2020年10月22日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は夏井先生講評の要約です。
挑戦者→レイザーラモンRG[2],市川猿之助[4],磯村勇斗[初],鷲見玲奈[2],白川裕二郎[初],皆藤愛子[20],梅沢富美男[112] ※数字は挑戦回数●お題:秋の電車
※番号クリックでリンク内移動します。
1 | 才能アリ1位70点 | レイザーラモンRG
| 寝見過ごす野山の錦にまず詫びろ | ねみすごすのやまのにしきにまずわびろ |
2 | 凡人2位68点 | 市川猿之助
| 蚯蚓鳴く駅舎に停まる母の車 | みみずなくえきしゃにとまるははのくるま |
3 | 凡人3位50点 | 磯村勇斗
| 恋紅葉眠るあなたへ辿り着く | こいもみじねむるあなたへたどりつく |
4 | 才能ナシ4位30点 | 鷲見玲奈
| 朝寒もコートつり革両手持ち | あさざむもこーとつりかわりょうてもち |
5 | 才能ナシ5位10点 | 白川裕二郎 (純烈) | 秋風がひやり染み入る冬近し | あきかぜがひやりしみいるふゆちかし |
6 | 2級へ1ランク昇格 | ●皆藤愛子
| 終電を待つ二の腕に蚊の名残 | しゅうでんをまつにのうでにかのなごり |
7 | 永世名人22句で掲載ボツ | ★梅沢富美男
| 芒散る雀色時つく列車 | すすきちるすずめいろどきつくれっしゃ |
→編集後記
→永世名人・梅沢富美男はここまで5回連続でボツ査定となっている。
玉巻アナ 先日(9/24)の3時間スペシャルでは鈴木光さんに(他流試合で)負けた句が掲載に値すると夏井先生に言われました。残りは28句です。
浜田 あ、あれは(句集に)載せれるんだ。
梅沢永世名人 あれは今までの中でもトップクラスの俳句ですよ。
浜田 でも負けてしまったじゃないですか?
梅沢永世名人 まあまあ…。なんで負けたのか未だに私は分かりません(笑)。
***
→歌舞伎俳優・市川猿之助は慶応義塾大学卒業。才能アリ1位2回獲得の特待生候補。銀座・歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」は11月1日~26日公開と宣伝。
浜田 今回、自信のほどは?
猿之助 いやいや、(1位席を指差して)あそこですよ。
浜田 まずは1位の席に座って…。
猿之助 あそこは当たり前。
浜田 特待生に近づくと。分かりました。
→ここで、レイザーラモンRGが猿之助が演じるドラマ『半沢直樹』(第2話)伊佐山部長のモノマネを披露する
RG 特待生になれなかったら~、(口パクをする)聞こえない? 詫びろ!詫びろ!詫びろ!詫びろ~!
一同 …。
浜田 はいっ、ありがとうございました(笑)。
猿之助 よく見てくれてる。
***
→レイザーラモンRGは立命館大学卒業の高学歴芸人。前回は「霜焼けの指を黄に染むネイルサロン」で才能ナシ最下位。色鉛筆査定に参加のHGとともに出演。
浜田 どうなんですか?
RG あの日から、俳句に悩まされる毎日。俳句のせいだ、全部俳句のせいだ。俳句俳句俳句、全部俳句のせいだ!
→『半沢直樹』第4話より伊佐山の「あんたのせいだ、あんたのした土下座のせいだ」をもじる
猿之助 よく覚えてる(笑)。よく観てくれてる。
浜田 そうですね。
RG むちゃくちゃ観ました。
浜田 細川(たかし)さんは捨てたの?
RG (頭のかつらを外し)いつでもいけます。
猿之助 載ってるだけなんだ?
***
→初登場の俳優・磯村勇斗はNHK連続テレビ小説「ひよっこ」や「今日から俺は!!劇場版」が代表作。
浜田 そうだよね~、「今日から俺は!!」の時(最凶ヤンキー役で)憎たらしかったもんね~。
磯村 ありがとうございます。
浜田 自分でも分かってた?めっちゃ憎たらしかった(笑)。 俳句ですけどどうでしょう。
磯村 詩人の役をやったことがあって。その時は「役にあった詩ができるまで、毎日詩を書け」って演出家さんに言われて毎日提出してたんです。
***
→純烈・白川裕二郎は初登場。前回才能ナシ最下位の小田井に続く2人目の俳句挑戦で、NHK紅白歌合戦に2年連続出場。
浜田 ここはちょっとあなた取り返してあげないと。
白川 そうですね。母親が学校の先生だったんですよ。だから母親のDNAをバンバン浴びてますので。
RG もし泥を塗ったら母親に、詫びろ!詫びろ!詫びろ~!
浜田 お前、エエのもろたなー(笑) いや、どこでも使えるやん。
***
★通常挑戦者のランキングシート分布は才能アリ1名、凡人・才能ナシが2名ずつ。
浜田 これ、久しぶりに酷くないですか。
梅沢永世名人 酷いですね。
***
浜田 3位まで入ってたら上等とするならまず才能ナシ4位開けましょう。
▼才能ナシ4位は元テレビ東京アナウンサー・鷲見(すみ)
***
浜田 これ1個上見ましょう。
▼凡人3位は磯村
磯村 おっす。
浜田 いいんじゃないでしょうか。初めてでね。
***
浜田 これは2位開けて1位と最下位残しましょう。
▼凡人2位は市川猿之助
→顔が固まってしまい動かない
梅沢永世名人 何したんすか?
浜田 2位の席へ。
梅沢永世名人 何したの?
HG え~。
鷲見 あれ~?
RG 伊佐山部長。
浜田 あ~、もうふてくされてるよ~。(直接2位の席へショートカットで足をまたぐ本人に)そっから行くんかい!
***
白川 もう勿論これは1位を目指すしかないですね。
浜田 自信あるね?
白川 自信ありますよ。
RG お前の負けー!(『半沢直樹』第3話より)
HG これはありえますよ。
猿之助 言ってる人が負けるからね(笑)。
HG とらないとね。
▼才能アリ1位はRG、才能ナシ最下位は白川
磯村 すごっ!
HG ええ~!?
猿之助 凄い凄い。
白川 うわ~。
***
RG あはははっ。
浜田 あははっ、腹立つ。
RG (ポケットに手を入れて移動しながら)クズは何をやってもクズだ!(『半沢直樹』第2話より)
一同 (笑)
猿之助 凄い。この並びも初めてだもん。
→2位の猿之助と2ショットになるよう、1位の下手側にRG、上手側にHGが座る
HG まさか偽物が高い位置にいるとはねぇ(笑)。
***
◆1位
才能アリ70点 レイザーラモンRG『寝見過ごす 野山の錦に まず詫びろ』◎
特殊なケース。「寝見過ごす」があまりにも強引。「野山の錦」は紅葉の様子を装飾化した季語で、全体のバランスが取りにくい。大袈裟に出て最後に命令形。うっかりと寝過ごして周囲に野山の錦が広がっており、寝過ごした自分を自嘲すると読める。下五が強烈な言葉だけに、残りも強烈な言葉を並べないとどれかの言葉が浮き上がる。作者は言葉のバランス感覚に富んでいる人。下手に直せないタイプの句。一同 (笑)
【本人談】寝ているから野山の錦を見過ごす。こんなに美しいのに寝ているなんて(『半沢直樹』第2話の伊佐山部長のモノマネで)「詫びろ!」×3 という気持ちで詠んだ。「まず詫びろ」をどこに入れるかから考えた。(1位は)奇跡。
猿之助 それで1位って凄いですね。
浜田 よう作ったな。
梅沢永世名人 何が何でも「詫びろ」を入れたかったと思う。
浜田 そうですね。
梅沢永世名人 これは、あんたしか考えられない。
本人 梅沢頭取、ありがとうございます(笑)。
夏井先生 特殊なケース。
「寝見過ごす」があまりにも強引で、この段階で才能ナシの句だと思った。
なぜわざわざこの言い方をするかと思うと「
野山の錦」とマニアックな季語が出る。
野山の草木が美しく色づいて紅葉した様を紅葉に見立てた言葉で、季語として使うのは物凄く難しい。
紅葉の様子を装飾化しており、全体のバランスが取りにくい。大袈裟に出て最後に「
まず詫びろ」と命令形。
“
うっかりと寝過ごして周りを見ると、野山の錦が広がっている。こんなに素晴らしい景色をなぜ私は寝過ごしたのだろう”と自嘲すると読める。
「まず詫びろ」が強烈な言葉だけに、
残りも大袈裟に強烈な言葉を並べないとどれかの言葉が浮き上がってしまう。
作者は言葉のバランス感覚に富んでいる人だと思った。
下手に直すとバラバラと崩れていくタイプの句で直せない。
本人 ありがとうございます。
添削なし
横暴な言葉並べが成功と解釈された一句で、よく才能アリ1位にされましたね。上五の強引な複合動詞、中七の字余り、そして下五のインパクトのある命令形と全体的に振り切っています。先生は自分の動作を省みる句と解釈しましたが、個人的には「詫びろ」とあるため、寝て過ごした人物に問いかける第三者的視点の句だと捉えました。季語を引き立てる工夫がなされたのは重要な評価ポイントに。ドラマのモノマネ要素を入れたのがウケたため、俳句版「くっきー!」さんのような路線で対抗可能かもしれませんが、失礼ながら旅情がある句には思いませんでした。
◆2位
凡人68点 市川猿之助『蚯蚓鳴く 駅舎に停まる 母の車』◎
「蚯蚓鳴く」は秋の夜に土中からジージー聞こえることで、実際には鳴かない蚯蚓による空想の季語で静けさを表現している。「駅舎」の場所、「母」という人物、「車」と道具立ては揃っている。下五を中七に持ってくる語順にすべき。「停まる」は自分が既に母の車に乗っていて駅舎に停まっているかと誤読させる可能性がある。母の車が待っているならそれを書くだけ。添削後なら1位だった。【本人談】地方都市へ行くと無人駅がある。電車がいなくなるとシーンとして虫の音がする。部活帰りの中学生が駅に帰るとバスがないため母親が車で迎えに来ている。それを見て、自分がその生徒だったらと(イメージして)いう句。
梅沢永世名人 惜しいね。
下五が字余りなんですよ。
本人 そうなんですよ。
梅沢永世名人 どうしても使うなら中七に入れて「母の車の駅なんちゃら」とか(笑)。
夏井先生 おっちゃん、偉い。あとは「なんちゃら」だけ解消できたら完璧。
季語「
蚯蚓(みみず)鳴く」は秋の夜に土中からジージー聞こえることで、土の中の蚯蚓が鳴いてるかのような空想の季語で、静けさを表現している季語。
「駅舎」の場所、「母」という人物、「車」という物と
道具立ては揃っている。
下五を中七に持ってくるだけで上手くいく。
浜田 語順が違うか。
夏井先生 その通り。
「停まる」は自分が既に母の車に乗っていて駅舎に停まっている(=往復が逆転)のかと誤読させる可能性がある。母の車が待っているならそれを書くだけで良かった。「
母の車の待つ駅舎」とする。
梅沢永世名人 良いね!
夏井先生 これやっていれば
今日は1位の句より上だった。
本人 だから時間をかけて考えないと駄目ですね。ごめんなさい、仕事が忙しくて(→右手で小銭を作る動作であくどい顔つきになる本人)。
一同 (笑)
添削後
『蚯蚓鳴く 母の車の 待つ駅舎』
実際には鳴かない「蚯蚓」を表現する空想の季語と、母の迎車と駅舎の光景とを取り合わせた一句。無人駅と言えば普通電車の数も少なくて大変旅情があり、「青春18きっぷ」を用いた旅行など読み手の想像を膨らませます。その点で、「蚯蚓鳴く」「駅舎」の取り合わせは成功していますが、「停まる」が不要だと判断できないと特待生昇格は厳しい所。送迎のどちらの場面かという指摘も重要でしたが、「母の車」とする点でどんな仕事をする地方の家庭なのか想像できる点は良いと思いました。
◆3位
凡人50点 磯村勇斗『恋紅葉 眠るあなたへ 辿り着く』◎
読んだときにムードだけで終わっている句。話では電車の中の見知らぬ女をじーっと見ていると。ストーカーみたいな話。「恋紅葉」と気取っている場合ではない。「窓」「電車に」と場所を書くべき。「君」は詩歌の世界では恋愛対象。じーっと見る動作を「見つむ」とする。これで言いたいことが美しい形で出てくるかもしれない。【本人談】電車に乗って窓には紅葉が流れていく中、眠っている女性は隙があって僕は大好き。それをふと見つけてしまい、この女性が目覚めるまで僕はずっと一緒に終着点まで行きたい。
浜田 なんかやらしい顔になってる。
皆藤 でもなんかすごくロマンチックな句だなと思ったんですが。
梅沢永世名人 格好いい言葉を並べただけ。演歌にこういう詞多いですよ。「…辿り~着~く~♪」
浜田 もうええわ!
夏井先生 おっちゃんと気が合う。
読んだときにムードだけで終わっている句。
話を聞いて、
電車の中の見知らぬ女をじーっと見ていると。ストーカーみたいな話。浜田 そうですよ、変態ですよ、コイツ。
本人 うそ~。
夏井先生 「
恋紅葉」と
気取っている場合ではなく、せめて「
窓紅葉」としたい。
「
電車に」と場所を書く。
音数の関係であなたではなく「
君」に。「君」は詩歌の世界では恋愛対象になる。
じーっと見ていることを「
見つむ」とする。
これで言いたいことが、美しい形で出てくるかもしれない。
浜田 君の説明じゃヤバイですよ(笑)。
本人 下心が凄く出ました。失礼しました。
添削後
『窓紅葉 電車に眠る 君見つむ』
紅葉の季語とムードの良い言葉を取り合わせただけで、凡人50点は甘い評価に思う一句。紅葉のある光景の中、眠るあなたへ少しずつ近づいて行ったストーカーとしか読めず、電車に乗った見知らぬ男女が降車駅まで着いていくとは読めません。語ったことを句にするなら、違う表現にすべきでした。番組当初から多い傾向の恋愛句ではありますが、「恋紅葉」と季語に名詞をつける手法を初心者は好むのでしょうか。名詞を畳みかける手法の一つかもしれませんが、推敲を重ねたい句材でもう一ひねり欲しい所でした。
◆4位
才能ナシ30点 鷲見玲奈『朝寒も コートつり革 両手持ち』◎
「朝寒」は晩秋、「コート」は冬の季語で季重なり。「朝寒はコート」でコートを着ており、後半はつり革を両手で持つ意味に解釈する読み手が多く、コートとつり革を片手ずつで持つ意味にならない。季語「朝寒」は捨て、「両手持ち」と悠長に言っている場合ではない。「左手」「右手」で持つ者を書く。さっきまで着ていたコートを車内で暑くなって脱いだと読んでくれる。【本人談】寒くなってきた時期にコートを着ていくが、電車に乗ったら暖房が効いていて暑いと思い、コートを脱いで片手に持ち、つり革は反対の手で持つ。両手で持って(使って)いる。
梅沢永世名人 もう一回俳句を勉強しなさい。
「朝寒」も「コート」も季語なのよ。
朝寒くてコート着てつり革に両手で「ウ~」と掴まっているようにしか読めない。分からなかったらおじさんに電話しなさい(笑)。
浜田 なんでやねん!
夏井先生 おっちゃんがこの句の大事な所を全て言ってくれた。
「朝寒」は晩秋の季語、「コート」は冬の季語で季重なりが絶対ダメではないが、
基本的には季語1つから練習した方が良い。
もっと問題なのは、
「朝寒はコート」の段階でコートを着ていると読み手の脳は思う。
そのため、後半はつり革を両手で持つ意味に解釈する。
季語「朝寒」は捨てるべき。本人がしたポーズをそのまま俳句に書く。
「両手持ち」と悠長に言っている場合ではない。「
左手」「
右手」と書く。
さっきまで着ていたコートを車内で暑くなって脱いだと読んでくれる。
本人 言いたいことが全部伝わるなあと思いました。
添削後
『左手につり革 右手にはコート』
季重なりに加え、意味が読み取りにくい初心者らしい一句。言葉を操るアナウンサーにしては恥ずかしい失敗で、「コート」が季語だと知らなかったのでしょうし、「つり革」は握るもので「両手持ち」の表現にも違和感があります。電車内の女性の動作として共感を得やすい場面ではありましたが、この句は季語+「も」の用法が罪深く、本人は寒く無い時期で「も」両手持ちでカバンや衣類を持つ状況を表現したかったと思いますが、夏でもコートを着るのかと誤解を受ける表現に。季語も「寒」「コート」は呼応するため片方に絞らないといけません。本人のポーズから大幅に添削されてしまいましたが、一瞬を切り取ることに集中して詠むしかありません。
◆最下位
才能ナシ10点 白川裕二郎(純烈)『秋風が ひやり染み入る 冬近し』◎
「秋風」が吹いたら「ひやり」とするもの。「冬」が近くなったら身に「しみ入る」もので、中七は全部要らない。「冬近し」は「秋」で重なっているため、「秋」も不要。「冬近き風」の7音で17音使ったことが言える。「冬近き風や」として後半は何でも書ける。あとは自分でやんなさい。【本人談】電車に乗っていると秋の風がヒヤリ入ってきて、頬に伝わって冬が近いんだなと感じて読んだ詩。
梅沢永世名人 ふざけた俳句ですよ。
「秋」も「冬」も季語だからね。「これから冬が来ますよ」を俳句で言ってるだけだから(笑)。
夏井先生 おっちゃんの言う通り。
「秋風」が吹いたら「ひやり」とするもの。
「冬」が近くなったら身に「しみ入る」もの。中七は全部要らない。
さらに、
「冬近し」は「秋」で重なっている。「秋」なんかいらない。「が」もいらない。
「
冬近き風」の7音であんたが17音使ったことが言える。
「冬近き風や」として
後半は何でも書ける。コロナ(ウイルス)の影響で公演が中止になったことなど、そういう日常。
あとは自分でやんなさい(笑)。
猿之助 直してもくれない。
浜田 そらそうや、全部消されたやないか。
本人 全国のマダム、きっとこれ見てくれてると思うんですよ。また、俳句全集とか大量に送られてくると思うんで。
添削後
『冬近き風や 公演なお中止』
「秋風」「冬近し」と映像のない季語2つに加え、内容がほとんどないに等しい一句です。個人的に気になったのは先生が添削した「冬近き風」ですが、季語「冬近し」を連体形として続ける用法は中級者以上の手法で中々難しいと感じました。秋風を指す「色なき風」という季語もありますので、慣れている方はすぐに使えるのかもしれません。とはいえ、俳句本が大量に送られることになりそうな純烈メンバーで、奮起してもらいたいところです。
★特待生昇格試験★◆『終電を 待つ二の腕に 蚊の名残』 皆藤愛子◎
季語は秋に出る蚊を刺す「秋の蚊」の傍題。「名残」が非常に印象を集めがちで、残りのフレーズとのバランスが難しい。前半「終電を待つ」で場所・状況・人物が出る。「二の腕に」にクローズアップの映像になる展開はよく考えている。「名残」を浮き上がらせないために、「終」「待つ」と名残のイメージに近い物が少しずつ混ざり、難しい季語が上手に浮き上がらないよう、一句の中に調和している。【本人談】少し涼しくなったホームで待っていると、急に二の腕が痒くなっていたので見たら見事に蚊に刺されていたという句。
梅沢永世名人 良い俳句ですね。分かります、これ読んだだけで。秋になったのにまだ蚊の痕が残ってるって。なかなか良い句です。
★評価ポイント季語「蚊の名残」を選んだ是非
■査定結果2級へ
1ランク昇格理由:調和させる工夫!
本人 (ガッツポーズで)あ~、やった~。嬉しい。ありがとうございます。
夏井先生 「蚊」ではなく、「
蚊の名残」が全て季語になる。秋に出る蚊を刺す「秋の蚊」の傍題。
この季語も難しく、
「名残」が非常に印象を集めがちで、残りのフレーズとバランスをとるのが難しい。
前半「
終電を待つ」で場所・状況・人物が出る。「
二の腕に」にクローズアップの映像になる。
この展開もよく考えている。
「名残」を浮き上がらせないために、
「終」「待つ」と名残のイメージに近い物が少しずつ混ざっている。
これにより、難しい季語が上手に浮き上がらず、
一句の中に調和している。直しは不要。
本人 ありがとうございます。
添削なし
自分の状況を示した前半のフレーズに「秋の蚊」の傍題である季語を取り合わせた一句。東京・名古屋での仕事が多いアナウンサーだけに「終電」も利用されているのかもしれません。「二の腕」「名残」で実際に刺された痕があり、蚊の活動する時間帯である宵の時期から「終電」までだいぶ時間があるので、いつの間にか刺されたことに気付くという感じでしょうか。以前も「ががんぼのゆくえ目で追う女子トイレ」「別れ蚊を払う一人の 台所」など蚊を題材にした句を詠んでいる皆藤さん。人一倍蚊への思いが強いのかもしれません。
★永世名人 富美男のお手本★梅沢永世名人 今回は自信あります。
猿之助 先輩、
句集出すと大体みんな死んじゃいますから。やめて下さい(→浜田に腕を払われる)。
梅沢永世名人 失礼な。
***
玉巻アナ SNSでは梅沢さんのボツを観るようになってから、「
仕事中にシュレッダーをかけると頭の中でエレクトリカルパレードが再生される」(会社員・#シュレッダー梅沢)といった投稿も見られるほど、皆さん楽しみにされていらっしゃいます。
浜田 凄いじゃないですか。浸透してますね。
梅沢永世名人 お手紙にも書いてあるんです。
浜田 あの音楽流れてくるって?
玉巻アナ はい。
梅沢永世名人 「会社の中でボツにしてくれる」って(笑)。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 今日はボツはありませんから。今日はビックリしますよ、なっちゃんも。
[永世名人のお手本披露]◆『芒散る 雀色時 つく列車』 梅沢富美男◎
素材が良く、「雀色時」の言葉を見つけた点に感心した。季語の後に「雀」が出るため、ススキに雀が群れていると読み手は一瞬思う語順が勿体ない。助詞「を」を入れて語順を変えるだけ。夕暮れの空が映り、「を」でその時間と空間を列車があり、「や」で列車の様子を想像させる。最後にススキのアップで終わり、季語が主役に立つ。ススキを前にして、夕暮れの空と列車の姿が遠景として残る。直して良い俳句だと今思っている。【本人談】ススキの穂が段々と白くなってサラッとした風でパーッと散っていく。「雀色時」は芝居の台詞の言葉で、空が雀の羽の色に染まる夕暮れの少し前の頃。それで「つく列車」。
本人 もしもこれをボツにしたらなっちゃん。
「詫びろ~!」×4、詫びろ~夏井ー!(笑)
■査定結果永世名人22句で掲載
ボツ理由:(今日も)語順が違う
猿之助 厳しい、厳しいね。
本人 また語順か。
夏井先生 本当に
語順がもったいない。
素材が良い。
「雀色時」の言葉をよく見つけたと感心してたら芝居の世界では普通に使うと。それは素晴らしい。
何で
語順(のミス)に気付かないのかと強く思う。
この語順では、
季語の後に「雀」が出るため、ススキに雀が群れていると読み手は一瞬思う。
「雀色時」から始め、助詞「を」を入れて語順を変えるだけ。
夕暮れの空のみが映り、「を」でその時間と空間を表す。「列車や」で
列車が走っているか、ホームについたか、これから出発するかと色々と思う。
最後にススキのアップで終わり、
季語が主役に立つ。
ススキを前にして、夕暮れの空と列車の姿が遠景として残る。
直して良い俳句だと今思っている。
本人 確かにクラスは上がってますよ。でもね、なっちゃん。
私は!俳句を詠むCMを断ってんだよ!浜田 さぁ、それではね…。
添削後
『雀色時を列車や 芒散る』
ススキの尾花が散る様子を指す季語に、列車と空の光景を取り合わせた情緒ある一句です。読まれた瞬間に梅沢御大らしい雰囲気を感じ、永世名人らしく上五・中七・下五に異なる光景を入れ、お芝居用語までもって比喩してきました。しかし、「つく列車」が蛇足に思う語順となり、「散る」「時」「つく」と時間経過を表す言葉が鬱陶しいのも気になりました。添削後は大きな一枚絵が想像できる形になりましたね。前回の他流試合敗北句も「秋の飴色」と同じように色を用いていた御大。ボツ査定6連続はいただけませんが、金秋戦後に奮起できるでしょうか。
浜田 永世名人の(駄)句を残すわけにいかないので。
RG いけません。
浜田 申し訳ない。世に残さないように、いきましょう。せぇーの、ドン(→赤ボタンを押す)。
→♪エレクトリカルパレード ともに俳句がシュレッダーにかけられ、手拍子でそれを見守る出演者
※ボツの俳句は永世名人の名誉のため無かったことにRG 証拠は隠滅しました。
浜田 世に残せないですから。
RG 金融庁の黒崎(『半沢直樹』の片岡愛之助の役)でも見つけられない。
浜田 永世名人、次回頑張って掲載されるようにしてください。
梅沢永世名人 私ね、色んなお仕事を頂戴するんです。「俳句の番組に出てくれませんか?」と。それが何と、俳句を使ったCM(のオファー)が来たんですよ。全部断りました。
浜田 何でですの?
梅沢永世名人 俳句はこの番組でしかやらないと心に決めてるんです。その気持ちも分からないで、お前ら(→スタッフ)ホントに。えっ?もうちょっと弁当も良いの出せ!バカ野郎!(笑)
★句集完成まであと28作
※次回は秋のタイトル戦・金秋戦開幕。兼題と参加者は以下の通りです。
色鉛筆のコーナー後、兼題は「秋の電車」と抽象的な兼題で、京王線と思われる車内の画像をハメ込み合成し、若い女性が顔を上げて寝ている写真。昨年は「京都叡山電鉄と紅葉」と具体的な兼題だっただけに、発想力が勝負を決した印象でした。
ちなみに、ツイッターにあげた私の句は「秋闌(た)くる0番線の昏(くら)さかな」でした(山形・酒田駅に降りると0番線があり、案内板は自己主張しているが、電車が来ないホームがより暗くなったことに秋の深さを感じたという句)。
さて、コーナー冒頭で梅沢御大の他流試合敗北句が句集の22句目として掲載決定されるという発表があり、ネットでも賛否両論ありましたね。個人的に賛同はできず、勝って決めてほしかった印象が強いですが、毎回厳しいプレッシャーの中で句を全国公開する姿勢を讃えないといけないのも事実。まだまだ発売までは時間もかかりそうですから、仕方ない判断かもしれません。
また、タイトル戦で以前も語っていましたが、この番組以外では俳句を詠まない・全てのオファーを断るというスタンスは夏井先生を本当に師と信頼している証拠ですから、これからも貫いてほしいと思う次第であります。
いよいよ、次回から金秋戦開幕です。今回も4ブロックによる予選で、1位4名と2位の中から上位1名の合計5名が決勝に進出できる形式という厳しい戦いです。C・Dブロックには千賀名人・村上10段も出演しますが、東国原名人は出場するのか? という点にも動向が集まっています。
<追記>東国原名人は今回出場しないことが月刊誌より判明しました。
※コメント欄にて当ブログの「当方」の用法が間違っている(一人称では用いない)というご指摘を頂きました。以後、気を付けてまいります。<追記>一人称ではあるが、自分一人を指す言葉ではないとご指摘を頂きました。ありがとうございます。
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