2023年1月26日放送 プレバト!!
47都道府県の観光公認ポスターへの俳句掲載を懸けて挑む
「ふるさと戦」第2弾。
特別企画「写真俳句」で出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※4日に全て更新しました。大変お待たせいたしました。→記事ジャンプ【
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挑戦者:<名人4段>皆藤愛子[33],○3△4×2 小倉優子[10],○2×1 田辺智加(ぼる塾)[4],山口航輝(千葉ロッテマリーンズ)[初],
<永世名人>村上健志(フルーツポンチ)[81],<名人6段>立川志らく[60] ※○△×は過去の成績,[数字]は挑戦回数
リアクター:千原ジュニア、藤本敏史(FUJIWARA)
●お題:小湊鉄道(千葉県)

※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 東京都出身 <名人6段> | ★立川志らく
| 忘れ物を探しに菜の花を行く | わすれものをさがしになのはなをゆく |
2 | 茨城県出身 <永世名人> | ★村上健志 (フルーツポンチ) | てふてふの過るトロッコ列車かな | ちょうちょうのよぎるとろっこれっしゃかな |
3 | ★千葉県代表 <名人4段> | ★皆藤愛子
| 春日和チャー弁膝に水平に | はるびよりちゃーべんひざにすいへいに |
4 | ★千葉県代表 | 小倉優子
| 春風の房総地磁気逆転の跡 | しゅんぷうのぼうそうちじきぎゃくてんのあと |
5 | ★千葉県代表 | 田辺智加 (ぼる塾) | 春日傘少女のような祖母の顔 | はるひがさしょうじょのようなそぼのかお |
6 | ★千葉ロッテマリーンズ代表 | 山口航輝 (千葉ロッテマリーンズ) | 風光る五分着まであの子待つ | かぜひかるごふんちゃくまであのこまつ |
順位発表順:4位→2位→最下位→5位→3位→1位
→俳句ふるさと戦、千葉県。菜の花列車として名高い小湊(こみなと)鉄道のSL。
一同 早春の千葉の魅力が伝わる一句をよろしくお願いします。
男性 旅行雑誌でも毎年千葉は特集が組まれるほど、春の魅力がいっぱいなんですよ。ほんとにマザー牧場とか九十九里浜、銚子の屛風ヶ浦、鋸山。
藤本名人 あ、行ったことある。良いですね。
***
女性 車内から見て頂くと、菜の花がワーッと広がるような場所なんです。その奥に桜が見えてくるんですけど。
***
男性 山口選手。去年、あれだけ俳句を詠んでたので、絶対に優勝して下さい。
女性 山口絶対1位!
清水アナ 上の段(皆藤・小倉・山口・田辺)は千葉県にとてもゆかりのある4人、そして下の段(村上・志らく)は、出身地よりも千葉県を贔屓にしていると言い切る名人お2人です。
浜田 ホンマかいな。
藤本名人 聞いたことないけどね。
浜田 なあ。でも、これは出身者は当然1位じゃないと。
皆藤名人 そうなりたいですよね、やっぱり。千葉愛もありますし…。
田辺 私はホントに千葉が大好きでして…。
***
→千葉ロッテマリーンズの若き主砲・山口航輝。豪快なフルスイングが持ち味で、2022年9月には一試合に3本のホームランを放った。度々話題になるのがヒーローインタビューで披露する俳句。
(プロ野球のお立ち台の光景)
男性 山口選手と言えば、ファンの皆さんもお待ちかねだと思います。今日の五七五、山口先生お願いします。
山口 はい、ええ~。「梅雨入りも僕の打撃は日本晴れ」。
ファン お~!
藤本名人 「お~」あれへんがな。僕良く見てますけど、山口さんの俳句。
浜田 あ~そう。どうなんですか、山口の俳句は。
藤本名人 これはね、中七のこれが説明になってるんですよね。
千原永世名人 ええねん。まじめか!(笑)
藤本名人 説明…。これはちょっと凡人かなって。
山口 あ、そうですか。
藤本名人 でもあの~、瞬時に思いつくってのは素晴らしいです。
浜田 確かに確かに。
清水アナ しかも、山口選手は13歳の時、某メーカー(→伊藤園)が開催している俳句大賞で、佳作特別賞を受賞したそうです。その時の俳句がこちらです。
「ラグビーの選手の体湯気が立つ」
浜田 なるほど。これ、ジュニアさんどうでしょう。
千原永世名人 めちゃくちゃ良いですね。さっきのやつより良いです(笑)。
山口 あ、そうですか。
藤本名人 段違いでこっちの方がいい。
浜田 お~じゃあ、ちょっと期待できますね。
***
浜田 ジュニアさん、どうですか。このメンツ。
千原永世名人 え~っと、田辺さんいってほしいですね。ここで田辺さん行ったら気持ちええな。一番チーバくん(→全身赤いキャラ)に似てるもんな(笑)。
田辺 はい出た~。好きな子イジメるタイプ~!
千原永世名人 ありがとうございます。
浜田 志らくはんは東京。
志らく名人 私は東京なので、ただ。ふるさと納税で物凄い(金を)落としている(笑)。これ大きいですよ。
浜田 なるほど。
志らく名人 結構ね、千葉の特産品とか知ってますね。
夏井先生 より良い取り合わせをどうやって実現するか。
***
清水アナ 査定結果はこちらになっております。
浜田 はい、いきましょう。
清水アナ では、何位から見ましょうか。
浜田 うわ~どうしよっかな、これ。4位。
藤本名人 4位ね。
浜田 いきましょう、千葉ふるさと戦第4位はこの人!
▼4位は小倉優子(千葉出身)
小倉 あ~!
浜田 あなた。
小倉 複雑、複雑です。すごい(笑)。
***
清水アナ 続いては何位を開けましょうか。
浜田 いや~、2位あたり。もうちょっとでという。
千原永世名人 惜しかったね。
浜田 千葉ふるさと戦第2位はこの人!
▼2位は村上健志(フルーツポンチ) ※茨城県との2県制覇ならず
村上永世名人 ああ~!悪い順位じゃないけどね~。
浜田 なんやそれ。あはは。
村上永世名人 うわ、そうか。なるほど。
***
清水アナ 続いては何位を開けましょうか。
浜田 え~…、最下位。
藤本名人 あ~あ、可哀そうやな。
浜田 いきましょう、千葉ふるさと戦最下位はこの人!
▼最下位は山口航輝(千葉ロッテ)
藤本名人 ちょっと~。
浜田 アハハ。
山口 やっぱりか。
浜田 これは仕方ないとは思いますが、まあ見てみてね。
***
浜田 さあ、残っているのはこの3人。まだ、千葉出身が2人います。
千原永世名人 そうですね。
浜田 まだいます。そして、東京の志らくはんがいます。あ~、これはもう…う~ん。ゆうこりんと山口の間、5位。
藤本名人 うわ、これもいらんな。
浜田 いきましょう、千葉ふるさと戦5位はこの人!
▼5位は田辺智加(千葉出身)
千原永世名人 ちょっと。チーバくん。
田辺 あ~。
浜田 アカンやばいやばい。もう、並んでる並んでる。(4位以下に)千葉並んでるよ。
田辺 あ~並んじゃった。
藤本名人 チーバさん。
千原永世名人 チーバさん。
田辺 やだ、田辺。
***
浜田 残っているのはこの2人。千葉出身(皆藤)と東京出身(志らく)。ここまでくると志らくはん、どうでしょう。
志らく名人 そりゃ私が1位になったら千葉の人たち出身者は情けないって話じゃないですか。
浜田 そりゃそうですよ。ただ相手が皆藤さんなんですよ。
志らく名人 そうなんですよ。
皆藤名人 いや、私。今回めちゃくちゃ気合入れて獲りに来てます。
志らく名人 獲りに来てる?
皆藤名人 はい。
藤本名人 うわ、千葉愛が凄い。
皆藤名人 自信ありますよ。だって千葉県出身ですから。
浜田 だって3位になったら並ぶからな、千葉が。
皆藤名人 めちゃくちゃ心細いですけど、ちょっと頑張りたいです。ここ。
浜田 さあ、いきましょう。47都道府県・千葉ふるさと戦を制した第1位はこの人!
▼1位は立川志らく、3位は皆藤愛子(千葉出身)
皆藤名人 うわ~!あ~、悔しい。え~ショック!
千原永世名人 皆藤さん!
皆藤名人 え、うそ。自信あったのに。
浜田 千葉が(3~6位に)バーンと並んだ。
清水アナ 並びましたね。
千原永世名人 千葉は東京のもんです(笑)。
藤本名人 獲られましたね。国獲られました。
***
藤本名人 1位2位が千葉県以外。
浜田 東京と茨城が。
藤本名人 獲られたなあ。
※1位となった立川志らくの俳句を県庁でお披露目(写真右側に白文字の明朝体の一行書き)。まだ作者を知らない。
一同 お~。
女性 「忘れ物」っていうのがノスタルジーなものなのかなっと思って、SLと上手くリンクしている句だなと思いました。
女性 「忘れ物を」っていうところがあったので、きっと(作者は)千葉県出身の方だと。皆藤さんかなと。
皆藤名人 あ~、ごめんなさい。
●それでは順位別に見ていきます1位
◆『忘れ物を 探しに 菜の花を行く』 立川志らく藤本名人 うん。
千原永世名人 かぁ~。
【本人談】大切なものを忘れてしまっている現代人が、なんかこれを見た時に「何か大切な忘れ物を探しに」という幻想的なイメージが湧いてきた。それをこんな風に詠んでみた。
千原永世名人 これはホントこの、志らく節ですね。「菜の花」って写真在りますけど、これでもう季語って凄い季語を立たせてるって感じで素晴らしいです。
藤本名人 このノスタルジックな感じが何かジーンと来ますね。凄い良いです。
夏井先生 足すと17音になる破調が志らくさんらしい韻律。
写真俳句として一つやり方を教えて貰っている、お手本の一句。
後半が一見写真とベタつきに思うかもしれない。
「菜の花を行く」としか書いてないため、字面では自分が菜の花の真っ只中を歩く意味合いになる。
この中に「列車」の「れ」の字もない。
その中にいて、「忘れ物を探しに」の前半のフレーズで写真との距離を少し取る。
この距離の取り方が絶妙だった。
人間、大なり小なり「何かを喪失した」想いを持っている。
トロッコの旅は人生の忘れ物を探しに行く旅なんだと。
そうすれば「この列車に乗りたい」と思う人がその場所に行きたくなる。
直しは要らない。
浜田 お見事でございました。
清水アナ 立川志らくさんには、千葉県ふるさと俳人の証として黄金のタスキが贈呈されます。
藤本名人 あ、チーバくん。可愛い。
浜田 いや~志らくはんが獲るか~。
●解説のポイント |
足すと17音の破調はこの人らしい韻律 写真俳句としてお手本の一句 後半は一見写真とベタつきに思う 菜の花の真っ只中を歩く意味 写真との距離の獲り方が絶妙 誰しも何かを喪失した想いがある トロッコの旅は人生の忘れ物を探す旅 列車に乗りたい人が行きたくなる |
添削なし
春の植物「菜の花」をゆく理由と共に取り合わせた17音。破調の韻律はこの方らしい手法ですが、ノスタルジックさも詠めるのが意外な印象。語順が上手い句で、兼題写真と前半で鉄道の拾得物を貰いに行くよくある光景だと思うと、後半でガラリと入れ替わる展開。「忘れ物」が実際にあるものではなく、何か得体のしれない抽象的な概念を考えることで句の奥行きが広がります。「となりのトトロ」の主人公のような純粋無垢な心はいつの間にか忘れるものです。落語家らしい言葉の引き出しが巧みに活きた一句です。
2位◆『てふてふの過る トロッコ列車かな』 村上健志(フルーツポンチ)藤本名人 うん。
【本人談】まさにこの写真に写っている電車は、展望車で窓のない車両がある。(
一同 へぇ~) この蝶々が入って来て通り過ぎていく長閑さが、これだけで伝わるのではないかなと。
藤本名人 菜の花畑の写真で蝶々がちょっとベタなんじゃないのかなというのがありますね。
夏井先生 写真には一面の菜の花が写っている。
「菜の花」に対して「蝶」を持ってくる。
俳句ではベタかもしれないが、季語の探し方は決して悪くない。
ただ写真俳句のジャンルの作品となった時、後半の方が写真とベタになっていくということ。
それは、あの写真のど真ん中に主役としてトロッコ列車が写っている。
写真の情報とダブってしまう。
こういう時のテクニックの1つとして、さっき本人が「展望車がある」と解説した時、誰かが「へぇ~」と言った。
それを書いた方が写真俳句としてずっと面白いものになる。
「てふてふ」を使いたいのも分かるがひとまず「蝶」と書く。
藤本名人 「蝶」の方が良いですよね。
夏井先生 「蝶よぎりゆく」。
「トロッコ列車」ではなく、語ったことそのまま書けばよいと思った。
「吹き抜けの」の後に「展望車」と書く。
あの写真のトロッコ列車は展望車で吹き抜け。
そうすれば、自分が展望車に乗って「あ、蝶が入って来たわ」と体験することが出来る。
そうすることで、写真と俳句とが何倍もの効果を発揮する。
こう書いて置けば、今日はこれが1位だったと思う。
●解説のポイント |
「菜の花」に対する「蝶」の探し方は良い 写真俳句の作品として後半が写真とベタ 写真の情報「トロッコ」とダブる 語った「展望車」を入れれば写真俳句に 自分が展望車に乗車体験するように 写真と俳句が何倍もの効果を発揮する これなら今日はこれが1位だった |
添削後
『蝶よぎりゆく 吹き抜けの展望車』
春の動物「蝶々」がトロッコ列車の車内に入っていく可愛らしい光景を詠んだ定型句。永世名人として置きに行った発想には思いますが、「展望車」に蝶が複数訪れる光景にファンタジーさが詰まっています。句に「菜の花」とあれば「蝶」が季重なりとなりますが、「トロッコ列車」が写真と情報が重なる点でダメ出しを受けました。「てふてふ」「かな」の文語体も決まっているものの、ひらひらと飛んでいる蝶々が「過る」という描写が、走行する車内から見た光景として覚束ない印象もあります。写真俳句のつかず離れずの難しさを感じる一句です。
3位◆『春日和 チャー弁膝に 水平に』 皆藤愛子藤本名人 「チャー弁」?
【本人談】「チャー弁」は千葉の名物になりつつあるチャーシュー弁当があり、小湊鉄道の沿線上にもお店がある。それを膝に大事に載せて電車に乗っている様子を書いた。
村上永世名人 いや、チャー弁は食べてみたいですね。
浜田 え?
藤本名人 浜田さんも誰に聞いてんねん!(笑)
浜田 いやいや、名人やから。
村上永世名人 最高段位なんで、ごめんなさい。なんかこの「春日和」とか結構ムズイんですよ。これには合ってる気はするけど。
夏井先生 これは「チャー弁」の知名度の問題はあるが、押し出したいわけでここは良しとしたい。
それ以外に考えるべき点が2つある。
1つは、季語「春日和」がいかようにも動く。
「春の昼」「風光る」でも色々やれてしまう。
そして、こっちの方が重要かもしれない。
「膝に水平に」。なぜ「水平に」する必要があるか。
写真見ていれば列車だと分かるかと。
写真に甘えてはいけない所はある。
下五「水平に」は無駄なことになる。
「チャー弁」を売り出したいなら上五で「それ何?」と思わせた方が良い。
「チャー弁は膝に」で4音分余る。
「車窓の」なら列車の中だと分かる。
「二人の」なら二人で乗っている状況に。
こうすれば、写真俳句としては寄り添う物にはなっていく。
●解説のポイント |
「チャー(シュー)弁(当)」の知名度の問題 考えるべき点が2つ 季語「春日和」がいかようにも動く 「春の昼」「風光る」でも良い なぜ「水平に」する必要があるか 列車の写真に甘えてはいけない 「チャー弁」を売り出すなら語順を工夫 写真俳句として寄り添う物になる |
添削後
『チャー弁は 膝に車窓の 春日和』
『チャー弁は 膝に二人の 春日和』
天文「春日和」とご当地弁当「チャー弁」を膝にのせている光景を詠んだ定型句。千葉のソウルフードとして俳句に取り上げれば抜群な宣伝効果があるのはご愛敬。基本の型であり、「膝に水平に」と韻を踏んで押さえた所も長閑に丁寧に弁当を頂く姿勢が垣間見えます。季語が動く問題は難しく、なぜ時候の季語でないのかがポイントで「日和」の映像を確保したい意図がありそう。下五「水平に」も以前の「五度倒し」の成功体験からお書きになったのでしょうが、場所が分からず謎の単語に。皆藤さんは数詞や自然科学的な表現に甘える傾向が伺えますが、句を客観視する姿勢を養うと大きく化けそうな予感があります。
4位◆『春風の房総 地磁気逆転の跡』 小倉優子※小湊鉄道の近くには世界に誇る地層がある。77万年前を境に地球の磁場が逆転した貴重な証で、この時代のことは世界共通語として「チバニアン」と命名された。
藤本名人 「地磁気逆転」?
【本人談】小湊鉄道の近くに貴重な地層がある。小湊鉄道に何回も乗っていると、景色以外のことを伝えたいと思った。
千原永世名人 これ写真なかったら、ちょっとええ感じと思うよ。俳句だけ。
藤本名人 だから、これ小湊鉄道写ってるってことは、「房総」ってこれ分かってるから、「房総」は要らんかったんちゃうかなと逆に思うけどね。写真俳句やから。
夏井先生 俳句そのものは頑張って作っている印象がある。
ただ、韻律がガタガタして、内容を詰め込もうとした苦心作ではある。
ご指摘もあったが、写真関係ないとしても「地磁気逆転」という言葉が出てくれば、日本なら"チバニアン"だと分かる。
藤本名人 え?
夏井先生 「房総」はなくて良いと思う。
「春風や」といったん詠嘆をする。
「跡」が何かを少し親切に書くだけで良い。
「せし」なら"~した"の意味。
「せし地層」なら、分からない人も"地磁気が逆転した地層"と理解してもらえる。
そして、この俳句が写真と取り合わされて"写真俳句"になった時。
"写真俳句"(※俳句の表現方法として全国に多くの愛好家がいる)は一ジャンルとして確立されている。
よって、俳句だけの評価とは少し軸が変わってくる。
そうなると、この句は写真と俳句が離れすぎている。
写真と俳句も「つかず離れず」が写真俳句の基本になる。
そこが少し勿体なかった。
本人 そうですね。
もう、パッとみた写真の俳句の方が良かったっていうことなんですよね?
夏井先生 はっ?(笑)
浜田 ゆうこりん、シーッ!
●解説のポイント |
韻律がガタガタして内容が多い苦心作 「地磁気逆転」ならチバニアンと分かる 「房総」は不要 季語を「や」で詠嘆 後半を親切に書くだけ "写真俳句"は俳句の表現方法の一ジャンル 写真と俳句が離れすぎている 写真と俳句もつかず離れずが写真俳句の基本 |
添削後
『春風や 地磁気逆転せし 地層』
天文「春風」と兼題の場所から”チバニアン”を句材に詠んだ19音の対句表現。マグマの冷却で形成される火山岩の残留磁気から当時の地磁気の様子が分かりますが、地質時代で最後となる磁場逆転が起きた77万年前から12万年前(後期更新世)までを「チバニアン」と呼び、当時の地層が市原市の養老川沿いに残っています。その知識があれば後半と情報が被る「房総」はやはり蛇足。「跡」も分かりますが、「地層」「露頭」などと書く方が理解しやすい形です。「春風」は麗かさより、風や川で地層が侵食される真っ当な自然の営みを感じます。ちなみに夏井先生は「575でカガク!」で過去に「チバニアン」で俳句を募集したため、背景知識はしっかり押さえています。兼題写真から内容がぶれて失敗はしましたが、沿線情報のPRにはなりました。
5位◆『春日傘 少女のような 祖母の顔』 田辺智加(ぼる塾)藤本名人 うん。
【本人談】私の祖母も千葉出身。オシャレで花が好きだったが、この景色を見ると「あ~、お花とファッションが好きだったおばあちゃんを思い出すな~」という句。
千原永世名人 これ「少女のような祖母」で「顔」も含まれてるんじゃないかなと思います。
浜田 山口、この句どう思う?
山口 いや自分よりは…。
千原永世名人 誰に聞いてんねん(笑)。なんか言うてええのか分かれへんな。
藤本名人 「誰に聞いてんねん」もおかしいよ。そんなもん、2人とも失礼やない。
千原永世名人 芸人やったら言えるけど(笑)。
浜田 ジュニアいつもより(タイミングが)ちょっと遅いなと思った(笑)。ちょっと躊躇したなと。
藤本名人 でも聞いてみたいですね。
山口 やっぱりあの、自分のよりかはうまくて繋がってるなっていう風には思います。
千原永世名人 誰が言うてんねん!(笑)
村上永世名人 良いこと言ってましたよ。
浜田 誰が言うとんねん、ホンマ。
夏井先生 この句も取り合わせの基本型はしっかりとマスターしている。
本人 あら、やった。
夏井先生 俳句としての問題点は、今ジュニアさんが指摘した後半の一点に尽きる。
「少女のような祖母」で表情・性格は全てひっくるめて言えている。
「顔」だけに限定すると大変損。
「の顔」の3音で俳句を写真に寄せる工夫ができる。
それによって、写真俳句として俄然評価が高くなる。
おばあちゃんの動作を書く。「春日傘振って」はどうか。
お孫さんが列車に乗って近づいて、(ホームの)祖母が「ここよ」と手を振っている感じ。
動作を入れるだけで、写真と俳句の接点が出来る。
小さな接点を作るというのも、写真俳句の大事なポイント。
それが分かるようになれば、写真俳句も出来る。
本人 今回やってみて、またさらに一段階レベルアップしたいなと思いました。
●解説のポイント |
取り合わせの基本はマスターした 俳句の問題点は後半「の顔」の限定 「少女のような祖母」で表情・性格は言える 俳句を写真に寄せる工夫を おばあちゃんの動作「振って」を季語に続ける 写真と俳句の接点が出来る 小さな接点を作るのも写真俳句のポイント |
添削後
『春日傘振って 少女のような 祖母』
生活「春日傘」と祖母の風貌を取り合わせた定型句。鉄道よりも菜の花から発想した印象で、初心者らしさはあるものの「少女のような祖母」という逆説的な比喩が立つ表現で、童心に返って大変嬉しそうに春日傘を差している祖母の光景を思います。「の顔」の表現について即座に指摘したジュニア名人の指摘力を褒めたいところ。添削では基本の型から句またがりの型になりましたが、ご指摘の通り、兼題写真が駅のホームの光景であれば写真俳句としてより活きた可能性を感じました。
6位◆『風光る 五分着まで あの子待つ』 山口航輝(千葉ロッテマリーンズ)【本人談】これは学生時代に好きな女の子と(待ち合わせになる電車をホームで)1本待って「一緒の電車にならないかな?」という淡い恋心を一句にした。
千原永世名人 「五分着まで」ってどういう意味なんですか?
本人 「5分」に着く電車。
藤本名人 あ、何時5分みたいな。
本人 そうです。それに合わせるっていう意味で。はい。
千原永世名人 ショートフライですね(笑)。
夏井先生 これも取り合わせの基本型は勉強しているのが分かる。
俳句としての問題は中七だけ。
何時五分着とはこの書き方では伝わらない。
今、本人が「あと1本電車を待って」と言った。
その言葉を使えば良い。
真ん中から。「あと一本」にしておく。
藤本名人 あ、野球だけにね。
夏井先生 電車だけにしたかったら、「あと一便(ひとびん)」という言い方でも良い。
「あの子を待てば」。
敢えて「ば」にして季語「風光る」に繋げる。
最後の「風光る」という季語がサーッと広がって気持ちが良い。
写真俳句としてトロッコ列車の写真と組み合わせた時、もう一つ問題が出てくる。
俳句の方は、日常の通勤・通学の列車になるが、兼題写真が非日常の観光の写真になる。
そこで、場面のずれが出るのが勿体なかった。
でも、これが出来るなら、普通の回の時なら結構勝負できると思う。
浜田 あら。何、それ~。いや、だから試合のない日来いよ(笑)。
本人 休みの日に。
浜田 移動日に来いよ。
本人 移動の前に。
●解説のポイント |
取り合わせの基本は勉強した 中七「何時五分着」とは伝わらない 語った「あと1本電車を待って」を使う 「待てば」から季語に繋げる 季語の広がりで気持ちが良い句に 俳句は日常の通勤・通学の列車 兼題写真が非日常の観光の写真 場面のずれが出たのが勿体ない 普通の回なら結構勝負できる |
添削後
『あと一本 あの子を待てば 風光る』
『あと一便 あの子を待てば 風光る』
春の天文「風光る」と駅のホームで思いを寄せる子を待つ思春期の淡い恋心を意図した定型句。「風光る」の季語で将来性をもった気持ちの高ぶりが分かり、電車を一本待って何気もなく誰かを待つ行為にも共感性があり、季語以外の12音に6単語を詰める技術力も中々といえます。それゆえ「五分着」が逆に分かりにくくなり、表現したい内容を詰め込んだ印象も。写真俳句としては5位と同様に兼題から少々離れてしまいましたが、オフシーズンの際に通常回に出場されることを期待しましょう。
※編集後記は「ふるさと戦6」の記事に掲載します。
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