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20211125 プレバト!!俳句紹介【秋の東京駅】

2021年11月25日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→武尊[2],野口健[初],村上[3],LiLiCo[2],千賀健永[48],村上健志[60],梅沢富美男[150] ※数字は挑戦回数

●お題:秋の東京駅

秋の東京駅の兼題
※イチョウが散った東京駅前の並木道。「東京駅」は番組定番の兼題。旅の実体験に発想を飛ばすと才能アリが見えてくる。

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位70点武尊
十円のもやしで晩餐春を待つじゅうえんのもやしでばんさんはるをまつ
2凡人2位65点野口健
木枯らしに駅名告げる声かすむこがらしにえきめいつげるこえかすむ
3才能ナシ3位35点LiLiCo
夜長には都の駅ももみじ色よながにはみやこのえきももみじいろ
4才能ナシ4位20点村上
(マヂカルラブリー)
行く秋と行かぬ駅の赤ゆくあきとゆかぬえきのあか
5名人4段で現状維持千賀健永
(Kis-My-Ft2)
凩や人吸い人吐くターミナルこがらしやひとすいひとはくたーみなる
6名人10段★1へ1つ後退村上健志
(フルーツポンチ)
銀杏のひかり肴に一口目ぎんなんのひかりさかなにひとくちめ
7永世名人39句で掲載ボツ梅沢富美男
ますかけの手にある我の木の葉髪ますかけのてにあるわれのこのはがみ
→編集後記





●それでは順位別にみていきます

◆1位 才能アリ70点 武尊
十円の もやしで晩餐 春を待つ

【本人談】
「東京駅」で上京した時の気持ちを思い出した。上京当時(17歳)はお金がなくてバイトしながら毎日練習をし、もやしをいっぱい買ってもやしでご飯をかさ増しし、少しでも美味しくご飯を作って自炊して食べていた。「いつかチャンピオンになってお金を稼いでやる」という気持ちを思いながら、「春を待つ」という言葉で詠んだ感じ。

梅沢永世名人 いや、これはね。私もよく分かります。私も(当時20歳)そうでしたから。もうほとんど売れなくてね、もやしをよく食べてましたよ。
浜田 あら。
梅沢永世名人 いい句ですよ。ただ語順を変えたらもっと良くなる
浜田 あら。語順が違う?
梅沢永世名人 そう。「晩餐の」から始まった方が良い。
浜田 あ~、なるほど。
梅沢永世名人 「晩餐の何ちゃらかんちゃら…」。
浜田 「何ちゃらかんちゃら」って(笑)。
梅沢永世名人 「10円もやしで春を待つ」みたいなね。
本人 なるほど。
梅沢永世名人 今、急ですよ。急に私が考えただけですから(笑)。

夏井先生 
おっちゃん、それももっと自信持って言えば良いんだよ。時々当たるんだから(笑)。
梅沢永世名人 当たった? 
村上 当たってたのか。
夏井先生 当たってる。
中七「で」が散文的な使い方で、難はあるが素材は面白い。
素材が良い時は大体本人の実体験でリアリティーがある
リアリティーがあるということは実体験としてのオリジナリティがある。
そういうところが作者分かってみて「あなたが苦労した10円もやしの方だったのか」と。今しみじみと顔を拝見している。
問題点はおっちゃんの言う通り。(語順は)「晩餐」から
色んなやり方はあるが「晩餐は」と持ってきても良い。
「十円もやし」とくる。そうすると、「晩餐は」で凄く豪華なものを一瞬思う。
晩餐が何か?と思って「十円もやし」がポツンと出てくると、この2つの言葉の対比・ギャップが非常にストレートに読み取れる。
そして最後の季語がゆっくりと出てくる。
いいじゃないですか、この調子で頑張ってください。

浜田 素晴らしい。才能アリ1位…。

添削後
晩餐 十円もやし 春を待つ


◆2位 凡人65点 野口健
木枯らしに 駅名告げる 声かすむ

梅沢永世名人 うん。

【本人談】
だんだん冬になると寒くなる。(電車の)ホームで待っていると風が吹く。そういう時、人間の心理はキュッとなる(両手をグーとして頬に近づける)。その時、ホームで「東京~」「新宿~」などアナウンスが流れる。アナウンスが「東京~東京~」とだんだん遠のいていくような。山も同じで、冬山で寒い時にひゅっと風が吹くと仲間の声が聞こえない。

梅沢永世名人 これね、やろうとしていることは素晴らしいんですけど。下五の「声かすむ」。これがちょっとぼやけてるんです。
浜田 お~。
梅沢永世名人 これがちょっと気に入らない。
浜田 なるほど。

夏井先生 
問題点は「かすむ」だけ
本人 やっぱ「かすむ」なんだ~。
夏井先生 これだけ。
春の季語で「霞(かすみ)」(※春の山野に立ち込める水蒸気のこと)があるため、冬の「木枯らし」の厳しい感じと「かすむ」の語感がやはり損している。
「声かすむ」と最後に動詞が来るのではなく、最後に「声」で終わらせると効果が変わってくる。
「木枯らしに」の後に動詞を持ってくる。「千切れ」。木枯らしは人の声を千切れさすようだ。
名詞止でパシッと止めることでこの「声」が読んだ人の耳に残る。そうすると、今日は文句なく才能アリ。

本人 うーん…いや僕もちょうど「千切れ」って途中まで書きかけてた。
浜田 ウソつくな!(笑)

添削後
木枯らしに 駅名 告げる声


◆3位 才能ナシ35点 LiLiCo
夜長には 都の駅も もみじ色

野口 いいねぇ。

【本人談】
「東京駅」よりも「都の駅」の方が美しいかなと思った。レンガの東京駅がもみじ色のように赤い。凄くいいじゃない。

浜田 いや違う違う。今認めてんの野口だけや(笑)。
野口 いいですよ、とっても。
梅沢永世名人 これ才能も何もあったもんじゃない。普通の言葉を五七五にしただけのこと。
野口 ダメなんですか?それじゃ。
梅沢永世名人 意味も分からない。しょうがない。
浜田 いやその~具体的に「ここダメだよ」っていうとこは…。
梅沢永世名人 全部ダメ! 普通の文章ですから。
本人 それが俳句じゃないんですね。
梅沢永世名人 これは俳句じゃない。
野田 「俳句じゃない」。

夏井先生 
季語を押さえたい。「夜長」が秋の季語となる。
「もみじ」そのものは(秋の)季語となるが、「色」と展開しているため、季語としての力は弱くなる。ここ(=季重なり)は心配することはない。
ただ、「には」「も」の叙述が散文の言い方になっている(※散文的」=詩的な情景に乏しい)。
それをおっちゃんは「普通の文章になってる」という言葉で今一生懸命言っていた。おっちゃんの言い方も伝わりにくかった(笑)。
分かりやすく言うと「散文的」ということ
浜田 そうですね、それを言って頂ければね。
夏井先生 その通り。
一番良くないのは「には」。「夜長なる」と柔らかくしたい。
「都の駅も」の「」もとても良くないため「駅舎」と建物そのものにする。
そうすると、散文的な部分は消すことができた。
ただ、添削したところで普通(笑)。

添削後
夜長 都の駅 もみじ色


◆最下位 才能ナシ20点 村上(マヂカルラブリー)
行く秋と 行かぬ駅の赤

野田 いいですね~。
梅沢永世名人 バカ者!(笑)

【本人談】
これは、秋に色づいた紅葉の季節が終わっていくのに、東京駅は場所も動かなければ色も変わらない。秋が終わり、季節が変わっていくのに取り残されてしまうような寂しい東京駅を詠んだ。

千賀名人 いや…ははっ。
本人 なんですか?どっちらけの空気(笑)。
千賀名人 説明を聞いても訳が分からない。
浜田 なるほどね。じゃあ、こっちの村上さんちょっとお願いします。
村上名人 そもそもなんでこの謎の五・八ですか?(笑)
本人 謎の五・八ってなんです? あえての五・八ですよ!
梅沢永世名人 100年早い。
野田 「100年早い」。
梅沢永世名人 調子こくのもいい加減にしろよ。1回ぐらい才能アリ貰ったからって。ちゃんと五七五で詠みなさいよ!
浜田 ほら。
本人 前1位だったから、もう五七五は卒業かなと思ったんですよ(笑)。
梅沢永世名人 バカヤロー!(笑)

夏井先生 
1回才能アリになったから「もう卒業」だなんて…。
浜田 あ~今のアカンかったか。
夏井先生 そんなことをホントに…。
本人 先生、それはちょっともう売り言葉に買い言葉と言いますか(笑)。
夏井先生 いやいや。そういう根性ではダメです!
本人 すみませんでした。
夏井先生 謎の五・八を私もどうしたら良いか分からなかった(笑)。
野田 「謎の五・八」。
夏井先生 「行く秋」と何か行かないものを対比する前半はギリセーフ。
ところが「行かぬ駅」で何だか分からなくなり、「の赤」で"そうか、コイツは五七五を指で折って数えられない人か"と(笑)。
本人 先生、数えてたんですよ、今までは。教育を受けてます。
夏井先生 これはね、無理ですよ。やろうとしていることは。カッコイイことやろうとしているからダメ。
浜田 そういうことですね~。
夏井先生 「行く秋」くらいでしっかり持っていく。「や」は詠嘆。
「ああ、秋が行くよ。しみじみと」と。そして「赤」に行きますか? 投げやりになってきた。
赤々」。赤いんでしょ?(笑) 
野田 どうせ「赤いんでしょ」。
夏井先生 どうせ赤いのよ。「赤々とある」。行かないで良い。「東京駅」でいいんじゃないですか。
本人 先生、ちょっと。もうちょっとじっくり吟味して…。
夏井先生 「行く秋や赤々とある東京駅」。さようなら!(笑)

本人 先生!

添削後
行く秋 赤々とあ 


★特待生昇格試験★



◆『凩や 人吸い人吐く ターミナル 千賀健永(Kis-My-Ft2)

【本人談】
東京駅の絵を描いたことがある。実際に見ると大きい巨人のようなイメージで、東京駅に入っていく人・出て行く人を「人吸い人吐く」という言葉で表現した。

梅沢永世名人 私、個人的な意見ですけど、中七がちょっと気になるかなと。
浜田 中七。
梅沢永世名人 8(音)になってるんですよ。「人吸い人吐く」。これがどうかな?と。
浜田 なるほど。
本人 それが良いと思って作ったんだけど、違うのか…。
浜田 なるほどね。

★評価ポイント
中七・下五の表現の是非

本人 やった…頼むよ。上がりたいよ。

■査定結果
名人4段で現状維持

理由:ありがちな発想

本人 またか~。
梅沢永世名人 
そうだろうね。
(査定評後)
本人 
一番言われてイヤなやつ(笑)。「ありがちな発想」一番イヤ。

夏井先生 
駅の人の出入りを「人を吸っている・吐いている」と表現するのは、俳句の世界ではそれなりにある
そのため、発想の点で損している。さらに、おっちゃんの指摘した中八の問題だけは解消した方が良いと私も思う。
そうなると、この語順ではない方が簡単に音数調整できる。
「人吸うて吐く」の後に「凩ターミナル」。後半で映像が出てくる。
そして「凩」だが、平場の句に出てきた「木枯らし」も同様に同じ風を意味する。
「木枯らし」は映像として枯れ木のイメージが強く出る。「凩」は風の吹く方にイメージがある。
本人 あ~
夏井先生 そのため、「人吸うて吐く」は「凩」を使ったのも大変良かった。でも今「あ~」って言ったね

本人 いやいや。ホント、そういうつもりでしたよ。
梅沢永世名人 あははっ。
本人 違う…違う。「あ~」って言わなきゃよかった(笑)。

添削後
人吸 吐く凩 ターミナル


★永世名人への道★



◆『銀杏の ひかり肴に 一口目 村上健志(フルーツポンチ)

【本人談】
銀杏は食べても美味しい。でもそれだけでなく、銀杏自体に光っているのが映る。あの光自体を見て、「うわ~良い季節になったじゃん!」って言いながら、この光だけで(酒を)グイってやるんですよ(笑)。それを詠みました。

浜田 腹立つ~。
梅沢永世名人 これはね、じじいの一言だと思って聞いてちょうだい。食べ物を私何度も詠んだんです。その時に、先生から言われたのが「食べ物の俳句を詠むなら美味しそうに詠め!」。
浜田 あら。
梅沢永世名人 この句を見ると、美味しそうに見えないです。
浜田 そうですか?
梅沢永世名人 うん。「一口目」って言ったらもしかしたらお酒かと思っちゃう。
本人 お酒ですよ(笑)。「ひかり」を「肴」にして…。
梅沢永世名人 銀杏でしょ?
本人 でも本当に「じじいの一言」だった。
野田 あ、ヤバイヤバイ。
村上 もめちゃった。
千賀名人 やめてくれ~。

★評価ポイント
「肴に一口目」という叙述の是非

本人 また叙述のじぇしじゃん(笑)。
梅沢永世名人 永世名人を狙う句じゃないよ、これは~。

■査定結果
名人10段★1へ1つ後退

理由:後半が雑!

本人 え~!後退?ああ~、あぁ~あ。うわぁ~。やったやった。なんでやるかな~。

夏井先生 
「肴に」の言い方が本当に雑。
今回、手を抜いてきたんじゃないかと思うくらい雑だった。

銀杏の光そのものを肴にするというイメージなんですね?
本人 そうです。
夏井先生 それなら「肴に」すると説明せず、光を映像として見せるべき
「肴に」と言わなくても下五を操作すれば「お酒を飲もうとしている」と分かるように書くことは可能。
上五は漢字でも良いが光を見せるなら「ぎんなんの」と平仮名の方が綺麗。
それを一粒手に取るような印象。「ひかり一粒」。その一粒にずっと映像が寄ってくる。アップになり、光が映像化される。
お酒を飲む。「まず一献(いっこん)」で良い。
梅沢永世名人 あ~いい!(笑) 
夏井先生 もうちょっと上手になってから一緒に酒を飲みましょう(笑)。

本人 飲むか! 
浜田 「飲むか」ちゃうわ。
村上 最低。
浜田 どうですか、直されると。
本人 直されると凄く良いです(笑)。

添削後
の ひかり一粒 まず一


★永世名人 富美男のお手本★



◆『ますかけの 手にある我の 木の葉髪 梅沢富美男

【本人談】
私は両手とも「ますかけ」(※「ますかけ線」=強運の手相といわれる珍しい線)。これは徳川家康さんもそう。芸能界でも何人しかいない。確か私の知ってる中では、キムタクさん、イチローくん、浜田さん(※1)。 天下を獲るんです。私はまだ天下を獲ってませんよ、皆さん(※2)。天下は獲ってませんけど、この歳になるまで芸能界にいられたのもこの"ますかけ線"のお陰かなと思っている。ただ一つ心残りなのは、年々薄くなる私の髪の毛。これを俳句にさせて頂いた。

※1
一同 へぇ~。
浜田 いやいや。僕は左手だけ。

※2
村上 分かってます。
本人 いや、「分かってます」って言うんじゃない(笑)。
***
村上名人 「木の葉髪」(※秋から冬、髪が多く抜けることを木の葉が散るのに喩えた語)っていうのが、初冬の頃に髪がよく抜けるということなんですが、「ある」という必要があるのか、「我」という必要があるのかっていうところが、是非なんじゃないですかね?
浜田 はぁ~。
本人 くどいって言うの?
村上名人 まあ「ある」と言わなくても「手に木の葉髪」でも伝わるんですよね、同じ意味が。
本人 ふん。
浜田 なるほど。

■査定結果
永世名人39句で掲載ボツ

理由:配慮が足りない

千賀名人 はぁ~。
浜田 せんせ~い。
→本人はとぼけた顔に 
村上名人 いい顔してるなあ(笑)。
村上 この顔。

夏井先生 
「ますかけ」が「ますかけ線」とすぐ分かる人と「ますかけ」って何だろう?と思う人と世の中には分かれるのではないかと思う。
そういう人が「調べてみよう」と思わせる小さな配慮が永世名人ともなれば…。
浜田 そういうことですか。
夏井先生 していただけるのではないかという意味。
浜田 なるほど~。そらそうだね!(笑) 
野田 声出てるな~。
浜田 そら手相のことやねんから、「手相」って書けよって話…。
夏井先生 その通りです。それ書いとくだけで、読み手は手相の一種かと思うだけのこと。
浜田 (小さな声で)当たってもうた。
夏井先生 そこの「手相」を入れることによって、村上さんが指摘した「にある」が本当にいるのかどうか?とくっついてくる。
「ますかけの手相」と偉そうに言う。強調し、「俺にはこの手相があるぞ」と。ここでカットが一回切れ、「我に」。
そういう我であるけど、今は木の葉髪の時期であるよ」と。これで謙遜した感じが出てくる。
「俺は天下を獲る偉い奴だ」とギャーギャー言ってるわけですから、前半で(笑)。
こうすると、おっちゃん自身が多少奥ゆかしい人にも見えるため、こうした方が良い。

浜田 確かにそうですね。

添削後
ますかけの 手我に 木の葉髪


浜田 さあ。これはね、もう世に出せないので。
梅沢永世名人 待って下さい。
浜田 はい、ボツですから。せぇ~の、ドン。
(シュレッダー演出)
千賀名人 あぁ~あ。
村上 あ~いいわ。
千賀名人 可哀想。
浜田 これはもう、永世名人の句はこの世には残せないので。
梅沢永世名人 それにしても(裁断が)細かすぎませんか(笑)。
浜田 いや、そういうもんですから。
梅沢永世名人 シュレッダーレベルが上がってるんじゃない?(笑)

★次回12/2の兼題は「映画館」。劇場入場時にチケットを確認するマスク着用のスタッフが中央に映る写真です。


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コメント

今回は全体的に渋めの査定結果であり、それだけにブログ主さんの講評を含めて色々と学ばせていただきました。読者の分際でおこがましいとは思うのですが、今回の「東京駅」や「富士山」などといった頻繁に兼題となっている回について、比較のしやすいよう別途カテゴライズされていればより見やすいのではと思いました。お節介ではあると思いますが、一応ご検討のほどよろしくお願いいたします。

No title

所謂『小学生並みの感想』になってしまいますが、村上名人と御大のそれぞれの句と互いの指摘、相手の句には違和感に気付けるのになっていうのが俳句って難しいねみたいな気分になりました
個人的に発想(表現したい事)は両者共に好きだっただけに、結果が揮わず残念です

Re: No title

コメントありがとうございます。
該当箇所、追記の上訂正いたしました。

> 本当に細かい話で申し訳ないのですが、村上さんの特待生昇格句は冬の新宿駅だったような

No title

本当に細かい話で申し訳ないのですが、村上さんの特待生昇格句は冬の新宿駅だったような

そのまんま名無し様

解説ありがとうございます。

自分でも調べてみたのですが、連用形には名詞を修飾する「連体修飾語」としての機能があるというかんじなんですかね。そして「連用形+名詞」でひとつの言葉になると

「焼き魚」とかこの間の「焼き立て林檎パイ」とか。

いままで名詞を修飾するのは連体形だけだと思っていたのですが、そのような例外的な場合もあるのだなと考えさせられました。

ただ、自分としては「千切れ駅名」をひとつの言葉として捉えるのはかなり違和感があるので、やはり2の倒置して用いられているという方がしっくりきます。

余談ですが、過去に藤本名人の
「鯉のぼり挿され五つのランドセル」という句

これもなんで「挿され」なんだろうとずっと思っていたのですが、「五つのランドセル(が)鯉のぼり(に)挿され(て),,,,,」という風に倒置してとらえると納得がいきますかね。

名無しさんの意見を汲んで

もちろんこういったものを楽しむのに知識が必要なのは仕方ないですが、一方でやはり一読して「わかりやすく(かといって説明的・散文的ではない)」というのが求めている点ではないでしょうか。

自分も永世名人と同じく両手ますかけ線を持っていて、それについて調べた事もあったのですが、今回の句を最初に聞いたとき「ますかけって何だ…?」と感じてしまい、解説で「ああそうだったわ」ってなりました。

「『ますかけ』って何?」と「『ますかけ線』っていう手相って何?」という疑問のハードル、
例示した飯盒の回なら「何で逆さにするの?」と「飯盒って逆さにして蒸らすんだ」という解決のハードル。
ここを句の中でちゃんと下げられるかを求めているのでしょう。

基本的に俳句は十七音の勝負であり、東国原永世名人・横尾名人が使ったような前書きなどはあるにしても「これはこういう意味です」という注釈は付けられない(ブログのように文章化するなら別ですが、あくまで査定は十七音のみ)ですからね。

最近少し気になることが……
万人に広める為の句集を作るとはいえ、「配慮が足りない」だけでボツにするのはどうなのでしょうか?句の意図がわからないのは語彙力の足りない人の責任であると思います。歴代の俳人にだってある単語の意味が分からなければ本質を理解できない句は山ほどあります。

今回、失礼ながら私も「ますかけ線」の存在は知りませんでしたが、それにしたって「手相」とストレートに書くのも説明的で興醒めでしょう(同じような違和感をリュックの回であった飯盒の句で覚えました)。仮に配慮を加えるのだとすれば句を直すのではなく、注釈でもつければいいだけだと思うのですが。
まあ今回は「手にある我の」というグダグタな中でダメかな…とは感じましたけど。

ぽん様

木枯らしに 千切れ駅名 告げる声

上、中、下で分けて記されているので混乱しますが、「千切れ」の解釈は二通り浮かびました。

1 「千切れ」が名詞化している
「ちぎれた雲」
大きな雲から一部分が千切れた一つ
「ちぎれ雲」
ちぎれちぎれになった小さな雲

「はぐれたメタルスライム」
八匹同時に現れるメタルスライムから、はぐれてしまったスライム。形はメタルスライム。
「はぐれメタル」
もとの形はどうかは知らないが、メタルスライムと違うグラフィックや特技、経験値をもつ別個体。

「千切れた駅名」
駅名の一部がちぎれてきこえる。東京駅なら、「とう、、、」だけ聞こえてもおかしくない。
「千切れ駅名」
ちぎれちぎれに駅名が聞こえる。「と、、、きょぅ、、、き」という風に聞こえる。

この理屈で行くと
木枯らしに(対して)、ちぎれ駅名(を)告げる声
という意味ともとれます。


2 ラ行下二「千切る」の連用形「千切れ」として使用している
この場合だと、句を区切って書くと「木枯らしにちぎれ/駅名告げる声」。
「木枯しに(よって)千切れ(て)、『聞こえる・聞こえない、、、など』」、「駅名(を)告げる声(『が』『は』)」、となる。分かりやすく叙述するなら「駅名を告げる声が、木枯らしによってちぎれ(て)、、、」とするところを、倒置している。

夏井先生は、著作や動画で、なるべく詠み手の言いたいことに添って添削する、している、という旨を仰ってます。このことを信じたとしたとするなら、原句を詠んだ野口さんの自解「風が吹くと(中略)聞こえない」というコメントを受けているはずです。受けているならば、添削句の「千切れ」の後には「聞こえず」というワードが入ってるはずと考えます。そこで、2として挙げた解釈なのでは、と考えます。

先生が倒置についての説明をしてなかった、または編集でカットされていて、番組では説明されてないので、私の解釈が当たってるかは知りませんが。

訂正
「千切るる」→「千切れる」ですね。
口語で合わせないといけないので。
失礼しました。

文法

個人的にわからないのは二位の添削句なのですが
なぜ「千切れ」と連用形なのでしょうか?
ここは中八になりますが「千切るる」と連体形にしたほうが文法的に正しいのでは?と思ってしまいます。

俳句の文法に詳しい方どなたか説明をお願いします。

今回は

全体的にふるわなかったかなと

1位の武尊さん

リアリティーが伝わる一句でした。

あまり触れられませんでしたが、
「春を待つ」という季語が暖房代も惜しむかのような寒さや風の音が伝わります。

語順や助詞などの課題があるから特待生はまだ先でしょうが、

オリジナリティとリアリティーにかけては、現在の平場のなかでは随一だと思うので、格闘家初の特待生を目指してほしいですね。


2位の野口健さん

ご本人の解説とは違う感じにはなりましたが、非常に共感のできるものでした。

風が強く吹くと、寒さに気を取られてアナウンスを聞き漏らすことは往々にありますので。

「かすむ」ですが、本来視覚に対して用いられる言葉ですので、「声」に対して使うのは文法的には不自然かなと思いました。

ただ、全体的にきいたときに下五で別の季語を思う人はいないと思うので、夏井先生の指摘にも違和感を覚えました。

3位LiLiCoさん

本来変わるはずのない東京駅の赤を「もみじ色」と合わせる理由が見当たらないなと思いました。

強いていえば、秋を感じる何かがあってその気分で夜のライトアップされた東京駅を見た時にもみじのようだったということでしょうか?

それなら映像のない季語を持つよりも、「月」などの星を持っていくほうがよかったのではと思います。

月煌々都の駅はもみじ色

元の季語を使うのであれば

長き夜や赤き駅舎のライトアップ

とすれば伝わったのではと思います。


最下位マジカルラブリー村上さん

謎でしたね。何を言いたいのかが全くわかりませんでした。

解説で移ろいゆくものと変わらぬ物の対比なのはわからましたが、

変わらぬ物もそれゆえの味わいがあるので、ネガティブな印象を使うのはやめてほしいですね。

行く秋と変わらぬ赤き駅舎かな


千賀名人、

この句を見た時に真っ先に思ったのが、3年前の

石田さんの(プレバト復帰待ってます!)

電車吐きたる人人人人人年の果

です。この番組でも使われているし当時特待生だった名人も同じ予選に参加されてましたから、

推敲すべきでした。

解説をきいたときに「駅舎が巨人みたいに見えた」とあるのですから、そちらの描写にしておけばオリジナリティが出せたのではと思います。

巨人なる駅舎人喰う冬の風


村上名人、

どうしたの?というのが率直な感想です。「一口目」は後に「を飲みました」とならないと日本語として不自然で散文的であるのがわかります。

下五が思いつかずに無理やりつけた印象があります。


ボツの梅沢名人。

解説をきくまではまったく上五がわかりませんでした。

夏井先生の言葉が全面的に正しいと思います。


最後に拙句を詠ませていただきます

本番を終え喧騒の帰路寒し

・マヂラブ村上さん
着眼点は面白いとは思います。謎の5・8は笑いましたが、個人的には好きかも。ただ、東京駅と書いた方がいいですね。変わりゆく季節と変わらないものを対比することは
俳句の世界でよくあるのでしょう。ただ、東京駅の赤と行く秋を対比させたこと自体は詩があってよろしくのではないでしょうか。

・千賀さん
「人」のリフレインは工夫されてはいますが、独自性に少し欠けたでしょうか。凩としたことで、人々が寒がりながら駅を急ぐ様子を表現したところは工夫があっていいと思います。人を吸うか吐くかのどちらかに焦点をあて、擬人化ではなくシンプルな映像化をしても良かったのではと思います。「凩や人々駅へ急ぐ朝」、良いかどうかは分かりませんが、一応やってみました。

・ポン村上さん
村上が2人いるとややこしい笑。銀杏のひかりという表現が素敵だと思います。「ひかり」をひらがなにしているのと敢えてだと分かります。お酒を一口飲むのであればやはり添削後の「一献」や 「一酌」の方が明確かなと思います。「肴に一口目」で私は分かりましたが、どれだけの人に伝わるのかは正直分かりません。先生には「手を抜いたと思うくらい雑」と言われていましたが、置きに来ていると言われれば確かにそんな気としてきます。村上さんの後退の句は個人的には好みの発想や表現の句が多いので正直可哀想だなと思うところがあります。でもルールだから仕方がない。

・梅沢様
配慮が足りないとボツになったのは多分今回が初めてではないと思います(ライスカレーや飯盒の句も同じ理由でボツか後退になっていた記憶が)。知識豊富な御大だからこそ起こる問題だとは思います。私も正直「ますかけ」とは何ぞやと思いました。話を聞いて、「ますかけ線」と書いたほうが分かりやすいのではないかと感じました。添削句では手相という言葉を入れていましたが、その方が良い。前半の威勢がある様と後半のどこか寂しさもある様との対比が鮮やかです。「ぞ」という切れ字が対比の鮮やかさを確かにしている気がします。

明日まで映像を見れないので、今回も字面からコメントを。

一位の句
芸能人に限らず、下積み時代にもやしで腹を満たしたという話は聞いたことがあることですが、「十円」「晩餐」がリアリティであり、下積み時代を思わせます。「で」が散文的でしたが、添削で良くなったと。

二位の句
木枯らしの音で駅名のアナウンスが良く聞こえない様子は伝わります。失敗点は中七の「る」、下五の「る」がリズムをぶつ切りにしてしまったところでしょうか。(中七は下一他動詞連体形なので切れてはいないのですけども、ブツブツした感じ)。添削で名詞止めとなり、ピシッとした形に。
(映像を見て)
そうか、「かすむ」が「霞」とうけとめられるのか、と。


三位の句
夜長ともみじの季重なりに見えますが、もみじ「色」となので、季語の力は失せるでしょうね。
言いたいことは伝わる系列の才能なしですね。散文的な感じ。添削は添削で三段切れにも見えますが、どうなのか。
(映像を見て)
夜長「なる」は名詞の形容動詞化、連体形だとふと気付きました。添削句、三段切れではないな。

四位の句
原句。うーん。どういうこと?
秋は過ぎるが、東京駅の駅舎は赤いままです、というくらいか。映像を見たいと思います。
(映像を見て)
「謎の五八」には笑いました。

千賀名人
原句の時点で発想を平凡と突かれたら、添削しても平凡なままな気がします。駅が人を吸って吐く、と。
あと、中八ですね。平場なら才能なしでは?降格をよく免れたなという感じ。

村上名人
添削句良いですね、上五を平仮名にして、「銀杏の木漏れ日を肴にして」という誤読を防いでます。また、下五「何を一口目」か。「肴」とあるから酒類でしょうけど、「まず一献」ときた方がグッと良い感じです。
(映像を見て)
ぎんなんの光沢の描写、ひかり一粒が加わっていたことに今さら気付きました。

御大
「ますかけ」がまず分からなく、その後「手」とあるので下ネタに見えてしまったというのが本当のところ。調べると強運をもたらす手相のようですね。季語の「木の葉髪」と知りませんでしたが、抜け毛、とのこと。季節の変わり目での抜け毛ですが、どうも季節の変わり目という理由だけでない気もします。
全体を見れば強運の人も抜け毛があるのね、あるいは、強運の手相を持って毛が抜けるくらいまで生きてきた、という感じで読みました。
やはり、「ますかけ」の説明がいるようですね。

次回も楽しみにしております。

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