2021年4月22日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
挑戦者→福田麻貴[4],二階堂高嗣[27],相田翔子[6],中村ゆりか[初],加藤清史郎[初],藤本敏史[66],梅沢富美男[129] ※数字は挑戦回数●お題:ボトルガム
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位70点 | 福田麻貴 (3時のヒロイン) | 朧夜や四つ目のガム母まだか | おぼろよやよっつめのがむははまだか |
2 | 凡人2位57点 | 二階堂高嗣 (Kis-My-Ft2) | 春日傘原宿からやNHK | はるひがさはらじゅくからやえぬえいちけー |
3 | 凡人3位55点 | 相田翔子
| 晩春や座して止まらぬ筆とガム | ばんしゅんやざしてとまらぬふでとがむ |
4 | 凡人4位40点 | 中村ゆりか
| 春惜しむガム食べ過ぎて味忘れ | はるおしむがむたべすぎてあじわすれ |
5 | 才能ナシ5位15点 | 加藤清史郎
| 天辺を開けて飛び込む秋の山 | てっぺんをあけてとびこむあきのやま |
6 | 名人10段★1で現状維持- | ★藤本敏史 (FUJIWARA) | ガムを噛む子等とバス待つ日永かな | がむをかむこらとばすまつひながかな |
7 | 永世名人29句で掲載ボツ | ★梅沢富美男
| 球春やベンチ入りするボトルガム | きゅうしゅんやべんちいりするぼとるがむ |
→編集後記→永世名人・
梅沢富美男は現在3連続ボツ査定。
浜田 今回、永世名人自信のほどはいかがですか?
梅沢永世名人 あの、(3連続ボツで)調子が悪いんですよ。頭打ちってよく言いますよね。それに陥ってるのではないかと。
浜田 あ、なるほど。
梅沢永世名人 いま、夏井先生が新しいクラブと言いますかね、おウチde俳句という、ネットのクラブ(=「夏井いつきのおウチde俳句くらぶ」)を立ち上げたんです。
浜田 へぇ~。
梅沢永世名人 そこの会員になってイチから出直そうかと。
藤本名人 ハイ媚売った~(笑)。
梅沢永世名人 何よ?
藤本名人 媚売ってる~。
梅沢永世名人 何を媚売ってるの?
藤本名人 「宣伝してますよ!」みたいな。ねえ。媚名人。
浜田 分かりました。
***
→俳優・
加藤清史郎は現在19歳の大学生。1歳1か月でデビューした芸歴18年目で、8歳で演じた「こども店長」のCMで話題に。
藤本名人 可愛い。
浜田 こども店長や、ねえこども店頭(笑)。でもやったことないやろ?
加藤 俳句は本当に学校の授業で一度習ったかくらいで…。まあでもちょっと才能があることを祈って、全力で…。
浜田 ないと思うよ、俺は(笑)。
二階堂 決めつけちゃった。
加藤 そこを何とかもう…。
***
→キスマイ
二階堂高嗣は今回が27回目の挑戦。ここ3回連続才能ナシで、累計才能ナシ11回はぶっちぎりのトップ。
藤本名人 二階堂、もう諦めたら? もうホントにもう。
二階堂 諦めません。
浜田 マジで?
二階堂 前回(先週)、浜田さんが「お前、どうする今後? やめるか?」って言ったじゃないですか。「1回持ち帰らせて下さい」って(自分が)言ったじゃないですか。収録が終わって楽屋に帰る頃に「僕頑張ります!」って言っちゃったんです。
浜田 いやいやいやいや(笑)。
二階堂 夏のタイトル戦も僕、ありますから。
◆2021年7月開幕・夏の炎帝戦ルール◆ 過去に1度でも才能アリを獲得した人全てに参加資格あり |
一同 (笑)
藤本名人 えっ?
二階堂 僕諦めてないです。
藤本名人 ホントに大丈夫? やめなさいよ~。
二階堂 才能アリ、何回か獲ってるんですから。
***
→3時のヒロイン・
福田麻貴は4回目の挑戦。初回に才能アリ、凡人2回を獲得している。前回は元々才能アリを獲得していたが解説後に凡人に降格した。
福田 そうなんですよ。
浜田 せやせやせやせや…。
福田 私その1回しか才能アリ獲ったことないんですけど、その1回がただの才能アリじゃない。すんごい才能アリやったんです。
二階堂 「すんごい才能アリ」。
藤本名人 そんなんある?
浜田 ゆめっちどうなの? 悩んでたりとかしてましたか?
ゆめっち そうですね。(提出)締切の日に単独ライブがあったんですけど、その時も凄い悩んでて出トチって(=台詞を間違えて)ましたもんね(笑)。
浜田 え? それ、あかんやん。
福田 出トチってないよ。
ゆめっち ちょっと出トチってました。
福田 出トチってないです。トリオで一番しっかりしてる人なんで。
藤本名人 そこはもう、出トチったでエエんちゃう?(笑)
福田 いやいや、私そんなんする人ちゃうんで。
***
→
相田翔子は6回目の挑戦。過去5回中3回才能アリを獲得。前回72点の高得点のため、次の特待生に最も近い存在と紹介。
浜田 あららら、やりましたね。今回は自信がある?
相田 何て言うんだろう。ここから(発想を)膨らませるのに物凄い苦労したんですね。
藤本名人 あー、ガムだけにね。
相田 …うーん、でも…。
藤本名人 聞いてます? 相田さん?(笑) 凄いスルーの仕方!
浜田 いやいや、相田さんこういう人だから大丈夫。
***
→女優・
中村ゆりかは初登場。土屋太鳳主演の連続テレビ小説「まれ」に出演。中国語も堪能なインテリ派と紹介。
浜田 中国語イケるんですか?
中村 (手を合わせて)シェイシェイ(謝謝)。
浜田 シェイシェイ。
藤本名人 いや、誰でも言えるやろ(笑)。
浜田 どうですか? でも、俳句ですよ。
中村 ホントに、精一杯頑張って作ったので、「才能アリ」それしかないですね。
藤本名人 えっ?
浜田 「それしかない」。凄い自信でございます。
★ランキングシートの分布は才能アリ1名、凡人3名、才能ナシ1名
梅沢永世名人 凡人だらけ。
浜田 ねえ、いやもう。誰がおんの?1位?
福田 いやいや…、いますいます。
ゆめっち います。
浜田 やる~?どうする?
福田 やりますよ。
***
浜田 まあ凡人からいきましょう。2位ぐらいから開けましょう。
福田 でも1位がいい。
▼凡人2位は二階堂
藤本名人 惜しい。
→立ち上がってポーズを決める二階堂
浜田 何やねん。
藤本名人 凡人やから。
***
浜田 次はもう少しでアンタ才能ナシやったかもという4位あたり行きますか?
▼凡人4位は中村
藤本名人 凡人。
中村 (手で顔を覆い隠して)チ~ン!
浜田 メッチャ自信あるって言うたやん。
藤本名人 何?中国語で詠んだの?
中村 いや、今普通に(呼び鈴の真似で)「チ~ン」って鳴らしました。
藤本名人 どういうこと?(笑)
二階堂 「どういうこと?」アハハっ。
***
浜田 (加藤に)店長どうですか。ここまでくると(笑)。店長どう思う?
藤本名人 一般の方やないねんから。清史郎くんね。(日曜劇場)「ドラゴン桜」(TBS系4月25日夜9時から/東大合格を指南する学園ドラマ)出てるんです、次。
加藤 あ、そうなんです。
浜田 あ~そうなの。
藤本名人 「ドラゴン桜」って、東大を目指してる高校生ですよね。
加藤 はい。
藤本名人 これ~、才能ナシやと凄いマイナスのプロポーションになっちゃうよ、ホントに(笑)。
***
浜田 そしたらこれは凡人の3位開けましょう。
相田 はぁ…。
▼凡人3位は相田
二階堂 えっ?
浜田 ここで相田さんが3位です。
***
二階堂 うわっ、どっち?
浜田 もうどちらかです。
梅沢永世名人 店長…。
藤本名人 うわっ。どっちや。
▼才能アリ1位は福田、才能ナシ最下位は加藤
福田 やった~!嬉しい!
藤本名人 ちょっと清…。
二階堂 ちょっとヤバイよ。
浜田 ハハハっ。
藤本名人 やっちゃった。
●それでは順位別に見ていきます
◆1位
才能アリ70点 福田麻貴(3時のヒロイン)『朧夜や 四つ目のガム 母まだか』梅沢永世名人 おっ。
相田 あっ、泣ける。
【本人談】(自分が)子どもの頃に母がスナックで働いていたため、帰ってくる夜中まで頑張って起きていた。ガムの味がしなくなると新しくガムを噛むが、何個噛んでも母が帰ってこないという。
ゆめっち 切ない。
夏井先生 短い俳句で時間経過を表現するのはなかなか難しい。それをよく頑張った。
本人 (甲高い声で)ハァ~!
浜田 どっから声出してんねん。
本人 久々に褒められました。
夏井先生 どこが時間経過を表現できたかと言うと
「四つ目」の数詞と「ガム」という物によって時間と映像が一緒に表現できている。
最後の「母まだか」の心情に対し、「朧夜」の茫洋とした切ないような美しい気持ちと響き合う。
特待生を目指すアドバイスを一つ。
手元にある
「四つ目のガム」から始めた方が映像がハッキリと見えてくる。
ここから窓の外の
「朧夜を」「母まだか」とする。
そうするとどんな効果があるか。
4つ目のガムを噛んでいる私がいる。窓の外には朧夜が広がっている。
その朧夜の奥の方に、母の微かな姿や気配がちゃんと出てくる。
これがわかるようになると、
アンタは特待生でやれるかもしれない。
浜田 おいおいおいおい。
梅沢永世名人 これはイイ。
本人 俳句で時間経過を表すことができるってのは天才ですよね(笑)。
藤本名人 メチャクチャ言うやん。メチャクチャ自画自賛するやん。褒められたら。
添削後
『四つ目のガム 朧夜を 母まだか』
春の季語「朧夜」を強調し、自身がガムを噛みながら人物を待つ心境を取り合わせた一句。下五「母まだか」の問いかけが情緒的ですが、数詞の「四」が効いています。誰かをずっと待っている場合、大きめの数詞を使いがちですが、「四」と押さえることでガムを一つずつ大事に噛んでいた様子が伝わり、「つ」で粒状のガムであること、季語「朧夜」の持つ不安な心境が「まだか」と呼応しています。語順が添削されるも、特待生候補に名乗りを上げた形に。詩情を表現する意図が芸人らしく達者な印象ですが、欲を言えば、添削なしが1句は欲しいのと、3連続で季語+「や」+12音の基本形のため、違う型も見たいところです。
◆2位
凡人57点 二階堂高嗣(Kis-My-Ft2)『春日傘 原宿からや NHK』【本人談】「春日傘」(=日差しが強くなり始める時期の春の季語)はもうすぐ夏が来るよという季語。ジュニア(ジャニーズjr.)時代、毎年夏にイベントしていたが、リハーサルは毎週(東京・原宿の)NHKで行っていた。そこに向かう時にボトルガムをよく噛んでいたなと。実体験です。
梅沢永世名人 これね、
「や」が気に入らない。何で詠嘆したの? 「や」って。だから凡人なのよ!「や」なんて要らないよ!
本人 えっ?そんなキレます(笑) そんなキレなくても…。
夏井先生 名人はさすが。見た瞬間に
「や」だけがおかしいと分かるはず。
本人 え~!?
夏井先生 これ分からずに「やった~!」と言っている君に驚いている(笑)。
この「や」は考え方として、この場合2通りありそう。
①「原宿からなのかしら?」という軽い
疑問の意味、
②「原宿からだなあ」という
詠嘆の意味。どちらにしてもおかしい。
日本語としておかしいということに気付け!(笑)
「原宿」から始める。「NHKへ」行ったならそう書き、季語を最後に。
こうすると調べが少し良くなり、穏やかに。浜田 二階堂君どうですか?
本人 (頷く仕草)(笑)
梅沢永世名人 分かった?
本人 分かった…。
藤本名人 あっ。
浜田 あれ?今日でなんか…。
梅沢永世名人 変わったね。
本人 なるほどな…。
浜田 マジか。
梅沢永世名人 一皮むいた?顔つきが変わりましたよ。
浜田 お前それ、芝居やったらドつきまわす(笑)
本人 (苦笑い)
添削後
『原宿から NHKへ 春日傘』
季語「春日傘」と固有名詞を二つ用いて幼少期の体験を表現した三段切れの一句。原宿から日傘でNHKまで通った意図のようです。昨年の才能アリ句「小高の地心に刻む春日傘」と同じ季語を使い、実体験を詠んだ点は褒めるべき。しかし、今回も二階堂さんの悪い癖がでました。中七「や」は、藤田湘子氏の俳句入門書にも紹介される基本の型ですが、あくまで下五に季語を置きます。この型は最近の特待生らもタイトル戦でよく挑戦しており、昨年の金秋戦で詠まれた森口さんの「被爆ピアノ」、ジュニアさんの「鍵盤図」が成功例ですが、失敗すると下位に沈む非常に難しい型です。二階堂さんの中七「や」はこれで5度目ですが、いずれも凡人査定で4度は添削で削除され、なぜか上五に季語が置かれるケースが目立ちます。また、固有名詞の「原宿」「NHK」は片方でも良く、7音の「NHK」を下五に置くよりは「テレビ局」で良いと思いました。ご本人は炎帝戦の参加を熱望しており、万が一の可能性に賭けているようです。二階堂さんは普通に俳句を詠まれるより、台詞を用いたフレーズならワンチャンもあるのではないかと思います。
◆3位
凡人55点 相田翔子『晩春や 座して止まらぬ 筆とガム』【本人談】春の終わりの切ない夕方から夜にかけ、(机に向かい)集中してただひたすら筆を動かす。その横には(ボトル)ガムがあり、ひと粒ひと粒食べて夜が明けていくみたいな、静かな時間を。
梅沢永世名人 良い所見つけたけどね。勿体ない言葉が2つあるんです。
本人 はい。
梅沢永世名人 「座して」って書かなくても、大体皆さん(椅子に)座って書いてるでしょ。これが余分だった。それと「筆とガム」。これもどっちかにすれば良かった。どっちかにすれば良かった(笑)。目の付け所は最高に良いです。
夏井先生 本当に目の付け所は良い。問題点は
「座して」がまず要らないということ。
筆を持つということ=座っているということ。
もう一つも指摘があった。
「筆」「ガム」を並列で並べることで、どっちを強く言いたいのか、それが分かりにくくなっている。
さらに季語「
晩春」は(春の晩の頃ではなく)、春の季節[初春―仲春―晩春]の一番後ろをいう。
そうなると、
時間軸が長すぎる。季節の三分の一を、ずっと座して止まらずに筆とガムを食べるのは無理がある。
季語を修正するところから。「晩」の一字を諦めて「
春夜」とする。
さっさとガムを噛み始めないと音数が足りなくなる。「
ガム噛む」と畳みかける。
「止まらぬ」も要らない。ひたすらに書いているならそれを書く。「
ひたすらに」で一生懸命集中して書いているのが分かる。
「
筆走らせ」くらいが良い。
本人 素敵~。
夏井先生 ここら辺まで持ってくれば、才能アリにはちゃんといける。
添削後
『春夜ガム 噛むひたすらに 筆走らせ』
時候の季語「晩春」と筆の動作、ガムを食べる双方の動作を取り合わせた一句。中七の動詞2つが説明的なのが気になりますが、着眼点は面白い一句で、「筆」は毛筆を想像しました。梅沢御大がすぐさま弱点を見抜くのも流石ですが、並列の助詞「と」は俳句では焦点がぶれやすく要注意の助詞です。また、本人の説明では「春の終わり」「遅い時間」と両方の時間帯を「晩春」で表現したようですが、「春の終わり」はこの句では感じにくく「春夜」に添削されたため、時候の季語の認識が疎かと先生に判断された形に。才能アリは3度獲得していますが、特待生はまだまだ遠いようです。
◆4位
凡人40点 中村ゆりか『春惜しむ ガム食べ過ぎて 味忘れ』藤本名人 ん?
浜田 フジモン声が、デカい。
【本人談】ガムは食べ過ぎると味が分からなくなってしまう。それを、春の楽しかった出来事の記憶がドンドンなくなってしまうことに繋げた。
藤本名人 ガム食べ過ぎて味忘れることある? 味が薄くなるんやったら分かるけど、味忘れることある?
本人 (大真面目に)私はあります(笑)。
福田 ゆりかさんはあるんだ。
浜田 絶対ああ言ったら、こう言うよな。
藤本名人 中村さんはあるかもしれないけど…。
夏井先生 これは
意味は間違いなく伝わる。ただ、内容を読むと
季語以外に詩情のようなものがほぼない。
「ガム」から始めるしかない。
「食べ過ぎて」と説明しているからどうしようもない。
「忘れ」てる場合でもない。「ガム
の味」と率直にまずくっつける。
ここから。名人10段フジモンさんが良いことを言った。
「味が薄れていくことはある」と。それを借りてみる。
あくまでも
季語を主役に立てるのが俳句。
ガムの味が薄れていくことによって、春を惜しむという文脈に持っていく。
「
薄るるごとく春惜しむ」とくる。
梅沢永世名人 あ~良いねえ!
夏井先生 味が薄れていくにしたがい、私は過ぎていく春を心から惜しんでいると。
本人 そうですね。こういうのを作りたかったんですよね。
藤本名人 でしょうね。
浜田 あ~そうね、ああいうことをね。
梅沢永世名人 それはね、色々本を読んだり、それから「(夏井いつきの)おウチde俳句くらぶ」。
浜田 また言うた。
梅沢永世名人 「おウチde俳句」!
浜田 おいおい。
藤本名人 メッチャ宣伝してますやん。
二階堂 めっちゃ媚びてる。
梅沢永世名人 夏井先生は俳句のタネをまいてるんのよ! それに水かけてるのは私なんだから(笑)。
藤本名人 完全に乗っかってますやん。
本人 私も「おウチde俳句」をちゃんと読ませていただいて、(2位の)二階堂さんよりも上に行きたいなと思いました。
二階堂 媚び売るタイプの子だ(笑)。
添削後
『ガムの味 薄るるごとく 春惜しむ』
晩春の季語「春惜しむ」とガムを食べ過ぎて味を忘れたという心境を表現しようと試みた一句。一読して動詞が多すぎるのが厄介。兼題写真のボトルガムは様々な色の味があるせいで、何の「味」を忘れたのかが引っかかり、実は読みを迷いました。最初に食べたガムの味なのか、味が混ざってしまい本来のガムの味なのか、あるいは食後のガムで料理の味を忘れたのかはこの句で判断できないところ。春が惜しいと思う点に色々な味を忘れ去った意図もありそうで、様々な読みを引き出せれば詩情も出てきそうな句材です。藤本名人の指摘は中七「噛み過ぎて」なら納得できます。ご本人の説明も上手く出来ていませんでしたが、天然なようで我が強そうなだけに今後能力を発揮する可能性があります。
◆最下位
才能ナシ15点 加藤清史郎『天辺を 開けて飛び込む 秋の山』藤本名人 ん?秋?
【本人談】ボトルガムの蓋を開けたら、ガムが色々な色をしている。秋の山の紅葉しかけている葉があったり、まだ緑の葉があったり…。
藤本名人 清史郎くん、あの今~
春やで(笑)。
梅沢永世名人 いや、同じ天才子役だからね(笑)。
藤本名人 いやいや…。
浜田 誰が同じやねん。
梅沢永世名人 梅沢さんは1歳7ヶ月(で子役デビュー)。梅沢さんより早く(1歳1ヶ月で)デビューしてるんだ。ねぇ。同じ天才子役で(自分は)新聞に書かれて大騒ぎだった(笑)。
藤本名人 えっ?
梅沢永世名人 お題は
「ガム」ですよ。どこにガムが入ってるんですか?浜田 あ~ちょっと分かりにくい。
梅沢永世名人 読んでも分からない!
本人 …はい。
梅沢永世名人 えっ? そんなことやってどうするの!?
本人 でも、こんな落ちこぼれの生徒が東大を目指す…。
浜田 (大声で)あああ~!
本人 …お話なので(笑)。
浜田 お前、どこで(「ドラゴン桜」の番宣を)ぶちこんでくんねん。
本人 是非ご覧下さい。
梅沢永世名人 でも上手い。
藤本名人 上手い、上手。
二階堂 上手い。
夏井先生 我々のように兼題写真を見ていれば、
「天辺を開ける」が「ボトルガムの蓋を開ける」と想像できなくはない。これを字面で読んでもらうのが俳句というもの。
「秋の山」は比喩で、秋の山のように見えたと。そう書くべき。「
秋の山みたいに」と書く。
「天辺を開けて」いる場合ではない。さらにもう一つ言うと
悠長に「飛びこ」んでいる場合でもない(笑)。本人 申し訳ございません。
夏井先生 この場合はしっかりと
「ボトルガム」であることを書くしかない。
残りやれることは「
とりどり」ぐらい。色とりどりのイメージ。
これで作者の言いたいことに寄せることが出来る。
ただ、俳句というフィールドの中でこの季節に秋の句を出してくるということ自体が、
季節に対して非常に鈍感であるといえる(笑)。
福田 「季節に鈍感」。
添削後
『秋の山みたいに ボトルガムとりどり』
兼題から秋の紅葉を想像するも全体を比喩して失敗した一句。真逆の季節を詠んで怒られるのは仕方ありませんし、兼題写真がないと分からない表現です。秋の山の山頂付近を切り開いて身を投げる人がいるという読みは俳句では詩情がありませんが、「天辺」はボトルガムの蓋の比喩、「飛び込む」は自害ではなく自分の目に飛び込んでくるという比喩、「秋の山」はガムの様々な色を秋の紅葉に比喩した形です。番組当初は日常茶飯事のように見られたタイプの句でしたが、自解中に番宣をするのはこの番組では嫌われます。明らかに番宣目的の元こども店長でしたが、ドラマでの活躍に期待しましょう。
★永世名人への道★◆『ガムを噛む 子等とバス待つ 日永かな』 藤本敏史(FUJIWARA)【本人談】春休みに「遊びに行こうか」と(バス停で)バスを待つ小学生の男の子たち。そのぐらいの年頃だと、外でガムを噛むことがカッコイイなどと言い、少し背伸びをしている男の子とバス停で一緒になった春の日を詠んだ。
梅沢永世名人 これはね、
名人が詠む俳句じゃないですね。
本人 ん?
梅沢永世名人 普通の俳句です。名人が詠むような俳句じゃない。
本人 何でなんですか?
梅沢永世名人 それから「
かな」。出ました「かな」。
浜田 はっ?
梅沢永世名人 「かな」使ったらもう終わりヨ(笑)。私は「かな」で何回も失敗してるんだよ(笑)。
本人 そうなんですか?「かな」えっ?「かな」で良いと思ったんですけどね。
★評価ポイント「ガムを噛む子等」&「バス待つ」と(これらと)季語「日永」の取り合わせの是非
浜田 全然関係ないやん!(笑)
本人 「かな」だけ出てこうへんかった。
梅沢永世名人 ごめんなさい…。
本人 「ごめんなさい」小っちゃい声で。小っちゃい声で「ごめんなさい」言うた。
■査定結果名人10段★1で
現状維持-理由:可もなく不可もなし。
梅沢永世名人 現状維持なのよ。ほら。普通の俳句だっていうじゃないか、お前。どうだ?
本人 たまたまでしょ?
夏井先生 「バス待つ」という行為と「日永」はありがちな取り合わせ。
ただ、ありがちな取り合わせでも
別の部分でオリジナリティー・個性を持って入れば絶対ダメというわけではない。
その意味で
「ガムを噛む子等」と一緒にという場面設定は今どきの子たちの姿が少し見え、そこは良いと思う。
特別何を直さないといけないということもないが、
強く推したい魅力もほとんどない(笑)。
浜田 あ~そうか。先生、直しは別にしなくても良いという…。
夏井先生 直す必要はないが、作品そのものが実に普通だということ(笑)。
梅沢永世名人 シュレッダー。
本人 何でシュレッダーかけられるんですか。
添削なし
ガムを噛む子という人物とバスを待つ心境を、時候の季語「日永」と合わせた一句。名人として明らかに置きに行っているタイプの句ですが、兼題から真っ当に描写出来ている句で、動詞2つをしっかり機能させているのは10段として及第点。複数人で待つ楽しさを春の日差しが包み込むような効果を持つ「日永かな」の詠嘆も何の問題もないと思います。ただ、子どもの動作に着目し、以前も「探梅行」の句を詠まれていた藤本さんにしては物足りない印象は感じます。選者によっては褒めるでしょうが、夏井先生の投句サイトなら人選も厳しいかもしれません。さらなる挑戦に期待しましょう。
★永世名人 富美男のお手本★※永世名人・梅沢富美男が50句の傑作を詠んで、俳句史に残る句集完成を目指す「永世名人梅沢富美男 傑作50選」[永世名人のお手本披露]◆『球春や ベンチ入りする ボトルガム』 梅沢富美男藤本名人 ん?
【本人談】「球春」はプロ野球など春になると始まり、それを季語にした方がいる。大リーガーや日本のプロ野球を見ているとみんなクチャクチャと(ベンチでガムを噛む動作を)している。あ、ボトルガムもベンチ入りしたんだなという俳句。これは掲載でしょう。
■査定結果永世名人29句で掲載
ボツ理由:臭い!
藤本名人 あはははっ。ほら。
福田 「臭い」。
ゆめっち 臭かったんだ。
夏井先生 ベンチにボトルガムを見つけたと。それだけで俳句になる目の付け所・材料が揃っている。
何がくさいかと言うと…。
浜田 真ん中やなあ。
夏井先生 中七の擬人化。おっちゃんは擬人化をやると何かやった気になる(笑)。
これだけはやめて欲しい。
淡々と書く。描写するだけ。ベンチの端に置いてあったんでしょ?
本人 そうだよ!
夏井先生 そう書くんだよ。
「ベンチ
の端」と。この後の助詞をどうするかで言いたいことが微妙に変わる。
「
に」だと場所を示す助詞。
こんな所にボトルガムが置いてあるという小さな発見を言える。
もう一つ。
「
の」だと球場が映っていて、
ベンチの方にずっと視点が絞られていき、さらに絞られていくとボトルガムが見えてくるという。そんな効果になる。
おっちゃんとして、
「に」「の」どちらが良いかは作者が決めるべきタイプの句。
どっちかにしてくれれば、本当に面白い句。
本人 役者に「臭い」って言うな!
夏井先生 あっ。
本人 アンタの「おウチde俳句」を何回も!
添削後
『球春や ベンチの端に ボトルガム』
『球春や ベンチの端の ボトルガム』
「球春到来」で使われる「球春」とボトルガムの比喩を取り合わせた一句。コメント欄でも議論がございましたが、野球好きだった正岡子規。「まり投げて見たき広場や春の草」など俳句にも野球の句が詠まれています。「球春」自体は子規の言葉ではありませんが、2006年刊行の岩波新書「季語集」に初めて掲載された季語のようです。そして、実はこの句も良し悪しの判断が難しい所。野球選手がガムを食べる動作の着眼点が良く、発想力は段違いの永世名人。「ボトルガム」を擬人化する挑戦もオリジナリティーがあり面白く、この句は字面通り解釈するというよりも、「ベンチ入り」まで書いているため、ボトルガムを食べている選手がベンチ入りしているのかもしれないとは思いました。ただ擬人化がなかなか成功しない御大。「球春」と(ベンチ)「入り」の情報の重複も考慮すべき点で、どこにボトルガムを置かれるのか添削を受けました。この番組以外で俳句を詠まないと心に決めていた御大。ご本人のブログでも「おうちde俳句くらぶ」を宣伝していましたが、藤本名人の指摘のように明らかに媚を売っていたことが証明された今回。俳句はプレバト!!一本で頑張っていただきたいものです。
浜田 永世名人の名誉のためにボツにさせていただきます。せーの、ドン!
(シュレッダー演出)
一同 あ~。キレイ。桜みたい。あ~。
浜田 いや、これはやっぱり世に残せない。永世名人の句だと思われたらダメなんでね。
藤本名人 4連敗ですか。うわあ~、臭いですね(笑)。
和紙ちぎり絵の後半のコーナーとなった俳句の兼題は「ボトルガム」。クロレッツやキシリッシュをはじめ、今では多くの種類がありますが、ガムとしては比較的高価な商品です。以前は板ガムが主流でしたが売れ行きも良いのでしょうか。
句の中に「ガム」を入れ込んだのは平場3名と名人2名。中でも梅沢御大は兼題をそのまま入れましたが、1位の福田さんは数詞と「呼びかけ」の心情が効きました。また、最下位の加藤さんは「ボトルガム」を添削に入れる形で指導されましたが、今回の兼題で詠むのは難しかった印象です。
さて、既にご存知の方もいらっしゃると思いますが、当ブログが何と夏井先生のYouTube「夏井いつき俳句チャンネル」にて紹介されました。細々と書き綴っていたブログだけに、まさにビックリしております。誠にありがとうございます。ツイッターやYouTube記事でも紹介していますのでお時間がある方は是非ご覧下さい。なお、「着流(きながし)きるお」さんは独自査定でお世話になっている松山の若手俳人で、当ブログ編者ではございませんので、勘違いなきようよろしくお願いします(笑)。
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