20210415 プレバト!!俳句紹介【リュック】

2021年4月15日放送　プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。

挑戦者→本上まなみ[初],石塚英彦[初],鷲見玲奈[3],二階堂高嗣[26],稲田直樹[初],森口瑤子[14],梅沢富美男[128]　※数字は挑戦回数

●お題：リュック


※番号クリックでリンク内移動します。

1	才能アリ1位70点	本上まなみ	ちびリュック中身はおむつ山笑う	ちびりゅっくなかみはおむつやまわらう
2	凡人2位60点	石塚英彦	旅支度真の雪解待つばかり	たびじたくしんのゆきどけまつばかり
3	才能ナシ3位37点	鷲見玲奈	旅鞄枕に寝て見る朧月	たびかばんまくらにねてみるおぼろづき
4	才能ナシ4位35点	二階堂高嗣 (Kis-My-Ft2)	春鱚釣想い昂る亡き父	はるきすつりおもいたかぶるなきちち
5	才能ナシ5位5点	稲田直樹 (ｱｲﾝｼｭﾀｲﾝ)	春粉がリュックの色に顔染めて	はるぷんがりゅっくのいろにかおそめて
6	2級へ1ﾗﾝｸ昇格	●森口瑤子	花疲れリュックの底の底に鍵	はなづかれりゅっくのそこのそこにかぎ
7	永世名人29句で掲載ボツ	★梅沢富美男	飯盒を逆さにしばし揚げ雲雀	はんごうをさかさにしばしあげひばり

→編集後記

■トーク集(プロフィール)▼

→タレント・石塚英彦は初登場。
浜田　さあ、石ちゃんこの番組はあれですよ。このコーナー、俳句ですよ。
石塚　俳句。先生がホントにストレートに人がへこむ意見を言うじゃないですか。
浜田　はははっ、はい。確かにね。
石塚　一応泣く準備はしてきてる…(笑)。
二階堂　自信が…。なんか、浜田さんと石塚さんが並んでんのって新鮮ですよ。
浜田　あ、そうか。昔は一緒に番組出てたんですよ。
石塚　35年前になる(フジテレビ系の)「ひょうきん予備校」という番組がありまして、ひょうきんな人が集まる番組じゃないですか。一人だけ犯罪者みたいな…(笑)。
→石塚にビンタをする浜田
二階堂　一人だけ。
浜田　やめとけや。あはははっ。
稲田　ひょうきんな犯罪者。
石塚　だから、もう関東の芸人がビビっちゃって。あの人(浜田　当時23歳)とは「目を合わせない」みたいな(笑)。
二階堂　ひょうきんじゃなかった、1人だけ。
＊＊＊
→タレント・本上まなみは初登場。20歳頃から実力派女優として数々の人気ドラマに出演した。
浜田　まあ、本上さんみたいな人が最初は才能ナシでも僕は良いと思うんです。
本上　あ、ホントですか？
浜田　テレビ的にね(笑)。
二階堂　そんなちゃんと言う…。
本上　頑張ります！　上手になりたいです。
＊＊＊
→キスマイ二階堂は26回目の挑戦。現在2回連続の才能ナシ。
浜田　これ、皆さんどう思います？　25回出てて、まだ特待生にもなれんと。毎回ゲストと同じ(平場の)所に座ってやる。
河井　そうですね。
稲田　それはもう事務所のパワーですよね(笑)。
河井　いやいや、とは限らんやん。オファーがあるからや、それは。
二階堂　事務所パワー…。
稲田　僕らやっと出たんですよ。
河井　確かにね。
浜田　あのね、これ見てくれる？(過去の成績シート)これ、全部お前やねん。
二階堂　それ、前回貰った同じの僕持ってます。
◆過去25回の成績
才能アリ3回、凡人12回、才能ナシ10回

2015/8/13	才能ナシ	最下位	2017/8/10	凡人	2位	2019/3/21	凡人	4位
2015/10/1	才能ナシ	最下位	2017/9/14	凡人	4位	2019/5/2	凡人	3位
2016/2/18	才能ナシ	最下位	2017/11/9	凡人	3位	2019/8/22	才能ナシ	4位
2016/3/10	凡人	2位	2018/1/11	凡人	4位	2019/11/14	才能アリ	2位
2016/6/23	才能ナシ	5位	2018/2/15	才能ナシ	最下位	2020/4/16	才能アリ	1位
2016/8/11	才能アリ	1位	2018/6/21	凡人	4位	2020/11/26	才能ナシ	4位
2016/10/13	凡人	2位	2018/10/18	才能ナシ	最下位	2021/1/7	才能ナシ	最下位
2017/1/16	凡人	2位	2018/12/20	凡人	2位
2017/6/8	凡人	3位	2019/1/10	才能ナシ	4位

玉巻アナ　あははは。
浜田　見てこれ、ピンクが才能ナシなんです。これ新しいバージョンです。
二階堂　一応、新しいバージョン貰っておくか(笑)(→受け取る仕草)。ただ、ホントに今日…作り方変えました。
梅沢永世名人　うん。
二階堂　挑戦しました。
浜田　オーケーオーケー、いいよいいよ。
＊＊＊
→アインシュタイン・稲田直樹は初登場。アゴが出ているブサイクキャラが人気。相方の河井ゆずると出演。
稲田　俳句は僕の方がやらせていただきます。こう見えて日本人の心ありますんで(笑)。
浜田　いや、こう見えてやない。そりゃ、そうやろ。あるやろ。これで日本人の心なかったらお前何やねん！(笑)
稲田　顔いじってます？
浜田　はい。
稲田　誰がいじってんねん！(笑)
河井　いやいや…。
二階堂　「誰がいじってんねん」。
河井　何で浜田さんをブス扱いすんの、いつも。
稲田　誰がいじってんねん！(笑)
浜田　いや、稲ちゃんどうなの？　自信のほどは？
稲田　僕、中学校の頃に国語の先生が厳しくて、作文の問題があったんですけど満点を出す人じゃなかったんです。けど、僕は唯一満点を出したことがあるんです。
浜田　マジか、マジで？
稲田　自信あります。

■トーク集(順位発表)▼

★ランキングシートは才能アリ1名、凡人1名、才能ナシ3名
浜田　これは、先生怒りますよ。
二階堂　えっ？
浜田　さあ、才能ナシ3人いますから1個くらい開けときましょう。才能ナシ3位。
▼才能ナシ3位は鷲見(3回連続才能ナシ)
浜田　アカンで、これはアカンで～！
二階堂　うわっ。
鷲見　うわ～。
浜田　アカンで、これは！
＊＊＊
浜田　才能ナシいかんと、唯一の凡人。もうここ入ってれば上等じゃないですか？
▼凡人2位は石塚
河井　凄い。
石塚　いやいや、凡人でこんなに嬉しいなんて。
二階堂　すげぇ。
＊＊＊
浜田　さあ、残っているのはこの3人。どうですか、今の石ちゃんのを見て。凡人ですけど60点取ってます。さあ、自分の作品どうですか？
二階堂　いや、全然アプローチの仕方が違うんですよ。
浜田　比較にはならない？
二階堂　はい、ならないです。
浜田　じゃあ？
二階堂　1位。
浜田　1位、なるほど。
稲田　僕もその～、無駄な言葉が一切ないので。
浜田　ほぉ。
稲田　今、お二人が指摘されたのは僕のには当てはまらないです。
浜田　あら、マジで？
稲田　はい、僕は才能アリです(笑)
浜田　そんな、そんな言い切られても。
稲田　良かった～。才能アリで(笑)。
河井　マジで？
浜田　違う違う。まだまだや。まだやがな。本上さんどうですか？
本上　いや～何とかビギナーズラックを狙いたい…。
浜田　そりゃあね、そらそうですよ。
＊＊＊
浜田　これはもう、1位と最下位残しますから、才能ナシの4位。ここ行きましょう。
稲田　あ～ここ嫌だな～。
本上　嫌だな～。
二階堂　嫌だな～。
▼才能ナシ4位は二階堂
→両手でセーフのポーズを決める二階堂
浜田　いやいやいや、セーフちゃうよ。セーフちゃうって。
河井　1位って言ってましたもんね、さっき(笑)。
二階堂　あっぶねぇ～！
浜田　いや違う違う違う違う。あっ、こういう逃げ方覚えたんや(笑)。
二階堂　セーフ！
浜田　あ、そう。
二階堂　危ねぇ～。
＊＊＊
浜田　まあでも本上さんも一応ね、一生懸命作って～。
本上　自分の体験を入れましたので。
浜田　まあでも、あの稲ちゃんの自信が凄い。何で笑ってんねん、腹立つな(笑)。
稲田　整ってるんですもん。
浜田　あ～そう。
▼才能アリ1位は本上、才能ナシ最下位はアインシュタイン稲田
→思わず立ち上がって顔を隠す本上
河井　いや、そらそうでしょ。
稲田　え～！
梅沢永世名人　5点。
二階堂　5点ってやばっ！
稲田　えっ？10点満点僕だけ？(笑)
二階堂　5点。
浜田　お前、全然整ってないやん！
稲田　ウソ！？
＊＊＊
本上　ありがとうございます。うわ～。
玉巻アナ　才能アリを獲得しますと、7月に開催される夏のタイトル戦への出場権を獲得することができます。

●それでは順位別に見ていきます

◆1位　才能アリ70点　本上まなみ
『ちびリュック　中身はおむつ　山笑う』

【本人談】
娘が2歳くらいの頃、何でも母の真似をしたがっていた。自分がリュックを背負うと子どももリュックを背負いたがるため、リュックに子どもの物(オムツ)を入れてあげた。リュックを背負って一緒に歩いた山の楽しい春の日を思い出して。

森口　これ同じような体験を私もしているので凄く分かるし、クスっと思わず笑ってしまいました。
本人　ありがとうございます。
梅沢永世名人　いや、これね。本当に偶然なんですけど、私もこのような俳句を作ろうと思ったんですよ。
浜田　そうなんですか？
梅沢永世名人　ところが「ちびリュック」が出てこなかった。浮かんでこなかった。いや～これは素晴らしい俳句ですね、ん～素晴らしい。

夏井先生　やはり実体験はそれだけでオリジナリティーとリアリティーがある。
浜田　そうなんですよね、だから(二階堂のように)ウソついちゃダメなんですよね(笑)。
夏井先生　
この句の場合、作者の身のまわりに「ちびリュック」が実際にあったと。
「中身はおむつ」で、オムツが必要な小さな子であると。
しかも、親や兄姉と同じように「私もリュックを背負いたい」と言ったに違いないという家族の様子まで上五中七で全部伝わる。これが俳句。
最後の季語の選択が良い。春の季語「山笑う」。
春の山は笑っているかのような明るい感じだと。
家族みんなでハイキングにでも出かけてるのかなと伝わる。
これが俳句ですよ！　直しは要らない。
本人　ありがとうございます。

添削なし

【プロキオンの分析・感想】▼

春の季語「山笑う」にハイキングに向かう子のリュックの大きさと中身に着目した一句。「ちびリュック」の単語が愉快に思いますし、全体的なムードが季語と似合っています。「ちび」「山」との対比も良く、季語を最後に見せる語順でハイキング気分を出す工夫があります。最も褒めるべきは定型に収めた点。凡人であれば上五に「の」を入れて字余りにしたくなりますが、「ちびリュック」と切ることで物を提示する効果が強く出ている気がしました。「山笑う中身おむつのちびリュック」なら自然な語順ですが、味わいがまた変化します。初挑戦で「山笑う」を用いたのは小泉孝太郎さん・三浦翔平さんに続く3人目ですが、いずれも才能アリを獲得しています。

◆2位　凡人60点　石塚英彦
『旅支度　真の雪解　待つばかり』

【本人談】
暦の上では雪解かもしれないが雪はまだ解けてない。僕も鞄にオーバーオールとタンクトップは入れているが、(コロナ禍で)なかなかロケに出動できない。楽しくロケが出来るような時代にならないかなと。

森口　私は好きです。「ばかり」が心情を凄く表していて、私は好きです。
本人　ありがとうございます。
梅沢永世名人　中七「真の雪解」が勿体ない。「雪解」という季語は"もう雪は解けてますよ"と。「真」という言葉は必要ない。確かにこれは分かりますよ。雪は降ったり止んだりしますもんね。これ、季語を信用しないと！(笑)
浜田　いやいや、あんた(前回先生に)言われてる！　ずっと言われてるよ。「季語を信用せえ」と一番言われてるやん。
河井　あんなに自分の言葉として言えるんですね(笑)。
梅沢永世名人　先週は先週だよ(笑)。

夏井先生　
おっちゃん偉い！ホントに偉い！ちゃんと言ったことを学ぶおっちゃんは好き。
勿体ないのはその一点だけ。
「雪解」は春が来て雪が解けること、それ自体を表す。
「真の」と説明されると、この「雪解」はどういう意味かとなる。
季語を信じる、これが本当に大事。
「旅支度」が途中なのか、準備万端で終わっているのか。
そこを補強して「真の」を諦めれば良い句になる。
終わったとして「整う」と言い切ってみる。
季語は「ゆきどけ」とも読めるが、「ゆきげ」とも読める。中七は「整う雪解」。
梅沢永世名人　うわ！いいな。
夏井先生　こうなってたら文句なく才能アリ。

浜田　うわ～！アハハハ！　
二階堂　すげ～！
本人　何とか編集でそうだったことに…(笑)。
浜田　いや、アカンアカンアカン。

添削後
『旅支度　整う雪解　待つばかり』

【プロキオンの分析・感想】▼

「雪」は冬の季語ですが、「雪解」は仲春の季語。それを待つ動作と心境を旅支度に託した一句。眼前に「雪解け」があるわけではなく、季語の力が弱いですが、詩情が結構あります。「真の」とわざわざ置いたため、作者の心情ではとっくに雪解して晴れ晴れとしており、旅支度も完了しているが本当の雪解を今かと待っているのだ、という意味にも取れます。しかし、そうなると「待つばかり」が説明臭くも感じ、「真の」と共存するのは難しそうです。添削は受けたもののリベンジで才能アリが見えてきそうな印象でした。

◆3位　才能ナシ37点　鷲見玲奈
『旅鞄　枕に寝て見る　朧月』

※「朧月」は霧や靄などで霞んだ月を表す春の季語

【本人談】
(コロナ禍で)この頃は旅行に行けない。少し前に行った旅行では、鞄を枕にして月を見てたなあというのを思い浮かべた一句。

梅沢永世名人　もうね、これは娘。「枕に寝て見る朧月」、この言葉が全部駄目なのよ。「枕」は寝るもんでしょ！　「朧月」は見るもんでしょ！
本人　あ、そっか～。
梅沢永世名人　見ない月があったら持って来いって言うの(笑)。
本人　ホントだ～！

夏井先生　おっちゃんが言う通りですよ。
梅沢永世名人　その通りです。
夏井先生　
「枕に」ならまず寝ますよ。「朧月」から攻めていく。
この段階で見えているため、見えない月があったら持って来い(笑)。
「見る」は不要。「旅の鞄を枕とし」と助詞を入れる。これだけで良い。
「枕とす」と言い切らず、「枕とし」でぼんやりとさせると頭の「朧月」にまた視線が戻る。
これなら凡人に何とか入るかな(笑)。

添削後
『朧月　旅の鞄を　枕とし』

【プロキオンの分析・感想】▼

春の季語「朧月」に旅行の鞄を枕とする動作を取り合わせた一句。学生時代の遠征や旅などで朧な月を見ている光景はある意味ロマンチックです。鞄を枕とする発想も実体験からきた可能性は高く、発想力は低くありませんが、無駄な言葉が多かったのが残念。上五も寸詰まりで、後半との関連性が読み取りにくく文法的なミスが痛手な印象に。「汗拭ひ凍る茶逆さに唾を飲む」「朝寒もコートつり革両手持ち」に続いて3回連続才能ナシとなりましたが、言葉を詰め込んだり説明したりする癖があるように思いました。

◆4位　才能ナシ35点　二階堂高嗣(Kis-My-Ft2)
『春鱚釣　想い昂る　亡き父』

【本人談】
今までは実体験を織り交ぜて作っていた。この句は全く実体験ではなく妄想。リュックの兼題写真を見た時に、「悲しいな」と思い、悲しく伝わるのってないかな？と思ったらこういう句になった(父は存命)。

森口　あ、あの。中七が説明臭いなと。想いを語り過ぎてる感じがちょっと。
梅沢永世名人　もう、五七五できっちり読みなさいよ。
浜田　やっぱりね。
梅沢永世名人　え？何回も何回も出てるんだから。何語ってるのかよく分からないのよ。五七五に戻しなさいよ！(笑)

夏井先生　中七ねえ。でも私は思ったんですよ。
亡くなった父に捧げたいという一句だから、中七は全部消したいが、父に捧げるなら可哀想かと悶々と悩んだ。
ウソなのね！？
浜田　はい(笑)。
夏井先生　全くいりません。
浜田　コレ嘘やったんです。
夏井先生　
文学のため、フィクションが悪いというわけではない。でもあんた！(笑)。
さらにもう1個。「亡き」と書かずに、"父は亡くなっているかも"と伝えるのが俳句というもの。
まず、ゆったりと「春の鱚」と上五を作る。「釣りしよ」と一旦詠嘆する。
「父」は使い、亡くなっていることを明確に書く。「父の在りし日よ」ともう一度詠嘆。
2つの「し」と「よ」が韻を作る。
父が存在したのは過去のことだと「し」で分かる。
あ～私はこの子をどうしてやったら良いのか分からない(笑)。

浜田　どうすんの？もう出ないの？今日で終わる？
本人　…一旦考えさせて下さい(笑)。ここでは冷静な判断をしちゃいけないと思う。

添削後
『春の鱚　釣りしよ父の　在りし日よ』

【プロキオンの分析・感想】▼

夏の季語「鱚釣」よりシーズンが一歩早い「春鱚釣」を用い、父との思い出を詠んだと思われる一句。一読して思うのは語順のミスで、「亡き父の想い昂る春鱚釣」ならひとまず形にはなります。上五の字余りは許される、全体として17音にするルールを忠実に守った結果提出句のようになったのでしょう。季語以外の映像がほとんどなく、妄想ならせめて形見の竿を用いたなど、もう一歩描写を踏み込む必要があります。人物を詠むことが多く、毎回歳時記のどこを見ているのかが気になる二階堂さんの挑戦は決して悪くありません。放送をご覧になった御家族の反応も気になりますが、連続才能ナシをさすがに次週で止められるのでしょうか。

◆最下位　才能ナシ5点　稲田直樹(ｱｲﾝｼｭﾀｲﾝ)
『春粉が　リュックの色に　顔染めて』

梅沢永世名人　何？

【本人談】
自分は花粉アレルギー。春風に乗って運ばれる花粉で顔が凄く赤くなっている。それが、この(兼題写真の)リュックの色ぐらい赤くなっている。春の訪れを歌にした。(反応がないため)あれ？外国来たん？(笑)

河井　言語が違う言語になるのありえへん。
梅沢永世名人　何だ？「春粉」って！春の粉って！？
本人　造語ですね。
梅沢永世名人　…はぁ！？(笑)
二階堂　すげぇ。
梅沢永世名人　えっ？(笑)

夏井先生　
久しぶりに意味の分からない、日本語なのかどうなのかという句に出逢った。
頭の上五の時点ですでに放棄する気持ちだった。読み方が既に分からない。
「はるこな」「はるこ」「しゅんぷん」というのか。
こういう番組で言うような話ではないが、本当に麻薬かなんかかと思った(笑)。
本人　カットになっちゃうんで言わないで下さい。
夏井先生　ホントに。全く分からなかった。
しかし、話を聞いたら日本語に書くだけの話。
「春粉」と気取る…気取ってもないか。「花粉」ならそう書く。「花粉症」に困っていると。
「の顔」と。染めなくて良いです。「もリュックも」同じ色と。何色？
本人　赤です。
夏井先生　
「同じ赤」と書く。
一応日本語として意味は通るが、俳句としての詩情や詩の心は一切ありません(笑)。

本人　あ～そうですか。
浜田　いやホンマよう5点もらったわ。
河井　先生ちなみに5点は何の5点やったんですか？
夏井先生　頑張ったから(笑)。
河井　気持ちをということですね。
本人　ありがとうございます。

添削後
『花粉症の　顔もリュックも　同じ赤』

【プロキオンの分析・感想】▼

花粉症により本人の顔の色がアレルギーで赤くなるということを意味不明に比喩した一句。造語の「春粉」が恐らく黄砂か花粉を指すのは分かりますが、「が」の助詞からの散文的展開に加えて「染めて」の比喩に至るまでが何とも陳腐です。「リュック」の色も兼題写真にもたれ過ぎています。結果的には季語「花粉症」を説明しているだけの意図でしたが、5点というほど酷くも感じず、10～20点クラスの句ではないでしょうか。今年に入って5点が3例も出ており全体として9例目ですが、5点の勲章は逆名誉でもありますので、与えすぎている印象も感じました。

★特待生昇格試験★

※森口瑤子は冬麗戦で特待生ながら優勝を決めた。
浜田　トントンと行けば名人行きますから。
森口　タンタンと行けばでしょ？
浜田　何なん？　今日はどうなんですか、自信は。
森口　身近な物すぎて、かえって考えすぎちゃったかもしれないです。
浜田　なるほど。

◆『花疲れ　リュックの底の　底に鍵』　森口瑤子

【本人談】
実体験で、私はよく家に入る前に鍵を探している。花疲れで沢山の人の中から疲れ切って帰ってきて、家に入ってゆっくりしたいのに(鞄から)鍵が出てこないっていう句にしてみた。

梅沢永世名人　いいですね、実体験出てますよ。うちの女房も鞄の中ガサガサやるんですよ、いつも。「引っかけとけ」っていつも私言うんですけどね。
浜田　…はい。
梅沢永世名人　持つところに、引っかけるやつ(＝キーホルダーなど)あるんだから！
浜田　はい！分かりました(笑)。
二階堂　最後まで言ってなかった。

★評価ポイント
「～の～の～に」助詞の効果の是非

■査定結果
2級へ1ランク昇格

理由：手の感触が伝わる！

夏井先生　これは丁寧によく自分の「実体験」を作れた。
二階堂　実体験、大事です。
夏井先生　まず季語から解説。
「花疲れ」は美しい季語。桜を見に出かけ、桜の花の美しさに(くたくたに)疲れる、人波に疲れると。
心身、体・心の気分や気配を表す季語。
「リュック」という物が出てくる。「の底の」は底を覗き込むような助詞の使い方。
「底に」の「に」は場所のため、探る感じ。
覗き込んで探るというイメージが「～の～の～に」で表現できた。
最後に「鍵」という物が出て、心身の目に見えない季語をやっと探り当てた物によって表現する。
これが特待生の技術・実力。直しは要らない。

本人　嬉しい、あ～。
浜田　素晴らしい。

添削なし

【プロキオンの分析・感想】▼

「花疲れ」の季語とリュックの底の物を探す動作を表現した一句。「底」と2度使う必要性があるのかが一番のポイントで、入選を狙う場合は非常に頭を悩ませる用法です。「底の」がリュックを覗き込む、「底に」で鍵を探し当てるという異なるイメージだと考えれば理解できますし、季語が「花疲れ」と相まってそれだけ苦労した様子も伺えます。前回の春光戦句「遠足のリュックの底にチョコの染み」と発想の起点が似ていたのが個人的に残念でしたが、リベンジを果たしたので結果オーライ。等身大の姿勢で今後も挑戦することでしょう。

★永世名人 富美男のお手本★
※永世名人・梅沢富美男が50句の傑作を詠んで、俳句史に残る句集完成を目指す「永世名人梅沢富美男　傑作50選」

■トーク集▼

玉巻アナ　句集への掲載率がグングンと上がってまして、このペースで行くと今年の12月には完成する予定になっています。
浜田　あら？
梅沢永世名人　難しい問題ですよね。私が完成させるとこの番組から引退しなきゃならない。ようやくこんな立派な番組にしたわけですから(笑)。
＊＊＊
浜田　さあ、前回はちょっとね。足踏みしましたんで。
梅沢永世名人　はい、今日は許しませんよ。
浜田　大丈夫ですか？
梅沢永世名人　大丈夫ですよ。こういう稲田みたいなヤツがいる時には、私の俳句の手本を見せておかないと俳句というのはこういうもんだと。ちゃんと見せますから。
稲田　あまり、もう怒らないでください。僕も甥っ子がいるんです(笑)。
浜田　何やそれ。どういうことや。
稲田　恥かかせんといてください。

[永世名人のお手本披露]
◆『飯盒を　逆さにしばし　揚げ雲雀』　梅沢富美男

【本人談】
リュックからキャンプに発想を飛ばし、私たちの時代は飯盒(はんごう)の(御飯を)蒸す時に逆さにした。今は逆さにしなくても良いと言われているようだが、ふと空を見たら雲雀が飛んでいて、「あ～長閑だな～」というのを詠ませていただいた。

森口　凄いです。ホントに雲雀が飛んでて、音が聞こえてきます。もう、鳴き声が。
浜田　なるほどね～。稲ちゃんどうですか？
稲田　偶然僕もこのような句を考えてたんです。
河井　うそつけ！(ビンタする)(笑)
本人　またウソついたな、お前。
稲田　揚げ雲雀が出なかったなぁ(笑)。
河井　お前、飯盒すらでぇへんやろ。

■査定結果
永世名人29句で掲載ボツ

理由：配慮が足りない！

本人　何が配慮だ！(笑)
夏井先生　
勿体ない所は、ほんの小さな小さな1点。
それは良い所でもあるが、配慮が少し足りない所でもある。
本人　何？
夏井先生　だから今から説明する(笑)。
「飯盒を」。私やおっちゃんの時代は「逆さにして蒸らしなさい」と言われていた。
私も知っているが、今どきの人たちはそういう動作の意味が分からないというか、しなくて良いと言われるらしい。
本人　そうよ。
夏井先生　つまり、「逆さにしばし」という動作の意味が分からない世代も育ってきているということ。
浜田　なるほど、そこの配慮ですね。
夏井先生　そこの配慮です。
「しばし」という時間も含みながら何をしているかちゃんと分かるようにしてあげるだけ。
「しばし」ではなく、「蒸らし」と動作を書く。
「蒸らす」なら「しばし」の時間を絶対に含む。
こうすると、おっちゃん。名句だったんだけどね。

添削後
『飯盒を　逆さに蒸らし　揚げ雲雀』

【プロキオンの分析・感想】▼

飯盒炊飯の様子と雲雀が飛ぶ様子とを取り合わせた粋な一句です。兼題からキャンプを発想するも、別の季語を使う辺りは手慣れた永世名人。ただの雲雀ではなく「揚げ雲雀」の選択も見事で、俗な物と動物との対比、天地の対比が意図として如実にあります。中七は「逆さに」「しばし」と持ってきた語順も本人の考えで、「しばらくの間」という時間経過を含みながら、微妙な切れを生み、「揚げ」雲雀の動きも映像として読み手に与える効果があると思いました。本人も今の世代は飯盒を逆さにする必要がないのを理解していましたが、今回のボツは少々可哀想な印象。添削により、映像の確保と若い世代に伝わりやすい点がプラスとなりますが、完全に12音＋季語の読みしかなくなるので、本人の意図と味わいが異なるように思ったためです。これでシュレッダー率が上がり始めた御大ですが、元気なく落ち込むのにも今回は同情してしまいました。

浜田　うわ～勿体ないなぁ～。
梅沢永世名人　なっちゃん！よくそんなこと言うな！(笑)。
浜田　いやいや言うよ、それは。
梅沢永世名人　この番組は全部の人にっていうことでなくてさ！(笑)俺はもう…俺は怒るよ！
浜田　永世名人ですから、配慮してくれってことですよ。
梅沢永世名人　え゛っ！？(ネクタイを緩めてケンカを売る仕草)(笑)
浜田　何なん、もう。
梅沢永世名人　これは、残しておく…。
浜田　ダメです。これは残しておくと永世名人に傷がつきますから。
梅沢永世名人　傷なんかつかないから…。
浜田　せぇーの、ドン！　
(シュレッダー演出)
浜田　あ～あ、次回永世名人頑張ってください。ホントにお疲れ様でございました、はっは。
二階堂　めっちゃ落ち込んでる(笑)。
浜田　滅茶苦茶落ち込んでる。

★次回4/22の兼題は「ボトルガム」(ボトル入りのガム)です。

■編集後記▼

色鉛筆査定で特待生が2名も誕生した後半の俳句査定の兼題は「リュック」。最近は季語そのものではなく、季語ではない物に着目した兼題が中心です。旅行・遠足など春のシーズンは勿論、通勤・通学でも便利な鞄です。本格的な登山シーズンではないため、どのような展開で発想するかが大きなポイントでした。

「リュック」を用いたのが1位・最下位・特待生の3名で、「旅」が2位・3位の2名、二階堂さんが「春鱚釣」、御大が「飯盒」と発想する展開に。「待つばかり」と心情語を用いた石塚さんの詩情がある形でしたが、二階堂さんは11度目の才能ナシとなってしまいました。

さて、4月に入ってなかなか俳句が詠めておりません。息抜きも大切かなと思いながら俳句を詠む生活にもメリハリをつけていきたいところです。