2020年10月29日放送 プレバト!! 俳句金秋戦予選A・Bブロック結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
秋の季節に行われる第4回
金秋戦予選A・Bブロックで名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
◎は夏井先生講評の要約です。
→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細(Aブロック) →俳句詳細(Bブロック) →編集後記⇒予選C・Dブロック記事
⇒決勝戦記事※過去のタイトル戦結果などは
こちらまたはブログカテゴリからどうぞ。
挑戦者:
Aブロック→<名人2段>千原ジュニア[53],<3級>森口瑤子[9],<4級>北山宏光(Kis-My-Ft2)[32],<5級>向井慧(パンサー)[12]
Bブロック→<名人6段>横尾渉(Kis-My-Ft2)[44],<2級>岩永徹也[21],<3級>皆藤愛子[21],<5級>篠田麻里子[11] ※数字は挑戦回数見届け人:梅沢永世名人、藤本名人◇金秋戦2020のルール(※前回の炎帝戦を踏襲した形) 【予選】 ・ABCDの4ブロック制で、各ブロック4名が参加 ・ブロック分けは段位を考慮した上、玉巻アナが事前にくじ引きを行い決定 ・兼題はAB・CDの2ブロック単位で共通 ・各ブロック上位1名が決勝進出 ・各ブロック2位は補欠となり、4名中最も良い1名が決勝進出(敗者復活) 【決勝】 ・前回上位4名がシードで参加 ・決勝はシード4名(永世名人含む)、予選通過5名の合計9名 |
●お題:ピアノ
※各ブロック1位が無条件で決勝進出、2位は補欠※順位クリックでリンク内移動します。
◆予選Aブロック |
1位 | 森口瑤子 | 3級 | ちゑさんの被爆ピアノや秋はきぬ | ちえさんのひばくぴあのやあきはきぬ |
2位 | 千原ジュニア | 名人2段 | 鍵盤図弾く兄の背や秋の暮 | けんばんずひくあにのせやあきのくれ |
3位 | 北山宏光(Kis-My-Ft2) | 4級 | 五指跳ねる英雄ポロネーズ弾く秋 | ごしはねるえいゆうぽろねーずひくあき |
4位 | 向井慧(パンサー) | 5級 | 秋日和猫眠るため在るピアノ | あきびよりねこねむるためあるぴあの |
◆予選Bブロック |
1位 | 横尾渉(Kis-My-Ft2) | 名人6段 | 休暇明アルトのビブラート太し | きゅうかあけあるとのびぶらーとふとし |
2位 | 岩永徹也 | 2級 | 色のなき風やボカロのラブソング | いろのなきかぜやぼかろのらぶそんぐ |
3位 | 篠田麻里子 | 5級 | 秋の夜「黒鍵のエチュード」に挑む | あきのよるこっけんのえちゅーどにいどむ |
4位 | 皆藤愛子 | 2級 | 秋渇きピアノに映る二重顎 | あきがわきぴあのにうつるにじゅうあご |
順位発表順 Aブロック:2位→3位→最下位→1位 Bブロック:3位→2位→最下位→1位■トーク集(クリックで展開)
夏井先生 あ~上手になってきたな。かなり激戦で…。
梅沢永世名人 俺が優勝しなかったら、プレバト!!じゃないだろ。
北山 番狂わせしにきました。
向井 獲りにきてます、僕は。
横尾名人 名人(Bブロックでは)僕だけなんで、いいんですか? まだ収録する前ですよ。今なら変えられますけどね。***予選通過で、決勝位って梅沢さんを倒す。
皆藤 (横尾名人は)強敵なんですが、ただ綺麗な句だと絶対に勝てないので、ちょっと自分の中ではかなり攻めた句で、まあ何とか横尾さんに勝って、女性初の優勝を目指したいなと思ってます。
梅沢永世名人 面白いメンバーですよ。勿論、実力からいくと最近ドンドン伸びてきているジュニアかな。
→名人2段・千原ジュニアは過去8大会中7回で予選通過。予選通過率は驚異の87.5%。
浜田 凄いね。
ジュニア名人 じゃあもうOKにして。
藤本名人 そりゃ駄目よ。
ジュニア名人 今回はちょっと、初めてですけど自信あります。
一同 え~!
梅沢永世名人 初めてですよ、言い切ったのは。
北山 怖っ。
藤本名人 やっぱ、ミスター予選と言われてますから。人生経験が豊富なんですよ。俳句に生かされてるんじゃないかと。昔は尖ってて、今は子煩悩。
ジュニア名人 人生経験はあなたも中々でしょ?(笑) 今日もタピオカ柄のネクタイしよって。(笑)
藤本名人 やめろ、違うわ。違うのよ、もう。
ジュニア名人 わざとでしょ。
***
→4級・キスマイ北山は前回の東大王との他流試合でトリとして参戦。見事にチームの勝利に貢献した。
北山 東大王との勝負、あの名勝負。
浜田 最後良かったよね。
北山 あの週はオレの週でしたからね。(笑)
梅沢永世名人 今、乗ってますからね。俳句が分かってきた、最近。だからこれ番狂わせがあるんじゃないの。
で、森口さんには是非上がってきて欲しいと思いますよ。
***
→3級・森口瑤子はタイトル戦4度目。初の決勝進出を狙う。
森口 周りから「タイトル戦だと力が入るね」なんて言われちゃうから、今回は力入れないように頑張ったつもりではあります。
玉巻アナ そんな森口さんですが、SNSに先日こんな写真をアップされてました。
→「夏井いつきのおウチde俳句」の先生自著と共に映る本人写真を紹介
浜田 夏井先生の本ですね。
森口 でもこれ(俳句を)作りたいって気持ちになる本だと思って載せたんですけど。
藤本名人 これってちょっと新手の賄賂ですよね?(笑)
森口 えぇっ?
ジュニア名人 これアカンよな。
藤本名人 これは駄目ですよ。
向井 こういうのアリなんですか? こういうのやっていきますよ。
森口 えっ、ダメ?
***
玉巻アナ ちなみに、永世名人梅沢さんの名声が遂に海外まで…。
梅沢永世名人 (本人ツイッターで)アメリカからファンレターが届いたんです。プレバト!!見てますよと。
篠田 ホントだ。
梅沢永世名人 世界のおっちゃん!(笑) お願いしますから。
藤本名人 梅沢さんってね。このプレバト!!の放送前に必ずツイッターに写真あげますよね。…自作自演じゃないのかな?
梅沢永世名人 お前、いい加減にしろよ。 なぜそんなことを言う。
ジュニア名人 (手紙の)絵のタッチ似てる。
梅沢永世名人 違うってホントに。
藤本名人 やってるでしょ。
梅沢永世名人 横見てごらん、住所(→サンディエゴ)!
藤本名人 何とでもなるでしょ、あれ。
梅沢永世名人 何とてもならないよ!
浜田 「住所」って。
ジュニア名人 あ~どうなってんの~?
梅沢永世名人 ま~ジュニアだろうけど。
藤本名人 ま、そうですよね。ジュニアね。
浜田 どうしよっかな~。補欠。
向井 えっ? いきなり!?
梅沢永世名人 いいんじゃない。
北山 補欠から?
藤本名人 ここに入っとかないとね。決勝に行ける可能性がね。
森口 怖い。
▼補欠2位は千原ジュニア
一同 え~!?
ジュニア名人 (立ち上がって)もう嫌や~もう! もう、よろしい。
向井 名人が消えたってことね。
ジュニア名人 めちゃくちゃ自信あったのに~。補欠イヤやてもう。
藤本名人 まだ敗退よりええやろ。
ジュニア名人 もう嫌やて。
浜田 可能性はね、あるわけで。
篠田 え~意外。
梅沢永世名人 このメンバーだったら1位確定みたいなもんだった。
藤本名人 名人ですからね、言うてもね肩書がね。
梅沢永世名人 何したの?
藤本名人 どうしたの、ホント。バカだよ。(笑)
ジュニア名人 違う違う、見てよ。めちゃくちゃ良い人いるんとちゃう?
藤本名人 見たからって、順位が上がるわけではないから。(笑) 「見てよ」じゃないやん。
ジュニア名人 だけど、すっごい良い人いる絶対。オレこんなん言うのアレだけど。
浜田 うるさいな!
***
浜田 ジュニアの1個下、3位みましょう。予選敗退ということになりますが。」
▼予選敗退3位は北山宏光
梅沢永世名人 ありゃ?
藤本名人 大番狂わせないな~。
横尾名人 何したの?
浜田 何やねん。
北山 何なんだろうな。
梅沢永世名人 東大生がなんだ…。
浜田 ねえ、東大生の時はね。
北山 何だったんだろうな、東大戦。
***
向井 ここで僕が最下位だったらつまらんですよ、番組として。これは俺が1位獲ってとんでもない番狂わせ起こさないと面白くないでしょ(笑)。
藤本名人 こっちの番狂わせね。
向井 これは俺もう自信あります。
藤本名人 向井は今ね、頭いいキャラを絶賛売り出し中なので(笑)。1位獲りたいはずです。
向井 売り出し中とか言わないで。
藤本名人 頭良さそうなバラエティー(番組)いっぱい出てるんですよ(笑)。オレはここや!と思ってるんです。
向井 手の内やめて下さい。
森口 面白くなくていいから、最下位だけはもう嫌だ!(笑)
▼予選通過1位は森口瑤子、予選敗退最下位はパンサー向井
藤本名人 番狂わせへんな~。
浜田 結局森口とジュニアの争いやったということ。
梅沢永世名人 そうね。
浜田 もしかしたらってことあったからね。
向井 ま~、そうっすね~。
浜田 初めて来た人は大体あそこ。
藤本名人 大体そうなのよ。最下位なのよ。
ジュニア名人 しゃーない、しゃーない。
***
横尾名人 さすが。
森口 うわっ、うれしい。
藤本名人 おめでとう。
梅沢永世名人 オレは期待してました。
藤本名人 賄賂(本)が効きましたね~。
梅沢永世名人 賄賂かい。
→名人6段・横尾渉は昨年の冬麗戦覇者。
横尾名人 よろしくお願いします。いつもは自信なかったり不安があるんですけど、今日は余裕があります。
浜田 なんか、悪い事言ってない?(他のメンバーで)ここやったらいけると?
横尾名人 いけます。だって僕だけですよ。名人僕だけですから(笑)
浜田 いや、でも名人やからってのは関係ないと思いますよ。
横尾名人 調子良いですから。
***
→2級・皆藤愛子はタイトル戦6度目。過去2回決勝進出を果たしている。
皆藤 敵強いんですけど、私歴代俳句ベスト5に選ばれたことが自信になっているんで、頑張りたいと思います。
浜田 是非上がっていただきたい。
***
→2級・岩永徹也はIQ148の持ち主・JAXA宇宙飛行士適性試験でオールAAAと毎回紹介され、春光戦では決勝シードを獲得した。
岩永 今回(兼題が)ピアノで、最近作曲をやってるんで、日常にあるものを題材として使えたので、良い句ができたと思います。
→横尾名人も仰天した顔になる
浜田 マジで。
梅沢永世名人 お題がラッキーだったね。
岩永 横尾さんが凄く調子に乗られているんで(笑)。
浜田 倒したいよね。
岩永 倒したいです。
浜田 そりゃそうや、そりゃそうや。
***
→5級・篠田麻里子はタイトル戦2度目。前回の炎帝戦では相当緊張したらしい。
篠田 いつものプレバト!!の空気と違うじゃないですか。
藤本名人 そうなのよ。
篠田 なんか、緊張しちゃって。今日も緊張してるんですけど、今回はピアノがお題ということで、音程に苦労している横尾君には負けたくないと思います(笑)。
藤本名人 アーティストなのに。
横尾名人 まあまあまあ。
北山 ジャニーズで音楽一番苦手なの彼なんです(笑)。
***
浜田 Aブロックを通過されました森口さんはどう思われますか、このメンツ。
森口 若い女性の皆藤さんに上がってきていただきたいです。
皆藤 ありがとうございます。
玉巻アナ ちなみに横尾さんが一番恐れている相手が皆藤さん。
横尾名人 そうですね。前回2位(の補欠)で戦った時に完璧に負けたんで。でも今回は勝てるんじゃないかなって。
浜田 前回はちょっとヤバかった?
横尾名人 ヤバかったですね。怖さはありますけど、まあ行けるんじゃないかと。
浜田 偉い自信やな~。(笑)
岩永 せめて補欠に。
皆藤 怖ーい。
▼予選敗退3位は篠田麻里子
藤本名人 ちょっと~。
浜田 でも3位なんや。
藤本名人 最下位じゃない。
浜田 君の下に1人いる。
篠田 ということですよね。
藤本名人 確かに。十分十分。
篠田 確かに頑張りました。
梅沢永世名人 惜しかったよ。
浜田 特待生5級で下に1人いるってことです。
***
浜田 これは2位を開けます。1位と最下位を残します。
皆藤 はぁ、やだ~。
▼補欠の2位は岩永徹也
岩永 まあいいでしょう。補欠、危ない危ない。
浜田 まあね、まあね。
ジュニア名人 え~、どっちかが最下位。
皆藤 やっちゃったかもしれない。
浜田 すごいでしょ、あははっ。(横尾・皆藤の)どっちかが最下位になるんです。
***
浜田 残っているのはこの2人。
梅沢永世名人 まさか、まさか。
ジュニア名人 最下位。
浜田 どっちかが最下位ですよ、篠田の下ですよ。フジモンどうでしょう?
藤本名人 僕は皆藤さんですね。コンスタントに良い俳句詠んでるんでね。
浜田 確かに。
藤本名人 あの~崩れることないんですよ、皆藤さん。
皆藤 いやでもちょっと私今回、いつもと違う感じにしちゃったんですよね。はい。
浜田 それがどっちに転んでるか…。
藤本名人 (うつむき加減の)横尾ちゃん。顔上げなさい。顔上げて(笑)。ずっと下向いてるから~。
横尾名人 自信無くなってきちゃって…。
藤本名人 大丈夫やから~。
▼予選通過1位はキスマイ横尾、予選敗退最下位は皆藤愛子
→ガッツポーズの横尾名人
藤本名人 皆藤さ~ん。
皆藤 やってしまった~。
浜田 まさかその「ん?」と思ったのが、こっちにいってしもうたのかな。
皆藤 やっちゃった~。
浜田 皆藤さんが最下位ってのもなかなかですね。そうか、こうなったか。
藤本名人 え~?最下位じゃないと思うけどね~。
梅沢永世名人 確かにね。
***
藤本名人 凄い。
ジュニア名人 おめでとう。
梅沢永世名人 やっぱりな。
藤本名人 あら、軽やか。お~いいね。
梅沢永世名人 ほんと、いいね。
浜田 言うだけのことありますね。
***
梅沢永世名人 (プレバト)ジュニアは大したもんだ。世界の梅沢が怖がってますよ。
藤本名人 ややこしいんですよね。
浜田 千原ジュニアもおるからね。
藤本名人 プレバトジュニアって言ってもらっていいですか。
梅沢永世名人 プレバトジュニア。ま、楽しみにしてますよ。
◆それでは順位別に見ていきます◆予選Aブロック1位
◆『ちゑさんの 被爆ピアノや 秋はきぬ』 森口瑤子◎
心に染み入るような一句。「ちゑさん」はこういう名前の方がいるという読みで良く、「ゑ」の表記で時代の手触りが出た。「被爆ピアノ」だけで語るものが物凄く沢山ある。ちゑさんの物だと語るため、かつてちゑさんが愛用したピアノが原爆で…という複雑な事情が読み取れる。「や」の強調を上の言葉が受け止めるだけのものになっている。必要以上のことは言わずに、残り全ての作者の想いを季語に託した。暦の上では8月初頭に秋が来る。原爆の広島・長崎を想起する。見事に素晴らしい作品。【本人談】今年「おかあさんの被爆ピアノ」という映画に出演し、戦争の原爆から奇跡的に焼け残ったピアノ(被爆ピアノ)の存在を知った。原爆に心を馳せた時に、主のいなくなった被爆ピアノにも秋が来て、冬が来てというのを75年間繰り返してきた。
梅沢永世名人 素晴らしい。「秋はきぬ」。これが素晴らしい! 1位、間違いありませんよ。
浜田 争ったジュニアはどう思いますか。
ジュニア名人 8ステージ位上の俳句ですね。(笑)
藤本名人 ダントツ。
夏井先生 これは
心に染み入るような一句。
「
ちゑさん」はこういう名前の方がいるという読みで十分、
「ゑ」の表記で時代の手触りを見せてくれた。
「
被爆ピアノ」の言葉だけで
語るものが物凄く沢山ある。
ちゑさんの物だと語るため、
かつてちゑさんが愛用したピアノが原爆で…という複雑な事情が読み取れる。
「や」の強調を上の言葉「被爆ピアノ」が受け止めるだけのものになっている。
必要以上のことは言わずに、残り全ての作者の想いを季語に託した。
暦の上では8月初頭に秋が来る。
原爆の広島・長崎を想起する。
キッチリと見事に素晴らしい作品。
添削なし
終戦の原爆に思いを馳せ、ある人物が持っていたピアノと時候の季語を取り合わせた内容の重たい一句で、本人が演じた映画の役柄から発想しています。原爆の被害を奇跡的に免れたピアノを寄贈した母役を演じる森口さん。「ちゑさん」は祖母役に当たります。先生の解説通り「ゑ」の旧字体の効果が良く、人名を入れる意味があると分かり、寄贈された背景も想像がつきます。中七の最後に「や」を置く型は難しいのですが、成功と判断されました。「秋はきぬ」と秋が来たという時期柄が8月初頭の原爆投下を想起させ、非常に手堅く使われていて、「きぬ」の平仮名表記で「被爆」「秋」だけが漢字として浮き上がり、全体のバランスもとれています。タイトル戦に重たい句材を置く点は賛否両論ありますが、兼題から真っ向勝負した以上悪くはないと感じました。
2位◆『鍵盤図 弾く兄の背や 秋の暮』 千原ジュニア◎
場面は良く、上五「鍵盤図」がリアルにして健気な感じ。季語「秋の暮」の健気さ、切なさ、寂しさが出て、後半のキーワードと季語が繋がったのはとても良い。気になるのは「や」。詠嘆したかった作者の想いは理解できるが、第三者が読むならば季語にもう少し比重をかけてほしい。これは「に」が正解。添削後なら、切なさが「秋の暮」の映像に乗っかる。梅沢永世名人 あ~勿体ない。
【本人談】小さい時に夕方家に帰ってきた時の光景。(兄の)せいじが「ピアノ買って」と(親に)言えない。ピアノが無くても弾きたかったため、音楽の教科書の裏表紙の鍵盤を(彼は)一人で弾いていた。それを小さい時に見て、滅茶苦茶切なくなり、鮮明にその光景を覚えている。その思い出を詠んだ。
梅沢永世名人 お兄ちゃんの印象が強すぎた。中七「や」が駄目。季語「秋の暮」が弱まった。これを「に」にすべき。お兄ちゃんばかりに映像が映ってしまい、季語がぐさーっと。
本人 またせいじに邪魔されたか~。
夏井先生おっちゃんの解説にビックリ。
良い場面を書いている。
この句のキーワードである上五「鍵盤図」がリアルにして健気な感じ。
季語「秋の暮」の健気さ、切なさ、寂しさが出て、季語とキーワードが繋がっている。ここら辺はとても良い。
気になるのは「
や」。
本人 詠嘆したかったんや~。
夏井先生 分かる。作者の想いをストレートに書くなら「や」だと本人は思う。
第三者が俳句として読むならば、季語にもう少し比重をかけてほしい。
これを「
に」にしていれば(良かった)。
梅沢永世名人 はっはっは。
浜田 そうなんですか?
夏井先生 そうなんです。おっちゃんは見事。
「に」にすれば、切なさが「秋の暮」の映像に乗っかってくる。
浜田 ジュニアも分かってましたよ。「や」でガっといきたいって思ったんでしょ。
本人 もっと引かなアカンねんな…。(笑)
梅沢永世名人 こないだ仕事を兄弟と一緒にやらせてもらったんです。お兄ちゃんのことが大好きで、お兄ちゃんも弟のことが大好きなのよ。それが見え隠れしてんの。だから、お兄ちゃんのことを思いこみ過ぎた。
藤本名人 俳句にせいじ出したらアカンよ(笑)。
本人 なんでやねん!
藤本名人 俳句から一番遠いところにいる顔やんか。
本人 だから顔出さずに背中だけにしたやんか(笑)
添削後
『鍵盤図 弾く兄の背に 秋の暮』
「鍵盤図」と時候の季語を取り合わせ、兄の思い出を描写した一句。最近のジュニアさんは家族関連の句が目立ちますが、着眼点は良い部分。「鍵盤図」で本物のピアノが存在せず、兄貴想いなのが「兄の背」の描写で、本当はピアノを弾きたいのではないかという想いやる気持ちが表現されています。梅沢名人は「や」が強すぎると指摘しましたが、「や」「に」のどちらが良いか個人的には迷う部分。最後の季語は「暮の秋」として、時間帯の要素を薄めつつ秋が全体の光景を包むようにすれば、回想だと強調されて味わいがあるように思いました。2位で一発進出を決められなかったジュニアさん。厳しい予選の洗礼を受けてしまいました。
3位◆『五指跳ねる 英雄ポロネーズ 弾く秋』 北山宏光(Kis-My-Ft2)◎
「英雄ポロネーズ」と長い言葉の塊を果敢に詠み込んだのは褒めたい。「五指跳ねる」の描写も良く、曲の勇ましさが出ている。勿体ないのは「弾く」で、曲名があれば言わずもがな。語順で損しており、リズムが悪い。季語を中七に入れて「秋や」とし、「五本の指が跳ねる秋」とは何かと読み手に思わせ、芸術の秋のイメージを出す。曲名を続ければリズムが整う。添削後なら1位を争った。【本人談】ショパン「英雄ポロネーズ」を幼少期に練習した。「五指跳ねる」で練習が楽しく感じていたのを表したかった。自分がコンクール(当時9歳)に出た思い出と重ねて。
横尾名人 東大王との戦いの時と同じ作り方をしている。
「五指跳ねる」で状況は分かるのに「弾く」を持ってきた。前回はそれで上手くいった。
浜田 そやそや。君、指摘したもんね。
横尾名人 「FMさがみ」なら「聴く」はいらないですよと。
浜田 先生は「ここはアリですよ」と言って、上手いこと言った。
横尾名人 それを今回も使ってきたんですよ(笑)。
夏井先生 横尾さんも中々見抜くようになった。
「
英雄ポロネーズ」と9音の
長い言葉の塊を果敢に詠み込んだ姿勢は褒めたい。
「
五指跳ねる」の描写も良く、あの
曲の勇ましい感じが出ている。
勿体ないのは横尾名人の指摘通り。
今度は(「弾く」は)いらない。
前半の後に曲名が出たら
「弾いている」のは言わずもがな。
語順で損してしまい、リズムが上手く入ってない(のは語順のせい)。
添削は簡単なこと。
季語を中七に入れて「秋や」と季語を強調し、「五本の指が跳ねる秋」とは何かと読み手に思わせ、芸術の秋のイメージを出す。
曲名を続ければリズムが整う。これやってたら1位を争っていた。
浜田 あれは分かって書いてたのね。「跳ねる」あんのに「弾く」って書いたのは分かってた?
本人 「弾く」を入れるかは本当に悩んだが、前回良い味をしめちゃって…(笑)。
浜田 やっぱ言うた通りや。
本人 横尾さん、言った通りです。(笑)
添削後
『五指跳ねる秋や 英雄ポロネーズ』
動詞2つを入れながら、曲名と季語「秋」を取り合わせた一句。「英雄ポロネーズ」はピアニストの辻井伸行さんも得意とする曲調変化の激しいショパンの代表曲。横尾名人が動詞のミスを見抜いたのも流石でしたが、固有名詞を堂々と入れ込んだ北山さんも挑戦的な印象。リズムこそ悪いですが、上五「五指跳ねる」は音楽経験者でもないと出てこない表現に思います。動詞を捨て石のように入れて成功した経験があるため味を占めてしまったと語る気持ちはよく分かりますが、まだまだ伸びしろがあるのを感じた一句でした。
4位◆『秋日和 猫眠るため 在るピアノ』 向井慧(パンサー)◎
説明っぽさのイメージを引っ張り出す単語が1つある。勿体ない諸悪の根源は「在る」でこれは不要。「ため"の"ピアノ」ならピアノの存在を強める必要性がない。「よ」で軽く持ってくる。季語「秋日和」は秋晴れで風もない穏やかな天気。この句は「日和」よりも、黒いピアノに当たる日差しが見えた方が良い。「秋の日よ」で「よ」の韻を踏めば、作者の言いたいことに近づいてくる。【本人談】ピアノのある場所を想像した時に、実家に姉が弾くために買ったピアノがあったことを思い出した。姉が弾かなくなり、ずっとカバーをかけられていたままのピアノに、飼っている猫が飛び乗ってずっと居座ることがあったため、誰も弾かずに猫が休む、眠るためのピアノだったらと。
梅沢永世名人 最下位になったのはわかりますよね。まだトーナメントに出るような俳句は10年早い。
本人 10年ですか~。
梅沢永世名人 普通の回なら良いのよ! 私を相手にしなきゃならない回なんですよ!
浜田 腹立つわ~。
藤本名人 これ、タケモトピアノのCM?(笑)
本人 違います。
藤本名人 言葉がブツブツと切れてる感じがする。「猫眠るため"に"在る」だと思う。
梅沢永世名人 説明っぽいわね。
夏井先生 名人2人が言う「
説明っぽい」のイメージ・読みを引っ張り出してしまう単語が1つある。
勿体ない諸悪の根源は「在る」。これは書かなくてよい。
「猫眠るため"
の"ピアノ」ならピアノの存在を強める必要性がない。「よ」で軽く持ってくる。
最後に季語を持ってくる。季語「
秋日和」は秋晴れで風もないおだやかな天気のことで、気持ちの良いお日柄。
この句の場合は「日和」よりも、
黒いピアノに当たる日差しが見えた方が良い。
「秋の日よ」で「よ」の韻を踏めば、言いたい映像に近づいてくる。
本人 とりあえず10年をいかに短縮できるかを勉強します(笑) 10年はかけられないので。
浜田 そらそうやな。
添削後
『猫眠る ためのピアノよ 秋の日よ』
この番組でも良く出る動物「猫」と「ピアノ」を用い、天文の季語「秋日和」と取り合わせた一句。語ったエピソードは素敵で渋い語り口の一句でしたが、「眠る」「在る」と淡々と書かれた動詞2つが微妙に機能していません。「猫ふんじゃった感」があるピアノの発想がやや平凡なのも残念で、名詞止めの季語は下五に置きたい印象。「○年早い」の部分で、「5」「7」「10」と使い分けている御大は厳しい評価でしたが、上手く問題点を指摘できず。名詞の季語に動詞を用い、切れ字を用いない傾向が続く向井さんでしたが、今回初めて助詞「の」を用いませんでした。
◆予選Bブロック1位
◆『休暇明 アルトのビブラート太し』 横尾渉(Kis-My-Ft2)◎
コンパクトに上手く言葉を選んできた。「アルトのビブラート」と一点に絞ることで、「休暇をどんな風に過ごしたのか?」とそちらに想いがいく。「アルト」「ビブラート」の言葉の選択は良かった。「休暇明」「アルト」で合唱部のような部活かと思った。夏休みに一生懸命練習した成果として、太い豊かな声が出たようになったと読んだが、声変わりの可能性もあると感じた。最後の「太し」で「アルト」の声の質・大きさなどの豊かさが見えてくる。この3音の大事な勝負・着地を見事に決められるようになったのを褒めたい。「上手になってきた」と本当にうれしく思う。※「休暇明(きゅうかあけ)」は夏休みが明けて二学期が始まることを指す秋の季語。
【本人談】合唱コンクールに発想し、夏休み前はソプラノで歌っていたのに、夏休み明けで声変わりしてアルトになってしまって練習しているという句。
梅沢永世名人 素晴らしいじゃないですか。さすがは「(プレバト)ジュニア」。怖いですよ。あなたと今度決勝で戦うのが怖い!(笑)
浜田 何を言うてんの?
北山 あの~率直な感想としては、音楽できないよね?みたいな(笑)。
夏井先生 とても
コンパクトに上手く言葉を選んできたと思う。
俳句はたった17音しかないため、ごちゃごちゃと詰め込んでも伝わらない。
むしろ「
アルトのビブラート」と一点に絞ることで、「
休暇をどんな風に過ごしたのか?」とそちらに想いがいく。
その意味で
「アルト」「ビブラート」と言葉を持ってきたのは良かった。
「休暇明」「アルト」で合唱部のような部活かと思った。
夏休みに一生懸命練習した成果として、太い豊かな声が出たようになっているのかと読んだ。
本人の話のように
声変わりの可能性もあると感じた。
最後の3音をどう使うかは悩んだはず。
「太し」で「アルト」の声の質・大きさなどの豊かさが見えてくる。
この
3音の大事な勝負・着地を見事に決められるようになった。
そこを褒めたい。「上手になってきた」と本当にうれしく思う。
浜田 おめでとうございます。
添削なし
秋の生活の季語「休暇明」に合唱する声の様子を取り合わせた一句。合唱コンクールは私もパートリーダーを務めた経験があり共感できる発想で、「アルト」「ビブラート」「太し」と「と」の韻を織り交ぜた工夫も流石。「休暇明」は単なる時期を表わすものとして私は解釈しました。よって、合唱コンクールが近くなり、練習でより「アルト」の声に自信がついてきた様子を描写したものだと考えましたが、男子の「声変わり」だと思うと「休暇明」との因果関係が匂う読みに。「アルト」も基本的には女性パートですので、紹介映像(男子)との誤謬が気になるのですが、読み手が様々に解釈できる点が良かったように感じました。
2位◆『色のなき風や ボカロのラブソング』 岩永徹也◎
「ボカロ」は「ボーカロイド」の省略らしく、この良し悪しの意見は分かれるが、周囲の若者は普通に使うようで、略語は許容できると判断した。「色なき風」は平安時代の和歌にも使われる古い季語だが、「の」を入れず、「色なき風」としっかり言うべき。「色なき風やボーカロイドのラブソング」でもあまり違和感はないが、添削なしも許容できる。新旧のものを合体させる意気込み・挑戦を認めたい。【本人談】秋の風は色のなき風と言われているらしくて、華やかさや艶っぽさがないらしい。その様子を自分が作曲している時に使うボーカロイド(の機械で)ラブソングを作るが、機械が歌ってくれる(*1)。スマホで鍵盤に歌詞を送信する。ボーカロイド(=ボカロ)に歌詞を送信すると、鍵盤を弾いた時に機械の声で再生される(*2)。ボカロで作曲をし、歌詞を歌ってくれるが機械の声のため、色っぽさや切なさは人が歌うよりも感じられず、「色のなき風」と取り合わせてみた(*3)。
*1
浜田 え?機械が歌ってくれるってどういうことなんですか?
*2
浜田 へぇ~。
藤本名人 見たことないですか。アニメのキャラとか。
篠田 AIみたいな。
向井 初音(はつね)ミクとか。
藤本名人 初音ミクって聞いたことないですか?
浜田 あ゛~もうええわ!分からへん(笑)。
ジュニア名人 諦めないで。
*3
梅沢永世名人 「色のなき風や」がどうも気になっている。
「色なき風や」とどうしてできなかったのか。世界の梅沢としては、「色なき風や」で良かったんじゃないか。それなら1位になれたのではないかと思う俳句。
藤本名人 いいですよね、これ。
「色のなき風」という殺風景な感じと、「ボカロ」って映像的にカラフルなイメージがある。その対比が面白いなと思った。色のなき風とボカロが。
梅沢永世名人 あ、そう。世界の梅沢ですよ(笑)。
向井 いや、自己紹介。
藤本名人 「ですよ」で威圧されても…。僕は良いと思ったんですよね。
梅沢永世名人 あ、そう。
夏井先生 「ボカロ」は分からないため調べたが、「ボーカロイド」が省略されていると。
省略の良し悪しの意見は分かれるが、周囲の若者は普通に使うようで、略語は許容できると判断した。
「
色なき風」は平安時代の和歌にも使われる古い季語。
季語の世界で秋のイメージカラーは白で「色なき風」となった。
おっちゃんと同じで、
「色のなき風」ではなく「色なき風」としっかり言ってほしいと凄く思う。
「
色なき風やボーカロイドのラブソング」でもあまり違和感はなかったはず。私的にはこの方が良いとだけ伝えておく。
新旧のものを合体させる意気込み・挑戦を認めたい。
浜田 2位ですからね。次行ける可能性十分ございます。
添削なし
現代的な「ボカロ」と古典的な「色なき風」を取り合わせた一句。作曲する岩永さんらしいオリジナリティあふれる挑戦的な発想です。浜田さんが本人の解説に質問を投げかけたのも印象的で、「ボーカロイド」がキーボードで演奏できるのも私は知りませんでした。「色のなき風」で定型のリズムに乗せたい意図を感じましたが、用法は確かに気になります。本人は、自然物と人工物との対比で詠み、先生は新旧の対比を褒め、藤本名人は派手な雰囲気の「ボカロ」と無機質な季語との対比に着目。個人的には「恋人」の意もある「色」と「ラブソング」という艶めかしさの対比を強く感じ、それと「ボカロ」を通して新時代の恋愛の在り方のような主張を述べたい意図もあるように感じました。
3位◆『秋の夜 「黒鍵のエチュード」に挑む』 篠田麻里子◎
「秋の夜」「黒鍵のエチュード」の2つを取り合わせで、しっとりとした響き合いを生んで良かった。ただ「黒鍵のエチュード」で9音あり、リズムが悪い。「黒鍵の」の5音から始めた方が得で、「夜」は「よ」と読ませる。この難しい曲を秋の夜・秋の夜長に一生懸命練習していることが時間と空間を表す「を」で言える。これが分かるようになれば勝負ができる。【本人談】ピアノをやっていたが、「黒鍵のエチュード」は右手が凄く動く難しい曲で、自分も幼少期(9歳)にこれを弾きたいと思い、一生懸命練習した記憶がある。この時期にどこかで頑張っている子がいるのではないかという思い出を。
藤本名人 「黒鍵のエチュード」持ってきたのは素晴らしい。
ただ「に」が散文的ではないかと思う。この前も(鈴木)光ちゃんも言ってたが、「に」が散文的と言って夏井先生に褒められてた。だから「に」が散文的かなぁ。
浜田 そのまま言うてるだけやないか。
夏井先生 「秋の夜(よる)」と「黒鍵のエチュード」の2つを取り合わせたことが、しっとりとした響き合いを生んでここは良かった。
ただ「黒鍵のエチュード」で9音もあり、その
構成が難しかったと思うのは分かる。
こういう時は、
「黒鍵の」の5音から始めた方が得。「エチュード」は中七に。
「夜」は「よる」ではなく「よ」と読ませる。「秋の夜に」の「に」は「
を」とする。フジモンさんの言う通り。
「秋の夜を挑む」とする。「を」は時間と空間をという意味になる。
この難しい曲を秋の夜・秋の夜長に一生懸命練習していることが「を」で言える。
これが分かるようになれば勝負ができる。
本人 凄く勉強になります。
添削後
『「黒鍵の エチュード」秋の 夜を挑む』
時候の季語に曲名を取り合わせた一句で、北山さんと同じような発想で挑んだ一句。「黒鍵のエチュード」もショパンの曲で激しい旋律が特徴的。9音ある固有名詞をどこに配置するかは悩みどころですが、散文的な語順が気になります。先生は丁寧に語りかけるように解説し、助詞「を」を用いて、季語が真剣にピアノを弾く人物を包み込むようなイメージを持つように添削しましたが、この「を」は初心者には中々使えない用法。一斉査定を1度受けている篠田さんですが、通常回にももっと呼ばれるべき人物です。これからの成長に期待したいですね。
4位◆『秋渇き ピアノに映る 二重顎』 皆藤愛子◎
季語「秋渇き」がマニアックで、食欲減退で夏痩せするが、秋に食欲が戻り、バクバク食べてしまうこと。この季語に挑戦した意欲は認めたいが、語順が違う。さらに、食欲が戻ったから二重顎になったという因果関係があるのも勿体ない。「二重顎」のアップから始めるべきで、季語は「秋」のみに託した方がずっと面白い。諸悪の根源「渇き」は消す。食欲の秋と芸術の秋を一緒にするため、「嗚呼」と声をあげる。二重顎に対して「あ~あ」という想いと、ピアノ弾きながら発声練習に入っている「嗚呼」と。二重顎という素材が滑稽だけで終わらない。【本人談】食欲の秋かつ芸術の秋で、食欲が止まらず、ピアノの前に座ったら自分の二重顎が綺麗に映ってたという句。<
藤本名人 これ最下位ですか。
浜田 はい、一応。
藤本名人 いい意味で
皆藤さんらしくない。面白い句だと思いますけど「二重顎」とか持ってくるとこがね~。
梅沢永世名人 あんた独身になってから美人に弱くなったんじゃない。
藤本名人 やかましいな(笑)。いいでしょ、独身やねんから。
梅沢永世名人 「二重顎」、これがいらなかった。そう、食欲の秋ですから、二重顎になるのは当たり前ですよ。私がそうですから。
藤本名人 当たり前ではないでしょ(笑)。みんながみんな、秋に二重顎にならないでしょ(笑)。
梅沢永世名人 フジモン、口の利き方に気を付けなさい。世界の梅沢…。
藤本名人 もうええわ!
浜田 もうええわ!
夏井先生 この句から「二重顎」を落としたら、作者の言いたいことが丸っきりなくなる。
梅沢永世名人 ごめんなさいね。
夏井先生 おっちゃん、これは無理。
季語「
秋渇き」がマニアック。
夏は食欲がなくなって夏痩せするが、秋に食欲が戻り、バクバク食べてしまうのが「秋渇き」と面白い季語。
この
季語に挑戦した意欲は認めたいが、
語順が違う。「二重顎」のアップから始めるべき。
さらに、「渇き」があるため、
食欲が戻ったから二重顎になったという因果関係があるのも勿体ない。
季語は
「秋」のみに託した方がずっと面白い。「二重顎映せる」とし、原因理由の諸悪の根源「渇き」は消す。
食欲の秋と芸術の秋を一緒にするため、声をあげて下さい。「
嗚呼(ああ)」。
本人 へえ~!
北山 (ぽっかり口を開いたまま)…。
向井 それはなかなか…。難しい。
二重顎に対して「あ~あ」という想いと、ピアノ弾きながら発声練習に入っている「嗚呼」と。
浜田 なるほど、凄いな。
夏井先生 これぐらいやると、二重顎という素材が滑稽だけで終わらない。
梅沢永世名人 洒落てるねぇ。
夏井先生 ここまでやれば勝負できた。
浜田 これはなかなか…。
ジュニア名人 これは無理ですよ。
浜田 「ピアノ嗚呼」ですよ。
本人 いや~凄いですね。タイトル戦だとやっぱりここまでレベル上げないと駄目ですね。
添削後
『二重顎 映せる秋の ピアノ嗚呼』
珍しい季語「秋渇き」とピアノに反射する「二重顎」を取り合わせた一句。皆藤さんも二重顎に悩まされるのですね。確かに滑稽な方向に出たのもビックリですが、「ピアノ」を出す必要性があるのか疑問で、季語との因果関係も気になります。先生は「嗚呼」を用いて、二重顎の自分のため息とピアノの発声練習の台詞を重ね、食欲の秋と芸術の秋を一緒に表現する形に。「ピアノ」の必然性を活かす添削を行い、名人らを驚かせましたが、最も驚いていたのは同じ添削を受け、自分でも使っていた北山さんでしょうか。梅沢名人の指摘も頓珍漢でしたが、美人に弱いのはご本人も一緒ではないでしょうか。
★次回は金秋戦予選・CDブロック。兼題は「ポンプのノズル」(アルコール消毒?)です。
3週連続の金秋戦が開幕。予選前半の兼題は音楽として初めてとなる「ピアノ」でした。様々な楽器が出ることを想定していましたが、経験者も多かったためか案外「ピアノ」に終始した印象。「ピアノ」を用いたのは3名で、「鍵盤図」「ボカロ」と異名が出るほか、曲名が2名、そして「アルト」と合唱祭の発想が1名という形に。
季語はやはり時候の季語が合わせやすく、全て異なるものの6名が「秋」を入れ、他も「色なき風」「休暇明」とやはり秋の季語。兼題が俗な「ピアノ」だけに光景描写が非常に難しい印象です。
ちなみにツイッターにあげた拙句は「紅葉かつ散る教員の音合はせ」で横尾名人と同じく合唱祭からの発想でした。
コメントもいただきましたが、今回出場しない東国原名人がタイトル戦にツイッターで言及していました。コロナ禍でタイトル戦の予定変更があったため、既に決まっていた講演会と日程が重なったのが欠場の主な理由のようです。個人的には、昨年の王者でありながらシードを獲れなかったため予選から2句詠まないといけない負担が大きく、厳しい制度に辟易としていたように感じていました。優勝賞金30万円と額縁の栄誉もそれなりに大きいでしょうが、タイトル戦最多優勝者としては対コストを天秤にかけると何か違う目標がないと参加しにくいのかもしれません。
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