2023年1月26日放送 プレバト!!
47都道府県の観光公認ポスターへの俳句掲載を懸けて挑む
「ふるさと戦」第2弾。
特別企画「写真俳句」で出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※5日に全て更新しました。大変お待たせいたしました。→記事ジャンプ【
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挑戦者:<永世名人>千原ジュニア[87],
<名人10段★4>藤本敏史(FUJIWARA)[87],<名人7段>中田喜子[61],<名人2段>森口瑤子[32],<2級>篠田麻里子(元AKB48)[21]
※○△×は過去の成績,[数字]は挑戦回数
リアクター:村上健志(フルーツポンチ)、立川志らく
●お題:春の三条大橋(京都府)
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | ★京都府代表 <永世名人> | ★千原ジュニア
| 初蝶の止る擬宝珠の刀傷 | はつちょうのとまるぎぼしのかたなきず |
2 | 東京都出身 <名人2段> | ★森口瑤子
| ささくれた橋へ零るるさくらかな | ささくれたはしへこぼるるさくらかな |
3 | 大阪府出身 <名人10段> | ★藤本敏史 (FUJIWARA) | 春色の洛中馴染みなく緩歩 | しゅんしょくのらくちゅうなじみなくかんぽ |
4 | 東京都出身 <名人7段> | ★中田喜子
| ひそと待つ花街のひと花衣 | ひそとまつはなまちのひとはなごろも |
5 | 福岡県出身 <2級> | ●篠田麻里子 (元AKB48) | 天然の若鮎群れて遡上中 | てんねんのわかあゆむれてそじょうちゅう |
順位発表順:2位→最下位→4位→3位→1位→編集後記
→俳句ふるさと戦、京都府。選ばれた写真は「春の京都 三条大橋」。
女性 文化庁が3月27日に京都へ移転してきます。
男性 歴史と文化を感じられる京都へ是非お越し下さい。
女性 四季が全部見えますから。春は先ず桜が凄くきれいですしね。
***
男性 ジュニアさんの昔からのファンで。千原兄弟がファンで、応援したいですね。
***
女性 お子さん想いの俳句を作るジュニアさん、期待してます。
清水アナ 京都ふるさと戦にエントリーしたのは5人です。京都府出身は(上段の)千原ジュニア<1974年・福知山市出身>さん、お1人だけ。
藤本名人 1人?
浜田 ハハハハ。
清水アナ はい。下の段の4人は京都にゆかりのある名人・特待生です。
浜田 そうなんですね。
千原永世名人 申し訳ないんですけど、僕福知山ってとこなんですけど、福知山は京都じゃないって福知山住んでる人も思ってはるやろし(笑)。
藤本名人 えっ!?
浜田 いやいや、それでもあなた1人で京都を担いでるんですから。
千原永世名人 はい、そうですね。
藤本名人 僕ね、親・親戚みんな京都出身なんです。
浜田 あ、そうなん?へぇ~。
藤本名人 はい。20歳の時の彼女も京都やったんで、京都はほぼデートで回りました。
千原永世名人 ああ、そうなんや。
浜田 分かってる、全部わかってる。
藤本名人 分かってるんですよ。ねえ。NSCのねえ、同期の子と付き合ってたんですけどね(笑)。
浜田 いや知らんねん。そんなこと。
***
浜田 京都なんですけど。
中田名人 京都には撮影所がありますから。
千原永世名人 なるほど。
中田名人 映画・ドラマ。ねっ、呼ばれて。私半月以上いるんですよ。いつも、呼ばれると。
浜田 ああそうですか。
中田名人 撮休の時とか早く終わると、八坂とか高台寺とかに行って。
浜田 もう色々…。
中田名人 はい。ホントにマップ描けますからね、京都の。
浜田 ああそうですか。
中田名人 そのぐらい詳しいです。
浜田 分かりました。どうですか、思い入れ的なことってのは?
森口名人 はい。中田さんと全く同じなんですけど、(東映の映画村がある)太秦(うずまさ)に19歳の時に初めて行って以来、何度も行ってますので思い入れは凄くあります。
浜田 そうですか。
***
→ジュニア名人の応援メッセージを聞いて
浜田 いやもうこんな言われたら、ジュニアもかなりプレッシャーですよね。
藤本名人 ジュニアしか応援してなかったですね。
浜田 ガッカリですよね、もしダメなら。
藤本名人 ねえ。
清水アナ それでは浜田さん、査定結果はこのようになっております。
千原永世名人 いやー、何かつかみ切れてないのよな。
藤本名人 俺もつかみきれてないのよね。
清水アナ 何位から開けましょうか。
浜田 さあ…2位。
藤本名人 え?2位!
中田名人 2位?
浜田 ここでジュニアが。
藤本名人 ジュニア出たら終わり(笑)。
千原永世名人 え~、2位?
浜田 いきましょう、京都ふるさと戦第2位はこの人!
▼2位は森口瑤子
千原永世名人 うわ~良かった。
浜田 アハハ。
***
清水アナ それでは続いては何位を見ましょうか。
浜田 …最下位。
一同 え~!
藤本名人 やばいですわ、浜田さん。
村上永世名人 もう京都出禁だ(笑)。
浜田 京都ふるさと戦最下位はこの人!
▼最下位は篠田麻里子 ※福岡県制覇者
篠田 ええ~!うそ!
浜田 ほら番狂わせが起こりました。
藤本名人 1位だったのに、前は。
千原永世名人 そうや。
***
浜田 さあ、残っているのはこの3人。まだ京都は残っております。
藤本名人 残ってるなあ。こうなってくると1位を狙いたいですよね。
浜田 大阪(藤本)、東京(中田)がまだ残っております。さあ、参りましょうか。
清水アナ 続いては何位を開けましょうか。
浜田 これは…じゃあ4位。
中田名人 うわっ。
千原永世名人 これは一番ヤバいよ(笑)。
藤本名人 もう、ジュニア入っといて。
浜田 京都ふるさと戦第4位はこの人!
▼4位は中田喜子
中田名人 ああ~!
浜田 アハハ。
千原永世名人 あ~!
中田名人 ああ~!
千原永世名人 残ったか。お前邪魔すなよ。
藤本名人 同期の邪魔(笑)。
***
浜田 ここまでくるとフジモン。
藤本名人 はい。もうちょっともう1位。
浜田 ねっ。
藤本名人 1位の座に座らせて頂きます(笑)。
千原永世名人 邪魔するなよ!お前。
藤本名人 同期なんでね。ちょっとね~、直接対決。
浜田 どうなんですか、でもジュニアさん。
千原永世名人 いや、どうですかね~。う~ん。
浜田 強敵ではありますけど。
藤本名人 でも出身ですからね。1位獲って当たり前ですから。
浜田 そりゃそうや。
千原永世名人 あの~、あの写真をこう(詠む目線を)引いたの?
藤本名人 う~ん、そう若干引いたね。
千原永世名人 俺はグーっと寄ったの。
浜田 寄ったんや。
千原永世名人 寄りか引きの。
浜田 なるほど。
藤本名人 引きましたね。
浜田 アハハ。さあ、それではどうなるんでしょう。
藤本名人 寄ったのね。
千原永世名人 寄った。
藤本名人 俺引いた。
浜田 47都道府県・京都ふるさと戦を制した第1位はこの人!
▼1位は千原ジュニア、3位は藤本敏史(FUJIWARA)
千原永世名人 (立ち上がって)よし!よし!
藤本名人 そうか~。
千原永世名人 ありがとうございます。
※1位となった千原ジュニアの俳句を府庁でお披露目(写真左側に白文字の明朝体の二行書き)。まだ作者を知らない。
男性 「刀傷」のカッコいい言葉と「初蝶」の可愛いワードを上手く合わせたいい俳句だなと思います。
女性 「擬宝珠」とか「刀傷」を知ってはるのは、この句を作った人が気になるなというのは。
男性 ジュニアさんだったらいいな(笑)。
女性 (句の作者を聞かれて)フジモン。
藤本名人 ごめんなさい(笑)。
●それでは順位別に見ていきます1位
◆『初蝶の止る 擬宝珠の刀傷』 千原ジュニア※擬宝珠(ぎぼし)とは、橋の欄干の上に装飾される飾りのこと。
中田名人 (囁く声で)はぁ~そっか~。
【本人談】これは橋の欄干の擬宝珠に実際に刀傷がついている。新撰組がつけたであろうという。そこに蝶々が飛んできてたまたまそこに止まるという。
志らく名人 私は落語家だから、新撰組の池田屋(事件)のあの一件であそこに傷があるっていう知識はあるんだけど、なんでそんなこと知ってるんですか?
浜田 アハハ。
藤本名人 ねえ。
本人 京都出身だからです(笑)。
浜田 なるほどね。
夏井先生 あの写真の中に、「初蝶」という季語を見つけた。
「初蝶」はその年に自分が初めて見た蝶々のこと。
擬宝珠(ぎぼし・ぎぼうし)にグーっと寄っていって「刀傷」がある。
ここまで書くと、古い歴史のある街の橋の欄干に違いないと。
俳句だけで全部分かるのが良かったと思う。
これはこれで良いが、「止る」が少し出来すぎている感じもする。
初蝶がそんなに都合よく止まってくれるか?という感じが少しだけ匂う。
そういう時の方法として「止る」でも良いが、「初蝶」の後に「きて」と軽くして、「ぎぼうし」と読ませていく。
映像は擬宝珠の刀傷に寄っていくが、初蝶は来てスッと去るような。
写真と合わせた時に「あの欄干に刀傷がある」と。
これはよく頑張りました。
本人 なるほど。「きて」か~。確かにちょっと都合よすぎる感じはありますね。やあ~、勉強になりました。
浜田 まあでも1位でございました。おめでとうございます。
清水アナ 千原ジュニアさんには、京都府ふるさと俳人の証として黄金のタスキが贈呈されます。
浜田 はいお願いします。
藤本名人 まゆまろ~!
浜田 アハハ。
篠田 可愛い。
清水アナ おめでとうございます。
●解説のポイント |
写真から季語「初蝶」を見つけた 擬宝珠(ぎぼし・ぎぼうし)にグーっと寄る 古い歴史のある街の橋の欄干と判る 俳句だけで全て分かるのが良い 「止る」が少し都合よすぎる 「きて」と軽くして「ぎぼうし」と読ませる 映像が刀傷に寄っていく よく頑張った |
添削後
『初蝶のきて 擬宝珠の刀傷』
春の動物「初蝶」と新撰組の逸話の残る光景を取り合わせた定型句。三条通りから一級河川の鴨川に掛かる橋。その欄干に着目し「擬宝珠」「刀傷」と知識をさらけ出しているものの、三条大橋ならではの言葉を合わせる辺りは手慣れており、新撰組の池田屋事件を読者に思わせる点と写真中央の細部に着目した点も大切なポイントです。季語もそれとなく選んでいますが、「初蝶」の優美な姿と「刀傷」の陽と陰の対比を意図されています。特に「初」の字があることで「止る」の都合良さが強調される点が添削ポイントになりましたが、兼題写真との親和性においてベストと呼べる句となりました。
2位◆『ささくれた 橋へ零るる さくらかな』 森口瑤子藤本名人 めっちゃええやん。
【本人談】歴史のある橋のため、よく見るとささくれている部分がある。そこに、たわたわに咲いている桜がたもとにあり、本当に花びらも散っていたという色の対比も考えて作ってみた。
志らく名人 この「ささくれた」というのが京都にピッタリだから、これは結構素晴らしいんじゃないですか。
夏井先生 俳句としては面白い句。
「ささくれた」でも良いが、「かな」が文語のために統一するなら「ささくれし」。
少し迷ったのが、写真なら京都の大きな橋だと想像できるが、俳句だけだと古い丸木のささくれた一本橋とする読みも出てくる。
写真俳句としてこの句が乗っかった時、いったいこの桜は橋のどの位置にあるのか?が少し気になる。
なぜなら「零るる」は、はらはら・ちらちらというニュアンス。
そうなると、桜の咲いている位置と橋の位置との距離感が気になる。
写真の近景に桜が一枝くらいちらっと写っていると、写真俳句として俄然良くなっていった。
本人 ついてもいけないし、離れてもいけないし、さじ加減ちょっと勉強します。
浜田 はい。まあでも2位でございました。
●解説のポイント |
俳句としては面白い 文語に統一するなら「ささくれし」 写真なら京都の大きな橋だと想像できる 丸太の一本橋とする読みも出てくる 「零るる」はちらちらのニュアンス 桜の咲く位置と橋の位置の距離感が△ 近景に桜が一枝写れば俄然良かった |
添削後
『ささくれし 橋へ零るる さくらかな』
春の植物「桜」と橋の状態を「ささくれ」で描写した定型句。室町時代に架橋されたと言われる三条大橋の老朽化に着眼し、その西側に立つ桜が散る春らしい光景で陽と陰を描いた点は1位の句と似ています。しかし、明確に地名を特定できる単語が無く「ささくれ」「橋」で色んな橋を想像できた点が少々勿体ない点。「零るる」が咲き誇る桜ではなく飛花の意図で用いた動詞で、橋の桜の距離感の違和感に繋がる指摘は先生ならではの視点です。兼題らしさで負けてはいますが、「ア」の韻を多く用いたリズムの明るさもポイントの一句です。
3位◆『春色の洛中 馴染みなく 緩歩』 藤本敏史(FUJIWARA)※季語「春色」は春の明るい様子を思わせる景色のこと。
千原永世名人 なるほど。
【本人談】洛中は観光名所で見るとこいっぱいある。思わず歩くスピードもゆっくりになってしまうと言うだけの俳句。
村上永世名人 いや上手いっすよね~。何か藤本さん、季語と何か1個くっつけるの最近凄い得意というか。
本人 季語と何か1個ひっつけんの?
村上永世名人 「春色の洛中」とか。タイトル戦でも季語に…。
本人 そうそうそうそう。
村上永世名人 そういう。この「春色の洛中」ってのでなんかもう、いいな。
本人 良いですよね~。
村上永世名人 良いですけどね。
夏井先生 今回難しかったのは、あの写真に春らしさ・季語らしさが明確にない。
それに対して、よく「春色」は持ってきたと。強く褒めたい。
本人 強く褒めて下さい。
夏井先生 とても惜しいのが「馴染みなく」の部分。
馴染みがないと、ストレートに自分の感情を書いたのが損だと思う。
本人 そうですかねえ。
夏井先生 はい。とても良い言葉がある。
今の作者の話を聞いていて、それならこっちの言葉が良いと思った言葉がある。
「そぞろ」という言葉は知ってますか。
本人 「そぞろ」?
夏井先生 「そぞろなる」とする。
この「そぞろ」は、知らない土地に来て、何となく歩いているけど、少し心がソワソワすると。
これなら私はこちらを1位に推していたと思う。
本人 「そぞろなる」知らなかったなあ。
浜田 あ~そうですか。
本人 人生の中で"そぞろ"なったことないんで~。
一同 …。
本人 シーンですわ(笑)。
千原永世名人 今やろ、今。今そぞろなっとる。
本人 今そぞろなっとるな、これな。
●解説のポイント |
兼題写真に春らしさが明確にない 「春色」は強く褒めたい 惜しいのが「馴染みなく」 ストレートに感情を書いたのが損 「そぞろ」を用いた方が良い 知らない土地で心がソワソワする これなら1位に推していた |
添削後
『春色の洛中 そぞろなる緩歩』
天文「春色」は「春光」の傍題。それと「洛中」を合わせ、自身のとりとめのない心象を合わせた破調の一句。春の明るい光を喜ぶ景色とは裏腹に、慣れない土地を只歩くという陽と陰の対比を表現。「洛中」で京都の市中と限定され、「闊歩」ではなく「緩歩」が中七と似合っている点は10段の技術です。ただポスターに載る点を考えれば、「馴染みなく」が読者の訴求力に於いて心象が良くないのも事実。タイトル戦では「秋爽の只中」、大阪編では「秋気の御堂筋」と季語と名詞を合わせる手法も評価されていますが、対句の型に嵌りやすいのも気になります。前半の「洛中」をさらに描写する方が評価されたかもしれません。
4位◆『ひそと待つ 花街のひと 花衣』 中田喜子藤本名人 うん。
【本人談】三条大橋は待ち合わせが多い。新しくあつらえた着物を着た花街の美女が自分自身の気配を消して思い人を待っているという句。
夏井先生 あの写真から「花衣」という季語を探し出したのは良い。
しかも花街の人の花衣で、「ひそと待つ」でドラマチックでもある。
俳句としての問題点が一つある。
「花衣」という季語があれば、その着物を着ている人の情報イコールでくっついている。
つまり「ひと」が不要。
「花街の花衣」でOK。
今の話を聞くと、ずっと気配を消して待ち続けている。
だとしたら、時間情報「日々」を「ひそと待つ」の後に入れる。
ずっと待っている点が「日々」で強調される。
これで俳句としてひとまず成立する。
問題の写真俳句としての評価になる。
俳句にドラマ性がグッと入ってくると俳句が少し目立ってしまう。
写真俳句は写真と俳句は同じ割合で掛け算すべき。
俳句のドラマが勝つため、写真が添えられた挿絵になる。
(→俳句のドラマ性が強いとポスターが脇役になる)写真俳句のコツの一つは、あまりにもドラマ性に走らない方が上手くいきやすい。
藤本名人 うわ~、ええこと聞いた。
本人 そうですね、前回語順に気をつけろと。それをかなり気にしてドラマチックにしたんですが、今度ドラマチックにし過ぎてもダメ(笑)。分かりました、3回目は1位になります。
●解説のポイント |
写真から「花衣」を探したのが良い 花街の人の花衣で上五もドラマチック 俳句としての問題点が一つ 「花衣」に着物を着ている「人」の情報がだぶる 時間情報「日々」で強調する 写真と俳句は同じ割合で掛け算すべき 俳句のドラマ性が強いとポスターが脇役に ドラマ性に走らない方が上手くいく |
添削後
『ひそと待つ 日々 花街の花衣』
春の生活「花衣」は花見をする際の美しい着物。花街で女性がひっそりと待つ光景を描いた艶やかな定型句です。遊郭を表す「花街」と「花衣」で「ハ」、「待つ」「街」で「マ」、「ひそ」「ひと」で「ヒ」と韻もそれぞれ押さえています。古都らしい光景を描きつつ、中田さんらしい上品な発想と人物描写で句会なら間違いなく点が入る印象。夕方から夜の光景で、遊郭の女性とも単なるカップルともその関係性を読者に想像させる余韻を持たせています。季語を最後に置く基本型が逆に損してしまい、「ひと」の情報の重複とドラマ性の強さを指摘されて順位は下がりましたが、中田さんらしい定評ある実力を存分に発揮した一句に思いました。
5位◆『天然の 若鮎群れて 遡上中』 篠田麻里子(元AKB48)【本人談】京都の鴨川は天然の鮎が来るほど水質がとても良い。鴨川と京都の良さを写真の中でいくと思うと、これしかないなという凄い自信作。まさか。
村上永世名人 多分「天然の」というのが気になるというか。恐らく季語で言う「鮎」は天然の方の鮎を言うんだと思うんですよ。あえてつけるなら「養殖の」鮎の方なら分かるんですけど。
中田名人 そうだ!
夏井先生 あの写真の川の波に注目したのは凄く良い。そこは凄く褒めたい。
俳句の作品の方に問題点があった。
「若鮎」という季語に対し、「群れて遡上中」が季語の説明になっている。
"まさか、あの鴨川にも若鮎が上ってくるのか"という情報が一番大事なところ。
「群れて遡上中」は説明のため諦める。
「天然の」の問題点は置いておく。
若鮎の生き生きした姿からいく。
その廻りには当然水もある。
京都でも良いが「都(みやこ)」と書いてみる。
「都の水は」どうするか。
喜んでいる。「よろこびて」とする。
こうすると、あの写真に乗っけるだけで「え?京都に若鮎?そして春が来るのね」と。
これをやっていたら、今日は1位だった。
本人 でも「視点がいい」って言われたことは嬉しかったです。
浜田 あ、そうですね。
●解説のポイント |
写真の川の波に注目した点が◎ 俳句の方に問題点 「群れて遡上中」が季語の説明 鴨川にも若鮎がくる情報が一番大事 若鮎の生き生きした姿から 廻りの水を描写する 京都に若鮎が来て春が来る これなら今日は1位だった |
添削後
『若鮎を 都の水は よろこびて』
春の動物「若鮎」が鴨川を遡上するさまを意図した定型句。着眼点は大変良く、大阪湾で越冬した鮎の稚魚が鴨川を遡上する習性を表現。堰やダムを難なく遡上できるように魚道を設けるなど自然への工夫を凝らす活動が全国的に増えています。この句は季語以外の単語が全て説明になったのが非常に残念。添削は「若鮎を」の助詞「を」が重要なポイントで、鮎が飛び跳ねる空間と時間をそれとなく表現し、水の動きを「よろこびて」と擬人化で表現する玄人の技術が詰まったものに。1位を狙えた着眼でしたが、添削例のように書ける技術を貪欲に学びたいものです。
昨年9月の2時間スペシャルに続くふるさと戦の第2弾。前回と同様、1位になると地域のふるさと俳人のタスキが贈呈されるとともに、観光課のポスターに俳句が掲載され、その都道府県内の各所に貼り出される形式。今回は千葉県と京都府が選出されました。
季語はポスター掲載を見据えて季節を先取りしたのか、全員が春の季語。1位となった句は兼題にある「菜の花」と兼題から想像して入れた「初蝶」。「蝶」は千葉編で村上さんも用いており、動物・植物を用いた人物が1・2位を独占。天文・生活季語が3位以下に沈む展開でした。写真俳句として、俳句の出来のみならず、兼題写真とのつかず離れずも重要な要素となり、複合的な評価基準になりました。
コメントでご指摘もございましたが、千葉県は志らく名人が詩情で一歩勝っていた印象。京都編は上位3名ともネガティブな単語を用いながら前向きな季語に入れる点に共通性があるも、兼題写真との親和性で千原永世名人が勝った形になりました。
さて、前回あった俳句のフォント・色と掲載個所を指定する形式が今回は廃止となり、2句とも白文字の明朝体で統一されました。また、写真の選定という点で京都は「春の」と表記されているものの春らしさを感じないやや地味な写真に。観光誘致という点で、既に認知されている名所ではなく他県へのPRとして訪問してほしい箇所を選定する意図があるのかもしれません。
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