2020年7月30日放送 プレバト!! 俳句炎帝戦予選C・Dブロック結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
夏の季節に行われる第4回
炎帝戦予選C・Dブロックで名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。
◎は夏井先生講評の要約です。→結果一覧 →トーク集 →俳句詳細 →進出者のまとめ →編集後記⇒
予選A・Bブロック記事⇒
決勝戦記事※過去のタイトル戦結果などは
こちらまたはブログカテゴリからどうぞ。
挑戦者:
Cブロック→千賀健永(Kis-My-Ft2)[38],ミッツ・マングローブ[29],森口瑤子[7],春風亭昇吉[3]
Dブロック→立川志らく[35],三遊亭円楽[17],北山宏光(Kis-My-Ft2)[30],篠田麻里子[9] ※[数字]は挑戦回数見届け人:梅沢永世名人、中田名人
◆全参加者(21名)の段位一覧 ※
はタイトル戦初参加
| Aブロック | Bブロック | Cブロック | Dブロック | 予選免除 |
永世名人 |
|
|
|
| 梅沢 |
名人10段 | | 村上 |
|
| 東国原 藤本 |
名人4段 | 横尾 | | | | 中田 |
名人3段 | | | | 志らく | |
名人2段 |
|
| 千賀 |
| |
名人初段 | ジュニア | | | | |
1級 | | 松岡 | ミッツ | 円楽 | |
2級 | | | | | 岩永 |
3級 | パックン | 皆藤 | | | |
4級 | | 河合 | 森口 | 北山 | |
5級 | 馬場 | | 昇吉 | 篠田 | |
◇炎帝戦2020のルール 【予選】 ・ABCDの4ブロック制で、各ブロック4名が参加 ・ブロック分けは段位を考慮した上、玉巻アナが事前にくじ引きを行い決定 ・兼題はAB・CDの2ブロック単位で共通 ・各ブロック上位1名が決勝進出 ・各ブロック2位のうち、最も良い1名が決勝進出(敗者復活) 【決勝】 ・前回上位4名がシードで参加 ・シードがなかった梅沢永世名人は前回タイトル戦後に永世名人となったため栄誉を讃えて予選免除 ・決勝はシード4名、永世名人、予選通過5名の合計10名 |
炎 帝 戦 | 放送日 | 兼 題 |
予選A・Bブロック | 7/23 | 封 筒 |
👍予選C・Dブロック | 7/30 | アイスクリーム売り場 |
決勝戦 | 8/6 | ポイントカード |
●お題:アイスクリーム売り場

※各ブロック1位が無条件で決勝進出※順位クリックでリンク内移動します。
順位発表順:Cブロック4位→3位→2位→1位、Dブロック2位→3位→4位→1位※収録は前回同様の形式。予選Aブロック2位の横尾名人とBブロック2位の皆藤はリモートで戦況を見守る。
[トーク集](各クリック)
千賀名人 凄く、すぐパッと思いつきました。勝ったと思いましたね。今回は本当に自信ありますね、大アリ中の大アリ。
昇吉 いやー、千賀さんが一番強いです。でも絶対勝ちます。ここは勝たないと。
円楽 今回はちょっと力を入れた。うん。
篠田 気合いは入ってます。俳句は年齢が高い人だけじゃなくて、若い人も楽しめるんだというところは見せたいなと思ってますね。
***
梅沢永世名人 私今回攻めたんです。これでどうだと! 永世名人ですよ。私がここにいなかったらお前たち…。
藤本名人 今回はちょっと優勝を狙うというのか。
東国原名人 実力は僕の方が上だと子どもたちも分かっているのかなと。
志らく名人 下剋上ですから。
村上名人 教科書に載っている人間が勝っとかないと。
玉巻アナ 芸能界のナンバーワン俳人を決めるタイトル戦。今夜でいよいよ決勝進出の10人全てが出そろいます。…残りは3枠ですね。予選C・Dブロック1位と敗者復活戦として4つの予選ブロック2位の中から夏井先生が優秀句に選んだ1名が決勝に進みます。
***
→4級・森口瑤子は通常査定は無傷で4級まで昇格し、タイトル戦は早くも3回目の挑戦(紹介キャプでは「1ランク昇格」が「一つ前進」になってました)
梅沢永世名人 大したもんだ。
浜田 どうですか、3回目ともなると…。
森口 いやでも、タイトル戦は1回も決勝にいけてないんですよ。
浜田 あ、そうか。
森口 だから、今回は行きたい!
浜田 あははは、なるほどね。
***
→5級・春風亭昇吉は東大出身の落語家。わずか2回でスピード認定を果たした特待生で、2021年5月に真打昇進決定と今ノリに乗っている。
昇吉 ありがとうございます。
円楽 (志らくに)真打になるの?
昇吉 真打もそうなんですけど、それよりもこれ(タイトル戦)は獲りたい。どうしても(笑)。
浜田 最初にタイトル戦来た人ってそんなにアレ(=良い結果を出せない)ですよ。
昇吉 予選通れば私勝てます。優勝できます。
浜田 マジで?めちゃくちゃ自信あるやん。
昇吉 絶対勝ちます。
浜田 志らくはん、ちょっとどうなの?
志らく名人 俳句ではトントン拍子に上がってるけども、私とか円楽師匠に比べたらば、本来我々と口が利ける身分じゃないから。
一同 (笑)
梅沢永世名人 そうか、素晴らしい。
円楽 あのね、何かあったらアイツの師匠(=春風亭昇太)をいじめられる立場(笑)。
浜田 なるほど。さあ、永世名人梅沢さん。どうでしょうか?
梅沢永世名人 私は彼(昇吉)が来ると思いますよ。この俳句はね、今まで東大とか頭の良い子はいっぱいいましたけど、みんな学問として俳句をやってる。ただ、彼は俳句をちゃんと作ってるんです。これは強敵だと思ったね~。
千賀名人 僕、名人なのに触れられなかったんですけど。ちょっと悲しい気持ちになりましたね。名前も呼ばれない。
梅沢永世名人 いやいや…。
***
浜田 4人しかいないんで早いですよ。最下位。
千賀名人 (頭を下げてうつむく)ふぅん、ちょっと…。
浜田 どうした?どうした、千賀?
千賀名人 一応一応あの、一応…。
志らく名人 一応って何?
▲予選敗退最下位は森口
森口 あれ~?
浜田 あーそう。
中田名人 えぇ~?。
浜田 ここでちょっと今、あなたがホッとしたんですね。
千賀名人 いやいや全然何も、ここは出ないと思った。
森口 あ~悔しい。
***
→名人2段・キスマイ千賀はタイトル戦唯一の皆勤(14回連続)。思い切った作風でホームランか三振かと言われていたが、前回春光戦は予選3位・決勝5位とらしくない結果に。
浜田 でも一回はあそこ(肖像画)に載ったことある人間ですからね。
→千賀は第1回冬麗戦王者となり涙を流した
千賀名人 そうなんです。
浜田 あなたタイトルを獲ってるんですよ。
千賀名人 あまりにも三振が多すぎて、怖くなってバント狙いにいっちゃいまして、前回は…。
浜田 ハハッ、振っていかないと。
千賀名人 今回は大振りしました。絶対大丈夫です。
ミッツ 大振りって、ダメなヤツ。
一同 (笑)
→3位発表時に千賀の「お願いします」の祈る仕草がマイク近くのため大きく音を拾ってしまい、浜田から「うるさいな」、北山から「マイク音入り過ぎでしょ」と怒られる
▲予選敗退3位はミッツ
ミッツ あ~、またダメか~、そっか~。
***
浜田 さあ~、残っているのはこの2人。(ライバル同士静かに目線を合わせるも挙動不審になる千賀)…ここまでくれば1位になり…ねえ、昇吉さんね。
昇吉 でも千賀さんの場合は1回優勝しているじゃないですか。だからガツーンと来られたら、一か八かですね。
浜田 どうなの、本人的には?
千賀名人 まあ東大出てようが、俳句には一切関係ない。
梅沢永世名人 関係ない、関係ない。
千賀名人 僕は名人2段でございます。全く心配ございません。
浜田 でも一番お前が心配してるやん、ずっとこうやし。北山どうなの、今のこの状況こいつの。
千賀名人 全く大丈夫。
北山 完全に情緒不安定です(笑)。上がったり下がったり。
浜田 そういうことでしょ。
▲決勝進出1位はキスマイ千賀、補欠2位は昇吉
千賀名人 やった~!
昇吉 うそー。
梅沢永世名人 これはすごい。
昇吉 くそー。
浜田 (千賀が)めっちゃ喜んだやん×3 そんな自信なかったんや。
千賀名人 いえいえ全然、自信しかなかったです(笑)。
***
千賀名人 いや~、嬉しいね。
梅沢永世名人 うん、スッと見えるようになりましたね。そこに座ってる時よりも。
浜田 いやいや、何やねん。
千賀名人 ありがとうございます。
***
→名人3段・立川志らくはタイトル戦が8回目。過去4回当落線上でのギリギリの予選落ちを味わっている。
浜田 確かにそうでした。
志らく名人 いつも惜しい所で。
浜田 今日はどうですか?
志らく名人 今日は、円楽師匠(1級)に追いつけ追い越せで追い越しましたから。1位通過ですね。
浜田 そうですね。
浜田 敵はいないんじゃないですか? ここ(円楽)唯一…。
北山 いやいや…。なんで、僕噛ませ犬の位置なんですか?(笑)
***
→4級・キスマイ北山は5度目のタイトル戦。昨年の冬麗戦は「初旅や頬にぷくりとボンタンアメ」と詠み4位で決勝進出。夏井先生からも絶賛された。
北山 私、円楽師匠とは違って決勝には行ったことありますので、経験としては…。
円楽 そんないじめなくたっていいじゃないかよ。年寄りいじめるもんじゃないよ。
浜田 千賀的にどう思う?北山この位置やったら…。
千賀名人 最近、かなり勉強してきてるってのもありまして、楽屋とかで以前は見える所で勉強していた。僕たちに「この句どう思う?」とか聞いて来たりしていたんですよ。最近は現場でも勉強していない、僕たちにも聞いてこないんですよ。
浜田 なるほど。
千賀名人 多分俳句のプライドが出来てきて、しっかり知恵がついてきてる証拠なんじゃないかなと思いました。
浜田 分かりました。
***
→1級・三遊亭円楽は7度目のタイトル戦。予選形式となってから6位以下で4連続予選落ちしている。
浜田 師匠、全部敗退してますよ。
円楽 まあ1回は(予選)通過したいですね。
浜田 そうですよね。
円楽 知らない間に(志らく名人を指し)こういう奴らが乗り越えていくから。
浜田 もう今3段になってますよ。
円楽 よそ見てたらふっといっちゃった。
***
→5級・篠田麻里子は初参加。昨年9月の特待生認定後に産休後、今年3月に女の子を出産。出産後初のテレビ出演で初のタイトル戦となる。
浜田 いやこれなかなかですよ、あなた。
篠田 めっちゃ…。
浜田 ずっとやってなかったでしょ。
篠田 あの、休みの間凄く見て勉強していたので、そういう意味ではなんかまあ…出産もしたし、目線が違った俳句を詠めるんじゃないかと。
梅沢永世名人 おー。
浜田 なるほど、分かりました。
***
浜田 (最初に開けるのは)2位。
北山 えっ、いきなり。
円楽 微妙な。
浜田 まあでもここ残ってれば…。
玉巻アナ 可能性は残ってますね。
▲補欠2位は志らく
篠田 志らくさんが?
浜田 これがちょっと番狂わせ。
篠田 怖い。
浜田 志らくはんが2位って言うのがちょっとコレ…どうなんの、残ってんのガラクタだけよ。
→「いや、ちょっと…」と立ち上がって否定を求めるお三方
浜田 ここの2位はなかなかですよね。
梅沢永世名人 びっくりした。
中田名人 今回私、志らくさんが1位になるとホントに思ってたの。
志らく名人 私も思ってた。
一同 (笑)
***
玉巻アナ 円楽さんですが、今まで絶対に渡してきた夏井先生への賄賂ですが、今回はなかったそうですね。
円楽 ちょっと待って…。
浜田 何で今回渡してないんですか?
円楽 何? その賄賂って(笑)。終わってからお手紙をゆっくり、「私の作風が嫌いなんですか?」っていうような(笑)。
浜田 それいらないです。
円楽 いらない?
***
浜田 予選敗退の3位見ましょう。
北山 いや、これ絶対出るなよ。頼むぞ。
円楽 そこやだな、俺。
▲予選敗退3位は北山
浜田 ハッキリ言うたよね、「出るな」って。
北山 もうダメだ。これでダメだったらダメだ。
浜田 北山!
北山 すぐ行きます。
浜田 さあ、これで3位になりましたよ。
北山 そうか。
***
浜田 篠田さん、どうですか? ここまで来ると。
篠田 え~、自信あったんですけど…、でも円楽さんに勝つ気は…。
円楽 いいよ、追い抜いていきなよ(笑)。
篠田 いやいや。
▲決勝進出1位は円楽、予選敗退最下位は篠田
円楽 ホント?
篠田 なんだろう…、ホッとしました。
浜田 いやいや、ホッとしたかも知らんけど、そこお前言っといてくれてさ…(円楽に舌打ちして)下行かしといたら(笑)。
***
浜田 そうか~。
円楽 (移動中、2位の志らく席の前を通る際)志らく君、御免!
一同 (笑)
***
◆それでは順位別にみていきます
【Cブロック】
1位
◆『かき氷 密かに崩す 銀河の夜』 千賀健永(Kis-My-Ft2)◎
夏の「かき氷」と秋の「銀河」の季重なりの問題など、議論すべき点は何点かある。作者の描きたい世界は非常に丁寧に描けた。手元のかき氷から始まり、夏の明るい季語をなぜ密かに崩すのかと読み手は疑問に思うが、星の美しい夜に食べるという語順の展開。移り変わる季節の中のベランダかもしれないと手に取るように伝わる。「銀河」に対して敢えて「夜」と言う必要性があるかという問題だが、「かな」では銀河が強く出てしまい、「夜」で時間の幅や空間を表現したと判断。「星の夜」で季重なりは解消できるが、「銀」のこだわりでかき氷の光や冷たさを表現する意図で敢えて残したと分析した。梅沢永世名人 あぁ~。
【本人談】誕生日に自動の(電動)かき氷機を貰ったことがあるが、1度も使ってなかった。ホームステイ(※1)[→ステイホーム・自粛]中にそのことを思い出して使ってみた。夜12時前にせっかくだからベランダで食べると、かき氷をシャリシャリと崩す音が響いた。その雰囲気が凄く良いと思い、これは句に出来ると思った。
※1 ミッツに「ステイホームじゃない?」と言い間違いを訂正される。
梅沢永世名人 これは
良い句ですよ。
大ホームランだね。
本人 ありがとうございます。
梅沢永世名人 場外に持っていったね、球を。大したもんだ。
浜田 そうなんかな~?
梅沢永世名人 「かき氷」から始まったこの俳句がたまらなく良いわ。
昇吉 いやー、ちょっとあのケチつけるわけじゃないですけど、
「銀河」と「夜」っていうのが付いているんじゃないかと思いますから、先生の意見聞きたいです。銀河って夜だから(→「銀河」なら「夜」は当たり前で、「夜」は不要ではないか)。
夏井先生 (昇吉の指摘は)目の付け所は分かっている質問。
この句は
議論すべき点が何点かある。
一つ目は、
「かき氷」と秋の「銀河」の季重なりの問題。
二つ目は、「銀河」に対して敢えて
「夜」と言う必要性があるかという問題。
全体を読むと、
作者の描きたい世界は非常に丁寧に描けていると言わざるを得ない。
手元の「
かき氷」から始まり、夏の元気な明るい季語をなぜ密かに崩すのかと読み手は疑問に思う。もっと元気にしゃぶしゃぶ食べれば良いではないかと。
ところが、最後に「
銀河の夜」。星の美しい夜に食べるという語順の展開になる。
夏と秋の移り変わっていく季節の中のベランダかもしれないという感じが手に取るように伝わる。
「銀河かな」では銀河が強く出るが、
「夜」で時間の幅や夜の空間を意図的に表現したと判断できる。
「星の夜」とすれば季重なりは解消できるが、「銀」のこだわりで、
シャリシャリとしたかき氷の光や冷たさを表現する意図で敢えて残したに違いないと分析した。
浜田 ホント?ホント?千賀さん、ホント?本人 いや、
言った通りです(笑)。ホントにそうで、綺麗な銀河のように広がる星空の下でかき氷を密かに崩す情景をしっかり描いた。
浜田 先生の解説通りですか?
本人 通りですね。季重なりもしっかり分かってました。
北山 振ったら当たっちゃったパターンじゃないですか?
浜田 (同意して)なあ(笑)。
本人 違う。これはさすがに本当。言わせて。これは本当。
一同 (笑)
浜田 「銀河」に「夜」をつけたのも敢えてつけた?
本人 あえてって言われると
ちょっとアレですけど。嘘なのかもしれない。分からなくなってきた。
北山 たまたまだ。
浜田 先生、これ直しは?
夏井先生 いりません。
浜田 直しなしでございます。
本人 ありがとうございます。
添削なし
季重なりですが、大変心地よい光景を切り取った一句です。空を中心とした光景描写は千賀さんの十八番ともいえます。客観的に見るとそんなに良い句でもありませんが、先生の分析に助けられた部分が大きい印象です。中七「密かに崩す」がどちらの季語を修飾するかで一瞬迷い、上五に「を」があれば明確になると思いました。しかし、「銀河の夜」は銀河自体も崩れるかのようなかき氷を食べるという読みも幻想的な比喩表現として悪くありませんし、「夜」は銀河も休むのではないかという意にも捉えられます。理詰めでなく己の感性で詠む部分にこの方の特殊性と表現能力が表れるのですが、今回はホームランでしたね。決勝にも期待しましょう。
2位◆『スイカバー 隣に君の いない海』 春風亭昇吉◎
兼題写真から目ざとくスイカバーのアイスを見つけ、具体的に言ったのは良い。後半は青春のアニメの1ページのような世界観。村上名人のような若い句柄も作れるのに驚く。1つの世界が作れているため添削は不要。梅沢永世名人 どうした?
【本人談】岡山県出身で地元の瀬戸内海の綺麗な海を見るのが好き。周りではそれぞれに夏を謳歌しているが、自分は恋人がいなくて寂しい切なさ。まさに夏をかたどったようなスイカバー(のアイス)に託した。渚に1人で座りながらスイカバーの底辺の角をかじっている切なさ。
梅沢永世名人 こういう村上(名人)みたいなね、ちまちました俳句を詠んでたら上には行けないよ。昔から良いことわざがあるの。「
出る杭は波に打たれる」。調子こいてるとこういうことになるんだ。えっ?こんなちまちました俳句詠んで、
トーナメントで勝てると思ってんのか!? 勉強しなさい!浜田 2位でめっちゃキレられてる(笑)。横尾君、どう思いますか、昇吉さんの俳句は。
横尾名人 いや~、いいと思いますけど
勝ったなという自信はありますね。
本人 えっ?
浜田 あ~そう。
夏井先生 「スイカバー」。アイスクリーム売り場の兼題写真をよく見ると確かにある。よく
目ざとくスイカバーを見つけた。
「
スイカバー」と
具体的に言ったのは良いと思う。後半「
隣に君のいない海」には
青春のアニメの1ページのような世界観がある。
村上2号が出てきたかというような句柄で…。
本人 (納得しない顔で)えっ?
夏井先生 若い句柄も作りになる。
これはこれで、1つの世界が作れているため添削は不要。
本人 じゃあ、1位にして下さいよ。
夏井先生 1位の句見てから言って。添削なし
氷菓の固有名詞を入れて無難に心情を描写した一句ですが、句を見て思わず拍子抜け。技術的な欠点は無いようにも思いますが、無難なのがこの句の弱点で、志らく名人が指摘した「歌謡曲」が言い得て妙な所。「西瓜」は初秋の季語ですが、「スイカバー」を氷菓の傍題と受け取る読者がどれだけいるのが悩ましい点。「SUIKA BAR」として海辺でジュースでも売っている意にとる方もいたようです。「スイカ」「海」は距離感が近く、夏の恋愛もベタな発想で、ネガティブな「いない」の心情も少々野暮であり、分析すればするほど陳腐にも感じました。梅沢名人の「どうした?」は前評判が高い証拠ですが、以前のタイトル戦なら間違いなく予選通過できただけに、本人はもどかしさも感じたはずです。
3位◆『溶け出すバニラ 職蟻たちの フェロモン』 ミッツ・マングローブ◎
やろうとした意図は面白く、発想力には感心する。「溶けだす」は手に持つ状態だと読み手は誤解するため、地に落とした状態を明確に書く。悩ましいのが「職蟻」にこだわるべきか。「働き蟻」の方が分かりやすいが、「たち」は無くてもアイスにたかるアリは複数だと思う。どこから弾が飛ぶか分からないため面白い。一表現者として作者のファンではある。※「職蟻(しょくぎ)」とは働きアリのこと。
【本人談】アイスクリーム売り場は、屋台のようなものや移動アイスクリーム屋がある。公園でアイス(クリーム)を食べ始めてボテッと落とす子どもがいて、自分もそのタイプだった。食べかけのアイスが地面に落ちてアリがたかってくる。バニラの甘い匂いとアリの出すフェロモンが一つの流れに繋がる。
梅沢永世名人 ミッツらしいなとは思いますよ。ただ、
情報が中途半端。「溶け出すバニラ」は下のバニラですよね、道に落ちてる。
本人 そうですね。
梅沢永世名人 これ読んだら、
手の中からベロベロって落ちてるのか、器に入ってるのが溶けちゃったのか。読み手が分からない。だから3位なの!
夏井先生 おっちゃん素晴らしい。おっしゃる通り(
上五の状況が中途半端という梅沢の指摘)。
やろうとした
意図は面白く、相変わらず作者の発想力には感心する。
「
溶け出すバニラ」は
ソフトクリームなどを手に持つ状態だと読み手は誤解する。
地に落とした状態を明確に「
落ちた」と書く。
もう一つ悩ましいのが
「職蟻」にこだわるべきかの問題。
「働きアリ」の方が読者に分かりやすいかもしれないが、本人がこだわるなら「職蟻」の硬い言葉でも構わない。
むしろ気になるのが「
たち」。働きアリは
絶対複数で群がり、1匹だとは誰も思わない。「働き蟻(職蟻)のフェロモン」でも意味は伝わる。「落ちたバニラ働き蟻のフェロモン」で合計17音。
この人の
発想は、どこから弾が飛ぶか分からないため面白い。
私は
一表現者として作者のファンではある。
本人 あ~、嬉しい。
添削後
『落ちたバニラ 働き蟻の フェロモン』
ミッツさんらしい発想と独自の表現で「蟻」の光景を切り取った一句です。「職蟻」は白蟻も指すようですが、この言葉を持ってくるのは知識人。「蟻」があれば地面にアイスが落ちているのは分かるので、梅沢名人の指摘は気になりませんでした。問題点は、「バニラ」が本来は香料の原料となる植物を指す点。しかし、「蟻」と季重なりになるため「アイス」を避けた意図もありそうです。また、「フェロモン」は蟻が巣に戻って餌の在処を仲間に知らせるために自身が出す「道しるべフェロモン」とも読み取れますが、当方はアイスの匂いの比喩だと受け取りました。季重なりで「フェロモンの如き氷菓に職蟻あり」などともできますが、個人的には、夜の街のバニラの匂いに誘われる職蟻のごときサラリーマンの意味を込めた方が発想が活きるように感じました。
4位◆『毒々しと 思ふ日あり 氷菓子』 森口瑤子◎
六六五のリズムが、この内容に対して適切ではない。毒を感じるのは人物に対して同じだとの意図があるならそれを書くべき。「日あり」を諦めて句の奥行きを出す。「人も」と入れれば良いが、「吾も」を入れればより謙虚な空気を自重と共に醸し出す。梅沢永世名人 うーん。
志らく名人 怖い。
【本人談】甘くて冷たくておいしいみんなが大好きなアイスクリームもたまに甘すぎたり色もどぎつかったりする。人も優しくてみんなから好かれるような人にも毒を感じる時がある。その思いを詠んだ。
浜田 怖いな~、もう(笑)。
梅沢永世名人 やっぱり
俳句は五七五でまとめてもらわないと。リズムがないんです。俳句にリズムがない、致命的ですよ。
本人 分かりました。
梅沢永世名人 これなっちゃん、怒りますよ。
浜田 いやいや、怒るかどうかは分からないです、せんせーい。
夏井先生 六六五でリズムがないという梅沢の指摘は当たっている。
六六五がダメなのではなく、
内容に対してこのリズムが必要かという考え方が大切。
前半のフレーズ「
毒々しと思ふ」は季語「氷菓子」の描写だと思い、その添削を考えたが、「人も」と今本人が言った。
人物も同じだとの意図があるなら、それを書いた方が良い。
「日あり」を諦めれば、もっと句の奥行きを出せる。
「毒々しと思ふ」で一旦切る。「氷菓子
も」の最後に「
人も」と置く。
他人に対して「人も」と言うのは、好感度下がるから嫌だと思われたら、季語を「氷菓」とし、「
吾(あ)も」を最後に入れれば、
謙虚な空気が自重(じちょう)と共に醸し出す。
こっちの方が作者の言いたいことに近いかもしれない。
本人 ビックリしました。とってもこれを言いたかったけど、一生懸命やってもどうにも句にならなかったので、スッキリしました。ありがとうございます。
添削後
『毒々しと思ふ 氷菓子も人も』
『毒々しと 思ふ氷菓も 人も吾も』
着眼点は面白いですが、リズムが伴わなかった一句。最近のアイスは色々な着色料を用いたものやフレーバーがありますので、言いたいことは良く分かりますが、原句に「日のあり」と一音入れたかった印象です。何のアイスを見て毒々しいと思ったのか気になりました。この番組では六六五のリズムで詠まれた名句は記憶の限りありません。志らくさんは「ジョンレノンを聴く魚屋目借時」で予選通過を果たせず、ミッツさんは「新た御代(みよ)の見出し立たん桜真風(まじ)」で降格しています。このリズムを使いこなすのはどんな内容の句なのでしょうか。楽しみに待ちたいところです。
【Dブロック】1位
◆『氷壁崩落 白玉を 掘り出す』 三遊亭円楽◎
非常に楽しませてもらった。上五はアイガー北壁や南極の氷山を匂わし、「白」が出ると氷山崩落のイメージを脳で思うため、一瞬「白玉」だと思いにくく、考える間合いが非常に面白い。頭が大袈裟なため、後半も敢えて大袈裟にしないと言葉の質量のバランスが取れない。「白」の一字の効果を見事に使って飄々とした味わいを出した。作者が元々持っている素質がやっとこの句で出た。【本人談】かき氷の思い出をずっと掛けてたら色々遊べる。(宇治金時の)白玉を食べたいので上の氷がバラバラと崩れる様子を大袈裟に「氷壁崩落」とし、何だろうと思ってたら白玉を食ってた。落語のオチの落差を俳句で表現した。
本人 な、
昇吉、こういう風にやるんだ(笑)。
梅沢永世名人 いや、
粋ですよ。この「白玉」が出てくる所がな~、ホントに、師匠でないとこういう俳句は作れませんよね。いや~、粋ですよ。
浜田 中田さんも一緒ですか?
中田名人 そうですね。「氷壁崩落」から「白玉」が出てくるってお見事です。
夏井先生 非常に楽しませてもらった。
「
氷壁崩落」は
アイガー北壁や南極の氷山を匂わし、いきなり「白」が出ると氷山崩落のイメージが読み手の脳に強く残るため、一瞬「白玉」だと思いにくい。
「はく」「ぎょく」かと思うが、「しらたま」かと。この
考える間合いが非常に面白い。
頭が大袈裟な表現のため、後半を軽くすると言葉の質量のバランスが崩れる。
敢えて大袈裟に「掘り出す」と複合動詞にして、バランスを取った。
「白」の一字の効果を見事に使って飄々(ひょうひょう)とした味わいを出した。
作者が元々持っている素質がやっとこの句で出た。直しはいらない。
添削なし
大袈裟な比喩と語順の展開が効いた落語家らしい破調の一句。上五で、南極の氷山が崩落するような映像を思いますが、最後の「掘り出す」もマッチした言葉選び。「氷壁」は冬の季語ですが、ここでの季語は「白玉」ですね(ご指摘を頂きました)。季語以外のフレーズが全て比喩に使われ、全体を読んで映像の謎解きをするというまさに落語のオチと本人が語るどんでん返しは見事でした。当方は、宇治抹茶や宇治金時のかき氷はあまり食べないのですが、かき氷の氷を上手く崩せずにこぼす感覚は共感できます。円楽師匠の代表句の一つになりそうな印象でした。
2位
◆『八月十五日 アイス溶け続け』 立川志らく◎
季重なりの句。終戦記念日の重い季語の後に「アイス」と夏の季語が続く。玉音放送や蝉の声、すすり泣く人たちの声が否応なく出る季語に対し、「アイス」は現代に切り替わっていると読んだ。手のアイスは(時の流れを超えて永遠に)いつまでも溶け続けている。「け」と切らずで流しているのも作者の意図に違いない。重いテーマに果敢にチャレンジした姿勢を褒めたい。終わらない戦争のイメージをアイスの現代的な映像で切りだしていく。力をつけている証拠。浜田 はあ~。
円楽 なるほど。
【本人談】(終戦記念日の)8月15日は日本で一番長い日と言われている。ラジオからの玉音放送を聞きながら、ただならぬ大人たちの雰囲気。たまたまアイスキャンディーを持っていた子どもが舐めることも出来ずにアイスは溶け続けている。日本人に忘れてはいけない日のため、この日だけでなく永遠にアイスは溶け続けるという気持ちを後半のフレーズに込めた。
梅沢永世名人 いや、
オシャレな俳句ですよ。「
八月十五日」もこれ季語ですから。
浜田 あ、そうですか。
梅沢永世名人 「
アイス」も季語なんです。
浜田 あっなるほど。
梅沢永世名人 上手に2つの季語を使って、それで「アイス溶け続け」ときた。これオシャレな俳句ですね。
浜田 へぇ~、同じ2位ですが、昇吉さん。
昇吉 全然ダメですね。
浜田 全然ダメ?
昇吉 「終戦」と「アイス」の取り合わせが、だって全然モノがないのに、子ども達が食べる物がないのに、なんでアイスがあるの?って思っちゃいます。
→「アイス」を戦時中のものととらえ、戦時中に市販されていないはずのアイスがなぜ終戦の日に存在するのかを鋭く指摘する
本人 少なくとも君の
中途半端な歌謡曲みたいな句(スイカバー)よりは良いと思うんだよね。
一同 (笑)
夏井先生 季重なりの句。
「
八月十五日」のように、何月何日の季語はいくつかあるが、これが一番重い終戦記念日。
日付の重い季語の後に「
アイス」と夏の季語が続く。
読み方として、
玉音放送や蝉の声、すすり泣く人たちの声が否応なく出る季語に対し、「
アイス」は
現代に切り替わっていると読んだ。
手のアイスは(時の流れを超えて永遠に)いつまでも溶け続けていく。
最後を「け」と切らずで流しているのも作者の意図に違いないと伝わる。チャレンジしている。直しはいらない。
本人 彼(昇吉)が言ったのは一つも入ってこなかったですね。
浜田 ねぇ。
昇吉 ちょっと、先生。「アイス」と「終戦」の取り合わせってちょっとミスマッチ…。
円楽 だから
「今まで続いている」という永遠と、うん。
一同 (笑)
→落語家2名の圧力に屈す昇吉
円楽 だから
お前は落語もまとまってないんだよ~、お前は~(笑)。
浜田 怖い2人おるなあ、もう。面倒くさい回に来たな、昇吉(笑)。
昇吉 今度から同業者なしで。
円楽 東大だけでやれ、東大だけで。
添削なし
終戦記念日の持つ雰囲気をアイスの光景に託したネガティブな破調句です。季語「八月十五日」は「終戦の日」「終戦記念日」でもあり、これらの季語にしなかったのはカレンダーの一日という時間表現の他に、当時の玉音放送が流れるその瞬間の意味を強調する意図も感じられます。昇吉さんが指摘したように、戦時中に子ども達がアイスを食べられる状況にあったのかは1つのポイントですが、「アイス」が戦争の負の遺産や涙のようなものを象徴する意味合いが重要で、それらが溶け出して人々の記憶から消え去ってしまうことに警鐘を鳴らす作者の意図もありそうです。内容が尖っているだけに好き嫌いの判断が大きく割れそうで、当方もあまり好きではありませんが、情景に心情を込める実力は素直に認めなければなりません。
3位◆『氷菓美美し アンディウォーホルの色彩』 北山宏光(Kis-My-Ft2)◎
面白い切り口。こんな発想を思いついたのが作者を見て驚く。氷菓のパッケージを見て、美術家の色彩だと気付く時点で俳句の素材を掴んでいる。古語「美美し」と現代美術の意図まで狙ってしまったため、「色彩」と殺し合って損した。最後の「色彩」で人名が活きるため、上五を変える。「ぎっしり」「いろいろ」などで表現できる。「百円」ならチープさも出て逆の面白みも出る。浜田 あ~、そう~。
【アンディ・ウォーホル】(1928-1987) アメリカではポップアートの巨匠とも呼ばれ、20世紀を代表するマルチ・アーティストの一人。 マリリン・モンローの肖像画を題材にした作品は世界的に有名。 |
【本人談】アイスクリーム売り場の兼題写真から、アンデイ・ウォーホルのポップアートを象徴するような派手な色彩を連想した。古語と現代美術を組み合わせることが楽しいと思い、氷菓の(パッケージ)の綺麗な色が、アンディウォーホルの色彩に似ていたのではないかと。僕としてはかなり攻めた句。
梅沢永世名人 これはね、
五七五にしなかったことで攻めたんでしょ?
まだ5年早い。
本人 5年も(笑)。
梅沢永世名人 それから
「美美(びび)し」ときたら、「色彩」はいらないでしょ。
本人 それも悩みました。
梅沢永世名人 ね。ここも余分だったかな。
本人 悩んだんですよね。
夏井先生 面白い切り口だと思う。
こんな
発想を思いついたのがあなただったと作者を見て驚いた。
本人 でしょ!?
夏井先生 ですよ、ホントに。
浜田 なあ、千賀。
黙ってたらこういうことしてるってことですよ。
千賀名人 そうなんですよ。
結局、勉強が足りないってことですね。
→状況が読み込めてない千賀名人の反応に、御大が身体を使って笑いだす
夏井先生 足りないわけじゃないですよ、これは。
浜田 お前、聞いてた!? 話を。
千賀名人 話、聞いてました。
夏井先生 何が面白いか。
氷菓(のパッケージ)を見て、美術家の色彩だと気付く時点で
俳句が一句になるものが何かを掴んでいる。
問題点は、
古語「美美し」と現代美術の意図まで狙ってしまったため、「色彩」と殺し合って損した。
「美々し」と「色彩」のどちらを残すかの二択。
最後の「色彩」で人名が活きるため、
「美々し」を消して、上五を変える。色んなものがここに入る。
兼題写真のような形なら「
ぎっしり」、色々な色があるなら「
いろいろ」などと表現できる。
「氷菓
百円」ならチープさも出て、逆の面白みも出るかもしれない。
浜田 こういうことが出来るようになったんだね、と先生おっしゃってますよ。
本人 俳句の種を掴んだときに、もう
俺天才かもと思ったんですよ。
浜田 うん、そうちゃ~う。
一同 (笑)
本人 絶対違う目してる!→思わずはにかむ浜田
添削後
『氷菓ぎっしり アンディウォーホルの色彩』
『氷菓いろいろ アンディウォーホルの色彩』
『氷菓百円 アンディウォーホルの色彩』
人名の固有名詞と視覚的な表現を取り合わせた破調の一句です。確かに作者には仰天しますし、特待生4級の方の表現とは思えません。アンディ・ウォーホルはマリリン・モンローのキャッチーな色彩の肖像画が有名な画家で高校美術の教科書に掲載されています。北山さんは何に触発されて、この表現を知ったのかに興味を持ちました(Tシャツのイラストプリントでしょうか)。また、「美々しい」は華やかで美しいという意味で、表現としては凝っていますが、多少やり過ぎた感はありました。しかし、一皮むけたような感触の北山さんだけに、平場陥落は二度となさそうな印象に変わりました。
4位◆『アイスの当たり棒 そっと仕舞う甥』 篠田麻里子◎
可愛い光景を切り取った一句だが、この内容は定型が良い。調べが掴み取れてないケースで、語順を変えるべき。「そっと」「甥」のどちらかを残すが、お話から「甥」を残す。「甥っ子」の人物と小さい年齢を先に出せば、作者との関係性も分かる。最後に当たり棒が映像として残る。円楽 分かるな~。
【本人談】親戚で集まった時にアイス(キャンディー)を食べたが、甥が当たり棒だったのをそっと隠した。普通「当たったよ~」と見せるところをそっと隠したところに性格が出ると思い、それがキュンときた。
梅沢永世名人 やっぱり
五七五だったら、もっとリズムが出たんじゃないかな~。
夏井先生 可愛い光景を切り取った一句。
この内容は
梅沢の指摘通り五七五に十分できる。
「アイスの当たり棒」から始めようとしたため、
五七五の調べが掴み取れてないケースで、語順を変えればよい。
「そっと」「甥」のどちらかを残すかの二択だが、お話から「甥」を残したい様子。
本人 「甥」っ子を残します。
夏井先生 「甥」だと色んな年齢になるが、「甥
っ子」なら小さい子だと分かる。「甥っ子が仕舞うアイスの当たり棒」と展開するだけ。
本人 えぇ~、凄ーい。
夏井先生 「甥っ子」という
小さい年齢の人物が先に見えて、作者との関係性も分かる。何をしまうかと思うと、最後に当たり棒が映像として残る。
梅沢永世名人 いいなぁ~。
本人 リズムが全然違いますね。
浜田 そらそうです、そらそうです。
添削後
『甥っ子が 仕舞うアイスの 当たり棒』
家族団らんの様子を思い浮かべられる一句ですが、破調のリズムが似合いませんでした。俳句の種は良いですが、「子」と書くと陳腐になるだけに本人は表現や語順を色々と悩んだのかもしれません。アイスの当たり棒といえば「ガリガリ君」が代表格。よく、駄菓子屋に引き換えに行ったものですが、今はその駄菓子屋もすっかり影を潜める時代になりました。また、甥っ子の仕草の可笑しみに目を付ける点もやはり特待生です。しかし、産休明けのタイトル戦は少々重荷な印象でした。昇格試験に挑戦し、着々と段位を上げて欲しいところです。
■最後に、各ブロック補欠2位4名の中から決勝進出者を発表◇各ブロック2位A | 横尾 | 夕虹やデビュー知らせし茶封筒 |
B | 皆藤 | 検診結果封切る刃先日の盛り |
C | 昇吉 | スイカバー隣に君のいない海 |
D | 志らく | 八月十五日アイス溶け続け |
横尾名人 決勝に出てどのくらいの実力かは試したいと思っております。
皆藤 はい。あの…1番2位になってほしくないと思っていたお2人(昇吉・志らく)が2位となって、恐れていたことがって感じです今。
志らく名人 うーん、こうやって読んでみて見比べると、まあやはり
敵は皆藤さんですね。行きたいな~。
→結果が書かれた査定カードをマジックハンドで浜田に渡す玉巻アナ
浜田 敗者復活から勝ち上がった
10人目の決勝進出者は…
↓ ↓ ↓
浜田 (Dブロック)
立川志らく!
志らく名人 今ちょっとね、うるっときて泣きそうになりました。いや、まさか…。
夏井先生 (決勝進出理由)
重いテーマに果敢に挑んでいる姿勢を褒めたい。
終わらない戦争のイメージを溶け続けていくアイスの現代的な映像で切りだしていく。
力をつけている。
横尾名人 いやもう…皆藤さんのを見た時点で僕はお手上げだと思いましたし、志らくさんのを見てこれはこっちだなというのは、何となく分かってたので…。
浜田 あら。
横尾名人 だから、
僕はこの中だったら3位だったなってのは…(笑)。
→首をひねる昇吉
※横尾の見解
浜田 何やねん、それ。
横尾名人 「スイカバー」に勝ちました。
一同 (笑)
●進出者まとめ(
は決勝進出) | A | B | C | D |
1位 | ジュニア | 村上 | 千賀 | 円楽 |
2位 | 横尾 | 皆藤 | 昇吉 | 志らく |
3位 | パックン | 松岡 | ミッツ | 北山 |
4位 | 馬場 | 河合 | 森口 | 篠田 |
決勝参加者:東国原名人、藤本名人、中田名人、岩永徹也、梅沢永世名人+予選通過5名※次回8/6はいよいよ決勝、兼題は「ポイントカード」です。
予選後半のC・Dブロックのお題は「アイスクリーム売り場」。コンビニなどの冷凍コーナーには様々なアイスが並びますが、前回の「封筒」と異なるのが季節感のあるお題であること。「氷菓」「ソフトクリーム」などは夏の季語です。作りやすいお題ですが、「アイス」から安易に子や恋愛へと発想すると、個性的な句になりにくいのが難しいところ。
季節感のあるお題で、ガチの1位を狙う大会となったためか、Aブロック上位2名を除く計6句が破調に挑戦。さらに食べ物とは別に季語をさらに入れる季重なりの意欲句が予選通過する形になり、いわゆる置きに行った句での決勝進出は難しい状況になってしまいました。
今回で通算14回目となるタイトル戦。1つ確認したいのがそのコンセプトです。本来タイトル戦は、「段位関係なしの一発勝負」でその季節における俳句王を決定する大会でした。しかし、コメントもいただきましたが、それらを揺らぐ形式変更が起きています。
まず、予選の4ブロック制(2兼題×2ブロック)。予選2兼題制は前回の春光戦からの採用で、特待生の人数が多くなってきただけに仕方ない仕様に思います。今回は新型コロナ対策として密を避ける意図で一度に席に座る人数を多く出来ないのはあるにせよ、やはり今回のように同じ兼題で分けてしまうと、ブロックによっては決勝進出の難度が変わる不公平感はありそうです。また、16名中5名しか予選通過できないというのは割合としても非常に厳しく、前回も書きましたが、予選なのに奇を衒う俳句が続出することになりかねず、より多くの人物が決勝に行けるようにして欲しいところです。
また、永世名人のシード権処遇についても複数のコメントを頂きました。梅沢名人は前回の春光戦は10位と最下位でしたが、私のスタンスとしては、永世名人に昇格した御褒美としてその次の大会に限りシード権がない場合は与えるという一時的な措置なら他の人物にも公平に適用できるためアリだと考えます。しかし、段位の昇格状況をタイトル戦に適用するのは「段位関係なし」に背くではないかという意見もごもっともでございます。また、紹介テロップでは、「永世名人」を筆頭に、「シード権」4名が並んでいたため、この特権は半永久的に適用される可能性もあり、去就がまだ明確ではありません。梅沢さんはここ最近、ご意見番も含めて毎週のように出演し、既に100句以上を詠まれている「ミスタープレバト」。視聴率への貢献度も大きいため、このルール作りにおいてもバラエティ番組としてとるか、俳句大会としてとるかという舵取りが難しいですね。
以上2点に於いてはより多くの視聴者が納得できるよう改善して頂きたい部分です。
最近は、ジャニーズの面々もコメント力が上がってきているように感じます。浜田さんも個性を理解して話を振っているようですし、横尾さんの2位4名の順位見解も大変納得致しました。見届け人ですが、梅沢名人の指摘が目立ち、中田名人がほとんど意見がなかったのが残念。コメント頻度の差が露骨にありますが、できれば色々な方の意見を聞きたいですし、その方が各々の実力付けにもつながりますからね。
さて、いよいよ次回は決勝戦。どんな俳句が飛び出すのか期待しましょう。
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