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20220505 プレバト!!俳句紹介【動物図鑑】

2022年5月5日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→ファーストサマーウイカ[3],おいでやす小田[3],宮田俊哉[23],研ナオコ[4],皆藤愛子[28],千原ジュニア[73],梅沢富美男[162] ※数字は挑戦回数

●お題:動物図鑑
動物図鑑の兼題
※SDGs(エスディージーズ)促進週間から生物多様性の維持にちなんだ兼題。地球上の動植物の約25%が絶滅危惧種だそう。先生曰く、SDGsの17の目標を一つずつ丁寧に掘れば俳句のタネになるため、非常に興味を持ち始めているとのこと。

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位70点ファーストサマーウイカ
夏近し書肆の森ゆく子象かななつちかししょしのもりゆくこぞうかな
2凡人2位65点おいでやす小田
(おいでやすこが)
胸躍る図鑑に百獣春の宵むねおどるずかんにひゃくじゅうはるのよい
3凡人3位55点宮田俊哉
(Kis-My-Ft2)
ノスタルジー鱒あてに読む魚図鑑のすたるじーますあてによむさかなずかん
4才能ナシ4位35点研ナオコ
懐かしやタケノコ掘りを兄たちとなつかしやたけのこほりをあにたちと
5名人2段へ1ランク昇格皆藤愛子
夏近し恐竜図鑑踏むチワワなつちかしきょうりゅうずかんふむちわわ
6名人9段で現状維持千原ジュニア
開き癖図鑑の虎に春夕焼ひらきぐせずかんのとらにはるゆやけ
7永世名人44句目に掲載決定梅沢富美男
桜蘂降るハシビロコウ瞬くさくらしべふるはしびろこうまばたく
順位発表順:2位→最下位→3位→1位
→編集後記

🔷挑戦者語録
※今回は全員が才能ナシ経験者
おいでやす小田○0△0×2
ファーストサマーウイカ○0△1×1ちょっとずつね、才能ナシ→凡人と右肩上がってきてますんで、なんでね(夏井先生の)YouTubeでサマー姉さん(=夏井先生)の作り方見たんです(笑)。YouTube見て勉強したんです。
研ナオコ○0△2×1※梅沢永世名人に弟子入りしたと紹介
「そうです。だって舞台、ずっとツアーがあるでしょ。そうするとね、自分の自慢話ばっかり。『芝居は上手い、舞台は上手い』そういう(自慢話の)舞台です(笑)」
宮田俊哉○4△14×4「僕は22回挑戦している。ダイソンの掃除機を作ったジェームス・ダイソンという方ご存じですか?彼は5000回以上の試作を経てあの掃除機を作ったらしいんですよ。そう考えると、あと5000回は出ますよ」
→「もうこの番組やってない」と浜田からツッコまれる
★ランキングシートは明かして発表、才能アリ1名・凡人2名、才能ナシ1名

■それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ70点 ファーストサマーウイカ
夏近し 書肆の森ゆく 子象かな
※「書肆(しょし)」は古い時代の言葉で「本屋さん」の意味。

梅沢永世名人 うん!

【本人談】
(本屋にいる)小っちゃい男の子が自分と同じくらいのサイズの本を抱えて歩いていた。もし動物図鑑の表紙が象さんなら、子象がのっしのっしと歩いているように見えるなと思った。本に囲まれている感じが森みたいだなというので、夏の青々とした緑の中を子象が歩いているように見えたりするかなと思った。

ジュニア名人 これむちゃくちゃ難しいことやってはって凄い成功した例やと思うんです。凄いですね。
本人 え、ホンマですか?
梅沢永世名人 これを作ったっての、ホントによく勉強したね。なかなかこういう俳句作れませんよ。
本人 うわ~嬉しい。
浜田 そうですか~。
梅沢永世名人 才能あると思う。

夏井先生 
本屋を森に喩えるのは楽しい発想。
それを子像が歩いているというのも良い。

非常に空想的な句だが、決してその空想が浮ついてない。
「夏近し」という季語がしっかりと主役に立っているというのも言える。
「夏近し」なので、作者自身は森を行く子象が元気に明るく跳ねるように動いているのではないかと。
ちゃんとこっちに伝わる。
本人 わ~嬉しい。
夏井先生 上質なアニメーションを見ているような、そういう一句。
これは直さないでおきましょう。

本人 ありがとうございます。嬉しい。

●解説のポイント
本屋を森に喩える発想が楽しい
象の表紙の図鑑を持つ子の歩きを「子象が歩く」とした発想も○
空想的な句だが発想が浮つかず季語が主役に
子象が明るく跳ねるように動く様子も伝わる
上質なアニメーションのよう

添削なし


◆2位 凡人65点 おいでやす小田(おいでやすこが)
胸躍る 図鑑に百獣 春の宵

研 あ~いいじゃありませんか。

【本人談】
子どもの頃、春に図鑑をもらって食い入るように夢中に見ていたら日が暮れてた「春の宵」。「春の暮」とか「春の夕」とかもあったが、春自体の終わりを示す(用法も)あるため、1日の終わりでいうと春の宵。

梅沢永世名人 まああの、言葉を使い過ぎてる無駄遣いなの。「胸躍る」。
浜田 なるほどね。
梅沢永世名人 これが違う言葉で表現出来たら1位だったかもしれない。
本人 お~。
浜田 例えば、どういう言葉ですか?
梅沢永世名人 急に言われても(笑)。
本人 ずっとそうやん。

夏井先生 
作者分かってあなただったのねという感じ。
浜田 でもホンマ前回最下位でしたから。
夏井先生 ろくなことしないと思ってたから(笑)。
本人 いえいえ~。「ろくなことしない」はないでしょ。
夏井先生 「春の暮」を持ってきたら春の季節の終わりになるとか、勉強しているではないですか。
本人 やった~!
夏井先生 ただの声のでかい人ではなくなりますよ(笑)。
本人 そこはまだ否定してくれないんですね。
夏井先生 「胸躍る」と言いたい気持ちも分かるが、俳句ではこれを言わないでちょっと隠しておき、残りのところで「あ~夢中になってたんだ」と読み手に思わせる。
「胸躍る」は要らない。「百獣」から始める。
「百獣の図鑑」で図鑑が手に残る。「や」で強調。
ここから後の仕上げが大事。「春の夕焼(ゆやけ)」とする。
「宵」ならただの時間だが、気が付いたら春の夕焼だという映像にする。
最後のとどめ。「はや」と持ってくる。早くも夕暮れになってしまったという。

本人 もう一段階上ということですね、明確に見えましたよ。ありがとうございます、ホントに。

●解説のポイント
ろくなことしない前回から成長した
「春の暮」の意味などよく勉強している
「胸躍る」を直接書かずに読み手に思わせる
時間の「宵」を「夕焼」の映像に
早くも夕暮れになった印象を「はや」で

添削後
百獣の図鑑 春の


◆3位 凡人55点 宮田俊哉(Kis-My-Ft2)
ノスタルジー 鱒あてに読む 魚図鑑

梅沢永世名人 うん~。

【本人談】
先ほどの(4位の)「懐かしい」をストレートに言ってはいけないというところで、違う言い回しがないかと思って英語っぽく「ノスタルジー」とした。子どもの頃魚図鑑を見るのが好きだった。それを親父が魚食べながら酒を飲みながら、僕の図鑑を見ていたのを思い出し、"魚食べながら図鑑見ているなんて残酷だ"みたいな。

皆藤名人 ちょっと残酷さも分かるような気持ちもあるので、凄く楽しく読ませて貰いました。
ジュニア名人 「懐かしい」を「ノスタルジー」に変換したからって…いうことではないと思うんですよね(笑)。
本人 いうことじゃないんすか!?
小田 そういうことじゃない。
梅沢永世名人 このメンバーだったら勝てただろ!(笑)
小田 それはちょっと…。
本人 すいません!兄貴すいません!

夏井先生 
「ノスタルジー」と書いたら良いだろうというこの浅はかな…(笑)。
「懐かしや」と「ノスタルジー」は全く一緒で要らない。
下五があれば「読む」は不要というのも仰る通り。
鱒をあてにして酒を飲んでいると。「あてに」で酒を飲んでいる大人。ここから始めるべき。
「鱒あてに」の後、「子どもの頃」とゐれたらどうか。
子どもの頃に自分がずっと読んでた図鑑を懐かしく思ってお酒を飲み、大人になってもう一度図鑑を出してくる感が読みとれれば「ノスタルジー」になる。

本人 お~。ノスタルジーって二度と言うのやめます(笑)。

●解説のポイント
懐かしさを「ノスタルジー」とする考えは浅はか
下五があれば「読む」は不要
子どもの頃に読んだ図鑑で肴を飲む様子に
再度本棚から図鑑を取り出す思いでノスタルジーを演出する

添削後
鱒あてに  魚図鑑


◆4位 才能ナシ35点 研ナオコ
懐かしや タケノコ掘りを 兄たちと

浜田 アハハハハ。
こがけん ええ、ちょっと…。

【本人談】
(その)まんまです。兄が二人いたため、子どもの頃「タケノコ掘りをしたなぁ」とそれを句にした。

小田 動物図鑑は?
本人 動物ってほら猪くらい、うちはね。山行くでしょ。タケノコ掘るんだわ。これ。
小田 全く分からない(笑)。動物図鑑からの派生が全く分からなかった。

夏井先生 
普通の文章のような語り口で、読んだ時に何の違和感もないが何の魅力もないというタイプ(笑)。
「懐かしや」とストレートに言わず、「懐かしんでるだろうな」と思わせるのが大事な技術になる。
話を聞くと小さなオリジナリティも喋ったためアレンジしたい。
「タケノコ」と片仮名で書いてあるが、俳句の季語で植物・動物は原則的に漢字で表記するのが約束事。
この場合は「」とした方がずっと落ち着く。
「筍を掘り」から懐かしさを入れる。
「掘り」で過去、「かの日や」でいつかのあの日という意味。
「兄」の後に語った「二人」を入れれば作者のささやかなオリジナリティが入る。

本人 「かの日」は出てこないわ(笑)。
梅沢永世名人 「かの日」よりもタケノコなんか考えるからだ!(笑)

●解説のポイント
普通の散文で違和感も魅力も何もない
「懐かしや」を読み手に思わせる技術がほしい
俳句の季語表記は漢字にして落ち着かせる
語った「二人」でオリジナリティを表現

添削後
を 掘りしや 兄


★特待生昇格試験★
◆『夏近し 恐竜図鑑 踏むチワワ 皆藤愛子

ウイカ 面白い。

【本人談】
我が家のチワワ(愛犬「姫」)が最初に浮かんだ。「動物図鑑」と聞いて一番身近にいる動物。うちのチワワは何でも踏んで歩くが、恐竜に対する何の敬意もない感じが面白いかなと思ってこの句にした。

梅沢永世名人 ホントに「踏むチワワ」が可愛いじゃないですか。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 本当に。いや、これは乗ってますね。
本人 (口を押えて)えっ?
ジュニア名人 これは凄いですね。チワワに対する恐竜という途轍もなく大きいものを持ってくるコントラスト。これはちょっと、嫌味なほど計算づくって感じですね(笑)。
浜田 へぇ~、なるほど~。

★評価ポイント
中七・下五に対する季語の効果の是非

■査定結果
名人2段へ1ランク昇格

理由:チワワの動きが明るい!

本人 うわ~やった~!ありがとうございます。あ、嬉しい。

夏井先生 
フレーズが良い。
「恐竜図鑑」という物、「踏む」という動きがあり、人間かと思わせて小さな「チワワ」と展開する。
大きな「恐竜」と小さな「チワワ」の対比、動かない「図鑑」と動く「踏む(チワワ)」とイメージを対比させている。
これらの映像によって、「夏が近いなあ」という初夏への期待・喜びが表現されている。
時候の季語を使うお手本のような一句だと思う。
(昇格のため当然)直しは要りません。

本人 ありがとうございます。
浜田 いや~お見事。上がりました。

●解説のポイント
フレーズが良く人間を思わせて「チワワ」と展開
「恐竜」「チワワ」の大小が対比
動き「踏む」と動かない「図鑑」が対比
映像によって初夏への期待・喜びが表現された
時候の季語を使うお手本のような句

添削なし


浜田 これ、どうですか?今日。
ジュニア名人 いやこれほんと、私事で申し訳ないんですけど俺(難病治療で)入院してたんですよ。
浜田 そうですね。
ジュニア名人 宿題だけ渡されて、俺ベッドの上でこれやったんですよ(笑)。図鑑でも何でも手に入れないとなと、それこそiPadで図鑑2冊買って(笑)。退院日じゃなくて、普通に言葉で指折り数えてたんですよ(笑)。

◆『開き癖 図鑑の虎に 春夕焼 千原ジュニア

【本人談】
小さい時に虎が好きで、図鑑でアムールだベンガルだって虎ばっかり見ていたため、そのページばかりが癖がついて開く。段々夕方になって夕陽が図鑑にというところを詠んだ。

★評価ポイント
「に」という助詞の是非

梅沢永世名人 な…「に」?

■査定結果

名人9段で現状維持

理由:イージーミス

本人 「に」やと思ったけどな。
梅沢永世名人 「に」だけで?

夏井先生 
「開き癖」から読んでいき、「図鑑の虎に」の後に、春の夕焼が出てくる。
そうすると「に」によって虎に夕陽が差し込んでいる印象を与えてしまう。
「夕焼」は空を染める現象であって、夕陽の様に差し込んでくる印象とは少し違うのではないか。
「春夕焼」から始める。私の手元に図鑑がある。
図鑑の虎に開き癖」と広い光景から開き癖に迫ってくる方法。
色々難しいね助詞は。

浜田 次回頑張って下さい、ジュニアさん。
本人 はい、分かりました。

●解説のポイント
「に」によって虎に夕陽が差し込む印象を与える
「夕焼」は空を染める現象であって夕陽とは違う
語順を変えて広い光景から焦点を絞る
助詞の使い方は難しい

添削後
春夕焼 図鑑の虎に 開き癖


★永世名人 富美男のお手本★



◆『桜蘂降る ハシビロコウ瞬く 梅沢富美男

【本人談】
「桜蘂降る」。桜の花は皆さんご存じのはず。あれ(→花びら)がパ~ンと散ると(中央に)赤いの(→萼ごと)が残る。あれがパーンと落ちると下が絨毯のように赤くなる。この「ハシビロコウ」はじっとしたら動かない。桜蘂がパランと落ちた時、ハシビロコウがパンと瞬きをした。句またがり。

ジュニア名人 あの~凄い破調で、なんか梅沢さんらしくないというか、東さん憧れを感じますね(笑)。
こがけん そんなのあるんですか?
本人 馬鹿なこと言っちゃいけませんよ。
浜田 らしくないということですね。

■査定結果
永世名人44句目に掲載決定

理由:素晴らしい気づき

ウイカ 凄ーい。
小田 凄っ。

夏井先生 
「桜蘂降る」という季語は綺麗。
桜の花びらが散ることを知っている人たちも、蘂も落ちることに気付かない人の方が多いかもしれない。
「桜蘂降る」というささやかな波動のようなもの。
その小さな波動を「ハシビロコウ」という動かない生き物がキャッチして一瞬瞬いたのではないかと。
この気づきが俳句という詩になると分かっているというのが俳人。さすがだと思う。
動かない「ハシビロコウ」と微かに動く「桜蘂降る」の対比も良い。
嫌味のない上手さだった。
時々こういうの見せてくれると、私の血が綺麗になる。直しは要らない。

本人 ありがとうございます。
清水アナ (句集完成まで残りは)6句となりました。

●解説のポイント
季語にささやかな波動のようなものがある
ほとんど動かない動物がキャッチして一瞬瞬く
この気づきが俳句という詩になる
微かに動く「桜蘂降る」と動かない「ハシビロコウ」の対比
嫌味のない上手さで血が綺麗になる感触

添削なし


浜田 さあ、全ての査定が終わりました。(最下位の)ナオコさん、このセリフ カメラ目線でしっかり言って下さい。お願いします。
◆最下位がいつも読んでいるプロフィール文◆
私は言葉の表現力が足りないので
どんなに素晴らしい味や景色も
つまらないものにしてしまいます。
予めご了承下さい。

研 カメラ目線? でもあれ見ないと分かんないもん。もうちょっとこっち来てください。
浜田 前まで行け!カメラの方へ。前まで行け!(笑)
→カメラ前まで移動する研は、選手宣誓のようにモノマネして読み上げる
浜田 はい、各番組の皆様よろしくお願いしま~す。

★次回5/12のお題は「時計」、公園など屋外に柱のように立つ丸いアナログ時計の写真です。


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コメント

・1位
子象が上手い。子犬や子猫だと比喩か本物か分からなくなるが、子象だと完全に比喩だと分かる。ただ、子どもに対して「書肆」は硬すぎる気がする。「本屋の森を行く子象」くらいがちょうど良いかも。

・皆藤さん
恐竜とチワワの対比が良い。大きいものと小さいもの、絶滅したものと今を生きているものなど、複数の対比が見える。この句材だと「春近し」の方が期待感という意味で良かったのではないかと思わないでもない。「夏近し」によって、夏への覚悟や気だるさのようなマイナスの感情を抱く人もいるかもしれないと思う。この点は個人的な意見だから間違ったことを言っているかもしれませんが…

・ジュニアさん
多分、以前に「鍵盤図弾く兄の背に秋の暮れ」と添削されたことがあったから「に」を選んだと思われる。かといって「や」にしてしまうと3段切れになるから難しい。やはり語順を変える添削が正しいと思う。『図鑑の虎「の」開き癖』でもいいのかなと個人的には思う。

・梅沢さん
ハシビロコウは動くでしょ、というのが正直な感想。これは対比ではなく、微妙に動くもの同士の二物衝突の句、という説明の方が適切だと思う。また、「桜降る」ではダメなのか。なぜわざわざ破調にしてまで「蘂」と書く必要があったのかが気になる。

皆藤名人
平場の一位と同じ季語「夏近し」を使っている。夜明けの早さや日差しの強さ、緑が深くなってくることから夏が近いと感じる季語。
躍動的な夏を期待するプラスの意味と、過ごしやすい春を惜しむ、あるいは暑さの厳しい季節の到来を覚悟するといったプラスではない思いを託せる。
平場の句の措辞が抽象的だったので、季語に込められた思いが如何様にでも取れる(下手をすれば季語が動く)のに比べると、「夏近し」にチワワの躍動感や可愛らしさ、詠み手の夏への思いが感じ取れる句だったと思う。

ジュニア名人
歳時記ではなく国語辞典で「夕焼け」を引くと、「日没の際、地平線に近い空が紅色に染まる現象」、と確かに「現象」とある。観察される事象そのものが、何かに付着する訳ではないから、やはり助詞「に」は適ではない。添削で語順の入れ換えがされたが、もし助詞だけいじるなら、「を」。
夏井先生の動画で助詞を取り上げた回があったが、そちらを見返したい。

御大
一見自由律に見えたが、歳事記の「桜蕊降る」の例句に、「桜蕊降る。XがYをする。」という型の句がある。「桜蕊降る人形が捨ててある(小浜杜子男)」。御大のことだから、この句は御存じのことだろう。
気配を殺してジーッとしてるハシビロコウが、桜蕊が降るのに瞬きをして反応した、という。瞬きくらいだから小さな反応ととるか、あるいは、完全に桜の花が終わったことやその頃合いについて、ハシビロコウも何か感じたのだろうか。
良い句だと思う。

今回も字面からです

先ずは平場の方達から。

一位の句
夏が近い。本屋の森を行く(幻想か、イラストあたりの実在しない)子象であることよ。

中七下五が抽象的な感じもしますが、中七で書肆の森(本屋は本の立ち並ぶ森である)、と定義付けたのが良かったのではないかと。この暗喩の森を行く象、具体的な象とも取れるが、まずそれはありえない。空想の象か、イラストの象だろう。
「本屋とは森だ」という喩えを許容できるか、喩えの上に本物の象以外を重ねるのを許せるか、そのあたりで評価は変わるかと思う。読み解くのが面白かった(久々に「レトリック感覚」という本を読みたくなった。絶版されてなければ、講談社学術文庫から出ているはず)

今回、二位から四位まで同じような失敗をしていますね。感情を示す言葉を入れている。

二位の句
胸が踊る。図鑑に百獣が載っている。春の宵である。

感情語を敢えて入れる型もある(「ひらめく!つくれる!俳句ドリル」(祥伝社)あたりで紹介されている、はず)、「春愁う」などなど、感情のこもった季語もある。季語はともかく、俳句で感情語を使いこなすのは難しい。おまけにこの句、三段切れでもある。中八でもある。
添削句では図鑑を見ている間に夕方になったとなるから、夢中になっていたことは読み取れるようになった。
でも、共感はできる句。

三位の句
郷愁、懐かしい思いを抱くことであるよ。鱒をあてにして酒を飲みつつ、読む魚図鑑である。

上五の感情を示す言葉。中七を声に出すと「ますあてによむ」となり、リズムがあまり。下句六音も長音が入ってる等でスッと読める六音ではなかった。作った句を声にしてないのかなあ。
ただ、こちらも古い本を出して酒を飲んだことはあるから、共感できる。

四位の句
懐かしいことだ。筍ほりを兄達としたことが。

添削で「筍を掘ったあの日であることよ、兄2人と」となりましたが、凡句でしょうかね。ついでに「あの」と「かの」の違いを調べてみましたら、「かの」の方が文語的、雅語的、そして、感動的用法でないとのこと(え、あの人が?!という言い方はしても、え、かの人が?!とは言わない)。根拠は広辞苑です。


今回は

平場の皆さんは心情的表現でつまづいたといったところでしょうか。

最下位
研ナオコさん
「まんま」俳句は相変わらずですねw個人的には「や」の詠嘆をいれたほうがより過去を懐かしむのではと思います。

筍を掘るやかの日の兄ふたり
筍を掘ったかの日や兄ふたり

3位
宮田さん
上五で吹き出してしまいました。そういうことではないんてすよww

残酷さを出すのであれば
父さんの鱒あて僕の魚図鑑

というのもありなのではと思いました。

2位
おいでやす小田さん
心情的表現上五と中八が失敗の原因でしょうか。
ちなみに
百獣=あらゆる動物
なので「動物図鑑」で中七はことたりるのではと思います。
印象的には勇ましさとか獰猛さとかを感じるのかもしれませんが、印象を出したいのであれば具体的な動物名を出したほうがよかったでは?
読みふける図鑑のトラや春夕焼

1位
ファーストサマーウイカさん
空想俳句に近い形ですね。映画のCG表現を思い出します。「かな」の詠嘆も非常によくきいていたと思います。
また季語によって「書肆の森」は青々とした森で草食動物である象が跳ねる印象とあります。
点数はもうちょっとついてもよかったのではと思います。

このレベルの俳句を炎帝戦で出されたらトップ10も狙えたのではとおもいます。

昇格の皆藤愛子名人
中七と下五に対しての時候の季語は動くのではないかとも思いました。

しかし気温が心地よい暑さとなり、チワワが活発に動いてるのではと想像がつくので、この句はこの季語が正解だったなと思います。

現状維持
千原ジュニア名人
なかなか厳しい査定だったなとも思います。夏井先生の個人的な価値観も入ってる部分もあるので、ちょっと気の毒でした。

語順を変えるのであれば、助詞は「の」がいいかなとも思いました。

掲載決定
梅沢富美男名人

確かに東国原名人の色を感じますね。17音に納め、かつ2つの動詞の使い方もお見事でした。

動物園に行ってそんな場面に遭遇してみたいものですね。

今までの掲載決定の句のなかでも、トップレベルだと思います。

ちなみに像ですが、もう色つけて完成できそうな感じはしますねww

最後に拙句を詠ませていただきます。実体験ですがちょっと問題あるかもw

雌猿の性器若葉をむさぼりて

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