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【春光戦決勝】20210325 プレバト!!俳句紹介【じゃんけん】

2021年3月25日放送 プレバト!! 俳句春光戦決勝結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
春の季節に行われる第5回春光戦決勝で名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。

→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細 →編集後記

予選A・Bブロック記事
予選C・Dブロック記事
※過去のタイトル戦結果などはこちらまたはブログカテゴリからどうぞ。

挑戦者:<名人4段>千原ジュニア[58],<名人6段>横尾渉(Kis-My-Ft2)[47],<永世名人>梅沢富美男[126],<名人10段★1>藤本敏史(FUJIWARA)[65],<名人10段★3>村上健志(フルーツポンチ)[53],<2級>皆藤愛子[24],<名人5段>中田喜子[46],<名人10段★4>東国原英夫[64],<1級>松岡充[20],<5級>向井慧(パンサー)[15]
※[数字]は挑戦回数
見届け人:なし

◇春光戦2021のルール(※前々回の金終戦を踏襲した形)
【予選】
・ABCDの4ブロック制で、ブロック5名が参加
・ブロック分けは浜田が事前にくじ引きを行い決定
・兼題はAB・CDの2ブロック単位で共通
・各ブロック上位1名が決勝進出
・各ブロック2位は補欠となり、4名中上位3名が決勝進出(敗者復活)
【決勝】
・金終戦上位3名がシードで参加
決勝はシード3名(永世名人含む)、予選通過7名の合計10名



●お題:じゃんけん
じゃんけんの兼題
※誰もがやったことのある「じゃんけん」だが、シチュエーションのバリエーションが少ないため、発想が似かよりやすい要注意のお題。


※順位クリックでリンク内移動します。
※次々回の金秋戦シード権獲得は4位までと発表されました。
1位横尾渉(Kis-My-Ft2)名人6段浜風光るスクイズの土埃はまかぜひかるすくいずのつちぼこり
2位千原ジュニア名人4段サザエさんに後出しあいこ吾子の春さざえさんにあとだしあいこあこのはる
3位梅沢富美男永世名人「最初はグー」聞こゆ志村忌春の星さいしょはぐーきこゆしむらきはるのほし
4位村上健志(フルーツポンチ)名人10段★3けいどろの牢に鐘楼花の寺けいどろのろうにしょうろうはなのてら
5位中田喜子名人5段「ちょき」だす子春の光を突き破るちょきだすこはるのひかりをつきやぶる
6位藤本敏史(FUJIWARA)名人10段★1うららかや次女出すチョキはまだ未完うららかやじじょだすちょきはまだみかん
7位東国原英夫名人10段★4志村けんさん一周忌
山も笑う「最初はグー」の発明者
しむらけんさんいっしゅうき
やまもわらうさいしょはぐーのはつめいしゃ
8位皆藤愛子2級木の芽晴あいこ三回照れ笑いこのめばれあいこさんかいてれわらい
9位松岡充1級助手席のシートに温み鳥曇じょしゅせきのしーとにぬくみとりぐもり
最下位向井慧(パンサー)5級永き日のじゃんけん多き初デートながきひのじゃんけんおおきはつでーと

順位発表順:2位→8位→9位→最下位→7位→6位→5位→4位→3位→1位


■トーク集(各クリック)





●それでは順位別に見ていきます

1位◆『浜風光る スクイズの 土埃 横尾渉(Kis-My-Ft2)

※季語「風光る」を甲子園特有の海風の通称「浜風」にアレンジして詠んだ一句。

【本人談】
キャッチャーが出すサインがじゃんけんに似ていると思うところから始まった。季語「風光る」に「浜」を入れ、甲子園と分からせて良いのかなとチャレンジをした。

梅沢永世名人 大したもんだ!
藤本名人 何で息吹き返したんだ?
梅沢永世名人 これ甲子園ってすぐみんな読んだら思いますよ。
浜田 はい。ハハハハッ。
梅沢永世名人 浜風光る」とか、大したもんだな!
ジュニア名人 同じこと言うてますよ(笑)。
梅沢永世名人 心打たれましたよ。

夏井先生 
今回のじゃんけんの兼題写真で何に驚いたか。
みんなじゃんけんをしているはずなので、色んな発想が出るかと思ったら、子どもの遊び方向(6名)と志村けんさん(梅沢・東国原名人)とほぼ真っ二つに分かれた。
ああ、こういう風になるのかと思った中で、野球のサインをという「そういう発想があったか」というのが、一番大きな理由。
」をつけるか否かはケースバイケース。いつでもやったら良いとは思わないで欲しい。
なぜ「浜」が成功したかと言うと、「スクイズの土埃」という後半のフレーズが野球だと明らかに分かる
勿論、野球の句も沢山あり、同じフレーズの句がないとは言えない。絶対にどこかにはあるはず。
ただ、この句は作者の思い通りに読者の読みを誘導出来ている
「浜」の一字で「スクイズ」があれば、海に近いスタジアムではないかと。
「土埃」までくれば、ひょっとしたら甲子園球場かもしれない。そうなると、春のセンバツかもしれない。

作者の思った方向に読みをズルズルと引っ張ることが出来ている。非常に確実に詠んでくれた
作者が横尾さんだと分かって、本当に頑張ってるなと思った。直しはいりません。

本人 ありがとうございます。

添削なし


2位◆『サザエさんに 後出しあいこ 吾子の春 千原ジュニア
※アニメ『サザエさん』の番組最後のじゃんけんに注目した一句。

【本人談】
うちの子どもが3歳になるが、じゃんけんの概念が分かってない。最後にサザエさんが出した手と同じ手を出せばよいと思って後出しする。読んだ人のリズムが良くなるように、「後」「あ」「吾」と韻を踏んでみた。

藤本名人 いやジュニア、「吾子」好きやな(笑)。「吾子」好きやな思って。
本人 俺、近々吾子にバイク乗せようと思って…。
藤本名人 バイクも吾子も好きや。

夏井先生 
サザエさん(の発想)がきたかと思った。
「サザエさん」でじゃんけんしているということは、日曜日の夕方あたりだと。
「後出しあいこ吾子」はたくらんで「あ」の韻を踏んだ。
この辺りは明確に分かる。
こういう句の場合、上五「に」と下五「の」の助詞がこれで良いのかどうかを考えなければならない
上五「に」がないとサザエさん(という対象)に対して後出しするという意味が違ってしまうため、字余りでも意味上は必要だと分かる。
さらに、下五「の」も「よ」「や」として詠嘆する選択肢があるが、「吾子の春」なので下手に詠嘆すると親バカの臭いが少し強くなる。
そのため「の」で穏やかに置くのがより良い
と判断した。直しは要らない。

浜田 うわ~惜しかった、ジュニアでも2位ですから。
本人 ありがとうございます。
浜田 あら素晴らしい。
梅沢永世名人 この句は良い。
本人 楽しくなってきましたね~!(笑)

添削なし


3位◆『「最初はグー」 聞こゆ志村忌 春の星 梅沢富美男

東国原名人 なるほど。

【本人談】
「最初はグー」は志村けんさんが流行らせた。みんなに愛されていつかは志村忌になるんでないかと。それで志村けんさんは生まれた時も亡くなった時も春(※生誕は2/20で暦の上では春)なんです。ですから「春の星」と星になっていったんだと。

浜田 東さんはどう思われますか。同じ志村さんを詠んだ。
東国原名人 やはりリズムがありますよね。さすがそこを押さえてらっしゃるなと。僕のより映像がしっかりしているなと思いますね。

夏井先生 
まさか、こういう風に重なってくるとは思わなかった。穏やかに自分の思いが伝わる句になっている。
この句の中で、考えないといけないのは「聞こゆ」がいるのかどうか。これが一番大きな問題になる。
普通は聞こえるから思うわけで、「聞こゆ」は書かないのが俳句の定石。
しかしながらこれは追悼の句で、まさにその声が今聞こえてきたような気がすると言いたいため、この動詞を消すのは違うと思った。
「聞こゆ」「志村忌」「春の星」とそれぞれ切れるが、この句はそれなりのリズムが出来ている
忌日の句でありながら、明るい軽やかなリズムを作っており、この明るさに志村さんの業績・人生をくっつけて一句に表現している。
志村さんが亡くなってまだ一年のため、それが春の季節感を持った忌日の季語だとはあまり気づいていない。
しかし、何年か後に「志村忌」「志村けん忌」は"あー、春だね"と春の季節感をもって味わう日が必ず来る。
そこにいくまでにおっちゃんのようにこういう句が(=忌日表現と別の季語を入れる)詠まれる
それは大事なことだと思う。これは直さない。

浜田 まあ、今回は3位ということで…。
本人 まぁ、老兵は去るのみですよ(笑)。
浜田 いや、去らへんやん。
本人 ただのジジイ、ねぇ。
浜田 すねだしたよ、おい。

添削なし


4位◆『けいどろの 牢に鐘楼 花の寺 村上健志(フルーツポンチ)

【本人談】
「けいどろ」は警察チームが泥棒を捕まえたら牢と言われる所に入れる遊び。牢と言われるところが、お寺にある鐘楼。多分「鐘楼」とあれば、「寺」は不要と捉えられると思うが、「鐘楼」というガンッにあった時に、「花の寺」でバーンッとこう…。

浜田 演出家みたいなことせんといて(笑)。
藤本名人 腹立つわ~。
梅沢永世名人 何をエラそうに、お前は(笑)。助詞が悪いんですよ。
藤本名人 え、助詞?
梅沢永世名人 「牢に」というところが。
浜田 「に」が悪い?なるほど。

夏井先生 
この句は「鐘楼」とあれば「寺」だというのは分かる
ここが要らないとか近いという考えも当然出てくると思うが、「鐘楼」は子どもたちを入れておくという少し狭い画角。
そこからカットが切り替わると、大きな「花の寺」がバンと映る。この映像の効果は見事。

何が問題かと言うと中七「」。たったこれだけのこと。
「牢に」とするとここから後の文脈は「鐘楼を使ってます」という、そういう意味が入ってくる。
「に」という助詞は、散文的になりがち
なため気を付けましょうということになる。
これを見破れるおっちゃんは偉いなと思っているが、何にすれば良いの?
梅沢永世名人 (嬉しそうに)わたくしが言うのも何でしょうからね。
藤本名人 言いましょう。
梅沢永世名人 わたくしはあの、いつもの通りあの、急に言われても…。
浜田 早よ言え!(笑) 何が良いんですか? 
藤本名人 分かってないんですか。
梅沢永世名人 「牢」。
夏井先生 その通り。
これは「」。「けいどろの牢は鐘楼」なら、「牢は鐘楼です」とこれだけの文脈になる
しかも、何と牢に使っているのは鐘楼なんだという小さな可愛さも出てくる。
ミスがなければ、これが今日は1位だった。

本人 牢に鐘楼が使われているってことを気付けた自分を表すには、「に」だってのが前に説明があったんであえて「に」だったんですけど。「は」だったんだなっと思ってます。
浜田 先生の顔見てよ。コイツ、何言うてんねんみたいな顔してる(笑)。
本人 先生はとうとう俺のことをライバルと認め出した(笑)。
夏井先生 
いや…私はさ、この前のチョコチップ(=秋麗チョコスプレーの淡き影)の時に、私が「に」って言ったから安易に「に」だなと考えたんだと。
本人 安易じゃないです(笑)。

添削後
けいどろの 牢鐘楼 花の寺


5位◆『「ちょき」だす子 春の光を 突き破る 中田喜子

【本人談】
やっと「ちょき」で勝った子がいる。大喜びでゴールに向かって走っていくという句を。

梅沢永世名人 これね、「ちょき」でも負けることありますからね。重箱の底ひっくり返すと。
村上名人 「『ちょき』」と「突き破る」はちょっと近いんじゃないかとか。
本人 えっ? 「『ちょき』」と「突き破る」が近いですか?
村上名人 いや…、遠いですね(笑)。
向井 負けないで。
梅沢永世名人 最低だな、お前はホントに。
村上名人 遠い遠い遠い遠い。全然遠いわ。ごめんなさい、すいません。

夏井先生 
元気で明るく、それなりにオリジナリティーもある
勿体ない点はおっちゃんが指摘したこと。
「子」では「ちょき」を出しただけで終わるため、「勝つ」という情報が入れば「突き破る」との言葉の勢いが合体する。
それを一点入れるだけで良かった。「『ちょき』で勝つ」と書く。
「子は」の「」はここでは必要に。「春光を突き破る」と持ってくる。
「チョキで勝つ子は春光を突き破る」で、「春光」の響き、音読みにも勢いが出る。
こうすると気持ちが良いはず。

本人 確かに気持ち良いです。はい、ねぇ。
浜田 なるほどねぇ、分かりました。

添削後
 子春光を 突き破る


6位◆『うららかや 次女出すチョキは まだ未完 藤本敏史(FUJIWARA)

中田名人 (呟くように)「まだ未完」。

【本人談】
5歳の次女が2歳ごろにじゃんけんをする時、チョキが指1本になったりして変なチョキをよく出していた。

梅沢永世名人 「うららか」。これが繋がってるかどうかが分からない。
本人 「うららか」ってのは春の…。
梅沢永世名人 分かってますよ。そんなあんた、素人みたいに私は中学の…中学の本(=副教材)に載るんだよ!(笑)
本人 いやいや、暖かい春の日にじゃんけんをしているっていう。
梅沢永世名人 7位(=6位)が何を偉そうなこと言ってんだよ!
本人 別に偉そうなこと言うてないじゃないですか。

夏井先生 
チョキが正しく出せない場面を詠んだ句がないことはないが、句の工夫として「未完」という言葉が出るのは面白かったと思う。
何がもったいないかと言うとここ「まだ」。
本人 そうやねぇ。
夏井先生 そうやねぇ。
「未完」と言ったら「まだ」は言わずもがな
これを消せば問題はなく、むしろ「未完」が出てくる面白さが出る。
本人 これは思いつかなかったですね~。
夏井先生 これは簡単なこと。
おっちゃんが繋がるとか、繋がらないとか言ってましたが、繋げて見せてやれば納得する
「次女出す」の後、「チョキは」として季語と溶け込ます。「うららかなる未完」とする。
梅沢永世名人 なっ、すごい!
浜田 うるさいな。
本人 いやいや…。
夏井先生 
そうすると、最後の「未完」という堅い言葉が「うららかなる」という季語に包まれるので、前半の映像と馴染んできてくれる

本人 取り込むね~!(笑) いや凄いわ、あ~でもちょっと出来ないなぁ、まだ~。
浜田 なるほど。

添削後
次女出す チョキはうららか未完


7位◆『(志村けんさん一周忌)山も笑う 「最初はグー」の 発明者 東国原英夫

※作品のテーマを説明する前書きをつけ、季語「山笑う」に「も」を加える工夫を凝らした一句

【本人談】
もうすぐ(3/29)が志村けんさんの一周忌。「最初はグー」を考えたのは志村さん。最近の若い方にそのことを知らない方がいるので知ってほしいのが一点。「山も笑う」は本来は「山笑う」(春の季語:春の山の明るい感じ)で、志村さんと「笑う」はイメージが近いと思ったが、コロナ禍も一年経って早く終わってほしいという気持ちで志村さんも天国で笑っているのではないかという気持ちを入れたかった。

横尾名人 前書きを使っているのでより一層分かりやすいですし、僕も志村さんに対して(追悼句を)書いたんですけど、全然ダメな感じで、提出はしなかったんです。
浜田 なるほど。
横尾名人 こう書けば良いんだというのが。
浜田 やっぱり一応考えたのね。なるほど。
横尾名人 考えました。なので、凄い逆に勉強になりました。
村上名人 多分もう、東さんが自身でおっしゃってたように「山笑う」という季語を変えることとか、「『最初はグー』の発明者」、これを俳句にしようと思ったという想いは、僕は順位に関係なく素晴らしいなと思いますけどね(笑)。
浜田 腹立つ。
村上名人 こういうものを提出したってことが素晴らしいと思います。
浜田 永世名人、ああいう言い方さしといていいですか?
梅沢永世名人 ホントにお前調子づくなよ!(笑) え!? この「最初はグー」は志村けんさんが流行らせたのよ。これは絶対にみんなに知ってほしいという東君の気持ちなんだと思う。ただこの「山笑う」がな…。
浜田 (舌打ち)チッ。
梅沢永世名人 って思うけど、どうなんだろうね~。
浜田 使わへんぞ、そこまで(笑)。

夏井先生 
あの兼題のじゃんけんから、そうかそこに来るかという納得は物凄くあった。気持ちにも寄り添える。
考えないといけない点は2つ。
1つ目はご本人も言っていた上五の「」。ただ追悼句という前提がここにあるため(許容できる)。
“私たちも随分笑った。そして空の上で志村さんも”という、色んな想いを「も」に託しているということは理解できる。
この「も」は作者の意図として尊重すべきだと考えた。
となると、最後の「発明者」がどうしても説明臭が残ってしまう(のが問題点の二点目)。
これを諦めた場合、どんなやり方があるかを考えた時、前書きが既にあるので思い切ったやり方をしても良いかもしれない。
「山も笑う」の後に、敢えて「最初の最初の」と入れ、「『最初はグー』」と。
一同 うわ~。
夏井先生 下五の鍵括弧で映像は立ってくるかもしれないと思った。

ジュニア名人 すげぇ。
本人 (首を横に振って)できない!(笑)。
藤本名人 いや、いいです。凄い良いけど。
梅沢永世名人 凄いなあ。夏井先生。
本人 凄い!
浜田 凄いですね。
藤本名人 これは凄いですね。
梅沢永世名人 できない。
浜田 全員が唸りましたね。これね、直してもらって。

添削後
(志村けんさん一周忌)
山も笑う 最初の最初の 「最初はグー」


8位◆『木の芽晴 あいこ三回 照れ笑い 皆藤愛子

【本人談】
じゃんけんであいこが続くと「相手と気が合うんだな」と思って嬉しいような恥ずかしいような気持ちになる。それを詠んだ。

藤本名人 俳句に自分の名前(=あいこ)を入れるのは…自分好きやな(笑)。「あいこ」なかなか入れませんよ。

夏井先生 
これは気持ちが良い季語から始まる。じゃんけんをしている場面も素直に書いている。
悩ましいのは2箇所ある。
上五・中七・下五とプチプチ切れる三段切れをどうするかが一点
照れ」という風に、笑いの種類を説明しなくても「あいこ三回」続くためにある程度分かるのではないかが二点目。
「木の芽晴」から「笑」にいき、「照れ」は不要。「三回のあいこ」と持ってくる。
最後にじゃんけんしている手で終わることで、逆に季語「木の芽晴」に明るさが戻っていく印象もある。

本人 見違えました。なんか今一歩だなと思っていたのが。
浜田 自分でも?
本人 そうなんです。

添削後
木の芽晴 笑三回の あいこ


9位◆『助手席の シートに温み 鳥曇 松岡充

【本人談】
カップルのある別れのシーン。先ほどまで車の助手席にいた人が今はもういなくなっている。「鳥曇」(晩春の季語:渡り鳥が北に帰る頃の曇り空)という北に帰る鳥の群れが悲しさと未来への希望みたいな。(兼題の)じゃんけんから発想を飛ばし過ぎたなとは思うが、誰かと誰かがそれぞれの道を行く手段と考えた時にこの景色が生まれるのではないか(※「ぐー」を出す人も「ちょき」を出す人もそれぞれいる)と。

東国原名人 うーむ、じゃんけんですからね、テーマが…(=兼題から離れすぎ)。それが一点と。「助手席」「シート」という狙いが伝わりづらいかなという感じはしますね。
梅沢永世名人 これ今、東さんが言った通り。「助手席」とあれば「シート」は要らない
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 余分だったね(笑)。これは9位は当然でしょ。

夏井先生 
兼題写真からなぜここに(発想が)来たのかが受け手として解明しにくい
発想の糸口が読み手に分かるようにしてあれば納得しやすい。別れの場面の意図だと。
それなら「助手席」「シート」と念押しをするよりは、誰がいなくなっているかをハッキリと書いた方が得だと思う。
「シートに」の方ではなく、素直に上五を「助手席」とこっちに「に」をつける。
御大たちが言うように「シート」は諦める。「君の」を入れ、平仮名で「ぬくもり」とする。
最後の「鳥曇」で「り」の韻が生まれる。
彼女が去っていったこの季語の真理が入っていく。

本人 悩んだこと全て先生がおっしゃってくれて勉強します。

添削後
助手席  鳥曇


10位◆『永き日の じゃんけん多き 初デート 向井慧(パンサー)

※「永き日」は春の季語。

【本人談】
じゃんけんをするシチュエーションを思い返した時、初デートの初々しい距離感があり、一日で(デート中の)色んなことをじゃんけんで決めたなっていうのを詠んだ。

ジュニア名人 あの~、可愛らしい俳句だなと思います。カラオケでどっちが先に歌うでじゃんけん、ごはんで何食べるでじゃんけん、そのデートは面白くなさそうやな(笑)。
本人 デート批判やめてもらって良いですか?

夏井先生 
最後に「初デート」ってドンと出て来た時に多少くさい感じはするが、ここをズバッと消したら作者の言いたいことがなくなるので残す。
一番の問題は「多き」で、これが説明になっている。ここをちょっと違う言い方にする。
じゃんけんのアップから始める。「じゃんけんを何度」とする。"何度するのだろう、俺たち"と。
日永の初デート」とまとめる。「初デート」と季語「日永」がくっつく。
季語を上手に使って自分の弱点(下五)を補う。

本人 こういうことなんですね。

添削後
じゃんけん 日永の 初デート


★放送では1位前に発表された(実際はシード権発表後)、2021年7月開幕の炎帝戦新ルールを発表
◆炎帝戦2021の新ルール◆
①参加資格は過去に1度でも才能アリを獲得した人物(才能アリ経験者・200名以上該当)
②俳句の募集は本日(3/25)から2か月間優秀上位10名がスタジオ収録
兼題:Tシャツ
※俳句ポスト365のように投句して上位10句によるタイトル戦のようです。



★次々回の金秋戦の予選免除のシード権順位を発表


★4/1の放送はお休み。次回4/8の兼題は「あくび」で通常回です(予定)。


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コメント

No title

この回は個人的神回
夏井先生の添削が光ってた

文字起こしお疲れ様です
楽しく拝読しています
ブログ主さまの分析・感想や編集後記も勉強になります

Re: 傍題の件ですが

熱帯魚様

コメントありがとうございます。
傍題についてですが、ある歳時記での分類に従いまして記載しておりました。
角川季寄せの分類で確認し、該当箇所を修正致しました。

傍題の件ですが

木の芽晴は木の芽時の傍題で時候、木の芽は植物の季語です。
鳥曇は天文の季語で、動物の季語ではありません。

連投失礼します

優勝句の横尾名人は見事でした。
恥ずかしながら野球には疎いもので、予告で「浜風光る」と見たときに「風光る」のアレンジとは気がつきませんでした。同じような方は多かったのではと思います。

ただ中七下五で明確な映像化にしたことで、季語の力が活きて来たように思えました。

「浜」という字が入ることで海の香りもほんのり感じ、映像というよりは抽象的な「風光る」という季語に具体的な映像が入ったようにも思えました。

ただ夏井先生の忠告もちゃんと心に留めておくべきでしょう。

東国原名人の「山も笑う」にも当てはまりますが、抽象的な表現に近い季語はアレンジしやすいように思った方もいるかもしれませんが、

横尾名人や東国原名人の技術力と明確な意図を持って初めて成立することであり、

安易に手を出すと失敗するのではないかと思います。
かつて夏井先生が添削で「黙」という言葉が使用したときに、安易にこの言葉を使った句が山のように出て食傷気味になったと仰っていたことを思い出します。

余計な心配かも知れませんが、今後安易な季語のアレンジが増えてくるのかもしれません。

2位千原ジュニア名人は本当に助詞の使い方が上手になっているなと思います。
正確に書くのであれば、季語を主役として活かすためにはどこを抑えたほうがいいのかということをしっかりと掴んでいるように思えました。

4位の村上名人ですが偉そうなことを書くのであれば、自分も見たときに「に」よりも「は」が正解だと思いました。助詞という明確な弱点が露呈したように思います。

とはいえ、句そのものは見事で
寺という場所の二面性
子どもの遊び場に開かれている様子を「けいどろの牢」で
宗教の参拝場所という要素を「花」という季語で表されているなと思います。

5位中田名人は
じゃんけんは勝ち負けが明確に存在する遊びということをあまり理解されてはいないのかなという印象でした。
想像なのか外で見た光景なのかはわかりませんが、「春光を突き破る」のはなぜかというところを踏み込んでもらいたかったです。

あと「人物描写+季語+動作」というのがパターン化しているのかなと思いました。
去年の春の予選での
テーピングの足春泥を跳ね上ぐ
を思い出しました。

6位の藤本名人
足りない二音や三音を安易に埋めようとする悪い癖がまた出ましたね。
卒業のコーヒー「少し」酸っぱくて
村営バス逃して「不意に」探梅行
これらの句から2年は経っているので、危機感を持たれたほうがいいのではと思います。

8位の松岡充さんも兼題から発想を飛躍しすぎて、恋愛に持っていくという悪い癖が出ましたね。JPOPの要素を俳句に持っていくのはかなり難しいのではと思います。

再開の向井さんは、千原名人の指摘が正しいように思えました。ご本人の実体験ではあるのでしょうが、読者に理解してもらうためのもう一歩といったところでしょうか。

今回の兼題で自分も一句詠みました。
冴えかえる帰路や男気じゃんけんに

※男気じゃんけんとは飲み会や食事の会計でじゃんけんに勝った人が他の人たちのお金を払うという男気を見せるというもので、要は勝ち負けが逆転したちょっと変わったじゃんけんです。

あと志村けんさんの追悼句も詠みました
「大丈夫だあ」聞こえた気がした春夕焼

今回は

まず「最初はグー」というのが志村けんさんが作られたものだということを初めて知りました。

去年、どこか他人事のように感じられたコロナ禍初期の日本において、志村けんさんの悲報がどれだけ衝撃的でコロナの恐ろしさを実感させられたのか?ということを改めて感じます。

小池都知事がこの事を「偉業」という言葉を使ったことで非難されましたが、志村けんさんでなければここまで日本がコロナに向き合うこともなく、世界の中で感染拡大を抑えてると評価されることもなかったのではと思います。

改めて志村けんさんに追悼の意を捧げたいと思います。

俳句に戻りますが、

まず東国原名人の句ですが、先生の添削は見事でしたが、
いっそのこと前書きを取り払ってしまうというのも1つの手ではないのかなと思いました。

志村けんさんはお笑い芸人の方なので「山も笑う」という言葉に近い形になるし、「も」という言葉を使うことでどうしても季語としての力が弱くなり志村けんさんの名前が印象に残ります。
もうひとつ、下五「発明者」が説明になるのは前書きで志村けんさんの名前があることで、「最初はグー」という言葉と名前がくっつきすぎるように思えました。

「今の若い人たちに、最初はグーを発明したのが志村けんさんだったことを伝えたい」というご本人の意図は理解できますが、
インターネットが発達してる現代において、Googleなどで検索したら志村けんさんの名前が一発で出てきますので、あえて若い読者に委ねる形にして、「最初はグー」と志村けんさんの2つが繋がったときに、「山も笑う」という季語のアレンジが活きてくるのではないでしょうか?

以前横尾名人の
おもひではぽろぽろ遠い二重虹
の査定で夏井先生が仰っていた「追悼句は誰に捧げたものかということを明確にすること」ということを考えると「最初はグー」という言葉によって誰に捧げたものかというのはよくわかるかと思います。

余談ですが最初の対外試合で石田明さんの
秋天を抜け百年をゆく飛球
という句も「飛球」という言葉を正岡子規が作ったことで挨拶句になっているという石田さんの意図と評価が印象に残っています。



同じ追悼句の梅沢永世名人は「志村忌」という言葉で追悼句とわかる内容でしたね。

個人的な推測ではありますが、「志村忌」という言葉を将来季語として認定されるための礎を作ろうとされたのではと思います。

プレバトの中とはいえ、「永世名人」の称号の重さを理解された上で、それを上手に使われたのではないかと思います。

三段切れに近いながらも韻を踏むことでリズムをつけ、でもどこかギクシャクしてる。追悼句ならではの効果があるなと思いました。

個人的には50句の中に入れてもいいのではと思いました。

長くなったので1度コメントを切ります

炎帝戦のルール発表の時点でシード権者が村上さんまでってバラしてちゃったのが単純にミスだなって感じで面白かったです。

更新お疲れ様です。

今回は兼題の時点で難易度が高く、参加者全員がそれに苦しんでいる印象が強かったですね。その中でも横尾さんは季語を上手に引き立たせていて、優勝の決め手になったのではないかと思います。ジュニアさんの句もサザエさんに飛んだのは良いと思いましたが、季語が主役かと言われると少し弱いのかなと感じました。
予告の時点で「浜風光る」まで句を見せていましたが、予告で紹介された人が優勝したのは始めてでしょうか。

新聞のラテ欄には志村けんに捧げる句と紹介されていましたが、御大と東さん両方ともとはビックリしました。東さんの添削には驚かされましたが、御大の句も追悼句として上手に纏まってると感じました。ただやはり発想の時点で類想的なのかなとも思いましたが。

今回は金秋戦の時とトップ3人が変わらず、全体的な順位もわりとあの時と似てるなと感じました。大本命の東さんもシード権を得られませんでしたが、秋までに永世名人になってシードを得られるのでしょうか。(東さんが永世名人になっても毎週出るとは考えにくいですが)

次回の炎帝戦はまさかのジュニアさんの言葉を借りれば「多いお茶方式」ということで、夏井先生の負担は凄まじい事になりそうです。思い切ったなとも思いますが、タイトル戦が段位関係なしの一発勝負というコンセプトを考えればここまでのことをやってくれても良いのかも知れませんね。どこまで特待生名人以外が食い込むか・参加するか未知数ですが、どうなるかとても楽しみです。

Re: No title

yashiko様

コメントありがとうございます。
ご指摘の箇所、訂正いたしました。

No title

連投すみません。
梅沢御大の句、「最初はグー」ですよ。

No title

ジュニアのサザエさんの俳句、うまいですね。
本来なら「サザエ」も季語だけど、あくまでもアニメのキャラクターの名前としてだから季語としての効果はかなり薄いし。

「じゃんけん」で「サザエさん」の俳句というのはかなりベタな気もするけど、きれいに一つの俳句になってて面白かったです

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