2022年9月22日放送 プレバト!!
47都道府県の観光公認ポスターへの俳句掲載を懸けて挑む「ふるさと戦」。
特別企画「写真俳句」で出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※10月8日に更新済みです。お待たせいたしました。→記事ジャンプ【
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福島】➡ふるさと戦の
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挑戦者→<名人8段>千賀健永(Kis-My-Ft2)[57],<名人6段>中田喜子[58],<永世名人>梅沢富美男[173],○4△2×2 勝村政信[9],<4級>犬山紙子[17] ※[数字]は挑戦回数
リアクター:村上健志、横尾渉
●お題:磐梯吾妻レークライン(福島県)
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 愛知県出身 <名人8段> | ★千賀健永 (Kis-My-Ft2) | ラジオからソウル会津は初紅葉 | らじおからそうるあいずははつもみじ |
2 | 東京都出身 <名人6段> | ★中田喜子
| 秋燕レークラインの影ゆらら | あきつばめれーくらいんのかげゆらら |
3 | ★福島県代表 <永世名人> | ★梅沢富美男
| 赤べこの背なに揺られて山装ふ | あかべこのせなにゆられてやまよそおう |
4 | 埼玉県出身 | 勝村政信
| 山粧ひ一目惚れした吾も粧ひ | やまよそおいひとめぼれしたあもよそおい |
5 | 大阪府出身 <4級> | ●犬山紙子
| 秋色や窓ガラスから宇宙から | しゅうしょくやまどがらすからうちゅうから |
順位発表順:2位→4位→最下位→3位→1位【トーク集】
→俳句ふるさと戦、福島県。福島観光協会公認ポスター掲載を懸けたお題は、紅葉に染まる「磐梯吾妻(ばんだいあづま)レークライン」。3つの広大な湖が隣接する全長13kmの観光道路を訪れる人は年間10万人以上。
男性 福島にお客さんがたくさん来るように素晴らしい俳句を詠んでくなんしょ~! 磐梯山と紅葉が本当に綺麗なんですよ。福島を誇る大パノラマと言いますか、凄い絶景なんです。
***
店員 梅沢さ~ん。絶対勝って~。
***
女性 是非福島の顔の梅沢富美男さんに勝ってほしいです。
女性 梅沢富美男さーん。トミー!赤べこと一緒に応援してっかんない!頑張っぺなーい。
清水アナ 福島ふるさと戦にエントリーしたのは5人です。福島出身は梅沢さん、お1人だけ。
浜田 そうですね。
清水アナ そして下の段の4人は、梅沢さん相手なら自信ありという…(笑)。
梅沢永世名人 生意気。
浜田 これは梅沢さん、1人で背負ってますから。
梅沢永世名人 今の福島県(1950年・福島市出身)出身で有名どころと言ったら、梅沢富美男か西田敏行しかいませんので。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 だから、いかに私が大事かということを、福島県民の皆さま、是非よろしくお願い申し上げます。
浜田 勝てるんですね?
千賀名人 福島県出身で、しかも永世名人で。
浜田 そうですよ。
千賀名人 1位のフラグ立ち過ぎじゃないですか(笑)。ここはね。
浜田 何とか倒してね。
千賀名人 何とか勝ちたい。
***
浜田 これあんだけのこと言われてますから。
梅沢永世名人 もちろんですよ。福島県を私が背負っていこうじゃありませんか。
浜田 そらそうです。犬山さんは大阪なのに福島。
犬山 そうなんです。14歳の時に大阪から(福島の)お隣の宮城県に引っ越して、父と母がよくドライブで連れてもらい、裏磐梯によく行ってたんです。思春期の頃。
浜田 自信ありということで。
犬山 はい。
浜田 分かりました。
清水アナ 夏井先生の門下生の勝村政信さんは、先日の炎帝戦で上位10人に入り、5年ぶりに破門を解かれました。
浜田 でもあなた一応埼玉の人ですから。
勝村 (梅沢)名人もおっしゃってましたけど、ここんとこずっとお世話になっている西田敏行さんが福島県出身で。僕は(岸部)一徳さんと、西田さんと3人で…。
浜田 「ドクターX」やないか。
勝村 そうなんです。温泉旅行に福島に行ったりとか、そうなんです。
浜田 村上さん。どうですか、このメンツですけど。
村上永世名人 やっぱり、永世名人として梅沢さんには勝って頂かないと。
浜田 そらそうやんか。
村上永世名人 僕は、茨城県で1位になりました。
浜田 なりました。
村上永世名人 当然なって頂かないと。
浜田 分かりました。
清水アナ どこから開けましょうか。
浜田 2位。
梅沢永世名人 これならいいんじゃないですか。
犬山 入りたい。
梅沢永世名人 皆さんね、納得できるんじゃないですか。
中田名人 いいです。
浜田 福島ふるさと戦第2位はこの人!
▼2位は中田喜子
村上永世名人 でも、あ~。まぁいい。
中田名人 でも、でも嬉しい!
浜田 いいですいいです。
中田名人 ねっ、嬉しい。
梅沢永世名人 素晴らしいですよ。2位は素晴らしいですよ。
中田名人 素晴らしいですね、嬉しいな。ハハハ。
***
清水アナ 続いては何位を開けましょうか。
浜田 間空けて4位。
梅沢永世名人 まあ、4位ならね、しょうがないでしょ。
浜田 いきましょう。福島ふるさと戦第4位はこの人!
▼4位は勝村政信
梅沢永世名人 まぁまぁ。名誉な4位ですよ。
勝村 ありがとうございます。
浜田 最下位じゃなかった。
勝村 危ない、怖いわ。良かったでも。
***
清水アナ 続いては何位を見ましょうか。
浜田 かっちゃんの下、最下位。
千賀名人 う~わ。
梅沢永世名人 しょうがないでしょ。
犬山 あ~私だ。
浜田 いきましょう。福島ふるさと戦最下位はこの人!
▼最下位は犬山紙子
村上永世名人 調子落としてるな~。
千賀名人 あららら。
梅沢永世名人 しょうがないよね。
***
浜田 さあ、残っているのはこの2人。
村上永世名人 あれ、でもどっちが。
浜田 どう思いますか。
村上永世名人 福島の方はやっぱり、千賀さんの方がポスターになってほしいと思ってると思います(笑)。
千賀名人 いやいや…。絶対梅沢さんですよ。
村上永世名人 千賀さんの人気の方が、福島でも地元とか関係なく千賀さんの方が人気があると思うんで(笑)。
千賀名人 いやいや…。それはないですよ。
横尾名人 ここはやっぱ梅沢さんって言いたいところですけど、タイトル戦とか弱いんですよ(笑)。
浜田 言うてますよ。
梅沢永世名人 よくそんなこと言えるね(笑)。
***
浜田 ここまでくるとどうですか。千賀君。
千賀名人 福島県出身で永世名人ですし。やあ勝ててるかどうかって不安ですね~。
梅沢永世名人 3位は健闘したと思いますよ。
浜田 (舌打ち)
千賀名人 …なんか、勝てそうな気がしてきました(笑)。
浜田 さあ、いきましょう。47都道府県・福島ふるさと戦を制した第1位はこの人!
▼1位は千賀健永、3位は梅沢富美男(地元出身)
千賀名人 よっしゃ~!
村上永世名人 うわ~凄い。
千賀名人 やった。
中田名人 アハハハ。
浜田 第3位は梅沢富美男さ~ん。
村上永世名人 あれ?
浜田 唯一(地元出身者が1位を)獲れなかった。
千賀名人 福島だけですよね。
浜田 他3つは、全部出身者が獲りましたけど。
犬山 あぁ~。
村上永世名人 ビリとかじゃなくて3位。
梅沢永世名人 話聞かせて貰おうじゃないか!(笑)
村上永世名人 こ~わ。
横尾名人 怖いよ~。
浜田 そうですね。
福島県で俳句ポスターお披露目。現段階で作者を知らない。
男性 よいしょ。素晴らしい~。素晴らしいね。
女性 良い俳句です。
男性 凄く東北の情景が現れますよね。
女性 (作者が)梅沢さんなんじゃないかと(笑)。ソウルだから魂を感じる。
千賀名人 勘弁して下さいよ。
女性 私も梅沢さんが作られたのかなと。
→このポスターは千賀の名前を(右側)に載せて福島県で貼られます。
***
浜田 福島の皆さんは梅沢さんが作ってくれたと思ってましたけども。
梅沢永世名人 ……。
千賀名人 ソウル(=魂)が抜けてます。
浜田 ソウルがな。
千賀名人 ソウルが抜けてます、もう。
浜田 何にもしゃべれへん(笑)。
●それでは順位別に見ていきます1位
◆『ラジオからソウル 会津は初紅葉』 千賀健永(Kis-My-Ft2)▲写真左側に黒文字の明朝体の二行書き。
【本人談】ソウルは温かくてハートフルな曲が多いが、会津は歴史が深い地方だと思う。魂の曲を聴きながら向かっているみたいな。
村上永世名人 いや、ホントに何か素敵で、何か不思議。写真を見てるのに目を瞑りたくなる、そういう俳句。
本人 うわ、嬉しい。
夏井先生 "写真俳句"として味わう時に、さらに2倍3倍の味わいになった。
「ラジオからソウル」は、写真と合わせてみると運転中のカーラジオではないかと想像にスッと結びついていく。
「会津」という地名と「ソウル」との取り合わせの問題になる。
「会津魂」という言葉もある。
(会津若松城の)「利を求めず、義に生きる」と。
会津魂とソウルという音楽との間に、何らかの響き合いがあることを作者は信じて取り合わせたのも伝わってくる。
写真の中の、見事な紅葉の光景の中に一緒に読み手も入っていくような。
そして、村上さんの「写真なのに目を瞑りたくなる」、久しぶりの名言だと思う(笑)。
村上永世名人 お待たせしました。
夏井先生 直しは要らない。
本人 うわ、めっちゃ嬉しい。
浜田 はいということでございます。
清水アナ Kis-My-Ft2千賀さんには、福島県ふるさと俳人の証として、黄金のタスキが贈呈されます。
(→ミス福島の女性が千賀名人の元へ行き、タスキをかける)
●解説のポイント |
"写真俳句"としてさらに2倍3倍の味わいに 前半で運転中のカーラジオと結ばれる 音楽「ソウル」と「会津」の取り合わせの問題 「会津魂」という単語を思う 会津若松城の「利を求めず,義に生きる」 何らかの響き合いを信じて作者は表現したと伝わる 見事な紅葉の光景の中に一緒に入りたくなる 村上「写真なのに目を瞑りたくなる」は名言 |
添削なし
万葉集から使われる秋の植物「初紅葉」とラジオから流れた曲・地名を合わせた句またがりの一句。「紅葉山暮れて紫紺に匂う頃」と詠まれて浜田さんにもジュニアさんにも作者を疑われたのは6年も前。この句は「会津」という伝統的な文化を誇る場所と「ソウル」という音楽ジャンルが絶妙に呼応しています。出だしの「ラジオ」が補完的な聴覚情報として「紅葉」らしさを色づけますが、最大のポイントは「初」の字で、PRポスターに書かれた際に今年の紅葉のはしりは如何かと旅行したい気持ちがそそられます。唯一他県から制しましたが、秋の紅葉シーズンの広告塔としての反響も気になる次第です。
2位◆『秋燕 レークラインの 影ゆらら』 中田喜子▲写真右側に黒文字の太楷書体の三行書き。
【本人談】秋燕が南下していく時、すでにレークラインは木々の影が落ちている。骨休めをするために燕たちが…「骨休め」じゃなくて「羽休め」ですよ(笑)。ハハ…骨休め。止まった枝が少し揺れてその影がゆららって感じでね。
梅沢永世名人 これは良い句ですよ。
中田名人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 ただ(順位が不明な段階だが1位だと思う)私に勝てなかったのは「影ゆらら」です。
浜田 「影ゆらら」。
梅沢永世名人 え~。あれを少し変えていれば私を抜けたかもしれない。
夏井先生 "写真俳句"として考えた時、あの写真の中に「秋燕」を配するのはとても良い判断だと思う。
「レークライン」も、あの道は湖に続いているのだと想像させるため、決して悪くないとは思う。
ただこれを1位にするためにはどうするかが知りたいはず。それをやってみる。
「レーク」を「湖へ」と書いてしまう。
「ライン」は逆に不要になる。
「秋の燕の影」で「ゆらら」を「走る」と変えて、燕の影にする。
そうすると、あの写真の中にそのような秋燕がいるに違いないと。
動かない写真の中に、動く燕の映像を添えることができる。
こういうやり方を思い切ってやると、写真俳句としての味わい方がまた一段深まる。
こういうこと。
本人 …「影走る」。はぁ…なるほど…(笑)。
●解説のポイント |
"写真俳句"として「秋燕」を入れたのは好判断 「レークライン」も湖に続くことを想像させる 「ゆらら」を「走る」として燕の影の描写に 写真にそのような秋燕がいるに違いない 動かない写真に動く燕の映像を添える 写真俳句の味わいが一段深まる |
添削後
『湖へ 秋の燕の 影走る』
動物「秋燕」とレークラインに映る影の描写を取り合わせた定型句。晩春に日本に渡来し、秋に東南アジアへ大きく帰巣していく燕の発想に加え、「レークライン」と兼題の単語を持ち合わせることで、ご当地の広いパノラマの光景が際立ってきます。「影ゆらら」は木々の描写として適切ですが、遠景の燕の影の描写としては微妙。「レークラインの」の助詞の用法にも違和感があります。「湖へ」と一般用語に添削されましたが、語順を「レークライン秋の燕の影ゆらら(※添削は「走る」)」などとしないと明瞭な意味にはならないでしょうか。季語の学習量が人並以上の中田名人。推敲の難しさを痛感しますが、句会でも通用する実力を発揮しました。
3位◆『赤べこの 背なに揺られて 山装ふ』 梅沢富美男▲写真右側に黒文字の明朝体の三行書き。
【本人談】これを知ってる人じゃないと詠めない。(写真の)これはレークライン。福島には「赤べこ」という本当に有名な人形がある。色々良い事も悪いことも背負ってくれる赤べこさんがいる。頭をポンと押すと、(頭を前後に動かして赤べこの真似をし)カンカンカンカンと。ずっと揺れてる赤べこがいる。それにバスの一番後ろに乗って、このレークラインを走って…。(*1)それと同じように後部座席で揺られてふと見ると綺麗な紅葉が見えたなと。そういう句なんですけど。
(*1)
浜田 「赤べこ」ってどんな感じなんですか?
本人 こう。(頭を動かして)ペコペコ。(首の後ろを)チョイと押すとこうなる(笑)。
村上永世名人 上手いなあ、赤べこ。
横尾名人 上手い。
村上永世名人 上手いっすね~。
***
本人 どこが悪いんだ!
村上永世名人 こ~わ。
浜田 村上さん、どう思いますか。
村上永世名人 僕個人的に気になるのは、「赤べこの背中に揺られているようだ」ということと、「山装ふ」って季語自体も擬人的な季語なんで、擬人擬人ではあるよな~って思っちゃって。
本人 何が擬人だよ、赤べこ見たことあるのか!?(笑)
浜田 え、どんなんですか。
本人 え、ポンってやるとこう…(笑)。
村上永世名人 なるほど。
夏井先生 書きたいことは私にはちゃんと伝わる。
俳句として見た時、「て」が少しゆるいというのはある。
本人 ゆるい!?
夏井先生 ゆるい。
中七の「て」は要注意なところもある。
それから村上さんが指摘した点が大きい。
背中に揺られるかのように山が粧っていくということを本人が言いたいとしたら、比喩・擬人化が一緒になってお互いに損しているのは間違いなくある。
やってみる。
「揺られて」ではなく、「揺らるる」。"揺られるかのように"。
「山装う」は写真見たら、そのままの映像としてある。
写真の美しさを信じた方が絶対に得。
「ごとく」で比喩と明確にし、ゆっくりと「秋」が参りますねとする。
こうすると、秋という季語が大きく写真を包んでいくと。
これをやってたら、間違いなく1位に推してた…間違いなくじゃないな、2位にしてたと思う(笑)。
本人 いや、素晴らしい俳句です。そりゃ夏井先生が…当然このくらいやるでしょう(笑)。俺はもう福島には帰れないからな!(笑)
勝村 先輩。
●解説のポイント |
書きたいことはしっかり伝わる 俳句として「て」がゆるい 背中に揺られるかのように山が粧う意図 比喩・擬人化が一緒になって互いに損 「山装う」も写真にある映像で季語「秋」に 写真の美しさを信じた方が得 「ごとく」で比喩と明確に これをやってたら2位に上げていた |
添削後
『赤べこの 背なに揺らるる ごとく秋』
秋の地理「山装う」と赤べこのような人物の動作を取り合わせた定型句。「山笑う」「山眠る」などと同様、秋の華やかな明るさと寂しさを持ち合わせた四季ならではの美しさ。「赤べこ」は会津地方の張り子の郷土玩具で、「揺られ」の動作で映像を作っています。前半の措辞は「背なに」の助詞「に」が重要で、赤べこそのものが揺れているのではなく、比喩を表す用法。季語と色彩の感覚も似合っており、詠み慣れた俳人の句として出来上がっています。「て」と切れを作らなかったことが指摘され、原因結果とも取れる形に解釈されたのが大損で、本人の意図が伝わらず。「バス」の一単語があるだけでも後部座席の揺れをイメージしやすいでしょうが、比喩表現は分量が多くなりがちで、注意したい部分。茨城編では一行書きでしたが、なぜここでは三行書きとしたのか永世名人に伺いたい所存です。
4位◆『山粧ひ 一目惚れした 吾も粧ひ』 勝村政信▲写真左側に黒文字の明朝体の三行書き。
梅沢永世名人 何それ。
【本人談】レークラインに行ったのが紅葉の時で、紅葉の赤が美しくて景色に一目ぼれしてしまう。写真を撮ろうとした時、少し夕暮れで自分たちの頬まで赤くなって、一目ぼれしたことを自分たちが見つかってしまい、赤くなってしまったみたいな。
梅沢永世名人 何を言ってるんだか分からない。もう一度破門食らった方がいいんじゃない(笑)。
夏井先生 これは内容があまりにも面白くない句。
一同 え~!いや~良くない。
犬山 一番しんどい。
浜田 弟子には厳しいね。
千賀名人 絶対言われたくない。
夏井先生 これは厳しいとかそういうことでなく、本当に面白くない。
何が一番面白くないかっていうと、中七の「一目惚れした」っていうのが、どう考えても陳腐。
正直「一目惚れ」もバンと消したいところだが、消してしまうと作者が書きたいことが全然なくなってしまう。
「一目惚れ」は歯を食いしばって置いておく。
浜田 ハハハ。
夏井先生 ここから。
山の名前ぐらい、せめて書きません? この句の場合は、それぐらいしか書けない。
「粧へる」、この「山」に名前を書く。
浜田 かっちゃん、一言も喋らないな。
夏井先生 何の山ですか?
浜田 何の山ですか?かっちゃん。
本人 磐梯山です。
夏井先生 言う前にもう書いてます(笑)。
犬山 厳しい。
千賀名人 厳しいよ。
梅沢永世名人 いい!
村上永世名人 空気悪!
夏井先生 「粧へる磐梯山に一目惚れ」。
一応言いたいことはこれで書けるが、これを"写真俳句"として写真と取り合わても、本当に面白くないんです(笑)。
もうこれはね、写真に対して失礼というそんな感じになります。
以上です。
浜田 ハハ…かっちゃん、かっちゃん。
本人 ……。
千賀名人 その顔初めて見ましたよ。
本人 割と…傷ついてます(笑)。
千賀名人 そうですよね。
●解説のポイント |
内容があまりにも面白くない 中七がどう考えても陳腐 「一目惚れ」は歯を食いしばって置いておく 山の名前をせめて書きたい 答える前に「磐梯山」と添削している "写真俳句"としても本当に面白くない 写真に対して失礼という感じ |
添削後
『粧へる 磐梯山に 一目惚れ』
秋の地理「山粧ふ」と紅葉にみとれた自身の頬が赤くなったことを意図した定型句。一気に評価が落ちる印象ですが、危険なテクニックの多用で冒険しており個人的には解釈に迷いました。季語は「ひ」で措辞に繋がりますが、原因・結果と取られかねないのが難点。「吾も」という人物を入れているため、「一目惚れ」の対象が「君」か「山」かで迷います。「吾も粧ひ」は自身の頬が赤らめた意図なのか、山の紅葉を見て誰かに一目惚れしたことを恥ずかしそうに口紅でも塗って化粧している自分を意図しているのか。この句は比喩でない解釈をした方が救われますが、「粧ひ」のリフレインも相まって「陳腐」「野暮」の一言で多くの読み手は片付けてしまうでしょう。散々に言われて放心状態となった勝村さん。心からリベンジを願うばかりです。
5位◆『秋色や 窓ガラスから 宇宙から』 犬山紙子▲写真中央に黒文字のゴシック体の三行書き。
【本人談】天も凄く高い。福島の山々だと感じていて、窓ガラスから景色をドライブしながら見ている。実は気象衛星とか宇宙からも日本の紅葉って見えて、宇宙飛行士の油井(ゆい)さんが写真をアップしていたりする。この景色は秋の高い空のその先の宇宙からも見えて繋がっているのだという気持ちで。
村上永世名人 でも、これはさっき(大阪ふるさと戦の最下位)と違って。ごめんなさい。さっきって言っちゃって。
本人 ウフフ。
村上永世名人 チャレンジングが失敗した。面白いと思うんですけど、「秋色」ってこれ紅葉だけに限らないので、秋の色なんで、これはキッチリ紅葉の方が良かったのかな。
本人 あぁ。
梅沢永世名人 私は福島県人として言わせてもらいますけど、4位と5位は福島ナメてませんか?ホントに何を言ってるか分かりませんよ。
浜田 めっちゃキレてるやん。
夏井先生 これはホントに何を言いたいのか分からなかった。
どうやって直すかはご本人の話を聞くしかない。一生懸命聞いていた。
季語「秋色」は秋らしい光景のこと。
村上さんが仰ったように、「紅葉」ならそう書いた方がいいと。私もそれに賛成する。
お話を聞くと、「宇宙」の方にあなたの言いたいことが凄くあるように思えた。
「宇宙から紅葉」から始め、「見えるといふ話」辺りで着地するしかない。
これぐらいなら、あの写真と取り合わせても何とかならなくもない。
本人 出直します(笑)。
夏井先生 はい。
●解説のポイント |
何を言いたいのか分からない どう直すかをは本人の話次第だった 季語は秋らしい光景 紅葉ならそう書いた方がいい 「宇宙」からが重要な意図 「いふ話」で着地するしかない あの写真と取り合わせても何とかなる |
添削後
『宇宙から 紅葉見えると いふ話』
秋の天文「秋色」を遠景から眺めることを詠った定型句。自然科学に発想した詠み口で「紅葉」などの気配を車窓などの「窓ガラス」、気象衛星の「宇宙」に発想して壮大に季語を表現なさった意欲は挑戦的ですし、初心者が憧れる発想法です。後半を並列としたことで焦点がぶれて三段切れとなり、「秋色」の具体的な季語の光景が見えてこない表現に。村上名人の指摘はさすがという部分。添削の「いふ話」は伝聞の用法として時たま用いられますが、ここでは宇宙飛行士や気象予報士から聞いた話なのかと想像がつきます。ふるさと戦に2句挑戦した4名の中で唯一結果を残せませんでしたが、様々な発想法に挑戦して狼狽えている段階にも思いました。
★10/6は通常回。お題は「店のオープン」です。
俳句のみの2時間スペシャルは、47都道府県の観光課などとタイアップした特別企画。各都道府県単位で、ご当地に携わる5~6名の芸能人がランキングに挑戦。見事1位の句を詠んだ人がご当地の「ふるさと俳人」となり、黄金のタスキが贈呈される他、PRポスターとして写真と共に句が掲載される新企画です。
今回は「写真俳句」による形式が取られました。普段の兼題でも写真が出題され、発想力や描写力が重要になりますが、今回に写真と添える俳句としてフォントや掲載位置なども指定できる形。俳句の出来のみならず、写真と合わせて相乗効果を生むかという判断基準がありました。俳句では、季語と措辞との「つかず離れず」がよく言われますが、今回は写真と俳句との「つかず離れず」も重要で、この点で雰囲気を膨らませられるかがポイント。今回は都道府県のPRも兼ねているため、地元らしい用語を用いるかも大切で、芸術的な要素が一気に増えた印象でした。
季語は全体的には秋のものが中心でしたが、「冷酒」は夏、「浮寝鳥」は冬の季語で、当季雑詠でなくても許されたようです。1位の句の中でご当地のワードを用いたのが篠田さんの「中洲」「ホークス」、千賀さんの「会津」。ゆうちゃみさんと村上さんは「五秒」「失っていく」に微かな時間経過を想像させる手法が効果的でした。また、2句挑戦したのが4名(梅沢名人・志らく名人・中田名人・犬山さん)いましたが、いずれも優勝できず。特に犬山さんにとっては厳しい結果を突き付けられました。
今回は4府県のみでしたが、好評であれば今後も立候補した県によって続編があるかもしれませんし、レベルアップを兼ねてタイトル戦のように人数を増やして本格的にランキングを競うこともあるのかもしれません。
さて、9月30日に六代目三遊亭円楽さんが亡くなられました。謹んでお悔やみ申し上げます。当ブログでは全俳句一覧記事も更新をしていますが、番組では10月6日に追悼企画として生前の俳句の軌跡が放送されます。他の出演者の動向も見守りたい所存です。円楽師匠の句風には大変憧れますし、今後も目標としていきたい次第です。
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