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【金秋戦予選AB】20210909 プレバト!!俳句紹介【スポーツ・食欲の秋】

2021年9月9日放送 プレバト!! 俳句金秋戦予選A・Bブロック結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
秋の季節に行われる第5回金秋戦予選A・Bブロックで名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。

→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細(Aブロック) →俳句詳細(Bブロック) →編集後記

予選Cブロック記事
決勝戦記事
※過去のタイトル戦結果などはこちらまたはブログカテゴリからどうぞ。

挑戦者:
Aブロック→<名人5段>中田喜子[48],<名人初段>森口瑤子[18],<1級>岩永徹也[24],<2級>パックン[11],<5級>春風亭昇吉[7]
Bブロック→<名人10段>藤本敏史(FUJIWARA)[69],<名人4段>立川志らく[45],<名人初段>三遊亭円楽[22],<3級>筒井真理子[12],<5級>向井慧(パンサー)[16] ※[数字]は挑戦回数

見届け人:東国原永世名人、村上名人、横尾名人



●兼題:スポーツの秋(A)・食欲の秋(B)
スポーツの秋の兼題
食欲の秋の兼題


※各ブロック1位が無条件で決勝進出、2位は補欠
※順位クリックでリンク内移動します。
◆予選Aブロック
1位中田喜子名人5段しぶき上げ復活の秋ひとりじめしぶきあげふっかつのあきひとりじめ
2位森口瑤子名人初段座り込むアンカーの目に秋夕焼すわりこむあんかーのめにあきゆやけ
3位岩永徹也1級軸足のギプスの寄せ書き山粧ふじくあしのぎぷすのよせがきやまよそおう
4位春風亭昇吉5級負けても勝っても母秋刀魚焼くまけてもかってもははさんまやく
5位パックン2級天高しアーチ描くホットドッグてんたかしあーちえがくほっとどっぐ
◆予選Bブロック
1位藤本敏史
(FUJIWARA)
名人10段魚群探知機朝寒のがなり声ぎょぐんたんちきあささむのがなりごえ
2位立川志らく名人4段《首つりの家》には林檎は無いのかくびつりのいえにはりんごはないのか
3位三遊亭円楽名人初段病院の脂の抜けた蒸し秋刀魚びょういんのあぶらのぬけたむしさんま
4位筒井真理子3級中心に記憶の螺旋黒葡萄ちゅうしんにきおくのらせんくろぶどう
5位向井慧
(パンサー)
5級秋刀魚の目勧める母の目に力さんまのめすすめるははのめにちから
順位発表順 Aブロック:2位→4位→5位→3位→1位、Bブロック:5位→4位→3位→2位→1位

◆トーク集(各クリックで展開)








【予選Aブロック】

1位◆『しぶき上げ 復活の秋 ひとりじめ 中田喜子

【本人談】
水泳選手が体を痛めてしまい、大会に久しく出ていなかった。やっと克服して今年は大会に出られて、表彰台に乗れたという俳句。

横尾名人 「しぶき上げ」でもうどのスポーツかが何となく分かりますし、「復活」でケガしてたのも分かりますし、「ひとりじめ」でこの世界自分に注目させるってのが分かりやすいので、良い句だなと思いました。
浜田 なるほど。

夏井先生 
これは良い句だった。最初に水の映像が出てきて「上げ」で動きも出てくる
中七は結構難しいが「復活」という抽象的な言葉は中々俳句には使いこなすのが難しい
「復活の秋」で水泳選手かとやはり思う。何らかの困難、壁を乗り越えて再びという記録を伸ばしたのかと。ここまで一気に読める。
こうなると、最後の着地が難しくなってくる。よくそれを「ひとりじめ」と思い切って言い放った。
自分のやろうとしたことをある程度冷静に考え、挑戦しているが全体のバランスを考えているといえる。
ただ、これは17音で表現するのは本当に難しい内容を敢えてやった一種の力技。これが毎回成功すると思わない方がいい。
それくらい思い切った技が一本決まった感じ。直しはいらない。

浜田 東さん、どうされました?
東国原永世名人 だから成功したのは…ねえ、そんな何回も成功しないんですよ。決勝はコケます!(笑)
村上名人 嫌なこと言うなぁ。
本人 (眼をしょぼしょぼさせる)
藤本名人 決勝は成功しない。
東国原永世名人 何回も成功しない。

添削なし


2位◆『座り込む アンカーの目に 秋夕焼 森口瑤子

【本人談】
子どもの運動会でリレーのアンカーが負けてしまった。凄く強い子だったが、頑張りむなしく負けてしまい、終わったら座り込んでずっと立たなかった。夕闇が迫り、ずっと夕焼けを見ながら座り込んでて、「あ~何を考えているんだろう?」と思った時の句。

東国原永世名人 いやもう森口さんの句って、肩に力が入ってないんですよ。本当に自然体で詠んでいいな~と思いますね。でも「座り込む」というのが、今話を聞いて分かったんだけど、アンカーがバトンを受け取るためにしゃがんでいるなっていう状態にも読めるのかなと。
浜田 なるほど。

夏井先生 
今、東さんの読みの話を聞いて「そっちもあったか」と思ったが、この話はあとで続けたい。
森口さんの句の良い所は、「アンカー」だけで種目が分かる。「座り込む」という動作も自然に書けている。
そして「秋夕焼」という季語が最後にずっと広がってくる。ここら辺はホントに無理ない形で言葉が紡げている。
私も東さんに近い不安を抱えたのは「座り込む」という言い方だと、負けて座り込んだのか、全力を尽くしても立ち上がれないほどに勝っているのか、そこが微妙に分かりにくいと思った。
東さんの「バトンを受け取って走る前」の読みもあるとすると、なおさら負けていることを示唆する言葉を入れた方が良い
不要な言葉は「の目に」。座り込むアンカーと秋の夕焼けとあれば、目に映るに違いないと想像できる。
例えば、秋夕焼の表情を入れて補強することもできる。「秋夕焼くずる」で秋の夕焼けが崩れていく。それでも負けた感じが出る。
「座り込む」の段階で負けていることを表現することも可能。例えば、「くずおれる」で崩れるように倒れること。これだと負の印象が強くなる。
季語の色を強調しても良いかもしれない。「赫(あか)し」と強い赤。「アンカー」「秋」「赫し」と「ア」の韻を踏むこともできる。
ここまでやってたら悠々1位だった。

本人 いや、アンカーの状況が中々自分の中でも曖昧かなと思っていたので、もうホントに分かりました。ありがとうございました。

添削後
座り込むアンカー 秋夕焼
アンカー 秋夕焼赫(あか)



3位◆『軸足の ギプスの寄せ書き 山粧ふ 岩永徹也

【本人談】
実体験に基づいた句で自身はサッカー部だった。軸足を怪我した友達が白いギプスを巻かれているが、そこにメンバーが色んな色のペンで寄せ書きをした思い出がある。「山粧ふ」は秋の山が紅葉でカラフルになる様子で、この状況を重ね合わせてみた。

東国原永世名人 まあ、MENSA(3位:岩永)、東大(4位:昇吉)、ハーバード(最下位:パックン)。勉強はできても俳句の詩的な心。人としての心をもうちょっと磨いて!(笑)
本人 心ですか~。
藤本名人 言うなぁ~(笑)。

夏井先生 
「軸足」ときっちり書いた判断はとても良い。例えば「右足」でも分かるが、「軸足」だとサッカーかな?と思う。
「ギプス」が出てきてケガをしたと。白の印象も効いてくる。
勿体ないのは季語の選択
本人 そうですか?
夏井先生 そう、ここが勿体ない。
「軸足」「ギプス」「寄せ書き」と映像が徐々に細かくなっていく。ここでいきなり山の光景へポーンと飛ぶのが物凄く損
季語の選び方の問題だけ。「ギプス」と補強すると「に書いている」ことが間違いなく伝わり、今書いている感じもする。
同じように秋の華やかな印象の季語にする。まさに私たちが戦っているのは「金秋」。金秋戦でしょ?
「ギプスに金秋の寄せ書き」。最後に寄せ書きのアップで終わるべきだと思う。
鮮やかさ、「頑張ろうね次」という気持ちも出てくる。良い所まで詰めていた。

本人 「金秋」は出なかったですね。その「寄せ書き」に最後着地するのが凄くカッコいいので勉強になった。
浜田 なるほど。

添削後
軸足のギプス の寄せ書き


4位◆『負けても勝っても 母秋刀魚焼く 春風亭昇吉

【本人談】
画としてはおっかさん(母)が台所で秋刀魚を焼く後ろ姿。息子が思春期で部活の試合の後帰ってくるが、好物の秋刀魚を焼いている。負けても勝っても焼いているよ、ということ。部活に限らず就職活動でも何でも良い句。

本人 どうでしょう?(笑)
東国原永世名人 昇吉さんのデビュー句って言っていいのかな?「万緑に提げて遺品の紙袋」。あれで終わったね!(笑)。
向井 厳しい。
志らく名人 「終わったね」。
浜田 (机をたたきながら)よう覚えてるね。
東国原永世名人 あれ見た時、絶対敵わないと思った。
円楽名人 これ見た時に夫婦喧嘩かと思った。
浜田 あ~なるほど。志らくはんはどう思われます?
志らく名人 これお母さんがママさんバレーか何かをやって、負けようが勝とうが秋刀魚を焼いてるって読めてしまうし…。
浜田 あ~そうですか。

夏井先生 
俳句で色んな読みが出てくるのがダメなわけではないが、この句はあまりにも絞りにくい。
例えば、今まで出てない例でいうと、お母さん自身が何か人生をかけた勝負の時期に差し掛かっていて、勝っても負けても自分は淡々と日々の生活の秋刀魚を焼いているぞと。そういう読みもできてしまう。
この句は読者に任せすぎ。もう少し自分が何を表現したいかを書く必要がある。
「負けても~」の言葉で誤魔化さない。「試合如何(いか)に」と。試合の結果がどうだろうか?と心配している。
字余りでも「勝敗」「勝負」などと頭を変えれば細かいことは色々やれる。
「母」でも良いが、「子の好物の」としてみる。試合は子どもが行って、母は子どもの好物を焼こうとしている。
作者の語った光景に言葉がグッと寄る。俳句は言葉を寄せて自分の思いを手渡すぐらいの覚悟でやってほしい。

本人 「子の好物の」っていいですね。ありがとうございます! 
藤本名人 軽いな。
浜田 軽いな!

添削後
  秋刀魚焼く』※「如何(いか)に」。
『勝  秋刀魚焼く』
『勝負  秋刀魚焼く



5位◆『天高し アーチ描く ホットドッグ パックン

【本人談】
中七で球場のホームランと思わせているが、空を飛んでいるのはホットドッグ。アメリカの球場で観客席にいる人が「すみません、ホットドッグ!」と言うと売り子が飛ばして投げてくる。球場の思い出の一つとしてホームランだけでなくホットドッグの味・香り・音を全部たったの17音で表されている素晴らしい句。

浜田 いやいや、最下位や(笑)。
村上名人 今おっしゃってた事を僕は知らなかったんですよ。球場でホットドッグを飛ばして渡すのを知らない人にとってそれを思い描けるかと言われたら難しい。だとしたら「球場」って言葉は入れた方がいいんじゃないですか。せめて。色々ダメです(笑)。
本人 漠然としたなあ。

夏井先生 
色々たくらみ過ぎて勝負を落としたタイプの句。特に中七。
「天高し」で「アーチ」とくればホームランを思わせておいてと企んだ。なんだ、ホットドッグかと落としたいと。
これだけでは、売り子の姿、観客の姿を思い描くのは難しく、読み手に負担がかかり過ぎる
原句のままで押し通したいなら、前書きで「ヤンキースタジアム」みたいな特殊な場所だと示し、日本ではない場所だと分かるようにする奥の手はある。
しかし、基本的に俳句は17音での勝負。何か野球場だと分かるヒントが欲しい。
投げているのは「売り子」。これを書けば「アーチ描く」必要はない。
「投げる」でも良いが「の放(ほう)る」とし、「ホットドッグ」と「ホ」の韻を踏むことも可能。
読み手に対し、少し優しく考えてあげる。これは丁寧な配慮だと思う。
そして、パックンに1つだけ注文をしたい。5音の季語+季語と関係ない12音のフレーズという形はもうできるようになっている。
色んな型を練習して欲しい。そうしないと1級は中々難しい。
俳句は色んな公式があるため、その公式を1つずつマスターするつもりで練習してみてほしい。期待している。

本人 ありがとうございます。

添削後
天高し  ホットドッグ



【予選Bブロック】


1位◆『魚群探知機 朝寒のがなり声 藤本敏史(FUJIWARA)

【本人談】
秋の寒い朝の漁の際、魚群探知機を見ながら他の船にがなり声で指示を出す船長を詠んだ。

村上名人 はい、やっぱり「魚群探知機」という今の現代の科学・テクノロジーというものと、昔から変わらない漁師さんのがなり声が凄い良い感じで響き合っているから…。さっき(2位)のセザンヌを押さえて1位になる理由が分かるというか。
浜田 なるほどね。
村上名人 あんなハッとするものが上に上がるって中々ないですけど。
浜田 これ逆に2位になった志らくはんは?
志らく名人 うん、やっぱり。上手いな~と思いますね。あの、何にも狙わずにポーンと状況を詠むっていう、どうしてこの人からこういう句が出るのか不思議でしょうがない(笑)。
本人 そこはいいでしょ~。

夏井先生 
「食欲の秋」の写真から漁業に発想を広げると。ここら辺はさすが。
それから「魚群探知機」と7音の長い言葉を入れ込むのは中々難しいというか決断が必要になってくる。7音は中七に入れるのが大体のやり方。
この句の場合、「朝寒の魚群探知機がなり声」で五七五に入る。しかし、この句は魚群探知機の映像を先に見せ、ツンツンと光が見えてくる。
本人 うん、見えるでしょ。
夏井先生 これを先に見せておいて、「朝寒」という映像を持たない時候の季語がこの位置に入る
先に映像を見せているため、ここで時間・空間・冷たい朝であるという状況が読者の肌身に伝わる
ここで時空が出来ているため、「がなり声」が立体的に響いてくる語順になる。
ただの声ではなく「がなり声」で表情をつけ、漁師たちの潮焼けの声のような感じも伝わってくる
今回はこれは本当に良き判断だった。直しは勿論なし。

本人 いや、最近ずっと調子悪かったんで、ちょっと「復活の秋ひとりじめ」かなって感じがありますね(笑)。はい。

添削なし


2位◆『《首つりの家》には 林檎は 無いのか 立川志らく

パックン えっ!?
村上名人 はあ~。
浜田 すげえな。

【本人談】
一瞬ドキッとするかもしれないが、普通に首を吊るような因縁のある家には華やかな林檎はないだろうと読んでも良い。カッコ(《》)をつけたのは固有名詞の意図。セザンヌの作品で「首吊りの家」(1873)がある。初めて若い頃、セザンヌの展覧会に行った時、林檎の絵などが有名(「りんごとオレンジ」など)でそういうのばかりかと思っていたら、いきなり代表作に「首吊りの家」が出てきた。タイトルにインパクトがあり、「林檎が(描かれて)ないんだ」と素直に思ったので、その記憶をそのまま書いた。

東国原永世名人 いや~もう志らくさんらしいね~。やっぱ自由律詩っていうか、破調っていうか。まあ定型を外してますからね、ここで勝負しているっていうのが僕はその態度が好きですね。姿勢が。
浜田 なるほど。
東国原永世名人 でも、これね~。「林檎」「家」、あの~「絵」「林檎」。季語がちょっと薄くなったんじゃないかなと思う。絵に対する林檎なので。
浜田 なるほどね。
東国原永世名人 いい句だね。
浜田 さあ、Aブロック同じ2位の森口さん、どうですか?
森口名人 いや、カッコよすぎますよね。私の単純極まりない句と戦えるかな私?と凄く不安になってきました。
浜田 なるほど、なるほど。分かりました。

夏井先生 
まるで一行詩のような作品だと思う。
「首つりの家」がセザンヌの作品だと知っている人は作者の思い通りの読みになっていく。どちらも作品として認識できる。
ただ、こういう句の場合の大事なポイントは「首つりの家」でセザンヌを思わなかった人がどういう読みを紡ぐか
そこが評価の大きな分かれ目になる。
セザンヌ抜きの読みをすれば、首つりのあった家に対する誹謗・中傷・同情の目が当然ある。
そして、その家には幸せの象徴のような赤く灯る林檎、そういう思いはないのかという風に展開していく。
残された家族の痛ましい日々を「無いのか」と呟き、詠嘆する。「林檎」は季語としてより、比喩的な象徴として、幸せな一家や家庭の象徴としてあるという味わいになる。
最終的に、セザンヌを知っていても知らなくても同じ読みに寄ってくる。これは作品としては成功していると言わざるを得ない。
こんな難しいことをよくまとめられたと、作者が志らくさんと分かって、この鍵括弧も絶対にこだわりがあって選んだに違いないと、今とても腑に落ちた。
直しはいらない。

東国原永世名人 志らくさんがね、どう動くかなんだよね。
浜田 なるほどね。
東国原永世名人 もしかして決勝で…。
浜田 いや、(進出の)可能性ありますから。
東国原永世名人 五七五の定型に持ってきたら俺ちょっと怖い。今のままの破調だったら負ける気はしない。
浜田 はははっ。
本人 そうやって言う人を五七五に誘導させて負けさせようとしている(笑)。
東国原永世名人 (真顔になる)
浜田 ほら~。
向井 ずる賢いな~!

添削なし


3位◆『病院の 脂の抜けた 蒸し秋刀魚 三遊亭円楽

【本人談】
脂がのっている秋刀魚は焼くからこそ旨い。蒸しちゃったら脂が抜けてパサパサ。(入院中に)食欲もないのにこんなもん食う気がない。それを見たさま、日常というか自分の自然体を秋刀魚に掛けてみた。

東国原永世名人 基本的に食べ物を描くときは美味しそうに美しくっていうのが基本中の基本なんです。ですからちょっとネガティブな言葉が続いているので、ちょっと秋刀魚というものにエクスキューズ(=言い訳)が欲しかったかな~っていう感じはするね。
浜田 なるほどね~。

夏井先生 
定石としては確かに「食べ物の季語は美味しそうに」というのはある
これは頭から「病院」のため、入院中の秋刀魚を想像させて、その逆の美味しい秋刀魚を想像させるというたくらみが、この句の裏にあるのではないかと受け止めた。
そうなった時に1文字だけ。「の」とせずに、「」とここで詠嘆をする。
何という病院だ、やっぱり病院だという風に詠嘆をしておき、「脂の抜けた蒸し秋刀魚」と着地する。
病院で鳴ければあの(焼いた)秋刀魚が食えるのになあという思いがこの「や」の詠嘆のところに引っかかってくれる
たった1音だが大事な押さえに思う。

添削後
病院 脂の抜けた 蒸し秋刀魚


4位◆『中心に 記憶の螺旋 黒葡萄 筒井真理子

藤本名人 難しい。
※名人10段・フジモンを倒すためあえて抽象的な句で勝負した。

【本人談】
山梨出身で、子どもの頃は庭に葡萄の棚があった。自分の中も葡萄みたいに、(果実の)中心にある種(たね)のように記憶の螺旋(=DNAの芯)みたいなものが自分の中にもきっとあると思い、この句を詠んだ。

横尾名人 「中心に記録の螺旋」ってのが抽象的で分かりづらいというか。もうちょっと、今おっしゃってる細かいことを上手く言葉にはめていけば良かったんじゃないかなって思いますけど。

夏井先生 
こういう句を作りたいという気持ちがあり、それをまっすぐにやるのは本当に良いことだとまず伝えさせてほしい。
その上で17音の俳句で何ができるかが勝負所・悩みどころとなってくる。
一句の三分の二が抽象的な語りになっている。「黒葡萄」という季語がやはり付け足しのような感じになる。
季語の描写に少しでも具体的なものを配する配慮があれば、抽象的な思いも作品にはなる。
本人は「中心に」にこだわりがあったと思うが、これを入れることで季語の描写を入れる余地がなくなる。
これは泣く泣く諦める。今の話に良い言葉があった。「」。
「黒葡萄に種」で映像を一つ確保できる。これで8音。
種という映像を確保し、禁じ手だが空白を一マス置き、「吾(あ/われ)に」と入れる。
こうすると、葡萄には種があり、私の中には記憶の螺旋があるよという風につながってくる。
作者の発想が作品として立ってくる。
本人 そっか~。
夏井先生 でも挑戦していきましょう。

本人 はい。でもホントにそうですね。確かに抽象的ですもんね。ボワンとしてて、また頑張ります。

添削後
黒葡萄に種(たね) 吾(あ/われ)に記憶の螺旋
※「種」と「吾」の間にスペースがあっても良い。


5位◆『秋刀魚の目 勧める母の 目に力 向井慧(パンサー)

【本人談】
子どものときに秋刀魚を食べた際、魚の目は食べると頭が良くなると言われ、「食べろ」と母に促されたが、あまり好きではなかった。死んだ秋刀魚の目と母親の強い眼光を対比して詠んだ。

村上名人 いや~、なんかこう…。「秋刀魚の目」で「母の目」みたいのが上滑っている(笑)。
東国原永世名人 この向井君だったら僕、五だけで勝てます(笑)。
本人 やめてください。五文字ですか?

夏井先生 
お気持ちは分かる。多分これは実体験だと思う。
ただ、秋刀魚の目を食べる・食べない・食べろと言われるなど俳句の世界では沢山出てくる。どうしても凡人の範疇の発想の中に入る。
そのため「目」を2つ出すくらいではオリジナリティがない
「に力」が凡の凡人に落ちていくため、「勧める母の」の後に、微量のオリジナリティを入れることは可能。
例えば、母の目がシーンと静かに見つめているなら「静か」でどうか。
母は怒るでもなく、静かに息子が食べるかどうかをじぃーっと「お食べなさい」と見つめている
上品だが怖い所に微量のオリジナリティが入ってくるという。そういう話。

本人 ちょっと勉強し直します、もう一回。
浜田 分かりました。

添削後
秋刀魚の目 勧める母の 目の


★次回9/16は予選Cブロックとバナナアート。俳句の兼題は「読書の秋」です。


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コメント

今回のパックンの句ですが、先生の添削に疑問が残りました。
なぜなら先生の添削句では、パックンの意図したホームランと思わせる意図が消えてしまうからです。

私なら村上名人が仰るように「球場」といい言葉を入れて、
「天高きアーチ球場のホットドッグ」とすると思います。

敗者復活は

森口さんと志らくさんなら、私は森口さんかな。
森口さんは直しは入ってるし、志らくさんの句のインパクトはすごいのですが。
私が森口さん推しなのは、志らくさんより、より兼題に寄り添っているから。
理由はそこだけです。

Bブロックについて

兼題は食欲の秋でした。

兼題から、「何か秋の味覚をそそられるような一物仕立てが出てきたら、順位に関わらず面白い」と思ってました。特に筒井さんは、

海苔一帖等間隔に刻みて春(今年の春光戦で予選落ちした句ですが)

長き夜や黄身ゆるやかに殻を離る

といった句があるので期待しましたが、見事に「あー、違った」と思ったのでした。

5位の句 向井さん
(詠んだだけの感想)
季語は「秋刀魚」。視覚としては焼き色、焼いたときの聴覚、グリルはもちろん、七輪で焼いたときのけむさや匂いといった嗅覚、熱々で食ったときの脂の感触すなわち味覚、漁港では出荷できないようなのをただでくれてたりした記憶がある、安価であり、庶民的という感覚を覚える連想力、そんな力を持つのが、季語としての秋刀魚ではないでしょうか。
さて、句を率直に読むと、母ちゃんが秋刀魚は目まで食えと、無言で圧力をかけてくる句。ただ、上五「秋刀魚の目」と中七下五の間に助詞がないので、「何か、秋刀魚の目以外の、苦手なものを、焼かれた秋刀魚のような目で勧めてきているのでは?」とも読めました、、、プレバト才能ナシの句にはありがちな、季語を比喩に使う例としてありそうな句でもあり。
ここは、録画したものを見たいと思います。
食欲は、お母さんの目力に負けて出ません。

〈映像を見ての追記〉
やはり、目も食べろと言われていたようですね。


4位の句 筒井さん
(読んだだけの感想)
季語は「葡萄」、もしくは「黒葡萄」。見た目、つまんだときの感覚、皮ごと齧った時の微かな音、甘酸っぱさやえぐみ、香りに刺激を受ける季語ですが、「黒」がつくお陰で一気に連想力も刺戟されますね。
前書きで書いたとおり、このブロックの中なら、秋の味覚の一品を、何か描くならこの人だろうかと思いましたが、外れました。
読みとしては、黒ブドウの真ん中には、代々継がれてきた螺旋=遺伝子があるんだよ、というように読みました。小難しい一品仕立てなのか、あるいは、この句そのものが、ご自身や誰かの比喩なのか。
添削句を読む限り、恐らくは後者が正解なのでしょう。ちょっと分かりづらいかな。
「黒葡萄好む吾と子と母と祖母」くらいで、黒葡萄を好む血が受け継がれています、と言えるのではないかと思いました。ここに黒葡萄のイメージを読み手が勝手に被せてくれますから。
もっとも、小難しい話を聞いても黒葡萄の味はしなさそう。食欲はわきません。

3位の句 円楽師匠
(読んだだけの感想)
季語は「秋刀魚」。
「えー、この前、プレバトという番組に出まして、知ってますか、プレバト」と、落語の枕が聞こえそうな句でした。噺は当然、円楽×ガン×油を抜いた蒸し秋刀魚→目黒のさんまで。
原句のままでも伝わるのですが、句の後に「うん!これこれ!」と孤独のグルメの台詞を付け加えると、より分かると思います。原句だと台詞付きでも成り立ちますが、添削句だと「うん!これこれ!」はなかなか成り立ちません。
詠嘆の「や」をつけると「なんてこった、油の抜けきった蒸し秋刀魚かよ」という意味となりますね。「や」=詠嘆とか強調ということは知っていたつもりでしたが、マイナス方向の詠嘆にも使えるのだなと感じたところです。
無論、私は蒸し秋刀魚より焼きさんまを食べたいので、食欲はわきません。

2位 志らく名人
(読んだだけの感想)
今まで、この方の破調の句は嫌いでしたが、こちらのブログで見ていくと、確かに悪くないな、と思える句もいくつかあり、俳句を作るようになってから、この方の視座には大したものだとおもえるようになってきました。
目指そうったって、目指せないのですが。
一応の季語は「林檎」。けど、「首吊りの家」というセザンヌの絵画に、「描かれてない」となるので、絵画の絵の季語→力が弱くなる、しかも描かれてない→なお季語としての林檎が薄れる、という仕掛けで、無季句と読むのが正しいかと。
悩ましいのは、セザンヌが印象派の画風から、ポスト印象派と呼ばれる画風になっていった過程を知らないと、この句を楽しめない点。上の句で「≪首吊りの家≫」とあるので、これが固有名詞であり、句を読むに当たって調べるきっかけにはなりますが。
やはり、食欲の秋に対してこの句では食欲が出てこねえという点でしょうか。
〈映像を見ての感想〉
子どもがたいそう怖がっていました。
林檎が食べ物でなく幸福のシンボルとして使われているならば、なおのことこの句は無季でしょう。

1位 藤本名人
(読んだだけの感想)
魚群探知機で漁船も海も思い浮かべられ、そこに季語が絡むと良く情景も浮かぶ句です。しかし、詠み手に「この漁船はどんな魚を探知して、とったの?」と聞きたくなる句でもありました。
というのも、季語「朝寒」は、晩秋の頃、いよいよ手足の冷える朝、とのこと。放映会は9月上旬。秋の初めと終わりなら、とれる魚も違って来るはずです。まぁ、そこに突っ込みを入れなくとも、情景が良く浮かぶ句です。
尤も、ニュースなんかで秋刀魚漁とかの、ドサッと水揚げされる様を見ても、「うまそう」と思えない自分には、食欲はわきませんが。
〈映像を見ての感想〉
一緒に見ていた我が子は、ちょうど社会の授業で魚群探知機を習ったばかりだそう。季語の意味さえ分かれば小学生でも分かる句でした。この辺りは子どもにも人気のフジモン節でしたね。


兼題に即し、「旨そうかどうか」という基準を設けたら、「うーん」という句ばかりだったと感じたブロックでした。

今回は

ここ最近は波乱が多い大会が多かったですが、

順当でしたね。

Aブロック

パックンさん

描こうとした光景はやはりオリジナリティがあるし、作者がわかってる前提でなら納得させてしまうリアリティーがありました。

ただ単純に作品単体でみたら原句のままでは意味が伝わらなかったかなと思います。

今までの昇格句は明らかに外国の光景だと分かる言葉を使ってました。それが無かったのが今回の句の決定的な敗因だと思います。

あと夏井先生の添削でも作者の意図を伝えるのは厳しいのではと思いました。アメリカに在住された方ならひょっとして伝わるのかもしれませんが、

なぜなら日本とアメリカという異なる国での異なる価値観や常識というのが前提にあるからです。


夏井先生の添削句にもアメリカの情報がないため、日本の句として読むととんでもない失礼な売り子というように詠めてしまいます。

ここは前書きをつかって、アメリカの情報だとわかるようにするのがベストかなと思います。

4位の春風亭昇吉さん、

以前の兼題「オセロ」のひどい句から比べるとだいぶ良くなったのではと思います。

個人的には「勝っても」が不要で「負けたとしても」としたほうが心情がつたわるのではと思ってます。


3位、岩永徹也さん。

上五、中七は本当に見事でした。季語選びのミスで敗退しましたが、
12音のフレーズに似合う季語にこだわりすぎたのが敗因でしょうか。
今までの岩永さんの定石ではありますが、名人昇格も含めて次のステップに進むのもいいのではと思います。

季語に心情を託すということも挑戦してほしいなと思います。
「小鳥来る」「秋の蝶」
ネガティブな心情なら「鰯雲」「秋夕焼」
お見舞いの品であれば果物の季語で「~食う」でもいいですし。

次に期待です。


2位、森口瑤子名人

季語「秋夕焼」があることで、レースが終わったあとで余韻に浸っているのがわかります

多少本人の解説からの創作に近くなりますが。

擦り傷のアンカーの目に秋夕焼

としたら負けたことがわかります。


1位の中田名人、

正直リアリティーが感じられないなというのが正直な感想です。

確かに優勝すれば観客の声援などは「ひとりじめ」ですし、内心そう思ってるアスリートはいるのかもしれません。

ただ、敗者にも礼儀と敬意をはらうのがアスリートであり、

「ひとりじめ」が態度にでているのであれば、世間からの避難やスポーツ連盟からの注意がでる可能性もあります。

リアリティーを追及してほしいなと思います。


Bブロック

パンサー向井さん、オリジナリティという意味でかなり苦戦されてますが、技術的には安定してきたのではと思います。

句集などを読み、いろいろな俳句を見るというのかができればオリジナリティが生まれるのてはないかと思います。

4位、抽象的な表現を書くというのも詩として出来上がってるならありではないかとは思いますが、

下五に季語を置いたことで、添え物になってる印象があたえたのかなと思います。

上五において

黒葡萄記憶の螺旋うずまきぬ

とかならありではと思います。

3位、圓楽名人。

個人的にはすごく好きではありました。セオリーには反するかもしれませんが、美味しくない「蒸し秋刀魚」に病院生活の侘しさを託せてる意味では季語を主役にたてていると思いました。

ただ気になるのは、たとえば短期の入院や怪我などの入院であれば、入院食であったとしても過剰に脂質をカットすることはありません。

圓楽名人の場合は肺癌という決して軽くはない病気なので、そういう方々向けの食事であるということです。

もう一つ、ご本人の解説で「パサパサしてる」という言葉を使い

肺癌やパサパサしてる蒸し秋刀魚

として不味そうな描写を追及するのもありではと思いました。

2位
<>の表示で作品の名前であることはわかります。そうなると東国原名人のおっしゃったように季語の鮮度が落ちるので、いっそのこと無季の句と解説がほしかったですね。

ただ以前の「カイロの紫の薔薇」の句から学ばれたのか完成度は高くなっています。


1位
ただただ見事でした。夏井先生や村上名人が言いたいことを語ってくださっていたので、あえて僕から書くことはないかなと思います。

ちなみに藤本名人は「寒」を使う季語との相性が良いみたいですね。


次回はどうなるのでしょうか?予告で煽ってる通りになるのかどうか楽しみです。


最後に拙句を詠ませていただきます。今回は「食欲の秋」の方から

ラッパーのPV美女がかじる林檎

投稿を分けたのはBブロックのせい

Bブロックは、食欲の秋が題材なのに、母ちゃんの視線の圧力、二重螺旋、病院食、オドロオドロな絵画の題、魚群探知機と。。。食欲のわかない句ばかり。

よほど、小学生の我が子がふざけて詠んだ「秋暑しガリガリ君の梨の味」の方が食欲が増すってもんで。。。

Aブロックについて

白プロキオン様におかれましては、毎回のことですが、文字起こしお疲れ様です。

おかげさまで、「読む練習」と使わせていただいております。夏井先生の動画にも出演され、共著もある、岸本尚毅先生も、初めは「読む」ことを重視されていたとか。このブログをそのように使わせていただいております。

さて、今回は金秋戦予選。一度に10句への感想を打つのは、時間的に明日の勤務に差し支えますので、何度かに分けて投稿します。



Aブロック 兼題はスポーツの秋。

5位 パックンさん
(読んだだけの感想)
季語は「天高し」。兼題を知っていれば、野球のワールドシリーズ等、スポーツの一大イベントが突き抜ける青い空の下で行われているとイメージできます。しかし、中七からが、まるで童謡「とんでったバナナ」みたいですね。兼題を知らずに読むと、その印象がより強くなってしまう、ある意味シュールな句でした。ホットドッグはどこにいったかな。
〈映像を見ての感想〉
状況が分かりにくいことについては、やはりな、というところ。様々な型を学べと指南されていましたが、基本の型だけでも究めていけば、特待生レベルにはなれるということかもしれません。

4位 希望の病さん
(読んだだけの感想)
季語は「秋刀魚」。5位と比べて、勝負事がある点では評価は上となるでしょう。添削句と合わせて読むと、ある程度情景は浮かびます。しかし、原句について、パッと浮かぶだけでも疑問点がいくつか。
・字足らず(15音)。下の句「母秋刀魚焼く」に例えば「母は秋刀魚を焼く」としなかったのは何故だろう。
・破調であり、調べも良くない。詠み手なりにリズムを持っていたのかも知れないが、読み手には伝わらないと思う。
・「負けても勝っても」がスポーツとは限らない。特に、詠み手が噺家さんである点。「囲碁や将棋、いや、俗なところでパチンコに負けても勝っても、母ちゃんが秋刀魚を焼いてくれるのか」とも読めてしまう点。
・勝負事の後に「秋刀魚」は適しているのか?落語「目黒のさんま」あたりを見ても、決して秋刀魚はごちそうではない。ここについては夏井先生の添削句の方が正解で、「好物」だから、秋刀魚にするというのが正しいと心底思いました。特に、合宿生活や、試合前に鶏肉生活を送られた方にとっては、どうでしょう?自分は肉が正義でしたが。
・添削句で好物という語が出ました。その上でできたのが、字余りの句。勝負事や勝ち負け、母、秋刀魚、子の好物、、、一句にまとめるのが難しいかもしれませんね。

特待生昇格のころまでの、傲岸不遜さを感じる勢いが削がれ、また、金秋戦前の「生活がかかっている」という発言もあり、この弱々しさでは予選通過は無いかなぁ、と思っていましたが、その通りでした。
〈映像を見ての感想〉
自解で「就職活動でも何でも良い」とご本人は仰ってましたが、名人以上の方々には「言いたいことをちゃんと伝える」ことが課題とされることもあります。この発言が出てしまう限り、名人への道は遠いかも。


3位 岩永さん
(読んだだけの感想)
季語は「山粧う」で、初めて知った季語でした。荒く言えば、紅葉などで色とりどりに山が染まっている様とのこと。「やまよそう」と終止形で5音。もし自分が使うなら、活用的には中七でもおけるけど、素直に上五か下五に使った方が無難かなと思う季語でした(やまよそおいて、とか、やまよそおいし、とか、活用以外に助詞の選択も出てくるので)
句そのものは、何かの競技で「軸足」をやってしまった人がいて、彼を慕ったり認めたり、導いたり、ライバル視しているいろんな人が、ギブスに寄せ書きしてくれている、そんな光景で、伝わりました。
もったいないのは、季語が比喩のように捉えられても仕方ない点。たとえば、「山粧うがごと軸足のギブスの寄せ書き」でも通ってしまう点でした。
〈映像を見ての感想〉
カメラワークの指摘は納得です。

2位 森口名人
(読んだだけの感想)
季語は「秋夕焼」。この句は、「秋夕焼」の持つ、虚しさや寂しさ、あっけなさなどのイメージがマッチする句。ああ、負けたのだろうな、と。しかし、「紅葉」という童謡がありますね。あーきのゆーひーにぃ、てぇるぅやぁまぁ、もぉみぃじぃ、という奴。あれの歌詞を思うと、「秋夕焼」は寂寥感以外にもいろんなものを呑み込むことができるなぁ、と感じたところです。
そうなると、添削句のように、より敗北を表す単語が欲しいところ。季語の力に一さじ加えて、より確定的伝えることも大切になる場合もあるんだな、と学んだところです。個人的には、箱根駅伝の予選会をなぜか思い出しました。
〈映像を見ての感想〉
やはり、季語だけでは敗北を知らすのに及ばなかったかというのが率直なところでした。「の目に」は確かに削っても良いところなのは納得できますが、添削句で敗北の補強がされたことで、調べが崩れたのはどうかなと。

1位 中田名人
(読んだだけの感想)
季語は勿論「秋」。それにしても、この句は、池江璃花子さんを詠んだ句でしょうか。池江選手が白血病からカムバックしたのは昨年8月末。季語では「秋」の時期ですし、措辞である「復活の」と結ばれて、圧倒的な存在感がありますし、復活戦の話題は明るいニュースとして報じられていました。
「しぶき」は「滝しぶき」と別な単語と組み合わせると季語となりますが、単体では季語とはならないと思います。
下五「ひとりじめ」が詠んだ側の感想か、句の中の人がドヤ顔をしてるかは解釈が分かれるところでしょうか。
字面だけ追った時点では、特定の人を想起させられるこの句より、すこし間口の広くなる2位の句の方が好きですが、その辺りは録画したものを見てから決めていきたいと思います。
〈映像を見ての感想〉
子どもが水泳をやっているせいもあるかもしれませんが、やっぱり、池江選手をイメージしていました。昨年の復帰戦やオリンピックのことを考えるとそう捉えられます。私にとってはまだ時事句。この点、この句は年月を経てからもう一度出されると、読みや評価が変わりそうです。

No title

志らくさんの句がすごかったですね、言葉の力というものを感じました

結果的には無季の句ということになるんですかね? 去年はジュニアさんが無季とも言える句で優勝を果たしてましたが(あの時も林檎でしたね)タイトル戦で無季の句を扱う事についての是非は少々気になるところです

敗者復活今のところ1位志らく2位森口かな

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