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20220609 プレバト!!俳句紹介【最後の一個】

2022年6月9日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→高橋克実[2],平井理央[3],藤真利子[3],小籔千豊[5],千賀健永[51],立川志らく[52],梅沢富美男[167] ※数字は挑戦回数

●お題:最後の一個
最後の一個の兼題

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点高橋克実
梅雨夕焼タイムセールへ駆ける父つゆゆやけたいむせーるへかけるちち
2才能アリ2位70点平井理央
鼻に汗最後のグミを舐める吾子はなにあせさいごのぐみをなめるあこ
3凡人3位60点藤真利子
母老ひて濡れ傘杖に苺買ふははおいてぬれがさつえにいちごかう
4才能ナシ4位20点小籔千豊
前の人頼む!頼むな!ラス苺まえのひとたのむたのむならすいちご
5名人5段へ1ランク昇格千賀健永
(Kis-My-Ft2)
雷声や絶島のロンサムジョージらいせいやぜっとうのろんさむじょーじ
6名人6段へ1ランク昇格立川志らく
清貧の菓子屋青簾に忌中せいひんのかしやあおすだれにきちゅう
7永世名人44句で掲載ボツ梅沢富美男
言の葉や追えば消えゆく夏の蝶ことのはやおえばきえゆくなつのちょう
順位発表順:3位→2位→最下位→1位
→編集後記

🔷挑戦者語録
・今回は全員が才能アリ経験者
藤真利子○1△1×0※父は直木賞作家の藤原審爾(しんじ)。自身も作詞を手掛けており、特待生になりたいとのこと。
「(自信は)もう満々です」
高橋克実○1△0×0※前回「ドライヤー」の題に苦しみながら「発表会シニヨン結ぶ春の朝」で才能アリ。
浜田「なんで克実さんの時にドライヤーやねん(笑)」
「ビックリしましたよ。夏井先生推薦の歳時記も購入しました。だけどあれ読めばいいってもんはない(笑)」
『新歳時記(夏)軽装版』平井照敏編・河出書房新社を紹介
「自信はないです。声もあんまり出なくなってきた(笑)。こんなに居心地の悪い番組ない(笑)。」
平井理央○1△1×0
小藪千豊○1△1×2「藤本さんとかジュニアさんがここで評価されてから、なんかこう木々をパッと見たりカッコつけている。前まで見てたか?っていう。僕もそちらに行きたいということで、俳句今日は真剣にやらせていただきました」
★ランキングシートの分布は才能アリ2名凡人1名才能ナシ1名

●それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 高橋克実
梅雨夕焼 タイムセールへ 駆ける父

浜田 なるほど。

【本人談】
夕方になると割引のシールを貼るタイムセールに買いに行かされる。刺身の端だけがパックになっているのが一番人気。あれがないと怒られたりする(笑)。最後の一個で商品があった時、父として割と嬉しい。

梅沢永世名人 良い句ですよ。

夏井先生 
季語「梅雨夕焼」(※雨上がりや梅雨の晴れ間の夕方)が良い。
時候(梅雨)・天文(夕焼)が合体して1つの季語となった。
「タイムセール」という言葉も上手く使った。
これで場所・場面が一気に一単語で浮かぶ。

「駆ける」という動作・「父」という人物へと続き、指摘しただけで情報がどこも被っていない。
最後の「父」で、父の背後に梅雨夕焼がもう一回見えている。
季語を主役にする配慮が出来ている語順になっている。
直しは要らない。

浜田 直しはなしでございます。腹立つ顔やわ(笑)。

●解説のポイント
時候・天文の合体した季語の選び方が良い
中七で場所・場面が一単語で浮かぶ
動作・人物と続きどこも情報が被っていない
父の背後に梅雨夕焼が見えている
季語を主役にする配慮のある語順

添削なし


◆2位 才能アリ70点 平井理央
鼻に汗 最後のグミを 舐める吾子

千賀名人 うん?

【本人談】
グミが大好きな子が最後の一つになると、長く楽しみたいから飴みたいになめてそれを見せてくれる。その様子がすごく可愛らしくて愛おしい。

千賀名人 食べるとかではなく「舐める」とすると最後の一個の貴重な感じが、なんか凄い出ていいなって。
志らく名人 語順も「鼻に汗」から何だろう?っていうと「グミ」にこう伝わって「舐める」で最後「吾子(※わが子・自分の子)」っていうのがよっぽど勉強している。この番組を見てれば「吾子」っていうのはもうすぐ出てきますよね。

夏井先生 
日常の小さな出来事を素直に非常に素直に書こうとしている。この心持ち・態度が良い。
グミを舐める動作がなんてったって可愛い。

このままでも勿論良いが、まだやれる余地が少しある。
「鼻」と「子」が位置として離れている。ここをくっつけて「汗」をクローズアップし、最後にグミの光景を添える。
そうすると季語が「汗」なので、こっちが際立ってくる。
上を目指す意味で添削する。
「吾子」でも良いが「子」とする。「の鼻に」ではなく「の鼻」とする。「汗よ」で季語を主役にする。
「最後のグミを舐め」でも良いが、特別な感じなら「グミ舐め」としても良い。
最後のグミだけは舐める。こんなやり方もある。

本人 「上を目指すなら」という先生の言葉が凄く今嬉しく沁みてます(笑)。

●解説のポイント
日常の小さな出来事を素直に書いた態度が良い
グミを舐める動作が可愛い
このままでも良いがまだやれる余地あり
「鼻」「吾子」をつける語順なら季語「汗」が際立つ
特別な感じなら「グミは舐め」で着地

添削後
子の鼻の汗 最後のグミを舐め』
『子の鼻の汗 最後のグミ舐め




◆3位 凡人60点 藤真利子
母老ひて 濡れ傘杖に 苺買ふ

梅沢永世名人 なるほどね。 

【本人談】
雨の日にびしょびしょに濡れた傘を杖にし、自分の母が大好きな苺のショートケーキを買う姿を詠んだ。

梅沢永世名人 いや、俳句としては非常に良いんですけどね、無駄な言葉が多かったんですよ。老いてりゃ杖をつきますよ。ですから、「老い」と「杖」を一緒に書いちゃうと余分な言葉になっちゃう。
小籔 はぁ~。

夏井先生 
これは物凄く惜しい句だと思う。
やろうとしていることが良く、母の様子を中七で観察しているのが良い。
さらに、「苺」が良い。日常のささやかな幸せを象徴するよう。
光景の中で苺の赤が一点、印象として残るのも凄く良い。
惜しいのはおっちゃんの言う通り。
梅沢永世名人 (喜んでカメラ目線に主張する)
夏井先生 うるさい(笑)。
濡れ傘を杖にするなら「老ひて」は書かなくても十分想像してもらえる。
苺のアップが見えてからの展開にする。
浜田 ちょっとずつ意味が分かってきたわ。
夏井先生 誰がフシャフシャ言ってるの?(笑)
ちょっとしたこと。「苺買ふ母よ」で詠嘆(※上の言葉を強調する「!」のような効果)する。
苺から母の体、手辺りまで映像になる。
「濡れ傘杖として」とする。
こうすると、これが今日は1位だった。

小薮 え~。
本人 いや、これは凄い素敵ですね。やっぱりなっちゃん凄いわ(笑)。

●解説のポイント
物凄く惜しい句
詠む意図・中七の母の観察が良い
苺の日常の幸せと紅一点の映像化も○
濡れ傘を杖にするなら「老い」は想像できる
苺のアップからの展開に
「母よ」で詠嘆して句またがりに
添削例なら1位だった

添削後
苺買ふ母 濡れ傘杖



◆4位 才能ナシ20点 小籔千豊
前の人 頼む!頼むな! ラス苺
※「苺」は夏の季語。

浜田 アハハ!
【本人談】
これアカンのですね。この写真見た時、これしか思ったことがない。何人か(店の行列に)いてはって、段々(苺のケーキが)なくなっていき、前の人が「え~っと?」と言うとき、「頼む!(苺を)頼むな!」っていつも思っていた(笑)。

梅沢永世名人 これは写真を見てたら分かるんですよ。ただこの字面だけ見せたら何言ってんだかさっぱり分からない。
本人 なるほど。

夏井先生 
写真を見ている前提で俳句は存在するわけではない。俳句は字面が全て。
「頼む!頼むな!」って「どうしろっちゅうんや?」(笑)。
分からないが揉めている人がいると思うと、いきなり「ラス苺」という訳の分からない言葉が出てくると。
本人 え~?
夏井先生 「頼む!頼むな!」と絶叫するのではなく、淡々と場面を描写するだけで良い。
「ラス」(ラストの)という言葉で誤魔化してはいけない。
本人 「ラスイチ(ラスト1個)」と掛かってたんですよね(笑)。
夏井先生 「苺ケーキ」が季語と言えるかどうかという問題はあるが「苺ケーキ」と書く。
作者がそう言っているから。苺ケーキが残り一つだと。
中七は全く要りません。
本人 え~?
夏井先生 全く要らないんだよ!(笑)
残り一つの」。「前の人」とか言ってる場合ではない。「列にゐる」で作者がいると。
本人 何にもないですやん。
夏井先生 「苺」だけ使えました(笑)。

梅沢永世名人 本当に苺だけだったすね。

●解説のポイント
俳句は字面が全てで写真が前提ではない
中七はどうしろっちゅうんや?
下五は訳が分からない
絶叫ではなく淡々と場面を描写する
「ラス」(ラストの)で誤魔化さない
「苺ケーキ」は季語と言えるか微妙
季語だけ残せた

添削後
  



★特待生昇格試験★

浜田 もう千賀君もね、ええ加減上がらないと。
千賀名人 あそこ(=肖像画)に写真が載りたいというのもありますけど、やっぱり段を上げたい。

◆『雷声や 絶島の ロンサムジョージ 千賀健永(Kis-My-Ft2)
※「雷」は夏の季語。

浜田 ふ~ん。

【本人談】
「ロンサムジョージ」(※ピンタゾウガメ最後の一頭。2012年に死去しピンタゾウガメは絶滅したといわれる)はカメの名前。それを最後の一個と掛けた。

★評価ポイント
(雷でなく)「雷声」(孤島でなく)「絶島」を選んだ是非

■査定結果
名人5段へ1ランク昇格

理由:良いたくらみ

本人 よっしゃー!やった~。
嬉しい。
梅沢永世名人 そうだよ、ねえ。

夏井先生 
ここまで発想を飛躍する是非はあるかもしれないが、企みはとても良く企めている。
「雷」も「雷声」も現象としては同じだが、「声」の一字があることで絶滅する生物の叫びのような印象をこの一字で匂わす。
「孤島」も同じような意味になるが、「絶」に絶滅・拒絶されたようなイメージも出てくる。
「雷声」「絶島」の硬く大袈裟な響きが、最後の「ロンサムジョージ」の存在によって、大袈裟にではなく企んでやっていると伝わる。直しは要らない。

●解説のポイント
発想を飛躍し過ぎた是非はあるが企みは良い
「声」の一字で絶滅する生物の叫びの印象を匂わす
「絶」に絶滅・拒絶されたイメージ
前半の硬く大袈裟な響きが固有名詞の存在に呼応
大袈裟でなく企んだと伝わる

添削なし


→<名人5段>・立川志らくは春光戦で優勝を果たした。
志らく名人 反響が凄いんですよ。地方の独演会で落語で行くじゃないですか。枕しゃべってて、「プレバト!!」って言っただけで(客席から)「おめでとう!」ぶわ~って(笑)。前座やなんかぶわ~っと拍手。

◆『清貧の菓子屋 青簾に忌中 立川志らく
※「青簾(あおすだれ)」は夏の季語。

梅沢永世名人 うーん。

【本人談】
古い菓子屋がある。ある時、店が閉まっていた。物凄い綺麗な簾に「忌中」と。店のだれかが亡くなって、それでこの店はなくなってしまう。最後のお店ということ。

梅沢永世名人 いい句ですけど、私ちょっと引っ掛かっているのは「清貧」と書いた。あれを必要かどうか。
本人 いるかいらないかで凄く悩んで敢えて入れたんです。
梅沢永世名人 敢えて入れた。あっそう。それがね。
浜田 「あっそう」って(笑)。

★評価ポイント
句またがりの型を選んだ是非

梅沢永世名人 あら。全然違うじゃん。
浜田 全然違うやん。言うてること。
梅沢永世名人 すみません。

■査定結果
名人6段へ1ランク昇格

理由:まるで短編小説

小籔 へ~。
梅沢永世名人 今日、どうした?

夏井先生 
当の菓子屋からすれば、うちの菓子屋を「清貧」だと言うのは余計なお世話だという話にはなる。
おっちゃんは多分そういうところが気になった。
梅沢永世名人 そうですよ。
夏井先生 「清貧」とわざわざ書く必要がないと。それも1つの考え方。
作者自身はそこに企みがある。
前半「清貧の菓子屋」で小さなストーリーがある。

古くて流行らなくなってくるが、こだわりがある菓子屋が見える。
それだけなら印象・イメージで終わる。
後半で「青簾」という季語が出てきて、物語が一気に動き出す
映像として「青」と「忌中」の白と黒が色彩的に鮮やか。
読み終わった瞬間、一体この清貧の菓子屋は「どうなっていくんだろう?」と。
読み手一人一人の中に植え付けられ、勝手に想像し始める。そういう一句になっている。
これは下手に直してはいけない。

小籔 凄い。
浜田 志らくはんも1ランク昇格。
本人 チャンピオンのメンツを保ちました。
浜田 そうです、そうです。分かりました。

●解説のポイント
当の本人なら「清貧」は余計なお世話
作者自身がそこに企みを入れた
前半で小さなストーリーがある
古くて廃れるもこだわる菓子屋が見える
後半で物語が動いてイメージだけに終わっていない
「青」と「忌中」の白と黒が色彩的に鮮やか
この後の展開が読み手の中に植え付ける
下手に直してはいけない

添削なし



★永世名人 富美男のお手本★

梅沢永世名人 今回だけは自信がありますよ。
浜田 あら。
梅沢永世名人 今回はみないい成績だと思いますよ。その頂点に立っている訳ですから。
浜田 自分でようそんなこと言えますね。
梅沢永世名人 (清水アナに)言えよ!(笑)
清水アナ 頂点でございます。
***
梅沢永世名人 今日は皆さんトントンと上に上がりましたんでね。私も(句集完成させて)トントンと消えていきますよ。
浜田 ねえ。はい、お願いしますよ。
梅沢永世名人 ちょっと見てください。私の俳句を。

◆『言の葉や 追えば消えゆく 夏の蝶 梅沢富美男

浜田 ふ~ん。

【本人談】これは自分のことを詠んだ。俳句は最後の言葉で非常に印象が変わってくる。なかなか浮かばない。それと一緒で「夏の蝶」って揚羽蝶もそうだが追うとパ~ッといなくなる。知らん顔すると、ひゅっと寄ってくる。それを引っ掛けた。

千賀名人 いや~でも分かりますね。作ってて最後のちょうどいい言葉が意外と見つからないんですよ。
本人 私たちそうですもんね。
千賀名人 ですよね。
本人 名人クラスになるとね(笑)。
千賀名人 そうなんですよ。
本人 なかなか最後が浮かばない。
千賀名人 分かるな~。

■査定結果
永世名人44句で掲載ボツ

理由:ゆるい!

志らく名人 アハハッ。
千賀名人 ボツ…。
(査定評後)
小籔 ゆるい?

夏井先生 
「言の葉や」と切ることで、中七「追えば消えゆく」は「夏蝶」の描写になってはいるが、全体が言の葉のイメージと軽く触れ合うのを狙っている。その狙いは悪くない。
蝶の描写として「追えば消えゆく」はありがちで、よくある蝶の描写としてはそこが勿体ない。ゆるいということになる。
例えば「言の葉や追えば」の後に先に「夏蝶」を出す
「風に消ゆ」なら綺麗かもしれない。
さらに、おっちゃんが言った「黒揚羽」「揚羽蝶」。それをしっかり書いた方が印象が鮮やかになる。
「揚羽蝶は風に」として「消ゆ」を言わなくてよい。
「黒揚羽は風に」としても良い。
夏蝶はボンヤリしているが「黒揚羽」ならハッキリと映像が見えて「黒」を怪しい感じに受け取る人もいる。

本人 蝶々をいっぱい紹介したかったんだよ!(笑)みんなトントンといったら、俺もトンといかせたらどうなんだ!(笑)
夏井先生 アンタ俳句作ってるんだから、夏の蝶紹介するんじゃないんですよ(笑)。

●解説のポイント
上五で切ることで中七が季語の描写になる
言の葉のイメージと後半が軽く触れ合う狙いは○
蝶の描写として中七はありがちでゆるい
語順を変えて「風」を出す
語った「黒揚羽」を書けばより印象が鮮やかに
夏蝶はボンヤリするが「黒」で怪しい感じを演出

添削後
言の葉や 追えば夏蝶 消ゆ
『言の葉や 追えば
『言の葉や 追えば




浜田 これは永世名人の名誉のために、世に出せないことで申し訳ございません。いきましょう、せぇ~のドン!
(シュレッダー演出)
浜田 せっかくの句ですけども、これはもう…。
梅沢永世名人 今日、久しぶりにネクタイしたんだよ。俺はグレちゃうからな!(笑)
浜田 「グレちゃう」って何や。

★次回6/16の兼題は「クーポン」です。



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コメント

つづきです

千賀名人
全般語句が強い。この句を読んだときの率直な感想。
この句における一番重いキーワードは、固有名詞、ロンサムジョージ。ややもすれば、この固有名詞が句を全て支配する。固有名詞とは強い印象を読み手に与える。
この固有名詞に対し、雷声、絶島という強い言葉を配置することで、バランスが保たれた句だと思う。

志らく名人
この句の上手さは、ある程度歳を重ねた人に、「そういや、実家に向かう途中に、古くからの○○屋(句では菓子屋だけど、別に蕎麦屋でも荒物屋でも青簾をかけて風情が出る古い店ならなんでも良い)がある」等、ノスタルジックな風景を想起させる点。
大都会の甘味屋等でも、店の演出に青簾をかける店があるかもしれないが、清貧、忌中(札)といった他のワードとの効果で、懐かしみのある風景が浮かんだ。
千賀名人の句共々、季語とそれ以外の句のバランスが良かった。

御大
「や」までと、残りのフレーズの引き立てあい、衝撃は良かったと思う。中七が、やはりありがちというか、説明的でした。蝶の描写を視覚的にした添削句が良いかと。
にしても、シュレッダー梅沢像完成に邁進してる昨今となってしまってますね。

字面からの感想となります

一位の句
季語の梅雨夕焼について言えば、地方ごとに差はあるだろうが、夏至前後なら19時あたりか。

この時間帯を踏まえると、「勤務、上がった」とラインを送ったら、「あそこのスーパー、7時から安いから買ってきて」と奥さんに頼まれた父の像が浮かぶ。夫は肯うしかなく、尻に敷かれている夫、子どもに毅然としようとしてもできない父といった男の姿が浮かぶ。夕焼けを背負っているのだから顔形の詳細がハッキリ見えないけども、情けなさの反面優しい人物像、光景がしっかり浮かぶ良作。

2位の句
解釈をするならば、中七から。
最後の1個のグミを舐める吾子がいて、鼻に汗をかいている。添削句は鼻の汗によりクローズアップされる効果があり、季語がなお目立つ仕立てとなった。分かるなあ、この句。

3位の句
「老ひて」が悪目立ちしている。一個目の理由は、旧仮名遣いでも「老ひて」でなく「老いて」(「老ゆ」のヤ行上二段活用なので)。次に、「老ゆ」も動詞であり、説明的になってしまうので、「母が老いた」という季語以外の部分が強化されてしまい、「母ちゃんが傘を杖にするくらいに老いてしまったんだけど」という部分が強くなり、別に季語が苺でなくてもバナナでも胡瓜でも鰹でも、なんでも良くなってる点。
惜しい句だと思った。

4位の句
「解説のポイント」を見ると、苺を使ったケーキのことと分かるけども、句だけ見ると、自分より前にいる人に対し、頼む!頼むな!、と頼んでほしいのか頼まないでほしいのか良く分からん中七があり。そして下五の「ラス苺」で、桐箱にそっと何粒か置かれた、超高級苺を思い浮かべた。
まあ、芸人さんの句ならば、最下位の方が美味しいかもしれない。

続けてコメントします

立川志らく名人

「清貧」の言葉をおさらいすると

金に固執せず、心のゆとりがあるさま

とありました。言葉だけきくと、マザーテレサを思い出す人もいるかもしれません。

本来商売で儲けなきゃならないはずの「菓子屋」が「清貧」であるということは、老夫婦が経営してるといったところでしょうか。

定型にするのであれば

清貧の菓子屋に「忌中」青簾

とできます。

でもそれだと視点が近景からやや遠景になり、作者がどのような人物かが不明になります。

菓子屋に客としてきた

青簾がかかっている。今日は休み?

忌中の札がはっている

となるはずですので、作者の視点から考えると、句またがりの型がやはり正解でしょうか?

「青簾」によって、
和菓子屋さんであること
ある程度の格式があること
お店の外観などがわかります

季語がかっちり主役になってるなと思います。

こちらも冬のタイトル戦の一角になりそうですね。

ボツの梅沢名人

「蝶=フワフワしたもの」というのはやはりありがちなのかもですね。

森口瑤子名人も似たような発想の句がありました。

自分は語順が気になりました。

映像にならない言葉+詠嘆を上五に持っていくことで、季語が比喩の意味合いが強くなっているからです。

先に季語を映像として見せた方がよかったように思います。

黒揚羽追えば言の葉消えてゆく


最後に拙句を詠ませていただきます。

夏合宿メジャーデビューは1人だけ

続けてコメントします

立川志らく名人

「清貧」の言葉をおさらいすると

金に固執せず、心のゆとりがあるさま

とありました。言葉だけきくと、マザーテレサを思い出す人もいるかもしれません。

本来商売で儲けなきゃならないはずの「菓子屋」が「清貧」であるということは、老夫婦が経営してるといったところでしょうか。

定型にするのであれば

清貧の菓子屋に「忌中」青簾

とできます。

でもそれだと視点が近景からやや遠景になり、作者がどのような人物かが不明になります。

菓子屋に客としてきた

青簾がかかっている。今日は休み?

忌中の札がはっている

となるはずですので、作者の視点から考えると、句またがりの型がやはり正解でしょうか?

「青簾」によって、
和菓子屋さんであること
ある程度の格式があること
お店の外観などがわかります

季語がかっちり主役になってるなと思います。

こちらも冬のタイトル戦の一角になりそうですね。

ボツの梅沢名人

「蝶=フワフワしたもの」というのはやはりありがちなのかもですね。

森口瑤子名人も似たような発想の句がありました。

自分は語順が気になりました。

映像にならない言葉+詠嘆を上五に持っていくことで、季語が比喩の意味合いが強くなっているからです。

先に季語を映像として見せた方がよかったように思います。

黒揚羽追えば言の葉消えてゆく


最後に拙句を詠ませていただきます。

夏合宿メジャーデビューは1人だけ

今回は

1位 高橋克実さん

実体験はやはり強いですね。今年の冬のタイトル戦も平場の出場があれば、候補になりえる句だと思います。

1つ気になるのは、作者が子どもの目線になることですかね。作者が「父」であるなら下五は

行かされて
走らされ

でもいいかなと思ってます

2位、同じく実体験の強さを感じますね。助詞と語順の技術を学ばれたら特待生も狙えると思います。

3位、個人的には「濡れ」が必要であったのかどうかが疑問でした。傘を杖とするのであれば外は雨であるのでは?と思いますので。

「老いて」の要素を「母」の描写に使えたらご本人の伝えたいことに近づくのではと思います。

苺買う母の背傘を杖として

最下位 小薮さん

兼題に一番忠実なのはこの方ですし、心情的には一番共感できます。

映像を描写するのは賛成ですが、作者の目線を書いたらより心情に寄り添えたのではと思います。

前には二人苺ケーキはあと一つ

昇格の千賀名人

語順と季語の選択に議論が出てくるかもしれません。解説を聞く限りだと、中七下五を作ってから、それに合う季語を選ばれたように思われます。

仮にこれが追悼の意味で詠まれたのであれば
「夕の虹」と下五において定型で詠むことができたのかもしれません。

しかし、一つの種の絶滅という重たいテーマですし、千賀名人の静かな主張も感じられます。

「雷」の語源とされてる説の一つに「神が鳴る」があります。
つまり自然や地球の怒り、神の怒りなどを季語に託したといったところでしょうか。

4音の季語ですし、残りのフレーズのインパクトもありますから、やはり「や」で詠嘆するのが正解ですし、

そうなると下五にいれるよりは上五において、557の形が季語を主役にする意味でも正解だと思います。

個人的な感想を書くと、
外国の描写はパックンさんや横尾名人
固有名詞は立川志らく名人

の要素が入ってるように、思います。

それを自分の中で消化されてるなと思いました。

強いて難をあげるとすれば、前書きがほしかったかもしれません。

でもお見事な俳句でした。これも冬のタイトル戦の一角にはいるのではと思います。

一度切ります

御大の句

最近結構思うようになったのですが、御大の句って、ボツの時こそ、夏井先生から視聴者に向けて、いい手直しの題材を提供してますよね。
なんか、制作側と打ち合わせでもしてるのではないかと疑ってしまいたくなるほどです。

今回は特待生の技が光りましたね。
まずは千賀さん。よもや「最後の一個」から「最後の一頭」に変換するとは。
志らくはんの句が短編小説のようだと評されてましたが、こちらはドキュメンタリー映画を切り取ったかのようなインパクトでした。

志らくはんも落語家節全開って感じでしょうか。「清貧」なんてへりくだった響きをうまく俳句の雰囲気になせるのは流石です。

御大のも悪くはなさそうだなぁと思いましたが、やはり永世名人としては置きにきたフレーズはダメなんですねぇ。

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