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【春光戦予選B】20200312 プレバト!!俳句紹介【絆創膏】

2020年3月12日放送 プレバト!! 俳句春光戦予選Bブロック結果まとめ
年4回の改変期に選ばれし名人・特待生のみが参加を許される俳句タイトル戦。
春の季節に行われる第4回春光戦予選Bブロックで名人・特待生の面々が詠んだ俳句を紹介します。

・は自解要約、◎は夏井先生講評の要約です。

予選Aブロックはこちら。

挑戦者→千原ジュニア[46],中田喜子[37],千賀健永[35],松岡充[17],北山宏光[27],三遊亭円楽[16],馬場典子[11] ※数字は挑戦回数
見届け人:梅沢名人、東国原名人、横尾名人

名人4段中田
名人初段千賀、ジュニア
1級円楽、松岡
5級馬場、北山

●お題:絆創膏

※上位3名が決勝進出
1位千原ジュニア名人初段顔面骨折カニューレの接ぐ春の朝がんめんこっせつかにゅーれのつぐはるのあさ
2位中田喜子名人4段テーピングの足春泥を撥ね上ぐてーぴんぐのあししゅんでいをはねあぐ
3位千賀健永(Kis-My-Ft2)名人初段稽古場の靴ずれ血豆春の雨けいこばのくつずれちまめはるのあめ
4位松岡充1級春の星ギターケースに絆創膏はるのほしぎたーけーすにばんそうこう
5位北山宏光(Kis-My-Ft2)5級入学式絆創膏に母のがんばれにゅうがくしきばんそうこうにははのがんばれ
6位三遊亭円楽1級明くる朝接木に孫の絆創膏あくるあさつぎきにまごのばんそうこう
7位馬場典子5級逃げる春の鱚残る指の傷にげるはるのきすのこるゆびのきず
順位発表順:4位→2位→最下位→6位→1位→5位→3位
→編集後記

◆挑戦者語録(VTR)
北山 夏井先生が、「北山君何か掴んだね~」って言って下さったんですよ。
千賀名人 北山さんと横尾さんの土俵にならないように、ちょっと僕はそこは食い込んでいきたいなと思いますね~。(スタジオでは)凄く作りやすかったです。
梅沢名人 俺が優勝しなかったら、プレバトじゃないだろ。

■発表待ちシートにて

***

◆それでは順位別に見ていきます

1位◆『顔面骨折 カニューレの接ぐ 春の朝 千原ジュニア
こんな句が出るとはビックリ。「カニューレ」が医療器具と知り、形まで見て納得。上五は四字の漢字をぶつけ、迫力と状況が痛々しく分かる。「接ぐ」の動詞があるかで、句の出来が上下したが、淡々と言い切った。季語が再生への希望のような象徴・イメージを持つ。こんな痛い目したら良い句が出来る。

浜田 う~わ!

【本人談】
20年ほど前にバイク事故で死にかけた。顔面骨折で15時間ほどの手術をした。首元を切開し、カニューレを入れて人工呼吸器を付け、手術後に目が覚めたら春の病室。朝無事に目覚めることができ、手術の成功で生かされた時のことを詠んだ。
カニューレ】医療器具
心臓や気管などに挿入する太めの管


東国原名人 やっぱね、バイク関連に戻すと良いですね!
一同 (笑)
東国原名人 やっぱ、これなんですよ。実体験だし、魂がこもってますわ。

夏井先生 
ビックリした。こんな句が出るとは。
カニューレ」が医療の何かと想像はつく。調べてみて形まで見て納得。
上五は四字の漢字をぶつけ、字余りに迫力があり、状況が否応なく痛々しく分かる
「カニューレ」という片仮名の物が出てくる。
接ぐ」の動詞をよく見つけた。これがあるかで、句の出来が上下したが、淡々と言い切ったのが良い
季語「春の朝」が再生への希望のような象徴・イメージを持つ
こんな痛い目したら良い句が出来るんだ。凄い。直しはいらない。

本人 ありがとうございます。
浜田 いや、素晴らしい。

添削なし

2位◆『テーピングの足 春泥を撥ね上ぐ 中田喜子
凄く工夫している。季語は雪解けの頃のぬかるみ。足元に焦点を絞った思い切りが良く、上五で不安や故障上がりを感じる。全部で17音にするため「上ぐ」と文語にした工夫が仇で、現場の勢いが微量削がれた。上五字余りの定型に。口語の方が生々しく、場面がありありと浮かびやすい。

※五七五の基本の型ではなく、全部足すと17音の破調に挑戦した一句

【本人談】
マラソンランナーが足にテーピングをしながら練習する光景。春の泥を靴で撥ね上げている力強さを詠んだ。

横尾名人 情景とか光景が凄く見えてくる句だなと思います。
梅沢名人 実に素晴らしい句だと思いますよ。ただね…私はちょっと考えすぎたなと思いますよ。
本人 え、どこが?
梅沢名人 これ全部足すと17音ですよね。もしかして、少し変えただけで1位だったと思う。そのぐらい難しい句ですよ。
本人 …そうですか。
浜田 どこを変えるんですか?
梅沢名人 急に言われても(笑)。最後のとこですかね。何か、そこちょこちょこっと変えれば、もっと。
浜田 「最後をちょこちょこっと」って。
梅沢名人 …あればねえ。

夏井先生 
おっちゃん偉い。その通り。
あとはちゃんとはっきり残りを言えよ!って話。
句は凄く工夫している。季語は雪解けの頃の泥
春泥】春の季語
雪解けなどでできたぬかるみ

足元に焦点を絞った思い切りが良い
テーピング」で何らかの不安や故障上がりを感じる
全部で17音になる型を使った。そのための工夫として最後を「上ぐ」と文語にした。
文語にしたことで、逆に現場の勢いが微量削がれた
口語で真っ直ぐ書き、1音の字余りを気にしない方が生々しかったかもしれない。
上五は「テーピングの」と字余りで区切り、「足春泥を撥ね上げる」と口語にすると、場面がありありと浮かびやすいかもしれない。

浜田 でもこのままでも…。
夏井先生 はい。
浜田 良いですよということでございました。おめでとうございます。

[ここがポイント]
口語の勢い
※「撥ね上ぐ」でも映像は伝わりますが、「撥ね上げる」と口語にすることで蹴り上げる足のアップの勢いが増します。文語と口語、どちらの文体が表現したい内容に似合っているかを考えることも重要なポイントです。

添削後(添削なしを許容)
テーピングの 足春泥を 撥ね上

3位◆『稽古場の 靴ずれ血豆 春の雨 千賀健永(Kis-My-Ft2)
実体験が読み手に伝わる。上五は相撲とも思うが、中七でダンスなどの稽古場に違いないと光景が見える。中七のテンポで臨場感が生まれる。休憩時間に靴ずれが痛いと思うと血豆があり、窓の外の春の雨が柔らかく静かに降るというひんやりした感じも傷を癒す感触がある。実体験は強い。下手なことを考えてはいけない。

【本人談】
約15年前にKis-My-Ft2を結成(※1)。デビュー(※2)当時、初めてローラースケートを履いたが、2週間後の舞台が本番で、死ぬ気で練習しないと間に合わない。足に血豆がいっぱい出来たことを思い出した。春の雨の暖かさや達成感を思い出して作った。「靴ずれ」「血豆」「春の雨」とリズムも大事にした。

※1
浜田 なんで、そんな(気持ち)沈んでんの?
本人 今、噛みしめてます。
浜田 あ~あ、そういうこと。

※2
デビュー曲は「Everybody Go」

梅沢名人 いや、素晴らしい五七五。好きよ! こういう句は大好き。やっぱり五七五のリズムが良いでしょ。素晴らしい!
本人 ありがとうございます。

夏井先生 
実体験が読み手に伝わると話を聞いて思った。
稽古場」から始まるため、相撲の稽古場かとも思った。
中七でダンスなどの稽古場に違いないと光景が見えてくる。
「靴ずれ」「血豆」のテンポで臨場感が生まれる
休憩時間に靴ずれが痛いと思いながら抜くと血豆ができている
窓の外の「春の雨」が柔らかく静かに降るというひんやりした感じも傷を癒す感触がある。
やはり実体験は強い。下手なことを考えてはいけません。直しはいらない。

本人 ありがとうございます。
浜田 素晴らしい。

添削なし

4位◆『春の星 ギターケースに 絆創膏 松岡充
ちゃんと出来た良い句。色んな事をしない姿勢が良い。季語に青春性を感じさせ、路上で演奏する若者が中七で、若者の挫折や再起力を下五で表現。決勝に残っても良い出来。

【本人談】
春の夜に路上ライブで一生懸命ギターを弾く男性がいた。前に置かれたギターケースに綻びを直すのか、ファッションなのかで絆創膏がステッカーと共に貼られている。季語は「夏の星」でも「冬の星」でもなく、薄曇りの中の星。春の星とアマチュアミュージシャンの夢に繋げて詠んだ。
春の星】春の季語
春の宵に潤むように見える星


夏井先生 
ちゃんと出来ている良い句
ごちゃごちゃと色んな事をやろうとしない姿勢が良い
春の星」という季語に青春性を感じさせ、後は物だけがある
ギターケース」で路上で演奏する若者を思い浮かべる。何たって季語は「春の星」。
絆創膏」が出てくると、若者の挫折や再び立ち上がる力を象徴してくる
きちんと出来ている。
今回、4位以上はどれが決勝に残っても良いぐらいの出来だった。直しはいらない。

浜田 これは辛い4位やな。
本人 (進出ラインが)動かないもんですかね?ちょっと1個くらい。
一同 (笑)
梅沢名人 だから3・2・1位が素晴らしい俳句詠んでるんだ。
浜田 あ~そう。これ言われるとね。

添削なし

5位◆『入学式 絆創膏に 母のがんばれ 北山宏光(Kis-My-Ft2)
貼るのではなく、絆創膏に字が書いてあるエピソードが良い。人物を限定する損得が微妙。「がんばれ」のアップで誰が書いたか想像を広げる。「絆創膏」の物から始める語順で、最後にアップから光景を広げる。名人はどこが引っかかるか瞬時に分かる。だから名人。

【本人談】
絆創膏に母のメッセージが書いてある。小学校の入学式は初登校で、見知らぬ人がいるため朝泣く子がいると思った。その子に傷があるかもしれないと「がんばれ」と母のメッセージが書かれた絆創膏を渡されて落ち着く子がいる様子を描いた。

横尾名人 「母の」はいらないのかなって思いましたね。「入学式絆創膏にがんばれ」でストレートに言っちゃったほうが。

夏井先生 
子が貼るのではなく、絆創膏に字が書いてあるというエピソードが良い
「母」と人物を限定することが俳句では損得が微妙になる
「母」と書かず、「がんばれ」を映像のアップにしておくことで、誰が書いたのか、母か?父か?祖母か?と想像が広がる
この句は「絆創膏」のアップから始めるべき
がんばれ文字」と鍵括弧をつけ、カットが切れる。最後に「入学式」とアップから光景をバーンと広げる
浜田 横尾も言うてたね、「母」はいらんとかね。
夏井先生 その通り。
名人はどこが引っかかるか瞬時に分かる。だから名人なんです

浜田 なるほど~。
本人 え、横尾さん褒めて終わった。
夏井先生 うん。
一同 (笑)
本人 横尾さん褒めて終わったよ。

添削後
絆創膏に がんばれ 入学式

6位◆『明くる朝 接木に孫の 絆創膏 三遊亭円楽
発想は良かった。子が絆創膏を貼る句は沢山あるが、接木に貼る行為が良い。季語に優しさ・成長・再生のイメージがある。絆創膏と接木のアップで十分一句になる。語ったような柄で子の存在と思わせる描写をする。

接木(つぎき)】春の季語
芽が出た木を切り同種の幹をつなぎ合わせて繁殖させる


【本人談】
接木は季語だが、人生も子へ孫へという接木ではないか。そんな発想から、接木が終わってどんな花が咲くかが寿命の間に見られるかな~とひょいと別の鉢を見ると、孫がイチゴやキャラクターの柄の可愛らしい絆創膏で接木していた。春の朝のほのぼのとした風景を切り取った。

梅沢名人 なんか1つ要らないような気がするんです。「明くる朝」なのか、何か違う言葉入れればもっとこの俳句良くなる…。
浜田 絶対フワッとさせるねえ。
一同 (笑)
東国原名人 そうですね、上五の「明くる朝」が引っかかりますね。「翌朝(よくちょう)」って意味じゃないですが、「翌朝」って言う必要があったのか、「春の朝」でも全然いいんじゃないかな~と。
→そうそうと頷く梅沢名人

夏井先生 
発想は良かった
子が絆創膏をあちこちに貼る句は沢山あるが、接木に貼る行為が良い
接木」という季語に対しての優しさ・これから育っていく・再生のイメージがある
作者の意図を聞いて初めて分かった部分もある。
例えば、絆創膏と接木のアップで十分に句になる
「明くる朝」と「孫」は別の句になる
「接木には」で始め、中七で「○○○の」とし、最後の「絆創膏」を描写するだけ。
アップの光景。接いだばかりの木に絆創膏を貼っている
まさに語ったような「イチゴ」「キャラクター」で子の存在だとわかる
例えば、「アンパンマンの」。助けに来るイメージ。
ウルトラマンの」。戦うイメージ。
円楽さんなら「月光仮面の」でも良い。

本人 本当に、アップ一つでいけるね。勉強になりました。

[ここがポイント]
子どもだと分からせる描写
※接木の絆創膏に焦点を絞り、映像を具体的に描くことで、「孫」と書かなくてもその存在を想像させることが出来るのです。

添削後
接木に の 絆創膏』
『接木に の 絆創膏』
『接木に の 絆創膏


7位◆『逃げる春の鱚 残る指の傷 馬場典子
釣りの場面といつかの傷を思い浮かべる発想は凄く評価したい。難しい技に挑戦しすぎ。夏の季語「鱚」と「春の鱚」との違いを表現すべきで「逃げる」では不足。後半も釣りとは思い浮かびにくく、表現が曖昧。「針」と書き、前半の描写も季語の若々しさを出す。「は」のリズムを生む。着々と学んでいる。

※先生に発想は褒められた一句。

【本人談】
去年本格的に釣りをした。素人のため魚はすぐ逃げるし、釣り針に引っ掛かり指が傷だらけになったりするのを「鱚(きす)」「傷」で韻を踏み、「逃げる」「残る」の動詞の対比で、魚の勢いやワチャワチャする自身の心拍数を表現したつもり。

梅沢名人 これ、読んだら釣りをしているところが浮かばないじゃないの!
本人 えぇ~。
梅沢名人 「春の鱚」がアンタの指をハニッって噛んで、「うぉ痛ぇ!」っ言って傷が残ったとしか思えない。釣りなんて1つも入ってない、この中に。
本人 そうか~。
梅沢名人 そんなあんた、こんなこと書いてたら今後決勝に残れませんよ。
浜田 結構なこと言うてますね。
ジュニア名人 厳しいね~。

夏井先生 
そんなまで言われるほどの句ではない(笑)。
この発想は凄く評価している。あの兼題写真から、釣りの場面にいき、いつかの傷を思い浮かべる
ただ、難しい技に挑戦しすぎ
春の鱚」は季重なり。「鱚」は元々は夏の季語で、「春の鱚」と一塊にしている。ただの「鱚」と「春の鱚」の違いがどこかに表現を入れるべきで「逃げる」だけでは不足
指の傷」も釣りとは思い浮かびにくく、捕まえて料理しようとしたら逃げたときにできた傷かもしれない。ここの表現も曖昧。
本人 「針の傷」だったらどうですか?
夏井先生 」の方が場面が分かる。
「針」と書き、「のこる」と平仮名にして柔らかくする。問題は前半の描写。「逃げる」だけでは、春の光や鱚の若々しい動きが足りてない。
例えば、ひらっとする光の感じを「ひるがえる」とする。
こうすると、「春」「針」で「は」のリズムが生まれるのが得。
でも、着々と学んでいる

本人 もう先生優しいと涙出そう。
一同 (笑)

添削後
るがえる春の鱚 のこの傷

***
浜田 さあ、こうなりました。
梅沢名人 ジュニアがちょっと怖いですね。
浜田 そうですか。
梅沢名人 はい、一皮も二皮もらっきょみたいに剥けましたよ。
浜田 ん?
ジュニア名人 ちょっと詳しく良いですか、らっきょの件詳しく。
梅沢名人 らっきょの皮をね~。
→剥く仕草をする梅沢の腕を無理やり下げる浜田
浜田 東さん、東さん。
東国原名人 もうちょっとウケてやったらどうですか?
浜田 アハハハッ。

(予告VTR)
梅沢名人 この番組は俺でもってるんだ。
ジュニア名人 えぇ~!
東国原名人 おぉ~!
村上名人:えぇ~!
夏井先生 黙れ!もう。
梅沢名人 裏番組出るからな、ホントに。

→史上最多10名で争う決勝戦は4月9日放送です。
○決勝進出者○1位2位3位4位
シード権(前回)横尾東国原村上梅沢
予選Aブロック藤本岩永鈴木
予選Bブロックジュニア中田千賀


編集後記
予選Bブロックのお題は「絆創膏」という一風変わったお題。6音なのでそのまま使うと、上五・下五では字余りとなり、季語も使うとなかなか発想が飛びにくいですね。上位は「絆創膏」から離れたものを詠み、定型を外した形になるのではないかと予想していましたが、案の定予感がそこそこ的中してしまいました。

1位はジュニア名人で予選は何と6大会連続の決勝進出。非常に衝撃的な過去の実体験を詠んだ一句。頭はインパクトが強い4字の漢字に、医療器具を固有名詞で合わせて臨場感を出し、「接ぐ」で描写のみならず生命を繋ぐイメージを思わせ、「朝」で今後の快復の予感を表現しました。基本的には自分が見た景色なのでしょうが、中七は医者からの第三者目線とも感じ取れ、客観的な表現力もあります。兼題からの飛躍も含めて、好き嫌いは分かれそうですが、やはりバイク関連で詠むと強い方です。

2位は中田名人。走る人物により、泥水さえも飛び散っていくかのような映像が見えてくる一句。こちらも定型ではなく、破調の形式で発表されたものの頭が「テーピング」で5音のため、どうしても定型の方が気持ち良い印象です。以前も「連覇のさきぶれ沸き立つ初電車」とスポーツ選手を連想させる句がありましたが、今回も綺麗に映像を切り取りました。中田さんも予選は4回連続の突破と非常に安定しています。

3位はクリーンヒットの千賀名人。下積み時代の稽古に発想を飛ばした実体験の句で、名詞を重ねて韻を踏む形が評価されました。靴ずれによって血豆が出来る場面はいくつかありますが、痛みをこらえながらも練習に励む場面が想像でき、なおかつ「雨」で本人の心情も表現されています。定型が好きな梅沢名人から太鼓判を貰いましたね。

さて、ここまでが決勝進出でしたが、いずれも「絆創膏」ではなく、別の事故やケガによる表現を用い、しかしながらネガティブな場面から復帰したり我慢したりするかのような明るさを併せ持った形でした。その明暗の落差が激しい句ほど上位に行ったような感触もあります。Aブロックは兼題の「カップ麺」を用いても良しでしたが、このBブロックは置きにいっては決勝進出が無理だというハイレベルな戦いでした。

4位は当ブログをご覧になっていたという松岡さん(本当にありがとうございますm(_ _)m)。発想はミュージシャンらしく、若者だと分かるフレーズに「絆創膏」を合わせ、精神的な傷をも抱えながら飛躍を誓う人物を巧みに描いた印象です。添削なしで決勝に行けないのは初めてではありませんが、当方としては認めてほしかった思いでいっぱいです。

5位は前回決勝進出していた北山さん。「入学式」への発想の転換は良いですが、実体験ではなさそうなのがマイナスだったかも。「絆創膏」に文字を書くのもメッセージ性が強いですが、「がんばれ」が母の台詞だと誤読されかねません。とはいえ、小学一年生の心もとない心情を発想できるのは、なかなか繊細な感覚の持ち主です。今後、化けるかもしれません。

6位は一度も決勝に行けてない円楽師匠。今回は植物の接木に「絆創膏」を使う発想でしたが、生命の息吹も子へと孫へと繋がっていくというイメージを込めたとのこと。やはり、手馴れた俳句を作れる方です。しかし、「明くる朝」が指摘されましたが、落語なりの言い回しが影響するのか、志らくさんも含めて厳しい成績になりがち。名人間近ですので、頑張ってほしい所です。

4位から6位は兼題の「絆創膏」をそれぞれ中七1名・下五2名と用いる場所が異なりましたが、単に人肌に貼って何かをするのではなく、傷を負った別の物や動作に焦点を置くという形で発想してきました。しかし、いずれも予選敗退と厳しい結果に。今回は兼題設定を考えるに、「絆創膏」を用いて何か俳句を詠めというのではなく、「絆創膏」の裏のメッセージ性を感じ取り、傷を負うという負のイメージに癒す・快復するという正のイメージを取り合わせて句を詠めないとダメだというニュアンスを感じ取って発想を飛ばせたかで勝負を決した感がありました。

最下位は初参加の馬場アナ。釣りへの発想は見事です。破調の対句表現になっており、動詞の位置や韻を踏んだ多くの工夫は見られましたが、それらが仇になりました。「春の鱚」という新たな季語作りにも挑戦した印象でしたが、「指の傷」で、初心者でいたたまれない感じが表現されていたように感じました。予選通過で破調に挑戦したい気持ちは理解できますが、素直に定型で詠んだ方が良いようにも思いました。

さて、当方の凡句はこちら。
絆創膏沁みる春夜の米を研ぐ
勿論予選通過を狙ってはおりませんし、今回のレベルですと最下位にも及ばない感じでしょうか。春の夜はまだ水も冷たいですので、絆創膏を貼る傷も心も「沁みる」としてこの表現にしてみました。今回のタイトル戦はみな一発ホームランを狙っている印象で、当方もそういう句が詠めるようになっていきたいところです。今回もフォロワーのシュルクさん、画像作成ありがとうございました。
絆創膏の句


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コメント

No title

「春の鱚」について
夏の鱚とは異なる春の鱚の表現をしないといけないのは他の「{ 春 | 夏 | 秋 | 冬 } の○○」と同様に重要なポイントですね。
あと、「春の鱚」が季重なりと指摘されたとき、馬場さんが「あれ?」と漏らしたのですが、これは「春鱚釣」(晩春・生活)の子季語として「春の鱚」があるからだと思います。(歳時記によっては記載されていないかもしれません)
また、釣りの表現が無かったのは「春の鱚」に「春鱚釣」と同じように釣りの情報が入っていると思い込んでいたからかもしれません。
年は違いますが誕生日が同じらしいので他の方より若干強めに応援をしているのですが、次回に期待したいと思います。

絆創膏沁みる春夜の米を研ぐ
・共感が得られる句。(良い点ではあるが、類想に注意しないといけないかも)
・季語「春の夜(春夜)」である必要性。(疑問点)
 ・”傷も心も「沁みる」”という部分を季語に託してみてはどうか。(提案)
  ・夜の情報は無いが、初春なら冴返る、仲春なら雪の果、晩春なら花冷え等が合いそう。
  ・断言できないのは私の力不足
・「研ぐ」という動作は重要なのか。(疑問点)
 ・重要でないのであれば「研ぎ水(磨ぎ水や白水でも可)」が使えそう。

私も ”研ぎ水は絆創膏へ朧月” や ”研ぎ水は絆創膏へ雪の果” など考えたのですが原句の作意とは異なる気がします。

わざわざ返信ありがとうございますと共に、確認遅れた事お詫び申し上げます。


意見を聞いてくださりありがとうございます。
今後の方針の決断は管理者であるプロキオンさんに一任しますが、私のような意見がある事忘れないでいただけると幸いです。


それにしても他者様にも似たような意見があったとは、失礼ながら安心した自分もいました。



画像があろうが無かろうが、今後もこのブログは楽しみにさせていただいていますので、頑張ってくださいね!

わざわざ返信ありがとうございますと共に、確認遅れた事お詫び申し上げます。


意見を聞いてくださりありがとうございます。
今後の方針の決断は管理者であるプロキオンさんに一任しますが、私のような意見がある事忘れないでいただけると幸いです。


それにしても他者様にも似たような意見があったとは、失礼ながら安心した自分もいました。



画像があろうが無かろうが、今後もこのブログは楽しみにさせていただいていますので、頑張ってくださいね!

Re: タイトルなし

あゆ様

コメントありがとうございます。

編集頻度については申し訳ありません。なるべく週末までに更新したいのですが、昨今の情勢で当方も変則的になっております。今後もイレギュラーになることがあるかもしれません。

さて、画像の件ですが、当方の句をフォロワーのシュルクさん(家族に俳句の先生がいる自称"名人")が番組風編集画像を自主的に作成して頂きましたので、掲載許可の承諾をとり当ブログに掲載しておりました。

添削例に関しまして、別の方からも同様のご意見を頂戴しており、失礼ながら現在は画像作成のみご本人に依頼している状況です。

そのため、次回以降掲載方式(画像掲載の可否を含め)の変更を検討中です。不快な思いをさせてしまったようで、大変申し訳ございませんでした。

今後とも宜しくお願い致します。

編集お疲れ様です。
最近はなかなか更新頻度が低いようですが確実に編集してくださるので私としても安心しています。

さて今回コメントした理由なのですが、最近ショルクさん(?)がプロキオンさんの俳句を番組風に編集して添削もしてるようなのですが、私としては写真はない方がと思います...。

正確に言うと、写真はあっても良いのですがその方がしてると思われる添削内容がどうなんだろうと思うのが多いからです。
今回も無理やり破調にした印象を受け、定型を無理やり崩してる感があって私としては頂けませんでした。


「やめろ」と言うわけではなく、一意見として聞いていただけると幸いです。


長文申し訳ありません。

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プロフィール

プロキオン

Author:プロキオン
俳号「白プロキオン」。全てのブログ記事を編集しています。
毎度閲覧いただきありがとうございます。時間があるときにでもどうぞ。
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