2022年9月22日放送 プレバト!!
47都道府県の観光公認ポスターへの俳句掲載を懸けて挑む「ふるさと戦」。
特別企画「写真俳句」で出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※10月7日に更新済みです。お待たせいたしました。→記事ジャンプ【
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挑戦者→<2級>篠田麻里子(元AKB48)[19],<名人6段>立川志らく[55],<5級>武田鉄矢[6],<名人10段★3>千原ジュニア[80],<名人10段★1>横尾渉(Kis-My-Ft2)[63] ※[数字]は挑戦回数
リアクター:梅沢富美男、藤本敏史
●お題:中洲の屋台(福岡県)
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | ★福岡県代表 <2級> | ●篠田麻里子 (元AKB48) | 中洲の満月ホークスの白星 | なかすのまんげつほーくすのしろぼし |
2 | 東京都出身 <名人6段> | ★立川志らく
| 冷酒に心の月を入れて呑む | ひやざけにこころのつきをいれてのむ |
3 | ★福岡県代表 <5級> | ●武田鉄矢
| 大将とこほろぎさがす屋台かな | たいしょうとこおろぎさがすやたいかな |
4 | 京都府出身 <名人10段★3> | ★千原ジュニア
| 常連に席譲られし秋の夜 | じょうれんにせきゆずられしあきのよる |
5 | 神奈川県出身 <名人10段★1> | ★横尾渉 (Kis-My-Ft2) | 豚骨の湯切り良夜のご報告 | とんこつのゆぎりりょうやのごほうこく |
順位発表順:2位→3位→4位→最下位→1位【トーク集】
※福岡県観光課がホームページで発信している写真からお題に選ばれた一枚は「中洲の屋台」。夕方5時ころから那珂川(なかがわ)のほとりに活気づく屋台街の数は400軒以上。
一同 福岡の俳句がめっちゃ伝わる俳句を期待しとうよ~!
女性 屋台発祥と言われている明太卵焼きとか、焼きラーメンとか。並んででも食べたい逸品です。
店主 屋台がないと博多じゃないでしょ。ハハハ。ここで出会われて遠距離恋愛で結婚された方もいます。
***
男性 是非福岡県の顔である武田さんに勝って頂きたいと思ってます。
男性 篠田さんにも頑張ってほしいと思います。
→上段2名に福岡県出身、下段3名は福岡が好きで好きでたまらない名人たちが座る。
浜田 さあ、先生。この福岡県の皆さんの出来はいかがでしたでしょうか。
夏井先生 俳句はもう総じてレベルが高い。もしね、団体優勝があるなら、福岡が優勝です。
浜田 え、マジで?
ジュニア名人 え~嬉しい。
***
→<5級>武田鉄矢は1949年・福岡市出身。
浜田 福岡県ですから、ここは取っとかないと。
武田 そうですね。
浜田 前に獲らせるわけにはいかないでしょ。
武田 これはね。他県人ですから。
浜田 そういうことですよ。ハハハ。
→<2級>篠田麻里子は1986年・糸島市出身。今年8月に夫と別居、9月に離婚調停中と報じられた。
篠田 よろしくお願いします。
浜田 なんか、ごちゃごちゃしてまんな。
篠田 ハハハ。はい、頑張ってます。
浜田 あ、頑張ってる。
篠田 はい、頑張ってます。藤本さん。
藤本名人 「藤本さん」あらへんがな。先輩みたいに言うな(笑)。
浜田 自信のほどはどうですか。あなたやっぱ福岡県出身ですから。
篠田 福岡の愛は誰にも負けないと思います。
浜田 あら…だから鉄矢さんにも負けてられないってことですよ。
篠田 鉄矢さんにも負けたくないですね。
浜田 そうですよね。前の3人も当然負けたくない。
篠田 負けたくないです。
浜田 なぜなら今、頑張ってるから(笑)。
***
浜田 さあ、ジュニアさんどうなんですか。福岡。
ジュニア名人 めちゃくちゃ好きです。あのレギュラー番組もやらせてもらってましたし。
浜田 あ、そうなんや。
ジュニア名人 ホントに晩御飯にもちょっと行こうかみたいなんで、飛行機また空港から(街が)近いから。
浜田 はぁはぁ。
ジュニア名人 だからもうホントに福岡にはお世話になっております。それをお返ししたいなという気持ちだけで本日やって参りました。
浜田 分かりました。横尾君はどういう?福岡。
横尾名人 僕たちKis-My-Ft2はライブでよく行かせてもらいますし(過去福岡で11回コンサート)。
浜田 あ~なるほど。
藤本名人 ちなみに屋台は?
横尾名人 Kis-My-Ft2全員で行かせて貰いました。
藤本名人 行ってるのね。
浜田 志らくはんはどういうことなの?
志らく名人 今でも定期的に博多で落語の独演会を。いっときはね、志らく四季の回といって春・夏・秋・冬、年に4回博多で独演会をやってました。
浜田 そうなんですか。
志らく名人 だから私が勝てば、福岡の落語ファンが喜ぶ。
浜田 なるほど。
***
浜田 篠田さんどうでしたか。このお題は。
篠田 やっぱ福岡といえば屋台ですよね。どこを切り取って俳句にしようかなと思ったぐらい色々魅力がある。
浜田 なるほど。さあ鉄矢さん、どうでしたか。このお題は。
武田 他県人に説明しといた方がいいかなと。福岡代表としては。
浜田 はいはい。
武田 屋台のプライドというのがありまして、物凄く一流店並みにプライドが高い。
浜田 なるほど。
武田 「私は屋台を経営して息子を九大に入れました」とか。それと仰っておりましたが、何と申しますかね…福岡…。
浜田 長いな!(笑)
ジュニア名人 もうちょっとやったんですけどね(笑)。
清水アナ それでは結果が届いております。
浜田 はい、いただきます。
梅沢永世名人 レベルが高いと。
清水アナ 何位から見ますか?
浜田 まあ、3位…2位。
ジュニア名人 2位。
浜田 いきましょう。第2位はこの人!
▼2位は立川志らく
横尾名人 志らくさん。
ジュニア名人 いやいや。
浜田 ほらほら。他県が2位に入りました。
***
清水アナ さあ、それでは続いては何位を見ましょうか。
浜田 じゃあ、1個下。3位。
横尾名人 3位でもいいと思うんだよな。
浜田 3位でもいいと思いますよ。福岡ふるさと戦第3位はこの人!
▼3位は武田鉄矢(地元出身)
武田 はぁ…。
浜田 フッ。
武田 いやいや。ちょっと不本意ではありますが、まぁいいや。
浜田 まぁまぁ。3位ですから。あとはもう篠田しか残ってませんけど。
篠田 え~!
武田 頼むよ!
***
浜田 さあ、残っているのはこの3人。
ジュニア名人 かぁ~。
浜田 これはもう鉄矢さんの下、4位。1位と最下位残しましょう。
ジュニア名人 分からんかったもんな~。
浜田 何をごちゃごちゃ言うてん(笑)。福岡ふるさと戦第4位はこの人!
▼4位は千原ジュニア
ジュニア名人 …そうやな。
藤本名人 ジュニア。
浜田 ここはヤバなってきたぞ。
篠田 怖~い。
浜田 これはヤバなってきた。
横尾名人 ヤベェぞ。
***
浜田 さあ、皆さん。残っているのはこの2人。
ジュニア名人 これはもうね。
浜田 ハハハハ。
ジュニア名人 上からマリコでしょ(笑)。
篠田 ハハハ、頑張りたい。
藤本名人 下からじゃなくて?
ジュニア名人 いや上からでしょ。
篠田 え~いけるかな?
浜田 ごちゃごちゃマリコ、いけ!(笑)
藤本名人 ごちゃごちゃマリコはちょっとな~。
浜田 さあ、いきましょう。福岡ふるさと戦第1位はこの人!
▼1位は篠田麻里子(地元出身)、最下位は横尾渉
篠田 え、凄い!
武田 良かった。
篠田 やった!
ジュニア名人 これは嬉しいよ。
→ランキングシートは全員が立ち上がって祝福する
篠田 ホントですか、え?凄い。
ジュニア名人 これはいいよ!
藤本名人 はいはいはいはい。横尾はいはい。
浜田 最下位はキスマイ横尾君でした。
篠田 早い、行くのが。
梅沢永世名人 何したの?
篠田 凄~い嬉しい。
福岡県庁で俳句ポスターお披露目。現段階で作者を知らない。
一同 (拍手)
女性 中洲の賑やかさとホークス観戦の賑やかさとかも相まって情景が出てくる句だと思いました。
女性 (作者を聞かれ)それはもう、金八先生ですかね。漢字がいっぱいあるから(笑)。
→このポスターは篠田の名前を(左側)に載せて福岡県で貼られます。
●それでは順位別に見ていきます1位
◆『中洲の満月 ホークスの白星』 篠田麻里子(元AKB48)▲写真右側に白文字の明朝体の二行書き。
【本人談】福岡代表として、福岡で一番屋台が盛り上がる日を句にしてみた。中洲の美しい満月に(福岡ソフトバンク)ホークスの白星を飾るそんな素敵な日がある。観光で来た皆さんに一番盛り上がる日を体感して頂きたいなと思った。
武田 上手い上手い。
ジュニア名人 これはもう街中に貼った方がええわ。福岡のPR上手い。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 これはね、私個人的な意見ですよ。言わしてもらいます、皆さんに怒られても嫌われてもいいと思ってます。この俳句のレベルでいくなら、私は志らくさんが1位だと思います。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 ただ、写真俳句でいくんだったら…これかな。
浜田 なんで、そんな言い方すんなや(笑)。
藤本名人 分からんでもないですけど。
武田 私からいいですか。
浜田 はいはい。
武田 この俳句は優れてますね。なぜか。音が聞こえる。
浜田 ハハッ。
武田 音が中洲の満月がこうこうとあって…。
浜田 分かりますよ。
武田 屋台が「♬玄界灘の…」。
浜田 うるさいねん!もう!
武田 「♬いけいけ!ホークス!」
浜田 うるさい!うるさいって!鉄矢~!
武田 (俯いて)はい。
藤本名人 フルコーラス。
夏井先生 おっちゃんの言ってることは僻んで言っているわけではない。
作品の出来だけであれば私も2位の志らくさんに軍配を上げると思う。
ただ、"写真俳句"となった時、「写真×俳句」の掛け算の効果が何倍にもなるという作品になる。
このまんまでも勿論良いが、語順を逆にすると季語がより残ってくる。
「ホークスは白星中州には満月」と。
梅沢永世名人 なるほど。
夏井先生 そうすると、先に「ホークス」が出て「白星」。
みんなが歌っている。
そして、カメラが引いていくと中州の満月がポッカリと映ってくる。
この写真の外側にある情報だけで取り合わせをしてきている。
そうすると、語らなくてもこの「写真×俳句」で何倍もの効果を発揮する。
今回、2・3・4位は作品の出来としては何の文句もない。
浜田 ハハハ。
横尾名人 先生、先生。5位は?もうそこは5位言いましょう。
夏井先生 5位は"写真俳句"として将来性を期待する(笑)。
横尾名人 救われました。
清水アナ 篠田さんには、福岡県ふるさと俳人の証として黄金のタスキが贈呈されます。
(→着物姿の観光課の女性が篠田の元へ行き、タスキをかける)
●解説のポイント |
作品の出来だけなら2位に劣る ただ"写真俳句"の掛け算の効果が見事で何倍にも 語順を逆にするとより季語が残る 写真の外側の光景だけで取り合わせた 語らなくても写真×俳句で何倍もの効果を発揮する 2~4位は作品の出来として文句なし 5位は"写真俳句"の将来性を期待する |
添削後
『ホークスは白星 中洲には満月』
旧暦8月15日を指す秋の天文「満月」を用いた活気のある対句表現の一句。雪月花としてお馴染みの季語「月」の傍題は沢山あります。光景描写の遠景を指す前半に対し、地元の野球球団の勝利を指す後半は動きにくい措辞。元来は相撲用語の「白星」は様々な競技にも使われ、季語「満月」と呼応。地名と天文が2つ結ばれた形で、屋台の写真から祝い酒を飲む景気の良さも伝わってきます。添削はありましたが、ポスターは原句通りで十分でしょう。まさか篠田さんが詠まれたとは思いにくいかもしれませんが、地元PRに打ってつけの作品となりました。
2位◆『冷酒に 心の月を入れて 呑む』 立川志らく▲写真右側に白文字の明朝体の三行書き。
【本人談】「心の月」が季語。「心月」(※悟りが開けた境地を月に喩えている)、物凄い悟りを開いたような清らかな気持ち。お酒を飲むときは比較的グダグダ呑むが、この写真には見えてないが月が綺麗で心を澄みやかに吞みたいという光景。
梅沢永世名人 これはいい俳句じゃないですか!これ2位ですよね。
浜田 2位なんです。
梅沢永世名人 じゃあ1位は半端じゃない俳句を詠んでるってことですよね(笑)。
藤本名人 そうですね、これは。
夏井先生 俳句として読んだ時のよろしさがしっかりとある。
私は(「心の月」ではなく)「冷酒」の方を季語として読んだ。
「心の月」は悟りが開けた境地を月に喩える意味合いが強い。
この句は一句独立で十分に味わえる作品だと思う。
そして、今日の"写真俳句"として考えた時、あの屋台の写真にこの句が入っても十分成立する。
ホントに福岡県は予算が許すなら、これも半分ポスターにしてあげてほしいくらい(笑)。
ただ、順位をつける時に、やや損な部分もある。
この写真は屋台の賑やかさ・ざわめきがあの写真の中にパッキングされている。
この句は、静けさの中でしみじみと呑む。
写真のあの雑踏の中での「心の月」では微妙に損をする。
これは他の写真と合わせると、いかようにも凄いことになる。
例えば夕焼の中に湖がある風景写真。
こういう写真なら、しみじみと清らかで迷いのない心で冷酒を呑んでいると。
別の写真、電球1つだけの灯りの写真。
こうなると、句の意味すら変わってくる。
悟りが開ける境地に憧れるが、なかなか思うようにはいかない。
そういう、逆の意味での味わいとしてこの句として立っていく。
面白い句を作って下さったと感心している。直しは要らない。
梅沢永世名人 いい俳句だもの。
横尾名人 凄いわ。
●解説のポイント |
俳句として詠んだよろしさがある 一句独立で十分に味わえる作品 "写真俳句"として屋台の写真でも成立する句 予算が許せばこれもポスターにして 写真の雑踏の雰囲気に「心の月」が微量似合わない 他の写真と合わせれば凄いことになる 面白い句を作ったと感心している |
添削なし
晩夏の生活季語「冷酒」と秋の天文「心の月」を合わせた季重なりで酒を嗜む定型句。後半がとても詩的な措辞で、現場の「冷酒」を引き立てるのは、季重なりだからこその挑戦です。「心月」は「月」の傍題で、「いかでわれ心の月をあらはして闇に惑へる人を照らさむ」の和歌に収められるように、清く正しい心を月に喩えていますが、その月と対照的に煩悩まみれの衆生を指すかのような仏教的観念があります。なにせ酒好きなど修行僧からしたらもってのほか。「心の月」など持てない酒好きの逆説的な心境を「心の月を入れて呑む」に表現されたのかもしれません。
3位◆『大将と こほろぎさがす 屋台かな』 武田鉄矢▲写真右側に白文字の楷書体の三行書き。
本人 上手いっすね(笑)。ほのぼのとしたユーモアがありますよね。
浜田 自分で言う?(笑)
藤本名人 自画自賛。
【本人談】私が知る博多の屋台は博多川のほとりにある割とポツンとした屋台。そこに座ると中から蟋蟀の鳴き声がした。それで大将と二人で屋台の下を覗き込む。踏み潰しては可哀想で、蟋蟀を探しているという。
夏井先生 俳句として凄く良いのは仰る通り。
ほのぼのとしている。
大将と二人で蟋蟀を探すということは、鳴き声のみが聞こえている。
あれ?どこにいるんだろう?とその人物の動きも見えてくる。
今日の"写真俳句"となった時、あの写真には賑やかな声・ざわめき・雑踏がパッキングされている。
そうなった時、主役となる季語「こほろぎ」の声が聞き取りにくい。
写真と俳句を合わせたことで損をする点がちょっと出てくる。
ここの写真俳句のメカニズムは理解して頂けるかどうか。
仰られたように、あまり人のいない屋台や、屋台の椅子だけ、客の手元のアップとか。
そういう写真に合わせると、これは俄然写真俳句としても力を発揮する。
でもホントに良い句。
直しは要らない。
浜田 2位3位が直しなしですから。
●解説のポイント |
ほのぼのとした良い俳句 二人で蟋蟀を探す人物の動きと鳴き声が聞こえる "写真俳句"は賑やかさに対して季語の声が聞き取りにくい 写真と俳句を合わせると損をする 人のいない屋台や椅子・手元のアップの写真に添えたい |
添削なし
秋の動物「蟋蟀」を探す人物像に焦点を当てた屋台の実感を伴う定型句。平安時代まではコオロギを「螽斯(キリギリス)」と呼ぶなど混同しやすい昆虫ですが、人家の近くでどこか寂し気な鳴き声をする一般的な虫だけに、屋台に潜むこともありそうな印象。鳴き声の主を尊重するように探す仕草に加え、「店主」ではなく「大将」としたことで屋台をイメージしやすくし、人情の厚みや生き様まで感じ取れます。中七を全てかな表記にした点が多少気になる部分ですが、旧仮名遣いが「かな」の詠嘆と似合っています。ご指摘の通り持ち味を発揮した一句です。
4位◆『常連に 席譲られし 秋の夜』 千原ジュニア▲写真右側に白文字の明朝体の三行書き。
【本人談】これは実際にあった。屋台に行って(客で)いっぱいで、「あぁかまへん俺開けたるよ~」みたいな。常連がいるということは、歴史もあるし、賑わってもいる。席を譲っていただく県民の優しさとか。お邪魔している者の「ありがとうございます」とかっていうのを、写真で屋台とかラーメンとかは入っているから、それを入れずに俳句だけを見た時(写真が)分からないのはOK?なんかなと思ってた部分もあった。
浜田 みんなそこ悩んでるよね。
梅沢永世名人 (かぶせて)難しいね、写真俳句は。
浜田 横尾君ちなみにどう思われますか?(梅沢名人に)いま、喋ってるから(笑)。
横尾名人 僕の番です。僕の番です。
浜田 メガネ割るぞ!(笑)
夏井先生 これも良い句。
どういう場所かがありありと分かる。
常連に席を譲ってもらったことを切り取るだけで飲み屋や屋台を思う。
最後の「秋の夜」もあんまり無理した季語を持ってこないで、静かにまとめているのもとても良い。
これが"写真俳句"になった時の微妙な判断。
あの屋台の写真の中に常連に席を譲られている光景はあるに違いないとありありと想像できる。
ただ、あの写真とこの俳句の場面が同じように存在する。
写真と俳句が同じような存在で、「1+1=2」という世界を作っている。
それはそれで悪いわけではない、"写真俳句"の醍醐味は、「写真×俳句」で掛け算の効果を生み出すことが出来ること。
ジュニアさんならまだまだとんでもないことを思いつくのではないかと、密かに期待をしている。
添削なしでも良い句。
横尾名人 あぁ。レベル高い。
浜田 凄いよね。
●解説のポイント |
これも良い句で場所がありありと分かる 常連に席を譲ってもらう飲み屋や屋台の実感がある 無理した季語ではなく静かにまとめている "写真俳句"での判断で順位が下がる 写真と俳句の場面が同じように存在する 1+1=2の世界が悪いわけではない 写真×俳句で相乗効果を生み出したい この人ならではの驚愕の発想に期待している |
添削なし
時候「秋の夜」と実感を伴う屋台の光景を描写した一句。常連に席を譲られた経験がなければ、このようなリアリティーを持つ光景は書けません。季語の選び方も順当で、夜の時間帯が店を包み込む情緒もありますが、この季語を別のものにする挑戦もアリでしょうか。写真その物の描写という印象で評価が下がりましたが、広く光景を切り取る方が写真俳句では評価されるのかもしれません。
5位◆『豚骨の湯切り 良夜のご報告』 横尾渉(Kis-My-Ft2)▲写真右側に白文字のゴシック体の二行書き。
【本人談】店主の方が湯切りをしている時、同僚や上司に良い報告をしているという句。
ジュニア名人 これだからラーメンがあるんで、どこまで出したらいいのか分からないですけど。「豚骨」か「湯切り」かどっちかで良かったのかなと思うんですけど。
浜田 なるほどね。
藤本名人 あ~。
武田 ちょっといいですか。
浜田 どうぞ。
武田 これね、上手いなと思うのは博多の屋台を捉えてるなと思うのは「良夜のご報告」ですよね。何かとても良いことをご報告してるでしょ。博多ってのは、屋台でプロポーズとかそういうことがあり得る県なんです。なっ。
篠田 はい。
浜田 今、ごちゃごちゃしてますから(笑)。はいはい。
ジュニア名人 ちょっとちょっと。
浜田 よりにもよって篠田に「なっ」って言うのは(笑)。
夏井先生 作品としてはなかなか面白い所を狙ったと思う。
湯切りをしている場面で良夜の良い報告をしている。
手に取るようにわかる。
ただ、この「湯切り」から「良夜」に移る流れが少し損。
「良夜」(※月の明るい美しい夜、主に中秋の名月の夜)は、月の美しい夜だが「湯切り」から「良夜」にポンと飛ぶと、「湯切り」の方が印象が強く残って季語が沈んでしまうのが勿体ない。
さっきジュニアさんが仰ったように、「豚骨」か「湯切り」かどちらかにするのが的確な考え方。
「良夜」の季語を活かすには、例えば「スープ」「香り」など。
本人 まんまで良いんだ。
夏井先生 そうそう。
あんまり動作を出さない方が「良夜」にポンと行ける。
そして「豚骨のスープ」などとすれば、むしろこれは"写真俳句"としてとても面白い作品になっていく。
●解説のポイント |
なかなか面白い所を狙った作品 湯切りの場面で良い報告をしたと読み取れる 「湯切り」から「良夜」への流れが損で季語が弱まる 「豚骨」「湯切り」の片方に絞るのは的確な助言 動作をあまり出さない方が季語に行ける 添削後なら"写真俳句"として大変面白い |
添削後
『豚骨のスープ 良夜のご報告』
『豚骨の香り 良夜のご報告』
秋の時候「良夜」は中秋の名月の夜を主に指します。その愛でたい報告とラーメン屋の湯切りの動作とを句またがりで取り合わせた一句。横尾さんが得意な「○○の△△」の対句表現です。言葉の選び方は巧みですが、「湯切り」は麺をイメージしやすいため、「豚骨の湯切り」が少々引っ掛かるでしょうか。やはり「スープ」などと入れて動作ではなく物を出した方が得です。季語を入れた後半を活かすなら対句表現にしない方法もありますが、上五を「中華屋の」などと場所を明確にするのも一手。タイトル戦を含めてランキング最下位を初めて味わいましたが、今後の復活に期待しましょう。
※編集後記は「ふるさと戦4」の記事に一括して掲載します。
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