2021年1月7日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は夏井先生講評の要約です。
挑戦者→雨宮萌果[初],小島瑠璃子[6],濱家隆一[2],津田寛治[3],二階堂高嗣[25],皆藤愛子[22],梅沢富美男[118] ※数字は挑戦回数●お題:食券機

※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位70点 | 雨宮萌果
| 雪晴れや海老名下りのミニかつ丼 | ゆきばれやえびなくだりのみにかつどん |
2 | 凡人2位68点 | 小島瑠璃子
| 学食でおでん食む我大学生 | がくしょくでおでんはむわれだいがくせい |
3 | 凡人3位55点 | 濱家隆一 (かまいたち) | 入店音たまの寒風心地よい | にゅうてんおんたまのかんぷうここちよい |
4 | 才能ナシ4位38点 | 津田寛治
| 日替わりのボタンに踊る鰤の影 | ひがわりのぼたんにおどるぶりのかげ |
5 | 才能ナシ5位35点 | 二階堂高嗣 (Kis-My-Ft2) | 青春酸いも甘いも鬼走 | せいしゅんすいもあまいもおにばしり |
6 | 2級で現状維持 | ●皆藤愛子
| 替え玉を伝える小声雪催 | かえだまをつたえるこごえゆきもよい |
7 | 永世名人26句目に 掲載決定 | ★梅沢富美男
| 四日はや雪駄でたぐる駅の蕎麦 | よっかはやせったでたぐるえきのそば |
→編集後記梅沢永世名人 お手紙を沢山いただきまして…。
梅沢様 あまり調子良くやらないでください。梅沢さんが本を出すようになったら 番組に出なくなるんでしょ?それは寂しいです。 ボツになってください。 |
浜田 いやいや…。
梅沢永世名人 (スタッフに)お前ら考えとけよ!
一同 (笑)
***
→俳優・
津田寛治は過去2回とも才能アリ70点。次の特待生最有力と目されると紹介。
浜田 お前、やるやん。自信はあるということで良いですか?
津田 あります!
浜田 はい、わかりました。
***
小島 やっぱ、プレバト!!さんは長寿番組になり過ぎて、お題がエッジ効きすぎてないですか?(笑)
浜田 違う…。何の批判や、お前。
小島 長すぎて、ずーっとやってるから。
浜田 俺もビックリしたんよ。さっき、「300回ですね」って言われて。
→今回が番組300回目の放送(昨年末の二択も300回記念ですが、今回が真の#300のようです)
小島 すごいですね。
浜田 何年やってんの?300回言うたら…。(俳句始めて)7年?
二階堂 うわっ、すごい。
浜田 俳句やって。バカなんじゃないすか?(笑)ホントですか。
小島 そうですよ。
梅沢永世名人 俳句をブームにしたのはこの番組ですから。そこに君臨したのは私ですから(笑)。
***
→キスマイ
二階堂は今回25回目と平場最多挑戦。いまだ才能アリは3回しか取れておらず、いまだに特待生になれる気配が全くないと紹介。
浜田 えぇ~っと、まだ来るんですか?
二階堂 呼んでいただけるならいつでも来ます。
浜田 あ~そうなんですか。
二階堂 はい。僕何で呼ばれてるかもホントに分かんなくて。
濱家 他のメンバーの功績じゃない?(笑)
二階堂 ですか?それをもらってるんですか?
***
→
雨宮(あめみや)萌果は初登場。元NHKアナウンサーで「あさイチ」出演中に俳優の篠山輝信(写真家・篠山紀信の息子)と結婚。
浜田 義理のお義父さんがモジャモジャ頭の人ですよね。
雨宮 まさにはい、そうなんですよ。
浜田 お義母さんの方はね、南沙織さん。
雨宮 そうですね、うん…もう。
浜田 でも、俳句はどうなんでしょう?
雨宮 作ったことはないんですけど、母(=天川彩)が小説家でして(→小説『タイヨウのうた』を執筆)、その文学的センスは若干DNAとして入っているのかなと。
浜田 あ~、それ言っちゃう?(笑) そういうこと言うとヤバいんですよ。
雨宮 そうですか?(笑)
小島 ご自身でハードルを。
***
→
小島瑠璃子は過去5回出演。凡人・才能ナシを交互にとっており、今回は才能ナシの順と紹介。
小島 あ、今日才能ナシなんですか?
濱家 交互にとってるから。
小島 なるべく梅沢さんから素晴らしいエッセンスを頂けるように、今日勉強して書いてきましたので。
梅沢永世名人 良い子だね~。それは素晴らしいよ(笑)。あの~、山内っているやん。後ろ(かまいたち・濱家)の相方の。
濱家 僕の相方の。
梅沢永世名人 あいつはね、俺の事をコケンコケンにしたのよ(笑)。
浜田 いや、濱家はそんなヤツじゃないですよ、多分。
濱家 はい。勿論そうです。梅沢…先生…のエッセンスを僕も…(笑)。
梅沢永世名人 何笑ってんだ!?
★ランキングシートの分布は才能アリ1名、凡人2名、才能ナシ2名
浜田 これ今日は酷いですね。
梅沢永世名人 酷い。
二階堂 え~!?
梅沢永世名人 ひど過ぎる(笑)。
***
浜田 才能ナシ4位。
小島 やだやだ。一番やだ。
▼才能ナシ4位は津田
→思わず立ち上がってビックリする津田に笑う浜田
津田 ええ~、これは予想外ですよ…。
***
浜田 これは凡人から一人。2位。
小島 ここで出て。ここ欲しい。
二階堂 ここ欲しい。
▼凡人2位は小島
小島 やった~!
梅沢永世名人 68点。
濱家 かなり高得点ですね。
浜田 いや、点数高いよ。
***
浜田 さあ、残っているのはこの3人。
二階堂 うーわ。
浜田 ここまでくるとね、上がいいですよね。
雨宮 そうですね。
二階堂 上がいいですけど。
濱家 最下位だけは絶対に嫌です。
二階堂 うーわ。
浜田 これは1位と最下位残しますんで、凡人の3位を開けます。
▼凡人3位は濱家
濱家 ありがとうございます。何とか最下位は免れました。
***
浜田 ここまでくると、皆さんの句を聞いてどうですか?自分がお作りになったのと。
雨宮 ちょっと自信が付きました。
浜田 なるほど、なるほど。
雨宮 はい。
浜田 (二階堂に近寄って)…こんばんは(笑)。
二階堂 もうこれ何回もこんな…ありますよね。
浜田 (ささやく声で)でもお前がココ(=1位)来たらメチャクチャかっこええけどね。それ何回も言うてるわ。
二階堂 何回も言われてます。
浜田 な?
梅沢永世名人 今日はやるんじゃないかな。
▼才能アリ1位は雨宮、才能ナシ最下位は二階堂
雨宮 (両手を広げて)やった~!
二階堂 うわ~。
■それでは順位別に見ていきます◆1位
才能アリ70点 雨宮萌果『雪晴れや 海老名下りの ミニかつ丼』◎
季語を強調して気持ちの良い青空が出る。中七でサービスエリアと判明し、方向も分かる。下五の展開も美味しそうで楽しそうな感じ。直す必要性はない。「海老名」は固有名詞を活かす方法もあり、「かつ丼」を「天丼」とするのも文学として面白いひねり。是非特待生目指して研究してほしい。【本人談】家族で行ったロングドライブの一句。朝早く出発してまず着いたのが、海老名サービスエリア。お腹は空いたが旅の目的地で「ご当地グルメを堪能したい」気持ちがあり、海老名SAのフードコートでかつ丼も食べたいが少し我慢しようかなと思って、少なめの「ミニかつ丼」を選んだという一句。
梅沢永世名人 素晴らしい。中七「海老名下りの」と入れたところが素晴らしい。これを入れないとどこだかわからないからね。いいねえ!これは。
本人 うわっ、嬉しい。ありがとうございます。
夏井先生 「
雪晴れ」の季語を「
や」で
強調して気持ちの良い青空が出る。カットが切り替わる。
「
海老名下りの」でサービスエリアと判明し、方向も分かる。
着地の「
ミニかつ丼」の展開
も美味しそうだし、楽しそうな感じ。
直す必要性はないが、特待生を狙う時の小さなアドバイス。
「海老名」は3音の固有名詞だが、これ以外の地名でも良いのではないかと思う人もいる。
「海老名」の活かし方の問題。
地名が活きているかどうか。
実際に食べたのは「かつ丼」という事実は事実として良いが、「
天丼」とするのも文学として面白いひねり。
小さな嘘の付き方をして、作品の質を上げる手もある。是非特待生目指して研究してみてください。
本人 ありがとうございます。
添削後(添削なしを許容)
『雪晴れや 海老名下りの ミニ天丼』
時候の季語に神奈川県の地名と食べ物を取り合わせた実感のある一句。「雪晴れ」の爽快さのほか、中七の地名が効いており、交通情報で「海老名下り」とよく聞く方はサービスエリアとすぐに分かったでしょう。フードコートも情報番組で紹介されるほど全国的にも人気で、小腹を満たしたい気持ちが「ミニ」に表れています。「雪晴れ」の送り仮名と、そもそも関東圏で雪が降り続くことがほとんどない点での季語選びがどうかという点は気になりますが、「海老名」からの「かつ丼」という意外性のある展開は非常に共感でき、個人的には添削前の方が好きです。昔は何もない土地の「海老名」でしたが、今はJR駅前にららぽーとが立ち、小田急線の特急停車駅になるほど目覚ましい発展を遂げました。詩人としてのDNAを受け継いでいる方なのかもしれません。
◆2位
凡人68点 小島瑠璃子『学食で おでん食む我 大学生』◎
大学生になった実感が良い。惜しいのは「で」と下五の字余り。「に」に変え、「大学生」の字余りを小さな手立てとして上五に使い、語順を変えると良くなる。「大学生我」で見得を切るかのように、"私は立派な大学生だ"と言い、「学食」の後の「おでん」で少し落差が出る。それを「食む」という動作でポンと終われば、良い所に行っていた。【本人談】大学生になって、学食の季節メニューで「おでん」が出ていた(*1)。学生になって半年くらい経ち、「自分は大学生になったんだ」と感じている句。
*1
浜田 あなた大学生なの?
本人 大学生をやってたんですよ、2年間だけ。辞めちゃったんですけど。
皆藤 「大学生」が字余りなのが気になりました。
梅沢永世名人 これはとっても意味がよく分かりますからね。可愛いから小島ちゃんに教えますけど、「学食で」は「
で」でなくてもしかしたら…「
に」にしたら良かった。
本人 「学食に」。
梅沢永世名人 そしたら才能アリいったかもしれない。やり方は良かった。うーん、とってもカワイイ(笑)
夏井先生 大学生になった
実感をこういう所に感じているのが良い。
惜しいのはほんのちょっと。
1点目は「
で」。おっちゃん偉い。
「で」が散文的だと言うのにすぐ気づくのが永世名人。
どうしたら良いか分かりますもんね?
梅沢永世名人 分かります、「
に」です。
夏井先生 その通り。
浜田 今のたまたまちゃう?(笑)
濱家 50音分の1違いますか?
夏井先生 さらに皆藤さんが指摘した
下五の字余りが気になるのもおっしゃる通り。
「大学生」がどうしても6音で言い換えできないため、小さな手立てとして
上五で言ってしまう。
語順を変えると良くなる。
「
大学生我」で見得を切るかのように、"私は立派な大学生だ"と言い、学食の後の「おでん」に少し落差が出る。
それを「
食む」という動作でポンと終わる。これをやったら結構良い所に行っていた。
本人 でも「学食に」は出来なかったと思います。
梅沢永世名人 おじさんに電話してくれれば(笑)。
本人 ありがとうございました。先生。
添削後
『大学生我 学食に おでん食む』
「おでん」の季語で学生の頃の実感を表現した一句。食券機から大学の食堂への発想の展開も悪くなく、勉学やら学生活動に勤しむなか、おでんで小休憩するかのようなささやかな可笑しみを感じられますし、「食む」の動詞も俳人の表現です。「学食」は学生食堂の略なので、「大学生」と情報が重複する点と、「食む」の主体が本人だと分かるため、「我」とダメ押しする必要性があるかがポイントになりますが、先生はどちらも活かしながら語順を入れ替えました。飄々とした雰囲気で言い切るのも悪くないのかもしれません。また、添削の「に」の助詞は場所を表すとはいえ、素人には中々書けるものではありません。
◆3位
凡人55点 濱家隆一(かまいたち)『入店音 たまの寒風 心地よい』◎
ストレートに言うと書き方が下手。下五はただの感想にすぎない。語順を変えて「心地よき寒風」とする。何で冷たい寒風が気持ち良いのかと読み手に思わせ、「入店音のまた」と言葉を変える。たまの入店音ではなく、入店音がまたする。“お店の中で暖房が少し暑いのか。さっきも入店音がしたぞ"となる。【本人談】冬に食券機のあるお店に行き、ご飯を食べている。店内が暖かいのもあり、体温が上がっている。入店音が鳴って扉が開くたびに冷たい風が入ってくる。それが冬だけど心地良い。
梅沢永世名人 コレが俳句か!?
ただの感想文だよ。
本人 なるほど。梅沢さんの意見はそれとして聞いときます。先生!(笑)
浜田 先生!
夏井先生 ストレートに言うと
書き方が下手。
下五
「心地よい」はただの感想にすぎない。どうやって俳句の言葉として活かすか。
語順を変え「
心地よき寒風」とする。
何で冷たい寒風が気持ち良いのかと読み手に思わせる。
「入店音
のまた」と「またの」を逆に読ませて言葉を変える。
"
心地良い寒風が吹く。なぜ心地よいのかと思う瞬間に入店音が「また」する。
たまの入店音ではなく、入店音がまたする。
これはお店の中で暖房が少し暑いのか。さっきも入店音がしたぞ"となる。
本人 先生、これは文字数で言うとどうなるんですか?
夏井先生 あなたの思っている五七五のリズムと違う点に戸惑っているんですか?
本人 はい。
夏井先生 なるほど。
(放送)300回で俳句コーナー7年やってるという話があったが、7年前にスタッフが同じことをグダグダ言って(笑)、私はスタッフと大喧嘩した。
句またがりの型で添削すると、スタッフが「五七五にしてください」と言う。
少しずつ学びながら
俳句には色々な型がある。
破調・字余り・字足らずがあるとスタッフは7年かけて学んだ(笑)。
あなたも7年かけて学んでください。
本人 勉強します。
添削後
『心地よき寒風 入店音のまた』
冬の時候の季語と音の情報を入れた一句。芸人らしく本人の説明は聞き取りやすく、「入店音」からの「寒風」の展開は中々センスがあります。屋内の光景とは読み取りにくく「心地よい」で発想の良さが台無しになっています。「たまの」も季語が引き立っているかの点で微妙な表現です。先生は「たまの」を「のまた」と逆にする展開で綺麗に片づけましたね。句またがりについては、相方も同じような質問を以前されていましたが、初心者的には助かる感じだったかもしれません。
◆4位
才能ナシ38点 津田寛治『日替わりの ボタンに踊る 鰤の影』◎
前半で食券機の場面と分かり、本人の意図は悪くない。「影」が何の影か読み手に分かりにくく、「鰤」が美味しそうに感じられない。ボタンがどう灯っているかを「煌々」と書けば映像になる。最後は「定食」でお茶を濁したい。これなら他人に酷いこと言われない。【本人談】北陸出身で寒ブリが大好物。鰤の照り焼き定食や鰤の煮つけ(定食)が出てくるとテンションが上がる。もう寒い時期だから出てくる(=提供されている)のではないかと思い、食堂に行くと食券機のボタンが煌々と光り輝いているが、(商品名の)「鰤」の漢字が黒い字で影のように(=陰影として)踊っている。それを見たらテンションが上がる。
梅沢永世名人 私には理解できません。
ボタンの中で鰤が踊ってんのか?本人 はい。僕にはそう見えました。
梅沢永世名人 誰がそんなこと思うの、これを見て?さっぱり意味が分からない!
本人 ちょっと涙目になってきました。
夏井先生 前半「
日替わりのボタン」で食券機と分かるが、
「影」が何の影か読み手に分かりにくい。
本人の意図は悪くないが、「影」はやめる。良い言葉を言った。
ボタンがどう灯っているのか?
本人 煌々と。
夏井先生 それ。「
煌々」と書けば映像になる。
「影」では美味しそうな感じがしない。
「
定食」で良く、これでお茶を濁したい。
こうすると、本人の言いたいことは全部入る。これならおっちゃんはあんな酷いこと言わない。
本人 ちょっと背伸びしちゃった…。
添削後
『日替わりの ボタン煌々 鰤定食』
兼題から定食のボタンの文字の陰影に目を付けた一句。日替わり定食への着眼は面白く、「鰤」が出てくる期待感が意図として読み取れます。比喩に用いた「踊る」の動詞が野暮で、その主体が本人なのか「鰤」なのか「影」なのか混乱をきたします。先生は2カットに変えてお茶を濁した添削をしましたが、「鰤の文字」では季語本来の力を発揮できないため仕方ない所かもしれません。才能アリを2回連続で獲得し、特待生候補と目されていた3回目に大失敗しました。ツダカンには是非ともリベンジを果たして欲しいところです。
◆最下位
才能ナシ35点 二階堂高嗣(Kis-My-Ft2)『青春 酸いも甘いも 鬼走』◎
マニアックな季語をよく見つけた。季語の持つ少年性と本人のジュニアの頃を重ねた意図は分かるが、これでは伝わらない。語ったラーメンのエピソードが良い。全部消して、「一杯のラーメン」の映像と「デビュー夢見し」で本人の気持ち、冬の季語「冬」で押さえてみる。添削はしてきたが、この句に関しては改作してでも作者の気持ちを形にしたいと思った。やり直しすべき。※季語は「鬼走(おにばしり)」。
→思わずスタッフから咳払いのような笑いがこぼれる
浜田 二階堂もう、カメラマンから笑いが起こってるから(笑)。
【本人談】実体験。ジュニア時代、土日はNHKでレッスンがあり、ジャニーさんがお昼ごはん代としていつも500円くれてた。そこで食べてたラーメンを思い出し、みんなでデビューの夢も語った。
浜田 そういうの良いね、でもね。永世名人、どうでしょう?
梅沢永世名人 「どうでしょう?」って言われても。「酸いも甘いも鬼走」…何それ?(笑)
本人 分かんないんすよね。
夏井先生 この「
鬼走(おにばしり)」というマニアックな季語をよく見つけた。
本人 そう。季語見つけるの楽しいですよね?
夏井先生 そう、それは良い事(笑)。
「鬼走」は冬の季語で、滋賀県のお寺の伝統行事(数え年15の男子が本堂内を赤鬼や青鬼に扮して走り回り家内安全などを祈願する)。
この季語を選んだのは、ジュニアの頃というのと重ねたはずだが、これでは伝わらない。
むしろ
ラーメンのエピソードが良い。
本人 それも考えてたのに…。
夏井先生 書けよ!(笑)
書いていい?「青春」は諦め、「
一杯のラーメン」と書く。
「酸いも甘いも」が書ける年齢か、君は?(笑)
浜田 そらそう、そら怒られるわ。
夏井先生 デビューの夢を見たならそう書く。
「鬼走」じゃねえよ!(笑)本人 全部消された!
夏井先生 「
デビュー夢見し」で冬の季語「
冬」で押さえてどうか。
浜田 何にもなくなった(笑)。
濱家 全く違う俳句。何にも残ってない。
夏井先生 今まで添削はしてきたが、全部変えるのは改作だとかつて志らくさんに凄く怒ったこともある。
この句に関しては改作してでも作者の気持ちを形にしたいと思った。やり直し。
浜田 はい、やり直しでございます。二階堂、どうですか? やり直しやって。
本人 はい、あの…。
浜田 やりますか、やりませんか、今後? それだけ教えて下さい。
本人 0か100かがじゃなくて、1回考えさせてください(笑) やるかやらないか1回考えさせてください。ここで答えを出すことじゃない。
浜田 いいよ、いいよ。(二階堂に近寄って)ここに過去のあなたの成績(24回分)が残ってますよ。君が今までどういう成績だったかちゃんと見て…(→資料を本人に手渡す)。
小島 向き合ってる。
浜田 ほんで、出口の所でやるか・やらないか答えて帰って(笑)
→苦笑いする本人
才能アリ3回、
凡人12回、
才能ナシ9回
2015/8/13 | 才能ナシ | 最下位 | 2017/6/8 | 凡人 | 3位 | 2018/12/20 | 凡人 | 2位 |
2015/10/1 | 才能ナシ | 最下位 | 2017/8/10 | 凡人 | 2位 | 2019/1/10 | 才能ナシ | 4位 |
2016/2/18 | 才能ナシ | 最下位 | 2017/9/14 | 凡人 | 4位 | 2019/3/21 | 凡人 | 4位 |
2016/3/10 | 凡人 | 2位 | 2017/11/9 | 凡人 | 3位 | 2019/5/2 | 凡人 | 3位 |
2016/6/23 | 才能ナシ | 5位 | 2018/1/11 | 凡人 | 4位 | 2019/8/22 | 才能ナシ | 4位 |
2016/8/11 | 才能アリ | 1位 | 2018/2/15 | 才能ナシ | 最下位 | 2019/11/14 | 才能アリ | 2位 |
2016/10/13 | 凡人 | 2位 | 2018/6/21 | 凡人 | 4位 | 2020/4/16 | 才能アリ | 1位 |
2017/1/16 | 凡人 | 2位 | 2018/10/18 | 才能ナシ | 最下位 | 2020/11/26 | 才能ナシ | 4位 |
添削後
『一杯のラーメン デビュー夢見し冬』
読み上げた瞬間に意味不明でポカンとしてしまう一句。初めに申しますが、この方の挑戦は決して悪くはありません。「鬼走」はきごさいによると、滋賀県湖南市の長寿寺と常楽寺で行われる伝統行事。現在は成人の日に行われるそうです。そのような宗教行事の季語は案外ありますが、それと本人の体験を取り合わせて査定に挑むのは猛者としか言いようがありません。「酸いも甘いも」は良いことから悪いことまで多く経験したことを慣用的に表す表現ですが、これを用いるのも無謀なチャレンジャー。上五の字足らずも気になりますが、要はジュニア時代から色々な経験をして、その苦労と体験を見つけた季語に比喩したのでしょう。毎回この方は面白い季語で勝負されるのが興味深く、何の歳時記で詠まれているのがいつも気になります。26回目の挑戦にも期待しましょう。
★特待生昇格試験★浜田 皆藤さん、もうちょっとやんか~。名人まで。
皆藤 そうなんですよ。1級になったら名人が見えてくるので~。
浜田 ね~。
皆藤 ちょっと頑張りたいですね。
◆『替え玉を 伝える小声 雪催』 皆藤愛子◎
勿体ないのは上五「を」とするから動詞「伝える」が必要になる。助詞「と」なら動詞は不要。節約した音数で季語を補強し、主役として前に出す。「雪催」は外にいた方が肌で冷たさを感じるため、「屋台」なら情景が出て、屋外の冷たさの中に替え玉を頼む光景。これなら、今日は気持ちよく1級になれた。【本人談】今にも雪が降りそうな寒い日に、替え玉が食べたくてこっそりお店の方に伝える様子。
浜田 55点を獲った濱家、どうですか?
濱家 ちょっと分かりにくいかな…。
浜田 おいおいおい。何を偉そうに。
★評価ポイント中七「伝える」の是非
■査定結果2級で
現状維持理由:「伝える」と書かなくても伝わる
夏井先生 勿体ないのは「を」だから「伝える」が必要になる。
「を」にしなかったら「伝える」と書かなくてよい。
答え分かりましたか?
浜田 永世名人。
梅沢永世名人 …ははい?(笑) 急に言われても…。
夏井先生 永世名人、私の話聞いてね。
「
と」なら、替え玉と小声(で伝える)と伝わる。
節約した音数で
「雪催」を補強する。季語を主役として前に出す。
「雪催」は
外にいた方が肌で冷たさを感じる。事実かどうかは別とし、例えば「
屋台」として情景が出る。
「屋台」で屋外の冷たさの中替え玉を頼む。
梅沢永世名人 あ~いい…(笑)
夏井先生 これなら、今日は気持ちよく1級になってほしかった。
本人 うわ~。やっぱり見違えました。足りなったですね、全然。
添削後
『替え玉と小声 雪催の屋台』
皆藤さんらしい実感を表現した一句。「替え玉」を小声で頼む動作は何となく他人に知られたくない心情を持った女性ではないかと想像ができますし、店内での動作だとすぐに伝わります。御大お得意の季語「雪催」で寒さの実感も伝わります。動詞が機能的かという点が俳句ではポイントになりますが、やや説明臭さがあったと判断されたのかもしれません。助詞「と」は並列表現に多用されますが、この句は台詞を引用して動詞を省略する用法のようで、玄人でないと出来ませんね。皆藤さんは説明が毎回簡潔で分かりやすく、添削後の反応でも御大が毎回感動するほどセンスのある句を書きます。次回こそ昇格を決めてほしいところです。
★永世名人 富美男のお手本★※永世名人・梅沢富美男が50句の傑作を詠んで、俳句史に残る句集完成を目指す「永世名人梅沢富美男 傑作50選」浜田 さあ、今回自信のほどはいかがでしょうか?
梅沢永世名人 今、ノリにのってますから。
浜田 前回も(掲載決定で)良かったですからね。
梅沢永世名人 今はノリにのってますよ。やっぱり、舞台をやると脳も冴えてくるんですよ。
浜田 なるほど。舞台がない時はただのボケじじいみたいなね(笑)。
梅沢永世名人 (小声で)ちょっと待って。
[永世名人のお手本披露]◆『四日はや 雪駄でたぐる 駅の蕎麦』 梅沢富美男◎
「四日」が季語と知っているのが偉い。「雪駄」で足元、「たぐる」と動詞があり、中七までの展開で読み手に一瞬何かと思わせ、「駅」という場所、最後の「蕎麦」で蕎麦をたぐると符丁が合う。今までなら「雪駄で駅の蕎麦たぐる」とやったはずだが、「たぐる」の動作で終わると味や深みがない。この句の語順は温かい蕎麦の映像で終わる。この語順がやっと分かった。【本人談】これは皆さんにお勉強。「四日」が季語。
正月の四日までが季語。お正月はお節料理ばかりでお料理が飽きると思うが、そろそろあの蕎麦を食べたいと思い、雪駄履きで普段着で駅に行って蕎麦を食べた(たぐった)。
本人 こういう句を作ってるんだ、濱家!(笑)
濱家 ホントに情景も浮かぶし、凄いなと思うんですけど、なんかケチつけられへんかな…と(笑)。
■査定結果永世名人26句目に
掲載決定
理由:やっと語順が分かってきた!
浜田 ちょっと調子いいんじゃないの?
玉巻アナ 連続で。
本人 何か、降りてますね~。
小島 すごーい。
夏井先生 「
四日」が
季語だと知っているのが偉い。ご本人は「四日」までが季語だと言ったが、
「七日」までが季語。
浜田 ウソつかれたよ(笑)
夏井先生 ここは訂正をする。
「
雪駄」と足元があり、「
たぐる」と動詞が入る。
「雪駄でたぐる」の展開で読み手に一瞬何かと思わせ、「
駅」という場所が出て、最後の「
蕎麦」で蕎麦をたぐるとなり、ここで符丁が合う。
今までのおっちゃんなら「
雪駄で駅の蕎麦たぐる」とやったはず。
これだと「たぐる」の動作で終わり味や深みがない。
この句の語順は、
温かい蕎麦の映像で終わることができる。
この語順がやっと分かったかと。長い時間かかりましたね(笑)。
浜田 素晴らしい。
本人 素晴らしいです。
添削なし
新年の時候の季語を用いて風流のある情景を表現した句で、言葉選びが上手いです。「四日はや」で正月三が日が終わり、もう4日になったという作者の心情が如実に出ました。「雪駄」で着物や僧衣などを着る立場の人物だと想像できます。最も上手いと思うのが「たぐる(手繰る)」で、広辞苑によると「両手を交互に使って手元へ引き寄せる」という意味。もともと江戸時代から慕われていた蕎麦は、「すする」「たぐる」など様々に食べる意味の表現があり、落語などでも表されます。この辺りの知識も舞台人ならではです。「駅の蕎麦」の着地で全体が判明しますが、駅の蕎麦屋に雪駄を履いて行くのは、仕事の合間についでに行ったような感じでしょうか。年越し蕎麦の後に余計に食べたくなったか、食べられなかったほど忙しいがゆえに駅そばが恋しくなった、そんな感じも読み取れます(私見ですが、再現VTRのような雪駄に私服はあり得ません)。シュレッダー率を6割台に下げた永世名人ですが、タイトル戦の句が掲載されるかにも期待しましょう。
★次回1/14は3時間スペシャル。俳句冬麗戦は2020年のBEST10を詠んだ10名による頂上決戦で、兼題は「輪ゴム」です。
タカさんが特待生となった絵手紙のコーナー後半が俳句で、新年一発目のお題は「食券機」。どんな店の券売機か、何を注文したのか想像が膨らむお題です。ちなみに写真は箱根そばの券売機でしたね。
今回の拙句は「かき揚げは二分お待ちを初御空(はつみそら)」。晴れた元日早々から営業する立食い蕎麦屋でかき揚げそばを注文した際の店員の台詞と縁起の良い新年の季語を取り合わせてみました。「かき揚げ」と台詞で蕎麦屋と想起出来るため「そば」は入れず、繁盛する店の様子や新年の希望を「空」で表現しました。新年の季語と台詞で攻める意図がありました。若手査定人・着流きるお氏の査定結果は
こちらをご覧下さい。
また、2021年最初の放送で心機一転したいのか、BGMや字幕書体の変更がありました。特に、先生が添削・解説をされる際のBGMが定番の和風のものから変更されたのが大きく、ドラクエのジパングや広野を行く(アレフガルド)などを原曲にした交響曲になるなど毎回違う物が掛かるようになりました。個人的には結構違和感がありましたが、これからも色んな曲で試すのでしょうか。前の曲の方が安定感があるように思った次第です。
さて、次回はスペシャル。スプレーアートや古着リメイクの他俳句は冬麗戦の三本立てです。今回は予選ではなく、昨年の1年間に詠まれた俳句の上位10句を夏井先生が選定し、その詠者10名による一発勝負で、全出場者の詳細が放送を見るまで明かされないようです(ブログ的には結構困ります)。どんな展開になるのかにも注目したいです。
- 関連記事
-
スポンサーサイト