2022年12月1日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※9日に全て更新しました。大変お待たせいたしました。
挑戦者→村上佳菜子[2],山口もえ[3],徳光和夫[9],那須川天心[初],千原ジュニア[83],村上健志[77],梅沢富美男[181] ※数字は挑戦回数●お題:カラオケ

※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位70点 | 村上佳菜子
| 忘年会1人のためにラブソングを | ぼうねんかいひとりのためにらぶそんぐを |
2 | 凡人2位62点 | 山口もえ
| 初雪やこの恋届け歌にのせ | はつゆきやこのこいとどけうたにのせ |
3 | 凡人3位60点 | 徳光和夫
| 指先に沈む夕陽やママの冬 | ゆびさきにしずむゆうひやままのふゆ |
4 | 才能ナシ4位35点 | 那須川天心
| ひと晩で忘れるからOK年の暮れ | ひとばんでわすれるからおーけーとしのくれ |
5 | 名人10段★3へ1つ前進 | ★千原ジュニア
| カラオケの二番の途中コート脱ぐ | からおけのにばんのとちゅうこーとぬぐ |
6 | 永世名人25句で掲載ボツ | ★村上健志 (フルーツポンチ) | 暖房や(間奏約30秒) | だんぼうやかんそうやくさんじゅうびょう |
7 | 永世名人48句で掲載ボツ | ★梅沢富美男
| 榾の宿主十八番の夢芝居 | ほたのやどあるじおはこのゆめしばい |
順位発表順:2位→3位→最下位→1位→編集後記🔷
挑戦者語録徳光和夫 | ○4△4×0 | ※前回は「悴みがふと懐かしきティショット」で凡人。特待生候補の一人。 「カラオケですからね、色々発想も膨らんだんでありますし、色んな人が思い浮かんだんでありますけど、冒頭で夏井先生が仰ってましたね。『実体験』。」 浜田「はいはい」 「でも、どういう背景かわからないって。あれは私だと思います(笑)」 |
那須川天心 | 初挑戦 | ※着物リメイク・古着リメイクとアート系で才能を発揮するプロボクサー。 「俳句はやったことないんですけど、まあでも言葉って魂こもってると思うんで、僕結構魂こめる系の人なんで(笑)」 浜田「ハハ、腹立つ」 「だからこそ、ちょっと出来るかなと」 *** 「僕らしさというか、ちょっとしたアクセントというか。なんかこう、ちょっとしたお洒落を入れたみたいな」 浜田「ああ、それが良いパターンもあるかも分からないですよ」 「何かでも…はい…ちょっと…はい…自信が…分からないですね」 |
村上佳菜子 | ○0△0×1 | ※前回は「疲れたなあ追い込む季節冬隣」で最下位。 「お母さんから沢山の100件近くのLINE(の返信)を頂いて(笑)。前回は先生から『将来性のない最下位』という風に言って頂いて、結構私も落ちたんですけどもアスリートですので、何度転んでも這い上がる…」 浜田「何くそ!と」 *** 浜田「(前回)一番下におった人間ですからね」 「そうですね。だからそっから、才能アリもし獲ったらめっちゃ凄くないですか(笑)」 |
山口もえ | ○1△1×0 | ※前回「筆始祖父の遺した硯箱」で才能アリ。 |
★ランキングシートの分布は
才能アリ1名、
凡人2名、
才能ナシ1名
浜田 さあ、先生。今回の皆さんの出来はいかがでしたでしょうか。
夏井先生 実体験をちゃんと掬い取ってるに違いないと思える句が多かったのはとても良いことだと思います。ただ、
作者に聞いてみないと添削をどうしていいか分かんないのもあります。
浜田 なるほど。それもあるんやな。
◆1位
才能アリ70点 村上佳菜子『忘年会 1人のために ラブソングを』【本人談】社内恋愛みたいなものを想像しながら、冬とカラオケを合わせるのをどうやったら良いのか?と思い、「忘年会」できっとみんなカラオケに行くと思い…(*1)。誰かのために、沢山の中1人のためだけにラブソングを歌っているのが素敵だなと思ってこうした。
(*1)
浜田 「カラOK」?
天心 ちょっと、やめてくださいよ。
***
村上永世名人 最後の
「ラブソングを」で6音になるんですけど、この「を」が今仰ってた意味がここで感じ取れるのが、才能アリになったんだろうなと思いますね。
浜田 ジュニアさん、
天心の句はどうでしたか?
天心 ちょっと待って下さい、いいじゃないですか。
浜田 ハハハ。
ジュニア名人 「からOK?」でKOと(笑)。ね。
夏井先生 評価が分かれるのは、
最後の「を」敢えて入れるかどうか。
単純に言えば「
忘年会1人のためのラブソング」としても良いのではないかと思う。
「を」は作者が意図を持って入れている。
自分が好きな1人のために自分はラブソングを歌いたい。
この気持ちを「を」で強調する。これは
作者の意図を尊重すべき句だと判断した。
一点だけ。俳句は「1」ではなく「
一」と漢数字を使うと。
梅沢永世名人 そうだね。
浜田 先生、前回は村上さん才能ナシ最下位やったんですよ。
夏井先生 いや、ビックリしました。でも、これが俳句の面白い所。
これからも一緒に頑張って参りましょう。
浜田 素晴らしい。
●解説のポイント |
最後の「を」は評価が分かれる 「1人のためのラブソング」で意味は通じる 自分の好きな1人のために歌いたい 気持ちを「を」が強調する 作者の意図を尊重すべきと判断 「一」は俳句では漢数字に (前回は「将来性のない最下位」) ビックリしたがこれが俳句の面白い所 |
添削後
『忘年会 一人のために ラブソングを』
冬の時候「忘年会」とラブソングを歌うカラオケの光景を意図した一句。恋は陳腐になりやすい句材ですが、「忘年会」とした季語が良い塩梅に。年末に多数の人数が集まる中のカラオケで片思いでもする人物の淡い心境が読み取れます。「一人のため」とすることで、年末の慰安に歌うのかと思わせますが、「ラブソングを」の展開で好意を寄せている作者の意図に。平易な言葉遣いながら詩を持つことに成功しています。個人的には定型で収めた方が良いと思いますが、敢えて字余りの尖った表現にしたことで、その人物に贈る意図を強調する忘年会に。最下位の句と異なり、一晩で忘れられない情景が季語を主役にした一句です。
◆2位
凡人62点 山口もえ『初雪や この恋届け 歌にのせ』【本人談】初雪が降り、ワクワクドキドキする日だからこそ、(カラオケの)歌の歌詞にのせて自分の思いを届けるという詩にした。
梅沢永世名人 あの「
初雪」と「この恋」。素晴らしいんじゃないですか、取り合わせは。
本人 うわ~、ありがとうございます。
梅沢永世名人 ただ、これ読んでるとね。
俳句じゃなくて歌の歌詞みたいに感じるんですよ。美しく作り過ぎたの。
夏井先生 俳句の基本型はちゃんと勉強している。
季語+「や」と12音のフレーズを作る。
勉強しているのも分かり、
内容に対して季語「初雪」を取り合わせるのも良い。
特に
「初」の一字が初々しい。何が問題かというと、ご指摘があった通り。
特に
「歌にのせ」の言い方が、まさに何かの歌の歌詞にありそう。この(凡人フレーズの)「歌にのせ」の言い方を避けるやり方をしてみる。
「初雪に」から始めてみる。
歌にのせないで、「初雪」に自分が歌う。「
よ」で一回詠嘆する。
「この恋
よ届け」とする。
「届け」で最後に願いがスッと残る感じ。
慣れていけばあなたはすぐ出来るようになる。●解説のポイント |
俳句の基本型は勉強している 季語と措辞の取り合わせも良い 「初」の字が初々しい 下五が歌の歌詞っぽい凡人フレーズ 「初雪に」から自分が歌う 「よ」で詠嘆を重ねて最後に願いを残す 慣れたらすぐ出来る人 |
添削後
『初雪に歌うよ この恋よ届け』
冬の天文「初雪」と恋の心境を歌詞にのせる意図を持った定型句。「初」の字の初々しさが初恋を思わせ、気持ちが高ぶる心情を「この」の指示語で強調した点は成功。平易な単語を並べることで、素直で素朴な心境が読み取れます。「歌にのせ」が歌詞っぽい指摘は勿論ですが、稚拙な内容のため学生など年少者が書いた印象を持ちやすく、「雪」と「恋」「歌」の句材にも類想感が漂います。「よ」の詠嘆を二回用いる添削例は初心者には難しい型ですが、どのような恋なのか具体的に描写する方が良かった可能性があります。
◆3位
凡人60点 徳光和夫『指先に 沈む夕陽や ママの冬』梅沢永世名人 あら…。
【本人談】(巨人軍の)宮崎キャンプに毎年行く。そこのスナックのママを思い出した。ママが一番得意としている歌が(松尾和子の)「再会」という歌。その歌の3番の歌詞に、「仲よく二人泳いだ海へ ひとりで今日は来たわたし 再び会える日 指折り数える ああ ああ指先に夕陽が沈む」とあり、ママはそれと同じ経験をしている人。いわゆる受刑者を待っている。
ジュニア名人 話聞かないとこの「ママ」が…。
本人 わからないですよね。
ジュニア名人 「ママ」はお母さんだと思いますね、僕がこれ読んだら。
本人 スナックのママなんですよ(笑)。
梅沢永世名人 歌の歌詞には「沈む夕陽」なんて使ってるんですけどね、俳句だとね。「夕陽」は沈むものなんですよ。「
沈まない夕陽があるなら持ってこい!」って先生に言われちゃいますよ(笑)。これが凡人なんです。
天心 そういうことか。
夏井先生 本人の話を聞いて、
この「ママ」がスナックのママだと分かるようにしないといけない。作者の伝えたいことは伝わらない。
どう考えても、
年配のママがじーっと夕陽を見て座っているような感じになる。
その
歌の曲名を真っすぐ書いた方がスナックのママだと伝わると思う。
指先とか言っている場合ではない(笑)。
本人 すいません。
夏井先生 『再会』と書く。曲名は鍵括弧。
熱を込めて歌うなら「
絶唱」としてみる。
この場面は浮かぶ。
そして、おっちゃんの言う通り。
沈まない夕陽があれば持ってこいとなる。
「ママの」から季語へ。
「
冬夕陽(ふゆゆうひ)」とするか「冬夕焼(ふゆゆやけ)」とするか。ここら辺は分かれる。
最後に季語の映像がスッと残る。
ママは「絶唱」でスナックのママだと想像はできるかもしれない。
本人 人間性の全てを否定されたような感じですね(笑)。
ジュニア名人 そんなことないです。
村上永世名人 そんなことないですよ。
●解説のポイント |
「ママ」がスナックのママだと伝わらない 年配のママが夕陽を見て座っている感じ 歌の曲名を真っすぐ書いた方が伝わる 「冬夕陽」か「冬夕焼」で映像を残す 「絶唱」でスナックのママだと想像させる |
添削後
『「再会」を絶唱 ママの冬夕陽』
『「再会」を絶唱 ママの冬夕焼』
時候「冬」とスナックのママが歌謡曲を歌う光景を意図した定型句。徳光さんらしい味わいを効かせた書き方で、「ママの冬」と置いた下五は「冬」の大きな季語が、微妙な寂寥感を表現しています。歌謡曲の歌詞の引用はRGさんにもありましたが、いかにも歌謡曲らしい書き方。松尾和子氏が歌う『再会』の最後の歌詞の一行を切り取り、”夕陽が指先に沈む”比喩を効かせた描写がそう感じる原因の一つです。ご指摘の通り、ママがカラオケで『再会』を歌う描写が必要でしたが、歌詞の内容に惚れ込み人物の心境に寄ったことで、表現内容が意図と乖離してしまいました。
◆4位
才能ナシ35点 那須川天心『ひと晩で 忘れるからOK 年の暮れ』梅沢永世名人 何?
【本人談】このまんま。年の暮は忘年会とか。一晩で(遊んで)忘れちゃいましょうみたいな。
「からOK」で「カラオケ」を使った(笑)。
浜田 (笑いながら机を叩く)
村上永世名人 そういうことなのか。気付かなかったなあ。
ジュニア名人 (思わず立ち上がって)あ~!
浜田 おいおいおい!
ジュニア名人 ローブロー(※格闘技の反則)やで(笑)。
本人 マジですか!?
ジュニア名人 こんなこと、やったアカンねん。
本人 ダメなんですか!?
ジュニア名人 金的アカンねん、金的は。
本人 いやだから、その「カラオケ」をちょっと入れようと思って。
浜田 なるほど。
本人 「からOK」。
ジュニア名人 何してんねん。
浜田 ジュニアさん、どうですか。
ジュニア名人 (投げ入れる)タオルないですか~?(笑)
夏井先生 読んだ時、「ひと晩で忘れるからOK」で何だろうと思った。
これこそ
作者に聞かないと添削の仕方も分からない。浜田 なるほど。
これの事ですね。
夏井先生 そういうタイプの句。
今お話を聞いて、
「からOK」、「カラオケ」(の駄洒落)。
一同 (笑)。
本人 絶対狙ってんじゃん。
夏井先生 よくもこんな事やったもんだ(笑)。
本人 だって初めてだもん。
夏井先生 あなたが表現したいことは、こんなダラダラ書かなくても簡単に表現できる。
「ひと晩で」と書かなくても良い。「からOK」なんか2回消したい(笑)。
本人 やだよもう~。
ジュニア名人 「からOK」消さないでください。
夏井先生 「の暮れ」も要りません。要は、あなたが言いたいことは「
忘年会」と書いたら終わる。
これ以上のことはあなたの句には何も入ってない(笑)。
本人 うわ、薄っ。俺薄っ。
夏井先生 ですから、添削しようにも季語「忘年会」と書けばそれ以外の材料がどこにもない。
これは、季語1個あれば済んだ句(笑)。
浜田 ちょっと天心!
天心 はい、いや、俺だいぶ良かったと思ったんだけどな~。
●解説のポイント |
意味不明で作者に聞かないと添削不能 「からOK」はカラオケの駄洒落だと よくもこんな事やったもんだ 表現したいことは簡単に表現できる 「忘年会」以外は何もない 季語1個で済んだ句 |
添削後
『忘年会』(季語以外の材料なし)時候「年の暮」と忘年会の楽しいフレーズを取り合わせた字余りの駄洒落句。内容はカラオケで歌い、今年の辛い事は歌う楽しさできれいさっぱり忘れてしまおうという意図。「からOK」は”カラオケ”と定型で読ませたかったのでしょうが、大変無理がありました。季語「年の暮」に「ひと晩」とさらに時間情報を加える手法は許容できるものの、忘年会の内容が季語に対して失礼であり、映像も全く浮かびません。今回は一発KOとなりましたが、逆に何度もいじられて爪痕を残す点で大変活躍されました。なお、添削で赤ペンが触れられているため「添削不可能」ではなく実際の表記を掲載いたしました。当ブログの添削に関する表記方針は
こちらもご参照ください。
★永世名人への道★→<名人10段>・
千原ジュニアは前回初の後退。
浜田 ジュニア1個星取られたんでね。今回はってことですけど。
ジュニア名人 全然行かないんで、カラオケに。どこを掴んでいいか全然分からなかったです。
浜田 ほ~、なるほど。さあ、どうなるんでしょう。
◆『カラオケの 二番の途中 コート脱ぐ』 千原ジュニア梅沢永世名人 うん。
【本人談】カラオケが好きな人を想像した。(部屋に)入ってすぐに曲を入れる人がいる。ホンマに歌いたい曲があってみたいな。入れてそのまま熱唱して盛り上がって二番の途中でコートを脱ぎだすというのが出てきたんで、それを詠んでみた。
村上永世名人 さすが10段。
カラオケでこのシーン思いつけるって「興味ない」って言ってたのに~。
本人 え、そうですか。え、まあまあ
「カラOK」ですか?(笑)
村上永世名人 これかなり「からOK」…。
天心 傷だらけよ(笑)。
★評価ポイント中七「二番の途中」の是非
■査定結果名人10段★3へ
1つ前進理由:
名人らしいリアリティー本人 うお~!
梅沢永世名人 素晴らしい。これだよ。
夏井先生 読んだ瞬間、
とても強いリアリティがある。コート着たまま入って、
そそくさと歌い出してちょいど二番の途中から体も温まって「よし、ここから!」とコートを脱ぎ捨てる。人物の顔・表情までありありと見えてくる。
それでいて、室内の中なのに季語「コート」が主役に立っている。ここが大事なポイントになっている。
浜田 素晴らしい。前進ですから直しは…。
夏井先生 要りません。
本人 ありがとうございます。
浜田 ジュニアが星を取り戻しました。
夏井先生 はい。
●解説のポイント |
とても強いリアリティがある コート着たまま入ってそそくさと歌い出す 二番の途中で温まって脱ぎ捨てる 人物の表情までありありと見える 室内だが季語「コート」が主役に立つ |
添削なし
冬の生活「コート」とカラオケ中の仕草を取り合わせた定型句。いかにも芸人らしい発想でカラオケと分かる情景が描かれています。「二番の途中」でサビ・大サビに向かって盛り上がる場面展開も活きており、現代的な光景句として一読して違和感もない描写。まさに意図的に成功した一句です。ご本人はカラオケに行かないようでしたが、芸人談話や飲み会などで情報通でしょうから発想の引き出しは多いはず。「コート」は衣類以外の意味もあるため、最後の「脱ぐ」の動詞も季語の押さえとして重要です。平井正敏氏の歳時記によると「コート」は女性が防寒用に纏う風俗とあり、華奢な光景に思うものが変わります。また、伝統俳句を重視する場合「カラオケ」は俗語として嫌う俳人もいます。ひとまず、現代的な光景で詩を作る点を認めたいところです。
★永世名人 村上のお手本★→<永世名人>・
村上健志(フルーツポンチ)は3連続掲載決定で残り25句。
村上永世名人 失敗を恐れず、句集になった時に
「うわ、村上の句集面白いね」って言われるようなチャレンジングな俳句を…。
清水アナ お~。
村上永世名人 持ってきましたね。
浜田 分かりました。
◆『暖房や (間奏約30秒)』 村上健志(フルーツポンチ)浜田 えっ?
【本人談】(カラオケで)1番と2番の間に間奏がある。するとモニターに括弧で「(間奏約30秒)」と出てくる。いったらそのことだが、「暖房」でその時間が暖かいとかを意識するとか、暖房にそういうのを託した。
ジュニア名人 これめちゃくちゃ良いと思います。この「間奏約30秒」の括弧っていうのを、
「あ~そのアイテムあったか~」っていうこの角度の切り口は芸人は行っときたかったと思いますね。やられた感あります。
梅沢永世名人 私はちょっとチャレンジに失敗したと思いますよ。「約30秒」、
「約」は要らないと思う!
浜田 あら。
梅沢永世名人 私は要らないと思う。
本人 でもカラオケの実際のやつって、大体「約」って書いてあるんですよ。
梅沢永世名人 私は要らないと!
本人 私は要ると思います!(笑)
梅沢永世名人 好きにしろよ。
■査定結果永世名人25句で掲載
ボツ理由:
まじめさで損しているジュニア名人 そうなんや。
本人 あ~!
夏井先生 まあ
この発想が非常に面白い。こう来たかと思う。
カラオケと書かずにカラオケを思わせる手法は色々とあると思うが、後半のフレーズを持ってきたのは大変良いアイデア。
何が真面目すぎて勿体ないか。
「
約」です。
ジュニア名人 うお~凄い!
夏井先生 実際…。
梅沢永世名人 (不満げにカメラに向かって)
撮らんか、俺を!(笑)。
ジュニア名人 撮ってますって。何台ある思ってるんですか。
夏井先生 これはホントに「約」。
村上さんは真面目に一生懸命誠実に俳句を作る人で、
作者は事実に誠実に書くべきと判断した。
本人 そうです。
夏井先生 俳句もそうだが、
文芸上の小さな嘘をつくことが作品として力を持ち出すことが実際にある。
人生・実生活の上で嘘をつくのはどうかと思うが、
俳句の上での虚構・フィクションはOK。
「約」がないだけで
季語の方にもう少し情報を添えることが出来る。
色んな方法があるが、敢えて「
暖房が熱い」と念押しする。
暖房とあれば「暑い」の字だと思う人も当然いる。
歌詞の一番を熱く歌った照れも含めて「熱」の字にした方が俳句としての面白みがある。前半のダメ押しによって、現場が立ち上がってくるところもある。
●解説のポイント |
発想が非常に面白い カラオケと書かずに思わせる後半のアイデア 御大が指摘した「約」が問題 作者は事実に誠実に書くべきと判断した 作品の上でのフィクションが力を持つ 季語に情報を添えたい 歌詞の一番を熱く歌った照れを含める 「暑」ではなく「熱」の方が面白みがある 前半のダメ押しで現場が立ち上がる |
添削後
『暖房が熱い (間奏30秒)』これぞ永世名人ならではの挑戦。冬の生活「暖房」とカラオケの画面表示の12音の文言の取り合わせです。「観覧車の列に春ショールの教師」以来、番組の予告動画で流れていた一句で、「約」議論も含めて紹介されていました。カラオケの場面を「(間奏約30秒)」と表現するズバ抜けた発想力は見事という他はなく、そこに屋内だと分かる「暖房」の季語を合わせることで、カラオケの場面を思いやすくする工夫にも脱帽します。放送前から
気になる点を感じていましたが、もはや素晴らしい措辞に対して唯一解とすべき季語が「暖房」で良いのかについて、恐らくご本人も相当悩まれたでしょう。また、後半も四二六とリズムが悪い点が不毛な「約」議論に繋がっています。添削では取り合わせから句またがりに変更されましたが、村上さん本人なら取り合わせのまま推敲すべきです。あくまでの例ですが「(間奏は約30秒)ポインセチア」ならクリスマスソングを歌う際に鉢植えのポインセチアが目に入ったなどの意味になり、この句を作られたご本人ならもっと素晴らしい形にできるはず。せっかくの発想をボツごときで腐らせずに完成させて欲しいものです。
浜田 「約」というのがね。
ジュニア名人 凄い。
梅沢永世名人 なんだお前、そんな…句集出すなんて、
冗談ポパイのほうれん草じゃ(笑)。
浜田 いやいや、ないねんって。さあ、村上さん。これは世に出せないんでいきましょう。せぇ~の、ドン!
(シュレッダー演出)
佳菜子 あ~!
本人 覚えといて下さい。アイデアは素敵だったって。
ジュニア名人 可哀そうに。可哀そうな。村上の良かったけどな。
梅沢永世名人 桜吹雪みたいだね。
清水アナ 残り25句のままです。
★永世名人 富美男のお手本★
→<永世名人>・梅沢富美男は残り2句だが5連続ボツと足踏み中。
浜田 ちょっと足踏みですね。
梅沢永世名人 思いっきり足踏みですね。今回はピシっと決めてきました。
浜田 なるほど。すいません、今回はお手紙とかそういうのはないわけですね。
梅沢永世名人 (ポケットから取り出す仕草を見せて)今回もお手紙…。
浜田 あるんですか?
梅沢永世名人 ないです(笑)。
浜田 なんやねん。
***
清水アナ シュレッダーに掛けられた俳句の紙で作った梅沢富美男像なんですが、思いのほかボツが多くてですね、紙が余り始めたので、夏井像も作ることになりました(笑)。
ジュニア名人 完成したん?
浜田 そうなの?
→再び梅沢富美男像をお披露目、隣には前回ボツ分の紙の塊がマッチ棒の先のように固められている
清水アナ 梅沢富美男さんのこの像が前回までに出来た分ですね。
佳菜子 え~!
清水アナ で、もっと紙が余ってしまったので、夏井像を。
梅沢永世名人 それは無理です!もう私あとポンポンと行くだけですから。このままで終わりますよ。
浜田 そうですか?
◆『榾の宿 主十八番の 夢芝居』 梅沢富美男※「榾(ほた)」は囲炉裏(いろり)やかまどの薪(たきぎ)のこと。
ジュニア名人 うわ~。
【本人談】「榾」は囲炉裏の中にポンポンと折ってくべるもの。私たちの世代は十八番(おはこ)が(自分の代表曲である)「夢芝居」なんです。(*1)これは私の実体験を詠んだ。
(*1)
本人 これは間違いないぞ、村上。
浜田 ハハッ。
本人 お前、田舎行ってごらん。「俺は梅沢さん、夢芝居が十八番なんだよ~」と。
浜田 なるほど。
***
村上永世名人 これは
「夢芝居」が良くないと思います(笑)。絶対他の曲の方が良い。
本人 失礼なことを言うな!昭和の名曲の…。
村上永世名人 「北酒場」の方が良い。
本人 100曲に入ってるんだぞ。
ジュニア名人 いやこれは、梅沢さんの句集買って読んで、やっぱ「夢芝居」はどっかに入れておいてほしい。これがもしボツならもう…
冗談富美男のズッキーニですね(笑)。
■査定結果永世名人48句で掲載
ボツ理由:
画角が緩いジュニア名人 うわ~。
本人 (頭を抱えてうな垂れる)。
天心 うわ~、ズッキーニだ。
(査定評後)
本人 何が!?何が画角が緩いんだ!(笑)
「夢芝居」使ってるんだ! 夏井先生 「画角が緩い」というのは、この
十八番は「夢芝居」だという人物が明確に見えた方が良いと思う。
「榾の宿」と
光景を大きくしてしまうより、薪をくべている手元や、くべている人間・人物が見えるように微調整した方が絶対に得。簡単なことだが、「榾
くべて」と動作を書くだけ。
「榾」が何だか知らない若い人たちも「くべる」で木の何かに違いないと。
「主十八番
は」と助詞を変える。
『夢芝居』と曲名は鍵括弧をした方が良いかもしれない。
色んな十八番を持っている人が囲炉裏に集まるが、「榾くべたこの主"は"」という風に「は」で強調できる。
申し訳ないけど、
「夢芝居」さえ諦めてくれたら、作品としてもっと良い…。
本人 (ブチ切れて)
諦めろだと!?(笑)馬鹿野郎!(→本人が脱いだ革靴を叩きつける)。
浜田 もう…。
本人 俺の…の唯一のヒット曲。
浜田 靴をもうどうすんの?(→本人の革靴を浜田がセット裏へ蹴り上ぐ)。
一同 (笑)。
浜田 もう~。
夏井先生 おっちゃん、ホントに
「夢芝居」さえ諦めてくれたら、もっと飄々とした良い句になる。「榾くべて」の後「(主)
十八番といふを唸り出す」とすれば、十八番が何かは言っていないが、
主人が十八番と言い張る歌をいきなり(囲炉裏の前で)唸り出すような、俳諧味があって良い句になる。
ただ、本人が絶対「夢芝居」を捨てるって言わない。
本人 そうだよ!
浜田 アハハッ。
夏井先生 じゃあ、もうこのまんまでボツで良いです(笑)。
●解説のポイント |
(伝家の宝刀「夢芝居」) 夢芝居が十八番の人物が見えた方が良い 「宿」と光景を大きくしてしまった 薪をくべている手元・人物が見えるように 色んな十八番を持つ人が囲炉裏に集まる 「は」で主の十八番を強調できる 「夢芝居」さえ諦れば作品の質が上がる (ブチ切れた本人が革靴を叩きつける) (その革靴を浜田がセット裏へ蹴り上ぐ) 十八番と言い張る歌を主人が唸り出す 俳諧味があり飄々とした良い句になる 「夢芝居」を諦めないならボツで良い |
添削後
『榾くべて 主十八番は 「夢芝居」』
『榾くべて 十八番といふを 唸り出す』
冬の生活「榾の宿」と自身のヒット曲『夢芝居』を取り合わせた定型句。「榾」は囲炉裏にくべる木材の燃料で、大変伝統的な季語。囲炉裏を見かける機会が減少した昨今とはいえ、ご年配らしい詠み口に味わいがあります。個人的に気になるのが「宿主十八番」と名詞が3つ重なる語順。「おはこ」の特殊読みも考えれば、一見して読みにくいと言わざるを得ません。ご指摘もございましたが季語「榾」の傍題に「榾の主(ぬし)」もあり、今回の句材ならそちらがベター。また、「夢芝居」に自惚れた印象は拭えないものの、曲名に括弧を入れなかったのは自身にとってはヒット曲で普通名詞化している意図があるといえます。さらに、『夢芝居』を歌う場面を考えれば囲炉裏よりはスナックでしょうし、この点は村上名人の『北酒場』が似合うという意見に納得です。ボツ続きで独善的な手法に出た御大でしたが、年内出演は1回あるか否かで、遂に句集完成は来年に持ち越しとなってしまいました。
浜田 さあ、永世名人申し訳ございません。
世に出せないので、せぇ~の、ドン。
(シュレッダー演出)
浜田 今日、永世名人お二人ともボツということで、ジュニアさんだけが一つ前進。
清水アナ 残りは2句のままです。
浜田 永世名人お二人はほんと次回頑張って頂かないとということでございます。
★次回12/8の兼題は「たい焼き」です。
消しゴムはんこで髪色を変えたジュニアさんが2ランク昇格した後半が俳句。兼題は「カラオケ」でした。大変現代的で俗な句材ですが、歌を歌う場面がゆえ歌詞やヒット曲に凝り過ぎると独善的になりがち。歌う場面で何に着目するかが大変重要で、ここは芸人勢が素晴らしい発想力を発揮しました。
季語は全員が冬。平場は天文「初雪」と時候「忘年会」「冬」「年の暮」。名人は「コート」「暖房」「榾の宿」と全員が生活季語です。1位・2位は恋を思わせる内容で、2位・3位は歌詞の内容にも焦点があります。また、最下位は「からOK」の駄洒落のインパクトが強く、1位と同様「忘年会」の内容。名人は、歌いながらコートを脱ぐ場面、モニターの画面表示に着目し、梅沢名人は十八番に「夢芝居」を持つ人物に固執し、それぞれの味わいを表現しました。ボツ査定となった二名も挑戦的だけに非常に惜しい結果なのが悔やまれる形になりました。
【追記】11月30日に放送された「サイエンスZERO」の俳句企画
「575でカガク!」(兼題:エアロゾル)で拙句「
雲量5天はプリズムなる溽暑」(本人談:全天の半分が雲に覆われるが晴天も見える空を屋上で観測すると光が反射するプリズムのよう。溽暑がなお光を増していく)が佳作に入選しました。夏井先生はじめ関係者の皆様、誠にありがとうございます。
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