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【金秋戦予選C】20220915 プレバト!!俳句紹介【食欲の秋】

2022年9月15日放送 プレバト!! 俳句金秋戦予選Cブロック結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
秋の季節に行われる第6回金秋戦予選Cブロックで名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
※24日に全て更新しました。お待たせしまして、大変申し訳ございません。

→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細(Cブロック) →敗者復活 →編集後記

予選Aブロック記事
予選Bブロック記事
決勝戦記事
※過去のタイトル戦結果などはこちらまたはブログカテゴリからどうぞ。

挑戦者:
Cブロック→<名人10段★3>千原ジュニア[79],<名人10段★1>横尾渉(Kis-My-Ft2)[62],<名人8段>千賀健永(Kis-My-Ft2)[56],<名人3段>皆藤愛子[30],<5級>的場浩司[9]

見届け人:梅沢永世名人、藤本名人



●兼題:食欲の秋
食欲の秋の兼題


※各ブロック1位が無条件で決勝進出。2位以下は補欠となり全てのブロックから上位4名が進出
※順位クリックでリンク内移動します。
◆予選Cブロック
1位千原ジュニア名人10段★3豚饅の油染むべい独楽の紐ぶたまんのあぶらしむべいごまのひも
2位横尾渉(Kis-My-Ft2)名人10段★1丸善の古書フェア檸檬ケーキの香まるぜんのこしょふぇあれもんけーきのか
3位皆藤愛子名人3段梨噛んで潤う両耳の鼓膜なしかんでうるおうりょうみみのこまく
4位千賀健永(Kis-My-Ft2)名人8段梨の滴り大地は幾度雨季を経てなしのしたたりだいちはいくどうきをへて
5位的場浩司5級銀杏を拾いし背でまあだだよぎんなんをひろいしせなでまあだだよ
順位発表順:最下位→4位→3位→2位→1位





●それでは順位別に見ていきます

1位◆『豚饅の 油染む べい独楽の紐 千原ジュニア

藤本名人 はぁ~。

【本人談】
べい独楽が(秋の)季語。豚饅ガーッと食って油を拭くかのごとく紐でこうやって(独楽を廻して)やっていた記憶。ええ匂いのする紐になっていたなっというのを思い出した。

梅沢永世名人 これ「べい独楽」って季語だった…確か新年のお正月の季語なんだと思うな。
本人 いや秋の季語やと思うんですけど。
藤本名人 「豚饅」も確か季語?
本人 「肉まん」ですね。
藤本名人 で「べい独楽」。だから…いやもうほら。季重なりをサラッとね、使いこなせるようになったのね~(笑)。

夏井先生 
季語の話からしたい。豚饅は肉饅の類。
冬の季語として(歳時記に)載せ始めているのがあるかないかという感じ。
そして、「独楽」問題もそう。
「独楽」自身はおっちゃんの言うように新年の季語として載ってはいる。
ただ「べい独楽」は子どもたちの日常的に遊ぶべい独楽。
独楽の最初の原型に「海螺(ばい)廻し」(※秋の季語:ばい貝の殻に粘土を詰めて独楽とした遊び)がある。
その「海螺廻し」が今のべい独楽になってるという歴史も色々ある。
藤本名人 ややこしいな。
夏井先生 そうなった時、どちらが主たる季語かを考えていかないといけない。
これを見た時、肉饅は食べ終わって姿はないが、紐に染みている油から、肉饅の残りの匂いや子どもたちが豚饅を食べ終わって「美味しかった。よし!勝負再開するぞ」と。
手の油を紐にくっつけて、その油に匂いが染みていて、そういう情景がありありと見えてくる。
食欲の秋という意味において、これが一番美味しそうに描けているという意味でこれを1位にするべきかと最終的に判断した。
浜田 先生、これも直しは?
夏井先生 これは、よくまあこんなもん作ったなと思って。あの、密かに感心している。

浜田 なるほど。直しなしでございました。

●解説のポイント
肉饅は冬の季語として載せ始める歳時記も
独楽は新年の季語だが「べい独楽」は日常の遊び
独楽の原型の「海螺廻し」が秋の季語
どちらが主たる季語かを考える
豚饅は食べ終わって姿がない
紐に肉饅の残る匂い
食後に勝負を再開する紐の染み
情景がありありと浮かぶ
食欲の秋で一番美味しそうに描いたため1位と判断
よくまあこんなもん作ったなと密かに感心

添削なし



2位◆『丸善の 古書フェア 檸檬ケーキの香 横尾渉(Kis-My-Ft2)
※東京・丸の内の「丸善」では、昭和の作家・梶井基次郎の代表作『檸檬』に因んだケーキが売られている。そこに発想を飛ばした一句。

梅沢永世名人 うん。

【本人談】
みんなと絶対被ると思ったため、他の発想を持ってこようと。読書の秋も一緒にしちゃおうと。『檸檬』という作品があるが、「檸檬のケーキの香」で匂いに誘われてカフェに入っていくみたいな感じの句。

藤本名人 「檸檬ケーキ」で季語は弱まるんですけど、全体的に「秋!秋!」を表現しているので、凄く良いと思いました。
梅沢永世名人 これが2位だったってことは、よっぽど1位の俳句良かったんでしょうね。
浜田 これ千賀君はどう思われますか。
千賀名人 檸檬ケーキだけにフォーカスしてなくて、全体のなんか…「施設」?…の…。
藤本名人 「施設」?
千賀名人 古書…古書フェ…古書フェア?古書フェア…も、なんか色んなイメージが。もう僕に聞かないで下さい(笑)。
ジュニア名人 あきらめないで!
藤本名人 あきらめないでよ、言うてよ。

夏井先生 
作品としてはキチンと出来ている。
まず、「丸善」という固有名詞・本屋から始まり、「古書フェア」へ展開する。
「丸善」に「檸檬」が出た瞬間、本人の企み通り、梶井基次郎の丸善京都本店が舞台の小説『檸檬』が否応なく連想させられる。
本物の檸檬かと思うと、「ケーキ」のため季語としての力が少し弱まる。
でも美味しそうな檸檬ケーキを表現できている。
最後に香りを残すあたりも手慣れている。
となれば、この句に対して文句をつける場所はどこにもないということになる。
浜田 じゃあ先生、この句も直しは?
夏井先生 ないです。

浜田 ないということでございます。
本人 ありがとうございます。いや~でも悔しい。

●解説のポイント
作品としては出来ている
固有名詞から古書フェアへ展開
「檸檬」は本人の企み通り
梶井基次郎の丸善京都本店が舞台の小説を連想
「ケーキ」で季語の力が弱まる
美味しそうな檸檬ケーキ
香りを残すあたりも手慣れている
文句をつける場所はない

添削なし



3位◆『梨噛んで潤う 両耳の鼓膜 皆藤愛子

千賀名人 あ、梨だ。

【本人談】
私も梨が大好き。実際に食べてみたら果汁が耳から出そうになって「うわ~」と思ってこれにした。

梅沢永世名人 いや。良い俳句なんですけどね。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 とっても良い俳句。分かりますよ。鼓膜に持ってったところが良いんですけど、ちょっとこれも大袈裟だったのかな~。
本人 あ~。
藤本名人 皆藤さんてやっぱり、五感を繊細に表現するのが「お上手だな~」って(笑)。ホントに思いますね~。ただやっぱり、3位はちょっと決勝難しいのかなってね。
本人 でもこのメンバーの中で3位は嬉しいです。

夏井先生 
これも非常に面白い句。
評価が分かれるのは後半の展開。
「非常にみずみずしい独特の感覚」とプラス評価をするか。
「気持ちは分かるけど大袈裟じゃないの?」と思う人と。
真っ二つに評価が分かれるタイプの句。
作者が表現したいことは言葉の過不足なく選んで表現された。
独自の感覚もあるし、これは認めてあげないといけないという風に思う。
梅沢永世名人 チャンスありです。
夏井先生 下手に添削すると、この句の良さがバランスが崩れてしまうため、このまま味わうべきとは思う。
浜田 ということは先生これ直しは?
夏井先生 直さないでおこう。

浜田 なしでございます。
本人 ありがとうございます。

●解説のポイント
非常に面白い句
後半の展開で評価が真っ二つに分かれる
みずみずしいとするか大袈裟とするか
作者の表現意図は言葉の過不足なく表現された
独自の感覚もある
これは認めないといけない
添削するとバランスが崩れる
このまま味わうべき

添削なし



4位◆『梨の滴り 大地は幾度 雨季を経て 千賀健永(Kis-My-Ft2)

梅沢永世名人 うん…。

【本人談】
梨のみずみずしさが凄く好き。梨が出来るにつれて、大地に雨季を経て雨が一杯降る。その水分を吸い込んで美味しい梨が出来ているということを今回句で作った。

藤本名人 ちょっと、季語が弱い感じはしますね。あと、ちょっとカッコつけすぎたんちゃう?
本人 え、ウソ!?
藤本名人 「大地は幾度雨季を経て」ってなんかカッコつけ過ぎたんちゃうかな(笑)。
本人 これだけで点数が変わる…えっ?
梅沢永世名人 いや、今フジモンが言ったようにね。大袈裟に考えすぎ。季語は「梨」ですから。「大地」とくると、向こうの方がデカく感じちゃうのよ。だから季語が弱くなったんじゃないかと、フジモンが…。(藤本名人に)ここまで言わなきゃダメなの、ねっ(笑)。
浜田 さ、横尾君はどう見ますか。
横尾名人 昔の千賀に戻ったなって。ロマンチストの時の句に戻ったなというのは感じますね。
浜田 なるほどね。

夏井先生 
作者が千賀君と分かって、昔の(ロマンチストの)千賀君に戻ったと(笑)。
藤本名人 ダメよ、昔に戻ったら。
本人 もうヤダ。昔に戻ったと言われるの。
夏井先生 どなたかもおっしゃったが、「梨」よりも「大地」の方が主役になっていて、季語「梨」が脇役になっているのは勿体ない。
おっちゃんが言ったんですか。
梅沢永世名人 (嬉しそうに)はい。
夏井先生 おっちゃんね、3回に1回は当たりますからね(笑)。
千賀さんの言葉の中に「みずみずしい」という言葉があった。あれを使うと「雨季」と響き合ってくる。
良い言葉を言った。「みずみずしき」。
みずみずしいのは何ですか?
本人 梨です。
夏井先生 梨の何ですか?
本人 梨の…「何ですか?」果汁?
夏井先生 そうそう。それをハッキリ書く。
本人 あ、そこまで。
夏井先生 「果汁よ梨よ」。
ここまで書いたら十分「梨」が主役になる。
後は「大地」「経る」と書かなくてよい。「雨季幾度(いくど)」とこうする。ね、良いでしょ。
本人 確かに。
夏井先生 この「幾度」にあなたの思いが乗ってくる。
それでいて、梨の主役でみずみずしい果汁が口の中に溢れてくる。
これやっていたら、今日はこれが1位だった。

本人 マジっすか?うわ~。勉強ですね~(笑)。
藤本名人 日々ね。

●解説のポイント
確かに昔の(ロマンチストの)千賀君に戻った
「大地」に比べて季語「梨」が弱い
「みずみずしい」と語った言葉を使う
「幾度」に作者の思いを乗せる
主役の梨のみずみずしい果汁が口の中に溢れる
これなら今日1位だった

添削後
  雨季幾度



5位◆『銀杏を 拾いし背で まあだだよ 的場浩司
※「メニュー表」から秋の季語「銀杏(ぎんなん)」に発想を飛ばした一句。

梅沢永世名人 うん~。

【本人談】
自分が銀杏を拾っている最中に、子どもたちが近くでかくれんぼしている。その子の子どもの声が「まあだだよ」と聞こえた場面をそのまま切り取った。

梅沢永世名人 (この書き方では)背中に子どもを背負っているのよ。その子どもが「まあだだよ」って言ってるように聞こえるのよ。
本人 背中には背負ってなかったですね。
梅沢永世名人 そうでしょ?
本人 はい。

夏井先生 
さすが永世名人という感じ。
問題は「し」。連体形で、「背」にくっついてくる。
銀杏を拾ったその「背」となり、「し」のお陰で背中におんぶしている。
その背中の子が「まあだだよ」と言ってるということは、「もっと銀杏獲れ」と言われているようで、読み自体が変わってくる。
「銀杏拾う」と持ってきてここでカットが変わる。「背で」が分かりにくくしている。
声の所に鍵括弧をつけてみる。『まあだだよ』の声が聞こえてくる。
それが「かたわら」。「かたわらに」で背中と切り離すことが出来る。声が傍らになる。
こういうことになる。

本人 非常に分かりやすいですね~(笑)。

●解説のポイント
背中に背負った子の台詞に誤読される
問題は「し」の連体形で「背」に続く
もっと銀杏獲れと言われているよう
「拾う」でカットを変える
「かたわらに」で背中と切り離す
声を傍らにして本人の意図の通り

添削後
銀杏拾 まあだだよ 



【決勝進出者の発表】

敗者復活戦として2位以下の12名から予選通過を決めた4名が査定同様に1人ずつ順に発表されました。



○決勝戦のメンバー(10名)
決勝シード権志らく梅沢村上
予選1位通過藤本森口ジュニア
敗者復活横尾昇吉松岡皆藤


※次週9/22は俳句「ふるさと戦」2時間スペシャル。47都道府県の公認ポスター掲載を懸けて戦う。



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コメント

トーク集の下の部分ですけど1位は藤本敏史って書いてありますが千原ジュニアだと思います。

今回は

さきほどようやくtverで見ることができました。

簡単に

的場浩司さん

銀杏を拾う
そのかたわらにかくれんぼをする子供

とあれば、ある程度読者の想像力にゆだねるしかないですね。かくれんぼだと基本的に屋外のイメージがあるので、

銀杏やかたわらに子の「まあだだよ」

とすれば銀杏を拾うのではないかと光景は浮かびます

千賀名人

語順を工夫すれば「大地」もいかせるのではないかと思います。

雨期幾度吸うて大地にいま梨が

と遠景から最後にクローズアップで梨をクローズアップすれば、ご本人の工夫も活かせたのではと思います

皆藤愛子さん

「鼓膜」とあれば「両耳」がいらないのでは?というのが感想です。

梨を噛む潤いは鼓膜にまでも

横尾名人
秋という季感としては、充分ですし、固有名詞が全体を通して秋を演出してるように思えます。

千原ジュニア名人

申し訳ありません。べいごまの経験ないのでわからないというのが正直な感想です。これは世代によって評価が、わかれますね。

最後に拙句を詠ませていただきます。

敬老の日や食べなれぬ珍味あり

Cブロック1位と2位の句について

3~5位の句のコメントの続きです。

2位 横尾名人
句は、「丸善の古書フェア」という塊と、「檸檬ケーキの香」という塊を並べてある句。

「古書」とは、昔の書物であり、古本の意味ですから、最近発表された本ではない。ここに「丸善」「檸檬」という単語をぶつけられると、梶井基次郎の「檸檬」を思い出させられます(読んだことがあるとか、この作品の成立経緯や高い評価を受けていると知っている方には、特に)。横尾名人のコメント通り、読書の秋を句に加える企みは成功したと感じております。

そしてまた、丸善の店内にあるカフェから、古書店フェアの様子をたまに見ながら檸檬ケーキを食べている景も浮かびます(自分は1回か2回、ハヤシライスしか食ったことがないですけども、店内がビル内にしては開放的で白基調のインテリアで、音楽が低く流れていて、外の人の流れはよそに、結構読書に集中できる環境だったのは覚えています)。

読書の秋を組み込む企みであり、カフェからの光景を思い浮かべられるくではありましたが、「檸檬ケーキ」としたことで、季語の力が弱くなった点は否めなく、これが1位との差だったかと思います。

1位 千原名人
句はよかったけど、まずは、再現映像。
子役がべい独楽を回せてなかった。まぁ、べい独楽を回すのは難しい、けどその勝負性は面白い、だからベイブレードがあるのだろうけど。

さて、肉まんや豚まんは年中売っているもの。今年1月末には、「肉まん」をお題にした回があり₀、中田喜子名人の「肉まんどさどさ黄さんの手真っ赤」という句が高評価を得ていましたが、夏井先生は「肉まん」について、季語として取り上げている歳時記は少ないが、もしも「肉まん」を季語ではないという方がいたら、この句は無季の句であると言い切ればよい、それだけ良い句であるとコメントしています。

自分の持っている歳時記だと、肉まんでも豚まんでも、季語としては掲載されてません(最近だと8月末に角川俳句大歳時記(秋)の改訂版が販売されだしましたが、まだ手に入れていません・・・・・・高い。とほほ)。また、生活実感としては、一年中コンビニやスーパーで売られているものなので、自分としては季節感は薄いです。

あと、夏井先生のコメント前に、御大が「独楽」を新年の季語だというくだりがありましたが、ここにも違和感がありまして、秋の歳時記の索引を引くと、しっかりと、べい独楽なり、べいごまは掲載されています。まさか御大がこの程度の季語を知らないわけがない。むしろ、御大が無知をさらけ出す形でバラエティ的な盛り上がりを狙ったのかなと感じた部分です(本当にべい独楽が季語ではないと思っていたら、夏井先生からもっと激しい突込みがあったはずです)。

便乗して、「べい独楽」について少し。この語は秋の季語「海蠃回し」の傍題。巻貝の一種「バイ」の殻を独楽の形になるところで切って、中に蝋や鉛をいれた玩具。独楽のように回して遊んだから、海蠃回し。
で、この海蠃回し、旧暦9月9日(重陽)あたりに盛んに遊ばれていたらしく、そこから秋の季語になった様子でした。後年になって貝殻を使わずに鋳物をつかって作られた「べい独楽」も、モデルは海蠃なので、そのまま秋の季語となったそうです。

なんで「ばい」が「べい」であり「ベー」と音の変化をしていったのかは、興味をそそられる部分ではありますが、追究はやめておきます。

やっと本題。
千原名人の句についてですが、番組では肉まんであり豚まんを季語として捉えて、また、兼題「食欲の秋」から、こちらを主たる季語としてコメントされていましたが、豚まんでなく、べい独楽を主たる季語として鑑賞を進めても、十分に句として成り立つ出来でした。

豚まんの油染むべい独楽の紐

解釈:豚まんの油が染みこむべい独楽の紐

動詞「染む」がポイント。「染む」は染みこむという意味の「染む」の連体形で、「べい独楽の紐」にかかっていきます。そして、過去を示す助動詞「き」、または今まさに目の前で「染みた」という現在完了形の「たり」等が無い。よって、目の前で油が染みていっていることが窺えます。となると、豚まんの油が手についている状態で、べい独楽の紐をポケットから取り出して伸ばしだしたか、手にくるくる巻いていたのを豚まんを食べ終えて伸ばしたという情景が浮かんできます。

豚まんを食べたタイミングはよくわかりません。事前にべい独楽をやっていて、途中で豚まんを食べたのか、豚まんを食べた、さあやろうとなったのか。しかし、「豚まんを食い終わった、早速べい独楽の勝負をしよう」と食べ終えて紐を伸ばしだす光景が浮かびます。そうすると、べい独楽の遊び場所近く、すなわち野外で展開されている句ですね。自分としては、おやつの味なんかそっちのけ、おやつの油分でギトギトしてる手ですぐにまたべい独楽を始めるくらい、この子は熱中してるんだなぁと、べい独楽遊びに熱中している子どもを中心に読みました。読み手にそんな頃もあったよなぁ、と子ども時代を振り返させる句でした。

Cブロックは事前から注目していましたが、千原名人と横尾名人の句が特に優れていたという結果で、良い句にであえたなぁ、というのが率直な感想でした。

敗者復活

添削なし、で落ちてしまったの、ミッツさんだけでしたね。
この結果なら、再度の敗者復活で、ミッツさんも本戦に出してはあげられないでしょうか。
というのも、ミッツさんの句も相当にいいなと思ったから。
でなければ、ミッツさんが選漏れした理由が聞きたいです。
どこの基準であと一つ届かなかったのか、そこが知りたいです。

Cブロック

千原名人、横尾名人は10段、千賀名人は8段な上に今年の昇段審査は昇格続き、皆藤名人も昨年末から昇格試験では成功続きというブロック。ほかにもキスマイ対決であり、的場さんがどこまで食い下がれるかという点で一番注目していたブロックでした。
順位だけ見れば皆藤名人が3位、千賀名人が4位と、段位が覆されたのはこのお二人だけでしたが、詠まれた句はAブロック以上にハイレベルだったと思います。

5位 的場さん
初タイトル戦。残念ながら跳ね返されてしまいました

銀杏を拾いし背でまあだだよ

解釈していくと、「拾いし」の「し」は過去を示す助動詞「き」の連体形で、直後の「背」を修飾しますね。これにより、「銀杏を拾った誰かの背中」が映像になります。この映像に助詞「で」が付く。

この「で」、場所を示したり、手段を示すなど、そこまでの文脈によって結構いろんな意味を持たされます。時に明確な線引きができないこともありますが。

的場さんの句だと、「銀杏を拾った誰かの背中という個所(場所)+まあだだよ」となるので、背中にいる人が句の中に現れ、「まあだだよ」と言っている・発信していると取られてしまいました。

しかし、的場さんご自身のコメントでは、「銀杏拾いをしていた『背中に』『背中へ』(いずれも場所)まあだだよという子どもの声が届いた」、もしくは「背中を使って(手段)『まあだだよ』を聞いた」というのが仰りたかったようでした。

助動詞や助詞によって詠み手の言いたいことと読み手の受け取り方が違ってくる句になってしまっていたと思います。

そもそも、季語が銀杏でなくても、落ち栗とか別な果実をもいだり摘んだりしている景を合わせても句として成り立つのではないかと考えると、どうなのかと考えたところです。

4位 千賀名人
句の中の単語の持つ質量の問題。番組で指摘されていた通り、この句は「大地」というキーワードが強かったと思います。

「大地」の方が強いとなれば、季語「梨」で適切かどうか。詠み手は梨が好きだからこの季語を選んでいるとしても、読み手にとっては「別な季語でもよくない?」という季語の動く・動かない問題も発生しそうです。梨でなくても、二音の季語で、滴りうるものなら句が成立するのではないかと。

例えば植物の季語、果物なら桃とか柿、野菜なら瓜とか茄子でも成立してしまうし、露(秋・天文)や汗(夏・生活)、液体でなくても上から下へと行くものとして、月(秋・天文)、なんていうのでも
……

添削句では「みずみずしき果汁」とつくことで、季語が果物だと限定される形となりました。この上で、何度もの雨季を経てこその果物を想像させられるようになったと考えます。

3位 皆藤名人
梨を噛んで両耳の鼓膜が潤う。

句では、倒置法を使い、「潤う」を先に示したことで、口や舌、喉といった味覚的な感覚器ではない箇所が潤うという、意外性(詠み手への裏切り)が出されました。

この句を読むことで、読み手は梨を咀嚼した時の音(シャクシャクとか、サクサクとか、そのあたりは読み手なりにオノマトペを補完して)思い出します。そして、この音によって両耳の鼓膜も潤うのだよと、詠み手の意図や企みを提示されます。

また、「梨噛んで潤う」までを読むことにより、受け取り側は梨を口にした時のみずみずしさであり、歯ごたえであり、その時の音、つまんだ時の心地よい水っぽさなどを既に想像しているはずです。

この上で意外性のある「両耳の鼓膜」と聴覚の措辞が出てくるので、より多くの感覚を刺激される仕掛けのある句となっていました。

惜しむらくは、調べに難がありました。句の内容としては梨の美味しさを十分に表現しているのですが、調べが定型でなくギクシャクしてる分、いまいち美味しくなさそうに感じてしまうところが惜しかったです。

2位の句と1位の句は明日以降にします。

昨日のプレバト

去年の金秋戦の優勝者(北山くん)が予選敗退したことによって、今年の秋の肖像画が自動的に変わりますね。(この様子は10月に放送予定)

追記
Bブロックからの敗者復活者はまさかの0人でしたね。

敗者復活の理由を考えてみます

今回も書き起こしお疲れ様です。

こちらのブログのコメント欄でも、Bブロックは森口名人だけではないかと仰っている方がおりましたが、今回並べられた句を見ると「さもありなん」という気持ちになりました。

私、こちらのブログで句と結果だけを知り、映像をまだ見てないのですが、映像を見てないなりに、松岡さん、ミッツ名人、皆藤名人の句を並べてみてみます。それぞれ問題点は抱えながらも添削なしの句です。

松岡さん:「星月夜ファーストピアスの重力」
・中八とそれを補う下四「重力」。声を出して読んだ時にリズムが歪。
・季語「星月夜」。天体のかすかな重力を重ねることもできるが、果たしてこれがベストな季語だろうか。

ミッツ名人:「解熱剤効き秋晴の午後を知る」
・句またがりとも読めるが、声に出すとやはり七五五の句。上七と捉えると、調べに寸詰まり感は否めない。
・最大の問題点は後述。

皆藤名人:「梨嚙んで潤う両耳の鼓膜」
・調べが良くない(五九三と読むか、九八と読むか、どっちにしても、あまり美しくない気がする)。
・大げさにも捉えられる叙述。

こうしてみると、それぞれ問題点は抱えている句でしたが、松岡さんはファッションの秋→何か着飾る(ファーストピアスをほどこす)、皆藤名人は食欲の秋→何かを鼓膜で感じるくらいおいしく食べるといった、兼題写真に対してより素直な句だったと思います。ミッツ名人の句は、行楽の秋→だけど行けなかった、という負の方向へ進んでしまい、兼題から離れてしまったのかもな、と。

さて、個人的には注目していたCブロックです。句を一つ一つ丁寧に見て回るのはまた後日にします。

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