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20220707 プレバト!!俳句紹介【七夕】

2022年7月7日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→森口瑤子[24],中田喜子[53],千原ジュニア[76] ※数字は挑戦回数

●お題:七夕
七夕の兼題

※番号クリックでリンク内移動します。
1名人初段で現状維持森口瑤子
屑かごにある七夕竹の死骸くずかごにあるたなばただけのしがい
2名人6段で現状維持中田喜子
またござれ七夕さんの人の和よまたござれたなばたさんのひとのわよ
3名人10段★2へ1つ前進千原ジュニア
病室の七夕竹に一礼すびょうしつのたなばただけにいちれいす

→編集後記

夏井先生 季語と真っ向勝負してくれている。さすが名人だと思いました。

★特待生昇格試験★
浜田 さあ、でも今回昇段(試験)ということですけど。
森口名人 こないだ村上さんがパッと私の方を見て、「これからが大変ですからね」って言われたんですよ(笑)。
浜田 なんであいつそんな偉そう…。
ジュニア名人 ねえ(笑)。

◆『屑かごにある 七夕竹の死骸 森口瑤子

【本人談】
娘が学校で七夕があった時に、飾っていた七夕飾りを家に持って帰ってきて、屑かごに捨てていた。それをパッと見た時、キラキラな願い事の短冊を付けているが、笹がチリチリに乾いて生命力が全くない状態で、「なんだか死んじゃってるみたい」と思った時のことを詠んだ。

ジュニア名人 めちゃくちゃ良いですね。
本人 嬉しい。
ジュニア名人 この季語(七夕竹)を敢えて殺すっていうのが、僕は凄い良いなと。それが良いのかどうか、分かんないですけど。

★評価ポイント
「屑かごにある」の是非

■査定結果
名人初段で現状維持

理由:小さいの?大きいの?

ジュニア名人 あーそっちなんや。
本人 そっちか。

夏井先生 
目の付け所はさすがに思う。
飾られている七夕竹ではなく、捨てられている七夕竹を描こうと。
良い意味で裏切っている。
問題は、「屑かごに(捨てて)ある」の表現と「死骸」という比喩のバランスが問題。
屑かごに捨ててあるならば、小さい七夕飾りを思うが、「死骸」という比喩がやたら大袈裟になる。

小さいのか大きいのか、どちらかに決めてほしいという技術的な話になる。
今お聞きすると、子どもが持って帰った小さな七夕竹が捨ててあると。
後半「竹」で大きいイメージが出るため、「(七夕)かざり」と平仮名にすると、子どもの気分も少ししてくる。
七夕飾りがどうなっているか。
本人の言った「乾き」で「乾きをり」「乾きけり」など描写をする。
小さな七夕飾りがボンと捨ててあることが言える。
大きいか、小さいかは大きな違い。
気を付けられるとよいな。

本人 はい。死骸は凄く勇気がいったんですけど、今回どうしてもチャレンジしたかったので、頑張りたいと思います。
浜田 分かりました。

●解説のポイント
捨てられる七夕竹への目の付け所はさすが
良い意味で裏切っている
「屑かごにある」「死骸」の比喩のバランスが問題
前半で小ささを思うと「死骸」が大袈裟になる
大小を決めてほしいという技術的な問題
「竹」で大きいイメージのため子の「かざり」に
本人の言った「乾き」で小さな七夕飾りの描写に
気を付けられるとよい

添削後
屑かごにある 七夕 


◆『またござれ 七夕さんの 人の和よ 中田喜子

【本人談】
「またござれ」は仙台の方言(※「また来てください」の意味)。「いつござれ、またござれ」という歌がある。お店にお馴染みさんが毎年来て、またそのお馴染みさんが口コミでドンドン広げてくれる。

本人 ちょっとおとなしめの俳句を敢えて作ってみました。フフフ。
浜田 何笑っとんねん(笑)。
森口名人 この方言の「またござれ」と次の「七夕さん」っていうのが、最後の「人の和」に繋がっていて、声とかまで聞こえてくるような。
浜田 なるほど。
本人 ありがとうございます。

★評価ポイント
下五「人の和よ」という着地の是非

■査定結果
名人6段で現状維持

理由:余計な一言

本人 あ~またか~。

夏井先生 
良い所から押さえる。
「またござれ」の方言の呼びかけから始まり、これで空気感が出来ていく。
勿体ないのは、単語1つ。この「和」。
これはこの句を読み終わった時、「あ~なるほど。こういう町の懐かしい"人の和"を思わせる七夕なんですね」という読み手の楽しみを取ってしまっている。
そこの着地の問題。
例えば下五を「この町へ」とすれば、"今この町へ"となる。
それから「みちのくへ」としても良い。
みちのくの七夕飾り(仙台七夕まつり)、あの有名ななんて思うかもしれない。
最後を「へ」とすることで余韻が広がる。
「あ~この町へ行けば、みちのくへ行けば、人の和を味わうことができるのね」と。
読者が感じる所は少し置いておいてあげる。
これが作品の配慮。

本人 いや~ホントですよね。「この町へ」。あ~、そうですよね~(笑)。

●解説のポイント
方言の呼びかけから始まる空気感がある
「和」が読み手の楽しみを取ってしまった
懐かしい「人の和」を思わせる着地に
仙台七夕まつりなら「みちのく」など
「へ」で余韻が広がっていく
読者が感じる所は置いておくのが作品の配慮

添削後
またござれ 七夕さんの 
『またござれ 七夕さんの 



★永世名人への道★
浜田 どうですか?今回は。
ジュニア名人 (前回)1つ前進して、フジモンと並んだんですけど、フジモンが2ついきなりいったんですよ。
浜田 そうや。
ジュニア名人 めちゃくちゃ離されて。今日は、何とか獲っておかないと。
浜田 そうね。星をね。

◆『病室の 七夕竹に 一礼す 千原ジュニア

【本人談】
身内が長期間入院していた。見舞いに行った時、看護師さんが忙しい中、七夕の短冊に色々と専門的な(※「ビリルビンの数値が下がりますように」「栄養データが上がりますように」など)願いが書かれていた。うわ~、ホントにありがとうございますという思いを詠んだ。

森口名人 最後の「一礼す」に全ての情景が見えてドキッとしました。

★評価ポイント
上五「病室の」の是非

本人 え!?(笑)
浜田 みんな「一礼」のとこガァーッといってたのに。アハハ。
本人 これあの人(→梅沢名人)いたら、「冗談ポパイのほうれん草」言うて(笑)。
浜田 おい!ないわ。そんな言葉ないから。

■査定結果
名人10段★2へ1つ前進

理由:書かない勇気

本人 (立ち上がって)お~!良し!ありがとうございます。

夏井先生 
非常に印象的な作品だった。
これは敢えて書かない勇気を持った一句。

「病院」という場所だとぼんやり捉えずに、「病室」と丁寧に書いた。
「病院」「病棟」では一人の個人の印象ではなくなってしまう。
「病室」で、その部屋の誰かの願いだと分かる。
最後の「一礼す」で人物が出る。
例えば、医者・看護師・同僚・部下が一礼しているのか。
あるいは、加害者が一礼しているなんてこともあるかもしれない。
読み手は様々なドラマをこの一句の奥に読み取る。
これが10段の句。

本人 ありがとうございます。
浜田 直しがないので、当然1つ前進でございました。
本人 良し。良いねえ。冗談ジュニアのチンゲン菜ですわ(笑)。
浜田 もうええわ!
中田名人 アハハッ。
浜田 もうええって。もう。

●解説のポイント
非常に印象的な作品
敢えて書かない勇気を持った
病院とぼんやり捉えず「病室」と丁寧に
「病院」「病棟」では個人の印象ではない
その部屋の誰かの願いと分かる
下五で人物(医者・看護師・同僚・加害者など)を思う
読み手は様々なドラマを一句の奥に読み取る
これが10段の句

添削なし


★次回7/14の兼題は「アイス売り場」です。


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コメント

更新お疲れ様です

森口名人
子どもが学校とかでもらった笹飾りとか作ったりもらったりするものって意外と子どもって簡単に捨てたり失くしてしまうんですよね。そういった「日常の小さな場面」を切り取るのは森口名人らしいなと思いました。
ですが最初に句を詠んだ時「大き目のポリバケツに七夕で使った笹でも入れてるのかな」という読みをしたのと、やはり「死骸」という単語が重すぎたなぁと思いました。俳句においてマイナスイメージを持つ単語は意外に重く、そのバランスを取るのが難しいと実感しました。そう考えると「絶島」という言葉を使いながら上手くまとめた千賀名人の腕も流石。
名人になるまではスピード出世でしたがここにきて「名人の壁」に当たっている森口名人ですが、句柄が好きなので頑張ってほしいです。

中田名人

方言を使ったり特定の地方にフォーカスを当てるのは御大と似たスタイルと感じました。丁度段位が同じ志らく名人とまさに正反対の「王道句」。
ですが、平場の査定だと「人の和」という所に映像を持たないと言われるような指摘もそうですし、七夕→仙台(東北)という発想もありきたりと言われてしまう所でしょうか。
中田名人もまたここから段位を伸ばす所で壁に当たっている感じがします。

ジュニア名人
「病棟」があるような病院だと、入り口、あるいは各階の談話室に七夕竹が飾ってあることが多い中、「病室」とすることで病室の中に七夕竹がある。きっと患者は談話室にすら行けない状態だったり、寝たきりなのかもしれない。
そんな中でお見舞いに来ると七夕竹が病室の中に飾られていた。そこまで気を配ってくれる病院のスタッフさんの心遣い、そしてジュニアさんの語る通り書いてある願い事が患者の快癒だと知り、改めてその心遣いに礼をする。
「舞台(病室)」「小道具(七夕竹)」「小道具に対する動作(一礼)」だけを提示し、そこに至る背景、関係性、内容、そして今後の展開などは読み手が考えてもらい、それぞれが自分にあった想像を膨らませてくれる。
私自身も身内に病院に入院している祖母がいるので、単純なのにすごく実感が湧く句でした。

御大は舞台中でお休みでしょうか。「舞台が息抜き」というのは失礼ですが、ラスト4句に向けてチャージしてもらいたいですね。

No title

毎週の書き起こし作業、お疲れ様です。

森口名人
初め、「屑籠にある」の「ある」が音数合わせにも感じられた句でした。「屑籠に七夕竹の死骸」でも意味は通じます。ここの「ある」を略さないで詠み込むと、より屑籠にあるもの=七夕竹が強調されるという効果があったかと思います。添削句で字余りとなっても、この「ある」に朱筆が入らなかった点、効果は確かだったかと。

添削では「屑籠」「死骸」「竹」といった語句のバランスが問われていました。まぁ、屑籠に虫か何かの死骸があってもおかしくはないのですが、「七夕竹の死骸」ですから、句の中の存在感が非常に大きい。対して、「屑籠」が弱すぎ、お飾りになってしまった、といった所でしょうか。
この辺りは岸本尚樹先生と夏井先生の共著「ひらめく!作れる!俳句ドリル」という本の初めの方に、
・句の全体の質量を2.0とする
・キーワードの質量を1.0とすれば、残りで1.0を構成してバランスをとっていく
という記述がありますが、それを思い出した次第です。

中田名人
仙台の七夕を取り上げた一句とのことですが、「またござれ」は方言ではなく、「また」+「ござれ」、ござれは、「来る」の意味の「ござる」の命令形「ござれ」であるような気がします。
中七「七夕さん」と「さん」をつけるのは仙台の七夕に限ったことではない様子。「たなばたさま」の「さま」が尊敬だけでなく、より親愛を込められて呼ばれた感じでしょうか。
ともかく、中七までは「また来てください、七夕さんの」と呼びかけがありましたが、下五「人の和よ」が、語りすぎでかつ具体的に映像化されていない感触でした。

かといって、添削句「この町へ」「みちのくへ」でも、鉄道の首都圏に向かうホームや町外れや県境に立てられている看板にでも書かれてそうな内容でした(「またござい七夕さんのみちのくへ~仙台市~」とでも)。
昇格を狙うには、ちょっときつかったかな、という感じでした。

ジュニア名人
病室に飾られている七夕竹(七夕飾り)に一礼する。

私は、身内が手術を受けている→病室で留守番役をしている人物が、七夕飾りそのものに、「短冊を飾ることはできないが、どうか、手術を成功させてくれないか」と願掛けをしている姿を思い描きました。

自解を聞く分には、病室の七夕飾りには看護師さんたちの願いが書かれており、看護師さんの気持ちに一礼する感じでしたが、夏井先生のおっしゃる通り、一礼する人物が誰なのかで色々と解釈は広がりますね。

飾らない言葉で読み手に映像を浮かばせるジュニア名人のこの句、かなり好きです。

それにしても、よもや通常回で大トリをジュニア名人が飾る日が来るとは。また、査定を受けたお三方とも、「七夕」かその傍題を季語としていました。季語と勝負という点では良いなぁと思いました。

今回は

語彙力がないのが恥ずかしいのですが、

水彩画で求められるのは、プラスする力

俳句で求められるのは、マイナスする勇気

といった対象的な印象でした。

森口名人

今まで比喩を使う印象があまりなかったので、強い比喩に驚きました。

ただ字面だけ見たときに、「七夕竹」の竹そのものがクローズアップされていたので、

解説との違和感は感じました。

実際には短冊などの飾りもあったわけですから、ここは添削通りにしたほうがより正確かなと思いました。


中田名人

上五と下五が繋がらずに作者がどの立ち位置にいるのか?とチグハグな印象でした。

「またござれ=また来てください」というやりとりがあるのですから、言う側と言われる側と二人の印象がありますが、

下五「人の和」と第3者の言い方になってるのが繋がらないなと思いました。

しかも「よ」と強く詠嘆してるので、

コロナでなくなった過去を懐かしんでる印象さえうけました。


連続前進のジュニア名人

素っ気ない書き方のときは厳しい評価が多かったですが、技術が結び付いた印象でした。

感想は夏井先生とほぼ同じなので、割愛させていただきます。

最後に拙句を詠ませていただきます。

電柱に短冊夕の風暑し

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