非常に素直に「春」を使って成功したケース。
「春を見つけた」というフレーズは結構あるが、下五が良く、リアリティーがあった。
「排水溝」に春の陽気で多少汚水の臭いがする場所。
そこにも小さな春があることを気づいて、そこに詩があると発見できたことが良い。
仮に下五を「アスファルト」とすると、そこから芽を出す植物以外に無くなる。
「排水溝」が面白いのは、そこには植物だけでなく生き物がいる。
春の陽気の臭くなっている排水溝の中にも小さな芽吹き・生命が動き出している。
季語「春」の力も「排水溝」によって倍増していく。そういう配慮があった。
「排水溝」は汚いから書くのをやめようなどと思わないのが俳人だということ。
直しはない。

本人 ありがとうございます。
浜田 素晴らしい。

●解説のポイント
扱いにくい「春」を率直に用いて成功
「排水溝」にリアリティー
汚水が臭う場所にも春の生命の存在に気づく
季語の力が「排水溝」で倍増する配慮
汚いから書かないと思わないのが俳人

添削なし
特待生昇格句


◆4位 凡人55点 久代萌美
原稿に 「摘出手術」 春の虹

【本人談】
アナウンサーにとって「つまずく」のは言葉を噛むことだと解釈した。摘出手術が成功したニュースと(その原稿を)私が嚙まずに読めたという2つの喜びを春の虹に込めた。

梅沢永世名人 それを詠んだんだったら、ちょっと言葉が足らなかったかな。
本人 え~。
梅沢永世名人 原稿に「摘出手術」って書いてあるだけにしか、読み手としては感じないんですよ。あなたがそれ読みにくいとか、噛んじゃったという言葉が1つも入っていないの。

夏井先生 
俳句そのものはひとまず成立している。
12音のフレーズ+5音の季語という基本の型。
読んだ時、「摘出手術」を鍵括弧まで書いた理由が読み取りにくい。
本来は季語によって読み解くヒントがある。
「春の虹」はアナウンサーとして上手に発音できた気持ちを表現したい意図として取り合わせたよう。
その気持ちは分かるが、なぜこの言葉を書いたのか読んだ人には伝わらない。
原稿であることを匂わせながら作者の本当に言いたいことを文字にするしかない。
まず「摘出手術」と出し、中七に率直に書くしかない。「噛まずに言えた」。
「春の虹」が作者の気持ちを表現している。
「摘出手術」を諦めれば「噛みそうなニュース原稿」と展開しても良い。
梅沢永世名人 お~ほっほ。
夏井先生 言葉にこだわり過ぎて細部の迷路に入ってしまったかもしれない。

本人 なるほど。

●解説のポイント
基本の型で成立している
「摘出手術」を用いた理由が読み取りにくい
率直に意図を中七に書く
言葉にこだわり過ぎて細部の迷路に入った

添削後
「摘出手術」  春の虹』
 原稿 春の虹




★特待生昇格試験★

→<5級>・森迫永依は5回目の挑戦。冬麗戦優勝後、初の昇格試験。
森迫 前までの自分を超えないと上に上がれないじゃないですか。それが凄い怖いです。
浜田 新しい特待生もう3人出ましたから。あなたの下にやってきますよ、こうやって。
森迫 そうですよね。だいぶ頑張ったので、ちょっと良い評価を頂きたいです。

◆『春風のマーチ 擦り傷に マキロン 森迫永依

【本人談】
つまずいた記憶を考えていった。部活で吹奏楽部だったがマーチング練習している時に、転んだ記憶が頭の中にあり、その時に顧問が持ってきてくれたマキロンを塗って染みている感じと、部活だし頑張らなきゃという自分の気持ちを俳句に込めて詠んだ。

梅沢永世名人 素晴らしいと思います。で、もしも梅沢さんを目指してくれるんだったら…。
本人 はい。
梅沢永世名人 語順を変えたらもっと良い。
浜田 またや、語順。
梅沢永世名人 人のやつは分かるんです。
浜田 ということは「擦り傷」からの方が良い?
梅沢永世名人 そうです。「擦り傷に"春"マキロン春風のマーチ」。
浜田 「春」って何回か出た(笑)。
梅沢永世名人 「擦り傷にマキロン/春風のマーチ」。こうしたらもう、名人はすぐじゃないですか?
浜田 なるほど。

★評価ポイント
「春風」「マーチ」「マキロン」の取り合わせの是非

梅沢永世名人 全然違うじゃねえか(笑)。

■査定結果
4級へ1ランク昇格

理由:取り合わせの感覚がわかっている

本人 うわ~。嬉しい!

夏井先生 
中七まで意味が繋がって、中七の途中で意味が切れる型。この型を完全にマスターしている。
そして、取り合わせが良かった。
「春風」の明るい季語と「マーチ」の2拍子のリズムの元気が良くて弾んでいる。
「マーチ」「マキロン」で「マ」の韻を踏んでいる。
俳句は短い韻文のため、同じ音を重ねるだけでリズムが出来ている。
そこもそつなく上手に作っている。
そして、"特待生5級ならOK"と言いたいが、名人目指すならと思っている部分があった。
それを今おっちゃんがその通りに仰ったので、今ビックリしている。
この語順でも良いが、最後に「擦り傷にマキロン」のアップの映像が残る。
マキロンのCMならそれで良いが、俳句は季語を主役に立ててほしい。
どういう形かと考えた時、「擦り傷にマキロン/春風のマーチ」とする。
本人 確かに。
夏井先生 こういう風にすると、マーチのリズムで一句が進んでいく。
おっちゃんだって、ダテに永世名人をやっているわけではない。
時々こういうことはちゃんと分かる。
おっちゃんの言うことも時々聞いてみましょう(笑)。

本人 いやホントに、先生と梅沢さんの仰る通りかなと思いました。なんか勉強することがホントに多くて楽しいです。
梅沢永世名人 あ~良い子だ(笑)。

●解説のポイント
中七まで意味が切れる型をマスター
明るい季語に2拍子の元気なリズム
片仮名で「マ」の韻をそつなく作った
マキロンのCMより季語を主役に
前後半を逆にしてマーチのリズムの印象を

添削後
擦り傷に マキロン 春風のマーチ


→<名人2段>・森口瑤子は炎帝戦では3位に食い込んだ。
森口名人 今日特待生になられた3人も素晴らしい句を作ってらして。
浜田 そうでしょ。
森口名人 自信があるかと言われると悩ましいものが…。
浜田 でも上がっとかないとあなたちょっと足踏みが多いので。
森口名人 はい。あの~じゃあ自信を持って頑張ります。

◆『覚えなき青痣 きっと春のせい 森口瑤子

梅沢永世名人 ふふっ、まあね。

【本人談】
ある日、全く覚えがないのに青痣が出来ていた。春が大好きで行動的になってウキウキしすぎて作ったという気持ちと、「春」を自分の好きな人や夢中になっている仕事など、心が騒ぐようなことに夢中になっているからちょっとした傷も出来ているけど楽しいぞというイメージ。

横尾名人 森口さんらしい可愛い句だと思います。
浜田 これなんか森口が作ったという感じ…。
横尾名人 森口さんしか作れないというか。

★評価ポイント
「春のせい」という着地の是非

■査定結果
名人3段へ1ランク昇格

理由:強引なのがいい!

梅沢永世名人 凄い。
本人 う~。

夏井先生 
前半の「覚えなき青痣」はあるあるの経験。
その分、俳句でもそれなりに見るフレーズ。
しかし、後半でぐっとオリジナリティーが高くなる。
強引に決めつけることで詩を生み出すメカニズムの俳句。
「春」という季節のせいだと全部押し付けてしまうことで、一句の奥行きが色々広がってくる。
「春」は陽気になって浮かれる季節でもあり、春愁というものを感じる季節でもある。
そして、「青」「春」が一句の中に出ると、読み手の脳内のどこかで青春・甘さ・挫折を想像する。
色んな所を狙ってないようなフリをして、ちゃんと達成している。
こういうのが森口さんから生まれるようになると、あなたなりの句柄が出来てきたなと。
ますます面白くなりそう。直しはありません。

浜田 おめでとうございます。
本人 ありがとうございます。

●解説のポイント
「覚えなき青痣」はあるあるの経験
後半のオリジナリティーが高い
「春」に全て押し付けて奥行きを出した
「青」「春」で青春・甘さ・挫折を脳が想像
作者なりの句柄が出来てきた

添削なし



★永世名人への道★



◆『靴脱げた ランナー 春塵の入賞 横尾渉(Kis-My-Ft2)
※季語「春塵」は乾燥した早春の大地に強い風が吹き、塵や埃が舞い立つ様子。

梅沢永世名人 うん。

【本人談】
考えている時に箱根駅伝をやっていた。そういえばスポーツでもこける・つまずくというのを考え、(1992年バルセロナオリンピックの男子マラソンに出場して8位に入賞した)谷口浩美選手が足踏まれて靴が脱げたことを思い出した。そこから書いて作った。

※谷口氏 (VTR)途中でこけちゃいました。それがいけなかったですね。後半は追い上げるリズムがあったんですけど、ようやくどうにか8番まで辿り着くことができました。

森迫 凄い情景が頭に浮かんでくるというか、読んだだけでこういう場面を切り取ったんだなと分かるのがさすがだなと思いました。
森口名人 もう「靴脱げたランナー」って時に「あ、どうなるんだろう」と思ったら、最後の着地が「春塵の入賞」って上手いなあって。埃臭さとか、一生懸命でまみれちゃっている感じとかも見えて素晴らしいなと思いました。

★評価ポイント
季語「春塵」を取り合わせた効果の是非

■査定結果
名人10段★4へ1つ前進

理由:季語を信頼している!

本人 やった~。ありがとうございます。

夏井先生 
マラソンか駅伝の光景。
季語「春塵」は、春の風が吹いて塵が舞い上がる。
雪・霜が解けて乾燥して一気に舞い上がるという感じの季語。
季語をよく信じて使ったと思う。
前半「靴脱げたランナー」で目の前に起こっている状況を淡々と書いているだけ。
こういうタイプの句は"何がどうしてこうなった"という事の顛末を面々と書きたくなるタイプの句。
それを必要以上のことは書かなくて良い。
俳句のメカニズムが横尾さんの中でしっかりと理解できているため、書かないことで成功したというタイプの句。
「靴脱げたランナー」に意味の切れ目がある。
この後を書きたいが、全部書かずに「春塵」という季語に。
ランナーが走ってから最後まで「春塵」の空間にある。
最後の結果だけを「春塵の入賞」と書くことで、どんなに大変な波乱含みのレースであったに違いないとか全部わかる。
横尾さんが書かないで良いことがわかるようになれば、ここから後は安心して見ていられるのではないかと思う。
1つお願い。二階堂君に、アンタの宿題はこの型だからって(笑)。

浜田 あいつは何回言っても分からへん。
本人 (音数)八・九とかずっと言ってましたけど。言っときます。

●解説のポイント
(バルセロナ五輪で8位入賞の谷口浩美を意図)
「春塵」の季語を信じた
必要以上の事の顛末を書かないのが○
選手が走る最後まで「春塵」の空間に
大変な波乱含みのレースだったに違いない

添削なし



★永世名人 富美男のお手本★



◆『赤チンの 膝の記憶や 養花天 梅沢富美男

【本人談】
「養花天」(※桜が咲く頃の曇り空)は春のちょうど曇り。先生も仰ったように、ウキウキする春もあればちょっと暗い感じの春もある。自分の幼少期のことを詠ませて頂いた。(怪我した時は)どんな状況でも赤チンを塗っていて、膝がカピカピになる。子どもの頃は貧乏で、旅役者の子どもだっていじめられたり差別されたりした。それでも私は頑張って、「よし、いつかコイツらを見返してやろう」と思ってこうきた。

本人 (声を張り上げ)こんな立派な人間になれたのも、この赤チンのおかげ…。
浜田 (遮って)横尾君どうですか?この句は。
本人 いやいや…。
横尾名人 最後の句を基礎に忠実にしてくるというのは、僕らにも教えられてる気がして凄い良い句だなと思いました。
浜田 マジで?森口さんどう思われますか。
森口名人 「養花天」の何とも言えない白黒なイメージの中に赤チンの色がポンとあって映像的にも凄い素敵だと思いました。
浜田 あら?森迫さんどうですか?
森迫 「赤チン」っていう単語、ホントに生まれた時とかなんか小っちゃい頃とかに聞いたような記憶があって、なので多分書かれた方は凄く世代が上なのかなというのと、「赤チン」からの「記憶」なので、凄い長い年月が経たれてて、「養花天」っていうとこに着地するのが何か人生を表しているようで素晴らしいと思います。
浜田 赤チンはもう知らない世代なんですか?
本人 そうですよね。
森迫 そうですね。赤チン使ったことないです。
本人 娘の前で私が句集を出すこの瞬間を…。
浜田 あ、見してやろうという。さあ、いきましょう。この流れでいきましょう。
清水アナ 先生からの結果届いております。
浜田 良い流れが来てるよ。
本人 良い流れが来てますよ。私のための流れです。

■査定結果
永世名人49句で掲載ボツ

理由:本当に言いたい事が欠落している

浜田 ボツボツボツボ~ツ。ボツボツボツボツ。ボ~ツボツボツボ~ツ!
横尾名人 良い流れだったのにな。
(査定評後)
本人 何が欠落してんだ!どこが欠落してんだ!

夏井先生 
「赤チン」と「養花天」の取り合わせは良かった。
薄暗いグレーの中に仄かに桜の色が隠れている印象のある季語。
それと「赤チン」の印象と丁度良い取り合わせだったと思う。
あなたが本当に言いたかったのは、膝の赤チンではなく、いじめられた記憶が言いたかったのではないかと。
そうなれば「膝」が不要。
赤チンはだいたい膝小僧につけるのが私たちの年代だった。
本人 (肘を見せて)ここもつけるからね!
浜田 (なだめて)つけますけど。
本人 鼻のここにもつけるからね。
浜田 赤チンって大体そうそう…。
夏井先生 それは好きなようにつけてください(笑)。
「赤チン」と言われた時、それぞれ自分がどこに付けたかという場所はみんなの記憶にある。
となれば「膝」を書くのではなく、おっちゃんのまさに生々しい記憶を書く。
「赤チンと」の後に敢えて「イジメ」と片仮名で書く。
そうすると、赤チンの匂いを嗅ぐたびに子どもの頃にいじめられた記憶を思い出すと。
その記憶を癒してくれるかのように桜を育てる天が今ここにあると。
こうしておいたら、50句目としてとても良い句だったのに。
横尾名人 分かりやすい。
浜田 うわ~残念。
本人 「赤チン」はどうしても使いたかったんです。
夏井先生 だから残してるじゃない(笑)。

●解説のポイント
「赤チン」と季語の取り合わせは良い
赤チンは大体膝小僧につけるもの
いじめられた記憶が言いたかったはず
生々しい記憶を片仮名で表記する
「赤チン」の回想と記憶を癒す養花天に

添削後
赤チン の記憶 養花天



浜田 (本人の前に立ち塞がって)赤チンは残してるわけですから、だからと言って膝だろうが肘だろうが…。
こがけん 映ってもいない。
浜田 その人の記憶ですよと。どこでいじめられたか、ね。
こがけん 映ってもいないぞ。
浜田 じゃあ今回、申し訳ございません。これは表に出せないので。えーと、横尾君、はい押して。
横尾名人 (立ち上がって)はい、失礼します。
梅沢永世名人 横尾君押せるか?大先輩のこの私の一句を…。
浜田 せーの、ドン。
横尾名人 (ボタンを押す)
こがけん すぐいったよ。
(シュレッダー演出)
浜田 永世名人の句ですから。世に出せない。これはボツですから。これはもう…次回頑張って頂きましょう。梅沢さん。
梅沢永世名人 世界の子どもを敵に回したからな!
浜田 (ずっと本人の前に立ち)…さ、というわけでございまして(笑)。
こがけん 完全に見えない、もう。


□春光戦予選抽選会 組合せ結果(※ABブロックは抽選順掲載)
AブロックBブロックCブロックシード権
横尾渉
<名人10段>
的場浩司
<5級>
立川志らく
<名人6段>
藤本敏史
<名人10段>
松岡充
<2級>
本上まなみ
<5級>
馬場典子
<2級>
梅沢富美男
<永世名人>
北山宏光
<2級>
千賀健永
<名人8段>
森迫永依
<4級>
村上健志
<永世名人>
春風亭昇吉
<4級>
中田喜子
<名人7段>
こがけん
<5級>
千原ジュニア
<永世名人>
犬山紙子
<4級>
皆藤愛子
<名人4段>
勝村政信
<5級>
※多くの参加を募るため収録日は2日に分ける。前半の収録日のみ参加可能な「横尾」「松岡」「北山」「昇吉」はAブロック確定。それ以外の11名は梅沢のシャッフルと浜田の抽選により決定。
※各ブロック1位は通過、各2位以下から優秀3名を加えた合計6名が予選通過、決勝はシード4名を含めた10名
※兼題は各ブロックで異なり、"人生の転機"が主題。浜田によるくじ引きで決定。Aブロック「卒業」Bブロック「引越し」Cブロック「入学」です。
※3/2にAブロック、3/9はWBC中国戦で休止、3/16以降にBブロック、Cブロックを放送

スタジオ出演:横尾渉、千賀健永、北山宏光、森迫永依、勝村政信、本上まなみ、こがけん
リモート出演:中田喜子、立川志らく、皆藤愛子、松岡充、馬場典子、犬山紙子、春風亭昇吉、的場浩司
見届席(シード権):
梅沢富美男



★次回2/23は初心者が集結。兼題は「富士山」です。


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コメント

次回のプレバト

次回(2/23)は通常挑戦者4名が全員初挑戦なので、誰が才能アリ1位を獲得できるのかが予測できないですね。

追記
フジモンは今度こそ永世名人に昇格できるのか!?
そして、おっちゃん(梅沢さん)は今度こそついに句集完成出来るのか!?

森口さんが予選出ない

今回、特待生になった3人と森迫さんが出ることになり、弾かれてしまったって感じ?
春も秋も、本戦出場人数を増やさないと、予選にすら出られなくなる特待生名人がどんどん増えそう。
ミッツさんも出ないし、パックンも出ない。
岩永さんなんか、どうしたんだろう?
ABC-zの川合さん(河合さん?)とかも。

春光戦予選

今はまだいいですが、今後横尾さんとフジモンさんが永世名人になり、さらに東さんが戻ってくると、その時点でシード席が6。
残り4を争うには、名人や特待生の人数が多すぎる気がします。

現在10段の二人の状況を見る限り、恐らく金秋戦の頃にはどっちかが永世名人になってるかもしれません。
それを考えると、予選含めたタイトル戦のルールも変える必要があると思いますね。

春光戦組み合わせ

Aブロック
横尾名人が大本命。
松岡さんは昨年の金秋戦で5位につける健闘があったが、以降は番組出演がなく今一つ読めない。
昇吉さんも松岡さんに次いで番組出演の間隔が開いているが、昨年の春光戦「春雷すストレッチャーを急かす駅」の句を含め、良い句を詠んでいる。
北山さんは昨年末の昇級時、自身の句が詰め込みすぎていたと自省。この自省を体現すれば、予選通過、本戦上位も狙えるだろうか。個人的に注目している。
犬山さんは嵌まれば強いイメージだが、昨年の金秋戦以降いまひとつな成績が続いている。
横尾名人を大本命に据えたとして、なかなか「この人が対抗」と言い切れないブロック。

Bブロック
段位的に千賀名人と中田名人が順当だが、千賀名人は時折ロマンティストな句を詠み失敗することもある。直近では、昨年の金秋戦、梨の滴り大地は幾度雨季を経て。
中田名人は最近の出演でも三段切れの句を発表してしまった。
お二人ともこのような隙がある。
皆藤名人は通常査定の回ではコンスタントに段位を上げてきているが、タイトル戦やふるさと戦ではいまひとつ(それでも昨年の金秋戦は本選出場を果たしている)。反対に通常査定回通りの実力が発揮できれば予選突破もありえる。
以上、名人三名とも、何かしら隙があったり、タイトル戦へ向けて変に気負いができるとその辺の隙も出やすそうだ。
的場さん、本上さんが、どう食い込めるか。

Cブロック
志らく名人が本命だが、この方は冬麗戦(年間ベスト15句)で最下位だったかと思えば、次に出演したふるさと戦では1位と、当たり外れが非常に大きいのが懸念材料。
級でいえば次点の馬場さんだが、昨年の春光戦での本戦5位が光りつつも、その前の予選の句など、添削されることが多いことが懸念材料。
森迫さんは、いま出演者の中で乗りに乗っている存在だが、特待生4級に上がった句で語順を指摘され出している。査定をトントンと上ってきた、上五に季語を置いた、句またがりの型だけでは太刀打ちできない句も出てきそうなタイトル戦。別な型を使いこなすか、語順の精選ができるかがポイントとなりそう。
こがけんさんは、句の中に使う語句を本当に取捨選択できてるのかがタイトル戦で問われる形での出場。できていれば善戦。
勝村さんは、変な喩えやパクリなしで、句を詠む楽しさを発揮できればかえって良さそう。
こうして書くと、盤石と言い切れる人がいない大混戦がありえるのがこのブロック。

ただ、個人的には大波乱はもうあって、森口名人、出ないのか、と。

四位の句
何らかの原稿に「摘出手術」とあれば、躓くことなく読めたというより、誰かが摘出手術を受けたという内容を浮かべてもおかしくはない。季語、春の虹は美しくもすぐ消えて儚い、摘出手術をうけたかたの今後や、いかに?とも読める。

三位
排水溝が意外な展開。冬に比べて水量が増し、臭いもきつくなり、金網の隙間に植物が見つかるかもしれない。春が様々な意味を持つなら、排水溝という決してきれいでないところから春をキャッチしても悪くない。

二位
鍵がなくなって、ファミレスにずっと座っている、春の月が見える。
鍵失せてファミレス、でも意味は通り、この「にいる」が要らないかもしれないが、ないと「ファミレスへ向かっている」等の可能性も出てくる。それよりは、特にすることもなく、ファミレスにずっとおり、春の月を見上げている(その心境は?)と、状況をより的確に伝えるダメ押しとして「にいる」を使ったと捉えた。
夏井先生の「本当に判断できてるのか」という問いかけへの答えは次の句以降か。

一位
崖を上ると、わらびの野。「野」となるので、少し地理的な意味にもなるが、わらびという植物の季語を持ってきたのが良かった。これが天文や地理(春の山とか)の季語だと、光景が大きくなりすぎたかもしれない。

森迫さん
ここまで五回番組で句の発表があったけど、完全な定型(五七五)で詠まれた句は初めの、いちじくを運ぶ掛け声朝の鐘、のみ。凡人査定だった2句目は除き、3~5句目は、いずれも季語を初めに置いた句またがり。
今回、昇格だったとはいえ、語順について指摘を受けた。今後語順や定型、別な型を 使いこなしたりと幅が広がっていくのだろうか。

森口名人
覚えなき青痣と文語的な前半。きっと春のせい(だろう)と、(だろう)が略されていることでグッと口語よりの後半。前半後半のスタイルが違うことでのギャップであり、「きっと」春のせい、とすることで青アザと春の因果関係にワンクッション置かれた(句の後半で呟く人の私見に過ぎないと読める)と思う。

横尾名人
私の世代だからか、(バルセロナオリンピックの季節は晩夏だが)一読して「こけちゃいましたぁ」という谷口選手の姿が見えた。

御大
今や売ってない赤チン。これだけで、膝の記憶が、ある世代以上の子ども時代の記憶かと読める。
養花天が、桜の花を養うかのような、暗くはない、しかし明るいとも言い切れない、雨が降る予兆と、明るくも暗くも読める季語だけに、赤チンを膝に塗った状態の記憶がどんなものだったか、少し情報が欲しかった。

昨日のプレバト

1位から3位までの通常挑戦者(本上さん、こがけん、勝村さん)が特待生に昇格するなどといい、とても素晴らしい内容でしたね。(2つ前進が出た回以上に素晴らしかったかも)

追記
俳句で特待生昇格者が1日で3人も出たのは番組史上初の出来事。(俳句以外では色鉛筆とバナナアートなどでその事例があった)

今回は

1位、本上まなみさん

自分が記憶してる限りは、これが初めての定型の句ではないかと思います。

「あの崖の」と壮大なイメージから、「わらび」と一転して身近な感じがします。大袈裟な表現から一転する感覚は本上さんの持ち味かなと

2位こがけんさん

「失せて」が「失くし」でもいいかなと思いましたが、本人に失くすような心当たりがないのであれば、こちらの表現がふさわしいかなと思いました。

森迫さんも仰っていたように「ファミレス」で時間帯が伝わるのが見事かなと思います。ただ「いる」がいるのか?というのがちょっと疑問です。この2音を季語の描写にしたらよりいいのかなと。

鍵失せてファミレス春の月眺む

ストレートな反面、俳句として言葉を取捨選択することが課題かもしれません。

3位、勝村政信さん

発想はとても素敵でした。以前横尾名人が

春光のうれしさそこに足元に

とありましたが、映像としてはこちらの句が明確になりますね。

ただ、「排水溝」が強烈なため語順を変えたほうがいいかなともおもいました。

つまづいて排水溝に春をみた

最下位 久代さん

発想がワンパターンなのが気になりました。字面だけみると、「摘出手術」というのが著名人のもので、作者がそのファンである印象もうけます。

次回リベンジ期待してます。

一度切ります

最後に拙句を詠ませていただきます。

受難日やペテロは三度主を「知らぬ」

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