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20210923 プレバト!!俳句紹介【秋の夕日】

2021年9月23日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→堀未央奈[初],武尊[初],浅野ゆう子[2],水川かたまり[初],河合郁人[18],千原ジュニア[64],東国原英夫[70] ※数字は挑戦回数

●お題:秋の夕日
秋の夕日の兼題
※秋分の日に相応しいお題。「夕焼」は夏の季語だが、「秋夕焼(あきゆやけ)」は秋の季語。

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点堀未央奈
独立の夜やゴッホの星月夜どくりつのよるやごっほのほしづきよ
2才能アリ2位70点武尊
切れかけのグローブ眺めし秋夕焼きれかけのぐろーぶながめしあきゆやけ
3凡人3位65点浅野ゆう子
選局はルーティーン今日は土瓶蒸しせんきょくはるーてぃーんきょうはどびんむし
4才能ナシ4位10点水川かたまり
(空気階段)
109夕日にうつされ0になりいちまるきゅうゆうひにうつされぜろになり
55級で現状維持河合郁人
(A.B.C-Z)
初MCのエゴサ車窓は秋夕焼はつえむしーのえごさしゃそうはあきゆやけ
6名人7段で現状維持千原ジュニア
公園の漫才師黙秋夕焼こうえんのまんざいしもだあきゆやけ
7永世名人31句目に掲載決定東国原英夫
ラフレシアも秋夕焼も人を食うからふれしあもあきゆやけもひとをくうか
→編集後記





●それでは順位別にみていきます

◆1位 才能アリ72点 堀未央奈
独立の 夜やゴッホの 星月夜

ジュニア名人 ええなあ。

【本人談】
乃木坂46を卒業し、寂しい気持ちがある。少し切ない気持ちになった時、ゴッホの絵が凄い好きで見る。ゴッホには「星月夜」という有名な絵があるが、それは普通の空の情景ではなく溶けたような不安定な絵で、それが凄く今の自分の心情にあっているなと思った。

東国原永世名人 これ、素人の句じゃないですね。
浜田 え?(天才現るですか?)
東国原永世名人 「星月夜」はゴッホの描いた絵ですから、季語としてはちょっと弱まるんですけど、本当に魅力的な句ですね。
本人 あ、嬉しい。ありがとうございます。

夏井先生 
その「独立」だったのかと今話を聞いて思った。別の国の支配からの独立、祖国を取り戻したという意味でとった。
作者の個人的な事情から生まれた句のため、それはそれで良い。
「星月夜」は確かに季語だが、絵のために季語としての力は少し弱まる。
しかし、中七にあえて「夜」がもう1つある。これは大事な配慮だった。
私の祖国、私が独立したその夜はまさにゴッホの星月夜のような星々が、この独立を祝うかのように頭上を埋めている
そのため、絵として弱まった季語が「夜」で保証されているため、この配慮が上手い。
素晴らしかったと思う。直しはいらない。

本人 やった~! 
東国原永世名人 この人は夏のスペシャル(→炎帝戦)じゃなくて良かったわ。夏のスペシャルこれ出たら、恐らくベスト10入ってるよ。
浜田 ハッハッハ。そうか。いやいや、おめでとうございます。
本人 ありがとうございます。

添削なし


◆2位 才能アリ70点 武尊
切れかけの グローブ眺めし 秋夕焼

【本人談】
ちょうど夕焼けが出る頃に(ボクシングの)練習が終わる。ハードな練習をしているとグローブがボロボロになり、紐が切れかけになるのを夕焼けと一緒に見た記憶がパッと思い浮かび、これを詠んだ。

東国原永世名人 いやもう、良い句ですね。経験を重視されて全体的には非常に良い句だと思いますね。
本人 ありがとうございます。

夏井先生 
これはきっちり作っている。「切れかけの」から始めた語順も良かった
「切れかけのグローブ」でグローブの紐の部分が切れかけているというところも映像として見えてくるのも良かった。
最後の「秋夕焼」は結構奥行きがある季語で、切れかけるくらい練習した充足感に、やれることはやったがどうなるんだろう?という悲壮感の思いも一緒に受け止めてくれるため、良い季語の選択だった。
たった1つの問題点。中七の「し」は過去の助動詞だが、今まさにというなら過去は損で、現在の表現にすべき。
「眺」なら"眺める"という意味で文語の言い方。
よくお勉強してらっしゃいます。期待しましょう。

浜田 いや~、はっは~。
本人 先生の本めっちゃ読んだんですよ、結構ちゃんと勉強したんで。
夏井先生 偉い偉い。まだいっぱい書いてますから読んで下さい(笑)。

添削後
切れかけの グローブ眺 秋夕焼


◆3位 凡人65点 浅野ゆう子
選局はルーティーン 今日は土瓶蒸し

【本人談】
(コロナ禍での)ステイホームを守って毎日同じことをして過ごす日々。夕方になるとテレビのチャンネルをつけ、同じチャンネルでニュースを観る。でも、今日は良いことがあったので、ちょっとご褒美で松茸を使った料理「土瓶蒸し」を作って夫の帰りをお迎えしましょう、という特別感を詠んだ。

東国原永世名人 「土瓶蒸し」ってのが季語「松茸」の傍題ですよね。
本人 はい。
東国原永世名人 よくここを持ってきたなっていうのが凄い。うわっ、土瓶蒸し。で、僕ちょっと気になるのが、「選局はルーティーン」。ここがちょっと気になりますね。ちょっと工夫されたらもうちょっと伝わったかなっていう気がしますね。
浜田 なるほど。

夏井先生 
もう永世名人がここにきて(添削を)やってほしいくらい。おっしゃる通り。
ただこの句はとても面白いところに目を付けた。「選局」でどこを見ようかと。
「は」の使い方も大事。いつもではない特別感は「は」の助詞の選び方で表現できる。

最後「土瓶蒸し」で香りも漂ってくる。なんか良い日だなという感じもすると。
勿体ないところは「ルーティーン」だけ。いつも観るのは「ニュース」?
本人 はい。
夏井先生 そしたら「選局はニュース」で十分。いつもニュースを観ている空気感の気分は味わえる。
「今日」が少し損をしていた。
漠然と言わずに「今宵(こよい)」とすれば時間がハッキリし、ニュースが何時台のものかも見えてくる。
そうすると調べも綺麗になる。

本人 ありがとうございます。食らいついていきたいと思います。
浜田 分かりました。

添削後
選局は 今は土瓶蒸し


◆最下位 才能ナシ10点 水川かたまり(空気階段)
109 夕日にうつされ 0になり

ジュニア名人 え?え? 
浜田 ハッハッハ。 
河合 ちょっと怖いな。 

【本人談】
(東京都)渋谷に(吉本の)劇場があり、渋谷のごみごみとした景色が綺麗な夕日に照らされて(SHIBUYA)109が「ゼロ」になっちゃっているという。

ジュニア名人 えっ?(笑)
浜田 ジュニアさん、すみません。
ジュニア名人 え?夕日にうつされ、0になっちゃってるってどういうこと?
本人 夕日のオレンジに染められて、え~と全てが0に…無に…。
ジュニア名人 これ始まって以来、あの空気俳句です(笑)。

夏井先生 
久しぶりにまた難物がきたという感じ(笑)。
「109」はともかく、「夕日にうつされ」の辺りで意味がぼんやりと分からなくなり、「0になり」で完全に意味が分からなくなると。
あんたの俳句こそゼロでしょ!っていう感じ(笑)。
ひとまず「」と書きなさい。「夕焼」は夏の季語だが「夕日」だけでは季語にはならない
「秋夕日(あきゆうひ)」とでもしてみますか?
本人 「秋夕日」でお願いします。
夏井先生 はい。「に」も散文的だが置いておく。
「0になる」はイメージとしては渋谷のごみごみとしたのが渾然一体みたいな感じ?
本人 そうですね。
夏井先生 「とける」みたいな感じ? 
本人 とけてっていう…。
夏井先生 書きなさいよ!ホントに。
「0になり」と言っている場合ではない。「熔ける」だと金属がとけるニュアンスになる。
熔けゆく」の複合動詞でゆっくりと熔けていく感じになる。
ここで押さえが必要。「渋谷」。はい、チョンチョンチョン。
ここまで言えばあなたの言いたいことには寄ってくる。ひとまず寄った。
でも、もういいよ! もういい!(笑) 

浜田 こうやって直したところでっていう話ですから。

添削後
夕日に  109


★特待生昇格試験★



◆『初MCの エゴサ車窓は 秋夕焼 河合郁人(A.B.C-Z)

【本人談】
「ゴゴスマ」(CBC系)という番組で石井アナウンサーに代わって1週間MCをした。その時に、帰りの新幹線でエゴサーチ(→インターネット上での自分の評価を確認すること)をして、どんな評価だったのか見ていたら、ファンの皆さんがかなり優しい言葉で応援してくれたのを見て、嬉しい気持ちで帰った気持ちを。

ジュニア名人 いや、でもいいですね。たまたまですけど、この番組3人(東国原・ジュニア・河合)とも出てるんですよ。コメンテーターとして。これいいですね。
浜田 なるほど。

★評価ポイント
「エゴサ」の是非

■査定結果
5級で現状維持

理由:詰め込みすぎ!

本人 うお~。お~。怖っ!
浜田 危ない、危ない。
夏井先生 
実体験を書こうとしている姿勢は本当に良い。
この句の場合、「初MC」をしたという情報と「エゴサーチ」をしたという情報を2つ一緒に入れようとするのが少し欲張り過ぎている。
主役になるべき「秋夕焼」に比重が乗っていかない。そこに問題がある。
「初MC」を残す場合「終えて」と書いて後半へ繋げる。
本人 あ、そっか。そのままでいいんだ。
夏井先生 これで「自分が頑張って挑戦した。しみじみと美しい秋の夕焼けだ」という句が一句確保できる。
「エゴサ」を活かすならまず「エゴサーチ」とキチンと書く
この後に3音分何かが書ける。例えば、ファンが優しい言葉を書いてくれたという本人の意図なら「やさし」。
逆に、苦々しいことを書かれていたら「苦し」。
この3音を色々やる練習をしましょう。上を目指そうということでした。

浜田 現状維持で良かった。
本人 危なかったですね。ちょっと勉強しておきます。しっかり、はい。
浜田 次頑張ってください。
本人 頑張ります。

添削後
初MC 車窓は 秋夕焼』
『エゴサ 車窓は 秋夕焼』
『エゴサ 車窓は 秋夕焼





◆『公園の 漫才師黙 秋夕焼 千原ジュニア

【本人談】
僕らが若手で30年位前の話。公園で(芸人の)ネタ合わせをした。ネタがうまいこといっているうちは良いが、「ええ感じではない」「何かが違う」という時は1~2時間平気で黙り込んだ。その時にもう「こんな夕焼けか…」とか。そこから色んな仕事を頂けるようになり、大阪何か歩いているとあっちこっちの公園で若手が漫才の練習をしているのを見る。全く漫才師の2人が喋っていないっていうコンビを数々見てきたのをこの写真で思い出した。

★評価ポイント
中七「漫才師黙」の是非

■査定結果
名人7段で現状維持

理由:語順が違う!

本人 うわ~そっか。
夏井先生 
描こうとしている視点はとても良い。話してなんぼの漫才師が黙りこくっているという。
公園」の場所があるため、なぜ黙りこくっているのかが想像できる
本人の言った通り、ネタ合わせをして上手くいかないという小さなストーリーが入っている。そこらへんはさすが。
問題なのは、まさに小さな語順だけ。
「公園」と「秋夕焼」。これが漫才師の外側にある光景。中七で分断するため、季語の効き具合が緩くなってしまう。
ここは「漫才師」から。「の」を一音入れて「」に続け、「公園の秋夕焼」。
黙りこくった漫才師2人がいると。映像がずーっと引いてきて公園だというのが分かり、漫才師がシルエットとなり、公園もシルエットとなって秋の夕焼けが主役として印象に残る
主役にするのは語順を凄く考えなければならない。

本人 いや~もう。黙ですね(笑)。
浜田 そうですね、分かりました。

添削後
漫才師の黙 公園の 秋夕焼


★永世名人 東国原のお手本★



◆『ラフレシアも 秋夕焼も 人を食うか 東国原英夫

浜田 すげぇな。

【本人談】
「秋夕焼」は怖いイメージがある。風景・人・物を吸い込んでいく、飲み込んでいくような恐怖感をずっと前から感じていて、「ラフレシア」(→マレーシア・インドネシア生育の世界最大の花)は人食い花とも言われていた。ラフレシアも秋夕焼も我々人を食うのか、吸い込むのか、という情念を描いた。

ジュニア名人 分かんないっす(笑)。ごめん、なんやろ。なんか我々と同じことやってるんすか?
河合 凄い俳句です。
ジュニア名人 凄い。
浜田 ああ、そう。

■査定結果
永世名人31句目に掲載決定

理由:さすがの取り合わせ!

本人 よ~し。やった。
 わあ~、凄い。
浅野 凄い。
夏井先生 
よく兼題写真から「ラフレシア」を思いつくのにまず驚く。
ラフレシアの花の写真を初めて見た時、「これは何だ?」と物凄く印象付けられた。あの花自身が人を飲み込みそうな感じは確かにする
問題は「秋夕焼」が主役に立っているかという吟味はしなければならないが、秋夕焼とラフレシアの色合い、大きさ、美しいが不気味、不気味だが美しいという似た点が何となく伝わってくる
着地は難しいが、ここはストレートにやったのが逆に良かった。
ここはストレートでないと、なぜこの2つが取り合わされているか理解できない人の方が多くなる。
調べの点の問題もある。六六六で押し切るリズム。ゆっくりとした静かに恐ろしいリズムが、読み手にゆっくり押し寄せてくるようなそんな印象を作りたかったに違いない。
この人のたくらみはどこまでいくのかと、ビックリしている。
下手に直せません。

浜田 直しなしでございます。おめでとうございます。東さん、調子いいっすね。
本人 僕もあの(シュレッダー演出の)「エレクトリカルパレード」。あれ聞きたいんですけどね(笑)。一回聞いてみたいんですけど。
浜田 あれ、ボタン押されたいでしょ?
本人 押されたい!(笑) 一回くらいね、うん。

添削なし


★次回9/30は秋の3時間スペシャル。金秋戦は決勝で兼題はスマートフォンの画面から「バッテリー切れ間近」です。


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コメント

追記で失礼します

堀さんの俳句についてですが、

上五を「卒業」にしなかったことも俳句を勉強された後が見えます。

今では女性アイドルにはつきものの「卒業」ですが、

それだと俳句においては季重なりになり、アイドルに興味がない人にとっては

星月夜が虚の季語となり、春の句となります。

過去には元48系列の松井珠理奈さんが

雛祭り五度の夢見し生誕祭

と業界用語と季語を知らずに混ぜてしまったのを思い出しました。


ただアイドルとわかる言葉を入れれば、「卒業」を使っても意味は伝わります。


去年は日本でも9月に新学期をずらして、外国と同じ形式にしようという政治家もいましたし、

特待生だとパックンさんがどのように「卒業」を扱うのかを見てみたいなと思いました。


脱線コメント失礼しました。

夜勤の上、上半期の終りも押し迫り、仕事が忙しいので、字面だけからしかコメントを書けません。
「17音だけが作品として残る」という夏井先生の言葉を信じてコメントします。

1位の句。
字面の解釈から入っていくと、解釈に困る句です。

まずは句またがりで「独立の夜」と来て、そこに詠嘆の「や」が来ます。

俳句で「や」が出てきたら、感嘆的な「how」、あるいは「どんだけー!」を入れて解釈すると楽ですね。「なんとまあ、独立の夜であることよ」「独立の夜ってどんだけー」、何から独立を示したのかは知りません。Viva La Revolutionでもあったんでしょうか、Dragon Ash。

次に、「ゴッホの星月夜」がきますが、ここからがなお解釈の困る点。
「星月夜」が季語なのですが、新月、あるいはその近辺、月明の光とその干渉があまりない夜空で、秋の澄んだ夜、くらいでしょうか。

そこに「ゴッホの」がかかっていきます。これをゴッホ晩年(死ぬ一年前)の作品名と取るか、あえて「ゴッホが実際に見た星月夜」と取るか。まあ、描かれるのは「ゴッホの絵としての星月夜」です。

あの絵は、ぐるぐるとした描写とか、木の描写などが印象に残り「あたしは、事務所とかしがらみとか(読み手には何か良くわからんけど)独立し、夜をむかえたんだ!そんな状況でゴッホの星月夜という絵を見た」と、句だけ読むとそう捉えられました。

この先にあるのは何なのか。自解をみたいです。

(映像を見て)
俳句の解釈は理解しました。絵画×季語なので季語の力が弱まるのを、「夜」が補填してると。
ただ、自分としては「祝福」という点は理解できません(ゴッホの晩年の作品であること、絵の中の木=糸杉が死との架け橋とされること、その辺りから来るのですが)。
(さらに追記)
ゴッホの星月夜の解釈としては夏井先生より堀さんの解釈(自解)の方が正しいと思います。そして、読み直すと、実はかなり高等なことをやってますね。
1 句跨がり
2 季語ではないものを「や」と詠嘆
3 季語が絵画の題名として使われていて、力が弱まるが、「夜や」で補填している。
4 3を受け、ちゃんと星月夜が季語として立っている。
自解もちゃんとしてるし、何回か出演していけば、特待生も見えて来そうな方ですね。

2位の句
上五中七の12音+下五の季語、基本型の句。野球かボクシングか、グローブの紐が切れたのを眺めていた、練習をいっぱいした、秋の夕暮れ、でしょうか。中七(八)が「し」と過去形となってるので、過去の記憶の句となっています。
若手の頃に一杯練習した、そこに「秋夕焼」が入ると、少し寂しさや後悔の念も入ってきそう。若い頃に俺はちゃんとやったのか?と。
(映像を見て)
動詞の活用で「眺めし」が「眺む」とされ、現在の句とされましたが、「眺め」ならそれはそれで面白くなりますね。眺めている内に夕焼け時になった、となるので。

3位の句
「選局はルーティーン」、なので、テレビかラジオの帯番組、いや、毎日やってるとすればニュースを選局してる。そんな毎日のなかで土瓶蒸し(歳時記を調べたら松茸の子季語として出てきた)という特別なものを食べようとしている。日常と非日常の対比であり組み合わせは面白いけど字余り。そして、ルーティーンが、毎日同じ番組を見聞きすることなのか、選局すること自体がルーティーンとなってるのか、少し読みにブレがでる。

4位
現在、夏井先生の「おウチde俳句くらぶ」で、夕暮れ時の海の写真からできた句が掲載されてます。で、そこで初っ端に箸にも棒にもかからない「ハシ坊句」として取り上げられたのが「夕日は季語じゃない」と言う句たち。これだけでもアウト。
あと、私は夕日に打たれとか、夕日に照らされとかいう表現はしってますが、語彙力が乏しいので「夕日にうつされ」という言い回しが理解できませんでした。後で番組を見たいです。
(映像を見て)
夕日のせいで人の姿が見えにくくなったことを言おうとして、失敗したのですね。番組の出演のオファーから作句の〆切までどれだけ期間があるのか知りませんが、句を作って推敲する作業があれば、こうはならないはず。
ともあれ、こういう句?みたいなものが出てきてなんぼの番組ですので、まあ良いような。みんな優秀な句ばかりなら、NHK俳句にバラエティ色を加えた番組になっちまうので。(NHK俳句も嫌いではないし、むしろ、最近はプレバトに影響を受けてるような気もしますが)

河合さん
問題点は3つ。
775の字余り。
MC、エゴサが、分かりにくいかも。MCは司会、エゴサはエゴサーチと書くべきかも知れません。
前半の「初MCのエゴサ」と後半「車窓は秋夕焼」の調子のバランスが良くない。それが趣きと捉えられなくもないけど。

千原ジュニア名人
漢字だらけ、声に出して読むと調べが良くなくて、「漫才師」と「黙」の間に「の」くらい入れたくなる。
句を季語を立てて読むと「公園で稽古をしてる漫才師が黙ってしまうほどの秋夕焼の美しさ」という意味となるけど、たぶん、稽古がうまくいってないかで黙ってしまっていると詠みたかったのだろう。そうなると、「漫才師の黙公園は秋夕焼」とした方が正解かなあと。
(映像を見て)
よもや、自分ならこうするなぁ、という形が夏井先生の添削と一致する日が来るとは。

永世名人。
一種の見立ての句でしょうか。秋の夕日がラフレシアに見えた、ラフレシアといえば人食い花とも言われる(臭いとでかさのせい)、秋の夕日も見ていると吸い込まれそうだし、飲み込まれそう、何より大禍時の時間帯でもあるし。禍々しくも凄い句。
最近定型でキメてきた永世名人ですが、久々の破調というか自由律でした。

一点損してるのは、投句からオンエアまでの時間。私もなのですが、先日の志らく名人の「首吊りの家」の恐ろしい句がまだ頭に残っている人がいたとしたら、そちらと比較されそうだし、「対抗したのか!?」と思われそうな点でしょうか。

次回は金秋戦。久々に御大も出てきますね。ここのところ出演者のレベルも高くなってます。たった一文字の助詞の選択ミスや、活用のミスが命取りになったりしますので、注目したいところですね。

No title

東さん、志らくさんの句を見てすごい!自分もやりたい! って思ったんでしょうね、お見事でした
ただ正直言うと破調は志らくさんでお腹いっぱいな感はありますね

今回は

発想はみなさん素晴らしかったと思いました。

2位武尊さん

実体験に基づいた素晴らしい俳句でした。野球のグローブと思う人もいるかもしれませんが、それは読者の解釈に委ねていいかもしれません。

添削された「し」ですが、個人的にはありではと思いました。ご本人の解説をきいてる限りだと過去の経験を思い出されたようですので、過去を振り返るものとしてもいいかなと思います。おそらく「し」が過去を表すこともご存知ではと思いました。


3位、浅野ゆう子さん

「ルーティーン」ですが、「ルーティン」と4音にすることができます。

ご本人の解説にはなかったから、個人的な推測ですが、

冒頭に「美しく正しい日本語」と仰っていたのであえての意図は感じます。

個人的にはこの字余りがかわりばえのしない日常の気だるさを感じました。

解説をきいてもったいないと感じたのは、「ステイホーム」という今の時勢を表す言葉を使っていたので、それを句にいれたらよかったのにと思いました。

ステイホームのニュース今宵は土瓶蒸し

くらいだとご本人の解説どおりになるかなと思いました


最下位 水川さん
最初に読まれたときは、「109」の看板が夕日に反射されて「0」の数字だけが目に映ると解釈しました。

深読みした自分が愚かでしたがww

カッコつけて滑ったパターンだったんですね。文系にありがちなことなのかもしれません。


1位、堀さん

お見事でした。

この句の決め手は中七「や」だと思いました。夜を強調して、絵画と現実双方の「星月夜」を思わされます。

過去には千賀名人が一番最初の金秋戦で

星月夜廃墟の煙突銀に照り

と同じゴッホの星月夜を扱ってましたが、それよりも数段上だと思いましたし、東国原名人の「夏のタイトル戦ならベスト10に入っていた」という言葉も納得です。
※書きながら気づいたのですが、先週の予選の千賀名人の句も同じ感じで絵画や物語の中の光景を描きたい願望があるのかなと思いました。

またまた余談ですが、解説をきいて水彩画の作品があのようになったのも納得がいきました。個人的には涙で歪んだ光景と解釈できるので結構好きでしたが、、、


特待生昇格試験

河合郁人さん、厳しい状況が続きますね。

個人的に「初MC」というのが漠然としてるなと思いました。

テレビ番組なのか?
イベントなのか?
それともラッパーの句なのか?

いろいろな解釈ができるから「エゴサ」と取り合わせたときに情報量が多すぎと判断されたのではと思います。

「ゴゴスマ」と番組名を出したのですから、思いきってそれを上五に置けば、映像がしっかり確保され両方とも活かせたのではと思います。

ひとつ感じたのは、夏井先生は略語をあまり好まれないようです。

過去の岩永徹也さんの

色のなき風やボカロのラブソング

でもきちんと「ボーカロイド」と添削されました。(添削なしを許容されたようですが)

略語を日常的に使う世代の人たちとの温度差をどうするのか?これから俳句を始める若い方への課題となりそうです。


千原ジュニア名人

かつてのご自身の体験と、次世代の方を第3者の視点で見るという2つの観点からの面白い題材でした。

原句の語順だと第3者の視点での句になり、

添削後だと作者が漫才師であるという解釈になるかなと思います。

ご本人の解説をきくとどちらも間違ってないとは思います。

むしろ中七の「漫才師黙」の表記が重すぎかなと思います。

俳句は本来、縦一行に書くものです。実際に中七と下五を組み合わせたときに

漫才師黙秋夕焼

と漢字ばかりが続き、季語が見えてこないのが問題だと思います。

中八になっても「漫才師の」とひらがなを入れて表記を柔らかくしてほしかったなと思います。


絶好調の東国原名人。

立川志らく名人や渡辺えりさんのような印象の句でした。

番組が終わった後、気になって「自殺 夕方」と検索したら、厚生労働相のホームページにたどり着きました。

日付が変わる午前0時と早朝電車5時、6時の時間が突出して多かったですが、

時間帯でみると夕方の時間帯が自殺率が多かったのに驚きました。

なので「夕焼けが恐ろしいものに見える」という東国原名人の感性は間違ってないと思います。

参考までに

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/suicide04/4.html

ただ「秋夕焼」だけだと「人を食う」という表現と取り合わせるには弱いなと思いました。

試しに自分で詠んでみましたが

沈みゆく秋の夕日は人を食う
人食らう血の色をして秋夕焼

季語がどうしても負けてしまいます。

「ラフレシア」が入ることによって、「人を食うのか」という表現にバランスが取れ、「秋夕焼」を補足する捨て石の働きが入ってるなと思いました。

梅沢名人、かなり危機感を持った方がいいですねw


最後に拙句を詠ませていただきます。

イスラエルの一日始む秋夕焼

イスラエルは一日の始まりというのは日本と真逆で日が沈むところからだそうです。おもしろかったのでそのまま句にしてみました。

(特待生の感想)

河合さん、停滞が続いております…昨年金秋戦での季重なりによる大失敗(マイバッグの梨)といい、必要なものを17音にきっちり収める力がないと厳しそうです。

千原さん、ネタは非常に良いのですがね…
秋夕焼と公園がバラバラになってしまっているのもそうですが、漢字がズラッと並んでいて窮屈な印象もありましたので
「漫才師だんまり秋夕焼の公園」
という添削はどうでしょうか?

東国原さんは今回も圧倒的な表現力でした。ラフレシアというおおよそ俳句に使われない植物を表現に用いる胆力、6音3連続という恐怖感を煽る調べ、そして秋夕焼を見事に引き立てる「人を食うか」という着地……『お手本』とは言いますがそうそう真似なんて出来ない完成度です(焦)


(通常査定者の感想)

堀さん、志らくはんや光ちゃんを彷彿とさせる作品名をドンと押し込んだ初挑戦とは思えない豪快な一句でした。「星月夜」はゴッホの作品名ということを強調して無季の句として打ち出すのもありだったのでは……?と思ったり。

武さん、実体験を組んだり真面目に勉強した努力が見て取れますがやはり「し」の違和感が一目でわかるほど異質でもったいない。那須川さんに続く格闘家出身の名物キャラになれるでしょうか

浅野さんは惜しいところをこぼしましたね。「いつもと違う」ということを言いたいがために「ルーティーン」という言葉を強引に持っていった印象です。自分はラジオのことだと思ってしまいました。

水川さん、「夕日にうつされ」という説明感満載の中七ならまだ35点くらいかと思ったら「0になり」という謎解きでも仕掛けるかのような下五で完全に意味が分からなくなりました……
そして肝心の言いたいところだった、「夕日に風景が沈んでいく・溶けていく」という描写も類想が多そう(というか東国原さんのもある意味近い)なのが残念なところ。

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