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20210708 プレバト!!俳句紹介【携帯扇風機】

2021年7月8日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→中川翔子[6],小林幸子[2],鷲見玲奈[4],おいでやす小田[2],千原ジュニア[60],立川志らく[43],梅沢富美男[139] ※数字は挑戦回数

●お題:携帯扇風機
携帯扇風機の兼題

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位70点中川翔子
扇風機持つ手甘噛む仔猫たちせんぷうきもつてあまかむこねこたち
2凡人2位65点小林幸子
扇風機市民ホールの舞台袖せんぷうきしみんほーるのぶたいそで
3凡人3位55点鷲見玲奈
仕事ぶり見張るデスクの扇風機しごとぶりみはるですくのせんぷうき
4才能ナシ4位35点おいでやす小田
(おいでやすこが)
挟み立つマイクさながら扇風機はさみたつまいくさながらせんぷうき
5名人6段へ1ランク昇格千原ジュニア
ゆるキャラの汗の匂いとファンの音ゆるきゃらのあせのにおいとふぁんのおと
6名人3段で現状維持立川志らく
焼き鳥屋の団扇に「みつを」を見つけやきとりやのうちわにみつををみつけ
7永世名人35句目に掲載決定梅沢富美男
南国の果実色してハンディファンなんごくのかじついろしてはんでぃふぁん
→編集後記





●それでは順位別にみていきます

◆1位 才能アリ70点 中川翔子
扇風機 持つ手甘噛む 仔猫たち

鷲見 うわ~、分かる。

【本人談】
猫は飼い主が何かをしていると邪魔してくる。甘えてきたりなど、そういうときの幸せを是非読んだ方にも伝わったら良いなという感じで。

梅沢永世名人 上手な俳句ですね。
本人 はぁ、ありがとうございます。
梅沢永世名人 でも上手に使ったんだと思う、季語をね。2つ入ってる。
本人 えっ?
梅沢永世名人 扇風機は夏の季語でしょ。仔猫は確か春の季語だったと。
本人 え、あ、そうなんですか?
梅沢永世名人 間違ったらごめんなさいね。梅沢さんのあれが…。
浜田 永世名人、間違えることあるんですか?(笑)
小田 いえいえ、重要ですよ、そこ。
ジュニア名人 ハッキリ言って下さい。
小田 「仔猫」は春の季語なんですか?
梅沢永世名人 ん?何?、(デクレッシェンドで)そうそうそぅそぅ(笑)
小田 間違いない。

夏井先生 
季重なりではあるが、とてもうまく作った「扇風機」が夏の季語「仔猫」が春の季語
一同 (梅沢名人に)すごーい!
本人 さすがです。
夏井先生 いや、ハッキリ言い切った時にさすがと言うんです!(笑)。
小田 見られてた。
浜田 確かに、確かに。
夏井先生 
とても面白い展開。コロナ禍ならではの実景を描くことが出来ている
最初に「扇風機」があると、大体大きいタイプのものを思うが、「持つ」の動詞が巧い。今どきの小さいものだと。
「持つ」のは「手」のため普通はいらないが、この句は「手」が必要
なぜなら「甘噛みする仔猫」と春の季語の存在を出すための伏線として「手」が必要になる。それを判断して書いたに違いないと。
「仔猫」という季語が前に出て複数となった時に、みんながずっとマスクをした暑いコロナ禍の中、春に仔猫たちが生まれて季節外れの扇風機を持っている。
色々考えて作ったに違いないと信じている(笑)。直しはいらない。

本人 うわ~、やった~!

添削なし


◆2位 凡人65点 小林幸子
扇風機 市民ホールの 舞台袖

梅沢永世名人 なるほど。

【本人談】
コンサートで色んな所に行くと、舞台袖にある扇風機のありがたみがわかる。袖に引っ込んだら「はぁ~」と浴びせてもらっている。昔は冷房がないところは氷柱を金ダライに入れてそれに扇風機の風を当てていた。

浜田 古!
本人 やってましたよね~。
梅沢永世名人 やってました、やってました。
浜田 え、マジっすか?
志らく名人 小林幸子さんだと思って読むと歌手の姿が見えるけど、普通にそれだけ見ると市民ホールの舞台袖で扇風機が回っているというそれだけの句になるから、何か歌手の姿がわかるようなものが入っていたらちょっと。

夏井先生 
目の付け所は良い
ただ「扇風機」の季語を主役に立てると考えると、「扇風機」の後に「市民ホール」という建物へボンと行ってしまう。この移りが損だというのが唯一の問題点。
「舞台袖にいる」というのは「開演を待っている」イメージ。それを書いた方が絶対に得。
なぜそこにいるのか。「開演の」から始め、「舞台袖なる扇風機」で形になる。
梅沢永世名人 あ~いいな。
本人 すごーい。
夏井先生 
「開演」という状況、「舞台袖」という場所、そして「扇風機」にクローズアップする。
季語が最後に残り、開演前に緊張して待つ人物の様子も出てくる。これなら1位だったかもしれない。

本人 なるほどね。ほんと、ありがとうございます。

添削後
の 舞台袖 扇風機


◆3位 凡人55点 鷲見玲奈
仕事ぶり 見張るデスクの 扇風機

【本人談】
フリー(アナウンサー)になり、上司がいなくなった。携帯扇風機を置いて仕事をすると何だか見張られているような気持ちになった。

梅沢永世名人 「仕事ぶり見張るデスク」の擬人化がちょっとくどいんですよ。

夏井先生 
その通り。擬人化が少し強すぎて、季語の描写がちょっと足りてない。
しかし、作者アンタなの!? 
本人 そうなんです、先生! 
夏井先生 (拍手して)よく頑張った! 
本人 ありがとうございます。
浜田 ハハハ。
夏井先生 
この句は作品として成立している
どうやって季語「扇風機」の描写を足すか。前半をどこか削らないといけない。
ささやかに重複しているのは「仕事ぶり」と…。
浜田 「デスク」。
夏井先生 その通り。誰かが言った「デスク」。
ここを外せばちょっとした仕掛け・謎かけもできる。「仕事ぶり」は不要。
「見張る」の擬人化からわざといく。「見張るかに」で"見張っているかのように"という意味に。
ここで扇風機の様子を描写する。「回るデスクの扇風機」と繋げる。
「見張るかに回る」で人間かなと思わせ、「デスクの扇風機」で扇風機が回る描写になる。
こういうことが分かりだせば、才能アリに向かって前向きに進める。頑張れ~! 

本人 ありがとうございます。
小田 何なん。甘くないですか? 
浜田 3回連チャンで最下位(→才能ナシ)やったらあんなに喜んでくれるわ。
本人 いや嬉しいです、ホント~。

添削後
見張る るデスクの 扇風機


◆最下位 才能ナシ35点 おいでやす小田(おいでやすこが)
挟み立つ マイクさながら 扇風機

小林 ははははっ。
本人 なんで笑ってんの、マジで?

【本人談】
マネージャーが外ロケの合間に(扇風機)を当ててくれる。1個しかないため、相方のこがけんと挟んで立つ。その時に、(扇風機をマイクに見立てて)M-1を思い出して気合いを入り直す。

ジュニア名人 全然わからへんで。
本人 なんで、なんで?(笑)
ジュニア名人 いやいや、だから漫才師が書きはったという情報もないし、だから「おかえりやす小田の」…。
本人 「おいでやす小田」や!(笑)いつ覚えんねん。これホンマに僕ショックですわ、何がアカンの?

夏井先生 
漫才師という前提の情報があれば、まだ想像できなくもない
ただこの字面だけでは、いったい何をしているのかがそもそも分からない。
「マイク」からいく。「さながら」なんて言ってる場合ではない。「マイク挟む」とし、「立つ」は不要。
マイクを挟むかのようにと言いたいなら「挟むごと」で比喩にする。
この後に漫才師かもといえる一単語を足す。簡単なこと。「相方と」はどうか。
真ん中のマイクの位置に扇風機があることだけは伝わる。作った人が漫才に関係がある方だということも分かる。
出直して下さい(笑)。

浜田 今日あなたが取った点数は鷲見がずっと取ってた点数(35-30-37)ですからね。
本人 いやだから、ホンマこの点数出てから鷲見さんの目見られないですからね(笑)。はい、すんません。

添削後
マイク挟 扇風機


★特待生昇格試験★



◆『ゆるキャラの 汗の匂いと ファンの音 千原ジュニア

【本人談】
ゆるキャラは子どもたちを喜ばせるために凄い頑張っている。近くに行くと、汗をかいている匂いもするが、よく聞くと中で扇風機が二発ほど回っていて「ブーン」と音がする。「頑張ってはるな~」というのを詠んだつもり。

梅沢永世名人 これは良い俳句だと思うな。さすが最近調子いいね!(笑)

★評価ポイント
「ゆるキャラ」に「匂い」「音」と攻めた効果の是非

■査定結果
名人6段へ1ランク昇格

理由:ゆるキャラの現実が描けている!

夏井先生 
まず、あの兼題写真から「ゆるキャラ」を発想できるのを褒めたい。
「ゆるキャラ」は可愛い・人気者なイメージでふんわりと終わりがち。
季語の「」をガツンと持ってきて「ゆるキャラ」とイメージの対比を作っている
その現実を「匂い」という嗅覚と「音」という聴覚、匂いと音で現実を描く
私もゆるキャラと仕事をすることがある。
「微かに(着ぐるみの)中でブンブンいってるのは何だ?」と最初は思ったが、あれが扇風機と思ったときにこの人たちの過酷な現場は一体どうなっているかと思う、まさにそういう汗の現場
直しはいらない。

添削なし




◆『焼き鳥屋の 団扇に「みつを」を見つけ 立川志らく

【本人談】
携帯扇風機は昔でいう団扇。暑い中焼き鳥屋に行って店主がバタバタと仰いでいる。なんか字が書いてあると思うと相田みつをの言葉があった。あまりにも団扇と不釣り合いで面白いなと思ったという句。

梅沢永世名人 これはねえ。志らくさんだからこういう俳句を詠んだんだと思います。私には詠めませんけどね。ただ、「見つけ」という言葉を付け加えなくても良かったんじゃないかなと私は思います。
本人 「みつを」と「見つけ」で韻を踏んだんです。
梅沢永世名人 韻を踏んだのか!(笑)
浜田 いやいや、納得したやん、そこで今。

★評価ポイント
下五「を見つけ」という着地の是非

■査定結果
名人3段で現状維持

理由:あとは技術だけ!

夏井先生 
志らくさんの発想は本当に面白い。それを17音に収めていくには多少の技術が必要になる
「焼き鳥屋」ではあるが「焼き鳥」も季語で、「団扇」も季語
さらに「みつを」と相田みつをの固有名詞を入れてくる。季語と同じくらいのパワーを発揮しかねないのが固有名詞。
この3つのバランスをとるのは物凄く難しい
「みつを」をしっかり書いた方がさらに良いバランスが生まれる
おっちゃんの言う通り、「見つけ」る必要はない。
鍵括弧にした理由も分かるが、ない方がよく「相田みつを」とストレートに書く。「の詩」でクローズアップする。
そうすれば、団扇の何か書いてある字に映像が寄る
季語2つと固有名詞を「詩」の1字が引き受ける。非常に難しいバランス。
志らくさんが俳筋力をしっかりつけた後は恐ろしいことになるんだろうとは思う。

本人 んん~、なんか私知らないうちに物凄い領域に挑もうとしているんだ(笑)。
浜田 次回頑張ってください。

添削後
焼き鳥屋の 団扇にみつをの


★永世名人 富美男のお手本★



◆『南国の 果実色して ハンディファン 梅沢富美男

【本人談】
こないだ、にこるん(=藤田ニコル)とお仕事したとき、何十種類とファンが(ショップに)置いてあった。「あれ?ここ果物屋さんかい?」と思うほど色合いが沢山あった。

本人 こういう風にやるんだ、小田!
小田 本当に果物屋さんと思ったんですか?
本人 何が?そうだよ!
小田 それヤバイですよ!
浜田 小田、小田、もうええやないか、もう。
本人 お前行ってみ!渋谷に行ってみろ!(笑)
小田 え、果物屋さんと思ったらヤバイですよ!扇風機と果物を間違えたらいよいよ終わりですよ(笑)。
本人 そんな気持ちだったら一生俳句は詠めないぞ(笑)

■査定結果
永世名人35句目に掲載決定

理由:やっと永世名人っぽくなってきた!

本人 (小田へ)ほらみろ!
こがけん すごい。

夏井先生 
お店に並んでいる携帯扇風機を見て、南国の果実色と感じ取るところに詩がある。
語順もとても良く考えられている。
南国」の明るく開放的で豊かな感じがする。そこに「果実」というものが出る
「南国の果実」を複数と受け取った読者は最後の着地でハンディファンの売り場と思い、1つの果実と受け取った読者は1つのハンディファンが眼前にある光景を思うが、どちらでも良い。
この句の一番良いところは「南国の果実」で物かと思うと「色して」で比喩につながる点。ここが大事。
果実ではなく何かと思うと、「ハンディファン」が出てくる。果物の自然と「ハンディファン」の人工物との落差、対比もさりげない。
さらに「携帯扇風機」と書くと音数の問題もあり、見た目の字面が凄く重くなる。
あえてカタカナの軽い感じで表記を選んでいる。内容に対して表記もきちんと心を使っている。
やっと永世名人らしくなった!直しはいらない。

本人 先生、小田を怒って!永世名人を馬鹿にしたんだ、コイツ!
夏井先生 (こぶしを挙げて淡々と)コラ!コラ!
こがけん 雑!
小田 雑!どうでもええと思ってますよ。

添削なし


★次回7/15の兼題は「夏野菜カレー」。永世名人は2名とも登場します。



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コメント

更新お疲れ様です

ここのコメントでもかなり討論になっているほど、今回は結構賛否両論回でしたね…
しょこたんの句は季語の比重というのもそうですが、そもそも季語に対する扱いの難しさというのもそうで、扇風機のような明らかに「夏」と言うものなどはともかく、現代では子猫は時期によってはいつでも見られるものであり、それに対して「歳時記がそうなのだから」と杓子定規的に定例に当てはめるのか、それとも新たな解釈をしていくのかというのは文学・文壇的にもかなり難しいお題なのではないでしょうか。
また、相変わらずの猫句ということですが、それぐらいしょこたんにとってはアニメと同じぐらい猫が好きなことですし、もちろん番組としては「広さを見せて特待生」というのも一つの目標ではありますが、何を言われようと自分の好きな物をテーマにし句にする。これもまた一つの作風ではないでしょうか。

志らく名人は皆さんの「定型で詠んでほしい」「基礎が分かっているのか」という意見もわかりますが、基礎が無ければまず名人には上がってないと思います(未だに基礎ができていない二階堂君とか…ゲフンゲフン)。
その上で、「破調」「偉人句」という作風にほとんど変えることなく挑み続けるのもまだ凄い精神力だと思います。夏井先生の言う通り、非常に難しい故段位の上では後に名人になったジュニア名人・千賀名人にも抜かされていますが、これを極めた時はかつてない独特な作風として大きく沸かせてくれると期待しています。

しょこたんの句

季語が扇風機かそれとも子猫かと言う問題ですが、この語順なら、子猫だと思いました。
一読して、どちらが主役かと考えた時、子猫に比重がいってます。
子猫たちの「たち」そうさせていると思います。
これが、他の人が書いている「甘噛みする子猫」となると、今度は扇風機に比重が移り、季語は扇風機になるのかな、と思いました。

猫を飼ってる人と飼ってない人の認識の差でしょうか?

歳時記に載ってるからといってそれを絶対としてしまうのであれば

季節の移ろいを表現する

という季語の本来の意義を無視してしまう形になり、本末転倒になります。

作者の中川翔子さんにとってのリアリティーを無視して、

仔猫=春の季語

だから春の句と詠むのであれば、それは現実的ではないと思います。

たとえとして用いるのは適切ではないかもしれませんが、

いまの時代であればマスクと他の季節の季語を用いても、マスクが冬の季語としての力がないのですから、

猫という生物の生態の実情を考えれば、扇風機を主たる季語として読めるはずです

はじめてコメントします。いつもプレバトの放送と共に楽しませてもらっています。

しょこたんの句は扇風機と子猫の2つの季語が入ってますが、この句の場合、完全に子猫が主役なんで、主たる季語は子猫の方ですね。扇風機は子猫を引き立たせるための脇役。
主たる季語が子猫=春の季語なので、場面は春になりますね。本人は知らずに句を作ったようですが。
猫の繁殖期は夏にもあるという指摘もありますが、猫の恋(春の季語)と連動して子猫は春の季語とされているのだろうし、春の季語と設定されている以上、子猫が出てくれば季節は春と読むところでしょうね。
夏の場面にしたかったら、扇風機の方をもっと主役に立てる必要があると思います。

仔猫

春に生まれた仔猫が3ヶ月後の夏もまだ仔猫だということはあり得るのではないかと思うのですが。
夏井先生の解説に不満はありません。

今回は、季語がありながらも季節感というものが感じられない句がいくつかあったように思えます。

まずは小林幸子さんですが、

市民ホールの舞台であれば、照明などの熱もあります。

そうなると扇風機という言葉が季節感を損なってるように感じました。

中川翔子さんは夏井先生の解釈が真逆でしたね。

自分は中川さんご本人の意図のように思えます。
下五「仔猫たち」と複数で書いてありますから、猫を複数飼っている家かペットショップだという風に想像はできます。

念のため「猫 繁殖期」とググってみましたが、猫の繁殖期は春の他にも6月から8月にもかけてもピークになるそうです。

そうなると「仔猫たち」は季語としての力が薄れていくので、
上五の「扇風機」が主たる季語になるはずだと思います。

問題発言かもしれませんが、

季語としての常識や知識に縛られすぎていて、動物の生態系の実情を知らなかった夏井先生の落ち度だと思います。

鷲見玲奈さんとおいでやす小田さんについては、別の方のコメントとほぼ同意ですので、今回は割愛させていただきます。

立川志らく名人は季語は使っているけど、無季の句と認識しています。

この句で季語になるのは「焼き鳥」「団扇」ですが、
「焼き鳥屋」となると、一年中やってるものですし、
「団扇」はこの句の場合は暑さをしのぐものとしてではなく、焼き鳥を作る道具としての描写ですから季語としての力がなくなります。

冬でも全然成り立つ句ですかなと思います。

反面

昇格、掲載決定の
千原ジュニア名人
梅沢名人は

季語の力を最大限に発揮していたように思えます。

千原ジュニア名人ですが、
前半の「ゆるキャラの汗」までなら、現実のものなのか?マンガやアニメーションとしての描写なのか?と判断を迷いますが、後半で現実の描写だとわかりますし、

そこに気がつくということは作者は大人であるということもわかります。

この句も春や秋でも通用するといえば通用しますが、
夏の句として詠んだときが、ゆるキャラの過酷な場面が実感できると思います。

梅沢名人は季語の一物描写が成功したように思います。
また「ハンディファン」ですが、夏井先生が仰っていたこととは別に、季語の新たな傍題を作ろうとする意図が感じられます。

僕の知る限り、歳時記には載っていないはずだと思いますが、この句における季語として誰もが認識するはずだと思います。

今年の春光戦で使われた「志村忌」も現在多くの人が使われてるので、

共に歳時記に載ることがあれば、プレバトという番組を越えた永世名人としての実績になるのでないでしょうか?

ただ気に点が2つ
以前に掲載決定となった

あえかなる鏡の色をして冬日

と作り方が全く同じなことです。以前は「かな」の多用が指摘されていましたが、ワンパターンにならないことを願います。

もう一つが「ディ」の読み方が一音となるのか、ニ音になるのかがいまいち分かりにくいところですね。ナレーターの銀河万丈さんの読み方は完全にニ音としての発音でしたので。

少し前のミッツ・マングローブ名人の「ロングアイランドアイスティ」もですが、

読む人によって音数が変わるような表記ですから、定義をつけてもらえたらなと思います。

番組の構成が変わりましたね。次回の予告でも梅沢名人の他に
東国原名人
馬場典子さん
の3人が査定されるそうなので、
今後しばらくは平場の挑戦者を減らして特待生の査定の機会が増えるものだと思われます。

個人的には歓迎です。
やはり特待生、名人には挑戦の機会が多くあればと思いますし、一斉査定になると兼題との相性の良し悪しが大きくあらわれるので、査定結果だけで実力の良し悪しがわかりかねる部分がありますので。

ただ、プレバトはあくまでもバラエティーですので平場の挑戦者が減ることで番組としてのおもしろさが半減する可能性もあります。

これが吉とでるか凶とでるかはまだわからないですね。

最後に拙句を詠ませていただきます。

レンジアップカレーの香とハンディファン

今回も長々と投稿させていただきます。こちらの書き込みをしつつ、自分の句作りのための勉強もさせて頂いております。

4位の句。「さながら」という単語が入っていましたが、この単語は「◯◯さながら」「さながら◯◯(のような)」と、すぐ上の単語にくっつく場合も下の単語にも付く場合がありますね。「マイクさながら扇風機」と切り出すと、マイクが扇風機のようなのか、扇風機がマイクのようなのか、誤読を生みそうでした。「マイク、さながら扇風機」「マイクさながら、扇風機」と読点を振れば一目瞭然ですが、俳句に読点は使いませんしね。
まあ、全体的に、なにをいってるのか良く分からないから、「さながら」の解釈に迷うわけでしたが。

3位の句。丁度、横山秀夫の「クライマーズ・ハイ」(航空機墜落事故報道を巡っての、新聞記者のお話)を読み直していたせいか、「仕事ぶり見張るデスクの扇風機」だと、新聞社の「デスク」が役職名に見えてしまいました。机と訳せばちゃんと意味は伝わるけど、上五中七が全て下五の説明になっていますね。添削で扇風機の動きが出て緩和されました。

2位はプレバトや夏井先生の著作でも良く出てくる「映像化」の難しさ。扇風機のアップから始まり、市民ホールのロングショット、ステージ舞台袖と、カットがバタバタと変わります。添削を受けてカメラワークがスムーズに行きました。

1位。中川翔子はまた猫か。
状況は良く分かる俳句でしたが、「甘噛み」は名詞で、「甘噛む」でなく、「甘噛みをする」略しても「甘噛みする」だと思うので、違和感がありました(添削中、夏井先生はしっかり「甘噛みする」ときっちり仰ってましたが)。
だからと言って、「扇風機持つ手甘噛みする仔猫」だと、詠み手の飼う仔猫は一匹ともとれるようになり、春に自分の家で生まれたのであろうか?という読み方がしにくくなりますね。
また、季重なりがありました。しかも季節違い。しかし、「扇風機を持っている手を仔猫たちが甘噛みした」という映像を詠むような場合なら、季重なりもOKなようで、この辺りは夏井先生のとある本でも紹介されてました。モノ同士の季重なりならば良いと。

千原ジュニア名人の句。携帯扇風機から、スーツアクターに発想が飛ぶことに驚きでした。

志らく名人。平場のメンバーなら、五七五で詠め!と突っ込まれそうな句でした。添削後「焼鳥屋の団扇に相田みつをの詩」となりましたが、「の」を消すと誰が団扇を持っているか曖昧にはなりますが、一応意味は通じますし、「焼き鳥屋相田みつをの詩の団扇」くらいでも取り合わせの句として行けそうな気がします。こうも破調ばかりだと、この人は基本が本当にできてるの?と疑問を抱いてしまったりも。

永世名人の句は、平場の4位、3位、1位でそれぞれ単語に引っ掛かりを覚え、志らく名人のギクシャクした句から「分かりやすい俳句」を詠まれていた点でスッキリしました。
一見すると簡単な句ですが、「して」が見事。「して」を別な言葉にして上五中七を見ていきますと、

「南国の果実のような」→色でなく果実の形のような、ともとれる。
「南国の果実色めける」→字余り。
「果実色めく」→詠み手が果実色のような、と表現したくても、「果実が色めく」と捉えられる。
「南国の果実色した」→お?いける?

ここで、「した」でなく、どうして「して」なのかとも思いましたが、
「果実色した」→「果実色をした」、「果実色して」「果実色をしている」の違いでしょうか。
「した」→近い過去にそうなったという完了の意味も出てくる→下五への因果が生まれ、説明臭くなる。
「して(いる)」→現在の状態を表しているだけ→説明臭さが軽減されて軽やかに見える、といった効果があったと思います。

夏井先生の説明も、「場所」「もの」、「天然」「人工」等、それぞれの語句を要素に振り分けて捉えており、この手法は自身の推敲にも使えそうだと考えました。

サラッとしか触れませんでしたが、今回は千原ジュニア名人の句が一番好みで、夏井先生の「コラ コラ」でホノボノと締めくくった回だったと思います。

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