2021年3月25日放送 プレバト!! 俳句春光戦決勝結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
春の季節に行われる第5回
春光戦決勝で名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細 →編集後記⇒予選A・Bブロック記事
⇒予選C・Dブロック記事※過去のタイトル戦結果などは
こちらまたはブログカテゴリからどうぞ。
挑戦者:<名人4段>千原ジュニア[58],<名人6段>横尾渉(Kis-My-Ft2)[47],<永世名人>梅沢富美男[126],<名人10段★1>藤本敏史(FUJIWARA)[65],<名人10段★3>村上健志(フルーツポンチ)[53],<2級>皆藤愛子[24],<名人5段>中田喜子[46],<名人10段★4>東国原英夫[64],<1級>松岡充[20],<5級>向井慧(パンサー)[15]
※[数字]は挑戦回数
見届け人:なし◇春光戦2021のルール(※前々回の金終戦を踏襲した形) 【予選】 ・ABCDの4ブロック制で、各ブロック5名が参加 ・ブロック分けは浜田が事前にくじ引きを行い決定 ・兼題はAB・CDの2ブロック単位で共通 ・各ブロック上位1名が決勝進出 ・各ブロック2位は補欠となり、4名中上位3名が決勝進出(敗者復活) 【決勝】 ・金終戦上位3名がシードで参加 ・決勝はシード3名(永世名人含む)、予選通過7名の合計10名 |
●お題:じゃんけん
※誰もがやったことのある「じゃんけん」だが、シチュエーションのバリエーションが少ないため、発想が似かよりやすい要注意のお題。
※順位クリックでリンク内移動します。
※次々回の金秋戦シード権獲得は
4位までと発表されました。
1位 | 横尾渉(Kis-My-Ft2) | 名人6段 | 浜風光るスクイズの土埃 | はまかぜひかるすくいずのつちぼこり |
2位 | 千原ジュニア | 名人4段 | サザエさんに後出しあいこ吾子の春 | さざえさんにあとだしあいこあこのはる |
3位 | 梅沢富美男 | 永世名人 | 「最初はグー」聞こゆ志村忌春の星 | さいしょはぐーきこゆしむらきはるのほし |
4位 | 村上健志(フルーツポンチ) | 名人10段★3 | けいどろの牢に鐘楼花の寺 | けいどろのろうにしょうろうはなのてら |
5位 | 中田喜子 | 名人5段 | 「ちょき」だす子春の光を突き破る | ちょきだすこはるのひかりをつきやぶる |
6位 | 藤本敏史(FUJIWARA) | 名人10段★1 | うららかや次女出すチョキはまだ未完 | うららかやじじょだすちょきはまだみかん |
7位 | 東国原英夫 | 名人10段★4 | 志村けんさん一周忌 山も笑う「最初はグー」の発明者 | しむらけんさんいっしゅうき やまもわらうさいしょはぐーのはつめいしゃ |
8位 | 皆藤愛子 | 2級 | 木の芽晴あいこ三回照れ笑い | このめばれあいこさんかいてれわらい |
9位 | 松岡充 | 1級 | 助手席のシートに温み鳥曇 | じょしゅせきのしーとにぬくみとりぐもり |
最下位 | 向井慧(パンサー) | 5級 | 永き日のじゃんけん多き初デート | ながきひのじゃんけんおおきはつでーと |
順位発表順:2位→8位→9位→最下位→7位→6位→5位→4位→3位→1位
■トーク集(各クリック)
ジュニア名人 「プレバト!!」の締切を浜田さんの別の番組の合間に考えるっていう。僕はこれを雅功地獄って呼んでます。
梅沢永世名人 今回は優勝しないとな…。
東国原名人 今回は結局(紙で)19枚。
梅沢永世名人 誰にも負けない。それがミスタープレバト。
横尾名人 また1位を獲って、「俳句は横尾だよね」と言わせたいですね。
★出演者10名は前列に横尾・中田・ジュニア、中列に松岡・皆藤・向井、後列に梅沢・東国原・藤本・村上が着席し、戦況を見届ける。
浜田 今回も優勝した方はあちらの肖像画に入るということでございます。
→セット裏の額縁に1年間タイトル戦優勝者の写真が飾られる。
梅沢永世名人 凄い。
浜田 誰が入るんでしょうね。
一同 ………。
浜田 静かですね(笑)。
東国原名人 緊張です、緊張。緊張です。
***
玉巻アナ 最近は俳句四天王と呼ばれる梅沢さん、東国原さん、村上さん、藤本さんの優勝が遠ざかっています。
◆最後の優勝梅沢 | 東国原 | 村上 | 藤本 |
2018金秋 10大会前 | 2020春光 4大会前 | 2019炎帝 7大会前 | 2020炎帝 3大会前 |
浜田 もう全然ですよ。
梅沢永世名人 なんか、タイトル戦になると調子を崩すんですよ。
浜田;確かに、確かにそう。
梅沢永世名人 子どもたちもね、非常に私のこと応援してくれてますから。ようやく言葉がしゃべれるようになった(赤ちゃんが)一番最初に発した言葉は…「うめじゃわ」(笑)。
浜田 (無視して)さあ、お隣は名人10段東国原英夫さんでございます。
東国原名人 こんばんは。
玉巻アナ 東国原さんですが、四天王以外で気になるのは千原ジュニアさんだそうです。
ジュニア名人 ありがとうございます。
浜田 あら、そうなんですか。
東国原名人 去年の秋に僕が出なかったときに、ほら優勝してるんですよ。盗人猛々しい(笑)。
ジュニア名人 来ないからでしょ、なんで来なかったんですか。ねぇ。
***
玉巻アナ 藤本さんは大激戦の予選AブロックでKis-My-Ft2千賀さん・北山さんに完勝して1位通過した。
浜田 横尾君どうですか?
横尾名人 うちのメンバーが2人出てた方が華があったかな。
浜田 なるほどね。
横尾名人 あんな上からうちのメンバーを言うかって。
浜田 そういう意味では今日はあなたが破るんだと…。
横尾名人 破ってボロクソに言いたいです。
藤本名人 ぐぅの音も出えへんわ(笑)。
横尾名人 特に村ポン(=フルーツポンチ村上)さん。
村上名人 せめて(負けた二人が)俺に勝てないのがヤバいんじゃないかな、それは(笑)。
***
玉巻アナ 喜怒哀楽マダムの中田さんですが、村上さんには負けたくないそうです。
浜田 あ、そうなんですね。
中田名人 こないだの予選C・Dブロックの(敗者復活発表待ち)時に、(横に座る)村上さんがずーっと小さい声で「僕は直されてない」「僕は直されてない」…。
浜田 それずーっと言ってましたね。
中田名人 (添削があった身として)もう私ストレスMAXになりました(笑)。
玉巻アナ 今回の査定結果はこのようになっております。
→スタッフがざわつく中、順位の書かれたボードを浜田に渡す
玉巻アナ まずはどこから見ていきましょうか?
浜田 …え~?
藤本名人 え~、めっちゃ悩んでますやん。
梅沢永世名人 悩んでる…ほら、こういうことなんだよ。
藤本名人 どういうことですか?
梅沢永世名人 分かんないけど(笑)
藤本名人 分かんへんのかい。
村上名人 テキトー。
藤本名人 「こういうことなんだよ」って言うから。
浜田 分かりました、はい。2位!
一同 え~!?
→ジュニア名人、東国原名人が立ち上がる
東国原名人 ほらもうこれ…。
梅沢永世名人 2位?
村上名人 2位から?
中田名人 はぁ~!
横尾名人 2位?
***
浜田 いきましょう、第2位はこの人。
ジュニア名人 え、なんやこれ?
▼2位は千原ジュニア
ジュニア名人 (立ち上がってガッツポーズし)うお~!
一同 すごーい。
ジュニア名人 よーっし!
藤本名人 優勝みたいになってますよ。
浜田 これはいいですよ。
ジュニア名人 おぉ~!マジで~?
藤本名人 優勝の時のリアクション(笑)。
ジュニア名人 今回はちょっとアカンちゃうかなと思ってへん。よっしゃ~!なんであと、(ランキングシートの下位へと”どうぞ”のように腕を広げて)頑張って下さい(笑)。
藤本名人 優勝のテンション。
ジュニア名人 よしいや、もう万々歳よ。
***
玉巻アナ 続いては2人目はどこを見ましょうか。
浜田 これはちょっと下の方見ましょうか。8位。8位ぐらいいきましょう。
ジュニア名人 一番嫌やな。
村上名人 あ~、もうやめて~。
◆ここで副教材の話題に(トーク集は別記)
浜田 いきます。第8位はこの人!
▼8位は皆藤愛子
皆藤 あ~、…はい。
浜田 (梅沢名人の発言に対し)全然違うやん(笑)。
→梅沢富美男グループ(横尾・ジュニア・皆藤)が上位を独占すると発言しており、ごめんの仕草をする皆藤
梅沢永世名人 どうしたの~?
藤本名人 8・9・10位が教科書の3人ちゃいます?(笑)
横尾名人 やめて下さい。
藤本名人 なるようになる言うでしょ。
***
玉巻アナ 続いて3人目ですが、どうしましょう。
浜田 これ一個下がるか。皆藤さんの下いくか。
藤本名人 やだー。9位は一番嫌や。
▼9位は松岡充
松岡 はぁ…、9位か~。
***
玉巻アナ 続いて、どうしましょうか。
藤本名人 はぁ…(笑)、もうやめて。
浜田 ハハハ。
東国原名人 もう一斉にいこう、一斉に。
浜田 東さんよう言うねん、それを。
東国原名人 こっち側に立ってみなさいよ(笑)。心臓バクバクして。
浜田 最下位、最下位いきましょう。
中田名人 えっ!?
藤本名人 これは一番嫌やで。
村上名人 もう最下位?
ジュニア名人 え、誰だ? 梅沢さんかな?
▼最下位はパンサー向井
向井 あ~、ですよね、ですよですよ(笑)。うんうんうんうん、はいはいはいはい。ですよね!
***
浜田 いや、ここからは団子状態でしょう。さあ一体誰の名前が入るんでしょうか。
▼7位は東国原英夫
一同 えぇ~!
ジュニア名人 (立ち上がって)東さんはないと思ったわ~。
浜田 これは番狂わせ。
横尾名人 チャンスあるぞ~!
⇒春の王者の肖像画は新たな顔になることが決定
浜田 全員が今ビックリしております。
***
玉巻アナ 続いて…。
浜田 これはもう東さんの上、6位見ましょう。上がっていきましょう。
一同 うわ~、もう。
▼6位は藤本敏史
藤本名人 うわ~、そっか~。あ~。
***
玉巻アナ 続いては…。
浜田 これはもう上いきます、フジモンの上5位。
一同 うわ~。
浜田 上がっていきましょう。もうあと4人。
▼5位は中田喜子
ジュニア名人 え~、そうなんや~。
浜田 アハハハ。全然動かへん。村上がまだ出てないからね。
村上名人 勝ちだ。俺の(笑)。
浜田 腹立つ。
***
浜田 さあ、残っているのはこの3人(梅沢・村上・横尾)。
一同 うわうわ~。
浜田 どうですか、横尾君ここまで来ると。
横尾名人 いやここまで来たら勝ちたいですね。もう1回あそこ(=肖像画)には載りたいですけど~。
浜田 そうね。村上さんどうですか?
村上名人 でもこの時点で悪い(順位)のが残ってないということじゃないですか。だからちょっとの差を掴めてんなのかな~。
浜田 めっちゃエラそうやな、お前(笑)。
→足を横に組み、右手を頬にあてて座る村上名人
浜田 さあ、永世名人。
梅沢永世名人 もしも私は4位でなかったら優勝かなと。
浜田 なるほど。分かりました。
村上名人 (小声で)優勝か4位か?
浜田 いや、もうこれは中田さんの上、4位。
藤本名人 トミザワさん、こい。
中田名人 村上、村上…。
梅沢永世名人 (両手を合わせ祈る仕草で小声で)お願い申し上げます。
一同 (笑)
ジュニア名人 何て、おっしゃったんですか?
梅沢永世名人 お願い申し上げます(笑)。
浜田 さあ。一体だれ?
▼4位は村上健志
村上名人 マジで~?
中田名人 うわ~!やった~!ウハハ。
梅沢永世名人 来たぞ!
村上名人 あそこをそうとらえたんだ~。
浜田 早よ立てや!
梅沢永世名人 さっさと行きなさい。
浜田 中田さんとフジモンがめっちゃ喜んでたよ。やっぱり優勝させたくなかったんかな、二人は。
村上名人 僕の中では敢えてだったところが、もうしかしたらちょっと良くなかったんかな…。
中田名人 でもひょっとしたら私が4位だったんじゃないんですか、本当は。
村上名人 いやまあ…(否定してサヨナラと手を叩くジェスチャーで誤魔化す)
ジュニア名人 あしらうな!(笑)
中田名人 なんかもう、(地団太を踏むように)フーン!
***
浜田 というわけで、残っているのはこの二人!
一同 うわ~。
浜田 どちらかが優勝、どちらかが3位ということになります。
梅沢永世名人 お待ちどおさまでございました(笑)。ようやく来ましたよ。
浜田 横尾君、どうなの?
横尾名人 いや、今回チャレンジしてるんですよ。チャレンジしないと優勝できないと思って。今回チャレンジしてて…。
浜田 どっちにいってるか…。
ジュニア名人 はぁ~。
浜田 さあ、それでは発表しましょう。
藤本名人 うわ~、どっち。
浜田 今年の春光戦を制した第1位はこの人!
▼1位は横尾渉、3位は梅沢富美男
横尾名人 (ガッツポーズして)しゃあー!やったぜ~!
ジュニア名人 凄い。
藤本名人 うあ~、凄い。
梅沢永世名人 やっぱりな~、よく3位まで残ったわな。
藤本名人 急に弱気なりましたね~(笑)。
梅沢永世名人 東さんのあのコメント聞いた後に…。
藤本名人 独り言ですか?(笑) なんか、言うてますけど。
『よくわかる国語の学習3』明治図書出版・副教材掲載句※教科書ではないため、書店・オンラインの一般販売はしていません。
※掲載されるのは、光村図書・教育出版・三省堂版の教科書副教材です。東京書籍版の副教材には掲載されません。
玉巻アナ 浜田さん、このタイミングで今回嬉しい報告を皆さんにさせて下さい。
浜田 はいはい。
玉巻アナ 芸能人の皆さんが番組で発表した俳句というのは、これまでも教科書や歳時記に掲載されてきたんですが、また新たに掲載されることになりました。
浜田 えっ、すげぇ。何?
玉巻アナ 中学3年の国語の教材に俳句を載せたいというオファーがありまして、夏井先生が載せるにふさわしい3句を選んだんです。
藤本名人 3人?
一同 えっ!?凄い。
玉巻アナ 今回、掲載される3人は、実は今日の10人の中にいらっしゃいます。
浜田 えっ、マジで?
玉巻アナ はい。では、浜田さん。こちらの3名です。
→3枚の査定ボードを浜田に手渡す
浜田 えっ、マジで。じゃあ、いくよ。一人目は…。
「皆藤愛子」!皆藤 やった~! ありがとうございます。嬉しい!
梅沢永世名人 凄いね、愛子ちゃん。
皆藤 ありがとうございます。
浜田 え、すご。二人目は…。
「キスマイ横尾」!向井 えっ、凄い。
横尾名人 やった~!メンバー観てる?(笑) 教材に載るんだよ?
村上名人 凄いな。
ジュニア名人 凄いな。
浜田 ラスト、三人目は…。
「梅沢富美男」!→満面の笑みでお辞儀をする御大
一同 嬉しそう。
浜田 腹立つ、腹立つ。
藤本名人 いや、ドキドキしてたでしょ?
玉巻アナ こちらのあたりになります。
→実際の副教材を手に取って浜田に見せる
【実際の掲載の様子】◆俳句いろいろ◆ 芸能人が詠んだ俳句を観賞しよう。休暇明アルトのビブラート太し | 横尾渉(Kis-My-Ft2) |
※休暇後のコーラス部か。「太し」の一語に休暇中の成果が読み取れる。(休暇明・秋) |
銀盤の弧の凍りゆく明けの星 | 梅沢富美男 |
※スケートの弧が形を残したまま、凍る。リンクは夜明けの星を描いたまま。(凍る・冬) |
右肩に枯野の冷気7号車 | 皆藤愛子 |
※列車の窓側の肩に冷気。枯野の荒涼とした情景も広がる。(枯野・冬) |
浜田 せんせ~い。
夏井先生 はい。
浜田 この3人ということなんですが。
夏井先生 これはね、
中学生に分かりやすいということが一つ。それから先生方が教室で
技術的なことを解説する時に適していると。そういう意味で3句とも非常にしっかりとした素晴らしい句だったと思います。
浜田 あっら~。(梅沢名人を見やり)永世名人。
梅沢永世名人 はい、今回は本当に私嬉しいですよ。全て、私に関係した人間ですからみんな。
浜田 どういうことですか?
梅沢永世名人 ミスタープレバト(自分)、プレバトジュニア(横尾名人)、愛ちゃんは私を師匠と思っている。
浜田 いや、そうなの?
梅沢永世名人 (2位の千原)ジュニアも俺のことを師匠と思っている。
浜田 そうなの?
ジュニア名人 (驚いて)ん?
浜田 アハハハ。
梅沢永世名人 スタッフもバカですね~。
浜田 何がですか?
梅沢永世名人 これでもう、読めちゃいましたよ。アハハハハ…(笑)。
向井 何が?
梅沢永世名人 ここで発表するってことはそういうことですよ。
藤本名人 今の3人の中の一人が優勝?
梅沢永世名人 優勝で、2位が(千原)ジュニアが入りましたからね。1・2・3・4(位)が全員梅沢富美男グループ(笑)。決定したでしょ。
●それでは順位別に見ていきます1位
◆『浜風光る スクイズの 土埃』 横尾渉(Kis-My-Ft2)※季語「風光る」を甲子園特有の海風の通称「浜風」にアレンジして詠んだ一句。
【本人談】キャッチャーが出すサインがじゃんけんに似ていると思うところから始まった。季語「風光る」に「浜」を入れ、甲子園と分からせて良いのかなとチャレンジをした。
梅沢永世名人 大したもんだ!
藤本名人 何で息吹き返したんだ?
梅沢永世名人 これ
甲子園ってすぐみんな読んだら思いますよ。
浜田 はい。ハハハハッ。
梅沢永世名人 「
浜風光る」とか、大したもんだな!
ジュニア名人 同じこと言うてますよ(笑)。
梅沢永世名人 心打たれましたよ。
夏井先生 今回のじゃんけんの兼題写真で何に驚いたか。
みんなじゃんけんをしているはずなので、色んな発想が出るかと思ったら、子どもの遊び方向(6名)と志村けんさん(梅沢・東国原名人)とほぼ真っ二つに分かれた。
ああ、こういう風になるのかと思った中で、
野球のサインをという「そういう発想があったか」というのが、一番大きな理由。
「
浜」をつけるか否かはケースバイケース。いつでもやったら良いとは思わないで欲しい。
なぜ
「浜」が成功したかと言うと、「スクイズの土埃」という後半のフレーズが野球だと明らかに分かる。
勿論、野球の句も沢山あり、同じフレーズの句がないとは言えない。絶対にどこかにはあるはず。
ただ、
この句は作者の思い通りに読者の読みを誘導出来ている。
「浜」の一字で「スクイズ」があれば、海に近いスタジアムではないかと。
「土埃」までくれば、ひょっとしたら甲子園球場かもしれない。そうなると、春のセンバツかもしれない。作者の思った方向に読みをズルズルと引っ張ることが出来ている。非常に確実に詠んでくれた。
作者が横尾さんだと分かって、本当に頑張ってるなと思った。直しはいりません。
本人 ありがとうございます。
添削なし
春の季語「風光る」に「浜」をつけてアレンジし、七五五の形で得意な野球の光景と取り合わせた一句。上五は事前の予告でも公開され、隠された部分も含めて定型でないことは見通せていましたが、季語が何であるかを理解するのに戸惑った人もいたでしょう。野球用語は「スクイズ」を選んだのが秀逸で、捕手のサインを思わせる効果が発揮されました。「浜」「土埃」と相まって春のセンバツと思わせるのは勿論、嗅覚や聴覚をも刺激しています。その意味で、季語のアレンジも英断かつ挑戦的でした。横尾さんは10段相手にも強気な発言が出来るようになり、ジャニーズ筆頭としても番組で活躍しています。以前の前書き句も含め、新鮮なことにチャレンジする意欲が人一倍ありますが、言葉のバランス感覚に大変優れている印象で、大きな失敗をしていません。2度目のタイトル戦制覇ですが、確実な句を詠める現状の実力は、10段に引けを取らないと感じました。
2位◆『サザエさんに 後出しあいこ 吾子の春』 千原ジュニア※アニメ『サザエさん』の番組最後のじゃんけんに注目した一句。
【本人談】うちの子どもが3歳になるが、じゃんけんの概念が分かってない。最後にサザエさんが出した手と同じ手を出せばよいと思って後出しする。読んだ人のリズムが良くなるように、「後」「あ」「吾」と韻を踏んでみた。
藤本名人 いやジュニア、「吾子」好きやな(笑)。「吾子」好きやな思って。
本人 俺、近々吾子にバイク乗せようと思って…。
藤本名人 バイクも吾子も好きや。
夏井先生 サザエさん(の発想)がきたかと思った。
「サザエさん」でじゃんけんしているということは、日曜日の夕方あたりだと。
「後出しあいこ吾子」はたくらんで「あ」の韻を踏んだ。この辺りは明確に分かる。
こういう句の場合、
上五「に」と下五「の」の助詞がこれで良いのかどうかを考えなければならない。
上五「に」がないとサザエさん(という対象)に対して後出しするという意味が違ってしまうため、
字余りでも意味上は必要だと分かる。さらに、下五「の」も「よ」「や」として詠嘆する選択肢があるが、
「吾子の春」なので下手に詠嘆すると親バカの臭いが少し強くなる。
そのため「の」で穏やかに置くのがより良いと判断した。直しは要らない。
浜田 うわ~惜しかった、ジュニアでも2位ですから。
本人 ありがとうございます。
浜田 あら素晴らしい。
梅沢永世名人 この句は良い。
本人 楽しくなってきましたね~!(笑)
添削なし
サザエさんのエンディングに発想を飛ばし、自身の子のじゃんけんの動作に着目した一句。類想は意外とありそうな感じでしたが、確実に押さえにきた印象です。下五「の」の選択が良く、季語は「春」ですが、優しい光景全体を包み込む形になりました。「あ」の韻を踏むことで、全体のリズムが良くなり、上五の字余りもあまり気になりません。金秋戦優勝句も含め、家族俳句が強い印象のジュニアさん。コメントもいただきましたが、助詞を選ぶ力があれば基本的に大きな失敗がないため、今後も上段者の脅威になることは間違いありません。
3位◆『「最初はグー」 聞こゆ志村忌 春の星』 梅沢富美男東国原名人 なるほど。
【本人談】「最初はグー」は志村けんさんが流行らせた。みんなに愛されていつかは志村忌になるんでないかと。それで志村けんさんは生まれた時も亡くなった時も春(※生誕は2/20で暦の上では春)なんです。ですから「春の星」と星になっていったんだと。
浜田 東さんはどう思われますか。同じ志村さんを詠んだ。
東国原名人 やはりリズムがありますよね。さすがそこを押さえてらっしゃるなと。僕のより映像がしっかりしているなと思いますね。
夏井先生 まさか、こういう風に重なってくるとは思わなかった。
穏やかに自分の思いが伝わる句になっている。
この句の中で、考えないといけないのは
「聞こゆ」がいるのかどうか。これが一番大きな問題になる。
普通は聞こえるから思うわけで、「聞こゆ」は書かないのが俳句の定石。
しかしながらこれは
追悼の句で、まさにその声が今聞こえてきたような気がすると言いたいため、この動詞を消すのは違うと思った。
「聞こゆ」「志村忌」「春の星」とそれぞれ切れるが、この句はそれなりのリズムが出来ている。
忌日の句でありながら、明るい軽やかなリズムを作っており、この明るさに志村さんの業績・人生をくっつけて一句に表現している。志村さんが亡くなってまだ一年のため、それが春の季節感を持った忌日の季語だとはあまり気づいていない。
しかし、
何年か後に「志村忌」「志村けん忌」は"あー、春だね"と春の季節感をもって味わう日が必ず来る。そこにいくまでにおっちゃんのように
こういう句が(=忌日表現と別の季語を入れる)詠まれる。
それは大事なことだと思う。これは直さない。
浜田 まあ、今回は3位ということで…。
本人 まぁ、老兵は去るのみですよ(笑)。
浜田 いや、去らへんやん。
本人 ただのジジイ、ねぇ。
浜田 すねだしたよ、おい。
添削なし
兼題から「最初はグー」を広めた志村けんさんを発想し、追悼句に「春の星」を取り合わせた一句。志村けんさんと御大は、「バカ殿」でもお互いに変わった殿様の格好で共演(自身のブログでも格好がトップページに出ている)し、終了番組「志村友達」にも出演。囚人コントで共演され、様々な思い入れを番組で語るなど、芸能人ならではの気持ちが強かったのだと思われます。この句は「志村忌」の言葉が堂々と立ち、SNSでも使う方が多数おられるなど放送後の影響は絶大でした。「聞こゆ」の終止形で三段切れとなりますが、リズム感を整えて添削なしとなり、シード権を獲得した以上句集掲載の可能性大。「志村忌」の先行句として胸を張って良かったと思います。
4位◆『けいどろの 牢に鐘楼 花の寺』 村上健志(フルーツポンチ)【本人談】「けいどろ」は警察チームが泥棒を捕まえたら牢と言われる所に入れる遊び。牢と言われるところが、お寺にある鐘楼。多分「鐘楼」とあれば、「寺」は不要と捉えられると思うが、「鐘楼」というガンッにあった時に、「花の寺」でバーンッとこう…。
浜田 演出家みたいなことせんといて(笑)。
藤本名人 腹立つわ~。
梅沢永世名人 何をエラそうに、お前は(笑)。
助詞が悪いんですよ。
藤本名人 え、助詞?
梅沢永世名人 「牢に」というところが。
浜田 「に」が悪い?なるほど。
夏井先生 この句は
「鐘楼」とあれば「寺」だというのは分かる。
ここが要らないとか近いという考えも当然出てくると思うが、
「鐘楼」は子どもたちを入れておくという少し狭い画角。
そこからカットが切り替わると、大きな「花の寺」がバンと映る。この映像の効果は見事。何が問題かと言うと中七「
に」。たったこれだけのこと。
「牢に」とするとここから後の文脈は
「鐘楼を使ってます」という、そういう意味が入ってくる。
「に」という助詞は、散文的になりがちなため気を付けましょうということになる。
これを見破れるおっちゃんは偉いなと思っているが、何にすれば良いの?
梅沢永世名人 (嬉しそうに)わたくしが言うのも何でしょうからね。
藤本名人 言いましょう。
梅沢永世名人 わたくしはあの、いつもの通りあの、急に言われても…。
浜田 早よ言え!(笑) 何が良いんですか?
藤本名人 分かってないんですか。
梅沢永世名人 「牢
は」。
夏井先生 その通り。
これは「
は」。「けいどろの牢は鐘楼」なら、
「牢は鐘楼です」とこれだけの文脈になる。
しかも、何と牢に使っているのは鐘楼なんだという小さな可愛さも出てくる。
ミスがなければ、これが今日は1位だった。
本人 牢に鐘楼が使われているってことを気付けた自分を表すには、「に」だってのが前に説明があったんであえて「に」だったんですけど。「は」だったんだなっと思ってます。
浜田 先生の顔見てよ。コイツ、何言うてんねんみたいな顔してる(笑)。
本人 先生はとうとう俺のことをライバルと認め出した(笑)。
夏井先生 いや…私はさ、この前のチョコチップ(=秋麗チョコスプレーの淡き影)の時に、私が「に」って言ったから安易に「に」だなと考えたんだと。
本人 安易じゃないです(笑)。
添削後
『けいどろの 牢は鐘楼 花の寺』
じゃんけんを使った子どもの遊びを発想し、寺の光景と桜の「花」を取り合わせた一句。「けいどろ」「どろけい」と呼び名は色々あるでしょうが、公園や校庭などでやった記憶の人が多い所に、「寺」「鐘楼」という場所を持ってくるところに作者の工夫と意外性があります。「鐘楼」「寺」と合わせるのはベタかもしれませんが、「花の寺」で光景を最後に大きく見せ、共感性を持つ内容に仕上がっています。しかし、助詞の選択で4位に沈んでしまったのが残念な部分。チョコスプレー句でもそうでしたが、客観的に推敲することの難しさを思い知らされた印象で、視聴者にも勉強になる点が多いです。半径30cm以内ではなく、予選から遠景で勝負してきた村上さん。優勝できる実力があるだけに、自己陶酔から一歩離れた視点が必要だと思いました。
5位◆『「ちょき」だす子 春の光を 突き破る』 中田喜子【本人談】やっと「ちょき」で勝った子がいる。大喜びでゴールに向かって走っていくという句を。
梅沢永世名人 これね、
「ちょき」でも負けることありますからね。重箱の底ひっくり返すと。
村上名人 「『ちょき』」と「突き破る」はちょっと近いんじゃないかとか。
本人 えっ? 「『ちょき』」と「突き破る」が近いですか?
村上名人 いや…、遠いですね(笑)。
向井 負けないで。
梅沢永世名人 最低だな、お前はホントに。
村上名人 遠い遠い遠い遠い。全然遠いわ。ごめんなさい、すいません。
夏井先生 元気で明るく、それなりにオリジナリティーもある。
勿体ない点はおっちゃんが指摘したこと。
「子」では「ちょき」を出しただけで終わるため、
「勝つ」という情報が入れば「突き破る」との言葉の勢いが合体する。それを一点入れるだけで良かった。「
『ちょき』で勝つ」と書く。
「子は」の「
は」はここでは必要に。「春光を突き破る」と持ってくる。
「チョキで勝つ子は春光を突き破る」で、「春光」の響き、音読みにも勢いが出る。
こうすると気持ちが良いはず。
本人 確かに気持ち良いです。はい、ねぇ。
浜田 なるほどねぇ、分かりました。
添削後
『チョキで勝つ 子は春光を 突き破る』
兼題からじゃんけんの手を発想し、その手の持つ印象を「突き破る」として子の動作に重ねた一句。ファンタジー感のある人物描写で、中田さんらしい表現ですが、なぜ「ちょき」を出した人が春光を突き破るのかが映像としても抽象的となり実感がわきにくい印象に。少し兼題にもたれ掛かってしまったようで、季語の「光」も効いてないように感じました。添削のテロップでは鍵括弧が外れ、チョキと片仮名表現に。綺麗な光景ではありますが、今回は発想力もあと一歩の形で、さらに五感を働かせたものが欲しいと思いました。
6位◆『うららかや 次女出すチョキは まだ未完』 藤本敏史(FUJIWARA)中田名人 (呟くように)「まだ未完」。
【本人談】5歳の次女が2歳ごろにじゃんけんをする時、チョキが指1本になったりして変なチョキをよく出していた。
梅沢永世名人 「うららか
や」。これが
繋がってるかどうかが分からない。本人 「うららか」ってのは春の…。
梅沢永世名人 分かってますよ。そんなあんた、素人みたいに私は中学の…中学の本(=副教材)に載るんだよ!(笑)
本人 いやいや、暖かい春の日にじゃんけんをしているっていう。
梅沢永世名人 7位(=6位)が何を偉そうなこと言ってんだよ!
本人 別に偉そうなこと言うてないじゃないですか。
夏井先生 チョキが正しく出せない場面を詠んだ句がないことはないが、
句の工夫として「未完」という言葉が出るのは面白かったと思う。
何がもったいないかと言うとここ「
まだ」。
本人 そうやねぇ。
夏井先生 そうやねぇ。
「未完」と言ったら「まだ」は言わずもがな。
これを消せば問題はなく、むしろ「未完」が出てくる面白さが出る。
本人 これは思いつかなかったですね~。
夏井先生 これは簡単なこと。
おっちゃんが繋がるとか、繋がらないとか言ってましたが、
繋げて見せてやれば納得する。
「次女
の出す」の後、「チョキは」として季語と溶け込ます。「うららか
なる未完」とする。
梅沢永世名人 なっ、すごい!
浜田 うるさいな。
本人 いやいや…。
夏井先生 そうすると、最後の
「未完」という堅い言葉が「うららかなる」という季語に包まれるので、前半の映像と馴染んできてくれる。
本人 取り込むね~!(笑) いや凄いわ、あ~でもちょっと出来ないなぁ、まだ~。
浜田 なるほど。
添削後
『次女の出す チョキはうららかなる未完』
春の時候の季語「うららか」を用いて、ジュニア名人と同じく自身の子どものじゃんけん動作に着目した一句です。「ちょき」は鉄砲のような形になったり、中指や小指が出たりと小さい子には難しい形なんでしょうね。「未完」のオリジナリティーはあるものの、なぜ「まだ」と入れるのか、言葉の重複で基本的な失敗をしています。中七「次女出すチョキは」も言葉が忙しない形で、推敲に時間を割いてない印象もあります。御大の指摘した切れ字「や」もあまり効いていません。取り合わせの面白さが褒められてきたフジモンさんですが、助詞・語順などに細かい技術に注意を配らないと名人10段の面目を保つのは難しいと思います。
7位◆『(志村けんさん一周忌)山も笑う 「最初はグー」の 発明者』 東国原英夫※作品のテーマを説明する前書きをつけ、季語「山笑う」に「も」を加える工夫を凝らした一句
【本人談】もうすぐ(3/29)が志村けんさんの一周忌。「最初はグー」を考えたのは志村さん。最近の若い方にそのことを知らない方がいるので知ってほしいのが一点。「山も笑う」は本来は「山笑う」(春の季語:春の山の明るい感じ)で、志村さんと「笑う」はイメージが近いと思ったが、コロナ禍も一年経って早く終わってほしいという気持ちで志村さんも天国で笑っているのではないかという気持ちを入れたかった。
横尾名人 前書きを使っているのでより一層分かりやすいですし、僕も志村さんに対して(追悼句を)書いたんですけど、全然ダメな感じで、提出はしなかったんです。
浜田 なるほど。
横尾名人 こう書けば良いんだというのが。
浜田 やっぱり一応考えたのね。なるほど。
横尾名人 考えました。なので、凄い逆に勉強になりました。
村上名人 多分もう、東さんが自身でおっしゃってたように「山笑う」という季語を変えることとか、「『最初はグー』の発明者」、これを俳句にしようと思ったという想いは、僕は順位に関係なく素晴らしいなと思いますけどね(笑)。
浜田 腹立つ。
村上名人 こういうものを提出したってことが素晴らしいと思います。
浜田 永世名人、ああいう言い方さしといていいですか?
梅沢永世名人 ホントにお前調子づくなよ!(笑) え!? この「最初はグー」は志村けんさんが流行らせたのよ。これは絶対にみんなに知ってほしいという東君の気持ちなんだと思う。ただこの「山
も笑う」がな…。
浜田 (舌打ち)チッ。
梅沢永世名人 って思うけど、どうなんだろうね~。
浜田 使わへんぞ、そこまで(笑)。
夏井先生 あの
兼題のじゃんけんから、そうかそこに来るかという納得は物凄くあった。気持ちにも寄り添える。考えないといけない点は2つ。
1つ目はご本人も言っていた上五の「
も」。ただ追悼句という前提がここにあるため(許容できる)。
“私たちも随分笑った。そして空の上で志村さんも”という、色んな想いを「も」に託しているということは理解できる。
この「も」は作者の意図として尊重すべきだと考えた。
となると、最後の
「発明者」がどうしても説明臭が残ってしまう(のが問題点の二点目)。
これを諦めた場合、どんなやり方があるかを考えた時、
前書きが既にあるので思い切ったやり方をしても良いかもしれない。
「山も笑う」の後に、敢えて「
最初の最初の」と入れ、「『最初はグー』」と。
一同 うわ~。
夏井先生 下五の鍵括弧で映像は立ってくるかもしれないと思った。
ジュニア名人 すげぇ。
本人 (首を横に振って)できない!(笑)。
藤本名人 いや、いいです。凄い良いけど。
梅沢永世名人 凄いなあ。夏井先生。
本人 凄い!
浜田 凄いですね。
藤本名人 これは凄いですね。
梅沢永世名人 できない。
浜田 全員が唸りましたね。これね、直してもらって。
添削後
(志村けんさん一周忌)
『山も笑う 最初の最初の 「最初はグー」』
御大と同じく、志村けんさんの追悼句でこちらは前書きがつく形に。「山笑う」がもつ季語と故人のイメージも似合う形でしたが、「も」をつける辺りは少し出しゃばり感がある印象に感じました。また、下五は前書きがあることで説明になりますが、恐らく本人は前書きをつけるべきか取るべきか相当悩まれたのではないでしょうか(私もよく悩んで大概失敗します)。追悼の想いとして映像が弱いのは仕方なく、先生の「最初」を重ねる添削はさすがに考えつきませんが、本人が前回「テレビ」「菫」を重ねる手法を用いただけに、大胆な手法を示されたのだと思います。タイトル戦6度の優勝を誇る東さんは、過去4回の春のタイトル戦は優勝3回、準優勝1回と絶好調でしたが、久々に下位に沈み、肖像画も初めて消えてしまうことに。個人的には本調子ではない可能性を感じました。
8位◆『木の芽晴 あいこ三回 照れ笑い』 皆藤愛子【本人談】じゃんけんであいこが続くと「相手と気が合うんだな」と思って嬉しいような恥ずかしいような気持ちになる。それを詠んだ。
藤本名人 俳句に自分の名前(=
あいこ)を入れるのは…自分好きやな(笑)。「あいこ」なかなか入れませんよ。
夏井先生 これは
気持ちが良い季語から始まる。じゃんけんをしている場面も素直に書いている。悩ましいのは2箇所ある。
上五・中七・下五とプチプチ切れる三段切れをどうするかが一点。
「
照れ」という風に、
笑いの種類を説明しなくても「あいこ三回」続くためにある程度分かるのではないかが二点目。
「木の芽晴」から「笑
う」にいき、「照れ」は不要。「三回
目のあいこ」と持ってくる。
最後に
じゃんけんしている手で終わることで、逆に季語「木の芽晴」に明るさが戻っていく印象もある。
本人 見違えました。なんか今一歩だなと思っていたのが。
浜田 自分でも?
本人 そうなんです。
添削後
『木の芽晴 笑う三回目の あいこ』
樹木に萌え出た新芽の総称が「木の芽」(植物)ですが木の芽が吹く「木の芽時」(時候)の傍題と「あいこ」の仕草と表情を取り合わせた一句。皆藤さんらしい微笑ましい光景で、自身の名前を入れ込む点に気付けるフジモンさんはさすが芸人。リアリティーも共感性もありますが、「照れ」はやはり気になる部分。先生は句またがりの形で「三回」を「三回目」に添削したことで、一瞬の映像を切り取る部分の大切さを改めて感じました。動詞「笑う」が間に入ることで季語を擬人化するように読み取れ、深みが出る添削に思いました。
9位◆『助手席の シートに温み 鳥曇』 松岡充【本人談】カップルのある別れのシーン。先ほどまで車の助手席にいた人が今はもういなくなっている。「鳥曇」(晩春の季語:渡り鳥が北に帰る頃の曇り空)という北に帰る鳥の群れが悲しさと未来への希望みたいな。(兼題の)じゃんけんから発想を飛ばし過ぎたなとは思うが、誰かと誰かがそれぞれの道を行く手段と考えた時にこの景色が生まれるのではないか(※「ぐー」を出す人も「ちょき」を出す人もそれぞれいる)と。
東国原名人 うーむ、じゃんけんですからね、
テーマが…(=兼題から離れすぎ)。それが一点と。「助手席」「シート」という狙いが伝わりづらいかなという感じはしますね。
梅沢永世名人 これ今、東さんが言った通り。
「助手席」とあれば「シート」は要らない。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 余分だったね(笑)。これは9位は当然でしょ。
夏井先生 兼題写真からなぜここに(発想が)来たのかが受け手として解明しにくい。
発想の糸口が読み手に分かるようにしてあれば納得しやすい。別れの場面の意図だと。
それなら「助手席」「シート」と念押しをするよりは、
誰がいなくなっているかをハッキリと書いた方が得だと思う。
「シートに」の方ではなく、素直に上五を「助手席
に」とこっちに「に」をつける。
御大たちが言うように「シート」は諦める。
「君の」を入れ、平仮名で「ぬくもり」とする。
最後の
「鳥曇」で「り」の韻が生まれる。彼女が去っていったこの季語の真理が入っていく。
本人 悩んだこと全て先生がおっしゃってくれて勉強します。
添削後
『助手席に 君のぬくもり 鳥曇』
仲春の天文の季語「鳥曇」と彼女との別れの場面を取り合わせた一句。「鳥雲に入(い)る」(動物)は、越冬した渡り鳥が北の繁殖地へ帰る際に雲間に消えていく様子を表しています。自身のJ-POP的部分に発想したのでしょうが、兼題から飛躍しすぎな印象は拭えません。別れシーンとして、シートの温もりへの着眼は悪くないですが、「シート」「席」の重複は指摘されても仕方ない部分。初回凡人査定の「迷い鶫」の句も同じで、季語の持つイメージと恋愛感情的な部分を重ね合わせる傾向があった松岡さんでしたが、タイトル戦で勝負するのは難しい印象。素直に場面描写に戻って詠んでいただきたいところです。
10位◆『永き日の じゃんけん多き 初デート』 向井慧(パンサー)※「永き日」は春の季語。
【本人談】じゃんけんをするシチュエーションを思い返した時、初デートの初々しい距離感があり、一日で(デート中の)色んなことをじゃんけんで決めたなっていうのを詠んだ。
ジュニア名人 あの~、可愛らしい俳句だなと思います。カラオケでどっちが先に歌うでじゃんけん、ごはんで何食べるでじゃんけん、その
デートは面白くなさそうやな(笑)。
本人 デート批判やめてもらって良いですか?
夏井先生 最後に
「初デート」ってドンと出て来た時に多少くさい感じはするが、ここをズバッと消したら作者の言いたいことがなくなるので残す。
一番の問題は
「多き」で、これが説明になっている。ここをちょっと違う言い方にする。
じゃんけんのアップから始める。「じゃんけん
を何度」とする。"何度するのだろう、俺たち"と。
「
日永の初デート」とまとめる。「初デート」と季語「日永」がくっつく。
季語を上手に使って自分の弱点(下五)を補う。本人 こういうことなんですね。
添削後
『じゃんけんを 何度日永の 初デート』
季語「日永」の傍題と初デートの光景を取り合わせた一句。じゃんけんで全てを決める所に人間関係にぎこちなさのあるカップルというのが想像でき、お互いの距離感が伺えます。この点は最下位とはいえ、詩の要素は悪くない部分。やや説明口調に感じるのは季語を含めた連体形の形容詞が2つある点でしょうか。先生は季語を「日永」に戻し、「何度」を用いて句またがりで語順を整えましたが、季語を中七に入れるのは練習するしかありません。収録でも場の雰囲気を読み取るのは悪くないため、今後の成長に期待したいと思います。
★放送では1位前に発表された(実際はシード権発表後)、2021年7月開幕の炎帝戦新ルールを発表◆炎帝戦2021の新ルール◆ ①参加資格は過去に1度でも才能アリを獲得した人物(才能アリ経験者・200名以上該当) ②俳句の募集は本日(3/25)から2か月間。優秀上位10名がスタジオ収録 兼題:Tシャツ ※俳句ポスト365のように投句して上位10句によるタイトル戦のようです。 |
横尾名人 二階堂もいますね。
浜田 はい。才能アリ獲ってますから、(参加)資格はあるということです。
藤本名人 (ピース)又吉には言わないでほしいなと思う…。
浜田 何でやねん。
藤本名人 又吉にはねぇ。
向井 内緒にしてもらえれば。
浜田 でも1回しかまだ才能アリ獲ってないやん。そういう人らに負けるんですか? じゃあ。1回しか獲ってない人に負けるんですか! 私は負けないと思いますよ。
※お題「Tシャツ」で争う炎帝戦。専用の「炎帝戦ポスト」に投句する形になるようです。
ジュニア名人 それあの、「お~いお茶」がやってるやつです(笑)。
★次々回の金秋戦の予選免除のシード権順位を発表
浜田 ボーダーラインは…。
「4位まで」!
→該当は横尾名人・ジュニア名人・梅沢名人・村上名人
村上名人 よおっし!
浜田 というわけで2021年・春光戦を制したのはキスマイ横尾~!
→優勝トロフィーと副賞30万円を本人に渡す
★4/1の放送はお休み。次回4/8の兼題は「あくび」で通常回です(予定)。
春の3時間スペシャル。古着リメイク、黒板アートに続いて春光戦決勝戦でした。予選からおよそ1か月のスパンがあり、それぞれ考える時間が与えられましたが、兼題は「じゃんけん」。誰もが知る遊びですが、どのように発想するかが難しいお題でした。
優勝した横尾名人は野球のサインを発想と独特です。志村けんさんの「最初はグー」を発想したのが御大と東国原名人でした(「最初はグー」の考案者が志村けんさんなのは常識だと思っておりました)。また、実際にじゃんけんをする動作を発想した6名のうち、ジュニア名人と藤本名人が自身の子がじゃんけんを正しく出来ないという発想、中田名人が子が勝って走り出すという発想、村上名人が「けいどろ」の遊び、皆藤さんがあいこを繰り返す、向井さんがデートのじゃんけんに。松岡さんは全く異なり、それぞれの道を歩むという考えでした。また、出す手では「グー」が2名、「チョキ」が2名、「あいこ」も2名いましたが、「パー」がない結果に。全体的にじゃんけんで勝負する発想の句が目立ちましたが、村上さんの「けいどろ」はじゃんけんをチーム分けに使う発想とも考えられました。
ちなみに拙句は「チョキ組はモップ掃除ね春夕焼」でした。女子の台詞と実景の季語を合わせる形で、春の年度末の学校の大掃除を思わせる一句です。じゃんけんは勝負ではなく、完全にチーム分け(仕事の分担決め)に使う発想です。教室なりトイレなりモップ掃除は結構大変で、大概複数人でやるため「組」を入れましたが、「ね」の一音で台詞と思わせています。女子に何かをやれと指図されると、男子はトラウマに感じてしまうものです(※個人の考えです)。季語が放課後の学校を包むような意図がありましたが、今回は説明文を一切つける必要がないと判断し、若手俳人・着流きるお氏(祝・永世名人になられました)に少々意地悪なことをしましたが、果たして査定結果はいかに…。
また、志村さんへの追悼句として昨年死去直後に詠んだのが「『だいじょうぶだぁ』と春星瞬けり」でした。奇しくも御大と季語が重複する形でした。
さて、炎帝戦への新ルールが公表されましたね。春・秋は今まで通り改変期に決勝、その1か月前に予選という形でしょうが、夏と冬はルール変更となり予選が行われないと見られます。まさに、「お~いお茶」の様相で専用の俳句ポストが設置されましたが、どれだけの平場の方が食い込むのかにも注目です。募集兼題の上位10句がそのまま順位付けで発表されるなら、俳句ポストの天地選のような形となり傑作ぞろいになりますが、添削の余地が無いので本当の初心者はついていけなくなる可能性も。兼題に従って良い句を詠んだ人が、別の兼題で順位付けを争う可能性もあります(この辺りの扱いがよく分かりませんでした)。
炎帝戦は7月放送とのことで、首を長くして待ちましょう。
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