2022年9月22日放送 プレバト!!
47都道府県の観光公認ポスターへの俳句掲載を懸けて挑む「ふるさと戦」。
特別企画「写真俳句」出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※10月7日に更新済みです。お待たせいたしました。→記事ジャンプ【
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挑戦者→<永世名人>村上健志(フルーツポンチ)[74],<永世名人>梅沢富美男[172],<5級>的場浩司[10],<名人6段>中田喜子[57],△1 石田たくみ(カミナリ)[2] ※数字は挑戦回数リアクター:森口瑤子、犬山紙子
●お題:[霞ヶ浦の鉄道]北浦橋梁を走る列車(茨城県)
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | ★茨城県代表 <永世名人> | ★村上健志 (フルーツポンチ) | 秋夕焼へ音失っていく列車 | あきゆやけへおとうしなっていくれっしゃ |
2 | 福島県出身 <永世名人> | ★梅沢富美男
| 車窓より鹿島祭りの灯のはるか | しゃそうよりかしままつりのひのはるか |
3 | 埼玉県出身 <5級> | 的場浩司
| 秋暁や湖に童話の一頁 | しゅうぎょうやうみにどうわのいちぺーじ |
4 | 東京都出身 <名人6段> | ★中田喜子
| 星合や長き鉄橋ひた走る | ほしあいやながきてっきょうひたはしる |
5 | ★茨城県代表 | 石田たくみ (カミナリ) | 水澄むや湖上の列車とシャッター音 | みずすむやこじょうのれっしゃとしゃったーおん |
順位発表順:3位→最下位→4位→2位→1位【トーク集】
※番組開始10年の大型新企画。各1位の句は都道府県の観光公認ポスターになる。
男性 観光客の皆さんがどっと押し寄せるような素敵な一句を是非詠んで頂ければと思っております。
※俳句のお題は茨城県観光物産課がホームページで発信している写真の中から「霞ヶ浦の鉄道」をセレクト。全長1.2kmの鉄道橋を2両編成の絶景トレインが走る全国でも数少ない場所。
※今回は都道府県の観光ポスターになることを前提に写真と俳句をどう合わせるかが査定の結果を大きく左右する。俳句自体の出来は勿論、俳句を写真に載せた時の相乗効果が大きなポイント。
夏井先生 より良い取り合わせをどうやって実現するか。
***
※写真俳句では、俳句のクオリティーに加え、写真と俳句の相乗効果が生まれることも大切な要素。
一同 村上さん!石田さん!絶対1位になってください!
女性 村上さん!応援してますので、頑張って下さい。
→茨城県のふるさと戦。上段2名、村上名人(1980年生・牛久市出身)、石田たくみ(鉾田市出身、過去才能アリ1回・英語教員免許取得)が茨城県出身。下段の梅沢名人・中田名人・的場浩司は茨城県に特別な思いがある名人・特待生。
浜田 1位獲って当たり前なわけやから。
村上永世名人 そういうことなんですよ。意味が分かんないですよね。茨城関係ない人のやつがポスターになってるって(笑)。
浜田 さあ、隣も同じく茨城県出身はカミナリ・石田たくみでございます。
たくみ よろしくお願いします。村上さんがさっきからワ~ワ~言ってますけど、結構茨城県の芸人なら僕の方がイメージ強いと思うんですよ。何言ってもこの方ちょっと東京に染まって一つもなまってないんで(笑)。
浜田 まずは(茨城勢の)どっちかには絶対負けられへんけど、他県の人に負けたら。
たくみ そうっすよ。ホントに。
梅沢永世名人 俳句にふるさとはありませんから。俳句名人…。
浜田 良い話かどうか分からない(笑)。名言いったみたいな顔してるから。
村上永世名人 「俳句にふるさとはない」。
浜田 的場は茨城はどうなんですか?
的場 茨城といえば何といっても水戸黄門ですよ。自分、『水戸黄門』(2010年・6代目)で格さんやってたんで。
浜田 やってた。あはは、ホンマや。
的場 なんで、茨城に対する思い入れは相当あります。
浜田 格さんやってたな、なるほど。
***
浜田 地元の皆さんが頑張れ言うてるやん。
村上永世名人 嬉しい、ホントにこれは。
たくみ だんだんプレッシャーに押しつぶされそうになってきますよ(笑)。
村上永世名人 確かに。ちょっとね。
たくみ ここまで言われると。
梅沢永世名人 凄いね、みんなが応援して。
浜田 自分らワンツーいくんやったら、もうあっこしかないからね。
たくみ そうですよね。
***
森口名人 勝たなかったらどうしようもないですよね(笑)。
清水アナ 何位から見ますか。
浜田 うわ~、でも真ん中ぐらいから行くか。これ。3位。ここでたくみか村上が出ろ(笑)。
村上永世名人 やめて下さいって。それホントに。
たくみ 3位一番恥ずかしい。
浜田 さあ、いきましょう。茨城ふるさと戦。第3位はこの人!
▼3位は的場浩司
的場 おぉ…おぉ~。
浜田 まあでも3位です。
村上永世名人 的場さん。
梅沢永世名人 いいじゃないですか。
浜田 いいです。
***
浜田 あ~これどうしよっかな~。最下位!
村上永世名人 え?
梅沢永世名人 これ最悪じゃない。
中田名人 嫌だ~。
浜田 いきましょう。茨城ふるさと戦、最下位はこの人!
▼最下位は石田たくみ(地元出身)
たくみ もう、ほら!
梅沢永世名人 しょうがないよ。
浜田 はい、たくみ消えました。
たくみ 最下位か。
浜田 これはもう、しゃあないわ。
たくみ タスキ恥ずかしいなこれ(笑)。
***
浜田 さあ、残っているのはこの三人。
清水アナ どれを開けましょうか。
浜田 4位。
村上永世名人 うわ、やだ。
浜田 いきましょう。茨城ふるさと戦、第4位はこの人!
▼4位は中田喜子
中田名人 はぁ~。
浜田 なんちゅう顔してんねん。
***
浜田 ここまでくるともう梅沢さん。
梅沢永世名人 村上くんは十八番が身の回り30cmの俳句なんですよ。近すぎて失敗した。今回は近すぎると失敗する。
浜田 あ、なるほど。
梅沢永世名人 写真に寄れば寄るほど失敗するんです。
浜田 それは分かります。
梅沢永世名人 私ちょっと遠ざけました。
浜田 あ、そうですか。
梅沢永世名人 はい。
村上永世名人 そこはあるんですけど、でもこれがもしもPRでホントに貼られるんですよね、実際に茨城県に。それが貼られた後の僕が茨城から貰える仕事のこととかを考えたら、負けてらんないっすよ。
浜田 さあ、いきましょう。茨城ふるさと戦を制した第1位はこの人!
村上永世名人 ちょっとお願い、ホントに。
梅沢永世名人 こい、梅沢富美男!
▼1位は村上健志(地元出身)、2位は梅沢富美男
村上永世名人 お~!嬉しい!茨城県!
浜田 追い詰めたけどね~、梅沢さん。
梅沢永世名人 はい。
村上永世名人 あ~良かった。
茨城県で1位の句が載ったポスターをお披露目
一同 お~!
浜田 絶対分かってないやろ。
→県庁2階のロビーに貼られた俳句。まだこの段階では作者を知らない。
女性 こんなに言葉が出てくるのは凄いなと。人生経験がある感じがします。
男性 (作者は)村上さんじゃないかなと思います。五七五の俳句を崩しているのが、名人とかそれに近い位置にいらっしゃる句だと私には思います。
→このポスターは村上の名前を(左側)に載せて茨城県で貼られます。
●それでは順位別に見ていきます★ポスターになった時の書体とレイアウトは作者本人のリクエスト。
1位
◆『秋夕焼へ 音失っていく列車』 村上健志(フルーツポンチ)▲写真右側に白文字のゴシック体の一行書き。
【本人談】列車が遠ざかれば当然音が小さくなっていく。それだけだが、写真からは感じ取れない何かを足したい。その時に僕は、音であった。失っていく、そもそも音なんて持ってない列車なんじゃないかという映像だけが残る。そして、失われるということは…。
浜田 長いな!お前(笑)。1位になったから長いな!(笑)
梅沢永世名人 「へ」を入れたところが凄いな。私だったら「秋夕焼」で終わっちゃったんです。あそこに「へ」を入れたことによって、全部がバランス良くなってく。このへんが、村上が上手いとこなんですよ。
夏井先生 おっちゃんも言ったが、この「へ」を除ければ「秋夕焼」で5音になる。
あえて字余りしてでも入れる「へ」が大きな効果。
秋夕焼は自分の位置より遥か向こう。
その方向「へ」向かって。
「音」がいきなり出てきて、「失っていく」。
何かと思うと「列車」という映像がポンと出てくる。
これで光景が立ち上がるのが見事だった。
さらに、写真と組み合わせた"写真俳句"として考えたときも、列車の姿を見せながらその後の静けさも表現できる。
これならば、ポスターを飾られても茨城に迷惑かけることはないと思う。
素晴らしかった。直しは要らない。
浜田 腹立つ。
本人 嬉しい。ありがとうございます。
浜田 解説されてる時の顔が腹立つからナシにしよう(笑)。
本人 いやそれは…態度は別ですから。
浜田 腹立つ顔したわ~。
清水アナ フルーツポンチ村上さんには、茨城県ふるさと俳人の証として黄金のタスキが贈呈されます。
(→独特な髪飾りをした観光課の女性が村上名人の元へ行き、タスキをかける)
浜田 それ何…あんこう?
女性 あんこうです。
浜田 何で載せているんですか?(笑)
女性 あんこう鍋が茨城県の名物料理でして、是非食べにいらして…。
浜田 嫌です!(笑)
村上永世名人 嫌です!はない。
たくみ 食べて下さいよ、あんこう。
美味しいですから、ねえ。
●解説のポイント |
上五の字余りの「へ」が大きな効果 自分から見て光景の方向へ向かう 後半で光景が立ち上がるのが見事 "写真俳句"として列車の姿と静けさも表現 ポスターとして茨城に迷惑かけることはない 素晴らしかった |
添削なし
天文「秋夕焼」と列車の比喩表現として音を失う措辞を取り合わせた字余りの一句。切れずに「へ」を入れたことで、全体の流れが良くなり、季語と聴覚情報の静けさがマッチ。俳句単体・写真俳句どちらでも鑑賞できる形に仕上がりました。季語は夏の「夕焼」でも成立しますが、情熱的な激しさよりは秋の紅葉・寂寥感が漂う季語の方が似合います。「失っていく」に地方の鉄道経営のご苦労も伝わってきます。ご指摘色々ございましたが、仮に列車が向かってくるなら「秋夕焼より音迫りくる列車」などとすべきでしょうか。マイナスイメージが観光ポスターに似合わない意見も理解はできますが、静かな一場面を切り取るのも俳句の特性といえます。遠景も得意な村上さんらしい名人句でした。
2位◆『車窓より 鹿島祭りの 灯のはるか』 梅沢富美男▲写真右側に白文字の明朝体で一行書き。
【本人談】「鹿島祭り」(※茨城県の鹿島神宮で9月に開催される祭)が季語。私はここを勉強した。よし、これしかないと。車窓から鹿島祭りのうっすら灯が見える。「あ、あれが鹿島祭りかもしれないな」と。
村上永世名人 ホントにいい。これも飾ってあげて下さい(笑)。ホントにホントに。
本人 おい!村上!てめえこの野郎。ホントに。
夏井先生 これも本当に良い句。
車窓から見える灯りに持っていく。
最後の「はるか」で遠近感を表現する。
これはこれで、しっかりと俳句として出来上がっている。
写真と組み合わせたときも上手い。
列車の中に自分がいるとしたらと発想できている。
写真の内側に入って見ることが出来ている。
写真と組み合わせた時、ここだけ微量損したと思うのが出てきた。
この「より」を変えると、写真の中に臨場感が生まれる。
「車窓いま」とする。
本人 はっ…!
夏井先生 そうすると、まさに私はあの列車に乗っていて、今灯りを見ていると。
写真俳句を見ている人を、あの写真の列車の窓にピュンとワープさせる力を持つ。
でもおっちゃん大したもの。
これ茨城の方は、予算半分にしてこれもポスターにしてほしいくらい。
見事です。
浜田 これも良いですよということ。「いま」って言われた時に「うわ~」って言うてましたね(笑)。
本人 良いですよね。「車窓いま」。「いま」は出てこないな~(笑)。
●解説のポイント |
これも本当に良い句 車窓から見える灯りへ展開し「はるか」で遠近感を表現 写真と組み合わせても上手い 列車の中からの発想で写真の内側に入っている 臨場感で微量損したのが「より」 乗車した列車から今灯りを見ている 読者を列車の窓にワープさせる力を持つ 予算半分でこれもポスターにしてほしい |
添削後
『車窓いま 鹿島祭りの 灯のはるか』
秋の行事「鹿島祭」は9月1日・2日に鹿島神宮で行われますが、コロナ禍のため2022年は中止。「鹿島祭頭祭」は春の季語です。1日の夜に大篝が奉納されますが、まさにそれを「灯」として車窓から眺めている光景を想像して詠まれたのがこの句です。ご当地のイベントに着目したことで季語が動かず、「車窓」「はるか」で作者と季語の立ち位置も表現されていますし、何より手慣れた詠み口が御大の特徴です。添削は受けたものの、ポスターとして遜色ない句に思います。
3位◆『秋暁や 湖に童話の 一頁』 的場浩司▲写真左側に黒文字の明朝体の三行書き。
※季語は「秋暁」。空気が澄んで少し冷えを感じるようになる夜明けのこと。
【本人談】こういう写真は逆さ富士以外で見たことない。関係ない「不思議の国のアリス」が頭に浮かび、童話の挿絵みたいな感じがすると思ってひらめいた。
梅沢永世名人 とっても好き何ですけど、引っ掛かるとするならば。個人的な意見ですけど、何か破れた童話の本の一頁が池に浮いてたのかな?と読む人もいるんです。良い俳句だけどね。
夏井先生 俳句だけで見た時、おっちゃんの指摘は多分、助詞「に」の部分かと思う。
「に」が少し散文的(※詩的な情景に乏しい)なのが引っ掛かると私は思う。
俳句だけ直すなら「秋暁の湖や」と詠嘆すれば、"なんと美しい湖か"となり、「童話の一頁」は比喩に違いないと読むことは十分できる。
この俳句が写真と取り合わされて「写真俳句」になった時、どう考えていくか。
写真と俳句を取り合わせる「写真俳句」(※俳句の表現技法として全国に多くの愛好家がいる)というのは1つのジャンルとして確立はしている。
私も写真俳句のコンテスト、審査員色々やっているが、俳句だけの評価とちょっと軸が変わってくる。
写真の中に湖は映っている。
そうなった時、「湖に」と書くこと自体が既に勿体ない。そういうことになる。
梅沢永世名人 なるほど。
夏井先生 ですから「湖に」を外すことで…。
村上永世名人 あれ?大丈夫かな~?
浜田 先生、ちょっと待って下さい。どうした!どうした!
村上永世名人 そうかと思ってあれ?ちょっとクリアできてるかな?
浜田 写真俳句というのはこういうものですよという先生の今説明を聞いて(梅沢名人が)「なるほど」と(笑)。
中田名人 うん!
たくみ そういうことか。
村上永世名人 「湖」すらいらないのか~(笑)。やべぇかも。
たくみ その情報…えぇ~。
夏井先生 そうなった時、より良い取り合わせをどうやって実現するかがポイントになる。
お話しを聞いてこの「童話」は不思議の国のアリスだったと。良い感覚。
アリスの話に「鏡の国のアリス」があり、それを使えばこの写真ととても良い感じになる。
「童話」をあえて「鏡の国へと」とする。「秋暁の一頁」と展開する。
本人 おぉ~。
犬山 凄い。
夏井先生 そうすると、"奥にある鏡の国の一頁を今一緒に開いてみましょう"という作品になる。
でもとても良い感覚だった。ホントに。
本人 ありがとうございます。
浜田 褒められてめっちゃ喜んでるじゃん(笑)。
本人 何だろう。やべぇ俺、先生のこと好きになりそう(笑)。
●解説のポイント |
「に」が散文的なのが引っ掛かる 童話の一頁は比喩と明確になる "写真俳句"とした時に評価軸が変わる 写真に映る「湖」を俳句に書くこと自体が勿体ない より良い取り合わせをどう実現するかがポイント 「童話」はアリスという感覚は良い 鏡の国のアリスなら写真に似合う とても良い感覚だった |
添削後
『秋暁の 湖や童話の 一頁』
『鏡の国へと 秋暁の一頁』
秋の夜明けを指す時候「秋暁」と写真手前の湖に着目して、童話の比喩表現を用いた一句。「湖」を”うみ”と読ませるのは素晴らしく、後半に詩を感じられますが、如何せん抽象的。写真が前提にあれば意味は理解できますが、御大のような指摘をするひねくれ俳人が出てくるのも確かです。助詞を用いて2カットにする最初の添削は頷けますし、ご指摘の通り「に」を「は」に変える一案も良いでしょう。発想力を次回に活かしたい的場さんですが、通常査定での活躍に期待です。
4位◆『星合や 長き鉄橋 ひた走る』 中田喜子▲写真右側に白文字の太楷書体三行書き。
【本人談】「星合」(※七夕伝説を意味する季語)は牽牛と織姫が七夕様で会うという季語。
本人 そうなんですよ!写真俳句というのは…。
浜田 誰も何も言うてないよ。何にも言うてないですよ(笑)。
森口名人 私凄いキュンキュンする。この「ひた走る」っていうので、この星合の1年に1回しか会えない必死さみたいなのが溢れてて凄い好きなんですけど。
夏井先生 仰る通りで、俳句としては良い。
七夕の夜に会いたい人に会いに行く。
「星合や」と詠嘆して、長き鉄橋をひた走る私がここにいると。
この「ひた」が良いのは仰る通り。
ただこれが"写真俳句"というジャンルの作品となると別問題。
浜田 それは問題はそれやんか。
夏井先生 勿体ないのは、後半が写真の情報とダブってしまう。
ただ、それが全部ダメというわけではない。
浜田 語順や。
夏井先生 誰かが今言った。「語順の問題」。
梅沢永世名人 語順だ。
夏井先生 写真の中の情報が、俳句の中に入っている場合には小さなコツがある。
先に写真の中の情報を言っておき、後から写真にない情報を添える。
「ひた走る」から。「長き鉄橋」。
「星合や」が下五が「や」で終わるため上五に持ってきたのだろうと。それは分かる。
「星合」の傍題で5音の「星祭」という素敵な季語がある。
犬山 綺麗。
梅沢永世名人 ああいい!(笑)
夏井先生 こうすると、写真の情報を最初になぞっておいて、「これは夜なんだ」と最後に夜に転換する。
そして、それは会いたい人に会いに行く七夕の夜だと。
この季語だけの情報で、写真俳句を成立させる。これも技。
本人 分かりました(笑)。語順を大切に。はい、分かりました。
●解説のポイント |
俳句としては良く「ひた」は上手い 七夕に会うため鉄橋を走る私がいる "写真俳句"としては別問題 後半が写真の情報とダブるのが損 ただそれが全部悪いわけではない 写真の情報が俳句にある場合は小さなコツを 先に写真の中の情報を句に入れる 後で写真にない情報を入れる 季語だけの情報で写真俳句を成立させる技 |
添削後
『ひた走る 長き鉄橋 星祭』
秋の生活「星合」と鉄橋を走る列車の光景を取り合わせた一句。「七夕」が行事主体の季語に対し、「星合」は牽牛と織姫が出会う伝説に焦点を置いた季語。その恋物語に列車の動作を合わせ、「長き」「ひた」が効果的に作用してロマンチックな句に仕上がっています。先生は「七夕」の傍題「星祭」と添削しましたが、「星合」の傍題なら「星迎え」「星の恋」「星の閨(ねや)」などが候補に。写真俳句の難しさと共に、季語選びの難しさを考えさせられます。
5位◆『水澄むや 湖上の列車と シャッター音』 石田たくみ(カミナリ)▲写真右側に白文字の明朝体の三行書き。
【本人談】ここは茨城でも有名で人気のあるフォトスポット。湖がすごい綺麗で秋の季語「秋澄む」を使った。不安要素は中と下の部分が8音と6音。五八六で字余りにしているので、どうかなと思った。
村上永世名人 「五八六どうかと思った」。ダメに決まってんじゃん!(笑) 思った時点で何で変えれなかったんだろう(笑)。
夏井先生 この情景を知らない人が「湖上の列車」とは何?と思う人が結構な割合で思ういると思う。
言いたいことが読み手に伝わってないということ。
そうなると、あなたの意図は申し訳ないが、写真撮ってる場合じゃない(笑)。
本人 そんな場合じゃない?
夏井先生 ちゃんと、写真を見てない人にも分かるようにしないと話にならない。
湖を越えていくと。「湖を越ゆる」。
列車ではなく「鉄橋」として映像が出る。
そして「水澄めり」と。
本人 「めり」?
夏井先生 「めり」です。
本人 何すか、「めり」って。
夏井先生 "水が澄みました"という意味。
「めり」から困っている人に私はとても困ってしまう。
本人 先生、優しくして下さい。
夏井先生 一応書こうとしている映像は、作品として実現できる。
いざこれをあの写真に乗っけても写真に映っている状況しか書いてない。
「1+1」にもなってない。「1+0」。
写真があれば良いとそういうことになっている。
村上永世名人 いやまあ、何の級も持ってない人間が出てくるにはちょっと早かったですね(笑)。
本人 何だおめぇおい!おめぇぐらいは優しくしろ。
●解説のポイント |
「湖上の列車」が読み手に伝わらない 写真撮ってる場合ではない 写真を見てない人にも伝えないと話にならない 「めり」に困るようでは私は困ってしまう 添削しても写真の状況だけで添える俳句ではない 1+1ではなく1+0にしかならない 写真があれば良い ポスターの説明だけでは上位は無理 |
添削後
『湖を 超ゆる鉄橋 水澄めり』
秋の生活「水澄む」は水底まで透き通る秋の実感を伴う季語。フォトスポットからの発想が「シャッター音」で列車の光景を切り取りたい意欲は感じます。中八字余りも問題ですが、「と」によって大小全く異なるものを並列にしたことで、季語を置いてけぼりにした印象が勿体ない部分。「湖上の列車」も大抵の人には湖の鉄橋を走る列車と分かりそうです。写真の描写は一応できていますが、添えてプラスにならないという指摘で最下位になったたくみさん。「窓の枠狭しとうねる鯉のぼり」で4年前に才能アリでしたが、リベンジに期待しましょう。
※編集後記は「ふるさと戦4」の記事に一括して掲載します。

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