2021年6月17日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
挑戦者→高岸宏行[初],宮田俊哉[21],神田愛花[2],村上弘明[3],中川大輔[初],森口瑤子[15],梅沢富美男[136] ※数字は挑戦回数●お題:折り畳み傘
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 凡人1位6?点 ※才能アリ1位70点から減点 | 高岸宏行 (ティモンディ) | 夏の朝丸太をもってはおろしては | なつのあさまるたをもってはおろしては |
2 | 凡人2位55点 | 宮田俊哉 (Kis-My-Ft2) | 戻り梅雨軒先の粒犬吠える | もどりづゆのきさきのつぶいぬほえる |
3 | 凡人3位40点 | 神田愛花
| NEWの傘「カワイイ!」欲しい梅雨カモン!! | にゅーのかさかわいいほしいつゆかもん |
4 | 才能ナシ4位37点 | 村上弘明
| 雲の峰写生する手に筆と傘 | くものみねしゃせいするてにふでとかさ |
5 | 才能ナシ5位25点 | 中川大輔
| 夏の雨凌ぐ如意棒ふりまわす | なつのあめしのぐにょいぼうふりまわす |
6 | 1級へ1ランク昇格 | ●森口瑤子
| ジェラシーを折ってたたんで白日傘 | じぇらしーをおってたたんでしろひがさ |
7 | 永世名人33句目に掲載決定 | ★梅沢富美男
| 子の傘に透ける窓あり青蛙 | このかさにすけるまどありあおがえる |
→編集後記
→キスマイ・宮田俊哉は過去20回挑戦し、凡人が12回もある。
浜田 えっ?まだここにおるの?(笑)
宮田 20回以上やってるんですよ。
浜田 そやな。
宮田 自分から生まれてくる俳句全てに自信しかないんですよ(笑)。そういうゾーンに突入しちゃって…。
浜田 多分今日もダメだな、これ(笑)。
宮田 いやいやいや、分からないですよ。
***
→ティモンディ・高岸宏行は初挑戦。相方の前田裕太とともに、野球の強豪・愛媛県済美高校出身。
浜田 (俳句を)任していいの、高岸に?
前田 まあ我々は愛媛県済美高校なんで、愛媛と言ったら俳句の国。しかも夏井さんとね。
高岸 そう、同郷なんで(笑)。
玉巻アナ ティモンディのお二人は済美高校ご出身で、ピッチャーだった高岸さんが先日(=4/3日本ハム対ロッテの始球式で)出した球速をご覧下さい。
→始球式のVTRが流れ、モニターに「142km/h」と表示される
一同 え~!
浜田 凄いねえ。
高岸 何にも凄くないですよ。
浜田 いや、凄いやん。
高岸 浜田さんだってやれば出せる!
浜田 無理無理!(笑)
→済美高校校訓は「やればできる」
高岸 浜田さん、諦めないで下さい。
浜田 いやいやいや。
高岸 練習すれば出せるんです。
浜田 いやお前、ポジティブすぎるわ(笑)。
***
→モデル・俳優の中川大輔は2019年「仮面ライダーゼロワン」に迅役で出演して子どもと主婦に人気になった23歳。同時出演の村上弘明は1979年に「スカイライダー」で出演した。
浜田 仮面ライダー?
中川 仮面ライダーやらせてもらってます。
浜田 あれ?でも…。
村上 …はい。
中川 (村上は)大先輩です。
神田 凄い。
中川 僕、令和の一作目だったんですけど。
村上 昭和の最後の方でしたね。
浜田 そうでしたね。え、(変身)見せて?
→中川本人による「仮面ライダー迅」変身シーン実演
中川 ジャン!バッ、ジャー。ジャ、ジャ、ジャ、ジャ、変身。うーん、ああ~!
浜田 よし!中川。すぐ…はい座ろう(笑)。
中川 はい、すみませんでした。
浜田 なるほど、頑張ってください。
前田 編集点作った、今?(笑)
宮田 カットする気じゃないですか?
★ランキングシートの分布は才能アリ1名、凡人2名、才能ナシ2名(当初)
浜田 ヤバい。ヤバい。才能ナシ2人もおるからねえ。
***
浜田 じゃあもう、凡人から開けるか。2位。
▼凡人2位はキスマイ宮田
宮田 俺か~。
浜田 また?
宮田 もう、ずっと凡人(笑)。
***
浜田 これどっしようかな。凡人もう1回見てみる?凡人3位。
前田 いや~、一番嫌だな。
浜田 もうここ入ってれば上等としましょう。
▼凡人3位は神田愛花
神田 私か、そっか~。
浜田 入った、ギリギリ。
神田 入りましたけど、そっか~、凡人か。
浜田 素晴らしい。
***
浜田 さあ、皆さん、残っているのはこの3人。ライダー2人が残りましたよ。これ面白くなってきたよ~。
梅沢永世名人 あの~、私は石ノ森章太郎先生に可愛がってもらったんです。
中川 へぇ~。
梅沢永世名人 第1回目の仮面ライダーオーディションにも行ってるんです。
中川 え?じゃあ藤岡弘、さん?
梅沢永世名人 落ちました(笑)。
浜田 なれるわけないじゃないの。
梅沢永世名人 お前、何しに来たんだと(笑)。
***
浜田 これはもう4位。1位と最下位残します。
▼才能ナシ4位は村上
浜田 さあ、村上さんが4位に入りました。
梅沢永世名人 どうしたんすか~。
***
浜田 前田、どう思う?
前田 いや~、高岸の句はホームランか三振かの…。
浜田 どっちかか。
前田 そうっすね。でも本人は滅茶苦茶自信あるって。
浜田 滅茶苦茶胸張ってるしね。
前田 そうなんすよね。
高岸 これ、中川さん正直言って、中川さんに敵うとは思いません。でも、「高岸-1(ワン)グランプリ」は優勝です(笑)。
浜田 何を言うてんねん。
高岸 そこの自信はある。
浜田 何を言うんねんな、どうなの?
中川 やっぱり、ライダーの威信を落とさないためにも才能アリ獲りたいですね。
▼才能アリ1位はティモンディ高岸、才能ナシ最下位は中川
前田 うお~!
神田 凄ーい。
浜田 ライダーやっちまいましたね。これ。
梅沢永世名人 やっちゃったね、ライダー。
→ライダー経験者の村上・中川がともに才能ナシ
***
梅沢永世名人 凄いなあ。
前田 初めての句ですからね。
高岸 浜田さん、先に1つだけ良いですか?
浜田 何?
高岸 僕だけが1位なんじゃなくて、一生懸命にトライした時点でみんな1位だ!
一同 イエーイ。
浜田 はよ座れ、お前は。
●それでは順位別にみていきます◆1位
凡人 高岸宏行(ティモンディ) ※本人談後、才能アリ1位70点から減点『夏の朝 丸太をもっては おろしては』※高校野球の名門・愛媛県済美高校野球部時代の光景を詠んだ一句。
【本人談】高校時代に雨が降ると、雨天練習場の屋内で1日練習をした。そこでは練習メニューが限られるため、ランニングのメニューが多くなる。丸太を持って一番きついメニューを1日やる。それをみんなで一丸となって乗り越えた実体験。
梅沢永世名人 何?(笑) 俺もほら、野球部だったからわかるのよ。
本人 あ、そうなんですか。
梅沢永世名人 それをこれにしたの?
本人 そうです。
梅沢永世名人 え!?(笑)
それは読み切れねえな。いや、面白い俳句だなと思ったんですよ。これ、高校野球の練習なの?本人 練習です。僕の思い出です。
梅沢永世名人 あ~。
夏井先生 確認します。
夏の朝に切り出した丸太を運んだり下ろしたりする労働の句ではないのですね?
本人 違います!済美野球部名物、丸太ランです!
夏井先生 済美高校の校訓を私は知っている。「やればできる」。
本人 はい。
夏井先生 ただこれは労働のうただと思い、70点をつけた。
あなたの言いたいことを言おうとするなら、これは
減点するしかありません。本人 どうぞご自由に(笑)。みんなのためですから。
浜田 お前、そこは抵抗せえよ!
本人 違います。僕のことはどうでもいい。俳句の上達のため、視聴者は待ってる。夏井さんどうぞ!
夏井先生 なんかもう、聞いているうちにだんだん腹立ってきましたね(笑)。
浜田 これはもう先生、凡人ということで良いですよね。
夏井先生 凡人以外の何物でもないですよ!おっちゃんが「え!?」って言うのは当然だと思う。
梅沢永世名人 そうですよ。コイツはホントにぶん殴ってやりたいぐらい(笑)。
夏井先生 私の代わりに殴ってやって!
良い句だったのに、「丸太をもっては下ろしては」が牧歌的。
これは「もつ」というより、担いで走り回る感じなんでしょ?
本人 そうですね、このフォームが正式…。
夏井先生 もういいから(笑)。
「丸太かついで」ぐらいにする。ホントは何してるの、労働じゃないでしょ?
本人 ランニングです。
夏井先生 じゃあもうそれでいいですよ(笑)。
前田 だいぶ投げやりになってますよ。
夏井先生 「夏の朝丸太かついで
ランニング」、出直しなさい!(笑)
本人 はい。ありがとうございます。
浜田 こうやって直したら、これ最下位みたいに見えますね。
梅沢永世名人 これ最下位だと思いますよ。
本人 でも、こんな若者にも全力でお直しして下さる、先生の採点100点満点です。おめでとう!
夏井先生 (怪訝そうな顔つきに)
浜田 何を言うてんねん、お前。
添削後
『夏の朝 丸太かついで ランニング』
「夏の朝」と丸太を上げ下げする動作を合わせた一句。句だけを見ると兼題の要素がなく、中八となる「を」が不要なものの、単純に農林水産業に営む人の風景画という印象の一句で、中七・下五の歌いまわしが粋な雰囲気。しかし、本人が意図する光景は野球部の練習。作者が高岸さんというバイアスがかかっていれば読み手も受け止められますが、句のみではさすがに読み取れません。季語「夏の朝」の選択もやや安易。本人の語る「丸太ラン」は面白い言葉ですが、走ることよりも丸太をバーベルのように扱い、「梅雨寒の朝練丸太上げ下げす」などとした方が意図と詩情のバランスが取れたように思いました。
◆2位
凡人55点 宮田俊哉(Kis-My-Ft2)『戻り梅雨 軒先の粒 犬吠える』【本人談】梅雨が明けて散歩に行きたいワンちゃん(=犬)がいる。戻り梅雨でまた雨が降ってきて、散歩に行けない犬が雨に向かって吠えている。
梅沢永世名人 もう宮田くんいい加減にしないと。20回も出てるんだし。
三段切れじゃないの。
本人 そっか~。
梅沢永世名人 プツン、プツン、プツンと切れてるもの。
本人 あ~。
森口 真ん中の「軒先の粒」って何だろう?って。
本人 ちょっとカッコつけちゃいました。
梅沢永世名人 だから凡人になっちゃうのよ。
本人 そっか~。
夏井先生 これはカッコはどこもつけてないと思う。
本人 え、そうですか?
夏井先生 ただ、
凡人であるという事実だけがここにある。浜田 (拍手して)ありがとうございます。
夏井先生 三段切れである点が問題の1つ。
さらに、
「軒先の粒」の表現が無理矢理な感じがする。もっと
滑らかに表現すれば良いと思う。
どの映像から始めるかがとても大事だが、この句は「
犬吠える」から。
犬が吠える場面から話が動き出す。「
梅雨の戻りの」とし、「の」で調べができる。
「粒」とか言ってる場合じゃない。「
軒しずく」と水だと分かるように。
これなら、調べがなだらかに。
犬の声から始まり、しずくに映像が寄っていく。これなら整うが、今日の句の中でこの句は凡人中の凡人。
浜田 どうなん。今日で22回目ぐらいか直されて。
本人 でも、あと10年は粘るんで僕。
浜田 いやいやいや。
本人 お願いします、浜田さん。
浜田 無理矢理。もう永世名人死んでるもん(笑)。
梅沢永世名人 10年は生きてますよ。まだ大丈夫だと思います。
浜田 そうですか?
添削後
『犬吠える 梅雨の戻りの 軒しずく』
「戻り梅雨」と犬の動作と場所を取り合わせた一句。三段切れが問題だとはいえ、結構詩情はある一句。「軒先の粒」が比喩として何を指すか如何せん分かりにくさはあるものの、季語によって恐らく雨を指すのも頷ける書き方です。この句は「戻り」と「吠える」の部分で犬がなかなか散歩に行けないという背景を想像させる点には成功しています。宮田さんは今回で凡人13回目ですが、目指す方向性は決して悪くありません。オリジナリティのあるフレーズを用いないと才能アリは難しいですが、次回のリベンジにも期待です。
◆3位
凡人40点 神田愛花『NEWの傘 「カワイイ!」欲しい 梅雨カモン!!』【本人談】去年久しぶりにカワイイ傘を(売り場で)見つけて梅雨前に購入した。友達に「カワイイ!」って言ってほしいがために、久々に「早く梅雨来て」って思えた。その気持ちを隠すことなく素直に書いた。
梅沢永世名人 私ね、これを見て「うん、俳句だな」という気持ちにはなれませんね。
横文字が多すぎます。何でもつけりゃいいってもんじゃない!(笑)
夏井先生 俳句の世界にやってはいけないことはない。英字・鍵括弧・「!」がダメということではないが、やる以上は効果的に使うべき。このままだと目がチカチカする。「NEW」がアルファベットなため、「カワイイ」と合わすよりも、せめて「カモン」を合わすべきではないか。
やるならいっそ…。
本人 へぇー。
夏井先生 「へぇー」じゃない! やるなら
覚悟を決めてやらないと。「COME ON」と。
本人 へぇー。
夏井先生 「へぇー」じゃない。
整えたところで滅茶苦茶普通でつまらない句(笑)。
本人 いや~、そうなんですね。これ、英語にすれば才能アリになるってことですよね。
夏井先生 この子は人の話を何聞いてるんですか!?(笑)
本人 すみません。
添削後
『NEWの傘 カワイイ!欲しい 梅雨COME ON!』
新しい傘を見た心情と季語が来てほしいと思う心理的なものを合わせた一句。夏井先生はよく凡人査定にされましたというほど、この句は詩がありません。中七の部分で、恐らく傘売り場での心情を表現したものの、「梅雨カモン」ではまだ梅雨になっていないため、時候の季語が引き立っていません。また、ひらがな・カタカナ・漢字・英字・鍵括弧・エクスクラメーションマークという様々な表記の混合が読み手に負担をかけます。夏井先生は添削を半ば放棄した形に思いましたが、元アナウンサーならばもう少し清楚な言葉遣いで詠んでほしいものです。
◆4位
才能ナシ37点 村上弘明『雲の峰 写生する手に 筆と傘』※季語は「雲の峰」で入道雲。
【本人談】入道雲は自然が織りなすダイナミズム。下界では人々が日常の暮らし、その平和な日常の暮らしを写生に投影し、対比を描いた。
梅沢永世名人 無駄な言葉がいっぱいあるんですよ。写生するんだったら筆持って描いているってこと。
「手に」「筆」とかいらないんですよ。
森口 「筆」持ってるのはわかるけど、
「傘」って最後の着地がわからなくなっちゃった。
梅沢永世名人 そうですね。
夏井先生 「雲の峰」は入道雲のこと。雲の峰を写生している状況。
この段階で
「筆と傘」を持ってるとは、用心深すぎませんか?(笑)どう考えても。
おっちゃんも言ったが、
「写生す」と言い切れば、それ以降はほぼいらない。
写生するのに筆は絶対持っているはず。傍らに雨傘を用意しているということが言いたいなら、添えるしかない。
「
傍らに雨傘」とすれば、作者の意図は17音に入っていく。
ただ、写生しているんだからそんな心配せずにスケッチに専念すべきだと私は思う。
本人 はい。
添削後
『雲の峰写生す 傍らに雨傘』
「雲の峰」と写生する状況を読み合わせた一句。才能ナシとはいえ意味の通る書き方で、最後の「傘」が誤読を生みやすく読み手をキョトンとする形になり、兼題に寄りかかりすぎたのかもしれません。季語を写生する場面を描く発想もやや凡人的で、どのように写生するのかその状況を描くのも一つの手です。先生は「スケッチ」と受け止めましたが、入道雲は常に形が変化するため案外明確に描くのが難しい部分。「デッサン」ならば、水彩画のような印象で絵の様子も想像できますが、その辺りを詠み込みたかった印象に。語った言葉に詩人的要素があるため、次回に期待です。
◆最下位
才能ナシ25点 中川大輔『夏の雨 凌ぐ如意棒 ふりまわす』【本人談】小学生の頃、登校時は雨が降っていたので折りたたみ傘を持って学校に行き、下校時は止んでいたので折りたたみ傘を伸ばして如意棒のように振り回して遊んでいた少年心を詠んだ。
森口 写真を見ていればわかるんですけど、
写真を見てないと本当に如意棒かな~と。梅沢永世名人 孫悟空かと思った(笑)。何で受かったんだろう、仮面ライダー。
本人 いやいや、俳句の才能関係ないです。
浜田 それ関係ないやろ。
梅沢永世名人 何で落ちたんだろう、俺は…。
夏井先生 兼題写真を我々を見ているから、「如意棒」らしきものが傘だと優しく想像はできる。
しかし、俳句は文字が全ての勝負のため、これを読んだ人は
孫悟空かと思ってしまう。
夏の雨が降っている中を孫悟空が如意棒を振り回して雨粒を弾いて凌いでいると。アニメかお前は!みたいな句(笑)。
浜田 口悪うなってる。
本人 そっか~。
夏井先生 「如意棒」は比喩なら、比喩だと分かるように書かないと通じない。「如意棒
のごと」なら万人に比喩だと伝わる。「ふりまわす」では何かが分からない。
浜田 「傘」や。
夏井先生 そう、それ。「ふりまわす」まで書けないため、「
傘を振る」がせいぜい。凌いでいる場合ではない。「夏の雨」と。言葉を作者の言いたいことに何とか寄せたが、寄せるのに疲れたという一句です。
本人 すみません。
浜田 これもう勉強ですね。
本人 勉強します。
村上 若いですからね、まだね。これからですよ。
浜田 シー、村上さん、シー(笑)。
本人 ありがとうございます。
添削後
『如意棒の ごと傘を振る 夏の雨』
季語「夏の雨」と「如意棒」と取り合わせた一風変わった一句。発想の方向性は面白く、孫悟空かと思う場面。あるいはキテレツ大百科の発明品「如意光」などを想像する人もいるかもしれません。実景から詠んでいる姿勢もよいですが、やはり比喩を使うのは初心者には危険な手段。「如意棒のごと傘振る子」と人物を明確に出して、季語を「梅雨晴間」「梅雨の帰路」などと雨が止んでいるかもしれない登下校の様子を醸し出した方が、意味が通じやすかったかもしれません。
★特待生昇格試験★森口 (兼題の)「折りたたみ傘」難しくて、家中にある折りたたみ傘を全部開いてみたり閉じてみたり、大雨でも小っちゃい折りたたみ傘差してみたり、色々やってみましたけどいかがですかね。
◆『ジェラシーを 折ってたたんで 白日傘』 森口瑤子【本人談】人を羨ましいと思ったりする「ジェラシー」は一番厄介だといつも思っている。自分の中の黒いものを折って畳んで小さくしていく。「白日傘」は貴婦人とか純潔なイメージがあるので、そこにしまい込んだみたいな。
梅沢永世名人 いや見事ですね、森口さん。これは良い俳句ですよ!
本人 うれしい。
梅沢永世名人 もう名人は近いじゃないですか。あなたの俳句は…。
浜田 うるさいなあ。もう!
★評価ポイント下五「白」を入れたことの是非
■査定結果1級へ
1ランク昇格理由:対比が巧い!
本人 うれしい。
梅沢永世名人 もうすぐです。
浜田 もうすぐで名人でございます。
夏井先生
「ジェラシー」のような重い感情を一句に詠み込んだうえで、季語を主役にするのは本当に難しい。
それを上手く言葉をコントロールしながら映像に持っていった。これは褒めたい。
「ジェラシー」は本当は折ったり畳んだりできないもの。
それを
折ったり畳んだりするのも俳句の発想法の一つ。それもちゃんと学んでいる。
強い憤りをもって折る激しさがあり、「
たたんで」で静けさを感じさせるように展開し、「
日傘」という映像・季語を持ってくる。
さらに
「白」で印象が非常に鮮明になるが、「ジェラシー」の言葉がもつドス黒いイメージと心理的な対比も狙っている。
それで破綻せずに綺麗に収めてくるのだから、
この人の今伸びている力は目覚ましいものがある。直しはいらない。
本人 うれしい。
浜田 森口さん、次名人ですから。
梅沢永世名人 名人ですよ。
本人 重い言葉ですね(笑)。
添削なし
「ジェラシー」という心情と「白日傘」を取り合わせた女性的な嫉妬心を表現した一句です。最もうまいのが中七の表現。「折ってたたんで」という動詞の畳みかけが、ジェラシー・白日傘の名詞を違和感なく修飾しており、かなり粋です。コメントもございましたが、仮に「黒日傘」なら陰の要素が強く出てしまいます。その点、大変バランスよく収めており、心情をグッとこらえて表現しました。森口さん自身の感性が鋭いうえに、負の感情も色々と感じられているようですが、夏井先生のいう悪態俳句のような形でまざまざと俳句にできるのはもはや強者。いよいよ女性2人目の名人に王手ですが、果たして次回はどのような句を詠まれるのか注目しましょう。
★永世名人 富美男のお手本★
浜田 さ、今回どうでしょうか。
梅沢永世名人 先ほどテレビ局の方からお手紙を頂きまして。
浜田 ほうほう。「もう辞めてください」って?(笑)。
梅沢永世名人 違う違う。お子さんから。読みましたら、なんと素晴らしい俳句ですよ。読ませていただきます。
浜田 はいどうぞ。
梅沢永世名人 「おっちゃんはうわさの俳ゆうナンバーワン」
浜田 マジですか?ホンマに書いてるなあ。10歳の子。
梅沢永世名人 そうです。もうそのぐらいあの、私のことをみんなが応援してくれるので、これが俳句なんだというのをですね、仮面ライダーにも教えたい(笑)。
浜田 ね、2人いますからね、仮面ライダー。
***(以下CM中)
梅沢永世名人 それから、僕も野球やってましたから。デカい声出しゃ良いってもんじゃないと…。
浜田 (ティモンディの)このお二人にも。
梅沢永世名人 教えておきたい。
[永世名人のお手本披露]◆『子の傘に 透ける窓あり 青蛙』 梅沢富美男村上 あ~いいね。
【本人談】私の家のすぐ近くに小学校がある。ウチといっても小さなウチですよ(笑)。田園調布で150坪くらいの小さなウチ。よく、お子さんが行き帰りするのを見る。傘を差している時にびっくりしたのが、今は透明な窓がお子さんの傘にある(=開いた有色の傘の一部に、ビニールの透明な三角部の窓が加工されている)。お子さんは好奇心が強く、透明な窓から青ガエル(を覗くように見ている)。(子どもの真似で)「
あっカエルだ~」って見て遊ぶ好奇心。
浜田 今の何?(笑)「あっ」って。
本人 お子さんになった気持ちで。
浜田 あ、そういうことね。
本人 あ、カエルだよ~!浜田 もういいから!
■査定結果永世名人33句目に
掲載決定
理由:伏線がはれている!
夏井先生 良いところに目を付けたのを褒めたい。
中七までで
特徴のある今どきの子どもの傘を映像として書けている。非常にコンパクトだが、確かな表現。「
あり」という言い方は、このまま投げ出してしまうと一見説明的なにおいがする。
なぜ
説明的な言い方をしているのかが伏線になる。この後に「
青蛙」という季語が飛び出してくるかのように、活き活きと出てくる。
それにより、
透ける窓から青蛙を今見つけたんじゃないかと、おっちゃんの思い通りの展開に読み手を引っ張ってくる。
子どもたちはいろんなことをして面白がる。
見つけた青蛙を窓に乗っけて歩いているなど、その後の色々な遊び方も一緒に想像できる。こういうのが確かな俳句。直しはいらない。
浜田 イヤ凄い。
本人 夏井先生、あなたの説明は100点満点です!(笑)
高岸 その通りです。
浜田 腹立つから(シュレッダーのボタンを)押したろか。
本人 ちょっと…。
添削なし
動物季語「青蛙」と今どきの子どもの傘の様子との取り合わせ。傘の様子がわからないと、「透ける窓」が何の比喩かと考えてしまう表現ですが、要は単なる透明なビニル傘ではなく、外が見えるように一部だけが透明なビニル部分に加工された傘だという一つの発見を「あり」と言い切って描いています。もちろん、それだけでは単なる詩情はありませんが、季語で成功した一句。「青蛙」とあるため、傘の色との対比もあり、窓から蛙を覗いている子の帰り道ではないかと想像できます。「蛙」はジブリアニメなどでもよくコマ割りで登場しますが、今どき蛙を見つける機会も都会では難しいかもしれません。梅沢御大も子どもの声を出す形で童心に帰って説明しましたが、現代的な光景と合わせることで、古き思い出を再投影するかのような効果のある一句です。
★次回6/24のお題は「ただいまのお待ち人数」、郵便局などにある発券機の写真です。
水彩画査定で4ランク昇格があった後半の俳句コーナーの兼題は「折りたたみ傘」。梅雨時には欠かせず、毎日のように持っておきたいもの。梅雨の季語と合わせやすく、「雨」を用いたのが3名、「傘」を用いたのが特待生2名を含む4名でした。
また、減点により才能アリが1人もいなくなりましたが、これは2016年の「教室と桜」で二階堂さんが才能アリだったものの「桜」を「桜草」と間違えて減点され、羽田圭介さんが凡人1位に繰り上がって以来5年ぶりのことです。平場挑戦者と特待生以上の実力差がよく分かる回という印象でした。
さて、個人的なことですが通常使用していたパソコンが故障してしまい、現在別の媒体で編集している関係上、更新が大変遅くなっております。7月初頭までこのような環境での編集を余儀なくされますが、温かく見守っていただければ幸いです。
- 関連記事
-
スポンサーサイト