2021年2月18日放送 プレバト!! 俳句春光戦予選A・Bブロック結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
春の季節に行われる第5回
春光戦予選A・Bブロックで名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細(Aブロック) →俳句詳細(Bブロック) →編集後記⇒予選C・Dブロック記事
⇒決勝戦記事※過去のタイトル戦結果などは
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コメント欄に関してですが、当方の誤操作により、2/19に当記事に投稿された一部コメントを削除してしまいました(倫理規定違反等ではございません)。
該当の方はコメント常連の方でございます。この度は不愉快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません。
当ブログは記事のバックアップを定期的に行っておりますが、削除されたコメントは復元不可となります。
今後、このような事態が起こらぬよう邁進致します。大変申し訳ございませんでした。
挑戦者:
Aブロック→<名人10段★1>藤本敏史(FUJIWARA)[64],<名人10段★3>村上健志(フルーツポンチ)[52],<名人2段>千賀健永(Kis-My-Ft2)[43],<4級>馬場典子[16]<4級>北山宏光(Kis-My-Ft2)[34]
Bブロック→<名人5段>中田喜子[45],<2級>皆藤愛子[23],<3級>篠田麻里子[14],<4級>筒井真理子[10],<5級>武田鉄矢[4] ※[数字]は挑戦回数
見届け人:梅沢永世名人、横尾名人、千原ジュニア名人◇春光戦2021のルール(※前々回の金終戦を踏襲した形) 【予選】 ・ABCDの4ブロック制で、各ブロック5名が参加 ・ブロック分けは浜田が事前にくじ引きを行い決定 ・兼題はAB・CDの2ブロック単位で共通 ・各ブロック上位1名が決勝進出 ・各ブロック2位は補欠となり、4名中上位3名が決勝進出(敗者復活) 【決勝】 ・金終戦上位3名がシードで参加 ・決勝はシード3名(永世名人含む)、予選通過7名の合計10名 |
●お題:雲丹の軍艦巻き(ウニ軍艦)
※奇を衒ってはいないが、「雲丹(ウニ)」は晩春の季語、「海苔」は初春の季語で、季語としっかり向き合わないといけない。
※各ブロック1位が無条件で決勝進出、2位は補欠※順位クリックでリンク内移動します。
※順位発表順 Aブロック:2位→最下位→4位→3位→1位、Bブロック:3位→2位→4位→最下位→1位トーク集(各クリック)東国原名人 実力伯仲と言ってもいいんじゃないかな?
夏井先生 何かやらないとと挑戦的な…。
***
夏井先生 Aブロックは激戦でしたね~。困りました。
→名人10段2名(村上・藤本)にキスマイ千賀と歴代優勝者3名いるゆえん「死のAブロック」と呼ばれる
藤本名人 ちょっとええですか? くじ引きに対して。
浜田 はい。
藤本名人 え~っと、ヤラセですよね?
浜田 何でやねん(笑)。全くやってない。
藤本名人 いやいや、ちょっと。偏りすぎというのが…。
浜田 普通に引いて行ったよ。見てたやん、みんなの前で引いたよ。
村上名人 だってあそこ(額縁)に飾られたことある人(歴代優勝者)が3人いるというのが。
藤本名人 ドSくじ引きですよ(笑)。こんな、いじめですやん。なぁ。
***
浜田 すいません、あなたにとってこのブロック誰が強敵ですか?
藤本名人 いや、やっぱり…(後ろの北山を見る)ちょっと前に出てきたけど…。
北山 違う違う。
藤本名人 言わないよ、ちょっと前出たけど(笑)。
北山 めっちゃ、バッチリ目が合った。
藤本名人 合ったけど言わないよ。名前あげないから。
北山 あがんないですか?
藤本名人 やっぱりそうですね、村上かな~。
村上名人 いや、正直ね。最初確かに(藤本名人が)「偏りすぎでしょ」みたいなこと言ってましたけど、「俺のせい」と思ってます。ホントに(笑)。
藤本名人 「俺のせい」?
村上名人 言わないじゃないですか? ワールドカップでブラジルの選手が「このブロック強いわ!」って言わないじゃないですか?(笑)
藤本名人 プチ梅沢みたいになってきたね(笑)。ホントに。
村上名人 とはいえ(両隣の)この2人(藤本・千賀)は強いんでホントにちょっと怖いは怖いです。
ジュニア名人 ホンマやな。
浜田 (北山に)一切名前出てこない(笑)。
北山 今回、凄いの出来ましたんで僕は。気抜いてると寝首を掻きますからね(笑)。ホントに。
浜田 ジュニアさんどう思われますか、このブロック。
ジュニア名人 いや、ホントに村上さんがバラエティー(番組)でも調子良いんですよ。プチ梅沢として来るんじゃないですか? 今回もしダメなら提出した俳句、家庭用シュレッダーにかけますんで(笑)。
村上名人 もうちょっと大掛かりにやって下さいよ。
藤本名人 カメラなしでね。
***
玉巻アナ 馬場さんは、大阪芸術大学の教授をされていて、教材でプレバト!!の俳句を使っているそうです。
浜田 そうなんですか?
馬場 やっぱりこの「てにをは」ひとつで、こんなにニュアンスや意味合いが変わるというのに、俳句ほど素晴らしい教材はなくて。
浜田 ちなみに誰の俳句を使ったんですか?
馬場 えっとね、石田純一さんの(笑)。
→石田は2014年に「良きことの願ふ手のさき風ひかる」と詠み、「良きことを願う柏手風光る」と添削された。
ジュニア名人 石田純一さん、えっ?
浜田 はっ?
馬場 直されないものは私も自分でもちょっと分からないんですよ。直されたものはこれでこんなに違うでしょっていうんで、それで石田純一さん。
ジュニア名人 石田さん、色んな事直されてるから(笑)。
***
玉巻アナ ちなみに千賀さんですが、前回のタイトル戦の放送後にお母様から怒られたそうです。
浜田 えっ、そうなの?
千賀名人 こんなに「プレバト!!」さんにお世話になってるのに、最近「見ごたえがないから勉強しなさい!」と(笑)。29歳にもなって、こんなに親に怒られると思わなくて。ケンカになっちゃいまして。
浜田 横尾くんどうですか?
横尾名人 いやあまあ、初の3人(横尾・千賀・北山)で決勝に行きたいですね。
梅沢永世名人 いいね。
北山 「プレバト!!」の影響力って凄くて、横尾さんがうちの地元の友だちの母親の層で人気を占めてて、紅白(歌合戦)にこの間出させていただいた時も、「あの俳句の眼鏡の子が踊ってるよ」と地元で僕の耳に結構入ったんですよ。
浜田 マジで。
北山 何で、僕今回優勝したら横尾の眼鏡かけてあの肖像画に載ります(笑)。
横尾名人 それ、嬉しい。
玉巻アナ 結果はこのようになっています。
→浜田に結果ボードを渡す
村上名人 はぁ~。
藤本名人 はぁ~。もう1位だけで良いけどな。
浜田 1位だけで良いですか。とりあえず補欠。
北山 おっ、補欠?
藤本名人 ここでもね、首の皮一枚繋がりますからね。
北山 ここでもいいわ。
村上名人 一番長いやつじゃん。
藤本名人 あ~こわ!
▼補欠2位は村上名人
村上名人 あ~、フルーツ、あ~!
藤本名人 何て? 何て言ったの?
村上名人 これ、ドキドキが一番長いやつやん(笑) もしかしたら駄目(敗退)ってやつでしょ~。もう長いんだって。
藤本名人 これはアカンわ、でも。
村上名人 うわ、どっちだ。
藤本名人 うわ、もう残り1個や枠。もう1つしかないやん。(村上は)まだ良いやん!
村上名人 良いけど、ここまで来て落ちたら最悪ですよ~。
藤本名人 そうね、そのパターンが一番嫌やんな。
村上名人 (前回)秋が予選2位でダメだったんですよ。補欠で。もう1位で良いじゃん。
***
浜田 これはもう、予選敗退を見ていきゃいいですけど。最下位。
藤本名人 もういいですよ。
ジュニア名人 うわ~、可愛そう。
藤本名人 そんな、さらし者にしよって。
▼最下位は馬場
一同 あ~。
ジュニア名人 そうか~。
浜田 (藤本名人に)お前ドキドキしてるやないか(笑)。
藤本名人 良かった~。
梅沢永世名人 どうしたの?
馬場 (ランキングシートの)階段ゼロって初めてかもしれない(笑)。地べた。
***
藤本名人 ちょっと吉本の砦守るか~。
千賀名人 ジャニーズどっちかは行きたいですよね。
北山 ジャニーズの砦も守らないといけないので。
横尾名人 来てほしいな。
藤本名人 もう~。
浜田 これ馬場ちゃんの上、4位。
藤本名人 どうすんの、浜田さん。何位行くの?
浜田 4位です(笑)。
藤本名人 4位なんですね。
梅沢永世名人 ここに入ったら凄いわ。
藤本名人 誰よ?怖いわ?
▼4位は北山
藤本名人 うわ~。
浜田 北山がちょっと「う~ん?」って感じですね、なんか自信ありましたもんね。
北山 そうなんですよ。
藤本名人 あ、言うてたなあ。
浜田 良いの出来たって言うてました。
藤本名人 凄いの出来たって。
***
浜田 さあ皆さん、残っているのはこの2人。どちらかが1位でございます。
梅沢永世名人 (千賀名人が)ホームラン打ったと思うな。
千賀名人 いや、どうっすかね~。
浜田 千賀、どうですか。ここまで来ると。
千賀名人 正直、結構自信はあるんですよ。ただ、こう…フジモンさんに予選で勝ったことはないので。
藤本名人 なかったっけ。
千賀名人 ないと思います。
→前回の冬麗戦、前々回の金秋戦決勝では千賀名人は藤本名人に勝っているが、予選で同じグループに入るのは初
浜田 でもフジモン、怖いやろ。
藤本名人 怖いんですよ。どでかいホームラン打つ時があるんで。「ドカベン」の岩鬼みたいな感じ(笑)。来るんすよ、ホンマに。
浜田 分かる分かる。中田さんどう思われますか?
中田名人 もう予選に強い千賀さんですよ、1位は(笑)。
千賀名人 ありがとうございます。
▼予選通過1位は藤本名人、3位は千賀名人
藤本名人 あ~、良かった。あ~。
千賀名人 うわ~。
浜田 ここは千賀が頑張ってくれたらね。
→女性4名に71歳最高齢特待生という実力者揃いのBブロック
浜田 中田さん、どうですか? このメンツ。
中田名人 私、武田鉄矢さんのファンなんです。『3年B組』からずっとファンなんです。ですけど、今回は黒一点なので、武田さんには勝たせていただきたいなと思います。
玉巻アナ 中田さんは冬のタイトル戦は5位だったんですが、意外な反響があったそうです。
中田名人 そうなんです…。喜怒哀楽マダムと言われまして、あの時に(笑)。
浜田 そりゃ、あんな顔するからでしょ。色んな顔見せてましたから。
ジュニア名人 できたら、マダムの怒から哀を見たいですね(笑)。
浜田 どんな顔されてもずーっと、(カメラ)一台だけは中田さん狙ってますから。撮り逃がさないようにしてますんでね。自由に顔作って下さい(笑)。
玉巻アナ 皆藤さんですが、特に篠田麻里子さんには負けたくないそうです。
皆藤 そうなんですよ。やっぱり篠田さん結婚されて、ママでもあって(昨年3月出産)幸せいっぱいじゃないですか。私は常に独りぼっちなので、俳句だけは勝ちたいなと思います。
浜田 ハハハッ。あ、そうなのね。そういうことで、勝ちたいんですね。
篠田 皆藤さん言って下さいましたけど、私は夏井先生の名句50選の中の5位に選ばれたので、滅茶苦茶嫉妬しました。
***
→筒井真理子は早稲田大学卒業、タイトル戦初予選突破を狙う。
玉巻アナ 筒井さんですが、ライバル視しているのは中田喜子さんだそうです。
浜田 まあそうでしょう。
筒井 前回(金秋戦)もこのブロックで中田さんが1位で、私が2位で私は敗退したので今回は頑張って詰めてきました。
***
→武田鉄矢は特待生5級でタイトル戦初参加。皆藤、筒井同様に夏井先生が選ぶ50選入りも果たしている。
浜田 さあ、鉄矢さんどうですか? このメンツ。
武田 ねえ、ビックリしましたね。
浜田;全員女性で、お一人男性。ウハハッ。
武田 女性の中で際立つような句をというのは狙ったんですけどね。
***
浜田 どうでしょうか? 次Bブロックですが。
梅沢永世名人 皆藤さんに頑張っていただきたい。なんせ、このメンバー。何十人もおりましたけど、私のこと褒めてくれたのは一人だけですから(笑)。彼女に是非ここは勝ち上がっていただきたい。
皆藤 ありがとうございます。
浜田 村上さんも一応(Aブロック)2位ですから、どうですか?
村上名人 だから1位以外はホントクソみたいな俳句作ってくれたらと思います(笑)。この2位弱っ!っていうのを。
浜田 お前口が悪いなあ。
村上名人 でも誰が来てもおかしくないし、皆藤さんにも前負けてるんで。
→第3回冬麗戦予選では皆藤が1位、村上名人が2位だった。
浜田 あ~そうですか。分かりました。
玉巻アナ どこから見ていきましょうか。
浜田 (予選敗退)3位。
ジュニア名人 可哀想。
藤本名人 可哀想。
ジュニア名人 可哀想に。
梅沢永世名人 もうちょっとだったんだよね。
▼3位は筒井
筒井 え~!
藤本名人 つつまりさん。
浜田 惜しかったですね~。筒井さん、立ってください。
筒井 …はい。
***
浜田 これはもう補欠見ましょう。
梅沢永世名人 もう見ちゃう?
浜田 はい。
藤本名人 さあ、ここに何が来るかやで~、村上。
村上名人 誰?
浜田 確かに。
▼補欠2位は中田名人
→驚きながら何とも言えない表情の中田名人
梅沢永世名人 ここにきた。
中田名人 ホントに~?はい。
ジュニア名人 マダム~。
藤本名人 どういう顔ですか? 表情難しいですよね~、補欠ってね~。
浜田 これで村上と戦うのはもう決まりました。
中田名人 あらまあねえ~。本当にねぇ、筒井さん。
梅沢永世名人 どういう俳句だろう?
ジュニア名人 マダム。
***
浜田 残っているのはこのお三人。これは1位と最下位残しましょうか。4位いきます。
皆藤 え~!
ジュニア名人 可哀想。
▼4位は武田
武田 うっ!
藤本名人 金八さん。あ~。
武田 やっぱりね、キャリアが足りなかったね~…(笑)。
浜田 すんごい、響き渡ったよ今。アハハッ。
***
浜田 さあ皆さん、こういう結果になりました。残っているのはこの2人。
皆藤 え~!
藤本名人 ライバル(同士)。
浜田 どうですか? 皆藤さん、ここまで来ると。
皆藤 いや、でも自信はあります。
浜田 自信はある?
皆藤 はい。だから最下位だったら凄いショック。
浜田 まあ、でも仕方ないですもんね。でもね。篠田さんどうですか?
篠田 …(小声で)ちょっと自信なくなってきました。
浜田 なんでそんな小っちゃい声で(笑)。
篠田 武田さんの今直しを見て、ちょっと近いかなと。ストーリーになっちゃったかなって、(小声で)思ってます。
浜田 (皆藤に)ずーっと、ニヤニヤしてますけど、この人。
藤本名人 勝ったと思ってんの?
皆藤 いやいやいや、でも分かんないです。本当に分かんないです。
浜田 じゃあ、譲ります?
皆藤 えっ? 嫌です、嫌です(笑)。
藤本名人 譲れないでしょ。
▼予選通過1位は皆藤、最下位は篠田
皆藤 やった~!
篠田 …はぁ。
藤本名人 下からマリコねぇ(笑)。
●それでは順位別に見ていきます◆予選Aブロック1位
◆『流星群 いくつか海に 墜ちて海胆』 藤本敏史(FUJIWARA)馬場 おしゃれ。かわいい。素敵。
【本人談】ウニを見ていると、色や形が変ではないか。もともと地球上にあったものではないのでは?と思った。宇宙からやってきた流れ星、流星群の何個かが海に墜ちたのがウニになっているのでは?と思った。
梅沢永世名人 大したもんだね、この俳句は。
本人 あら、珍しい。
梅沢永世名人 これ
季語2つあるんだよな。(「流星」「海胆」)
本人 そうなんすよ。でも、ウニが主役になってるから。
梅沢永世名人 それが
ウニが主役になってるのよ。こういう俳句を詠めるんだね。それがあんた、わざとらしい「怖い怖い怖い怖い」って、そういうフリが嫌いなんだ!(笑)
本人 それはいいでしょ!
梅沢永世名人 こんな凄い俳句作って!
本人 番組盛り上げるために必要でしょ!
梅沢永世名人 今、視聴率下がってるわ!2人が1位2位だから!
本人 いや、あんたもじゃ!
梅沢永世名人 私一人で持ってんだよ!
浜田 せんせ~!
夏井先生 よくまあ、こんな難しいことやろうと思ってビックリしている。
季重なりは色んなタイプがあるが、秋の季語「流星」と春の季語「海胆」と
季節の違う季語を入れるのは凄く難しい。
大体の人は「流星のごと」と比喩に持ってくるが、そうせず「墜ちて」まで
物語のようなファンタジーを紡ぎながら「海胆」を主役にする。「墜ちて」が隕石が墜ちる印象をもつ表記で、最後「海胆」。
これは
よく頑張りましたというか、作者が分かってそういうことかと非常に納得した。直しはいらない。
本人 要りませんよね。
浜田 先生が言うねん。
本人 直しいりませんやん!(笑)
添削なし
天文の季語「流星」と「海胆」を大胆に取り合わせた一句。「月光のひとつぶ受信電波時計」など、天文現象に関してファンタジー俳句を以前から詠んでいた藤本さんですが、この句が出てきた瞬間に妙に納得がいきました。コメント欄でも議論があるようにこの句の発想は俳句ポストの「海胆」兼題の天の句「海胆にまだ流星だった頃の色」と発想の出発点が同じですが、表現法は随分と異なります。「流星群」の複数形と「いくつか」の呼応、「海」「海胆」の表記の呼応も効いています。「墜ちて」は隕石が落ちることを意味する表記で、完全に天文現象に仕上げてからの「海胆」という季語を見せる展開で空想ながら時間経過を巧みに表現しています。SF小説のドラマやアニメの映像を想起しやすい形です。俳句ポストの句は海胆の色からの気付きにより、時間経過を巻き戻すような展開で、それぞれに味わいが異なります。俳句ポストのみならず、当ブログもチェックされている可能性はありますが、発想を単純に真似ようとしても同じ表現にならないのが俳句であり、17音という短い詩の難しい部分。得意分野を見事に効かせた上、性善説で両句とも佳句だと判断して良いと思います。
2位◆『海苔篊の 等間隔に 暮れかかる』 村上健志(フルーツポンチ)藤本名人 分からんわ~。「海苔篊」?
馬場 高度な。
【本人談】「海苔篊」は海苔の養殖で、海苔の付着に使われる資材で、等間隔に(並んで陽が)暮れようとしている。単純にそれだけのデッサン。
藤本名人 「デッサン」?(笑)
本人 プレバト!!の中で、僕は時折デッサンの俳句を…。
浜田 腹立つわ~、コイツ。何なん、さっきから。
ジュニア名人 これはでも
マジで良いですね。「海苔篊」出えへんな、なかなか。それをただただ素直にホンマに、「デッサン」?(笑)
梅沢永世名人 偉そうに言ってる割には
普通じゃない? トーナメントよ。こういう普通の俳句を詠んでるようじゃ、補欠なんて当然ですよ。落ちろ!お前みたいなの!(笑)
本人 なんで素直に褒めれないんですか。
梅沢永世名人 もう少しあんたらしい俳句を期待してたんです、私は。
一同 あ~。
夏井先生 作者が分かって思うが、村上さんの力なら
無難に置いてきた感もある。
浜田 言われてますよ、村上。
本人 僕は今までの助詞(「の」や「は」)の使い方で順位下がったりしたんで、無難に置いてきました(笑)。
浜田 吐いたやん。
藤本名人 置きに行ったの?
浜田 ただ、永世名人にバレてたやな、最初から。
本人 「バレてるな」と思ってました(笑)。
夏井先生 ただ、
兼題写真から海苔篊の養殖に行く発想も良かった。
「海苔篊の」から「等間隔に」で、
広さが表現できる。「暮れかかる」の
複合動詞で時間経過も表現できる。
ここら辺、丁寧に「海苔篊」という季語に
デッサンしようとする配慮は良く分かる。
こういう
風景を詠んだ句が無いわけではないが、光景を言葉でスケッチ…デッサンできる(笑)。
これはこの人の実力だと思う。直しなんて要らない。
本人 どうにか勝ち上がりたいですね。
浜田 まずは補欠ということになりました。
添削なし
初春の季語「海苔篊(ひび)」に発想を展開した一句です。本人がデッサンと語るような表現が後半に集約され、7音の「等間隔に」が説明的にもなりがちな単語ですが、「暮れかかる」の時間経過で夕暮れの海の映像が脳内再生される小技を用いています。「置きに来た」と言われていますが、手慣れた俳人という褒め言葉にも思いました。類想類句はありそうですが、俳句ポストなどでは人選以上の評価が間違いないと思うからです。村上さんの十八番「半径30cm」俳句に留まらず、見事な風景描写も行える手強い人物だと逆に感じ、まさに別の意味でも「プチ梅沢」です。個人的には、添削なしという点からも決勝進出はBブロックの中田名人より優位に思います。
3位◆『鈍色の 漁船ふちどる 春北斗』 千賀健永(Kis-My-Ft2)【本人談】ウニを獲ってる漁船と海を連想させ、漁船は錆びていて年代が経っているため、鈍色(濃い灰色)の漁船を春北斗が縁取っている。僕たち7人グループなので、北斗七星を使いたかった。
横尾名人 「鈍色の漁船」と「春北斗」の取り合わせが凄いと思いました。予選Aブロックじゃなかったら…ては思いますけどね。
梅沢永世名人 良い俳句だけどね。
夏井先生が気になるなら中七、この辺が気になるんじゃないですか?
浜田 え、中七はどの辺が、夏井先生が…。
梅沢永世名人 急に言われても…(笑)。
浜田 いやいやいやいや。
藤本名人 何なんすか?
夏井先生 美しい光景を書こうとしている態度・詩人の心には深く共感を持った。
「鈍色の漁船」だけで詩になってくる。そこに「春北斗」を持ってくる取り合わせの印象もとても美しい。惜しいのは1点だけ。
「ふちどる」が少し曖昧。
漁船ではなく
季語「春北斗」を主役に立てるべき。季語の描写に言葉を変えるだけで、1位は狙えた。
「鈍色の漁船
よ」で軽く詠嘆。例えば「
青き」と色を入れる。
馬場 色の対比。
夏井先生 その通り。どなたかおっしゃった。
「青き春北斗」。
「鈍色」と「青」が色彩として対比され、そうすると「春北斗」が主役に立つ。
今回の評価のポイントは、
季語を主役に立てる工夫が出来ているか。機能しているか。
その配慮があとひとかけらあれば、あなたが勝ち残ってた。
本人 いやまあその…配慮はあったんですけどね、気持ちとしては(笑)。
藤本名人 配慮したら良かったのに。
本人 配慮はありました。
添削後
『鈍色の 漁船よ青き 春北斗』
空へと発想を展開する千賀名人。「春北斗」が「鈍色の漁船」を縁取っているかのようなという比喩で表現した一句です。恐らく海胆を獲る漁船という発想で、「鈍色」が経年劣化をイメージするのも伝わります。コメント欄にもご指摘の通り、以前にも紫陽花の句「浜風の鉄路よひらに縁どられ」と詠み「ふちどる」のは2回目。前回は季語が近景でしたが、今回は遠景で、季語が十分引き立っていないと判断されました。藤本名人がライバルとみなすのも同じ空・光景を得意とする者同士。横尾名人の指摘通り、くじ運にやられた印象は感じました。
4位◆『花板に 握らるる雲丹 淋漓たり』 北山宏光(Kis-My-Ft2)梅沢永世名人 う~ん。
【本人談】「花板」はお店一番の板前さんのことで、その方が雲丹を握る。「淋漓(りんり)」は勢いなどがあふれ出る様子。
横尾名人 北山が多分自信があったのは「淋漓」を見つけた時に「もう行けた!」と思って。
梅沢永世名人 あ~だろうね。
横尾名人 多分見つけた瞬間「よっしゃ!勝った!」(笑)。
ジュニア名人 そうですね、「淋漓」見つけた時は嬉しかったんでしょうね(笑)。
本人 スッゲー嬉しかった(笑)。
夏井先生 今、北山さんだと分かって、「いやよく頑張ったわ、これは」と。
「淋漓」は見つけただけだが(笑)、何が良かったかというと
「淋漓たり」と終止形で言い切っている。
そこに「花板」と華やぎのある粋な人物を持ってくるのは良い判断。
勿体ないのは
助詞「に」と「握らるる」という動詞の使い方。惜しかった。
これは逆。
「雲丹」を先に出す。「雲丹淋漓たり」なら雲丹がアップで凛々と出てくる。
「花板の」とし、後に動作を書くのではなく、詳しく書くと花板の方が主役になるため、
季語を主役に出さなければならない。
ここはあえてボンヤリと美しくする。「
あざやかに」と最後に。
読み終わった後に、
握っている雲丹、さばいている、盛っているなど色んな動作を読者が想像してくれる。これやってたら、今日は1位だったかも。
浜田 あら~。
本人 なかなかできない。
浜田 北山~。
本人 「花板」見つけた時も「やった~!」ってなったんですよ(笑)。
ジュニア名人 花板は知ってるやろ。
藤本名人 みんな知ってるよ。
浜田 見つけて「行った!」と思ったんやろな。
添削後
『雲丹淋漓たり 花板のあざやかに』
寿司屋の板前の発想から季語と真っ向勝負をした一句です。コロナ禍の状況では体験しにくいですが、寿司屋で直接「雲丹」軍艦を握ってもらった経験が強く記憶に残っていたのでしょうか。「淋漓」は失礼ながら知りませんでしたが、「花板」の人物から物をクローズアップする展開で、清々しく言い切る部分に本人の嬉しい感情が伝わります。説明的にも思う語順と、「溢れそう」のような表現では駄目だったのかが気になります。前評判からタイトル戦は全く期待されない北山さんですが、将来的に化ける可能性を秘めているのは感じました。
5位◆『一貫の海胆 縄文と令和を繋ぐ』 馬場典子【本人談】ウニは美味しいと知らなければ食べたいと思う見た目ではない。ウニを色々と調べたら、縄文時代の貝塚から見つかり、その頃から食べられていた。令和につまんでいる時に、その思いを時代と時代のワードで繋いだ。
夏井先生 この発想はとても
ダイナミックで魅力があった。
多分、
色々と調べウニが縄文時代から食べられていた事実を何とかしようと足掻いた点に共感を持った。
勿体ないのは、
「と」「を」「繋ぐ」が散文的なこと。
さらに、
たった「一貫」で縄文と令和を繋ぐのが難しすぎた。もっと大きくいきましょう。
本人 ウニをでっかくですか?
夏井先生 違うよ、娘(笑)。
大きくするというのは、
「海」を出すこと。「
海香る」で始める。
「縄文の海胆」「令和の海胆」と並列に。
時代を繋ぎながらウニが春の季語としてしっかり前に出る。
あなたこの発想は素晴らしいですから。
本人 ホントですか? いつもねえ、なんかそう…褒めていただけるけど、大体最下位なんですよね(笑)。頑張ります、先生。ありがとうございます。
浜田 でも、発想は素晴らしいということで。
添削後
『海香る 縄文の海胆 令和の海胆』
ウニ寿司から、大幅な時間に発想を展開した句です。雲丹は縄文時代から食べられていたのですね。2000年以上にわたって今でも食べられている日常食だと主張したい意図がありますが、「一貫の海胆」からの展開が壮大すぎるため、少し意図が伝わりにくかった印象です。全体として19音の破調になりましたが、散文的な点も減点要素かもしれません。先生は「海胆」表記を寿司ではなく生物的側面として活かし、並列表現で時代変化を強調しました。季語をリフレインする手法はなかなか難しいです。ストーリー性を描かず、場面描写に徹することが馬場さんの課題かもしれません。
◆予選Bブロック
1位◆『休業と手書き 格子戸に春塵』 皆藤愛子【本人談】今、街中でよく見る光景で、私が大好きなお寿司屋さんも今休業していて、その張り紙がずっと貼ってあるという状況を詠んだ。
梅沢永世名人 素晴らしい!
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 今の時代を綺麗に詠みましたね。んっ!よくここまで成長しました。師匠としては嬉しいですよ。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 素晴らしい!
浜田 永世名人、これはもう直しなしで?
梅沢永世名人 当たり前でしょ。直しどころがないくらい完璧な俳句です!
浜田 あ~なるほど、なるほど。
夏井先生 まさに
今の世相を切り取ったのは良いと思う。
「休業」から始まり、「春の塵」を見せるのも作者なりの工夫がとても良く分かる。
これをパッと読んだときに
リズムが多少ギクシャクしているのが、小さな気になる所。
直そうかなと思い始めると、「休業」の字が「手書き」であるということより、
季語「春塵」をクローズアップした方が良いのではないかと思う。
おっちゃんは直さないようですが、私は直します。
浜田 直すよね、全然直して下さい。
夏井先生 「
あり」と一回言い切る。「休業とあり」でお店の前に立っていると。
「春塵」を見せる。「春塵
の格子戸に」。
格子戸にかかっている
春の塵、ほこり、そして「休業」の張り紙と映像になり、かえってこの季語が映像としてハッキリ見えるようになる。
本人 そうですね、ちょっと違和感を感じてたので、精進しなきゃなと思います。
添削後
『休業とあり 春塵の 格子戸に』
コロナ禍での休業から発想した一句です。張り紙が貼られる光景は珍しくもない状況ですが、そう書かない工夫で場面描写をする工夫がありました。前半の動作と「格子戸」で昔ながらの日本家屋のような店ではないかとも推測できます。季語「春塵」で、ある程度時間が経っている寂しい光景とも分かり、このご時世をよく表しています。添削では消されましたが、「手書き」で渋々貼らないといけない緊急性のある事案であることも伝わりますので、原句でも個人的には納得しました。昨年の春光戦「春暁のカップ麺水面の油膜」以来の破調でしたが、ストレートな場面描写を成功させた点が1位の理由にも思います。
2位◆『艶めきて 海胆握る指 和ぎのごと』 中田喜子【本人談】ウニの握りを頼んだ時、シャリの上にウニを載せた瞬間、その握る姿が海の凪のような穏やかな握り方をする。そこに色気さえ感じたという。
梅沢永世名人 これは良い句ですよ。画像も出てますし、これ(敗者復活は)村上が終わりましたね(笑)。
藤本名人 あれれれれ?
村上名人 いや、ちょっと待って下さいよ。
夏井先生 これは
「ウニ」と真っ向勝負した。
季語との真っ向勝負は意欲があって潔く、その精神を褒めたい。
さらに、握る指が凪のようだというのはなかなか思いつかない。そこも褒めておきたい。
この句は、このままで良いかを考えた時に、少し障る所がある。
「艶めく」「握る」と動詞が2つあり、バッティングするのが惜しいと思う。
アップの指の表情を言いたいなら、動詞ではない方が良い気がする。そうなると直したくなる。
村上名人 直し入った。
夏井先生 比喩からいった方がカッコいい。
「和ぎのごと海胆」の後、「つややかに」で形容動詞にし、最後に「握る指」。握る指がクローズアップされ、凪だけが見えてくる。
こうしてたらこれが1位だった。
藤本名人 村上が小っちゃい声で「よし、直し入った」って言ってました(笑)。
村上名人 いいですって、そういうの言わなくて。
藤本名人 直し入ってないもんな?
村上名人 はい、直し入ってないのが大事みたいですよ2位の戦いは、前回そういうのありました。
添削後
『和ぎのごと 海胆つややかに 握る指』
海胆を握る寿司職人の手さばきを海の凪に比喩した一句です。大変上品な美しい光景で、オリジナリティーな発想力はピカイチ。表記も「凪」ではなく「和ぎ」とし、柔らかなニュアンスを強めたのも本人の意図でしょう。「艶めく」の動詞も流石でしたが、動詞2つの点を指摘されたのが微量勿体ない点で、最後が「ごと」の語順も少々気になる部分でした。喜怒哀楽マダムとして注目を浴びている中田さんですが、過去全ての予選を通過しているだけに、今回の結果は非常に重要といえそうです。
3位◆『海苔一帖 等間隔に 刻みて春』 筒井真理子村上名人 等間隔俳句。
中田名人 やっぱり等間隔か~。
梅沢永世名人 うん~。
【本人談】兼題写真の海苔を見て、最後にちらし寿司で最後に等間隔に刻んだ海苔をまくが、春っぽいと思い、あえて海苔と春の季重なりにした。「海苔一帖」と具体的にし、「春」で止めて強調し、一応気を遣ったつもり。
梅沢永世名人 これは季語2つお使いになった…、これは
季語2つ使わなくて良かったんじゃないかな、これはちょっと間違ったのかなと。
浜田 全然、具体的に言わない…(笑)。
梅沢永世名人 季語2つ使うのは余分だったかなと…。それを…(笑)。
夏井先生 いや、本人が
季重なりやりたいって言ってるのだから「余分だったな」はバッサリやりすぎ。
永世名人なら作者が何を言いたいか察してそこを語るべき。
藤本名人 うわ~、怒られた。
夏井先生 本当にそう思う。この句の問題点はそこではない。
梅沢永世名人 そこじゃないのか(笑)。
夏井先生 そこも少しあるけど…。
梅沢永世名人 そうでしょ。
夏井先生 あなたの方向性が間違ってる(笑)。この句は
少し欲張りすぎた。
季語が「海苔」「春」と2つあり、キーワードも「一帖」「等間隔」と2つある。どちらかに絞った方が良い。
音を表現したいなら
「一帖」は諦め、音をダメ押しで入れるだけで変わる。
「海苔刻
む」とし、「等間隔
の」の後に駄目押し。「
音や春」。
梅沢永世名人 うわ~いい!
夏井先生 あなたの表現したい意図だと推測する。
本人 なるほど~、はい。勉強します。
添削後
『海苔刻む 等間隔の 音や春』
兼題から「海苔」へと発想し、それを刻む動作に着目した「春」と季重なりの一句です。「海苔」も春の季語ですが、海苔を等間隔に刻むため、語ったちらし寿司や蕎麦など料理人として長けた動作だと分かりますし、そこに「春」と最後に入れたい意図も理解できます。とはいえ、動作に徹したため詩情が微妙に弱まったようにも感じ、先生はダメ押しとして聴覚情報を追加しました。村上さんと「海苔」「等間隔」で言葉が被りましたが、発想の方向性が異なる一句でした。
4位◆『ウニ二貫 お先にどうぞと 古女房』 武田鉄矢【本人談】我々世代にとってはウニは高級品で、のっけから頼む物ではなく締めに。当然、女房と1貫ずつ分けようかと思うが、「こっちの腹はもう読んでおりますので、あなたが先に1貫取りなさいよ」という寿司屋のカウンターで展開される夫婦の機微みたいなものを。
梅沢永世名人 実にね、こんなこと先輩に言うのもなんですけど、色んな知識が頭の中にあるので、物語を詰め込み過ぎなんですよ。ちょっと先輩の言いたかったことを俳句の中に入れ過ぎてるんで、俳句なのか川柳なのかちょっと勘違いするところが出ちゃうんですよ。
夏井先生 おっちゃんがウダウダ長い時間言ってたことを…。
浜田 「ウダウダ」言うな(笑)。
夏井先生 簡単に言うと、
映像ではなくストーリーを書こうとしている句と要約できる。
大変微笑ましい光景で、これを書きたいと思う作者の気持ちがとても良い。字余りはストーリーのため致し方ない。台詞からいく。
「
『お先にどうぞ』」と鍵括弧をつけ、「古」はやめて「女房」だけで良い。
この台詞と「女房」があれば、ある程度古い女房に違いないと分かる。
今時の若い人は黙って先に食べるはず。ここからリズムを取り戻す。
「
分け合ふ」とし、「
海胆」は漢字で。なぜなら「ニ」と「二」が紛らわしい。
最後に調べを取り戻すだけで、俳句の空気が出る。
本人 いや、やられましたね。色々考えたんですけども、やっぱり先生のおっしゃる通りですね。
添削後
『「お先にどうぞ」と 女房分け合ふ 海胆二貫』
「海胆」寿司と女房の台詞を取り合わせた一句です。初のタイトル戦でしたが、厳しい結果でした。ストーリーを描きたかった意図は分かりますが、季語の片仮名表記が触りますし、「二貫」を分け合う意図がこの表記では伝わりません。以前才能ナシ査定だったアンミカさんも「夫まぜし納豆妻と分け合ひぬ」と添削されていましたが、武田さんは歌謡曲の歌詞のような言い回しがどうも根っこに残っているように感じます。周りが皆女性でしたので、このような句になった心情も理解できますが、武田流の俳句を確立して欲しいものです。
5位◆『春の闇 洗う寿司桶 荼毘し祖母』 篠田麻里子【本人談】2年前に亡くなった祖母のお葬式の時に、自分が感じたことを句にしようと思った。親戚一同みんな集まり、お婆ちゃんの大好きなお寿司を食べながらワイワイやっていたが、寿司桶を洗った時に何ともいえない感情が湧いてきて…。
梅沢永世名人 いや、これは
怖い俳句です。
浜田 怖い?
梅沢永世名人 ホラーです。
浜田 ホラー?
梅沢永世名人 亡くなった祖母が亡霊で出てきて、寿司桶を洗っている(笑)。それを見て「ハッ!」て感じたって読めちゃう。
本人 え~!?
夏井先生 そんな読み方はしないでしょうよ(笑)。
梅沢永世名人 あの風景よ。
本人 そんなホラーじゃない。
梅沢永世名人 「洗う寿司桶荼毘し祖母」思わない?
浜田 今日は外すね。
夏井先生 思わないですよ。
藤本名人 今日はめっちゃ外しますやん。
夏井先生 ただ、10人に1人くらい、今のおっちゃんみたいなこと言いだすのはいる。
そこを間違って読まれないように修正すればよい。寿司桶を洗う手元からいく。ストーリーは字余りになっても仕方ない。
上五「寿司桶洗う」で、洗う生身の人を思う。「祖母
を」の後が大事。
「荼毘
せし」とすれば絶対に幽霊ではなくなる。祖母を家族が荼毘したとなる。
「春の闇」でも良いが、「闇」がホラーっぽいため「
夜の春」とすれば、春が生暖かく優しく残る。
やろうとしていることは絶対良い。あと微量の技術を身につけましょう。
本人 いつも褒めて下さるんですけど、あと一歩がなかなかできなくて、勉強します。
添削後
『寿司桶洗う 祖母を荼毘せし 夜の春』
祖母の葬儀でのお斎の光景を描写した一句でしょうか。寿司桶をご本人が洗っているので、お寺さんでの光景かもしれません。三段切れが勿体なく、「洗う」「荼毘し」と動詞が2つあります。「春の闇」に負の感情を伝えたい意図を感じますが、「荼毘」は本来「伏す」ものであり、火葬の表現として違和感を感じずにはいられず、そこに御大が反応したのでしょう。先生は使役表現を用いて正しくなるように添削しました。着眼点は面白いですが、推敲をしっかりすることが篠田さんの課題にも思います。
★次回2/25のC・Dブロックの兼題は「きのこの山とたけのこの里(明治製菓のチョコレート菓子)」です。
第五回春光戦が開幕しました。今回は総勢23名と過去最多人数で、予選に合計20名が参加。決勝シード権は金秋戦上位3名で、最多10名までがランキングシートに座れるため、予選から残り7名を決める戦いです。1位4名+2位3名に誰が選ばれるかという点に大いに注目が集まっています。
兼題は「雲丹の軍艦巻き」。当初は「ウニ軍艦」と発表されていました。以前も「回転寿司の秋刀魚」が題になりましたが、寿司の中でも高めの具材で、季語が思いっきり隠れているだけに何をどう発想するかが重要なポイント。ウニの表記は大きく3通りあり、①棘皮動物としての棘のある外観の生きている「海栗」、②殻から取り出した生殖腺を指す生の「海胆」、③食品用に加工された「雲丹」と、使い分けが必要です。今回、「ウニ」の表記を用いたのが5名いました。他に、海苔巻きから「海苔」を季語としたのが2名、「漁船」「格子戸」「寿司桶」と発想を展開していきましたが、寿司からの発想が5名と目立った形です。ちなみに拙句は「うに軍艦を囲む会長会議かな」で、さり気なく「か」の韻を踏みました。
さて、来週は残り5名の通過が判明する重要な回です。予告の大波乱とは何かにも注目です。
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