2020年8月6日放送 プレバト!! 俳句炎帝戦決勝戦結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
夏の季節に行われる第4回
炎帝戦・決勝戦で名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
◎は夏井先生講評の要約です。→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細 →編集後記⇒
予選A・Bブロック記事⇒
予選C・Dブロック記事※過去のタイトル戦結果などは
こちらまたはブログカテゴリからどうぞ。
挑戦者:東国原英夫[59],藤本敏史(FUJIWARA)[58],中田喜子[40],岩永徹也[20],千原ジュニア[50],村上健志(フルーツポンチ)[48],千賀健永(Kis-My-Ft2)[39],三遊亭円楽[18],立川志らく[36],梅沢富美男[104] ※[数字]は挑戦回数見届け人:なし◆決勝参加者(10名)の段位一覧 | 決勝進出 | 予選免除 |
永世名人 |
| 梅沢 |
名人10段 | 村上 | 東国原 藤本 |
名人4段 | | 中田 |
名人3段 | 志らく | |
名人2段 | 千賀 | |
名人初段 | ジュニア | |
1級 | 円楽 | |
2級 | | 岩永 |
◆放送予定まとめ炎 帝 戦 | 放送日 | 兼 題 |
予選A・Bブロック | 7/23 | 封 筒 |
予選C・Dブロック | 7/30 | アイスクリーム売り場 |
決勝戦 | 8/6 | ポイントカード |
●お題:ポイントカード

※4位までが次回シード権獲得※順位クリックでリンク内移動します。
1位 | 藤本敏史(FUJIWARA) | 名人10段 | ラジオ体操おおおなもみのある空地 | らじおたいそうおおおなもみのあるあきち |
2位 | 立川志らく | 名人3段 | 炎天のミミズ診察券のシミ | えんてんのみみずしんさつけんのしみ |
3位 | 三遊亭円楽 | 1級 | サングラス外して探すカードかな | さんぐらすはずしてさがすかーどかな |
4位 | 梅沢富美男 | 永世名人 | 行合の空の御朱印めぐりかな | ゆきあいのそらのごしゅいんめぐりかな |
5位 | 村上健志(フルーツポンチ) | 名人10段★2 | 蛾の骸ポイントカードで掬いけり | がのむくろぽいんとかーどですくいけり |
6位 | 東国原英夫 | 名人10段★3 | ポイントでもらひし蛍なほいきる | ぽいんとでもらいしほたるなおいきる |
7位 | 千原ジュニア | 名人初段 | 消しゴムに彫刻刀の彫る花火 | けしごむにちょうこくとうのほるはなび |
8位 | 中田喜子 | 名人4段 | 早桃の香支援の客の食事券 | さもものかしえんのきゃくのしょくじけん |
9位 | 岩永徹也 | 2級 | 花は葉に彼女は妻にそして母に | はなははにかのじょはつまにそしてははに |
最下位 | 千賀健永(Kis-My-Ft2) | 名人2段 | ラジオ体操歯抜けの判や夏深し | らじおたいそうはぬけのはんやなつふかし |
順位発表順:5位→6位→7位→3位→2位→9位→最下位→4位→8位→1位★発表待ちシートに10名が3段に分かれて着席。最も高い段に、梅沢・東・村上。2段目に志らく・千賀・ジュニア・円楽。最前列に藤本・中田・岩永。それぞれL字型のアクリル板で仕切られている。また、ランキングシートは10名席に1名ずつ着席し、それぞれアクリル板で仕切られている。
[トーク集](各クリックを)
夏井先生 非常にレベルが拮抗していて、誰が優勝してもおかしくない。
梅沢永世名人 私今回攻めたんです。夏井先生にチャレンジしたんです。この番組は俺で持ってるんだ!
東国原名人 実力は僕の方が上だということを…。
夏井先生 残念でした。
志らく名人 下剋上ですから。
千賀名人 ジャニーズ事務所を背負って。
浜田 優勝者は皆さんあちらですよ。(肖像画)が1年間飾られるということになっております。
***
→
永世名人・梅沢富美男は2年前の炎帝戦覇者。前回春光戦は最下位だったが、永世名人に昇格したため予選免除となった。
浜田 まずは永世名人梅沢富美男さんでございます。
玉巻アナ 梅沢さんは前回のタイトル戦では最下位だったんですが、その後永世名人に昇格されましたので、一番高い所に座っておられます。
浜田 免れたことにちょっと何人かがブーブー言うとりましたけど…。
ジュニア名人 そらそうですよ。
浜田 何で下(予選)からいかへんのかと、まあ永世名人ということで…。
藤本名人 一言も言わない。
梅沢永世名人 うるさい。お前たち、もうちょっと永世名人という位を大事にしないと。
藤本名人 ダメでシュレッダー名人と言われてますよ(笑)。
玉巻アナ そんな梅沢さんですが、決勝戦の収録直前にこんなツイートをされていました。
またまた小さい子からメダルもらいました! 今度はプレバトで天の句を目指します! (元ツイートはこちら) |
梅沢永世名人 本当に毎日ファンレターが、小さいお子さんがメダルくれたんですね。この子が「おじちゃんのお嫁さんになりたい」って。幼稚園に行く際に親に「今日は木曜日だよね。早く迎えに来てね。そうしないとおじちゃんの出番が見れなくなるから!」と。「おっちゃん、おっちゃん」と、まあ、子どもに物凄い人気ですよ。
***
→
名人10段・東国原英夫はタイトル戦優勝が最多の6回。一方、過去の炎帝戦は3位、8位(最下位)、4位と苦戦している。
東国原名人 御大が子どもから人気があると。まあ僕はヤラセだと思ってたんです(笑)。自分で(ツイートを)書いてるんだろうと思ってた。こないだね、公園をジョギングしていたんですよ。子ども達に言われましたもん。東さん、梅沢さんに勝たないで下さいね!
梅沢永世名人 ほら~。
東国原名人 ビックリしました。この子も多分ヤラセだと思うんですけど…(笑)。
梅沢永世名人 そんなことありませんから。
浜田 劇団員、劇団員。
東国原名人 ビックリしました。っていうことは、「勝たないで下さいね」ってことは、実力は僕の方が上だと子どもたちは分かってるのかなと。
梅沢永世名人 (納得しているかのように)まあまあまあまあ…。
浜田 なるほどね、そうですよ。
藤本名人 (梅沢名人が)何にも言わない。
一同 (笑)
***
→
名人10段・フルポン村上は昨年の炎帝戦優勝。紹介時に瞬きが多く、キリっと笑顔を決める。
浜田 何やねん、腹立つわ~。どうですか。
村上名人 もう今回は…。前回教えてもらったんですけど、教科書に載っているレベルなんですよ。
→村上・藤本両名人の俳句は来年度から使用される中学校国語の教科書に掲載される。詳しくは予選A・Bブロック記事を参照。
村上名人 この中で言ったらお二人(梅沢・東)は載ってないですよね。
浜田 はい。
村上名人 教科書に載る人間がやっぱり勝っとかないと。
浜田 そりゃそうですよ。
村上名人 示しが付かないんで。
***
→
名人10段・FUJIWARA藤本は3年前の炎帝戦優勝者。にゃんこスターのリズムモノマネを披露。
玉巻アナ 3年前の夏のタイトル戦で優勝して以来勝ちは無いんですが、前回は久々に準優勝しました。
藤本名人 そうなんですよ。上り調子ですね。今回は本当に優勝を狙うというか、僕も教科書載ってますんで、すいません。
一同 (笑)
***
→
名人4段・中田喜子はシード参加。タイトル戦優勝未経験者の中では最高段位で、女性初優勝の期待がかかる
中田名人 よろしくお願いします。
玉巻アナ 中田さんは前回初の3位に入りまして、今回は何としても女性初の優勝を成し遂げたいそうです。
中田名人 今度は優勝ですよね。
浜田 いや、ホントそうです。
中田名人 ですけどね、私。この炎帝戦で夏の着物を着させていただくのは初めてなんです。この紗の着物を出したときはやっぱりね~、風情があって良いなあって思います。
浜田 見せにきただけみたいな。
一同 (笑)
中田名人 うそ~?いやいや、上位を狙いますよ。
浜田 分かりました。
***
→
2級・岩永徹也はシード参加。IQ148以上のMENSA会員、JAXA宇宙飛行士適性試験でオールAAAの評価と毎回紹介されるインテリで、最近はクイズ番組でも活躍を見せている。
玉巻アナ 最近は周囲から俳句を褒められることが増えたそうです。
浜田 あ、そうなの?
岩永 今までは「頭が良いね」「クイズが得意だね」とか言われていたのが、最近は「俳句が上手だね」「面白いね」って言われることが多いです。
浜田 これはでも、上位には行っておきたいですよね。
岩永 そうですね、前回は4位でシード頂いたんで、前回の成績を超えたいなよ思ってます。
浜田 なるほど。
***
玉巻アナ どこから見ていきましょうか。
浜田 (結果シートを見て)うわ~。真ん中からいきますか。
藤本名人 真ん中から?
浜田 5位からいきましょう。
中田名人 5位ってねぇ~。
ジュニア名人 微妙なや~。
▲5位はフルポン村上
一同 えぇ~!!
→思わず中田名人が立ち上がる
村上名人 もうやってるなあ!
浜田 何がやねん。
藤本名人 何をやねん。
ジュニア名人 何を?
村上名人 5位じゃないって絶対に。
浜田 これでもうあそこの絵(肖像画)が変わることが決定しました。
***
浜田 これ下行きましょう。村上の下6位。
ジュニア名人 絶対ないもんな。6はないわ。
浜田 ジュニアうるさいぞ。
ジュニア名人 シード無いっすよ。
藤本名人 分からへんや。
▲6位は東国原英夫
一同 えぇ~!
→再び中田名人が仰天して立ち上がる
東国原名人 えぇ~!
浜田 ハハハッ。
梅沢永世名人 ウソ!?
浜田 誰がなってもおかしくないとはこういうことでしょう。
中田名人 ドキドキしてきた。
浜田 東さんが6位になりました。
村上名人 そんなことある?
ジュニア名人 大波乱、大波乱。
***
浜田 これまだ下行きますよ。上にはまだ行かない。東さんの下。
中田名人 えぇ~!
ジュニア名人 あれよりは下ですよ。
藤本名人 もういいです、もう。7位でしょ、どうせ。あ~怖い。
円楽 最下位でもいい。
▲7位は千原ジュニア
藤本名人 やっぱりMr.予選やな~。
→ジュニア名人は、過去8回中7回予選を突破している。
ジュニア名人 ねぇ~。
***
浜田 これ上の方1個見てみましょう。
藤本名人 上の方。
浜田 3、3位見ましょう。
中田名人 3位?
藤本名人 3位!
ジュニア名人 3位?
千賀名人 3位で良いんだよ。
藤本名人 ちょうだい。
▲3位は三遊亭円楽
一同 お~。
中田名人 すごい!
円楽 はぁ…嬉しい。嬉しいよ、俺。
ジュニア名人 いや~、凄い。
円楽 いやいや、素直に嬉しい。
ジュニア名人 うわ~、3位はシード。
円楽 3位はいいな、シード?
ジュニア名人 そうです。
円楽 驚いた。
***
藤本名人 何位なんですか、浜田さん。
浜田 じゃあ、1個上2位を見ましょう。
中田名人 もう2位?えぇ~!
藤本名人 入れないやろな~。
▲2位は立川志らく
浜田 一番下から。
志らく名人 ハハハ。
藤本名人 予選から。
ジュニア名人 予選から。
浜田 一番下から上がってきました。
ジュニア名人 すげぇ!
志らく名人 フフフ。
浜田 これは凄い。
志らく名人 先輩の円楽師匠が3位に入ったから、「もうこれで良いな」と思ってたんです。
浜田 なるほどね。
志らく名人 心の隅に、でも1個上に行ったら「もっといいな」と思ってたんで、ホントになったんで。
浜田 素晴らしい。
***
浜田 上位がこうなるんやって感じですよね。(波乱の展開に)面白いです、凄い。
東国原名人 僕はね個人的には、フジモンに獲って欲しいな。
藤本名人 そんないりません。情で。情で1位なんていりませんよ、東さん。
梅沢永世名人 ここでやっぱるフジモンが優勝して泣いてほしいね。
浜田 なるほどね。
藤本名人 そんなのいらないです。思ってないでしょ。
浜田 さっきもちょっと裏で見てたんですけど、永世名人のイスが一番ショボいんです。
一同 (笑)
梅沢永世名人 あんまりじゃないですか。お前ら(スタッフ)も考えろよ。何なんだよ、俺のイス(→立ち上がって見せる)。
浜田 横の方が豪華なんです。
ジュニア名人 ホンマですね。
藤本名人 あ~、ホンマや。
ジュニア名人 後光もさしてないし。
→無冠のため、タイトル保持者と違い後光がない。
梅沢永世名人 考えないよ、少し。
***
浜田 これは下ですね。9位。
中田名人 9位!
浜田 ギリ最下位の手前、9位行きましょう。
藤本名人 9位はいらない。
▲9位は岩永徹也
岩永 いや~、そっか。真ん中辺ではなくて、上か下かどっちかかなとは思ってたんで。
***
浜田 これあと4人。うわ~残ってるね~。
ジュニア名人 ねえ。
浜田 ここでもう最下位開けましょうか。
中田名人 え!最下位…。
千賀名人 最下位は嫌だ。
▲最下位(10位)はキスマイ千賀
千賀名人 すみません!滝沢副社長。
一同 (笑)
浜田 ジャニーズを背負ってたからね~。
千賀名人 ホント、すみません。
玉巻アナ 千賀さんのタイトル戦最下位は4度目となりますね。
→それは決勝での話。予選も入れると実に6回最下位を獲得している。
浜田 常連やないか!
藤本名人 よ、四度。
千賀名人 三振です。すみません。
***
浜田 残っているのはこの3人。1位・4位・8位ということになっています。
梅沢永世名人 私はね、今回攻めたんです。「これでどうだ!」と。
浜田 なるほど。
梅沢永世名人 「これがどうだ?」と。
浜田 どっち?
梅沢永世名人 …考えてチャレンジしたんです。夏井先生にチャレンジしたんです。
浜田 あら!
梅沢永世名人 だから優勝か、8位でしょ。
浜田 はぁ~、なるほど。
梅沢永世名人 はい、優勝か…。
浜田 いやいや、2回も言わんでええよ(笑)。
藤本名人 何で2回言おうとした?
浜田 フジモンはどうですか? ここまでくると…。
藤本名人 う~ん…自分の今回の俳句「普通だな…」みたいなところがあるので…。4位あたりかなって思うんですけどね。
中田名人 あ~8位イヤだな…。
藤本名人 俺もちょっとごめんなさい。8位かもしれない。
浜田 あはは、何やねん。
***
浜田 これ4位!
藤本名人 よっしゃ!
中田名人 よし!
藤本名人 4位でいいんですよ!
▲4位は梅沢富美男
藤本名人 ええ~!
村上名人 えっ?
ジュニア名人 えっ?
梅沢永世名人 …納得しましたね。やっぱり、おっちゃんはね…。
浜田 立てよ!早く。
一同 (笑)
浜田 梅沢さんが4位に入ります。
中田名人 あ~、8位か。
梅沢永世名人 難しい。
***
浜田 さあ~皆さん、残っているのはこの2人。
中田名人 あ~やだやだ。
浜田 もうどっちがなっても。
藤本名人 ここまで来たら1位を狙いたいですね。
浜田 そりゃそうですよ。東さんもなってほしいと。
東国原名人 もう絶対1位になってほしいと思います。
梅沢永世名人 そ、泣け!
藤本名人 こんな空気の中の1位全然嬉しくない!(笑) やめて下さい。
***
【CM】
★プレバト!!×docomoの協賛CMで、中田名人・ジュニア名人が通常の発表待ちシートに座って出演。
ここで、中田名人が一句。
兼題:スマホへの切り替えの決意
「夏の空スマホデビューの予約をす」
***
▲1位はFUJIWARA藤本、▲8位は中田喜子
藤本名人 うお~!
中田名人 (拍手しながら)ああ~! 素晴らしい~。
ジュニア名人 おおっ!
→村上・ジュニア・岩永・千賀が立ち上がって祝福
藤本名人 良かった~。良いことある。
***
藤本名人 ありがとう~!
ジュニア名人 良かった~。
村上名人 やった~、おめでとう。
ジュニア名人 良かったな!
藤本名人 いやいやいや、ありがとね!
村上名人 おめでとうございます!
浜田 あ、そうか、フジモンは3年ぶりの優勝ということに。
藤本名人 夏ですわ、しかも。
浜田 なるほどね。
***
◆それでは順位別にみていきます1位
◆『ラジオ体操 おおおなもみの ある空地』 藤本敏史(FUJIWARA)◎
一見、どうってことない句だが、中七が曲者。「おなもみ」は歳時記にあるが、「おおおなもみ」は載ってないことが多い。「おなもみ」は大昔に日本に侵入した史前帰化植物だが、絶滅危惧種。「おおおなもみ」は幅を利かせていて、侵略的外来種のワースト100に入るほど。悪ガキがラジオ体操して、「おおおなもみ」を面白がって引っ付けてバラまいて「おなもみ」を絶滅させようとしていたかもしれないという経緯がこの句に含まれる。「ある空地」は、自身の過去の行為を振り返るかのような突き放した感じがある。結果論で、時代性や空気感が結構良いものになったのが、最終的な結論。【本人談】千賀君と一緒で、小学生の頃は夏休みにラジオ体操に行った(※1)。(参加した)判子を押してもらえ、たまると景品か何かがもらえるが、自分の場合のラジオ体操は近所の空地だったが、おおおなもみ(=俗に言う「ひっつき虫」)があった。ラジオ体操が終わった後、それを皆で投げ合いして引っ付けて遊んだ思い出を詠んだ。
※1
浜田 (1位と最下位で)両極端やな~。
→千賀も「ラジオ体操」の句を詠んだ
梅沢永世名人 私は
ジジイだから、
「おなもみ」って言ってた記憶があるんです。これ、「おおおなもみ」っていう風に変わったんですかね~。
本人 あの、2種類あると思います。「おなもみ」と…。
東国原名人 「おなもみ」と「おおおなもみ」。
梅沢永世名人 あ、そうなんですか。
ごめんなさいね。じじいで。
藤本名人 いや、じじい関係ないです。
一同 (笑)
夏井先生 一見、どうってことない句に見えるのが正直な所。実は、
中七が曲者。
「おなもみ」は歳時記に夏の季語として載っているが、
「おおおなもみ」は載っている歳時記は少ない。どう違うか。
「おなもみ」は
稲や麦と同じように、大昔に大陸から日本に侵入した史前帰化植物(古い帰化植物)だが、高齢の人が知っている「おなもみ」は今や絶滅危惧種。
逆に
「おおおなもみ」は幅を利かせていて、侵略的外来種のワースト100に入るほど。
悪ガキがラジオ体操して、「おおおなもみ」を面白がって引っ付けてバラまいて「おなもみ」を絶滅させていたかもしれない。そういう経緯がこの植物の中に含まれる。
しかも
「ある空地」で、かつて自分は「おおおなもみ」を投げつけて遊んだのを振り返るかのような突き放した感じが出てくる。
本人は偶然だったとは思うが、
結果論で、植物の時代性や「ある」の空気感が結構良いものになっていたというのが、最終的な結論。直しようがない。
本人 嬉しい~。
添削なし
自身の体験と思い出となる光景を率直に書いたと思われる一句。一見、感動はしませんが、「575でカガク!」の選者でもある先生が「おおおなもみ」について興味津々に味わいを語られたのが優勝の決め手ではないでしょうか。当方が所持する歳時記では、「おなもみ」は晩夏の季語(角川)か、初秋の季語(主婦の友社)で季節が分かれました。また、「おなもみ」よりも「おおおなもみ」の方が果実が大きく、繁殖力も強いそうです。中七を「大葹」などと漢字にせず、平仮名にした点は子どもを思わせる効果が強く、「空地」からドラえもんの世界のような様々な子どもの動作も想起されます。下五の「ある」を先生は「或る」と解釈したようでしたが、当方は「有る」とそのまま解釈しました。マジックテープの発明の起点にもなった「おなもみ」。今回の句は季語としてどう判断するかで意見が割れそうですが、本人が何の歳時記から「おおおなもみ」を見つけたのかに興味を持ちました。
2位◆『炎天のミミズ 診察券のシミ』 立川志らく◎
句またがりの対句表現の型。「炎天」「ミミズ」はどちらも夏の季語を重ねた。一般に、季語となる生き物は片仮名で表記しないが、意図的だと伝わる。干乾びて死にかけているに違いないミミズ。そこに無関係のものを取り合わせ、通院している患者の診察券のシミを持ってきた。生と死は大袈裟に表現しがちだが、この句の取り合わせはさりげない。「ミミズ」「シミ」の韻も考えた。よく勉強している句。※8音と9音、全体で17音という大胆な破調の句で勝負し、見事成功した。
【本人談】生と死の比較。診察券にシミが付いても、患者は一生懸命に生きている。一方、炎天の中でミミズは干乾びているという2つの対比を考えた。
夏井先生 句またがりの対句表現の型。
「炎天」「ミミズ」はどちらも夏の季語を重ねた。一般に、
季語となる生き物は片仮名で表記しないが、意図的だと伝わる。
ミミズは、干乾びて死にかけているに違いないとなる。
そこに無関係のものを取り合わせ、「
診察券のシミ」と持ってきた。ずっと通院しているであろう患者。
生と死は大袈裟に表現しがちだが、この句は非常にさりげなく取り合わせた。
「ミミズ」「シミ」の
韻も考えている。
よく勉強している句で、作者が分かったら嬉しい。直しは全くいらない。
本人 いや~、もうホントに勉強はしたんです。「グッとラック!」の司会の手を抜いて、こちらに力を入れて…(笑)。
添削なし
志らく名人の得意とする対句表現で、動物と人間の生き様を表現した一句です。こういう句は、素人が評価するのは難しいですね。当方は、本人が語るほど「死生観」は感じませんでしたが、前半の「炎天のミミズ」の季重なりは大成功と言って良いでしょう。後半の「診察券のシミ」も、恐らく柔い紙製のもので、次回来院日が書かれるようなものが想起されます。個人的には、前半も後半も生きているのか死んでいるかどうかは、実は分かりませんでした。その辺りの想像も読者に任せているのが、押しつけがましくない意味で高評価だったのかもしれません。
3位◆『サングラス 外して探す カードかな』 三遊亭円楽◎
難解な言葉を使わず、あっさりと現場を見事に的確に書いているタイプの句。季語「サングラス」は本来、外が眩しいからかける物だが、「外して」と展開し季語の本質を逆から表現した。何を「探す」かと思うと、最後に「カード」が出てくる。○○カードと名詞止めの手もあるが、「かな」の詠嘆が飄々とした感じで効いており、これはこれで良い。【本人談】平凡に思うはず。日常のワンシーンを切り取った実体験。老眼で明るいところでないと何も見えない。レジで(サングラスを外してカードを探すのに時間がかかるため)店員に「ちょっと待って」と言ってしまう日常を素直に詠み、ごく平凡に見える句を作った。
夏井先生 難解な言葉を使わず、非常にあっさりと現場を見事に的確に書いているタイプの句。
季語「
サングラス」は本来、外が眩しいからかける物だが、敢えて「
外して」と展開し、
季語の本質を逆から表現した。
「外して」の後、何を「
探す」かと思うと、最後に「
カード」があったと出てくる。
“○○カード”と名詞止めの手もあるが、「
かな」の
詠嘆が飄々とした感じで効いており、これはこれで良い。直さない方が良い。
本人 偉くなったね、オレ。いや~、素晴らしい。
添削なし
落語家らしい発想の仕方で、カードを探す実体験を定型で表現した飄々とした一句。平凡には思いますが、「サングラス」の季語の使い方が面白く、日焼けやファッションとしての側面ではなく、老眼だと逆に近くの物が見にくくなる遮光性の弱点を見事に表現しています。サングラスなどをする無頼な雰囲気のある者が、あたふたと可愛らしい動作をするギャップも滑稽に思いますし、「かな」の詠嘆も動作全体を思い返す感じが出ています。円楽さんの名人昇格も期待が出来る一句でした。
4位◆『行合の空の 御朱印めぐりかな』 梅沢富美男◎
「行合の空」をどう評価するかが大きなポイント。後半は言葉がキッチリ入っている。歳時記には載ってないが、敢えてやろうとするチャレンジ精神には敬意を表したい。1位になる可能性がある句ではなく、大体この辺りの順位で終わる。本人がわめこうが、泣いても何でも事実は事実。残念でした。直しは不要だが、直しても直さなくても順位は変わらない。【本人談】季語がない句。実感のない兼題で悩んだが、(神社などで)御朱印を貰うのも、ポイントカードみたいに感じる。季語をどうしようかと思い、季語を考えたが、「行合の空」は夏と秋が混ざるような頃の空で、季節感がハッキリ出る言葉。「なるほど、これ季語で行けるぞ」と。
本人 名…永世名人は…。浜田 「名」って言うてもた。
一同 (笑)
本人 番組も勿体ないっすよ。私をこんな
中途半端な順位に置くなんて。今、(視聴者は)
他のチャンネルに替わってますよ(笑)。お前ら(=スタッフ
)責任取れよ。なっちゃんも考えないと!中途半端に……。
→スタジオが静まり返る
村上名人 ぶっ…。
ジュニア名人 これ一番中途半端ですよ、どこで終わってんですか。
夏井先生 本人は力説したが、
「行合の空」をどう評価するかが大きなポイント。
なぜなら、後半は言葉がキッチリ入っている。ここの評価に絞られる。
この言葉が、
歳時記には載ってないが、敢えてやろうとするチャレンジ精神には敬意を表したい。
ただ、5~6位の句のように
1位になる可能性がある句ではなく、大体この辺りの順位で終わるタイプの句。
藤本名人 可能性がないんです。
本人 口の利き方に気を付けろよ! 今、全国の子どもたちがみんな観てるんだ。泣いてるんだぞ!夏井先生 泣いても何でも事実は事実なんです、残念でした。
浜田 先生、ちなみにこれ直しは…。
夏井先生 これも
直す必要はないんです。直せませんもん、これだけ言葉入ってて。
本人 何か直して1位になるものがあんだろ!夏井先生 いや、直しても4位、直さなくても4位。
一同 (笑)
村上名人 直しても4位か~。
添削なし
非常に手馴れており、御大にしては珍しく句またがりの無季という”チャレンジ”をした一句。「行合の空」の光景の季節感があり、兼題から御朱印巡りへの発想は御大らしく、全体として綺麗ではありますが、パンチが全くありません。恐らく本人は優勝できないことを察していたはずで、先生も御大の句だと薄々気づいていたでしょう。最後の「かな」も御朱印巡り全体ではなく、何か物について述べたかった印象。とはいえ、シード圏内の永世名人。次回に期待しましょう。
5位◆『蛾の骸 ポイントカードで 掬いけり』 村上健志(フルーツポンチ)◎
目の付け所はさすが。中七に助詞「で」を入れて8音にする是非と、詠嘆「けり」が効いているかの是非。わずかな傷の問題で、同時に解消可能。「蛾の骸」の映像からの語順は正しいが、次に掬う動作を入れるのが得策。最後にポイントカードの端のアップで一句が終われば、ダントツで1位の発想だった。【本人談】生きているような綺麗な蛾の死骸がある。捨てたいが、蛾の感触が嫌なためティッシュで握って捨てたくない時、あまり使ってない平べったいポイントカードで死骸を掬って乗っけてゴミ箱に捨てる光景。
日常にある死をこんなにリアリズムで描けますか!?(笑)
浜田 メッチャ切れてる!
梅沢永世名人 村上先生はね、中学の教科書に載ってるわけですから、自信の句だと思うけど、私は(夏井)先生にグタグタ言いませんけどね。だからこういう
チマチマした句になってしまうんだと思いますよ(笑)。
東国原名人 中七を敢えて8(音)にして、「で」という手段の助詞を使ったのがポイント1。ポイント2は、「掬いけり」。これをどう判断するか。夏井先生 これは
目の付け所はさすが。
パッと見たときは「これが1位だ」と思ったが、問題点は
東国原名人が全て言った(中八・「で」・「けり」)。これもさすが。
中七を敢えて8音にして助詞「で」を入れる是非と、最後の詠嘆がどこまで効いているかの是非。ほんの小さな傷レベルの話。
「で」を解消することで、上手くやれば「けり」も
同時に解消することは可能。
「蛾の骸」のアップから始めるのは正しいが、次にさっさと掬う動作を入れるのが得策。「蛾の骸
掬う」で動作を入れる。句またがりに。
「
端(は)」を最後に置き、
ポイントカードの端のアップで一句が終わる。
これなら
今日はダントツで1位だった。
本人 先生が直した方が良い俳句になるのは分かりますが、
元々そこそこ良いのが直す余地があるから5位というのは、納得できないです。ジュニア名人 えっ?何を言うてんの?
浜田 何なの~。
ジュニア名人 そういう番組や。
藤本名人 何年やってんや。
ジュニア名人 帰れや。
本人 だって
褒めて欲しいですもん(笑)。
藤本名人 皆や。褒めてくれたやんか。
添削後
『蛾の骸 掬うポイントカードの端』
兼題の単語をそのまま用いた意欲作で、動物の季語と取り合わせた一句。この句も死生観は特に感じず、作者の日常の一動作だと当方は受け取りました。蛾の死骸を掬う動作において、ティッシュなどの代わりに使わないポイントカードを持ち出すかどうかは人それぞれで共感性が分かれます。ただ、家電量販店のカードのような剛性のある曲げられる質感を表現できたのは名人技です。編集後記にも述べますが、この句の中八は悩ましく、最後の「けり」も必要かどうかは考え物。「ポイントカードにて掬う」のような例も考えられますが、日常のさり気ない部分からの発想力は詩人でした。次回予選から期待しましょう。
6位◆『ポイントで もらひし蛍 なほいきる』 東国原英夫◎
発想はとても良く、大変好きな句。問題は上五「で」だが、貰う動作に繋がるこの「で」を外しにくい。中七「し」が文語で、なおさら説明臭く感じるため、敢えて口語(話し言葉)で表現し、促音「つ」は大きく書く。口語だが歴史的仮名遣いのため奥行きのある空気を醸し出す。ダントツ1位になる可能性を秘めていた。【本人談】デパートで蛍がポイント交換でもらえた。ポイントは擬似紙幣なため、生き物と交換するのに抵抗があった。(虫籠に入れて飼うが)そういう蛍は、すぐに死んでしまうのではないかと思ったが意外に長生きした。光らなくなっても、なほ生きていたという小さい生命力に感動したという句。上五「で」がどうかなと自分も気になっていた。
藤本名人 そうですね。この
「もらひし」というのが、ちょっとカッコつけ過ぎているということの是非です(笑)。
夏井先生 この
発想はとても良く、大変好きな句ではある。
問題は
上五「で」にあると本人は分かっていたが、貰う動作に繋がるこの「で」を外すのはとても難しい。
全体のバランスを見たとき、
「で」の説明臭さを上手く薄める一手が最後に残されている。
それは偶然、藤本さんが言った「
ひし」。
中七「し」が文語のため、なおさら説明臭く感じる。敢えて
口語(話し言葉)で表現すれば、説明臭さが薄まる。
物凄く簡単なこと。「”
ひ”し」「な”
ほ”」が
歴史的仮名遣いのため、促音「つ」は大きく書き、「
つた」と口語に変える。
口語となるが、歴史的仮名遣いのおかげで奥行きのある空気を醸し出す。
5位の村上名人と6位の東国原名人は、少し触れば
ダントツ1位になる可能性を秘めていた。
中田名人 凄い…。
村上名人 (不貞腐れて笑いながら)ちょっとの差で1位ですって…。
一同 (笑)
添削後
『ポイントで もらつた蛍 なほいきる』
蛍の生死観を露骨なまでに表現した一句です。発想は素晴らしく、デパートのペットショップで、蛍をポイントで貰えるのは知りませんでした(地域差があるのでしょうか)。確かに散文的な助詞「で」は気になりますが、最も癪に障ったのが下五。本人も語ってはいましたが、自然の蛍よりも人工的に飼われた命が短命に終わるのではという意図の見え透いた表現が、「なほ」と「”い”きる」の平仮名に如実に表れており、感覚を押し付けられた印象を受けました。口語でありながら歴史的仮名遣いで表現する添削例は非常に面白さを思いますが、次回リベンジに期待したいところです。
7位◆『消しゴムに 彫刻刀の 彫る花火』 千原ジュニア◎
素材としては面白い。「彫刻刀」とあれば「彫る」は不要だが意図的に置いた。最後の「花火」により、白い消しゴムに花火の色が出てくる展開も良い。「花火」が版画であることによる季語の力が薄まるという問題。言葉がキッチリ入っており、「の」「彫る」を変えることは可能だが、作者の意図通りなので直さない。【本人談】「プレバト!!」の番組の企画を「プレバト!!俳句」で詠むという誰もやっていないチャレンジ。兼題写真のスタンプから消しゴムはんこを着想し、全国の花火大会が中止になっているというのを詠んだ。
藤本名人 ナナハン俳句から消しはん俳句にしたってこと?これ。
本人 まあ、どっちかっていうとそういうことですね。
村上名人 今のを聞いて、スゲーいいなって思うんですけど、ただやっぱりこの「花火」が彫られる花火じゃないですか。そうすると季語としては、
季語にならないもしくは季語としては弱くなると思うんです。本物の花火ではないから。
東国原名人 同じですね。悔しいですけど、あの
「花火」が季語としては薄まりますね。
夏井先生 村上名人らの指摘(下五の比喩で季語が薄まる)の通り。
素材としては面白い。「
消しゴム」という場所に「彫刻刀」で「彫る」という展開。
「
彫刻刀」とあれば「
彫る」は不要だが意図的に置いた。
最後の「
花火」により、
白い消しゴムの上に花火の色が出てくる展開も良い。
「花火」が
版画であることによる季語の力の問題。名人2人の解説の通り。
浜田 なるほど。先生、これは直し…。
夏井先生 言葉がキッチリ入っており、
「の」「彫る」を変えることは可能だが、
作者のやろうとしていることはやれている。意図通りのため直さない。
本人 あ~、そういうことなんだなっていうのが凄い分かりました。
添削なし
兼題写真のスタンプから、本人の得意な消しゴムはんこへと発想を飛ばして表現した一句。「消しゴム」は普通白い物を思いますが、「花火」できっとカラフルな色彩が表現されているのではないかと伝わる表現。季語の弱さは感じますが、動作を淡々と書かれているだけに、「彫刻刀」があまり機能的でないのも残念でしたね。消しゴムはんこの楽しさや大変さが伝わる季語があれば、より上位に食い込めた印象です。
8位◆『早桃の香 支援の客の 食事券』 中田喜子◎
勿体ないのは「客の」。「支援の食事券」なら客以外の者は持ってこない。「の香」は無くても香る。しかも果物を買ったのではなく、食事券と分かるような小細工をする。「デザートは」で食べているのは分かる。最後の「食事券」が最初のデザートに戻って、美味しく頂いた食事の最後が早桃だったとなる。【本人談】自粛期間中に飲食店オーナーが考えたのは、ネットで食事券を先に売ってお店を持たせようというアイデアがニュースで報じられた。自粛期間が明けて食事券を持った常連客が食事をしに来た。その時にデザートに桃が載っている光景。
梅沢永世名人 これね、
無駄な言葉が1つありましたね。「支援」「食事券」とくると、「客の」ってのはいらないんじゃないですか。
本人 うわ~!(→両手を頬に当てしまった顔に)
梅沢永世名人 ねえ、これ無駄な言葉だったなあ。
浜田 いや、だからその顔!
本人 そうか~。
夏井先生 まさに「そうか」という感じ。
勿体ないのは「客の」。「
支援の食事券」で十二分。客以外の者は持ってこない。
「の香」と書かなくても「
早桃」で香りは立ってくる。しかも、
果物をまるまる買ったのではなく、食事券で食べていると分かるような小細工をする。
「
デザートは」なら、
店内で食べているのは分かる。最後の「食事券」が最初のデザートに戻ってきて、
美味しく頂いた食事の最後が早桃だったわ、となる。
本人 あ~! そうですよね~。
浜田 凄い表情豊かですよね~、さっきから。先生の解説聞いてる間、色んな顔しますよ。
本人 あ~、どうして気付かなかったんだ~。
浜田 スゲェ、まだやってる。
一同 (笑)
添削後
『デザートは 早桃支援の 食事券』
兼題から交換できる「食事券」を発想し、植物と取り合わせた一句。「桃」は秋の季語ですが、「早桃」は夏の季語です。今回のコロナ禍からの句材の探し方は見事で、この方の発想には当方も毎回感心しますが、状況が句から読み取れないのが残念な所。しかし、梅沢御大の指摘も当たっているとは言い難く、「支援の食事券」ではふるさと納税だとも思います。問題は、「早桃」の状態が表現されていない点ではないでしょうか。デザートだと表現したく「香」にした意図は感じますが、鬱陶しくなり逆効果に。中田さんは五感のうち、視覚ともう1つを表現する傾向が強いですが、非常に勿体ない失敗が多いですね。技術さえ伴えば、女性初優勝の実力はあると感じていますが、再び予選から応援しましょう。
9位◆『花は葉に 彼女は妻に そして母に』 岩永徹也◎
「花は葉に」の季語を使った姿勢が良い。桜が葉桜になる時間経過を持つ季語を使いこなすのは難しい。時間経過に対して、女性の姿を描こうとしたのは良い。情報を詰め込み過ぎて、人生を早送りしすぎた。「妻」「母」の片方に絞り、ワンポイント添えるだけで良い。どんな「妻」か表情を添える。「母」でもやりようはいくらでもある。【本人談】夏の季語「花は葉に」は桜の花が散って葉桜へと変わりゆく時の美しさを指す。ポイントカードは、日常の小さな積み重ねで(ポイント数が)変化するイメージ。付き合っている彼女が(時間を追って)「妻」「母」に変わっていく様子に重ねて詠んだ。
【花は葉に】初夏の季語 桜が花から葉へと変わってゆくこと |
梅沢永世名人 ちょっと
詰め込み過ぎね。俺はそう思いますけど、偉そうなこと言えませんけど、こんな(小さな)椅子に座ってるから。
一同 (笑)
藤本名人 関係ないやん。
夏井先生 「
花は葉に」の季語を使った姿勢が良い。
桜が葉桜になる時間経過を結構持つ季語で使うのは難しい。
時間経過に対して、女性の姿を描こうとしたのは良かった。
梅沢名人の
「詰め込み過ぎ」の指摘通りで、人生を早送りしすぎた。
「妻」「母」の片方に絞り、ワンポイント添えるだけで良い。
「母」だけで別の句もできる。
どんな「妻」かを添えて、つややかで美しい意味の「
匂はし」という日本語がある。「妻」の表情を出してみる。
「母」でもやりようはいくらでもある。
添削後
『花は葉に 彼女は匂はしき妻に』
『花は葉に 彼女は母として生きる』
「葉桜」の傍題「花は葉に」を用いて、心情と時間経過を表現した一句。このような季語を使った句こそ御大の言う”チャレンジ”に感じますし、カードを出すたびにポイント数が変化するという発想の仕方は素晴らしいですが、初回の「スプリング」の句も想起される失敗でした。「花は葉に」が季語だと分からなければ、「に」の並列表現が続くため、句意が読み取れません。なぜなら、助詞「に」は「~に変化した」とも読めますが、方向や対象を指す「~へ」の意味合いもあるため、彼女が人妻や母に何かあげたのかとも思うからです。本人は出産した妹へのプレゼント句だったとのこと(by本人のTwitter)です。発想は良かっただけに、「母」を中心に詠みたかったですね。
10位◆『ラジオ体操 歯抜けの判や 夏深し』 千賀健永(Kis-My-Ft2)◎
季語以外は本人の意図が表現された。季語が正しいかという着地の問題。俳句では用いる陰暦では、秋は8月8日前後から。夏休みはラジオ体操真っ最中で、夏休みの終わりの頃になり、スタンプが並んでないと「歯抜け」とは言いにくい。季語の選び方が中途半端なだけ。子どもに寄せるなら「夏休み」、陰暦に寄せるなら「秋暑し」、朝が起きるのが嫌なら「朝暑し」という展開もあった。【本人談】小学生の頃は(夏休みに)ラジオ体操に行っていた。朝(起きるの)が弱く、夏休みの後半になると休みがちで、欠席した日はスタンプが(カードに)押してもらえない。当時、乳歯で歯がまだない時で歯抜けっぽいと(思ってカードを比喩した)。
志らく名人 「歯抜けの判」までは面白いんだけども、「夏深し」との…なんか、取って付けたような季語のような感じがしますね。
本人 夏の後半にしたかったんで、「夏深し」ってしたんです。
夏井先生 「
ラジオ体操歯抜けの判や」までは本人の意図は表現された。
季語の展開で俳句はいくらでも変わる。志らく名人が指摘した、
季語が正しいかという着地の問題は正しい指摘。
俳句では
陰暦を用いる。
秋は8月8日前後(立秋)からになるが、その頃は夏休みでもラジオ体操真っ最中。
「歯抜けの判」は夏休みが終わる頃(つまり俳句では秋)で、それだけ
判子が並んでないと「歯抜け」とは言いにくいのではないか。
季語の選び方が非常に中途半端なだけ。
子どもに寄せるなら「
夏休み」とストレートに。
陰暦に寄せるなら「
秋暑し」で、夏休みの終わりは秋になっていると。
朝が起きるのが嫌なら「
朝暑し」なら、朝起きていくのが嫌で、朝っぱらから暑いという展開も。
今回は季語の選び方だけ。
浜田 先生の解説聞きながら、
村上さんがずっと半笑いで頷いていましたよ。
藤本名人 何なの?
ジュニア名人 何なの?
村上名人 いやいや、
「夏深し」って7月の終わりなのにな…って思ってて。
浜田 ははははっ。
藤本名人 ははは。
浜田 「バカだな~」と思って。
村上名人 そう。
「バカだな~」って思って。ごめんなさい、ごめん。
藤本名人 (千賀名人が)めっちゃ、睨んでるやん。
本人 ムチャクチャむかつく!一同 (笑)
村上名人 ごめん×3
本人 「ごめん」じゃないんだよ!添削後
『ラジオ体操 歯抜けの判や 夏休み』
『ラジオ体操 歯抜けの判や 秋暑し』
『ラジオ体操 歯抜けの判や 朝暑し』
藤本名人と同じく、過去の実体験から発想した一句。最下位とはいえ、発想の点で善戦しており、特に中七の表現が非常に上手いです。季語が正しいかの点で、陰暦かどうかという点を指摘され、視聴者的にも勉強になる内容(放送日は立秋前なので、ギリギリ夏)でした。しかし、本当の問題点は「歯抜けの判」という良い内容ではないはずのものを、しみじみと感慨に浸るような「夏深し」を置いたことによる感情表現の矛盾。三段切れは気になりませんでしたが、中七の最後に「や」を置く基本の型に挑戦した姿勢は称賛すべきです。
●シード権のボーダーライン玉巻アナ ここで、皆さん。夏井先生から追加の査定結果がございます。今回も、夏井先生に次回(秋)のタイトル戦が予選免除となるシード権のボーダーラインを決めていただきました。
ジュニア名人 9位以上、9位以上!
藤本名人 無理や!無理や!9位以上は。
東国原名人 6位だけ!(笑)
藤本名人 絶対ないわ。
→査定結果と同様に浜田が発表!
浜田 4位まで!→
優勝した藤本名人、2位・志らく名人、3位・円楽、4位・梅沢永世名人がシード権を獲得玉巻アナ というわけで、4位までの方は次回秋のタイトル戦は予選免除です。
浜田 皆さんが渋い顔しておりますが、こりゃ仕方ございません。2020夏の炎帝戦・優勝はフジモン!
藤本名人 どうも、ありがとうございます。
浜田 おめでとうございました~。
※次回8/13は特待生昇格試験SP。兼題は「本棚」です。
今回の決勝は「ポイントカード」。身近に何枚も持ち歩きますが季節感が全くなく、非常に難しいお題ではないでしょうか。季語を入れて詩を発生させる点に各自苦労したに違いありません。
発想の仕方も様々で、ラジオ体操のスタンプカード、診察券、御朱印、消しゴムはんこ、食事券…というところ。円楽さんはカードを探す動作、東国原名人はポイント交換した命の重さ、岩永さんはポイント変動という点に着目したのも面白い点でした。
一方、村上名人だけが「ポイントカード」と句に入れて勝負に挑みました。実はこの兼題の難しさの一つが音数。「ポイントカード」は7音なので、中八を避けるように句に入れるには、①上五字余りで入れる、②中七にドスンと入れて切れを発生させて下五に季語を入れる、③全体を句またがりにする(村上名人の添削例)、のいずれかしかありません。村上名人はデメリットだと分かっていながら、中七を8音にしましたが、最後に「けり」を入れる余裕があったのがマイナスポイントになりました。リズムは句の内容に見合った形にしないといけないのが俳句は難しいなと感じる次第です。
さて、タイトル戦は14回目でしたが、今回はコロナ禍の対応に追われる炎帝戦でした。
予選では、4名ずつしかランキングシートに座らせておらず、一気に10名を座らせる形を想定していませんでしたが、多少なりとも収録での基準が緩和されたのでしょうか(アクリル板は設置されましたが)。これなら、次回は予選から4ブロックに分けずに、同じ兼題で1度にランキングシートに座る方法が使えると思います。
また、1時間の尺で10名の俳句を発表するため、忙しない印象です(予選は1時間に8名)。批評も永世名人をはじめとする人物にしか触れられず、さっさと進行されるため、全体的に盛り上がりに欠けてしまいました。
そして、東国原名人もシードを失う展開となり、次回予選がどうなるのか既に述べられている方がいらっしゃいます。現在星3つの東国原10段が金秋戦までに2回以上昇格試験に呼ばれるかどうかも注目すべき点で、この方が永世名人でシード権を得るかどうかが実は大きなポイントです。しかし、永世名人は梅沢さんがツイッターで、”お手本コーナー”では「毎週」句を披露する必要があると語っていますので、永世名人が2人誕生した時点で、通常回に呼ばれる特待生・名人枠が2人固定になり、他の特待生らが試験を受けられないという大問題も抱えることになります。平場の人数が減らされるのか、さらなるルール変更が起きるのか、今後の番組的展開も楽しみです。
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