2020年11月26日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は夏井先生講評の要約です。
挑戦者→小手伸也[2],髙橋ひかる[2],清水ミチコ[初],二階堂高嗣[24],橋本直[5],立川志らく[39],梅沢富美男[115] ※数字は挑戦回数●お題:箱根の紅葉
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位70点 | 小手伸也
| 黒たまごほのめく硫黄冬の風 | くろたまごほのめくいおうふゆのかぜ |
2 | 凡人2位67点 | 髙橋ひかる
| 離れた手秋の夕焼け影映す | はなれたてあきのゆうやけかげうつす |
3 | 凡人3位65点 | 清水ミチコ
| 箱根路や車窓に忘れきし紅葉 | はこねじやしゃそうにわすれきしもみじ |
4 | 才能ナシ4位38点 | 二階堂高嗣 (Kis-My-Ft2) | 莢蒾の実行きつけスナック愚痴る | がまずみのみいきつけすなっくぐちる |
5 | 才能ナシ5位20点 | 橋本直 (銀シャリ) | 谿紅葉窓寄り気づき色個性 | たにもみじまどよりきづきしきこせい |
6 | 名人3段で現状維持 | ★立川志らく
| 強羅のもみぢ宙に浮くマリア像 | ごうらのもみぢちゅうにうくまりあぞう |
7 | 永世名人24句で掲載ボツ | ★梅沢富美男
| 真珠婚妻の手の染み冬紅葉 | しんじゅこんつまのてのしみふゆもみじ |
→編集後記※銀シャリは相方で消しごむハンコに挑戦した鰻とともに出演
→清水ミチコは俳句初挑戦。
浜田 どうですか?この番組俳句なんですけども。
清水 初めてなんですけど、弟が俳句のファンで、自費出版で句集を出してるぐらいに…。
→「浅き春立ち止まるひと見つめをり」と一ページに書かれた句集を紹介
浜田 え~!マジで~。
清水 そうなので、今日は頑張ります。
***
→俳優・小手伸也は前回初挑戦で「手末(たなすえ)の凝乳(くりーむ)ほける子栗鼠(こりす)顔」と詠み才能ナシ最下位。早稲田大学卒業ながら小心者の印象があり、前回は不倫報道直前の放送時期で直視できないほど査定前から震えていた。
小手 前回の体験が…激烈なトラウマになりまして(笑)。「プレバト」もちょっとしばらく観れない状態が…。
清水 顔が白い(笑)。
浜田 めっちゃ真面目。
***
→キスマイの二階堂高嗣は平場最多となる24回目の挑戦。2回連続才能アリを獲得しているが、過去5回才能ナシ最下位に沈んでいる。
浜田 もう「俺はやめる」って何回もやめる宣言してるやん。
二階堂 いや、お話をいただいたらもう全力でやります!
浜田 いやいやいや。
***
→銀シャリの橋本直は2016年M-1王者。初回才能アリだったが、低迷の状態が続く。
橋本 最初の初登場で才能アリ頂いたときは、終わりで浜田さんにご挨拶行ったときは、「おう!ありがとうな!」っと爽やかな笑顔でご挨拶して頂いたんですけど、才能ナシが続くと「おう!お疲れっ」と(浜田の)瞬きの速度が遅なって、もうしばらく会わんやろうなとみたいな「おう、おつかれさん」と(笑)。もう、そこから2年たってるんで(笑)。
→前回2018年10月の出演は運動会の題で「まかせとけ逞しき君風の秋」と詠み凡人。
★ランキングシートの分布は才能アリ1名、凡人2名、才能ナシ2名
梅沢永世名人 酷い!
浜田 これは酷いね、久しぶりに。才能ナシ2人いますもんね。
清水 へこむ。
橋本 才能ナシ最下位祭りなんで、ある種。清水さん初登場ですけど、二階堂さん調子いいとはいえ。
→清水以外4名は過去才能ナシ最下位経験者
浜田 ホンマやわ。ミっちゃんだけや、初めては。
清水 恐ろしいですね。
橋本 ここで負けたら最下位オブ最下位なるんで(笑)。
浜田 じゃあ今回はなんとか。
橋本 はい、頑張りたいと思います。
***
浜田 凡人・才能ナシお2人ずついますから、凡人2位。もうここ入ってれば。
高橋:ここでも良い。
小手 うわっ、頼む!
▼凡人2位は髙橋ひかる
髙橋 (立ち上がって)やった~、良かった~。
梅沢永世名人 素晴らしい。
浜田 いや、(67点で)点数高いよ。
髙橋 良かった~。もうホントに家に帰れないかと思いました、今日(笑)。
***
浜田 2人いますから、才能ナシから1人見るってことは4位を開けます。
▼才能ナシ4位は二階堂
二階堂 あぁ…。
梅沢永世名人 何したの? 二階堂君。
二階堂 もうやりたくねぇ。
浜田 なんやねん。じゃあ断れよ!
梅沢永世名人 何したの?
浜田 なんやねん、お前。断ってええじゃないか。
二階堂 めちゃくちゃ勝負してるんですよ。
浜田 マジで。じゃあ見てみよう。
***
浜田 上等でしょう、ここ入ってれば。
▼凡人3位は清水
清水 ありがとうございます。
浜田 いや、ミッちゃん。65点は高い。
清水 あ~嬉しい。
浜田 初めてで60点以上は。
梅沢永世名人 すごいなぁ。
***
浜田 ここまで来ると小手どうですか?
小手 今、夏井先生の解説が一切耳に入ってこなかった(笑)。
浜田 橋本どうですか?
橋本 関西人なんで、なかなか箱根に旅行に行ったことないんですよ。俳句の良さってのはそこは想像で補填できるってとこでしょうね。やっぱ。
浜田 ほほほっ。
橋本 脳はどこでも移動可能なんで(笑)。
小手 いいなぁ。
橋本 想像は無限なんで。
浜田 腹立つ~。
▼才能アリ1位は小手、才能ナシ最下位は橋本
→ビックリたまげて椅子から転げそうになる小手
小手 うわっ。
二階堂 すごい。
梅沢永世名人 素晴らしい。
浜田 最下位は銀シャリ橋本~。
清水 20点。
梅沢永世名人 20点。
鰻 20点やで。
浜田 二階堂に負けましたよ。あの二階堂にですよ。
二階堂 言わなくて良いです(笑)。
橋本 僕ら二人足して26点です(→相方・鰻が消しゴムはんこで最下位の6点)。あの…二階堂さんの俳句にすら負けてるんです(笑)。
鰻 めちゃくちゃ負けてるんです。
橋本 30点でも負けてますんで。
鰻 ホンマに申し訳ないです。
◆それでは順位別に見ていきます◆1位
才能アリ70点 小手伸也『黒たまご ほのめく硫黄 冬の風』◎
何よりも素材の「黒たまご」が良い。「ほのめく」は微かに匂うという動詞になるため、「何が?」と思うと硫黄の匂いが上がってくる展開も良い。逆に季語から始め、「冬の風硫黄ほのめく黒たまご」とする方法も可能で、着地の「黒たまご」が手にあるという感じになればさらに数点上がる。作者を見て本当に驚いた。見事な復活。おめでとうございます。【本人談】箱根登山鉄道からロープウェイに乗り換え、大涌谷の上に行くと「極楽茶屋」で(名物の)黒たまごを売っている。結構それが好きで、源泉につけて黒くなった卵からほんのりと硫黄の香りがして、「箱根にいるなあ」みたいなという気持ちをそのままお伝えした次第。
梅沢永世名人 素晴らしい!
本人 (ビックリして)いや、ありがとうございます。
志らく名人 人を驚かして…。
浜田 ビックリさしてどうすんの。
梅沢永世名人 俳句を読むだけで、光景が浮かんできます。最後の「冬の風」、これも良いね。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 素晴らしい。
夏井先生 何よりも
「黒たまご」という素材が良い。
「
ほのめく」は微かに・ほのかに匂うという動詞になるため、「何が?」と思うと
硫黄の匂いが上がってくるという展開も良い。
逆に季語から始めて「
冬の風硫黄ほのめく黒たまご」とする方法も可能で、
着地の「黒たまご」が手にあるという感じになり、こうすると数点上がる。作者見て本当に驚いた。
前回非常におびえていた方だと思い出して。
見事な復活。おめでとうございます。
本人 ちょっとまだ心のバランスが取れてないですね(笑)。
添削後
『冬の風 硫黄ほのめく 黒たまご』
箱根名物である「黒たまご」をモチーフに冬の風と取り合わせた一句です。兼題からの発想の展開は共感を得やすいのですが、三段切れとも思う語順で本来は凡人でもおかしくない印象でした。ポイントは「ほのめく」の動詞で、「黒たまごがほのめく」と終止形で切れるか「ほのめく硫黄」と連体形で続くかどちらにも読め、なおかつ助詞がないため技術的欠点を指摘されずに済むのです。語順を変えた方が意味も分かりやすく風情もあったのですが、前回は不倫報道で怯えていたご本人だけに成長を褒めなければなりません。
◆2位
凡人67点 髙橋ひかる『離れた手 秋の夕焼け 影映す』◎
写真の中で別れるカップルがいると発想できる点は大きく褒めたい。「映す」は不要で、「影」で光も存在する。この3音をどうするかが才能アリへの最後の勝負。例えば「離れた手」がもう1つあると表現し、「離れたる手と手」で二人に。季語は「秋夕焼」と縮め、「の影」と着地する。影に映像が寄り、離れた手だけが残る。これなら1位だったかもしれない。※紅葉の写真から、恋人との別れの場面に発想を飛ばした一句。
【本人談】秋の夕暮れの物悲しさや寂しい感じを表現するために、恋人との別れを影で映しているところを表現してみた。
梅沢永世名人 いや、
惜しかったね。ひかるちゃん、うん。素晴らしい、うん。
清水 ムカつく。
浜田 腹立つやろ(笑)。
清水 あの態度。
梅沢永世名人 でもね、勿体ないところがあるのよ。「影映す」の
「映す」が余分だった。そういうものを表現するのが俳句だから。「映す」と書かなくてよいのよ。
夏井先生 あの兼題写真の中で、
別れている人がいるかもしれないと発想できるのは大きく褒めないといけない。
勿体ないのはおっちゃんの指摘した通り。おっちゃんは人の句は分かる。
「映す」は不要で、「影」で光も存在する。この
3音をどうするかが最後の勝負で、70点以上行けるかが決まる。
例えば、「離れた手」がもう1つあると表現してみる。「
離れたる手と手」で二人になる。
季語は「
秋夕焼」で良く、「け」と送り仮名を入れても良い。「
の影」と着地する。
影に映像が寄り、離れた手だけが残る。
これなら今日は1位だったかもしれない。
本人 悔しいけど、素敵です。この句。
梅沢永世名人 惜しいな~。
添削後
『離れたる 手と手 秋夕焼の影』
秋の夕焼けとともに、手を離した光景を影の描写で持って表現した切なさのある一句です。とはいえ、ある程度俳句にたしなんでいる人であれば表現の精度に不満を持つ一句で、季語は「秋夕焼」で良く、「映す」は不要なのは大概分かりそうなものです。本人は恋人との別れを表現する意図があり、「君」と入れても良い印象でした。この句も三段切れのような形が勿体なく、誰と別れたのかを明確にした方が良いように思いました。
◆3位
凡人65点 清水ミチコ『箱根路や 車窓に忘れきし紅葉』◎
兼題写真に真っ向勝負を挑んだ姿勢を褒めたい。少し触れば才能アリに届く。勿体ないのは「箱根路や」の強調があるため、箱根の大きな光景を読み手が最初に思い、「車窓」で窓の外に広がる箱根路の光景に意識がいく。自分が手に取った紅葉を置き忘れたとは辿り着きにくい語順になっている。「や」を「の」に変え、「箱根路の紅葉」と明確にした方が良い。「置いて忘れた」と表現するため、「置き忘れし車窓」とする。最後に車窓が映像として残り、1枚のもみじに焦点がグッと当たる。車窓の向こうには箱根の紅葉の光景がずっと印象として残る感じに。【本人談】山を歩き紅葉が綺麗だと思い、もみじを1枚手にした。いつか料理に使おうと思ったが、結局帰りの電車の中に忘れてきてしまったという句。
梅沢永世名人 これも良い句なんだけどな。「箱根路や」の
「や」が気に入らないかな。「箱根路に」か、「に」だね。
夏井先生 写真に対して真っ向勝負を挑んでいる。勝負をする姿勢を褒めたい。
今回の2位・3位はちょっと触ると才能アリ70点に届くタイプの2句。
物凄く勿体ないのは「箱根路
や」で強調しているため、読んだ人は
箱根の大きな光景を思い、くねくね道や広がる山を一遍に思ってしまう。この強調で。
「車窓」がくると、自分が乗っていて
窓の外に広がる箱根路の光景に意識がふっといく。
ひょっとしたら「
窓のヘリの辺りにもみじを置いてきたのかもしれない」と
辿り着くのに時間がかかる語順になっているのが損でとても勿体ない(→大きな光景を思いやすく、手に取った紅葉を想起しにくい語順)。
ここは「や」を変えて、作者の思っている方向に持っていく。
「
の」とし、意味を通るために「
箱根路の紅葉」と明確にした方が良い。真っ直ぐ伝わる。
「置いて忘れた」と明確にするため、「
置き忘れし車窓」とする。
最後に
車窓が映像として残り、1枚のもみじに焦点がグッと当たる。
車窓の向こうには、
箱根の紅葉の光景がずっと印象として残る感じに。
本人 言われたら何か風景がバッと見えてきて気持ち良かったです、ありがとうございます。
添削後
『箱根路の 紅葉置き忘れし車窓』
紅葉を車窓に忘れてしまった本人の後悔のような思い出を詠った一句。発想は悪くなく、兼題から真っ向勝負していますが、「忘れきし」の用法は気になる所です(「き」も「し」も過去の表現?)。「箱根路や」と季語でないものの「や」の強調の型は案外バランスが取りにくく、なおかつ定型を外しているのは面白い挑戦。指摘は色々ありましたが、意図は伝わる一句で、先生も悩みながら熱のこもった添削をしました。初挑戦ながら健闘しただけに、次回才能アリを狙える可能性は十分ありそうです。
【追記】コメントいただきましたが、「忘れきし紅葉」の「き」は「来(こ)」の連用形、「し」が過去の助動詞「き」の連体形で、「忘れて来てしまった紅葉」という意味とのことです。ありがとうございます。
◆4位
才能ナシ38点 二階堂高嗣(Kis-My-Ft2)『莢蒾の実 行きつけスナック 愚痴る』◎
「莢蒾の実」の季語を見つけたのは褒めたい。しかし、語順がおかしい。「酒が薄い」「乾き物しか出てこない」とスナックのことを愚痴る光景と読んでしまう。スナックで愚痴るのは大体「行きつけ」で不要な言葉。「莢蒾の実や」と軽く強調し、「愚痴る」の動詞ではなく「こぼす愚痴」と名詞で止めれば、言葉がグッと寄る。これで良い勝負が出来たのに、大事な所を取りこぼす子。梅沢永世名人 (下五前に)うん?
本人 絶対良いと思った。
※紅葉の写真から、箱根の行きつけのスナックへと発想を飛ばした一句。
【本人談】よく箱根に行く。その行きつけのスナックのママに「日頃のストレスとかない?」と聞かれて不安などを愚痴る。愚痴った感情が「莢蒾の実」(9月~10月に赤く熟す)という甘酸っぱい感情になるなというのを表現した。
梅沢永世名人 いや「莢蒾の実」という季語を見つけてきたのは偉い。うちのお庭にあるんですよ。せまい庭ですけど。40坪くらい…。
浜田 いらん話は良いです(笑)。いや、そこの話はいらない。
梅沢永世名人 「行きつけのスナック愚痴る」では、
スナックに愚痴っているのかと。「あそこの店の女はろくな女じゃねえ」とか愚痴っているようにしか見えない。「行きつけ」なんて要らないのよ。「スナックに愚痴る」だけで~。
夏井先生 おっちゃんはホント人の句は分かるんです。
ただ「
莢蒾の実」という
季語を見つけてきて、しかも使いたいと思うのは褒めたい。
ところがこの語順だとおっちゃんの言う通り、
行きつけのスナックが「酒が薄い」「乾き物しか出てこない」とスナックのことを愚痴っていると読む人も出てくる。「行きつけ」は不要の指摘は正しい。スナックで愚痴るのは大体「行きつけ」。
初めての店でグチグチなら、「
嫌な男だな二階堂」と言われるだけ(笑)。
「莢蒾の実
や」と軽く強調し、「愚痴る」の動詞ではなく、軽くして「
こぼす愚痴」と名詞で止める。
言いたいことに言葉がグッと寄る。
これやれば
良い勝負出来たのに、この子は大事な所を取りこぼす子。
本人 悔しい~!
浜田 二階堂、どうよこれ。ええやんか。こうやって直されたら~。
本人 いや、素晴らしい。
だから俳句はやめられない(笑)。浜田 いや、やるんかい!
清水 出るんだ。
本人 やります。
添削後
『莢蒾の実や スナックに こぼす愚痴』
「莢蒾の実」と本人が通うスナックの光景を取り合わせた一句。ジャニーズの方でもスナックで愚痴ることがあるのかという点にまずビックリですが、毎回変わった季語に挑戦するのが真骨頂である二階堂さん。「莢蒾の実」は全国に分布し、かつ果実酒にもされる植物。この句も三段切れの印象があり、何を愚痴っているのかが勿体なく添削を受けましたが、大変面白い一句です。平場最多挑戦としての連続才能アリは途切れましたが、まだまだ期待できるリベンジがありそうな印象でした。
◆最下位
才能ナシ20点 橋本直(銀シャリ)『谿紅葉 窓寄り気づき 色個性』◎
中七・下五に非常に問題がある。全てが季語の説明の言葉に過ぎない。しかも詩がひとかけらもない。本人の思っているところに言葉を寄せるしかなく、大事な「谿紅葉」は最後に置き、「車窓」と明確に書く。「寄り気づき」と気付いている場合じゃない。車窓を過ぎる光景なら「車窓過ぐ」に。「色(しき)個性」の読み方も意味が分からない。濃い紅葉や薄い紅葉があるなら、なぜそう書かない。「濃きも薄きも」とする。言いたいことには近づくが、発想が凡庸なため、どんなに直しても凡庸な句になる。浜田 難しい表現やな~。
【本人談】外から見ると(紅葉)が真っ赤っかに見えるが、車窓から近づいて見ると1枚1枚の葉っぱでも、色が違って見えるというか。
本人 すみません、ヘラヘラしてしまって(笑)。
梅沢永世名人 テメェ~、この野郎!本人 すみません、ずっと睨まれて。
梅沢永世名人 よくお前、こんな俳句詠んだな!なんだ、「色個性」って。説明しろ、お前!意味わかんねえわ!(笑)清水 厳しい。
浜田 メッチャ切れてる。
梅沢永世名人 よくこんな俳句で「自信あります」!? 出直してこい、もう1回!情けない。浜田 メッチャ切れてるやん。
夏井先生 中七・下五に非常に問題がある。全てが季語の説明の言葉に過ぎない。
しかも詩がひとかけらもない(笑)。本人の思っているところに言葉を寄せるしかなく、「谿紅葉」は大事な所のため最後に置く。
ただの窓ではなく「
車窓」と書く。
「寄り気づき」と気付いている場合じゃない(笑)。車窓を過ぎる光景なら「車窓過ぐ」で、車窓が過ぎていくこと。
「いろ」でなく
「色(しき)個性」? 読み方も意味が分からない(笑)。本人 恥ずかしいです。
夏井先生 濃い紅葉や薄い紅葉があると言いたいなら、なぜそう書かない。「
濃きも薄きも」とする。
浜田 分かりやすいですよね。
夏井先生 はい。私も投げやりになってきた(笑)。
最後に「谿紅葉」と。
言いたいことには近づくが、
もともとの発想が凡庸なため、どんなに直しても凡庸な句になる(笑)。
二階堂 厳しい。
浜田 橋本!
本人 これまた浜田さんと会うの4年後とかになるんですかね。前は2年かかってるんで、20点だと4年かかりそうな(笑)。
添削後
『車窓過ぐ 濃きも薄きも 谿紅葉』
紅葉の光景を詠みつつ、表記のこだわりと詰め込み過ぎた表現により、結局何を言いたいのか分からない一句です。「谿」表記の意図や「色(しき)個性」の造語の意図も機能しているか不明で、中七の2つの動詞も作者の動作として読むと陳腐な印象に。「色とりどりの紅葉は紅き山となる」のような意図だと思いましたが、先生からも梅沢御大からも滅多打ちにされてしまいました。芸人として美味しい立ち位置だったと前向きに受け取ってもらう他はありません。
★特待生昇格試験★志らく名人 近頃、ネット上では破調ばかりだと。志らくのやつは五七五の定型で詠めないのかと、やたら言われるので。
●ツイッターの声志らくの俳句って気取りすぎだよね。で、いつも破調。#プレバト |
志らくはん、とりあえず破調やめた方がいいよ。毎回失敗してるから。とりあえず五七五守ってみよう! |
やっぱ志らくは今回も破調かよ。酔いすぎなんだよな。#プレバト |
志らく名人 それで、五七五で詠もうかなと思ったんだけど、いや待てよと。こちらの御大が比較的正統派の五七五で永世名人になった。
浜田 そうです。
志らく名人 ならば私は破調で永世名人を狙おうかなと。
浜田 なるほど。
◆『強羅のもみぢ 宙に浮くマリア像』 立川志らく◎
本人の工夫した点が少しずつ裏目に出た。①マリア像が印象に残る語順。②「宙に浮く」がホラーのような光景の印象。③「もみぢ」の平仮名が逆効果で、「強羅」「マリア像」の強い印象に沈んだ。「マリア像」から始め、「浮かべ」とする。どういうことかと思った瞬間に「強羅」が出る。季語は「紅葉」と漢字で書いた方が印象が深くなる。「山紅葉」「谷紅葉」など2音で色々できるのが名人の技ではないか。【本人談】箱根の強羅温泉にかつて教会があった。教会の庭にマリア像があったが、ちょっと小高い祠のような場所にあり、遠目に見るとまるでマリア像が宙に浮いているみたいに見えた。紅葉の季節になると、宙に浮いているマリア像の背景に紅葉があることによって、この紅葉が物凄い崇高で神聖なものに見えてきた。それをそのまま詠んだ。
★評価ポイント中七「宙に浮く」の是非
■査定結果名人3段で
現状維持理由:色々と裏目!
夏井先生 本人の工夫した点が少しずつ裏目に出てかなり損した。
①この語順では、季語ではなくマリア像が印象に残ってしまう。
②「宙に浮く」の気持ちは分かるが、ホラー・オカルトがかった光景の印象もある。
③さらに、「もみぢ」と平仮名に書いた気持ちも分かり、周囲の漢字に対して浮き出す意図がある。結果論、「強羅」「マリア像」の印象が強く、逆に季語の平仮名が沈む。意図したところが反目に出た。
浜田 語順もあるのかな?
夏井先生 その通りです、今誰かが言った。
語順です。
浜田 「マリア像」からいきましょう!
夏井先生 その通り、どう考えてもその語順。
橋本 すごい吸収力。
夏井先生 「
マリア像」から始め、「
浮かべ」とする。
どういうことかと思った瞬間に「強羅」が出る。
季語は
「紅葉」と漢字で書いた方が印象が深くなる。
「○紅葉」で、あと2音で色々やれる。
例えば「
山紅葉」なら広い光景。
「
谷紅葉」なら上から俯瞰して自分の目の下にマリア像が浮かぶ感じに。
2音で色々できるのが名人の技ではございませんか。
本人 やはり語順が難しいんです、破調は。ですから、次回は五七五で。
浜田 いくんかい!(笑)。
添削後
『マリア像うかべ 強羅の山紅葉』
『マリア像うかべ 強羅の谷紅葉』
「マリア像」の描写と箱根の紅葉を取り合わせた破調の一句。句から「箱根教会」を指し、地名が特定できる点は秀逸ですが、「宙に浮く」が比喩だとは伝わりにくいのは問題点。「マリア像」自体は銅像のため、「聖誕節」のような別の季語を想起させる可能性は低いものの、2つもある固有名詞に季語が埋もれるのは勿体ない部分です。破調で読むのが悪いわけではないのですが、やはり定型句も見たいというのが個人的意見。本人の発言も「次回は定型で詠みたい」など主張に一貫性がないのが気になる点で、パフォーマンスだとしても「破調・固有名詞」で永世名人になるなどとブレない意志が必要ではないでしょうか。
★永世名人 富美男のお手本★※永世名人・梅沢富美男が50句の傑作を詠んで、俳句史に残る句集完成を目指す「永世名人梅沢富美男 傑作50選」梅沢永世名人 今回は自信を持って俳句を作りました。
浜田 (シュレッダー装置を)わざわざ梅沢さんのために作ってますからね。
梅沢永世名人 シュレッダーはいらなくなります。今回の俳句だけはもう150%自信あります!
浜田 あら~すげえわ。
梅沢永世名人 お手本ですから。
[永世名人のお手本披露]◆『真珠婚 妻の手の染み 冬紅葉』 梅沢富美男◎
真珠婚の句を作ろうという殊勝な夫の気持ちは褒めたい。奥様は少し嬉しいが、配慮が足りない。本当に妻を愛しているなら、小さな所に配慮すべき。①「手の染み」が悪目立ちする語順。②「紅葉」でも良いのに「冬紅葉」にするとこの後枯れるだけな感じがする。③「妻の」とわざわざ書く点もあざとい。「真珠婚」で「手の染み」なら大体奥さんの手の染みだと思う。「手の染み」から始めるべき。迷惑をかけたという作者の心情を「愛し」と口先だけでも良いから書く。「紅葉の真珠婚」なら両方活き、「紅」と真珠の「白」がめでたい紅白な感じで最後にスッと残る。奥さんは愛されていると伝わる。【本人談】結婚して30年たった。お祝いで「母ちゃん旅行でも行ってみるか」と誘い、初めて2人で旅行に行った。「冬紅葉」は真っ赤なもみじ。真っ赤なもみじもあれば、紅葉が終わって色がくすんでいるもみじもあり、可愛い手だった母ちゃんが30年も一緒にいると、ふと(手の甲を)見た時にシミがあった。「あ~俺が苦労させたからだな」と(*)。それを詠ませていただいた。妻の心を詠みました!
*
浜田 でしょうね(笑)。
本人 まあまあまあまあ。
■査定結果永世名人24句で掲載
ボツ理由:ちゃんと愛を伝えて!
本人 ボツ?
何をいちいちうちの家庭に口出してんだ、コンチキショー!(笑)橋本 そういうことじゃないです。
夏井先生 真珠婚の句を作ろうという殊勝な夫の気持ちは褒めておきたい。
詠もうという気持ちを持っているだけでも奥様は少し嬉しい。ただ少しだと思う。
この句を贈られた場合は。
要は配慮が足りない。本人 何が配慮?
夏井先生 ホントに、本当に
妻を愛しているなら、小さな所に配慮すると思う。
こういう句作って「
ちょっと機嫌とっとくか」ぐらいの光景が見える(笑)。
①この語順だと「手の染み」が悪目立ちする。
②「紅葉」でも良いのに「冬紅葉」にすると、この後枯れるだけな感じがしないでもない。「冬」は不要かと思うが、結婚記念日が冬なら入れるしかない。
結婚記念日はいつ?
本人 10月だよ!
夏井先生 「だよ」?
冬いらねえだろよ!(笑)浜田 ケンカをするな!
本人 何がいらねえんだよ!夏井先生 ここに気付きが足りない。
③それから「妻の」とわざわざ書く点も、あざとい感じがする。「真珠婚」で「手の染み」なら大体奥さんの手の染みだと思う。
わざと
「妻」と書いていい顔しようとしている(笑)。「手の染み」から始めるべき。”迷惑かけたな、俺が悪い事したな”と愛(いと)しく思ってるんでしょ?
本人 そうだよ!
夏井先生 それを書くんだよ!(笑)「手の染み
も」。「も」は敢えて。「
愛(いと)し」と
口先だけでも良いから書くの。
「紅葉の真珠婚」なら両方活きる。
髙橋 へぇ~、あ~すごい。
夏井先生 紅葉の「紅」と真珠のイメージの「白」がめでたい紅白な感じで最後にスッと残る。こうすれば奥さんは愛されているなと分かる。
添削後
『手の染みも 愛し紅葉の 真珠婚』
真珠婚を迎えた妻の手の染みが冬紅葉のようだという想いを重ねた風情のある一句。永世名人らしく「真珠婚」を取り合わせて夫婦仲を描写しており、年配でなければ出来ない技ですが、この句も三段切れの印象が拭えません。先生は「妻」「冬」が不要だと厳しく指摘して、久々の夫婦漫才となりましたが、添削後なら「真珠婚」が夫婦だけでなく紅葉自身もそれを祝っているかのような印象のある句に。シュレッダー率75%と掲載決定が遠いのはいつものことですが、先生の添削に本気を出させただけに、季語などを中心にさらに攻めた句を見せても良い印象がありました。
浜田 もう永世名人ですから。この句は残せないですから。
本人 妻の30周年記念…。
浜田 せ~の、ドン。
本人 うわっ。
→例によって掛け軸前の赤いボタンを押す浜田
→♪エレクトリカルパレード ともに俳句がシュレッダーにかけられる
※ボツの俳句は永世名人の名誉のため無かったことに髙橋 きれい。
浜田 アハハハ。
***
本人 じゃあ何かい。
浜田 もう、ええって。もう無理から難癖つけようとして。
夏井先生 私は俳句の出来言ってるだけで、
後は夫婦で解決してください(笑)。
浜田 そらそうです。先生のおっしゃる通りでございます。
消しごむハンコ査定後のコーナー後半ですが、今回は久々の光景兼題で「箱根の紅葉」。10月に箱根登山鉄道に新型車両が搬入されたそうですが、「箱根」の兼題は今回で5度目。首都圏周辺のお題が選ばれやすいのは東京圏中心を気にするテレビ局ならではの仕方ない部分ですが、地方兼題があっても良い印象はあります。ツイッターにあげた拙句は「甲板へもみじ多言語飛び交ひて」と芦ノ湖の箱根海賊船に乗車した過去の経験から、外国人が多かった印象を取り合わせてみました。季語表記は「もみぢ」が正解でしたね。
今回は三段切れが多く、梅沢御大をはじめ平場1・2・4位の句は明らかな印象でしたが、先生からはその指摘が一切なかったのが気になる点。平場1・3位と志らく名人は「箱根」「紅葉」の両要素を入れた印象がありましたが、1位と梅沢御大は「冬」と入れ、秋の季語か冬の季語かで選択の幅がある感じでした。
さて、番組もこなれてきたのか非常に酷い失敗をする句がなくなってきたのが最近の印象ですが、俳句はどうすれば上手く詠めるのか自分でも未だにわからないでおります。いかに人と違うものに着目するか、いかに共感性を呼ぶか、いかにストーリー性を生むかは大事な所だとは思いますが、他人と比較せず結果に一喜一憂せず、自分らしい俳句を詠みたい所存であります(それが最も難しいのでありますが)。
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