【YouTube動画】夏井いつき俳句チャンネル 動画解説紹介2023【プレバト!!俳句】
- 2023/05/07
- 20:03
(2023年版)
プレバト!!の俳句コーナーでお馴染みの夏井先生のYouTube投稿動画の内容を紹介するページです。
夏井いつき俳句チャンネルに動画が投稿されるたびに、更新を予定しています。
動画の更新は毎週木曜夜8時・日曜夜8時の週2回です。
当ブログ記事更新:2023年6月5日
→関連まとめ記事(2020年/2021年/2022年/●) →ページ下部へ
(リンクは各ページに飛びます)
◆夏井いつき俳句チャンネル
◆夏井いつき氏のツイッター / インスタグラム
※動画1~71は2020年版、動画72~175は2021年版、動画176~267は2022年版記事をご覧下さい。
※番号クリックでページ内ジャンプします。
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[268]【正月】明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。
<2023/1/1公開>
カラー版『新日本大歳時記・新年』(講談社)と蜜柑を机に並べて2023年のご挨拶。
先生は家藤さんに「孫も後から来てくれるのか?」と確認しますが、無言で反応する息子さん。2023年4月で3周年を迎えるYouTubeチャンネルですが、昨年の後半は多忙のため週2回の更新が実現できなかったことを謝罪します。
元々、コロナ禍をきっかけに様々なイベントが中止となり、少しでも俳句の情報を発信するために開設されたこのYouTubeチャンネル。逆に、日常を取り戻しつつある今、句会ライブや講演などで日本全国を飛び回れるようになり、更新頻度が下がっていると説明します。
先生は「色んな意味でやれることをやっていきたい」と抱負を述べます。動画[252]でも紹介したローランド杯も昨年の大晦日で投句締切となりましたが、「今年はあの人と投句企画を行いたい」と謎の予告をする家藤さん。先生は、俳句初心者に向けて「この動画を投句の練習台に使ってほしい」と述べます。
最後に改めて「今年もどうぞよろしくお願いします。」と新年のご挨拶をしました。
[269]【第6回尻二字三角パス②】「んで」で始まる正人の俳句
<2023/1/8公開>
前回[267]の尻二字三角パスの続き。
[4]猫の死を以前も句材にされたことをローゼンさんに指摘されて頷く家藤さん。最近心が病んでいるため、死を題材にしがちだと弁明します。道後俳句塾で黒田杏子先生が大絶賛し、夏井先生も特選に採ったのが【家藤正人】「日盛や猫のつまびらかに腐る」。家藤さんは、愛南町・家串で小学生の時に後ろ脚が動けない猫を救助した経験を語ります。
[5]ハツラツとした声質を持つ「野志市長」は現在の松山市長。南海放送のアナウンサー時代から先生・家藤さんはご一緒していた関係のようです。ローゼンさんもベルギーまでお供したことを述べます。市長は坊ちゃんの袴姿、ローゼンさんはマドンナ姿で、愛媛のお酒「雪雀(ゆきすずめ)」をヨーロッパの俳人たちに配りながら俳句の話をされたそうです。アナウンサーで鍛えた市長の声質についても話が深まります。俳句甲子園にも理解があり、バックアップもしてもらったよう。当時の南海放送テレビ「もぎたて」で野志氏と共にアナウンサーをしていた永江孝子氏もその後政界に進出されたことを話されます。
[6]ベルギーのブリュッセルにも滞在経験があるローゼンさん。筆ペンよりも太くて白いアスパラガスが皿に3本乗り、黄色いソースが掛かったフランス料理が大変美味で忘れられない味だと述べます。動画は次回へと続くようです。
※今回詠まれた俳句は以下の通りです。
[270]【締切間近】1月締切の投句先を紹介します
<2023/1/15公開>
後ろのホワイトボードを挟んで座るお二方。今回は2023年1月31日投句締切の企画を3本立てで、表題を逐一ボードに貼り替えながら紹介します(詳しくは動画概要欄・各種ホームページ等をご覧下さい)。
動画[160][260]でも紹介済みの当企画は、昨年に引き続き2年目。"謹賀新年"を意味するおめでたさとは別に、その一句が近況報告になっていると一石二鳥で良いと先生は述べます。ここで、家藤さんが年賀状ソフト「筆ぐるめ」のパッケージ版を手に取り、裏面に掲載される使用例を紹介。季語集の掲載や俳句が一行書きで挿入されるレイアウトについて触れます。詳しくはホームページ等をご参照ください。
地元CMで流れる「ベルモニー」は愛媛・高知を中心に冠婚葬祭業を運営する私営企業。応募部門は小中高校生の部・一般の部があり、それぞれ最優秀句1作品・優秀句5作品が選ばれます。選者は夏井いつき氏で、南海放送が番組制作に関わり、3月に家藤さんが句会ライブを行う予定です。詳しくはホームページ等をご参照ください。
"宗像(むなかた)・沖ノ島(おきのしま)から日本の信仰・文化をたどる"がスローガンの当キャンペーン。禁忌の地として知られる世界遺産「神宿る島」を有する福岡県宗像市が音頭を取って実施する当企画は、福岡・島根・大阪・三重・静岡・千葉の各地の博物館・資料館とも協賛して催され、俳句コンテストはその一部です。今回のテーマの一つである大阪・堺市の百舌鳥(もず)古墳群に吟行したことが述べる先生。静岡・富士山もテーマの一つです。特設サイトに掲載される写真を見て、その世界遺産で一句を詠む形式。今回は6つの兼題の中から宗像大社の神事に関わる「みあれ祭(さい)」「神奈備祭(かんなびさい)」の写真を紹介。詳しくはホームページ等をご参照ください。
先生は、俳句チャンネルの視聴者は実力を貯めてきており、少しずつ挑戦してくれると嬉しいと述べて動画を締めました。
[271]【第6回尻二字三角パス③】「んが」に対する組長の対応は?
<2023/1/22公開>
動画[269]に続き、第6回尻二字三角パスの続きです。
[6]「ブリュッセル」から俳句愛好家で知られる初代EU大統領・ファンロンパイ氏の話題に。松山にも以前訪問されたそうです。ローゼンさんによると、外国人ながら季節感のある俳句を詠まれるよう。以前、ブリュッセルで観光する機会があり、ローゼンさんの希望で市長と共に大植物園に行くことに。ガイドらしく振舞うも初めての地で40~50分も歩き続けたそうです。ファンロンパイ氏は植物園の俳句も詠まれているそうです。
[7]「セル」は「ドラゴンボール」に登場する人造人間。地球を道ずれに自爆しようとするも、主人公の悟空が瞬間移動して阻止するシーン。それを科学的に解明するサイエンスライター・柳田理科雄氏の記事を読んだことを背景に作句したことを家藤さんが説明します。氏の代表作『空想科学読本』シリーズが大好きだと述べ、夏井先生も同調。ドラえもんのタケコプターや、アルプスの少女ハイジのブランコなどを取り挙げます。句の「銀河」はセルの爆発の威力を銀河の消滅に喩えたもので、そこも柳田理科雄氏の分析があるとのこと。小説などの読後感で、不思議な思いを持つことがある点に共感するローゼンさんは、お手紙を書いてまで立証して欲しいものがあることを述べ、「探偵ナイトスクープ」に加わる新たな問い合わせ先を見つけたことを喜びます。ちなみに、『空想科学読本』シリーズは親である先生が最初に興味を示して買ってきたそうです。家藤さんは、ウルトラマンに登場する怪獣・ゼットンが吐く1兆℃の火球についてさらに取り上げます。ローゼンさんも柳田氏に興味津々です。
[8]東京・台場で先生方が宿泊する近くにある巨大なガンダム立像。夕刻に起動して光る様子を、上の焼き肉屋の窓際の席から夕焼とともに眺められたそうで、熱心なファンが周囲に集まって撮影などをするそう。家藤さんは、幼少期にドラゴンボールやウルトラマンには嵌ったものの、ガンダムはあまり見なかったと明かします。先生は「よみ旅」の東北収録で、ドラゴンボールのピッコロが出る映画に号泣した姉妹がいたことを語ります。
[9]ここまでの会話の流れから「お好み焼き屋」でも良かった下五ですが、「焼肉屋」によって野犬がさらに悲しい感じがすると味わう先生。尻二字「くや」から始まる句をこの動画のコメント欄で募集します。第7回の企画に繋がるようです。
※第6回で詠まれた俳句は以下の通りです。
[M3]松山市主催「いい、つばきの日」記念イベント第3回夏井いつきのリモート句会ライブ
<2023/1/28公開>
第3回・夏井いつき リモート句会ライブが1月28日(土)午後2時から約1時間半にわたって放送されました。
松山市主催「いい、つばきの日」記念イベントとして催され、夏井先生のYouTubeチャンネルを介して配信されました。
中継場所は3年連続で、道後温泉の「ひみつジャナイ基地」です。
背景のホワイトボードの周囲を彩るのが折り紙の椿の花。「椿」は愛媛県松山市の市花(1972年制定)で、2022年4月に市花制定50年を迎えました。1月28日は語呂合わせで「いい、つばきの日」です。また、3月31日まで「つばきフェスティバル2023」と題して松山と椿の魅力が伝わる写真などを募集しています。詳細は松山市ホームページをご覧ください。また、2月10日まで椿の新花「子規」と「律(りつ)」の特別展示を子規記念博物館の1階ロビーにて行っています(※律は子規の妹の名です)。
俳都・松山大使である夏井いつき先生。今回も「椿」にちなんだ兼題で句会ライブを行いました。投句は夏井いつき先生のブログの専用フォーム(動画概要リンク、動画表示のQRコード)から送信する形式でした。
※コメント欄・チャット欄には投句NGです。
※動画への投げ銭(スーパーチャット)は8月の俳句甲子園に募金されます。
※読まれた俳句の先生直筆のポストカードが希望者(本人限定)にプレゼントされます。
* * * * *
投句テーマ(席題)は「椿の写真(二の丸庭園)」(つばきフォトコンテスト2018「松山とつばき」グランプリ写真「二之丸にて」)でした。
なお、トップで賞は「いいつばき」というキーワードを含んで最も早く投句した人に送られるルールでした。
投句作品で先生の目についた作品は、はがきサイズのメモ用紙に毛筆風に模写され、二人の前にあるホワイトボードに貼りだされていきました。
投句時間は開始約45分後の鐘が鳴る合図で終了しました。
最終的に2900句もの投句があったそうです。
また、優秀作は最上段に貼られる方式がとられました。
ギャラリー賞は先生方に選定された候補6句から視聴者の投票によって決定しました。
* * * * *
以下、番組で取り上げられた作品のうち受賞作品を掲載します。
◆優秀作品 ※俳号は敬称略
採用された皆さま、おめでとうございました~。
[272]【まつやま景観賞】伊月庵がきらめき大賞を受賞しました
<2023/1/29公開>
立派な額に入れた表彰状とトロフィーを掲げる今回。「伊月庵(いげつあん)」が第13回まつやま景観賞 きらめき大賞を受賞されたそうです。おめでとうございます。この賞は松山の景観に興味を持ちつつ良くしていくことを目的に、市内の良好な景観を形成する建築物や屋外広告物やまちづくり活動など有形無形問わず隔年で表彰するものです。
なお、前回の同賞の選考では、きらめき奨励賞に「俳句甲子園」、審査員特別賞に「ひみつジャナイ基地」が受賞されたことも紹介し、俳句関連が選出されたことに感謝の辞を述べるお二方です。
市役所での表彰式の様子を語る先生。「伊月庵」の所有者である夏井&カンパニー社長の兼光氏、建物を設計した(株)デザインアルボーの河野氏(動画[229]参照)と共に3人で出席されたそうで、10月31日付の先生のブログ記事に詳細が執筆されています。
先生は、自身が設計者ではないが故、メディアからの質疑応答に困ったことを明かし、正直に答えたことを述べます。以前、道後温泉まつりで現在の伊月庵周辺を吟行した際「この辺りに句会場があったら良いな」と願望を述べていた張本人であったという先生。設計の条件として、句座を囲める部屋があること、玄関に椿を植えることを要望し、さらに河野氏のアイデアを元に事がスピーディーに進んだようです。
なお、審査員評は以下の通りです。
表彰式では、河野氏が普段以上に緊張した様子ながらも凄く嬉しそうだったことが印象的だと語る先生。「伊月庵」が句会以外の様々な用途に利用されている点にも触れます。感謝の言葉を述べる先生は、この小さな句会場があることをきっかけに、全国から道後を目指して訪れる俳句愛好家の方々に「伊月庵」で句会を行えるという小さな夢を抱いて頂けるのではないかという希望を抱いていたことを述べます。
先生のブログ記事のコメント欄より、【おこそとの】氏から、夫婦で松山旅行をした際に伊月庵を借りたエピソードを紹介。旅の俳句や旅行日誌を整理する自習室としてお借りなさったそう。先生は、七五三の時に写真屋が機材を置くスペースとして利用していたことを述べます。庵の向かいにある伊佐爾波(いさにわ)神社への裏道が近いため、着付け後に神社の階段で移動する手間が省けるようで、用途の意外性に仰天されるお二方。
「松山に訪れた際、是非伊月庵を利用して頂けると嬉しいです」と先生が述べて締めくくりました。
[273]【365日季語手帖】2023年版が完成しました!
<2023/2/5公開>
先生が手に持つ自著『2023年版 夏井いつきの365日季語手帖』(レゾンクリエイト刊)の紹介です。毎年12月に刊行されるお馴染みの書籍は今回が7回目。毎年表紙の色が変わりますが、過去3年分の書籍を家藤さんが掲げます。
365日の日付欄に一日一季語とその例句が挙げられるこの書籍。それらの季語を用いた句を詠んでハガキで投稿し、見事特選となると次年の例句に活字になるという"読者参加型歳時記"であるのが最大の特色です。
全国の句会ライブの際にも、当書籍に自分が投句した句が掲載された喜びの声を頂くと述べる先生は、ゆっくりと俳句の向き合う人の愛読書にもなっていると語ります。家藤さんは、投句のために仲間内で鍛錬しているという報告を述べ、この本をきっかけに俳人仲間が出来ていくのも嬉しい副産物だと先生が続けます。
最新版の季語に挑む方法だけでなく、過去年の例句の鑑賞文も俳句を学ぶ上での糧になると述べる家藤さん。俳句の修行と共に、毎年異なる色の表紙カバーの本が蓄積されるのも嬉しいことだと先生は述べます。
先生は、自分専用に一日一季語の句日記をつけていることを明かしますが、多忙なゆえに途中の日付がうっかり空いてしまった際の対処法について語ります。毎日全ての季語を埋めるのではなく、負担にならないようにケジメをつけるのが重要だと言います。
また、次の句会の兼題選びにこの書籍を利用している俳人仲間がいることを先生は述べます。どうしても自分が作りやすいものを兼題に決めがちではないかという先生の提案に対し、家藤さんは過去の兼題と重複しないかを第一に考えるという独自の見解を述べます。
さらに、先生は句会の兼題の出し方に関してのヒントを切り出します。現に当書籍を利用しているグループでは、比較的取り組みやすい季語を選定しがちだったものの、句会の成長とともに伴い難しい季語にも日和らず挑戦するように姿勢を変えたというエピソードを紹介します。家藤さんは2020年版の書籍を手に取り、パッと開いたページにある季語「風薫る」「苦潮」が同じページに掲載されることに触れ、兼題を決める際に「風薫る」に流れやすい傾向が理解できると述べます。兼題選びにも役立てて欲しいと先生は補足します。
2023年版は全国の書店で好評発売中です。
[274]【俳句×SDGs投句募集】季語の捉え方が変わります 面白い人に出会いました
<2023/2/12公開>
夏井先生曰く「面白い人」を紹介する今回。色んな知識・経験をお持ちのある女性を知人から紹介されて先生が対談をされたそうで、俳句とSDGs(エスディージーズ)の親和性について語ります。SDGsの例示として、生ゴミの堆肥や「プレバト!!」での兼題やシュレッダー演出後の紙吹雪の再利用について述べる先生ですが、俳句の側面からSDGsを眺めた時にどのような作品が生まれるかに関心があるようです。以前、SDGsに関して句会ライブの経験があるお二方ですが、季語に焦点を当てて今までと異なる知見を得たり、NHKサイエンスゼロの「575でカガク!」で俳句と自然科学を組み合わせるのと同様に、"SDGs×俳句"をテーマに深掘りします。そのナビゲーターとなる女性・南麻理江(みなみまりえ)氏と先生の対談に切り替わります。二人の真ん中のテーブルに桜の枝が置かれています。
南氏は株式会社 湯気の共同代表、前職ハフポスト日本版で「日常生活からSDGsを考える」をテーマに番組を企画・制作していた方です。SDGs、多様性、ジェンダーをテーマに取材をして企画にしたと言います。
喋っていて切り口が面白いと思うと述べる先生は、三大季語「桜」の捉え方について触れます。南氏は、自分が小さい頃はリアリティーを持って桜を見ていたが、今は地球温暖化の影響もあって卒業式に桜が散ってしまうケースもあり、このまま温暖化が進むと満開にならずダラダラ咲くかもしれない研究もあることを紹介します。思わずゲンナリする先生は、桜の季語の本意(ほい)が歪んでいく話だと述べます。「落花」「飛花」「桜蘂(しべ)降る」という素敵な季語に対し、"ダラダラ咲きやがって"と言われる始末。短い期間に集中する花100句のトレーニングも意味が変容することに"冗談ではない"と頭を抱えます。
南氏は気候変動継承俳句を作りたいわけではないが、何かを提唱したい様子。先生は長い歴史の中で本意が変化する季語もあるが、自分が生きている時代に「桜」という季語の本意が変わっていく日が来るなら、より強く「桜」を丁寧に詠み続ける必要があると提案します。それを聞いた南氏は、その点が表現者のリスペクト(=尊敬)するところで、ファクト(=事実)を並べたり警鐘を鳴らしたりすることは自分にもできるが、想像力を持って作品を作るあるいは未来を変えたいと言います。ダラダラ咲きの桜が嫌で満開が楽しめるようにするために、想像力がない人も多いと言います。ここで、先生からカメラ目線で訴えるようダメ出しが入ります。
さて、差し入れのおにぎりに目が行きます。具材が上に載っていますが、「秋鯖」に触れます。脂ののった大きめの鯖が季語の本意です。海の豊かさを守るのもSDGsの項目の一つですが、日本のサバはノルウェーの半分ほどの大きさしかないそう。生息環境の問題ではなく、日本近海で無計画に獲りすぎたことが原因で、小さい物でも卸に出されるようです。
先生は時代の出来事の潮流により、季語が理解されなくなることは十二分に考えられると言います。単なる知識ではなく、生身としての季語を皆で共有するのは今こそだと言います。「秋鯖」に関しても時代が本意をひっくり返すことになりかねず、特に先生は「秋刀魚(さんま)」を憂いていると述べます。
南氏が「クロマグロ」が絶滅危惧種に指定されていたことを切り出すと、夏井先生が"近代マグロ"のことだと当てます。養殖に成功した近畿大ですが、その甲斐もあり今は絶滅危惧種ではなくなっているそう。南氏は、人間が計画的に努力することで、魚は割と早く反応してくれるのだと主張します。世界の合意があれば、十年二十年単位で海は短期間で変化すると言います。再びカメラ目線で視聴者に訴えるよう先生から注意が入ります。
次に「チョコ」。「バレンタインデー」や傍題「愛の日」は季語ですが、「チョコ」は季語ではありません。「愛の日」に恥ずかしさを感じる南氏ですが、先生は短文詩がゆえ大丈夫だとフォローし、次の句を挙げます。
【夏井いつき】「愛の日のばりばり潰す段ボール」。"取り合わせ"のしくみを説明する先生です。さて、日本が7~8割を輸入に頼っているというチョコの原料「カカオ」の児童労働問題を南氏が切り出します。生産国ガーナでは、約780万人の児童が学校に通わずにカカオを採取する労働を行っており、資本主義の権利など背景が色々あるようで、ハフポスト所属時にも取材をしたそうです。
先生は、SDGsを知った際に項目を1個ずつ深掘りしていけば俳句のタネはとてつもなくあるのだと言います。俳句は自分の脳みそや体から吐き出す文芸ではなく、取材が重要な現場主義だと主張します。物事の本質に迫る際に微細な事実や微細な映像を全て積み上げると本質が浮き上がるアプローチなのだと続けます。それに今まで縁のなかった人が逆に入ってくるのだとも言います。「SDGsのNo.14はこういう問題で本質はこれです」と南氏の物真似を行う先生に対し、「悪意がある」と単刀直入に感想を述べる南氏。ここで対談動画が終了し、先生と家藤さんの動画に切り替わります。
SDGsと季語との相性が良いと述べる先生。季語が世の中の森羅万象と関わるのに対し、SDGsも全てにおいて関わる点が似ていると言います。ここで、試しに俳句を募集をすることを告知します。
<<俳句×SDGs 兼題:牧開(まきびらき)>>
仲春の季語「牧開」は、馬屋出しした牛馬を飼育のために春の若草がもえる牧野へと放つ放牧地開きのこと。雪解け後の光景といえますが、この兼題がSDGsとどうかかわるのか探求して欲しいと先生が述べます。
投句は概要欄の投句フォームから。締切は2023年3月31日(金)とのこと。
単に「牧開」の句を作るのではなく、SDGs的な視点が必要かを確認する家藤さん。先生はSDGsで凝り固まらず、いつものように兼題を調べたり、映像を見たり、実際に現場で体験し、その発見を素直に俳句に表現することが大切だといいます。それが集まった時に、SDGs的視点が我々の前に現れるかもしれず、柔らかく考えてほしいと投げかけました。
[275]【夏井家の過去】エッセイ『忘れられない父のこと母のこと』
<2023/2/19公開>
今回は家藤正人さんのエッセイの告知。月刊PHPの2023年1月号「明日は笑っていこう!」(2022年12月10日発行/No.896/¥250)を掲げます。動画[180]でも紹介した先生の著書「夏井いつきの世界一わかりやすい俳句鑑賞の授業」(PHP研究所 刊)に登場する熊アイコンの【ぴいえいち】氏からのお誘いでエッセイを執筆する運びとなったそうです。お手紙まで頂いたぴいえいち氏は家藤さんと同い年とのこと。
打診されたテーマは「忘れられない 父のこと母のこと」。これまでの様々な人物のリレーエッセイ形式の連載をまとめた「父へ母へ。100万回の『ありがとう』」(PHP編集部 刊)が既刊されています。今回は母・夏井いつき先生のことを執筆されたそうで、面と向かって紹介することに"授業参観のようで恥ずかしい"と赤面する家藤さん。
先ほど中身を読まれたという先生は恥ずかしすぎてバカ受けしたと言います。家藤さんが高校生時代にみんなで住んでいた「御幸(みゆき)ハウス」は愛媛県御幸町に借りていた中古の一軒家の愛称で、大変コアで充実した時間を過ごされたよう。先生が当時シングルマザーとして、正人さん・ふみさんらと共に過ごした家は、家族以外にも様々な人が出入りした場所。楽しくかつ大変な時期でもあったと振り返ります。その「御幸ハウス」での忘れがたい出来事が述べられたエッセイを見てバカ受けされたと改めて述べる先生。夏井先生の欠点も赤裸々に書かれているとのことです。
ここで、カラーページのカラテカ・矢部太郎氏のグラビアとインタビューにも触れます。NHK「俳句王国がゆく」で共演され、吟行ロケでもご一緒されたそうで、矢部氏は「やまなし大使」で地元をPRされています。改めて"良い人"だと振り返ります。
先生は「ここまでダメでもないがこういう時もあった」と補足。家藤さんは「これからもこんな母をよろしくお願いします」とPRしました。書籍は概要欄のリンクから購入可能です。
[276]格助詞「で」を掘り下げる①【場所・時】
<2023/2/26公開>
今回は格助詞「で」について。動画[264]でも「プレバト!!」の名人・藤本敏史の例句などで助詞「で」・「に」の違いについて解説しましたが、コメント欄でさらに解説を希望するリクエストが寄せられたそう。特に「で」は意味が多く混乱しやすいため、原点に戻って「で」の意味を考えることを先生は提案します。接続助詞の用法もありますが、格助詞「で」について整理します。後ろのホワイトボードに単語カードなどを貼りながら解説していきます。
格助詞「で」は"動作・作用が行われる"という土俵の中で大きく6つの用法に分類できると先生は述べます。普段は用法の違いを意識していない人でも、日常会話の中でニュアンスの違いを無意識的に使い分けていると前置きします。
初回は①場所・②時について解説します。文法講座の後半では、実際に先生と家藤さんが助詞を用いた俳句を考える実作編。「みなさんも一緒に考えてみてください」とテロップが流れ、コメント欄にも投稿して良い模様です。以下、要点をまとめます。
※①②とも「で」の後ろに動詞が続くこととなり、その動作を行う場所・時間が「で」の前にきています(動作の対象とは区別して考える)。
[277]格助詞「で」を掘り下げる②【状況・事情】
<2023/3/5公開>
動画[276]の続きとなる格助詞「で」の解説2回目。前回は①場所・②時を解説しました。ここから、やや直感的に理解しにくい用法に踏み込みます。2回目は③事情・状況について。今回も文法講座のみならず、実作を行います。視聴者にも句を作るように投げかけました。
※家藤さんが最初に詠んだ「役満であがる麻雀片かげり」が後述の"原因か?状況か?"で明確に用法が線引きできないと述べ例句として納得せず、"宿題"となることに。2句目を例句に採用しました。
[278]格助詞「で」を掘り下げる③【方法・原因】
<2023/3/12公開>
動画[277]の続きとなる格助詞「で」の解説3回目。前回までに動作・作用が行われる①場所・②時・③事情・状況を解説しました。今回以降は「動作・作用が行われる」の前提がありません。④手段・方法or道具・材料と⑤原因・理由・動機を解説します。
※⑤は③事情・状況と混乱しやすい点を述べ、③で先生が作句した「身ひとつで出戻る姉に雪しぐれ」の上五を「離婚」に変更して⑤の例句としました。
※家藤さんが前回詠んだ「役満であがる麻雀片かげり」の「で」は③事情・状況、④手段・方法、⑤原因・理由のどれなのか。麻雀に詳しい視聴者へ問いかけつつも、ひとまず宿題として今回も残りました。
[279]格助詞「で」を掘り下げる④【動作・状態の主体】
<2023/3/19公開>
動画[278]の続きとなる格助詞「で」の解説4回目でシリーズ最終回。前回は④手段・方法or道具・材料、⑤原因・理由・動機を解説しました。今回は⑥動作・状態の主体を解説しますが、①動作・作用が行われる場所と混同しやすい難しさをあげ、「こっちで話す」を例に句を作ります。
※⑥は「で」の前にあう単語が場所(「こっち」など)を表すと①の場所と使い分けが難しい点を挙げ、「会社」など主体が分かりやすい単語ほど用例判断が明確になる点を語ります。また、文法講座は視聴者の好き嫌いがハッキリと分かれる点についても述べ、興味がある人向けの有料サービス展開の検討について言及がありました。
[280]【親子で出演】NHK俳句に親子2人で出演します
<2023/3/26公開>
2023年度の「NHK俳句」に夏井親子(夏井いつき氏・家藤正人氏)が揃って出演することをご報告。2人の間に置かれたホワイトボードには、新しい番組ロゴとともに各選者や出演者の顔が印刷されたポスターを掲示。夏井先生は、初心者向けの第1週選者として毎月出演します。家藤さんは俳句初心者というアイドル、乃木坂46・中西アルノ氏と共にVTR出演します。俳句の手助けを家藤さんが担当するそうですが、以前の出演番組のキャラクターである「俳句仮面」の話題を流してしまうご本人。
新年度の番組趣旨について「NHK俳句」テキストを参照してほしいと述べる先生ですが、先生が担当する週は"凡人あるある"を具体的に検証する企画があるとのこと。以前の凡人あるあるシリーズ(動画[125][127][129][131])と同様に、視聴者から兼題に沿って送られた俳句をもとに、凡人レベルにとどまっている俳句を家藤さんと共に解説するスタイルだと言います。YouTube動画では基本的な解説にとどめていますが、実作編として投句された具体的な俳句を題材に「NHK俳句」で紹介できると述べ、句数が多いほどデータも集まることで先生側にも有効な研究となり、視聴者にも役に立つ内容になるのだと先生は語ります。
ここで懸念事項を述べる先生。自分が投句した俳句が"凡人"の句として紹介されることに抵抗がある人もいれば、逆に勉強の材料として採用されることをラッキーに思う人もいると述べます。凡句駄句として紹介されることに傷つきやすい人にはおススメできず、「NHK俳句」テキストに先生が執筆した注意事項を読んでほしいと忠告します。自分の俳句のレベルの現状を打破できず、"凡人"の句として紹介されることを了承できる場合のみ投句してほしいと述べます。ここで近くの犬の鳴き声が収録されます。
自分の俳句が斬られることに抵抗がある人は、他の週(第2週:山田佳乃氏、第3週:村上鞆彦氏、第4週:高野ムツオ氏)に挑んでほしいと忠告する先生。その一方で、初回となる4月の兼題には8000以上もの投句が寄せられたことを報告します。まだ投句してない人向けに、4月の放送をご覧になってから凡人データ提供の協力や挑戦の可否を決めてほしいと視聴者に投げかけます。
最後に「NHK俳句」放送時間について。NHK Eテレで毎週日曜日午前6:35~7:00(再放送:毎週金曜日午後2:35~3:00)と紹介します。勉強に絶対なると述べる先生。朝早い時間ですが、録画などの方法も活用して視聴してほしいと家藤さんが呼びかけました。
[281]【投句募集】「筆ぐるめ30 大盛」俳句大賞 2023
<2023/3/30公開>
今年初の木曜更新となる動画は、年賀状ソフトでお馴染みの「筆ぐるめ30 大盛」俳句大賞2023の投句のご案内。テーマは「ご挨拶状に載せたい一句」。季節のイメージは春・夏。卒業や引っ越し、入学・就職・転勤などの人生の転機や、母の日・父の日に向けたお礼状などが題材に。
開催期間は2023年4月1日~6月30日で、結果発表は8月中を予定。俳句の選者は夏井いつきで、最優秀賞1名、優秀賞3名、佳作5名。また、主催となる(株)富士ソフトの選でデザイン賞2名が選出されます。
応募方法は俳句:応募フォームからの投句、デザイン賞:ハガキでの応募 となっています。当ソフトを是非用いてデザインをしてみましょう。詳しくは筆ぐるめの公式ホームページを参照してください。
[282]【祝3周年】新年度のごあいさつ
<2023/4/2公開>
2023年4月で当YouTubeチャンネルの開設3周年とのことで(おめでとうございます)、新年度のご挨拶。初回動画[1]は2020年4月23日公開で、コロナ禍の真っ只中に始まりました。先生は、ジャンル別に整理してほしいという要望を多く頂くものの多忙で整理できていない状況を打ち明けます。当初から週2回更新でしたが、最近は収録の時間の確保が難しく、週1回更新になっている実情を述べる家藤さん。先生と家藤さんが確実に会える機会が月2回の南海ラジオ「一句一遊」の収録ぐらいしかないことも要因だと先生は語ります。先生が東京近辺を回る際にお世話になっている"タクシー・田中さん"の方が息子の正人さん以上に会っている時間が長いことを述べます。
今後の予定について、週1回はYouTubeを更新したい願望を述べる家藤さん。先生自身も俳句の文法など、将来学習する方への材料として記録できるなど一定の効果があるため、辞めたくはないことを述べます。特に文法講座は下準備に時間がかかり、小道具なども用意するため手間が多いそう。その点について、教材開発をするのが元中学校教員らしいと印象を語る家藤さん。仮に多忙でなくずっと家にいられるならば、YouTubeを撮影するために教材開発をずっとしていきたいとも語る先生です。
体が動けるうちは、夫の兼光氏と老老介護的な旅に出られるため、できるだけ多くの皆さんと句会ライブの現場でお会いしたいと本音を述べる先生。最近はコロナ禍の人数制限も緩和されつつあり、多くの方が会場を訪れると言います。「押しうちわ」や伊月庵通信、チーム裾野Tシャツなどを着てアピールする方もいると続けます。千葉県の【房総たまちゃん】氏は大きなウェルカムボードを掲げていたり、プレバト!!のディレクター・鳥越(とりこし)氏の母が友達を連れてキラキラした複数の団扇で歓迎したりなど、先生は楽しそうに現場の雰囲気を語ります。家藤さんも色んな俳号を持つ方を認知できるのが楽しいと述べます。
句会ライブは800人を超える大会場の場合、先生・兼光氏のほか家藤さんも同行することになるといいます。5月の秋田・由利本荘(6日)、大舘(7日)に同行すると述べる家藤さん。先生は、是非生の句会ライブの空間を楽しんでほしいと述べます。さらに、4月以降はラジオ「一句一遊」が秋田放送でもオンエア(月曜~金曜 16:00~16:10)が開始されることを報告します。ゆっくりと耳で聞いていくことで少しずつ俳句が上達していくのがラジオ「基礎英語」に近いと先生は述べます。全国の俳号の方の作品に触れることができるのも一つのメリットであり、句会ライブの現場でその人物とバッタリ会う可能性があるのも魅力だと述べる家藤さん。
リアル・番組・YouTubeと色んな物が結びつく2023年になることを目標に、当YouTubeも細々と続けていく抱負を述べます。引き続き、ご支援・応援を頂きたいと先生が述べ、「チャンネル登録お待ちしております」といつものセリフで家藤さんが締めました。
[283]【夏井いつきの愛読書】横尾さんの俳句とスラムダンクについて
<2023/4/9公開>
夏井先生の愛読シリーズ・漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)を机に並べて始まる今回。先日放送された「プレバト!!」春光戦の予選(テーマ「卒業」:2023年3月2日放送)で、【横尾渉(Kis-My-Ft2)】氏が詠んだ「夕桜学ラン捲り1on1(ワンオンワン)」と関連付けて解説します。
直に「卒業」を入れ込んだ句ではありませんが、バスケットボール部の現役部員であれば「学ラン捲り」はしないはずで、「夕桜」の季語により卒業式後の帰りがたい部員が、同級生や後輩から「1on1」をお願いされた状況ではないかと読み解きます。先生は句意を考えているうちに『SLAM DUNK』の木暮(こぐれ)先輩をイメージしたと述べます。ハリー・ポッターやサザンオールスターズなども好きな先生は、すぐに内容や歌詞を忘れてしまうため、何度でも感動できると述べますが、木暮先輩(愛称「メガネ君」)だけは覚えていたと語ります。横尾氏の句を考えているうちに、「りょうちん」(宮城リョータ)と桜木花道にも思えたとも述べ、「プレバト!!」の収録時にも同じことを語れた自分の記憶力に感動されたそうです。流川楓(るかわかえで)を覚えているのは当然として、それ以外の名まで覚えているスラムダンク愛は本物だったと陶酔する先生。
ここで、唐突に「水戸?」とクイズを出題する家藤さんに対して先生は言葉に詰まります。水戸洋平(みとようへい)は、主人公・桜木花道の親友の一人で、お二方はスラムダンク談義に華を咲かせます。この俳句を通して、横尾渉氏と先生のスラムダンク愛が通じたとも先生は解します。
さらに、スラムダンクが『THE FIRST SLAM DUNK』として映画化(2022年12月3日公開)されたことを話題にします。このYouTube動画撮影時はちょうど上映期間中でしたが、お二方ともご覧になられておらず、多忙のため観に行けるか不明だと述べます。先生はこの動画を撮っている場合でもないことをユーモラスに打ち明けます。単行本のどの内容が映画化されるかファンはやきもちしていたようですが、終盤の山王戦がメインテーマとのことで、先生の話も弾みます。先生は家藤さんを使って、バスケ部監督の安西先生の"タプタプ"まで再現します。お二方が映画を観に行けたのか「乞うご期待」と述べて、動画を締めました。
[284]【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【前編】
<2023/4/16公開>
第1回ローランド杯の結果発表回の前半パート。動画[252]で紹介していた投句企画で、2022年末に締め切られていました。兼題は「俺か、俺以外か」。先生は、ROLAND(ローランド)氏と会う機会がNHKの「よみ旅」の番組のみのため、発表がこの時期まで遅くなったことを報告します。先生は年末の〆切以来、応募1400句から101句に入選句をじっくりと絞り、2月上旬の「よみ旅」のロケでローランド氏に賞を決めてもらったそう。ローランド氏も1400句もの応募の多さに大変驚かれたとのこと。今回は入選101句の中から、先生と家藤さんが気になった句を紹介します。
①【北村崇雄】氏の「いふたかてああはなれんで草の花」に思わず笑ったと述べる先生。兼題を聞けばすぐさまローランド氏が浮かぶ措辞で、自分は雑草のような「草の花」のような存在という対比が成立しています。言い訳のようで「俺か、俺以外か」の状況を満たした一句です。「草の花」の選択が控えめな人格だと述べる家藤さん。兼題が持つ煌びやかとは違う切り口で、バリエーションが垣間見えると続けます。
②【露草うづら】氏の「俺以外開けてはならぬ冷蔵庫」は兼題の一部を直接入れたタイプの句で、家藤正人セレクション。ここで先生は御幸(みゆき)ハウス時代の思い出話を語ります。冷蔵庫を開けると内部に持ち物を示す張り紙が貼ってあり、この句の中七を「使ってはならぬ」に置き換えて解釈したと言います。家藤さんは、そもそも「開けてはならぬ」にミステリーがあって面白いと述べます。冷蔵庫が複数あり、日常用と異なる冷蔵庫を指す可能性にも言及。生物などの実験用で、開けると外部環境が変わることの注意喚起を意図するなど、読みがお二方で深まります。さらに、先生は明るい解釈として狂言の「附子(ぶす)」を語ります。家来に甘い食べ物を食べさせないように、毒のある食べ物だと言い聞かせておく家主との心情をめぐる話です。
③【小森六月】氏の「着膨れの鈴木とジャケツの鈴木も来」は同じ姓の人物が2人登場する一句。「鈴木」さん同士の会合か、はたまたクラスメイトに複数いる「鈴木」を明確に服装で区別する読みも成立。鈴木Aか、鈴木Bかという兼題の対比です。男性目線か女性目線かでも色んな読みが生まれそうで、「鈴木そもそもいらないし」などと思われているかも。日本に多い「鈴木」姓だからこそ共感性を持った仕上がりになっています。家藤さんはどちらかというと「着膨れの鈴木」に近いタイプだと言います。
④【魚﨑叶皐】氏の「テストの日ぼくだけのこる春の土」はお子さんの一句。切れの位置によって、テストの日の午後に教室に残されているか、自分だけ春の土の方に遊びに行っているのか、がんじがらめか解放感のどちらを思うかで読みが変わると述べる家藤さん。先生は、テストの日に自分だけお直しで残り、他のみんなが外に遊びに行った読みを思ったと述べます。悲しそうな季語だとベタになりますが、楽しそうな季語で生き生きとしているところが作者のセンスだと褒める先生。兼題の持つ前向きな自己肯定に溢れる言葉を、自分だけが悲しい方向に持っていくのは馴染み深い感覚だと述べる家藤さん。さらに、季語の選び方から先生と居残りをするのが嫌いではない可能性に先生は言及します。
⑤【中尾壮汰】氏の「冬の山みんながいないいえかえる」もお子さんを思わす一句。友達は家族の誰かがいるような家に帰るが、自分自身は家族がいない家に帰る意味を思ったとき、「冬の山」が萎れておらずどっしりと構えているのが良いと先生は評します。自分の立ち位置をしっかりと持っており、帰宅して自分がやることも予定通りに行うような頼もしく肝が据わっている作者。先生は学年を知りたかったと言いますが、資料を見ると"10歳未満"。先生は作者の思いが健気に生きている感じが凄く伝わると褒め、家藤さんはこの難しいお題によく投句したことを褒めます。兼題に引きずられず、「自分か、自分以外か」と考えてシンプルに出た内容だと先生は解説します。
⑥【北藤詩旦】氏の「秋思より逃げよ毛先を切り落とし」は家藤さんが心を惹かれた不思議な一句。思いを断ち切るために髪を切ることはありますが、秋思から逃げるために自分の髪の毛先だけを美容院で少し切り落として気持ちを切り替えるという「俺か、俺以外か」の決別の仕方に思ったと述べる家藤さん。先生は、勝手に伸びてきた髪を自分で束ねて鋏で切り落とすという強く迫力を持つ読みだと語り、前半の思いの受け取り方によって髪の切り落とし方が変わると述べます。兼題との関係性は、「俺以外」に煩わされる感じの秋思から逃げて「俺」を大切にするかのような読みを述べる家藤さん。テーマをどう解釈して展開するかにもオリジナリティの発生装置があると先生は述べます。
⑦【村瀬っち】氏の「シクラメン聞かないための美しき耳」はローランド氏の言葉を思い出したという先生が推す一句。「美(は)しき」は慣用的読みで、辞書的には「美(い)しき」が正しいと解説します。中七の表現が引っ掛かったという先生。ロケでローランド氏がいつも口にしていた言葉だと言います。「よみ旅」は地元の人が投句した俳句から、その人の人生を紐解く番組。そこに出演したハンバーガー店を経営する店主が、高めのハンバーグをこの土地で勝負できるか迷っていると相談を持ち掛けます。SNSなどで値段設定やコンセプトなどを考えれば考えるほど悩んでいると述べると、ローランド氏が「聞かない耳を持つことが大事」と発言。今の世は色んな人が勝手なことを勝手な判断で発信し、それを自分に関係することなら気にして読みますが、「俺は俺だ」と逆に聞かないことが生き抜いていくことで大変大事だという趣旨を語ったそうです。番組の持つ力に感動を覚える家藤さん。先生はその瞬間のことを思い出すきっかけとなった一句だと言います。
次回、後半パートでいつき賞、正人賞、ローランド賞の発表を行うと予告しました。
[285]【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【後編】
<2023/4/23公開>
動画[284]に続き、第1回ローランド杯の結果発表回の後半パート。いよいよお三方が選出した各賞の発表です。
①【伊藤辰弥】氏の「俺は飛べる菫俺以外は飛べない菫(すみれ)」。兼題「俺か、俺以外か」をしっかり句に取り入れた一句が夏井いつき賞。「飛べない菫」は正しく誠実に愛らしく咲いている当たり前の光景ですが、「飛べる」に対して華憐な「菫」が意外性のある取り合わせだと先生は述べます。飛べた菫はどこに向かうのか。飛べることによって不幸になる菫があるかもしれないと続けます。ここで唐突に『かもめのジョナサン』の話を持ち出す先生。周囲と異なり飛びたいことを追求する一羽のカモメの切々たるストーリーですが、その主人公のような印象が句にあると言うのです。"俺は飛べる菫に違いない"と自負しながら生きている思いを感じ、飛べた時に誰にも見えない光景が見える可能性もあって応援したくもなる母心が湧いてくると語ります。「アンタは世界でたった一つの菫なのよ」と作者にエールを送り、SMAPの「世界に一つだけの花」をBGMに流してほしいとリクエストまで述べるユニークな先生です。
②【長谷機械児】氏の「第六天魔王の城の螽斯(きりぎりす)」は家藤正人賞。「第六天魔王」は織田信長の仏教的な呼称の一つで、「城」は滋賀県の安土城を推測させます。今は城主なき城に、蕭条(しょうじょう)とキリギリスが鳴いている光景だと解説する家藤さん。あれだけ我が強い織田信長の存在が、兼題「俺か、俺以外か」のローランド氏のマインドに共感できると述べます。先生は、脳内でローランド氏の顔が織田信長に重なってくるとも言います。元V6の岡田准一氏が大河ドラマ(『郡司官兵衛』)で演じた織田信長。"ぎっちょんぎっちょん"と鳴くキリギリスの綺麗なだけではない生き抜く力に共感できると評す家藤さん。
そして、いよいよローランド賞の発表へ。長崎・熊本の「よみ旅」ロケで先生と再会したローランド氏は、先生が事前に選出した101句全て目を通すという意気込み。初日の昼食時に「1句では嫌だな、3句くらい選びたいな」と述べていたようで、翌日のロケ昼食後の時間を利用し、レストランの店内の片隅で入選3句の発表のVTRを撮影したそうです。そのVTRが流れます。
③<第3位>【織田航平】氏の「冬の朝家族はごはんでぼくラーメン」は10代の作者です。「人と違うことをするのに勇気がいる年頃だが、朝食のメニューだろうと周囲を気にせずに自分の意見をしっかり言える勇気が素晴らしいと思い、自分自身を意識した句を選ぶ観点となると素晴らしい句だと思う」とローランド氏。「大人になると余計に自分の意見を言いにくくなるため、この句を忘れずに周りに流されない大人になってほしい」とエールを送ります。
④<第2位>【直】氏の「自分らしく生きていますか冬ひなた」は鹿児島県の作者。「自分らしく生きるのが難しい時代に耳が痛い言葉。自分も常にそういられるわけではなく、自問自答して再確認するきっかけとなり、この問いに"自信を持って生きています"と答えられる人生にしたい。色んな人に問いかけるメッセージ性を感じて2位とした」と述べるローランド氏。季語「冬ひなた」もしみじみしていると先生も述べます。
⑤<第1位>【背番号7】氏の「きみとあつてからわたしは春の季語」。「恋をして、自分をより好きになって愛せるようになった前向きさが伝わってくる。"わたしは春の季語"と言い切れるくらい前向きな方は魅力的に見えるし、最もローランドらしい句だと思って1位に選んだ」と選考理由を述べるローランド氏です。おめでとうございます。
ここでVTRが終了し、お二方に戻ります。句の出来もさることながら、句の向こうにいる作者のことを考えながらローランド氏が選んでいることに感動したという家藤さんは、それぞれの語りを向けられる人になりたいと願望を述べます。今回の入選ではプレゼントは何もありませんが、ローランド氏や先生方が選んだという"名誉"が受賞者に与えられると述べる先生。沢山の投句に感謝の辞を家藤さんが述べます。気になる第2回の開催については「分からない~」と含みを持たしてお二方が述べ、動画を締めました。
なお、入選101句は動画の概要欄に掲載されました。
[286]【祝!完成!】梅沢富美男 句集「一人十色」
<2023/4/30公開>
「プレバト!!」で永世名人と名乗る梅沢富美男氏の『句集 一人十色(くしゅう いちにんといろ)』完成を記念する回。発売前から重版がかかる異例の売れ行き(※発売約1か月で3万部以上の売り上げ)だそうです。先生は句集の常識を部数で塗り替えているのは「プレバト!!」という番組で多くの人に知ってもらっているのが理由の一つだと述べ、句集の発売で記者会見をするのも凄いことだと述べます。
番組の収録で「梅沢さんの記者会見があります」とスタッフに聞かされていた先生は、"何か悪いことしたのか"と勘ぐってしまったそうですが、番組スタジオのセットそのままにスタートした記者会見に夏井先生も参加。記者が多数集まる場所での会見に、梅沢氏の調子は絶好調。番組収録も控えているため、司会の方が「では質問はここまでに」と会見を終わらせようとしますが、梅沢氏が「何を言ってるんだ。まだ聞きたいことがあるはずだ」と2度も会見を引き延ばしたそう。終盤には、MCの浜田雅功氏が花束を梅沢氏に贈呈した賑々しい記者会見だったと印象を述べる先生です。
ここで、梅沢氏が話した内容について気になっていた思い出を述べます。俳句以外の仕事に関してはオファーを受けないことを徹底している先生。梅沢氏と先生宛にあるCMのオファーが舞い込んだ際、喜んで仕事を引き受けた梅沢氏でしたが、こともあろうに夏井先生が断ったことに愚痴を述べたそう。CMは全て断っている先生でしたが、絵コンテを見て梅沢氏とのCMだけは引き受けておきたかったと本人に後で弁明したそうです。息子の家藤さんも、当時珍しく動揺している先生を見て会社スタッフと絵コンテの内容を確認したそう。俳句以外の内容のため、涙を呑んで見送った経緯を述べます。なお、そのCMは梅沢氏と別のキャストで撮られたそうです。
先生と梅沢氏との付き合いは番組を通じて約10年。「梅沢富美男ヒストリー」(2023年4月6日放送)として番組でも紹介されましたが、番組当初から才能アリを9回連続で獲って特待生になっており、永世名人への軌跡としても句集に収録されています。役者としての教養があったため、俳句をずっとやっていた人の印象があったと述べる先生。局のエレベーターで偶然会った際、「中卒の学歴しかないため文学的な部分にコンプレックスを持っていたが、俳句との出会いによって"自分ならできる"と思えるようになった」と言われたことが嬉しかったと述べます。梅沢氏は句集後半のインタビューでも赤裸々に綴っています。
先生は玄関で会った梅沢氏の動作についても語ります。胸ポケットから小さい手帳を取り出し、読めないほど小さい字で俳句を書き綴っていた梅沢氏。「ボツ」にされた句ではない方の候補句を見せられた際、「なんでそっちを出さないの?」と先生が褒めるやり取りをしたこともあったそうです。番組では梅沢富美男氏の事務所のシーンが放送され、ある大歳時記を机上に置いて「これが夏井先生が愛用している歳時記だ」と本人が語っている一幕がありました。お二方の前の机上に置いてあったのが、講談社の「カラー図説 日本大歳時記」「カラー版 新日本大歳時記」。ちなみに、梅沢氏が用いている俳句関連書籍・歳時記については句集の後半にも写真付きで掲載されています。
先生は番組出演者の俳句に取り組む姿勢についても語ります。入門書や歳時記を何種類も独学で読んでいる梅沢氏ですが、番組に出る方々は、情報交換はしながらも暗黙の了解のように自分で学ぶことをお互いの括りにしている部分があり、学んだものを番組にぶつけてくるのだと言います。芸能人としてのプライド・矜持(きょうじ)があり、別の人に頼らない清々しいフェアプレー精神に「カッコいい」と印象を述べます。句集に収録された梅沢氏と先生の対談の中でも「梅沢さんが誠実にやってきたことの力」について語っていると家藤さんが紹介します。
また、先生は梅沢氏が永世名人になるのに凄く時間がかかった一方、東国原英夫氏、フルーツポンチ村上氏(ポンチ君と呼ぶ)、千原ジュニア氏、FUJIWARA藤本氏など後続の人が割と早く永世名人になった理由について質問する人がいることに言及しますが、俳句の世界では実は当たり前のケースだとの持論を述べます。梅沢氏は常に段位を先行するトップランナーで、梅沢氏の前にお手本とするものがなく、有季定型の王道を守りながらやっては失敗することを繰り返してきたため時間がかかったと言います。擬人化や比喩の勘所について、季語の本意を知ることなど、全て身をもってやっているため、降格回数が誰よりも多い(※当ブログ集計で10回)形に。何をするとダメと言われるか評価のデータが蓄積することで、後からくる人にとっての踏み台となるため、後続者は早く上がっていけるのだと解説します。これは句会でも同じようなことがいえ、初心者だけが参加する句会の成長率は遅く、上級者から初心者まで万遍なく参加する句会の方が上達が早いと述べる先生に、家藤さんも同意。自分が持ちえなかった視点を上手い人の作品を見ることで吸収できる効果が大きいと述べます。番組において常に段位のトップランナーだった梅沢氏は、自身がおかした様々な失敗をデータ・情報という名の宝として後続の人に提供しており、その苦心の成果がこの一冊にまとめられていると評す先生。
嫌にならずに継続したこと、精神を鍛えて俳句の筋肉をつけ続けたことに拍手を送りたいと先生は述べます。努力の結晶である「句集 一人十色」(本体1,400円+税)は(株)ワニブックスより好評発売中です。
[287]【投句募集】第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト
<2023/5/7公開>
今回は「第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」の投句案内。2022年の第1回コンテストでは夏井先生が選者でしたが、今回は家藤さんが選者です。先生は初耳だったという「多発性硬化症」について、症状の資料を読むことに加え、投句で学びが深くなったと述べます。
「多発性硬化症」の正式名は「慢性進行性神経疾患」。認知機能や心理社会的機能や身体機能に影響が及ばされる疾患だと家藤さんが説明します。手足のしびれが現れることもあり、難病の一つとして社会的認知が不十分な面もあるそうです。推定有病率は約10%で10万人当たり10.8~14.4人というデータも紹介します。感覚機能や判断能力の低下など、患者によっても症状が様々なようです。ここで、前回大会の優秀句を発表します。
①【コミマル】氏の「辿り着き難病と知る夏の果て」は秀逸句。作者は絵手紙が趣味で、そこに添える俳句を長年考えていたが、難しく考えることはやめて体験をそのまま句にしたようです。10年前の夏、あちこちの病院を訪ね廻ったが病名が分からず、藁にも縋る思いで痺れ外来を訪ね、紹介された総合病院の検査で病名が判明。今の神経内科の主治医に辿り着いたそうです。相手が分からないことで、どのように対処すべきか分からないという問題は万事に共通すると述べる家藤さん。
②【asagi】氏の「ウートフの足音ひびく夏近し」は特選句。作者曰く「多発性硬化症を発症してから暑さが辛く、春から夏にかけて気温の上昇と連動するように体がしんどくなりウートフが夏を知らせているようだと感じて表現した。ウンザリした気持ちだが作品の一つの要素になって紹介を嬉しく思う」とのこと。「ウートフ兆候」は体温上昇により一時的に症状の悪化や別の症状が出てくること。その"ウートフ"を擬人化し、足音が近づいて汗がにじむ出ることが、作者にとって「夏近し」の把握になっていると解する先生。病気を知らない我々が、季語を媒介することで感覚をリアルに想像できるようになり、患者の方々に心を向けられる良い機会だと述べる家藤さん。先生は、患者のご家族のみならず、医療現場で患者に携わる方も投句できるコンテストだと押さえます。
③【丹波らる】氏の「歩行車のブレーキ固し雲の峰」は先生が句会ライブで印象に残った男性が作者です。医療従事者である作者は訪問理学療法士で、多発性硬化症患者との屋外歩行の練習時を詠んだ光景とのこと。家族のご飯をスーパーマーケットまで買いに行きたいという強い目標を持つ高齢患者。その気持ちに応えるため歩行車をレンタルして練習しているそう。脱髄疾患の影響で、徐々に握力が低下して歩行車のブレーキを握りにくくなっており、歩行器の椅子に座って休憩をするそう。作者の背景を知ることで病気に対する解像度が上がると述べる家藤さん。難病の説明には単語数が多くなりますが、それを17音にまとめた一句として記憶することで病気への思いが至る働きを俳句が担っていると先生が述べます。多発性硬化症への理解がなければ、この句の真の魅力にたどり着けないと述べるは家藤さんは、このコンテストをきっかけに多発性硬化症が色んな人に知って貰う良い機会になると続けます。
第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテストは、応募期間は2023年3月31日(金)~5月14日(日)、応募対象はMS<多発性硬化症>当事者/そのご家族・ご友人/MSに関わる医療関係者、いずれも日本国内お住まいで18歳以上の方。俳句とエピソードも併せて寄せてほしいとのことで、一人3作品まで応募可能です。主催はバイオジェン・ジャパン株式会社で、同社が提供するMSサポートナビのページを参照して下さい。
発表は6月24日(土)のオンラインイベントにて行う予定で、その後サポートナビサイトにて受賞作品の公開を予定。オンラインイベントでは、専門医・東北医科薬科大学医学部 脳神経内科学教授である中島一郎氏に加え、「プレバト!!」でもお馴染みの東国原英夫氏、家藤正人氏も参加予定です。「沢山の投句をお待ちしています」と述べ、動画を締めました。
【以下、要点まとめはお待ちください(リンクのみ)】
[288]【新刊のおしらせ】ポートフォリオ句集のご紹介
<2023/5/14公開>
❏動画内で紹介された句集
※お求めは「夏井&カンパニー」ウェブサイトより
[289]【第10回おしゃべり俳句】今回も子どもたちの気づきがいっぱい!【前編】
<2023/5/21公開>
[290]【第10回おしゃべり俳句】組長も共感した子どもたちの俳句!【後編】
<2023/5/28公開>
[291]【第26回俳句甲子園】市民スポンサーご協力のお願い【目指せ1000人!】
<2023/6/5公開>
プレバト!!の俳句コーナーでお馴染みの夏井先生のYouTube投稿動画の内容を紹介するページです。
夏井いつき俳句チャンネルに動画が投稿されるたびに、更新を予定しています。
動画の更新は毎週木曜夜8時・日曜夜8時の週2回です。
当ブログ記事更新:2023年6月5日
→関連まとめ記事(2020年/2021年/2022年/●) →ページ下部へ
(リンクは各ページに飛びます)
◆夏井いつき俳句チャンネル
◆夏井いつき氏のツイッター / インスタグラム
【YouTube最新情報】 ※更新は毎週日曜日。(木曜日更新実績は3/30) 俳句募集・第7回尻二字三角パス「くや」(動画[271]コメント欄へ) 俳句募集・第11回おしゃべり俳句(動画[290]コメント欄へ) 俳句募集・筆ぐるめ「挨拶状に載せたい一句」(6/30〆切・動画[281]概要欄→専用HPへ) NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』夏井いつき先生ご出演(NHKオンデマンドで配信中) |
※当ブログ記事が夏井いつき俳句チャンネルで紹介されました。 詳しくは2021・2022年版記事をご覧ください。 |
※番号クリックでページ内ジャンプします。
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[268] | 1/1 | 【正月】明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。 |
[269] | 1/8 | 【第6回尻二字三角パス②】「んで」で始まる正人の俳句 |
[270] | 1/15 | 【締切間近】1月締切の投句先を紹介します |
[271] | 1/22 | 【第6回尻二字三角パス③】「んが」に対する組長の対応は? |
[M3] | 1/28 | 松山市主催「いい、つばきの日」記念イベント第3回夏井いつきのリモート句会ライブ |
[272] | 1/29 | 【まつやま景観賞】伊月庵がきらめき大賞を受賞しました |
[273] | 2/5 | 【365日季語手帖】2023年版が完成しました! |
[274] | 2/12 | 【俳句×SDGs投句募集】季語の捉え方が変わります 面白い人に出会いました |
[275] | 2/19 | 【夏井家の過去】エッセイ『忘れられない父のこと母のこと』 |
[276] | 2/26 | 格助詞「で」を掘り下げる①【場所・時】 |
[277] | 3/5 | 格助詞「で」を掘り下げる②【状況・事情】 |
[278] | 3/12 | 格助詞「で」を掘り下げる③【方法・原因】 |
[279] | 3/19 | 格助詞「で」を掘り下げる④【動作・状態の主体】 |
[280] | 3/26 | 【親子で出演】NHK俳句に親子2人で出演します |
[281] | 3/30 | 【投句募集】「筆ぐるめ30 大盛」俳句大賞 2023 |
[282] | 4/2 | 【祝3周年】新年度のごあいさつ |
[283] | 4/9 | 【夏井いつきの愛読書】横尾さんの俳句とスラムダンクについて |
[284] | 4/16 | 【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【前編】 |
[285] | 4/23 | 【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【後編】 |
[286] | 4/30 | 【祝!完成!】梅沢富美男 句集「一人十色」 |
[287] | 5/7 | 【投句募集】第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト |
[288] | 5/14 | 【新刊のおしらせ】ポートフォリオ句集のご紹介 |
[289] | 5/21 | 【第10回おしゃべり俳句】今回も子どもたちの気づきがいっぱい!【前編】 |
[290] | 5/28 | 【第10回おしゃべり俳句】組長も共感した子どもたちの俳句!【後編】 |
[291] | 6/5 | 【第26回俳句甲子園】市民スポンサーご協力のお願い【目指せ1000人!】 |

(タイトルクリックで各YouTubeページに飛びます。)
[268]【正月】明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。
<2023/1/1公開>
カラー版『新日本大歳時記・新年』(講談社)と蜜柑を机に並べて2023年のご挨拶。
先生は家藤さんに「孫も後から来てくれるのか?」と確認しますが、無言で反応する息子さん。2023年4月で3周年を迎えるYouTubeチャンネルですが、昨年の後半は多忙のため週2回の更新が実現できなかったことを謝罪します。
元々、コロナ禍をきっかけに様々なイベントが中止となり、少しでも俳句の情報を発信するために開設されたこのYouTubeチャンネル。逆に、日常を取り戻しつつある今、句会ライブや講演などで日本全国を飛び回れるようになり、更新頻度が下がっていると説明します。
先生は「色んな意味でやれることをやっていきたい」と抱負を述べます。動画[252]でも紹介したローランド杯も昨年の大晦日で投句締切となりましたが、「今年はあの人と投句企画を行いたい」と謎の予告をする家藤さん。先生は、俳句初心者に向けて「この動画を投句の練習台に使ってほしい」と述べます。
最後に改めて「今年もどうぞよろしくお願いします。」と新年のご挨拶をしました。
[269]【第6回尻二字三角パス②】「んで」で始まる正人の俳句
<2023/1/8公開>
前回[267]の尻二字三角パスの続き。
[4]猫の死を以前も句材にされたことをローゼンさんに指摘されて頷く家藤さん。最近心が病んでいるため、死を題材にしがちだと弁明します。道後俳句塾で黒田杏子先生が大絶賛し、夏井先生も特選に採ったのが【家藤正人】「日盛や猫のつまびらかに腐る」。家藤さんは、愛南町・家串で小学生の時に後ろ脚が動けない猫を救助した経験を語ります。
[5]ハツラツとした声質を持つ「野志市長」は現在の松山市長。南海放送のアナウンサー時代から先生・家藤さんはご一緒していた関係のようです。ローゼンさんもベルギーまでお供したことを述べます。市長は坊ちゃんの袴姿、ローゼンさんはマドンナ姿で、愛媛のお酒「雪雀(ゆきすずめ)」をヨーロッパの俳人たちに配りながら俳句の話をされたそうです。アナウンサーで鍛えた市長の声質についても話が深まります。俳句甲子園にも理解があり、バックアップもしてもらったよう。当時の南海放送テレビ「もぎたて」で野志氏と共にアナウンサーをしていた永江孝子氏もその後政界に進出されたことを話されます。
[6]ベルギーのブリュッセルにも滞在経験があるローゼンさん。筆ペンよりも太くて白いアスパラガスが皿に3本乗り、黄色いソースが掛かったフランス料理が大変美味で忘れられない味だと述べます。動画は次回へと続くようです。
※今回詠まれた俳句は以下の通りです。
4 | ンで息はつひえて救助子猫の死 | のし | 正人 |
5 | 野志市長の声金秋のあかるさよ | さよ | いつき |
6 | 小夜時雨石畳うつブリユツセル | せる | 朗善 |
▼以下、次回動画に続く |
[270]【締切間近】1月締切の投句先を紹介します
<2023/1/15公開>
後ろのホワイトボードを挟んで座るお二方。今回は2023年1月31日投句締切の企画を3本立てで、表題を逐一ボードに貼り替えながら紹介します(詳しくは動画概要欄・各種ホームページ等をご覧下さい)。
❶俳句で届ける年賀状~筆ぐるめ俳句大賞2023 テーマ:年賀状に載せたい一句 投句数:一人5句まで |
❷ベルモニーPresents『私の年中行事』俳句コンテスト テーマ:大切にしている年中行事や、季節の行事・儀礼など 投句数:お一人1回3句まで |
❸ハルカムナカタキャンペーン 俳句コンテスト テーマ:HP掲載の世界遺産の写真 投句数:1枚のテーマ写真につき1句・合計3句まで |
先生は、俳句チャンネルの視聴者は実力を貯めてきており、少しずつ挑戦してくれると嬉しいと述べて動画を締めました。
[271]【第6回尻二字三角パス③】「んが」に対する組長の対応は?
<2023/1/22公開>
動画[269]に続き、第6回尻二字三角パスの続きです。
[6]「ブリュッセル」から俳句愛好家で知られる初代EU大統領・ファンロンパイ氏の話題に。松山にも以前訪問されたそうです。ローゼンさんによると、外国人ながら季節感のある俳句を詠まれるよう。以前、ブリュッセルで観光する機会があり、ローゼンさんの希望で市長と共に大植物園に行くことに。ガイドらしく振舞うも初めての地で40~50分も歩き続けたそうです。ファンロンパイ氏は植物園の俳句も詠まれているそうです。
[7]「セル」は「ドラゴンボール」に登場する人造人間。地球を道ずれに自爆しようとするも、主人公の悟空が瞬間移動して阻止するシーン。それを科学的に解明するサイエンスライター・柳田理科雄氏の記事を読んだことを背景に作句したことを家藤さんが説明します。氏の代表作『空想科学読本』シリーズが大好きだと述べ、夏井先生も同調。ドラえもんのタケコプターや、アルプスの少女ハイジのブランコなどを取り挙げます。句の「銀河」はセルの爆発の威力を銀河の消滅に喩えたもので、そこも柳田理科雄氏の分析があるとのこと。小説などの読後感で、不思議な思いを持つことがある点に共感するローゼンさんは、お手紙を書いてまで立証して欲しいものがあることを述べ、「探偵ナイトスクープ」に加わる新たな問い合わせ先を見つけたことを喜びます。ちなみに、『空想科学読本』シリーズは親である先生が最初に興味を示して買ってきたそうです。家藤さんは、ウルトラマンに登場する怪獣・ゼットンが吐く1兆℃の火球についてさらに取り上げます。ローゼンさんも柳田氏に興味津々です。
[8]東京・台場で先生方が宿泊する近くにある巨大なガンダム立像。夕刻に起動して光る様子を、上の焼き肉屋の窓際の席から夕焼とともに眺められたそうで、熱心なファンが周囲に集まって撮影などをするそう。家藤さんは、幼少期にドラゴンボールやウルトラマンには嵌ったものの、ガンダムはあまり見なかったと明かします。先生は「よみ旅」の東北収録で、ドラゴンボールのピッコロが出る映画に号泣した姉妹がいたことを語ります。
[9]ここまでの会話の流れから「お好み焼き屋」でも良かった下五ですが、「焼肉屋」によって野犬がさらに悲しい感じがすると味わう先生。尻二字「くや」から始まる句をこの動画のコメント欄で募集します。第7回の企画に繋がるようです。
※第6回で詠まれた俳句は以下の通りです。
0 | 臥蚕眉の関羽のやうな甘藷 | いも | 熊の谷のまさる |
1 | 芋呑んだやうな蝮のぬめりかな | かな | 正人 |
2 | 鉄床雲ぐんぐん世界は奇形なる | なる | いつき |
3 | 鳴神や犬小屋に頭つつこんで | んで | 朗善 |
4 | ンで息はつひえて救助子猫の死 | のし | 正人 |
5 | 野志市長の声金秋のあかるさよ | さよ | いつき |
6 | 小夜時雨石畳うつブリユツセル | せる | 朗善 |
7 | セル爆破して柳田理科雄の銀河 | んが | 正人 |
8 | ん、ガンダム動くか巨大なる夕焼 | やけ | いつき |
9 | 野犬かなし落葉の路地の焼肉屋 | くや | 朗善 |
▼視聴者へ投げかける尻二字は「くや」 |
[M3]松山市主催「いい、つばきの日」記念イベント第3回夏井いつきのリモート句会ライブ
<2023/1/28公開>
第3回・夏井いつき リモート句会ライブが1月28日(土)午後2時から約1時間半にわたって放送されました。
松山市主催「いい、つばきの日」記念イベントとして催され、夏井先生のYouTubeチャンネルを介して配信されました。
中継場所は3年連続で、道後温泉の「ひみつジャナイ基地」です。
背景のホワイトボードの周囲を彩るのが折り紙の椿の花。「椿」は愛媛県松山市の市花(1972年制定)で、2022年4月に市花制定50年を迎えました。1月28日は語呂合わせで「いい、つばきの日」です。また、3月31日まで「つばきフェスティバル2023」と題して松山と椿の魅力が伝わる写真などを募集しています。詳細は松山市ホームページをご覧ください。また、2月10日まで椿の新花「子規」と「律(りつ)」の特別展示を子規記念博物館の1階ロビーにて行っています(※律は子規の妹の名です)。
俳都・松山大使である夏井いつき先生。今回も「椿」にちなんだ兼題で句会ライブを行いました。投句は夏井いつき先生のブログの専用フォーム(動画概要リンク、動画表示のQRコード)から送信する形式でした。
※コメント欄・チャット欄には投句NGです。
※動画への投げ銭(スーパーチャット)は8月の俳句甲子園に募金されます。
※読まれた俳句の先生直筆のポストカードが希望者(本人限定)にプレゼントされます。
* * * * *
投句テーマ(席題)は「椿の写真(二の丸庭園)」(つばきフォトコンテスト2018「松山とつばき」グランプリ写真「二之丸にて」)でした。
なお、トップで賞は「いいつばき」というキーワードを含んで最も早く投句した人に送られるルールでした。
投句作品で先生の目についた作品は、はがきサイズのメモ用紙に毛筆風に模写され、二人の前にあるホワイトボードに貼りだされていきました。
投句時間は開始約45分後の鐘が鳴る合図で終了しました。
最終的に2900句もの投句があったそうです。
また、優秀作は最上段に貼られる方式がとられました。
ギャラリー賞は先生方に選定された候補6句から視聴者の投票によって決定しました。
* * * * *
以下、番組で取り上げられた作品のうち受賞作品を掲載します。
◆優秀作品 ※俳号は敬称略
最優秀賞 [道後夢菓子噺・砥部焼ソーサーセット] | 曼荼羅のごとく椿に囲まれり | 池之端モルト |
優秀賞 [小春アロマミストスプレー・伊織手拭い] | まだ百回ひらきそうなる椿なり | 二重格子 |
その人を平和と呼んでいい椿 | イサク | |
また母の夢に呼ばるる椿かな | さとけん | |
人生はたった百年いい椿 | もりやま博士 | |
椿落ちる子規の喉仏の微動 | 葉村直 | |
俳都松山大使賞 [フェイスタオル椿・バスソルト小春ブレンド] | 文鳥を産むごとふふむ白椿 | シュリ |
家藤正人賞 ※松山大使賞に同じ | 良い椿ほどに美味いと鬼のいふ | 清水縞午 |
ギャラリー賞 [道後夢菓子噺] | 老いといふひかりに触れて椿咲く | いさな歌鈴 |
トップで賞 (「いいつばき」投句1番) [撫子多織<椿>] | いいつばき選び孫への初LINE | Rx |
いい、つばきの日賞 (投句1128番・1972番) ※トップで賞に同じ | 嘘ついてゆらゆら揺れる椿かな | そまり |
気がつけば側にあるのは花椿 | ピアニシモ |
[272]【まつやま景観賞】伊月庵がきらめき大賞を受賞しました
<2023/1/29公開>
立派な額に入れた表彰状とトロフィーを掲げる今回。「伊月庵(いげつあん)」が第13回まつやま景観賞 きらめき大賞を受賞されたそうです。おめでとうございます。この賞は松山の景観に興味を持ちつつ良くしていくことを目的に、市内の良好な景観を形成する建築物や屋外広告物やまちづくり活動など有形無形問わず隔年で表彰するものです。
なお、前回の同賞の選考では、きらめき奨励賞に「俳句甲子園」、審査員特別賞に「ひみつジャナイ基地」が受賞されたことも紹介し、俳句関連が選出されたことに感謝の辞を述べるお二方です。
市役所での表彰式の様子を語る先生。「伊月庵」の所有者である夏井&カンパニー社長の兼光氏、建物を設計した(株)デザインアルボーの河野氏(動画[229]参照)と共に3人で出席されたそうで、10月31日付の先生のブログ記事に詳細が執筆されています。
先生は、自身が設計者ではないが故、メディアからの質疑応答に困ったことを明かし、正直に答えたことを述べます。以前、道後温泉まつりで現在の伊月庵周辺を吟行した際「この辺りに句会場があったら良いな」と願望を述べていた張本人であったという先生。設計の条件として、句座を囲める部屋があること、玄関に椿を植えることを要望し、さらに河野氏のアイデアを元に事がスピーディーに進んだようです。
なお、審査員評は以下の通りです。
住宅の中に小さなパブリックスペースを持って、大きな公共建築では得られない、身近なところに誰でも気軽に立ち寄れる、活気の出る場所を作り出していることや、2つに分けて建築することで大きな塊にせず、格子の外観やスロープなどの集合、スケール感の良いその作り方が評価されました。建築はそのものの質やデザインはもちろんのこと、景観や環境への配慮などトータルで考えるものだと思います。これからの松山を引っ張っていくような、松山の先のイメージが描けるような建築に大賞を贈ることができて嬉しく思います。 |
先生のブログ記事のコメント欄より、【おこそとの】氏から、夫婦で松山旅行をした際に伊月庵を借りたエピソードを紹介。旅の俳句や旅行日誌を整理する自習室としてお借りなさったそう。先生は、七五三の時に写真屋が機材を置くスペースとして利用していたことを述べます。庵の向かいにある伊佐爾波(いさにわ)神社への裏道が近いため、着付け後に神社の階段で移動する手間が省けるようで、用途の意外性に仰天されるお二方。
「松山に訪れた際、是非伊月庵を利用して頂けると嬉しいです」と先生が述べて締めくくりました。
[273]【365日季語手帖】2023年版が完成しました!
<2023/2/5公開>
先生が手に持つ自著『2023年版 夏井いつきの365日季語手帖』(レゾンクリエイト刊)の紹介です。毎年12月に刊行されるお馴染みの書籍は今回が7回目。毎年表紙の色が変わりますが、過去3年分の書籍を家藤さんが掲げます。
365日の日付欄に一日一季語とその例句が挙げられるこの書籍。それらの季語を用いた句を詠んでハガキで投稿し、見事特選となると次年の例句に活字になるという"読者参加型歳時記"であるのが最大の特色です。
全国の句会ライブの際にも、当書籍に自分が投句した句が掲載された喜びの声を頂くと述べる先生は、ゆっくりと俳句の向き合う人の愛読書にもなっていると語ります。家藤さんは、投句のために仲間内で鍛錬しているという報告を述べ、この本をきっかけに俳人仲間が出来ていくのも嬉しい副産物だと先生が続けます。
最新版の季語に挑む方法だけでなく、過去年の例句の鑑賞文も俳句を学ぶ上での糧になると述べる家藤さん。俳句の修行と共に、毎年異なる色の表紙カバーの本が蓄積されるのも嬉しいことだと先生は述べます。
先生は、自分専用に一日一季語の句日記をつけていることを明かしますが、多忙なゆえに途中の日付がうっかり空いてしまった際の対処法について語ります。毎日全ての季語を埋めるのではなく、負担にならないようにケジメをつけるのが重要だと言います。
また、次の句会の兼題選びにこの書籍を利用している俳人仲間がいることを先生は述べます。どうしても自分が作りやすいものを兼題に決めがちではないかという先生の提案に対し、家藤さんは過去の兼題と重複しないかを第一に考えるという独自の見解を述べます。
さらに、先生は句会の兼題の出し方に関してのヒントを切り出します。現に当書籍を利用しているグループでは、比較的取り組みやすい季語を選定しがちだったものの、句会の成長とともに伴い難しい季語にも日和らず挑戦するように姿勢を変えたというエピソードを紹介します。家藤さんは2020年版の書籍を手に取り、パッと開いたページにある季語「風薫る」「苦潮」が同じページに掲載されることに触れ、兼題を決める際に「風薫る」に流れやすい傾向が理解できると述べます。兼題選びにも役立てて欲しいと先生は補足します。
2023年版は全国の書店で好評発売中です。
[274]【俳句×SDGs投句募集】季語の捉え方が変わります 面白い人に出会いました
<2023/2/12公開>
夏井先生曰く「面白い人」を紹介する今回。色んな知識・経験をお持ちのある女性を知人から紹介されて先生が対談をされたそうで、俳句とSDGs(エスディージーズ)の親和性について語ります。SDGsの例示として、生ゴミの堆肥や「プレバト!!」での兼題やシュレッダー演出後の紙吹雪の再利用について述べる先生ですが、俳句の側面からSDGsを眺めた時にどのような作品が生まれるかに関心があるようです。以前、SDGsに関して句会ライブの経験があるお二方ですが、季語に焦点を当てて今までと異なる知見を得たり、NHKサイエンスゼロの「575でカガク!」で俳句と自然科学を組み合わせるのと同様に、"SDGs×俳句"をテーマに深掘りします。そのナビゲーターとなる女性・南麻理江(みなみまりえ)氏と先生の対談に切り替わります。二人の真ん中のテーブルに桜の枝が置かれています。
南氏は株式会社 湯気の共同代表、前職ハフポスト日本版で「日常生活からSDGsを考える」をテーマに番組を企画・制作していた方です。SDGs、多様性、ジェンダーをテーマに取材をして企画にしたと言います。
喋っていて切り口が面白いと思うと述べる先生は、三大季語「桜」の捉え方について触れます。南氏は、自分が小さい頃はリアリティーを持って桜を見ていたが、今は地球温暖化の影響もあって卒業式に桜が散ってしまうケースもあり、このまま温暖化が進むと満開にならずダラダラ咲くかもしれない研究もあることを紹介します。思わずゲンナリする先生は、桜の季語の本意(ほい)が歪んでいく話だと述べます。「落花」「飛花」「桜蘂(しべ)降る」という素敵な季語に対し、"ダラダラ咲きやがって"と言われる始末。短い期間に集中する花100句のトレーニングも意味が変容することに"冗談ではない"と頭を抱えます。
南氏は気候変動継承俳句を作りたいわけではないが、何かを提唱したい様子。先生は長い歴史の中で本意が変化する季語もあるが、自分が生きている時代に「桜」という季語の本意が変わっていく日が来るなら、より強く「桜」を丁寧に詠み続ける必要があると提案します。それを聞いた南氏は、その点が表現者のリスペクト(=尊敬)するところで、ファクト(=事実)を並べたり警鐘を鳴らしたりすることは自分にもできるが、想像力を持って作品を作るあるいは未来を変えたいと言います。ダラダラ咲きの桜が嫌で満開が楽しめるようにするために、想像力がない人も多いと言います。ここで、先生からカメラ目線で訴えるようダメ出しが入ります。
さて、差し入れのおにぎりに目が行きます。具材が上に載っていますが、「秋鯖」に触れます。脂ののった大きめの鯖が季語の本意です。海の豊かさを守るのもSDGsの項目の一つですが、日本のサバはノルウェーの半分ほどの大きさしかないそう。生息環境の問題ではなく、日本近海で無計画に獲りすぎたことが原因で、小さい物でも卸に出されるようです。
先生は時代の出来事の潮流により、季語が理解されなくなることは十二分に考えられると言います。単なる知識ではなく、生身としての季語を皆で共有するのは今こそだと言います。「秋鯖」に関しても時代が本意をひっくり返すことになりかねず、特に先生は「秋刀魚(さんま)」を憂いていると述べます。
南氏が「クロマグロ」が絶滅危惧種に指定されていたことを切り出すと、夏井先生が"近代マグロ"のことだと当てます。養殖に成功した近畿大ですが、その甲斐もあり今は絶滅危惧種ではなくなっているそう。南氏は、人間が計画的に努力することで、魚は割と早く反応してくれるのだと主張します。世界の合意があれば、十年二十年単位で海は短期間で変化すると言います。再びカメラ目線で視聴者に訴えるよう先生から注意が入ります。
次に「チョコ」。「バレンタインデー」や傍題「愛の日」は季語ですが、「チョコ」は季語ではありません。「愛の日」に恥ずかしさを感じる南氏ですが、先生は短文詩がゆえ大丈夫だとフォローし、次の句を挙げます。
【夏井いつき】「愛の日のばりばり潰す段ボール」。"取り合わせ"のしくみを説明する先生です。さて、日本が7~8割を輸入に頼っているというチョコの原料「カカオ」の児童労働問題を南氏が切り出します。生産国ガーナでは、約780万人の児童が学校に通わずにカカオを採取する労働を行っており、資本主義の権利など背景が色々あるようで、ハフポスト所属時にも取材をしたそうです。
先生は、SDGsを知った際に項目を1個ずつ深掘りしていけば俳句のタネはとてつもなくあるのだと言います。俳句は自分の脳みそや体から吐き出す文芸ではなく、取材が重要な現場主義だと主張します。物事の本質に迫る際に微細な事実や微細な映像を全て積み上げると本質が浮き上がるアプローチなのだと続けます。それに今まで縁のなかった人が逆に入ってくるのだとも言います。「SDGsのNo.14はこういう問題で本質はこれです」と南氏の物真似を行う先生に対し、「悪意がある」と単刀直入に感想を述べる南氏。ここで対談動画が終了し、先生と家藤さんの動画に切り替わります。
SDGsと季語との相性が良いと述べる先生。季語が世の中の森羅万象と関わるのに対し、SDGsも全てにおいて関わる点が似ていると言います。ここで、試しに俳句を募集をすることを告知します。
<<俳句×SDGs 兼題:牧開(まきびらき)>>
仲春の季語「牧開」は、馬屋出しした牛馬を飼育のために春の若草がもえる牧野へと放つ放牧地開きのこと。雪解け後の光景といえますが、この兼題がSDGsとどうかかわるのか探求して欲しいと先生が述べます。
投句は概要欄の投句フォームから。締切は2023年3月31日(金)とのこと。
単に「牧開」の句を作るのではなく、SDGs的な視点が必要かを確認する家藤さん。先生はSDGsで凝り固まらず、いつものように兼題を調べたり、映像を見たり、実際に現場で体験し、その発見を素直に俳句に表現することが大切だといいます。それが集まった時に、SDGs的視点が我々の前に現れるかもしれず、柔らかく考えてほしいと投げかけました。
[275]【夏井家の過去】エッセイ『忘れられない父のこと母のこと』
<2023/2/19公開>
今回は家藤正人さんのエッセイの告知。月刊PHPの2023年1月号「明日は笑っていこう!」(2022年12月10日発行/No.896/¥250)を掲げます。動画[180]でも紹介した先生の著書「夏井いつきの世界一わかりやすい俳句鑑賞の授業」(PHP研究所 刊)に登場する熊アイコンの【ぴいえいち】氏からのお誘いでエッセイを執筆する運びとなったそうです。お手紙まで頂いたぴいえいち氏は家藤さんと同い年とのこと。
打診されたテーマは「忘れられない 父のこと母のこと」。これまでの様々な人物のリレーエッセイ形式の連載をまとめた「父へ母へ。100万回の『ありがとう』」(PHP編集部 刊)が既刊されています。今回は母・夏井いつき先生のことを執筆されたそうで、面と向かって紹介することに"授業参観のようで恥ずかしい"と赤面する家藤さん。
先ほど中身を読まれたという先生は恥ずかしすぎてバカ受けしたと言います。家藤さんが高校生時代にみんなで住んでいた「御幸(みゆき)ハウス」は愛媛県御幸町に借りていた中古の一軒家の愛称で、大変コアで充実した時間を過ごされたよう。先生が当時シングルマザーとして、正人さん・ふみさんらと共に過ごした家は、家族以外にも様々な人が出入りした場所。楽しくかつ大変な時期でもあったと振り返ります。その「御幸ハウス」での忘れがたい出来事が述べられたエッセイを見てバカ受けされたと改めて述べる先生。夏井先生の欠点も赤裸々に書かれているとのことです。
ここで、カラーページのカラテカ・矢部太郎氏のグラビアとインタビューにも触れます。NHK「俳句王国がゆく」で共演され、吟行ロケでもご一緒されたそうで、矢部氏は「やまなし大使」で地元をPRされています。改めて"良い人"だと振り返ります。
先生は「ここまでダメでもないがこういう時もあった」と補足。家藤さんは「これからもこんな母をよろしくお願いします」とPRしました。書籍は概要欄のリンクから購入可能です。
[276]格助詞「で」を掘り下げる①【場所・時】
<2023/2/26公開>
今回は格助詞「で」について。動画[264]でも「プレバト!!」の名人・藤本敏史の例句などで助詞「で」・「に」の違いについて解説しましたが、コメント欄でさらに解説を希望するリクエストが寄せられたそう。特に「で」は意味が多く混乱しやすいため、原点に戻って「で」の意味を考えることを先生は提案します。接続助詞の用法もありますが、格助詞「で」について整理します。後ろのホワイトボードに単語カードなどを貼りながら解説していきます。
格助詞「で」は"動作・作用が行われる"という土俵の中で大きく6つの用法に分類できると先生は述べます。普段は用法の違いを意識していない人でも、日常会話の中でニュアンスの違いを無意識的に使い分けていると前置きします。
初回は①場所・②時について解説します。文法講座の後半では、実際に先生と家藤さんが助詞を用いた俳句を考える実作編。「みなさんも一緒に考えてみてください」とテロップが流れ、コメント欄にも投稿して良い模様です。以下、要点をまとめます。
動作や作用が行われる | ||
①場所 | (例)本屋で買う (例)学校で学ぶ | 買う動作が行われる場所が本屋である 学ぶ動作が行われる場所が学校である |
「病院で外す包帯冬の雨」正人 「パチンコ屋で母を探せり年の暮」いつき | ||
②時 | (例)五分で解く (例)40秒で支度しな (「天空の城ラピュタ」より) | 解く動作が行われる時間が五分である 支度の動作を行う時間が40秒である |
◆「二時間で書けて天才!!冬木の芽」いつき ◆「春どなり三十分で消える雲」正人 |
※①②とも「で」の後ろに動詞が続くこととなり、その動作を行う場所・時間が「で」の前にきています(動作の対象とは区別して考える)。
[277]格助詞「で」を掘り下げる②【状況・事情】
<2023/3/5公開>
動画[276]の続きとなる格助詞「で」の解説2回目。前回は①場所・②時を解説しました。ここから、やや直感的に理解しにくい用法に踏み込みます。2回目は③事情・状況について。今回も文法講座のみならず、実作を行います。視聴者にも句を作るように投げかけました。
動作や作用が行われる | ||
③事情 ・状況 | (例)はらぺこで帰る (例)ただでもらう | 帰る動作が行われるときの状況がはらぺこである もらう動作が行われるときの事情がただである |
◆「身ひとつで出戻る姉に雪しぐれ」いつき ◆「文なしで乗れぬ電車のゆく時雨」正人 |
※家藤さんが最初に詠んだ「役満であがる麻雀片かげり」が後述の"原因か?状況か?"で明確に用法が線引きできないと述べ例句として納得せず、"宿題"となることに。2句目を例句に採用しました。
[278]格助詞「で」を掘り下げる③【方法・原因】
<2023/3/12公開>
動画[277]の続きとなる格助詞「で」の解説3回目。前回までに動作・作用が行われる①場所・②時・③事情・状況を解説しました。今回以降は「動作・作用が行われる」の前提がありません。④手段・方法or道具・材料と⑤原因・理由・動機を解説します。
④手段・方法 or 道具・材料 | (例)バスで行く (例)鉛筆で書く (例)粘土で作る | 行く手段がバスである 書く道具が鉛筆である 作る材料が粘土である |
⑤原因・理由 ・動機 | (例)戦争で死ぬ (例)表情で察する | 死ぬ原因が戦争である 察する動機が表情である |
◆「雪しぐれ離婚で姉の戻りくる」いつき |
※⑤は③事情・状況と混乱しやすい点を述べ、③で先生が作句した「身ひとつで出戻る姉に雪しぐれ」の上五を「離婚」に変更して⑤の例句としました。
※家藤さんが前回詠んだ「役満であがる麻雀片かげり」の「で」は③事情・状況、④手段・方法、⑤原因・理由のどれなのか。麻雀に詳しい視聴者へ問いかけつつも、ひとまず宿題として今回も残りました。
[279]格助詞「で」を掘り下げる④【動作・状態の主体】
<2023/3/19公開>
動画[278]の続きとなる格助詞「で」の解説4回目でシリーズ最終回。前回は④手段・方法or道具・材料、⑤原因・理由・動機を解説しました。今回は⑥動作・状態の主体を解説しますが、①動作・作用が行われる場所と混同しやすい難しさをあげ、「こっちで話す」を例に句を作ります。
⑥動作・状態 の主体 | (例)こっちで決める | 決めるという動作の主体がこっちである |
◆「上等のショールこっちで話すとは」正人 ◆「諍いの冬こっちで話すから黙れ」いつき ※「諍(いさか)い」 ◆「年の暮会社で決めたことだから」いつき | ||
①場所の例 <比較> | ◇「ほし組はこっちで話す小春です」正人 ◇「冬日向こっちで話そうと手を引く」いつき |
※⑥は「で」の前にあう単語が場所(「こっち」など)を表すと①の場所と使い分けが難しい点を挙げ、「会社」など主体が分かりやすい単語ほど用例判断が明確になる点を語ります。また、文法講座は視聴者の好き嫌いがハッキリと分かれる点についても述べ、興味がある人向けの有料サービス展開の検討について言及がありました。
[280]【親子で出演】NHK俳句に親子2人で出演します
<2023/3/26公開>
2023年度の「NHK俳句」に夏井親子(夏井いつき氏・家藤正人氏)が揃って出演することをご報告。2人の間に置かれたホワイトボードには、新しい番組ロゴとともに各選者や出演者の顔が印刷されたポスターを掲示。夏井先生は、初心者向けの第1週選者として毎月出演します。家藤さんは俳句初心者というアイドル、乃木坂46・中西アルノ氏と共にVTR出演します。俳句の手助けを家藤さんが担当するそうですが、以前の出演番組のキャラクターである「俳句仮面」の話題を流してしまうご本人。
新年度の番組趣旨について「NHK俳句」テキストを参照してほしいと述べる先生ですが、先生が担当する週は"凡人あるある"を具体的に検証する企画があるとのこと。以前の凡人あるあるシリーズ(動画[125][127][129][131])と同様に、視聴者から兼題に沿って送られた俳句をもとに、凡人レベルにとどまっている俳句を家藤さんと共に解説するスタイルだと言います。YouTube動画では基本的な解説にとどめていますが、実作編として投句された具体的な俳句を題材に「NHK俳句」で紹介できると述べ、句数が多いほどデータも集まることで先生側にも有効な研究となり、視聴者にも役に立つ内容になるのだと先生は語ります。
ここで懸念事項を述べる先生。自分が投句した俳句が"凡人"の句として紹介されることに抵抗がある人もいれば、逆に勉強の材料として採用されることをラッキーに思う人もいると述べます。凡句駄句として紹介されることに傷つきやすい人にはおススメできず、「NHK俳句」テキストに先生が執筆した注意事項を読んでほしいと忠告します。自分の俳句のレベルの現状を打破できず、"凡人"の句として紹介されることを了承できる場合のみ投句してほしいと述べます。ここで近くの犬の鳴き声が収録されます。
自分の俳句が斬られることに抵抗がある人は、他の週(第2週:山田佳乃氏、第3週:村上鞆彦氏、第4週:高野ムツオ氏)に挑んでほしいと忠告する先生。その一方で、初回となる4月の兼題には8000以上もの投句が寄せられたことを報告します。まだ投句してない人向けに、4月の放送をご覧になってから凡人データ提供の協力や挑戦の可否を決めてほしいと視聴者に投げかけます。
最後に「NHK俳句」放送時間について。NHK Eテレで毎週日曜日午前6:35~7:00(再放送:毎週金曜日午後2:35~3:00)と紹介します。勉強に絶対なると述べる先生。朝早い時間ですが、録画などの方法も活用して視聴してほしいと家藤さんが呼びかけました。
[281]【投句募集】「筆ぐるめ30 大盛」俳句大賞 2023
<2023/3/30公開>
今年初の木曜更新となる動画は、年賀状ソフトでお馴染みの「筆ぐるめ30 大盛」俳句大賞2023の投句のご案内。テーマは「ご挨拶状に載せたい一句」。季節のイメージは春・夏。卒業や引っ越し、入学・就職・転勤などの人生の転機や、母の日・父の日に向けたお礼状などが題材に。
開催期間は2023年4月1日~6月30日で、結果発表は8月中を予定。俳句の選者は夏井いつきで、最優秀賞1名、優秀賞3名、佳作5名。また、主催となる(株)富士ソフトの選でデザイン賞2名が選出されます。
応募方法は俳句:応募フォームからの投句、デザイン賞:ハガキでの応募 となっています。当ソフトを是非用いてデザインをしてみましょう。詳しくは筆ぐるめの公式ホームページを参照してください。
[282]【祝3周年】新年度のごあいさつ
<2023/4/2公開>
2023年4月で当YouTubeチャンネルの開設3周年とのことで(おめでとうございます)、新年度のご挨拶。初回動画[1]は2020年4月23日公開で、コロナ禍の真っ只中に始まりました。先生は、ジャンル別に整理してほしいという要望を多く頂くものの多忙で整理できていない状況を打ち明けます。当初から週2回更新でしたが、最近は収録の時間の確保が難しく、週1回更新になっている実情を述べる家藤さん。先生と家藤さんが確実に会える機会が月2回の南海ラジオ「一句一遊」の収録ぐらいしかないことも要因だと先生は語ります。先生が東京近辺を回る際にお世話になっている"タクシー・田中さん"の方が息子の正人さん以上に会っている時間が長いことを述べます。
今後の予定について、週1回はYouTubeを更新したい願望を述べる家藤さん。先生自身も俳句の文法など、将来学習する方への材料として記録できるなど一定の効果があるため、辞めたくはないことを述べます。特に文法講座は下準備に時間がかかり、小道具なども用意するため手間が多いそう。その点について、教材開発をするのが元中学校教員らしいと印象を語る家藤さん。仮に多忙でなくずっと家にいられるならば、YouTubeを撮影するために教材開発をずっとしていきたいとも語る先生です。
体が動けるうちは、夫の兼光氏と老老介護的な旅に出られるため、できるだけ多くの皆さんと句会ライブの現場でお会いしたいと本音を述べる先生。最近はコロナ禍の人数制限も緩和されつつあり、多くの方が会場を訪れると言います。「押しうちわ」や伊月庵通信、チーム裾野Tシャツなどを着てアピールする方もいると続けます。千葉県の【房総たまちゃん】氏は大きなウェルカムボードを掲げていたり、プレバト!!のディレクター・鳥越(とりこし)氏の母が友達を連れてキラキラした複数の団扇で歓迎したりなど、先生は楽しそうに現場の雰囲気を語ります。家藤さんも色んな俳号を持つ方を認知できるのが楽しいと述べます。
句会ライブは800人を超える大会場の場合、先生・兼光氏のほか家藤さんも同行することになるといいます。5月の秋田・由利本荘(6日)、大舘(7日)に同行すると述べる家藤さん。先生は、是非生の句会ライブの空間を楽しんでほしいと述べます。さらに、4月以降はラジオ「一句一遊」が秋田放送でもオンエア(月曜~金曜 16:00~16:10)が開始されることを報告します。ゆっくりと耳で聞いていくことで少しずつ俳句が上達していくのがラジオ「基礎英語」に近いと先生は述べます。全国の俳号の方の作品に触れることができるのも一つのメリットであり、句会ライブの現場でその人物とバッタリ会う可能性があるのも魅力だと述べる家藤さん。
リアル・番組・YouTubeと色んな物が結びつく2023年になることを目標に、当YouTubeも細々と続けていく抱負を述べます。引き続き、ご支援・応援を頂きたいと先生が述べ、「チャンネル登録お待ちしております」といつものセリフで家藤さんが締めました。
[283]【夏井いつきの愛読書】横尾さんの俳句とスラムダンクについて
<2023/4/9公開>
夏井先生の愛読シリーズ・漫画『SLAM DUNK』(スラムダンク)を机に並べて始まる今回。先日放送された「プレバト!!」春光戦の予選(テーマ「卒業」:2023年3月2日放送)で、【横尾渉(Kis-My-Ft2)】氏が詠んだ「夕桜学ラン捲り1on1(ワンオンワン)」と関連付けて解説します。
直に「卒業」を入れ込んだ句ではありませんが、バスケットボール部の現役部員であれば「学ラン捲り」はしないはずで、「夕桜」の季語により卒業式後の帰りがたい部員が、同級生や後輩から「1on1」をお願いされた状況ではないかと読み解きます。先生は句意を考えているうちに『SLAM DUNK』の木暮(こぐれ)先輩をイメージしたと述べます。ハリー・ポッターやサザンオールスターズなども好きな先生は、すぐに内容や歌詞を忘れてしまうため、何度でも感動できると述べますが、木暮先輩(愛称「メガネ君」)だけは覚えていたと語ります。横尾氏の句を考えているうちに、「りょうちん」(宮城リョータ)と桜木花道にも思えたとも述べ、「プレバト!!」の収録時にも同じことを語れた自分の記憶力に感動されたそうです。流川楓(るかわかえで)を覚えているのは当然として、それ以外の名まで覚えているスラムダンク愛は本物だったと陶酔する先生。
ここで、唐突に「水戸?」とクイズを出題する家藤さんに対して先生は言葉に詰まります。水戸洋平(みとようへい)は、主人公・桜木花道の親友の一人で、お二方はスラムダンク談義に華を咲かせます。この俳句を通して、横尾渉氏と先生のスラムダンク愛が通じたとも先生は解します。
さらに、スラムダンクが『THE FIRST SLAM DUNK』として映画化(2022年12月3日公開)されたことを話題にします。このYouTube動画撮影時はちょうど上映期間中でしたが、お二方ともご覧になられておらず、多忙のため観に行けるか不明だと述べます。先生はこの動画を撮っている場合でもないことをユーモラスに打ち明けます。単行本のどの内容が映画化されるかファンはやきもちしていたようですが、終盤の山王戦がメインテーマとのことで、先生の話も弾みます。先生は家藤さんを使って、バスケ部監督の安西先生の"タプタプ"まで再現します。お二方が映画を観に行けたのか「乞うご期待」と述べて、動画を締めました。
[284]【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【前編】
<2023/4/16公開>
第1回ローランド杯の結果発表回の前半パート。動画[252]で紹介していた投句企画で、2022年末に締め切られていました。兼題は「俺か、俺以外か」。先生は、ROLAND(ローランド)氏と会う機会がNHKの「よみ旅」の番組のみのため、発表がこの時期まで遅くなったことを報告します。先生は年末の〆切以来、応募1400句から101句に入選句をじっくりと絞り、2月上旬の「よみ旅」のロケでローランド氏に賞を決めてもらったそう。ローランド氏も1400句もの応募の多さに大変驚かれたとのこと。今回は入選101句の中から、先生と家藤さんが気になった句を紹介します。
①【北村崇雄】氏の「いふたかてああはなれんで草の花」に思わず笑ったと述べる先生。兼題を聞けばすぐさまローランド氏が浮かぶ措辞で、自分は雑草のような「草の花」のような存在という対比が成立しています。言い訳のようで「俺か、俺以外か」の状況を満たした一句です。「草の花」の選択が控えめな人格だと述べる家藤さん。兼題が持つ煌びやかとは違う切り口で、バリエーションが垣間見えると続けます。
②【露草うづら】氏の「俺以外開けてはならぬ冷蔵庫」は兼題の一部を直接入れたタイプの句で、家藤正人セレクション。ここで先生は御幸(みゆき)ハウス時代の思い出話を語ります。冷蔵庫を開けると内部に持ち物を示す張り紙が貼ってあり、この句の中七を「使ってはならぬ」に置き換えて解釈したと言います。家藤さんは、そもそも「開けてはならぬ」にミステリーがあって面白いと述べます。冷蔵庫が複数あり、日常用と異なる冷蔵庫を指す可能性にも言及。生物などの実験用で、開けると外部環境が変わることの注意喚起を意図するなど、読みがお二方で深まります。さらに、先生は明るい解釈として狂言の「附子(ぶす)」を語ります。家来に甘い食べ物を食べさせないように、毒のある食べ物だと言い聞かせておく家主との心情をめぐる話です。
③【小森六月】氏の「着膨れの鈴木とジャケツの鈴木も来」は同じ姓の人物が2人登場する一句。「鈴木」さん同士の会合か、はたまたクラスメイトに複数いる「鈴木」を明確に服装で区別する読みも成立。鈴木Aか、鈴木Bかという兼題の対比です。男性目線か女性目線かでも色んな読みが生まれそうで、「鈴木そもそもいらないし」などと思われているかも。日本に多い「鈴木」姓だからこそ共感性を持った仕上がりになっています。家藤さんはどちらかというと「着膨れの鈴木」に近いタイプだと言います。
④【魚﨑叶皐】氏の「テストの日ぼくだけのこる春の土」はお子さんの一句。切れの位置によって、テストの日の午後に教室に残されているか、自分だけ春の土の方に遊びに行っているのか、がんじがらめか解放感のどちらを思うかで読みが変わると述べる家藤さん。先生は、テストの日に自分だけお直しで残り、他のみんなが外に遊びに行った読みを思ったと述べます。悲しそうな季語だとベタになりますが、楽しそうな季語で生き生きとしているところが作者のセンスだと褒める先生。兼題の持つ前向きな自己肯定に溢れる言葉を、自分だけが悲しい方向に持っていくのは馴染み深い感覚だと述べる家藤さん。さらに、季語の選び方から先生と居残りをするのが嫌いではない可能性に先生は言及します。
⑤【中尾壮汰】氏の「冬の山みんながいないいえかえる」もお子さんを思わす一句。友達は家族の誰かがいるような家に帰るが、自分自身は家族がいない家に帰る意味を思ったとき、「冬の山」が萎れておらずどっしりと構えているのが良いと先生は評します。自分の立ち位置をしっかりと持っており、帰宅して自分がやることも予定通りに行うような頼もしく肝が据わっている作者。先生は学年を知りたかったと言いますが、資料を見ると"10歳未満"。先生は作者の思いが健気に生きている感じが凄く伝わると褒め、家藤さんはこの難しいお題によく投句したことを褒めます。兼題に引きずられず、「自分か、自分以外か」と考えてシンプルに出た内容だと先生は解説します。
⑥【北藤詩旦】氏の「秋思より逃げよ毛先を切り落とし」は家藤さんが心を惹かれた不思議な一句。思いを断ち切るために髪を切ることはありますが、秋思から逃げるために自分の髪の毛先だけを美容院で少し切り落として気持ちを切り替えるという「俺か、俺以外か」の決別の仕方に思ったと述べる家藤さん。先生は、勝手に伸びてきた髪を自分で束ねて鋏で切り落とすという強く迫力を持つ読みだと語り、前半の思いの受け取り方によって髪の切り落とし方が変わると述べます。兼題との関係性は、「俺以外」に煩わされる感じの秋思から逃げて「俺」を大切にするかのような読みを述べる家藤さん。テーマをどう解釈して展開するかにもオリジナリティの発生装置があると先生は述べます。
⑦【村瀬っち】氏の「シクラメン聞かないための美しき耳」はローランド氏の言葉を思い出したという先生が推す一句。「美(は)しき」は慣用的読みで、辞書的には「美(い)しき」が正しいと解説します。中七の表現が引っ掛かったという先生。ロケでローランド氏がいつも口にしていた言葉だと言います。「よみ旅」は地元の人が投句した俳句から、その人の人生を紐解く番組。そこに出演したハンバーガー店を経営する店主が、高めのハンバーグをこの土地で勝負できるか迷っていると相談を持ち掛けます。SNSなどで値段設定やコンセプトなどを考えれば考えるほど悩んでいると述べると、ローランド氏が「聞かない耳を持つことが大事」と発言。今の世は色んな人が勝手なことを勝手な判断で発信し、それを自分に関係することなら気にして読みますが、「俺は俺だ」と逆に聞かないことが生き抜いていくことで大変大事だという趣旨を語ったそうです。番組の持つ力に感動を覚える家藤さん。先生はその瞬間のことを思い出すきっかけとなった一句だと言います。
次回、後半パートでいつき賞、正人賞、ローランド賞の発表を行うと予告しました。
[285]【俺か、俺以外か】ローランド杯結果発表!【後編】
<2023/4/23公開>
動画[284]に続き、第1回ローランド杯の結果発表回の後半パート。いよいよお三方が選出した各賞の発表です。
①【伊藤辰弥】氏の「俺は飛べる菫俺以外は飛べない菫(すみれ)」。兼題「俺か、俺以外か」をしっかり句に取り入れた一句が夏井いつき賞。「飛べない菫」は正しく誠実に愛らしく咲いている当たり前の光景ですが、「飛べる」に対して華憐な「菫」が意外性のある取り合わせだと先生は述べます。飛べた菫はどこに向かうのか。飛べることによって不幸になる菫があるかもしれないと続けます。ここで唐突に『かもめのジョナサン』の話を持ち出す先生。周囲と異なり飛びたいことを追求する一羽のカモメの切々たるストーリーですが、その主人公のような印象が句にあると言うのです。"俺は飛べる菫に違いない"と自負しながら生きている思いを感じ、飛べた時に誰にも見えない光景が見える可能性もあって応援したくもなる母心が湧いてくると語ります。「アンタは世界でたった一つの菫なのよ」と作者にエールを送り、SMAPの「世界に一つだけの花」をBGMに流してほしいとリクエストまで述べるユニークな先生です。
②【長谷機械児】氏の「第六天魔王の城の螽斯(きりぎりす)」は家藤正人賞。「第六天魔王」は織田信長の仏教的な呼称の一つで、「城」は滋賀県の安土城を推測させます。今は城主なき城に、蕭条(しょうじょう)とキリギリスが鳴いている光景だと解説する家藤さん。あれだけ我が強い織田信長の存在が、兼題「俺か、俺以外か」のローランド氏のマインドに共感できると述べます。先生は、脳内でローランド氏の顔が織田信長に重なってくるとも言います。元V6の岡田准一氏が大河ドラマ(『郡司官兵衛』)で演じた織田信長。"ぎっちょんぎっちょん"と鳴くキリギリスの綺麗なだけではない生き抜く力に共感できると評す家藤さん。
そして、いよいよローランド賞の発表へ。長崎・熊本の「よみ旅」ロケで先生と再会したローランド氏は、先生が事前に選出した101句全て目を通すという意気込み。初日の昼食時に「1句では嫌だな、3句くらい選びたいな」と述べていたようで、翌日のロケ昼食後の時間を利用し、レストランの店内の片隅で入選3句の発表のVTRを撮影したそうです。そのVTRが流れます。
③<第3位>【織田航平】氏の「冬の朝家族はごはんでぼくラーメン」は10代の作者です。「人と違うことをするのに勇気がいる年頃だが、朝食のメニューだろうと周囲を気にせずに自分の意見をしっかり言える勇気が素晴らしいと思い、自分自身を意識した句を選ぶ観点となると素晴らしい句だと思う」とローランド氏。「大人になると余計に自分の意見を言いにくくなるため、この句を忘れずに周りに流されない大人になってほしい」とエールを送ります。
④<第2位>【直】氏の「自分らしく生きていますか冬ひなた」は鹿児島県の作者。「自分らしく生きるのが難しい時代に耳が痛い言葉。自分も常にそういられるわけではなく、自問自答して再確認するきっかけとなり、この問いに"自信を持って生きています"と答えられる人生にしたい。色んな人に問いかけるメッセージ性を感じて2位とした」と述べるローランド氏。季語「冬ひなた」もしみじみしていると先生も述べます。
⑤<第1位>【背番号7】氏の「きみとあつてからわたしは春の季語」。「恋をして、自分をより好きになって愛せるようになった前向きさが伝わってくる。"わたしは春の季語"と言い切れるくらい前向きな方は魅力的に見えるし、最もローランドらしい句だと思って1位に選んだ」と選考理由を述べるローランド氏です。おめでとうございます。
ここでVTRが終了し、お二方に戻ります。句の出来もさることながら、句の向こうにいる作者のことを考えながらローランド氏が選んでいることに感動したという家藤さんは、それぞれの語りを向けられる人になりたいと願望を述べます。今回の入選ではプレゼントは何もありませんが、ローランド氏や先生方が選んだという"名誉"が受賞者に与えられると述べる先生。沢山の投句に感謝の辞を家藤さんが述べます。気になる第2回の開催については「分からない~」と含みを持たしてお二方が述べ、動画を締めました。
なお、入選101句は動画の概要欄に掲載されました。
[286]【祝!完成!】梅沢富美男 句集「一人十色」
<2023/4/30公開>
「プレバト!!」で永世名人と名乗る梅沢富美男氏の『句集 一人十色(くしゅう いちにんといろ)』完成を記念する回。発売前から重版がかかる異例の売れ行き(※発売約1か月で3万部以上の売り上げ)だそうです。先生は句集の常識を部数で塗り替えているのは「プレバト!!」という番組で多くの人に知ってもらっているのが理由の一つだと述べ、句集の発売で記者会見をするのも凄いことだと述べます。
番組の収録で「梅沢さんの記者会見があります」とスタッフに聞かされていた先生は、"何か悪いことしたのか"と勘ぐってしまったそうですが、番組スタジオのセットそのままにスタートした記者会見に夏井先生も参加。記者が多数集まる場所での会見に、梅沢氏の調子は絶好調。番組収録も控えているため、司会の方が「では質問はここまでに」と会見を終わらせようとしますが、梅沢氏が「何を言ってるんだ。まだ聞きたいことがあるはずだ」と2度も会見を引き延ばしたそう。終盤には、MCの浜田雅功氏が花束を梅沢氏に贈呈した賑々しい記者会見だったと印象を述べる先生です。
ここで、梅沢氏が話した内容について気になっていた思い出を述べます。俳句以外の仕事に関してはオファーを受けないことを徹底している先生。梅沢氏と先生宛にあるCMのオファーが舞い込んだ際、喜んで仕事を引き受けた梅沢氏でしたが、こともあろうに夏井先生が断ったことに愚痴を述べたそう。CMは全て断っている先生でしたが、絵コンテを見て梅沢氏とのCMだけは引き受けておきたかったと本人に後で弁明したそうです。息子の家藤さんも、当時珍しく動揺している先生を見て会社スタッフと絵コンテの内容を確認したそう。俳句以外の内容のため、涙を呑んで見送った経緯を述べます。なお、そのCMは梅沢氏と別のキャストで撮られたそうです。
先生と梅沢氏との付き合いは番組を通じて約10年。「梅沢富美男ヒストリー」(2023年4月6日放送)として番組でも紹介されましたが、番組当初から才能アリを9回連続で獲って特待生になっており、永世名人への軌跡としても句集に収録されています。役者としての教養があったため、俳句をずっとやっていた人の印象があったと述べる先生。局のエレベーターで偶然会った際、「中卒の学歴しかないため文学的な部分にコンプレックスを持っていたが、俳句との出会いによって"自分ならできる"と思えるようになった」と言われたことが嬉しかったと述べます。梅沢氏は句集後半のインタビューでも赤裸々に綴っています。
先生は玄関で会った梅沢氏の動作についても語ります。胸ポケットから小さい手帳を取り出し、読めないほど小さい字で俳句を書き綴っていた梅沢氏。「ボツ」にされた句ではない方の候補句を見せられた際、「なんでそっちを出さないの?」と先生が褒めるやり取りをしたこともあったそうです。番組では梅沢富美男氏の事務所のシーンが放送され、ある大歳時記を机上に置いて「これが夏井先生が愛用している歳時記だ」と本人が語っている一幕がありました。お二方の前の机上に置いてあったのが、講談社の「カラー図説 日本大歳時記」「カラー版 新日本大歳時記」。ちなみに、梅沢氏が用いている俳句関連書籍・歳時記については句集の後半にも写真付きで掲載されています。
先生は番組出演者の俳句に取り組む姿勢についても語ります。入門書や歳時記を何種類も独学で読んでいる梅沢氏ですが、番組に出る方々は、情報交換はしながらも暗黙の了解のように自分で学ぶことをお互いの括りにしている部分があり、学んだものを番組にぶつけてくるのだと言います。芸能人としてのプライド・矜持(きょうじ)があり、別の人に頼らない清々しいフェアプレー精神に「カッコいい」と印象を述べます。句集に収録された梅沢氏と先生の対談の中でも「梅沢さんが誠実にやってきたことの力」について語っていると家藤さんが紹介します。
また、先生は梅沢氏が永世名人になるのに凄く時間がかかった一方、東国原英夫氏、フルーツポンチ村上氏(ポンチ君と呼ぶ)、千原ジュニア氏、FUJIWARA藤本氏など後続の人が割と早く永世名人になった理由について質問する人がいることに言及しますが、俳句の世界では実は当たり前のケースだとの持論を述べます。梅沢氏は常に段位を先行するトップランナーで、梅沢氏の前にお手本とするものがなく、有季定型の王道を守りながらやっては失敗することを繰り返してきたため時間がかかったと言います。擬人化や比喩の勘所について、季語の本意を知ることなど、全て身をもってやっているため、降格回数が誰よりも多い(※当ブログ集計で10回)形に。何をするとダメと言われるか評価のデータが蓄積することで、後からくる人にとっての踏み台となるため、後続者は早く上がっていけるのだと解説します。これは句会でも同じようなことがいえ、初心者だけが参加する句会の成長率は遅く、上級者から初心者まで万遍なく参加する句会の方が上達が早いと述べる先生に、家藤さんも同意。自分が持ちえなかった視点を上手い人の作品を見ることで吸収できる効果が大きいと述べます。番組において常に段位のトップランナーだった梅沢氏は、自身がおかした様々な失敗をデータ・情報という名の宝として後続の人に提供しており、その苦心の成果がこの一冊にまとめられていると評す先生。
嫌にならずに継続したこと、精神を鍛えて俳句の筋肉をつけ続けたことに拍手を送りたいと先生は述べます。努力の結晶である「句集 一人十色」(本体1,400円+税)は(株)ワニブックスより好評発売中です。
[287]【投句募集】第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト
<2023/5/7公開>
今回は「第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテスト」の投句案内。2022年の第1回コンテストでは夏井先生が選者でしたが、今回は家藤さんが選者です。先生は初耳だったという「多発性硬化症」について、症状の資料を読むことに加え、投句で学びが深くなったと述べます。
「多発性硬化症」の正式名は「慢性進行性神経疾患」。認知機能や心理社会的機能や身体機能に影響が及ばされる疾患だと家藤さんが説明します。手足のしびれが現れることもあり、難病の一つとして社会的認知が不十分な面もあるそうです。推定有病率は約10%で10万人当たり10.8~14.4人というデータも紹介します。感覚機能や判断能力の低下など、患者によっても症状が様々なようです。ここで、前回大会の優秀句を発表します。
①【コミマル】氏の「辿り着き難病と知る夏の果て」は秀逸句。作者は絵手紙が趣味で、そこに添える俳句を長年考えていたが、難しく考えることはやめて体験をそのまま句にしたようです。10年前の夏、あちこちの病院を訪ね廻ったが病名が分からず、藁にも縋る思いで痺れ外来を訪ね、紹介された総合病院の検査で病名が判明。今の神経内科の主治医に辿り着いたそうです。相手が分からないことで、どのように対処すべきか分からないという問題は万事に共通すると述べる家藤さん。
②【asagi】氏の「ウートフの足音ひびく夏近し」は特選句。作者曰く「多発性硬化症を発症してから暑さが辛く、春から夏にかけて気温の上昇と連動するように体がしんどくなりウートフが夏を知らせているようだと感じて表現した。ウンザリした気持ちだが作品の一つの要素になって紹介を嬉しく思う」とのこと。「ウートフ兆候」は体温上昇により一時的に症状の悪化や別の症状が出てくること。その"ウートフ"を擬人化し、足音が近づいて汗がにじむ出ることが、作者にとって「夏近し」の把握になっていると解する先生。病気を知らない我々が、季語を媒介することで感覚をリアルに想像できるようになり、患者の方々に心を向けられる良い機会だと述べる家藤さん。先生は、患者のご家族のみならず、医療現場で患者に携わる方も投句できるコンテストだと押さえます。
③【丹波らる】氏の「歩行車のブレーキ固し雲の峰」は先生が句会ライブで印象に残った男性が作者です。医療従事者である作者は訪問理学療法士で、多発性硬化症患者との屋外歩行の練習時を詠んだ光景とのこと。家族のご飯をスーパーマーケットまで買いに行きたいという強い目標を持つ高齢患者。その気持ちに応えるため歩行車をレンタルして練習しているそう。脱髄疾患の影響で、徐々に握力が低下して歩行車のブレーキを握りにくくなっており、歩行器の椅子に座って休憩をするそう。作者の背景を知ることで病気に対する解像度が上がると述べる家藤さん。難病の説明には単語数が多くなりますが、それを17音にまとめた一句として記憶することで病気への思いが至る働きを俳句が担っていると先生が述べます。多発性硬化症への理解がなければ、この句の真の魅力にたどり着けないと述べるは家藤さんは、このコンテストをきっかけに多発性硬化症が色んな人に知って貰う良い機会になると続けます。
第2回 想いでつながる私の多発性硬化症俳句コンテストは、応募期間は2023年3月31日(金)~5月14日(日)、応募対象はMS<多発性硬化症>当事者/そのご家族・ご友人/MSに関わる医療関係者、いずれも日本国内お住まいで18歳以上の方。俳句とエピソードも併せて寄せてほしいとのことで、一人3作品まで応募可能です。主催はバイオジェン・ジャパン株式会社で、同社が提供するMSサポートナビのページを参照して下さい。
発表は6月24日(土)のオンラインイベントにて行う予定で、その後サポートナビサイトにて受賞作品の公開を予定。オンラインイベントでは、専門医・東北医科薬科大学医学部 脳神経内科学教授である中島一郎氏に加え、「プレバト!!」でもお馴染みの東国原英夫氏、家藤正人氏も参加予定です。「沢山の投句をお待ちしています」と述べ、動画を締めました。
【以下、要点まとめはお待ちください(リンクのみ)】
[288]【新刊のおしらせ】ポートフォリオ句集のご紹介
<2023/5/14公開>
❏動画内で紹介された句集
夏井いつき | 句集『皺くちゃ玉』 |
句集『日よ花よ』 | |
句集『蝶語』 | |
句集『龍尾』 | |
句集『悪態句集』 | |
郎善千津 | 句集『自画像』![]() |
加根兼光 | 句集『あの年、四月の花』![]() |
美杉しげり | 句集『愛撫』![]() |
家藤正人 | 句集『磁針』![]() |
[289]【第10回おしゃべり俳句】今回も子どもたちの気づきがいっぱい!【前編】
<2023/5/21公開>
[290]【第10回おしゃべり俳句】組長も共感した子どもたちの俳句!【後編】
<2023/5/28公開>
[291]【第26回俳句甲子園】市民スポンサーご協力のお願い【目指せ1000人!】
<2023/6/5公開>

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- カテゴリ:夏井いつき先生
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