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20201015 プレバト!!俳句紹介【トランプ】

2020年10月15日放送 プレバト!! 特待生候補者集結スペシャル
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は夏井先生講評の要約です。

挑戦者→向井慧[11],橋本良亮[8],上田彩瑛[2],福田麻貴[2],本田望結[2],河合郁人[15],中田喜子[41] ※数字は挑戦回数

●お題:トランプ
トランプの兼題
※ボードゲームの売り上げが昨年比6倍になっているそうです。

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位72点向井慧
(パンサー)
秋あわれ手札のJ無愛想あきあわれてふだのじゃっくぶあいそう
2才能アリ2位71点橋本良亮
(A.B.C-Z)
合宿の夜長やババ抜き三連敗がっしゅくのよながやばばぬきさんれんぱい
3才能アリ3位70点上田彩瑛
台風の羽田ババ抜き百回戦たいふうのはねだばばぬきひゃっかいせん
4凡人4位60点福田麻貴
(3時のヒロイン)
稲妻や揺るる手札に鬼一ついなづまやゆるるてふだにおにひとつ
5才能ナシ5位30点本田望結
稲光ババ引いたパパハハの笑みいなびかりばばひいたぱぱははのえみ
64級で現状維持河合郁人
(A.B.C-Z)
夜更かしの林檎や祖母と七並べよふかしのりんごやそぼとしちならべ
7名人5段へ1ランク昇格中田喜子
虫の闇ジョーカーの影動きをりむしのやみじょーかーのかげうごきおり
→編集後記





●それでは順位別に見ていきます

◆1位 才能アリ72点 向井慧(パンサー)
秋あわれ 手札のJ 無愛想
とても上手く作れていて、中七以降が上手い。「J」は「手札」で「ジャック」と読ませるのは読み手が見つけてくれ、作者が投げたボールを受け止めた喜びも生まれる。最後に「無愛想」の顔の表情にくる焦点の絞り方も良い。「無愛想」までいくと「あわれ」がそんなにベタつかない。ポーカーか何かをやる人たちのポーカーフェイスも「無愛想」に入る感じで、言葉のバランスをよく考えて作った。学ぶ心を持ってるなら、特待生でもやっていける。

【本人談】
トランプの絵札(JQK)の表情は何を考えているか分からない顔をしていると昔から思う。秋の感傷的な時季にその表情を見ると、ジャックまで自分(=作者)のことを何とも思ってないような悲しい・寂しい気持ちになる。

中田名人 手札の「J」と書いたのがカッコいい。さすがに、向井さんの俳句の師匠は(ピース)又吉さんなんですよ。
本人 それ、やめてもらっていいですか?(笑) ずっとゴーストライター疑惑で。抜けないんですよ。

夏井先生 
とても上手く作れている。中七以降が上手い
「J」は「ジェイ」と思う人も当然いるが、「手札」とあるため「ジャック」と読ませるのは読み手が見つけてくれ、作者が投げた謎々のボールを受け止めた喜びも逆に生まれる
無愛想」も画面がアップになる効果を演出し、顔の表情に最後に焦点が当たり、焦点の絞り方も良い
「無愛想」までいくと「あわれ」がそんなにベタつかない
ポーカーか何かをやる人たちのポーカーフェイスも「無愛想」に入りそうな感じ。
言葉のバランスをよく考えて作った。直しはいらない。

浜田 向井はもう1回見て判断しますか?
本人 ちょっと何…。もう10回やってるんですよ(笑)。
浜田 いや、先生に聞いてみないと。どうしましょうか。
夏井先生 あなたのその学ぶ心を持ってるなら、特待生でもやっていけると思う。
浜田 え!?いいんですか!?
本人 そんなのありました?浜田さんのところでオーディションないでしょ。
浜田 向井、特待生~!
本人 嬉しい~!

添削なし
◆特待生昇格句


◆2位 才能アリ71点 橋本良亮(A.B.C-Z)
合宿の 夜長やババ抜き 三連敗
句またがりを使えている。作者を見てビックリ。「合宿」の言葉の経済効率が良く、スポーツかブラスバンドかの集団かと色んな合宿を想像できる。「夜長」を「や」で強調しての展開。「敗」の字の効果があり、負ける人もいれば勝った人もいる上、囃し立てる仲間もいる。「合宿」の言葉の効果。兼題写真から「ババ抜き」で戦う発想の根っこに凡人らしさが残り、残りの展開で才能アリに引き上げている。今後の成長が約束されているが、もう1回だけ見せてほしい。

【本人談】
ジャニーズ事務所に昔は合宿所があった。合宿所のTOKIOはワイルドなため、夜中までババ抜きをするイメージがある。先輩の城島さんが3連敗して「アーッ!」って言うのをイメージした。

向井 城島さんの句なの?
本人 ちょっとイメージしながら。先輩をイメージしながら。
河合 凄いですね、こんなに詠めるようになったんですね。
本人 俺、頑張ったもん。

夏井先生 
句またがりを使えている。作者が分かってよく勉強したと思う。ビックリ。
合宿」の言葉の経済効率が良い。複数人と分かり、スポーツかブラスバンドかの集団かと色んな合宿を想像できる
秋の季語「夜長」が出て「や」で強調してからの展開。
「敗」の字の効果もある負ける人もいれば勝った人もいる上、周りを囃し立てる仲間もいる。「合宿」の言葉の効果。
これはよく勉強した。ビックリする。直しはいらない。

浜田 さあ、特待生はどうでしょうか?
夏井先生 2位・3位お互いに少し不幸だが、兼題写真から「ババ抜き」で戦う発想の根っこに凡人らしさが残る。残りの展開で才能アリに引き上げている。2人とも今後の成長がかなり約束されている。もう1回だけ見せてほしい

添削なし


◆3位 才能アリ70点 上田彩瑛
台風の 羽田ババ抜き 百回戦
作者が分かって驚きしかなく、勉強したのを強く褒めたい。季語が活きており、「の」の助詞で地名に繋がれ、場所・状況・人が見えてくる。説明せずに名詞を畳みかけて現場の状況を描いた。「百」の数詞は詩歌の世界では「とても沢山」の意味もある。足止めされて一晩やっていたのかと読んだ。勉強して吸収する姿勢はとても良く分かったため、もう1回でどれだけ吸収するか見たい。

【本人談】
高校の修学旅行で、台風が来て伊丹の空港から北海道に行く予定だったが、急遽羽田経由のルートに変わった。羽田で飛ぶはずの飛行機が全然来ないため、みんなでずっと(ロビーの待合席で)ババ抜きをした。結局24時間かけて北海道まで行った。

中田名人 「台風の羽田」で足止めされているのがよく分かる句。

夏井先生 
作者が分かって驚きしかない。よくここまで勉強したのをまず強く褒めたい。
台風」の季語が活きている。「の」の助詞で地名「羽田」に繋がれ、場所・状況・人が見えてくる
説明せずに名詞を畳みかけて現場の状況を描くのはよく出来ている。
」の数詞は本当に100回ではなく、詩歌の世界では「とても沢山」の意味もある。足止めされて一晩やっていたのかと読んだ。
作者が分かったことの驚きに動揺した。直しはいらない。
この人の勉強して吸収する姿勢はとても良く分かったので、もう1回見せてもらってどれだけ吸収するか見たい

本人 前回が35点で丁度2倍になってるので、これからも伸び率で勝負したいかなと。

添削なし


◆4位 凡人60点 福田麻貴(3時のヒロイン)
稲妻や 揺るる手札に 鬼一つ
「手札に鬼一つ」の言い方はとても上手く、「手札」でトランプなどの持ち札がクローズアップされ、「鬼一つ」でジョーカーがいるに違いないと伝わる。この辺りは才能の片鱗がある。「揺るる」は不要で、「稲妻」と後半の取り合わせだけで、揺れる心や祈る思いのようなものは入る。3音を季語の描写に使う。「の卓」でテーブルを出せば、テーブルに稲妻が光った後、映像が切り替わって手札に行く展開で、緊張感も出てくる。

【本人談】
恥ずかしい。こんな気取った句で凡人は恥ずい。季語「稲妻」を調べた。稲光だけでなく、稲妻が光ったら稲が実ると言われている。祈りの気持ちも込めて「ババを引け」(鬼引き)と思っているババ(=ジョーカー)に稲光が当たっていることを表現した。

中田名人 残念ですね。「揺るる」がいけなかった。これを変えればよい。

夏井先生 
名人のおっしゃる通りでさすが。見た瞬間に直すべきところが光って見えている。
手札に鬼一つ」の言い方はとても上手い
「手札」でトランプなどの持ち札がクローズアップされたと分かり、「鬼一つ」でジョーカーがいるに違いないと伝わる。この辺りは才能の片鱗がある。
何より「揺るる」は不要で、「稲妻」と後半「手札に鬼一つ」を取り合わせるだけで、揺れる心や祈る思いのようなものは入る
「揺るる」の3音を季語の描写に使う。「の卓」でテーブルを出す。テーブルに稲妻が光っている。
映像が切り替わって手札に行く展開で、緊張感も出てくる。

本人 あとは向井さんが最下位だったら「まあいいか」という感じですね。
向井 そこだよね。俺も強めに行きたいんですけど、まだ最下位の可能性があるから、いけないんですよ(笑)。

添削後
稲妻 や手札に 鬼一つ


◆最下位 才能ナシ30点 本田望結
稲光 ババ引いたパパ ハハの笑み
「ババ」「パパ」「ハハ」の意図や企みは分かるが、言葉遊びをした上で、詩の部分が欲しい。さらに、「稲光」は季語ではなく、たまたま稲光がしていた感じで日記のお天気欄のよう。作者が語ったことをそのまま書いた方が詩が生まれる。母の笑みが大事で、字余りになるが「ジョーカー」「引かせた」と書く。「母」と漢字にし、最後にニンマリした顔を想像させる。

【本人談】
説明する勇気が…(笑)。ババ抜きを覚えた小さい頃、兄弟はみんな手札がなくなり先に上がって、父と母の一騎打ちになった。父が母のババを引いた時、母がニンマリとした顔を浮かべた。

浜田 悪いオカンの画やな(笑)。

夏井先生 
やりたい気持ち・企みは分かる。
言葉遊びをした上で、詩になっている部分が欲しい。詩の部分が少し足りてない「ババ」「パパ」「ハハ」と特に片仮名で書く流れは、本人の意思・企みは読み手に伝わるが、それ以上のものになりにくい。
「稲光」は季語ではなく、たまたま稲光がしていたという日記のお天気欄の感じになってしまった。
作者が語ったことをそのまま書いた方が詩が生まれる。
「ババ」は「ジョーカー」と書く。パパが引いたことより、母の笑みが大事。
浜田 「引かせた」。
夏井先生 その通り。誰かが言ったそれです。
向井 凄い、浜田さん。
夏井先生 「ジョーカー引かせた」で字余りになるがそれを書く。
最後の「母」もしっかり漢字にし、最後にニンマリした顔を想像させる。

本人 あ~、家に帰りたくないですね(笑)
浜田 どういうことや、あははっ。気持ちがどうなってんねん、今。
河合 「家に帰りたくない」。

添削後
稲光 た の笑み


★特待生昇格試験★

玉巻アナ 実家のお母さまからも句を褒める長文のLINEが届いたそうです。
浜田 そうなんや、オカンに褒められたん。
河合 信じられないくらい、母親が褒めてくれるんですよ。
浜田 まあ、親は言うよね。
河合 褒められて褒められてここまで来たので。

◆『夜更かしの 林檎や祖母と 七並べ 河合郁人(A.B.C-Z)
「夜更かしの林檎」でただの林檎ではなく、何かの理由で夜更かしして夜食に出てきた赤の印象が良い。「や」で季語を強調するのも勉強している。しかし、林檎を押し出した「や」の後に七並べが出る展開のため、語順を逆にする。「七並べ」を先に出し、最後に「林檎」を出した方が季語が主役になる。さらに、「七並べ」のカードの色が最後に主張された語順では勿体ない。語ったように、「おばあちゃん」「トランプ」で良く、最後に「林檎」がポッと出てくる。

【本人談】
昔よくおばあちゃんが林檎を持って遊びに来た。祖母が来たときは特別に夜遅くまで起きて、一緒に林檎を食べて(七並べをして)遊んでいたという思い出を。

★評価ポイント
下五「七並べ」を選んだ是非

本人 うわ~、ちょっと怖いな。

■査定結果
4級で現状維持

理由:季語を主役に!

本人 くそっ。あ~、なるほど。

夏井先生 
夜更かしの林檎」でただの林檎ではなく、何かの理由で夜更かしして夜食に出てきた赤の印象が良い
「や」で季語を強調するのも勉強しているのも分かる。
しかし、林檎を押し出した「や」の後に七並べが出る展開になっている。語順が逆
「七並べ」を先に出し、最後に「林檎」を出した方がずっと主役になる。
さらに、季語の「林檎」が活きることが大事だが、「七並べ」のカードの赤・黒の色を最後に鮮明に出さない方が、季語が活きる。
語ったように、「おばあちゃん」と素直に書き、「トランプ」で良い。
「夜更かしの林檎」と名詞で止まる。最後に「林檎」がポッと出てくる。これなら良い。

本人 これですよね~。

添削後
 夜更かしの林檎

中田名人 横尾さんが名人6段になったので、追いつかないと。
浜田 中田さん、5段行きましょうよ。ドーっと。
中田名人 行きましょう!
浜田 顔の寄りだけはずっと押さえてますから(笑)。
***
浜田 今日もちょっとドンと上がっていただいて。
中田名人 ですね!
浜田 ダブルピース?(笑)

◆『虫の闇 ジョーカーの影 動きをり 中田喜子
何気なく書いてあるが、とても丁寧に構成された。季語「虫の闇」で暗闇の静けさの中で虫の声だけが聞こえてくる。「ジョーカー」で今トランプをしているかと思うと「の影」と展開。先ほどまでトランプをしていて「ジョーカー」が何かの比喩的な象徴で、心の不安やおののきを象徴したかと思わせる。悩んだと思うのが下五の着地で、何か動いたような気がすると言い切ることで、比喩的な象徴が読み手の心に動いて入ってくる感じ。読み終わると、もう1回「虫の闇」をジッと目を凝らす働きもある。再度季語を押し出すことが出来る。

【本人談】
トランプゲームが終わり、部屋の明かりを消すと虫の音が鮮明に聴こえてくる。ふと何か動いた気配がして、ひょっとして「ジョーカー」?って感じの句を作った。

浜田 めっちゃお芝居してた今(笑)。

★評価ポイント
下五「動きをり」の是非

■査定結果
名人5段へ1ランク昇格

理由:季語を活かす配慮!

本人 あ~、嬉しい。ありがとうございます。

夏井先生 
何気なく書いてあるように見えるが、とても丁寧に構成されている
季語「虫の闇」は暗闇に虫の声だけが聞こえ、一層暗く感じられること。静けさの中で虫の声が聞こえてくる。
ジョーカー」が出ると、今トランプをしているかと思うと「の影」と展開する。先ほどまでトランプをしていて「ジョーカー」が何かの”比喩的な象徴”で、心の不安やおののきを象徴したのかもしれないと思わせる。
悩んだと思うのが下五の着地で、難しい。「動きをり」と何か動いたような気がすると言い切ることで、比喩的な象徴が読み手の心の中に動いて入ってくる感じ。
ここで終わることで読み終わると、もう1回「虫の闇」をジッと目を凝らす働きもある。
再度季語を活かす・押し出すことが名人はこれが出来る。直しはいらない。

本人 嬉しいです~、浜田さ~ん(笑)。

添削なし




◆着流きるお氏の俳句査定が出ました。
※当方の俳句査定結果はこちらです。

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