fc2ブログ

記事一覧

20211209 プレバト!!俳句紹介【冬の信号待ち】

2021年12月9日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
※更新は遅くなりましてすみません。

挑戦者→こがけん[初],YOU[2],ウルフアロン[初],島崎遥香[初],皆藤愛子[25],藤本敏史[72],梅沢富美男[152] ※数字は挑戦回数

●お題:冬の信号待ち
冬の信号待ちの兼題

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点こがけん
(おいでやすこが)
朝ロケの信号待ちに脱ぐコートあさろけのしんごうまちにぬぐこーと
2才能アリ2位70点YOU
口ずさむ歌もかじかむ赤信号くちずさむうたもかじかむあかしんごう
3凡人3位40点ウルフアロン
信号待ち見えぬ相手に息白ししんごうまちみえぬあいてにいきしろし
4才能ナシ4位30点島崎遥香
交差点視線ぶつかり頬カイロこうさてんしせんぶつかりほほかいろ
51級へ1ランク昇格皆藤愛子
オリオンと重機の湯気と土煙おりおんとじゅうきのゆげとつちけむり
6名人10段★2へ1つ前進藤本敏史
(FUJIWARA)
陸橋を渡れば熱を持つマスクりっきょうをわたればねつをもつますく
7永世名人40句目に掲載決定梅沢富美男
冬ざれや交差点蹴る明け烏ふゆざれやこうさてんけるあけがらす
→編集後記





●それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 こがけん(おいでやすこが)
朝ロケの 信号待ちに 脱ぐコート

【本人談】
朝のロケで、信号を渡ったところでロケが始まる。上着を抜いで今から仕事を始めるぞという決意の気持ちみたいなのがここに乗っかるといいなと思って詠んだ。

梅沢永世名人 もう余計なことをしないで、本当にシンプルに俳句を作りましたね。
本人 はい。
梅沢永世名人 立派な良い俳句ですよ。
本人 うわっ。嬉しい。
梅沢永世名人 すぐ分かります。
小田 ありがとうございます!
こがけん 違う違う(笑)。

夏井先生 
ホントにコンパクトな言葉で状況を描写できている。
上五「朝ロケ」で朝という時間やどういう状況かがいえる。
中七「信号待ちに」で場面、「待ち」で人物も出てくる。
その人物の動作が「脱ぐ」と出てきて、最後に冬の季語「コート」が出てくる。
それぞれの言葉が全然お互いに殺し合うことなくキチンと配置されている。
しかもこの状況で「コート」という冬の季語が出てきた瞬間に「朝」という時間帯がもう一回効いてくる。
"そうか、冬の朝なのか。" しかも「ロケ」だから、脱いだコートの下の衣装はひょっとして薄手の物かもしれない。
読み手は色んな風に「朝」「ロケ」「コート」という言葉で想像してくれる。
これは大したもん。直しはいりません。

本人 よっしゃ!嬉しい。

添削なし


◆2位 才能アリ70点 YOU
口ずさむ 歌もかじかむ 赤信号

【本人談】
ヘッドホンで音楽を聴いてて一緒に(口ずさんで)歌っている。自分が歌っている歌も口から出た途端にバァ~っと凍っていく感じで、唇もかじかんでいる。

梅沢永世名人 いやいや。いい俳句ですよ。
本人 あっ。
梅沢永世名人 ただ1つ勿体ないのが「歌も」ときたところが勿体なかったかな。
浜田 あ、そうですか。
梅沢永世名人 この「も」が。うん。違うものを入れていたら、もっと点数も上…1位だったかもしれない。
本人 何だったらいいんですか?
梅沢永世名人 急に言われても(笑)。
藤本名人 絶対に言いますよね、そこ。
浜田 フジモンはどう思われますか?
藤本名人 僕もそこだけやと思います。「歌も」と「も」を持ってくると普通の文章みたいになってしまうんですよね。
本人 じゃあ仮に何だったら良かったんですか?
藤本名人 「歌の」「の」です!「歌のかじかむ」(笑)。
本人 おかしいでしょ!
藤本名人 おかしくないと…思いますけど。

夏井先生 
とても実感を素直に書いているという句。
本人 ありがとうございます。
夏井先生 この「かじかむ」が冬の季語となる。その実感がとてもよく書けている。
一点だけ惜しいのがある。それはさすがにおっちゃんたち。名人は分かるんです。
本人 うそ…。
夏井先生 この「も」が散文的(※詩的な情景に乏しい)になる。
「かじかむ」という冬の季語を信じることが出来たら、歌「も」他のもの「も」といっぱい書かなくても、かじかんでいるという季語の状況がそこにあれば、読み手は勝手に想像してくれる。
それを「も」にすることで説明しているのが問題。
そしてこの1音をどうするか?フジモンさん良いじゃないですか。
藤本名人 ほら! 
本人 え~!うそ!
小田 すげぇ!
夏井先生 「口ずさむ歌のかじかむ赤信号」と。
ちゃんと勉強して吸収している人たちだから名人になってるわけで。

浜田 永世名人は分かってたような顔してましたけど。
梅沢永世名人 はい。(藤本名人に)お前もね、勉強しなきゃダメよ。なんでも。
藤本名人 勉強してから「の」で。
梅沢永世名人 違う違う。こういう番組はお前が言っても意味がないんだよ。先生が言って初めて重みがあるの(笑)。それをわざと言わない。ここが!永世名人…。
藤本名人 いや、分かってなかっただけでしょ(笑)。
浜田 はっはっは。
梅沢永世名人 …えっ?
藤本名人 分かってなかっただけじゃないですか?
本人 でも「歌の」っていうのはやっぱり経験不足ですね。全く出てこなかった。
浜田 なるほど。
本人 やっぱ凄いですね、2人。

添削後
口ずさむ 歌かじかむ 赤信号


◆3位 凡人40点 ウルフアロン
信号待ち 見えぬ相手に 息白し

【本人談】
柔道家として、立ち止まっていると打ち込みがしたくなる。寒い信号待ちの時に、対戦相手のことを想像しながら足払いしたりするとかいう。

梅沢永世名人 これね、ウルフアロン君が書いたっていう風に(作者名を)書いときゃ、これでまあまあ分かるんですけど。ぱっと出されたら「見えぬ相手」は幽霊みたいな感じ。
本人 そうですよね(笑)。
梅沢永世名人 「見えぬ相手に」。
こが:なるほど。

夏井先生 
指摘はその通り。作者が柔道家だったりボクサーだったりと情報があれば、この中七は許容できる。
俳句はここに出された文字、17音だけが全て。
そうなると、誰が見ても「見えぬ相手に」でハッと止まってしまう。私も特殊な能力の霊が見える人かな?とそっちに読みがいってしまう。
中七は消して、作者の様子を想像してもらえるような情報を入れると読者に寄り添ってくれる。
「試合が近い」という情報だけせめて入れたい。
藤本名人 できます?
夏井先生 できます。
浜田 お前、そんな…。
夏井先生 試合が近いため「試合近し」と書くだけ。
何の試合かは分からないが、状況だけは伝わる。「信号待ちの息白し」と持ってくる。
YOU なるほど。
夏井先生 試合が近い人がいて信号を待っている。
息が白い。ひょっとしたらランニングの息だろうか?シャドーボクシングの息だろうか?と。
そういうアスリートを読者は想像してくれる。しかも「近し」「白し」と軽く韻を踏むこともできる。
俳句の骨法を少し覚えると、いっぱい実体験をお持ちですから俳句はドンドンできる。

本人 やっぱ上手ですね~(笑)。
藤本名人 そらそうですよ。

添削後
し 信号待ち 息白し


◆最下位 才能ナシ30点 島崎遥香
交差点 視線ぶつかり 頬カイロ

浜田 ふふっ。
藤本名人 ん? 
梅沢永世名人 何? 
本人 設定言うのも恥ずかしいです(笑)。

【本人談】
高校生で初デートの待ち合わせをしていて、交差点の向こう側に待ち合わせの(相手の)人がいる。青信号になる前に見つけて目が合ってしまい、頬がカイロみたいに暖かくなっちゃった。

藤本名人 ちょっと、デートとは分からなかったな。俺、もう街でケンカ寸前のヤンキー(笑)かな~。
梅沢永世名人 「頬カイロ」が分からないよ。
本人 ああ~。
梅沢永世名人 俳句にしてはね。
本人 はい。

夏井先生 
おっちゃんの言う通り。これは最後の「頬カイロ」が何?ってキョトンとしてしまう。
これはお話を聞かないとどう直していいか分からなくて、今一生懸命聞いていた。
要は交差点の反対側にいる人物と目が合うという恋のイメージだと。
本人 はい。
夏井先生 それなら「頬カイロ」とかこんなこと言ってる場合じゃないんです!(笑) 
本人 ええ~! 
夏井先生 「カイロ」は頬が熱いことの比喩になる。
そうなると、「カイロ」は季語として力を発揮していない。そういうことになる。
別の季語を入れて、作者の思い描いた人物も書き込んだ方が良い。
藤本名人 出来るんですか? 
夏井先生 簡単な話。「交差点」。この「視線」は誰のものか。
浜田 「君」や。
夏井先生 そう。「君」という人物。「君の視線と」ぶつかったと。
「ぶつかる」で作者の思うイメージ・映像は作れる。最後、残っている僅かな音数に季語を放り込む。「ぶつかる冬」。
最後の「冬」の一文字でバァ~っと冷たい木枯らしの交差点かもしれない。
その中に君と視線がぶつかって、そこにポッと温かいものが生まれてくるような、そんな感じがする。
もう1回、イチからやろうぜ!(笑) 

本人 分かりました。自分的には「カイロ」の季語として使ったところがポイントだったので、余計苦しいです(笑)。
藤本名人 「頬カイロ」ね。「頬カイロ」なっちゃうよね、恥ずかしくて。
本人 はい。
浜田 まあ次回…次回頑張っていただきましょう。

添削後
交差点 視線 ぶつか


★特待生昇格試験★



◆『オリオンと 重機の湯気と 土煙 皆藤愛子

【本人談】
冬の寒い日に交差点で工事をしていた。少し白んでいて騒がしい中を渡っている時に空を見たらオリオン座があったという。

梅沢永世名人 素晴らしいですね。
藤本名人 あ、言い切りましたね。
梅沢永世名人 こういう俳句を作ってれば絶対に名人になりますよ。
藤本名人 どこが良いんですか?
梅沢永世名人 素晴らしい俳句。
藤本名人 どこが良いですか?
梅沢永世名人 ん?(笑)
藤本名人 どこが良いんですかって。
梅沢永世名人 全部いい。これを読んでごらんなさいよ。そしたら、風景も人物もみんな出てきて…。
小田 特にどこが良いんですか?
YOU 届いてない。
梅沢永世名人 だから全て良い(笑)。

★評価ポイント
助詞「と」「の」「と」を選択した是非

藤本名人 そこ?

■査定結果
1級へ1ランク昇格

理由:助詞で映像化ができている!

本人 やった~!ありがとうございます。嬉しい。
浜田 もうちょっとや、もう名人まで。

夏井先生 
これはホントに言葉の選び方・語順もとてもよく考えられている。
最初の「と」から。「と」は前と後ろの言葉を並列で並べる助詞。「オリオン」「重機」の並列にする。
この対比は、頭上にある冬の季語「オリオン」という自然物・地上にある「重機」という人工物。
この質感の対比が出来ている。単純に並べているように見えて対比が効いている。
中七「の」は「重機の何々」というふうに属性、何から立ち上る湯気かを説明している。
「重機の湯気」「重機の土煙」とここでまた2つ出てくる。「湯気」「土煙」を並べているのが後半の「と」。
「湯気」は白い気体・「土煙」は土色の小さい粒子。そこら辺の対比もしっかりと効いている。
最後、名詞止でポーンと終わる。助詞を使って映像化が出来ている。
選んだ3つの助詞をどう機能させるか分かっている。
もう名人は見えてきた。直しはいりません。

本人 嬉しいです~。
浜田 皆藤さん、もう次は名人です。
本人 ありがとうございます。頑張ります。
浜田 頑張ればということで。おめでとうございます。
本人 ありがとうございます。

添削なし


★永世名人への道★



◆『陸橋を 渡れば熱を 持つマスク 藤本敏史(FUJIWARA)

【本人談】
お題の写真の向こう側で信号を渡ろうとしてる(トランクケースなど)荷物を沢山持っている女性を題材にした。道路を挟んで向こうに渡りたいけど近くにも横断歩道がないと。パッと見たら「陸橋」、歩道橋ですね。荷物持ってるから上がって降りるだけで息が荒くなってマスクが熱を持つという。

★評価ポイント

「熱を持つ」の表現の是非

本人 ええ~!?
玉巻アナ では、先生の結果こちらです。
浜田 はい、頂きます。いきましょう。
YOU 落ちろ。
こがけん 落ちろ。
小田 落ちろ。
浜田 永世名人を目指すフジモンは…。
本人 ちょっと待って。「落ちろ」とか言ってる(笑)。何人かいるんですけど。
浜田 なんやねん。
本人 やめてもらっていいですか。「落ちろ落ちろ」って。
小田 熱を持ったマスクとともに落ちろ(笑)。
本人 何それ。絶対星貰おう。
浜田 いくよ。

■査定結果
名人10段★2へ1つ前進

理由:マスクの2つのリアリティー

本人 やった~!
小田 あははっ。
本人 (平場を指さして)やった。嬉しい!ノッてる~。
YOU 凄いな~。
(査定評後)
本人 うわぁ~。

夏井先生 
これは「マスク」という季語が今どういう状況にあるかを説明しないといけない。
(新型)コロナ(ウイルス)のせいで、本来冬の季語「マスク」というのが私たちはここのところ1年中着け続けている。
俳句の世界では「マスク」が冬の季語でなくなるのかという話まで出てくる事態になっているのが今のこの世の中。
2つの意味というのは「コロナ禍の今どきのマスク」とも「冬の季語のマスク」とも読め、両方の意味合いで読みが成立している点を褒めたい。
コロナ禍で考えれば、健康体である私がマスクをしてそのマスクの中の熱を感じている今どきのマスクと読める。
本来の冬のマスクであれば、自分が人にうつさないため、あるいは防寒のマスクという感じになる。
両方の意味を成立させている。さすが名人ですよね。直しはいりません。

本人 やった~!
浜田 直しなしでございます。
本人 うわぁ~もう、嬉しくて頬カイロやわ(笑)、ホンマ。
こがけん それやめてあげてください。
島崎 やめてください(笑)。

添削なし


★永世名人 富美男のお手本★



◆『冬ざれや 交差点蹴る 明け烏 梅沢富美男

【本人談】
朝方、信号機の上にカラスがいる。信号が(青に)変わるとパッと飛んでいく。「明け烏」(※一夜の恋をした男女が朝方に別れる様)というのは色っぽい言葉でもある(※1)。だから、お吉物語(※芸者お吉が周囲にねたまれ身投げする物語)のお吉さんが着る衣装も明け烏の衣装で色っぽいが、芸者としては縁起が悪いという意味でもある。そういう色っぽい言葉を知ってるのよ。永世名人は(笑)。

※1
YOU へぇ~。

藤本名人 掲載(決定)でいいんですけど、シュレッダーかけて欲しいです(笑)。
本人 冗談ポパイのほうれん草!
浜田 古いねんて。
(発表中)
藤本名人 意外とボツじゃないですか?

■査定結果
永世名人40句目に掲載決定

理由:時間や情景が鮮明

小田 すげぇ。
こがけん すごい!
本人 ありがとうございます。
藤本名人 そうやろな~。

夏井先生 
これは「冬ざれや」という映像を持たない時候の季語(※冬の草木が枯れ、山や海も荒れ果てた様子)から始まる。
見渡す限りの冬の景色。もう荒れさびたような景色を「冬ざれ」という。
この季語に「や」(※上の言葉を強調する「!」の効果)という詠嘆が付くが、この段階で全然映像はない。
何となく寂しく寒く荒れているという感じ。
「交差点」でやっと映像が出る。「蹴る」とあるため、ほとんどの人が自分や第三者による人の動作だと思う。
その後にポンと「明け烏」という言葉が出てくる。この瞬間、蹴っているのがカラスの動作・描写であると分かる。
アスファルトを蹴る爪の音が聞こえてくるのではないか。
さらに、「明け方」と分かることで、「冬ざれ」という季語がさらにクローズアップされる。これは、まだ暗い朝の冬ざれである。
さすがですね~。おっちゃん、こういうのはね。うまいもんだ。
直しはいりません。

本人 ありがとうございます。

添削なし


浜田 凄い、(特待生側)こっちの人全員が昇格。
藤本名人 パーフェクト。
梅沢永世名人 (皆藤に)ですから、私のような俳句をこれからも詠んで…。
藤本名人 分かったて(笑)。
梅沢永世名人 何が?

★次回12/16は年内最後の放送。兼題はユニクロの「ヒートテック」です。


関連記事
スポンサーサイト



コメント

追記失礼します

3位 ウルフアロンさん

作者の情報を考えると中七はご本人にとって重要な要素だと思います、

相手がいること前提の「組み手」が適切なのではと思います。あとは「イメトレ」という言葉があれば解説に合うのではと

また信号の間でイメトレするということは赤信号であるという想像はできるはずなので「赤」は不要かと思います

イメトレの組み手白息の信号


最下位 島崎遥香

自分では上手く言葉選びをしたつもりでいるタイプの才能ナシですね。

自己満足の言葉選びをすると痛い目に合うというお手本にはなるかと。

あと解説に「設定」と言われていたので、完全に想像だけでつくったのもわかります。

頬があからむ=体温が上がるということなのですから、それを素直にかけばよかったのにと思います。


君見つけ火照るや寒き交差点


特待生昇格試験

皆藤愛子さん、ご回復おめでとうございます。決して無理のない範囲でお仕事をがんばってください。

句の感想にはいります。

語順に違和感を感じます。恐らくは上から下への視線誘導を狙っているはわかりますが、

作者が道路のどの辺りにいるのかの立ち位置が分かりにくかったです。

「と」を使う並列で使うのはある程度距離が離れているものと認識しています。

それなのに「重機の湯気と土煙」が見えるくらいには近くにいることに違和感を感じました。

あと淡々と映像描写に徹している反面、夜間工事の音が感じられませんでした。

重機の近くにいるのか?ある程度距離が離れたところでみているのか?助詞と語順でそこを明確にできたはずではと思います。

仮に夜間工事の横を通るのであれば

土煙重機の湯気はオリオンへ

といったところでしょうか?いずれにしても現状維持だったように思えます。


藤本名人

「マスク」の本来の季語としての意味
現代の生活描写

二重の意味があるとされましたが、自分は冬の句として成り立つかなと思えます。

仮にこれが夏であるとしたら、そもそも暑いのですから、すでに「熱をもつ」ことになります。

「陸橋を」渡らなければ「熱をもつ」ことはないのですから、ある程度寒さがあるはずです。

そうなるとこの「マスク」は季語としての本来の意味をもってきます。

季語として絶滅しかかっている「マスク」の本来の力を描写しようとする姿勢を感じられました。


梅沢名人

ご本人の解説によって「明け烏」が二重の意味を持ちます。

個人的には「冬ざれ」という季語には山の風景のイメージがあります。なので最初は字面通りの本物の烏を想像しましたが


下世話な話をすると、ラブホテルというものは都会に限らず、田舎にも多かったりします。

なのでご本人の比喩の意味もリアリティがあったなと思いました。

いずれにしても掲載決定にふさわしい句でした。


最後に拙句を詠ませていただきます。

リハの帰路さけた股間と冬銀河

今回は

1位 こがけんさん

芸能界という特殊な場所で生きる人しか作れない俳句で、プレバトという番組がなければ生まれることがなかった名句だと思います。

中七を「や」できり、
下五を語順を入れ換えて「コート脱ぐ」

としてもよかったかもしれないですね。

2位 YOUさん

俳句というのは基本的に作者自身のことを詠んでいるという前提ですから、「かじかむ」とあれば作者自身の描写だということですので、

「口ずさむ歌も(わたくしも)かじかむ」ということになり、夏井先生のおっしゃる散文的な文章になります。

個人には「口ずさむ歌」というのが音数をつかっているかなと気になりました。

口ずさむという意味も含められてる「鼻唄」を使うのもありかなと思いました。

鼻唄の「(曲名)」かじかむ赤信号
赤信号鼻唄すらもかじかみて

一度きります


今回の御大の句はすごく冴え渡っていましたね。素人目線でもかなり好きで、一目でこれはいった!と思えました。
前進、昇格を決めたフジモンさんと皆藤さんもめでたいです。

・皆藤さん
復帰後初プレバトでしょうか。やはり助詞により映像が明確化するのは一定の技術が必要だと分かる句です。「オリオンや」にすると視線がぱっと切り替わる一方、「オリオンと」にすると視線が誘導されるように天から地へ行くという違いがあるのかなと個人的に思います。でもこの違いは難しいです。冬の夜の寒い中で工事を行っている様子も伝わってきます。

・フジモンさん
何年後かにはみんながマスクを外した生活が元に戻るのでしょうか。そうなるとまたマスクが季節感を取り戻すのではないでしょうか。そういう意味で、ほんの数年みんながマスクを年中つけていたからといって季語ではなくなることはないと思います。句に戻ると、陸橋を渡るとマスクが熱を持ったとしか書いていません。このあたりは因果関係があるという点で賛否が分かれるだろうと思いますが、私は熱を持ったマスクをした人物はどんな人物が色々想像するのが楽しかったです。「熱を持つマスク」という表現にリアリティがある点が昇格に繋がったのでは無いかと思います。

・御大
個人的には今年1番良かったと思います。映像と音を同時に伝え、「明け」という2文字が非常に聞いていると思います。冬ざれの澄んだ朝に交差点を蹴って飛ぶカラスの足音がよりクローズアップされると思います。また、「烏」の鳴き声が冬ざれの荒れた感じにマッチしていると思います。「明け」と「烏」が季語を主役に立てているのではないかと思いました。

不調なポンさん、復調気味のフジモンさん、どちらが先に永世名人に行くか楽しみです。再びポンさんがゾーンに入れば一気に永世名人に行くような気がします。フジモンさんは字数合わせの無駄な言葉を入れなければ後退はあまりないのではと期待しています。

今回は名作が揃っていましたね。
1位のこがけんさん、言葉の経済効率を実に分かっている方です。
下五は「コート脱ぐ」ともできそうですが「脱ぐコート」とすることで最後手元のコートを写すのも良いですね。奇を衒わない句を相方さんにも詠んで欲しいものです。

YOUさんの句も非常にシンプルで分かりやすいのですが「も」の使い方が違うのは一発で見抜けます(松岡さんの「夏明けや封蝋も今固まりぬ」とか)。歌がかじかむなら他もきっとかじかんでいる。

ウルフアロンさんの句は最初「電話越しに誰かと対立しているのか?」「既に信号を過ぎてしまった人を思っているのか?」など考えましたが、そういうことだったのかと(正直才能なしに足を突っ込んでる気がしました)……柔道家として他の人には無い体験が五万とあるでしょうから、技術を併せたリベンジの句を見てみたいです。

島崎さんは季語の雑な使い方といい内容が薄っぺらいといい才能ナシのテンプレみたいな句である意味親しみを感じました。

特待生
久しぶりの皆藤さんでしたが、衰えを見せない綺麗な句でした。オリオンと重機、湯気と土、そして土とオリオンという天と地の対比も良かったと思います。

藤本さんは二連続前進を決め好調ですね。ファンシーさや素朴さが特徴の藤本さんとは思えない現代のリアルを切り取ったハッとさせられる句でした。
「~れば~する」という書き方は初心者だと単なる説明、因果関係の想起をさせ大体失敗するテクニックですが、見事に生きている。

富美男のお手本も今回はまさに『お手本』でしたね。交差点を「蹴る」という勢いのある表現、最後に烏が出てくることで一気に描写ができる技法。富美男の良いところが詰まってます。
明け烏に交情の意味合いがあることは先生からは特にコメントされていませんでしたが、意味を知ると「冬ざれ」のイメージにも重なり、より深い味わいの句になります。

更新お疲れ様です

今回はお忙しい中での速報版更新ありがとうございます。自分のペースでゆっくり更新してくださいね。

1位となったこがけんさんの句。
以前チョコプラ松尾さんが詠んだ
「冬空や商談前の缶コーヒー」
とも似ていますね。
どちらも「商談前」という言葉に「朝方の営業マン」、「朝ロケ」という言葉に「朝方のタレント」と時間情報と人物(職業)が含まれるという経済効率の良い単語を使っていることや、「缶コーヒー(を「飲む」)」「コートを脱ぐ」と、その時間の中での一瞬の動作を切り取ったのがポイントでしょうか。
商談前にコーヒーを飲んで心を落ち着ける営業マン
ロケ前にコートを脱いで気合十分で望むタレント(芸人)
どちらも「勝負に臨む前の戦士」というカッコイイ切り取り方ですね。

余談ですがこがけんさんの相方のおいでやす小田さん。俳句で御大の「南国の果実色してハンディファン」の時もそうですが、今回の色鉛筆での「先入観で餃子の皮を緑に描いて才能ナシ」というのを見るとどうにも「先入観」「固定観念」を捨てきれない人だなぁ…と。もちろんそれも個性だし性格ではあるのですが、プレバトの査定項目は発想の柔軟性も大きく問われるので、このままだと全科目才能ナシとかもありえてしまうような…

今回も字面だけから

御大
これは良い句。
季語「冬ざれ」とは、とりあえず冬、あっちもこっちもそっちもどっちも冬、「見渡す限り冬」。
「冬ざれ」な光景は、読む人にぶん投げれば良い。山梨の冬ざれと千葉の冬ざれの風景は違うけど、どっちでも冬だらけ感じる風景はあるはず。
そんな冬だらけの朝の中、交差点があるんですよ、めちゃ寒い朝の。そこを、からすがチョンチョンと。
良いですねえ。御大、こういう句をもっと詠んでくれたら良いのに。
(映像を見て)
御大の自解を見聞きし、そう言えば、落語にも明烏という演目があるのを思い出しました。

藤本名人
陸橋を汗かいて登り、マスクも熱を持った訳ですが、マスクをしてる人像を考えるのが楽しい。感染予防のためマスクをしてるのか、既に発熱してるのかとどっちとも取れますね。

皆藤さん
復帰ですか。はやく映像を見たいのですが。
オリオン座が登ってくるのは今の時期だと19時前くらいでしょうか。ちょうど日付の変わる頃に南の空に煌々とおわす感じ。
時間帯を考えると夜間工事の照明に重機の湯気や土煙が浮かんでいる景、交通整理の方の吐く息や重機の振動も想像できる句。

4位
交差点で誰と視線が合うと頬にカイロを当てたくなるか、という点。歯科衛生士さんかもしれない。添削句で「君」が登場して、無難な線に落ち着きましたが。

3位
原句を読んでも、どうにか、ロードワーク中なのかな、とは分かる。たぶん、試合相手を「見えぬ相手」と表現して詠み手は工夫したのかなぁ。添削でこの言葉が消えてるので、工夫が仇になったのかな、と。

2位
状況はよく分かる。季語「かじかむ」は、確か、寒くて手足が感覚を失ってる状態で、気持ちの面でも寒さで縮こまっている意味があったはず。既に身体も心も縮こまっているのは分かっているので、「も」でなく「の」に直されたんでしょうか。

1位の句
朝ロケ、信号待ちときて、脱ぐコート、と最後に季語が来て、季節も景も完成して、もう一度句を読み、芸能人て寒い朝から頑張るのねぇ、と思える句ではないでしょうか。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

プロキオン

Author:プロキオン
俳号「白プロキオン」。全てのブログ記事を編集しています。
毎度閲覧いただきありがとうございます。時間があるときにでもどうぞ。
全俳句を掲載してほしいなどのリクエストはコメントしていただけると助かります。

ツイッターでは番組の放送予告などをツイートしています。以下リンクからどうぞ。
プロキオン
***
番組公式ツイッター
***
着流きるお氏(プレバト兼題で俳句を独自査定する若手俳人・ブログ編者とは無関係です)
***
夏井いつき氏(プレバト!!出演の俳人)

人気記事ランキング

↓訪問者数です