「プレバト!!」で披露された俳優 勝村政信の全俳句一覧です。
特待生5級 勝村政信(かつむらまさのぶ) 合計16句
成績(2023年9月7日時点)<通常挑戦者時代>
才能アリ6回、
凡人1回、
才能ナシ3回
第6回炎帝戦10位・ふるさと戦(写真俳句)で
福島編4位
<特待生時代>1ランク昇格0回、現状維持1回、1ランク降格0回
第7回春光戦予選C1位・
決勝10位、浜田杯7位
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人物紹介◎全俳句目録 (番号クリックでリンク内移動します)
1 | 凡人 | 新入生踏みゆく花のカーペット |
2 | 才能ナシ | 芸人がすべり楽しむ氷上で |
3 | 才能アリ | 校長の眼鏡にうつる春の風 |
4 | 才能アリ | 春の日の大人の入り口蒸しタオル |
5 | 才能アリ | 公魚の欠伸気づかぬ太公望 |
6 | 才能アリ | 殻破る閃閃秋の朝つれて |
7 | 才能ナシ | 飛び石の蛙声静まる靴の音 |
8 | 炎帝⑥10位 | 夏の雲逝くな逝くなと文字叩く |
9 | ふるさと戦(福島)4位 | 山粧ひ一目惚れした吾も粧ひ |
10 | 才能ナシ | 出番待つ揚げ物軍隊秋の宵 |
11 | 才能アリ | 雪道にLINEスタンプバスの跡 |
12 | 才能アリ | つまずいて春を見つけた排水溝 |
13 | 春光⑦予選C1位 | 亡き妻と入学前夜のハイボール |
14 | 春光⑦決勝10位 | 我が給与マックのバイトに負けた春 |
15 | 浜田杯7位 | 青梅雨やビンタを愛に昇格す |
16 | 現状維持 | この階で降りればいいのか鬼灯め |
▼人物紹介「プレバト!!」では黎明期から出演する俳優で、ドラマ「Doctor-X」では腹腔鏡の魔術師として活躍。ドラマの視聴に達者な浜田からもイジラれるほど。
句の特徴は、平易な言葉で自身の実体験を切り取る表現力で、無理をしない句が多い。
過去に夏井先生とNHKラジオの俳句番組で共演経験があり、『俳優勝村政信×俳人夏井いつき 付句のある往復Eメール書簡集』という共著まで出版済み。2度目の出演までは、自身を「夏井先生の弟子」と自負するほどであった。
しかし、そこでまさかの才能ナシ最下位となり、あまりの出来の酷さに殺意を覚えた先生から添削を放棄するほどまで叱責され、破門されてしまった。先生との共演経験のある人物で、才能ナシ最下位獲得者は、U字工事の福田薫、バニラビーンズのレナ、博多華丸に続く4人目である。
その後、才能アリを連続で獲得するも、一向に破門は解かれないことが判明。4度目の挑戦で「連絡は取り合ってないですね、もう。俳句作ってても自由になれない。いつも怒られるんじゃないか」と語っており、意気消沈気味である。
2021年の出場で、3回連続才能アリを獲得して特待生候補になるも破門は一向に解かれず。才能アリ経験者が挑戦できる炎帝戦上位10名に入ることが解除の条件とされたが、残念ながら落選した。それを受けて、4度目の才能アリを高得点で獲得するも、改めて炎帝戦の提出句とここぞの勝負の仕方についてダメ出しされ、破門状態が継続してしまうことに。
2022年の出演で松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」のパクリ俳句を指摘され、自身2度目の才能ナシ最下位に沈む大乱調。夏井先生に舞台での活躍を褒められるも、俳句の筋肉を鍛えていない点がバレてしまう。舞台と俳句を両立する梅沢名人の弟子になるように勧められたが、先生に指名された梅沢名人は弟子入りを拒否。孤立する厳しい状況から依然抜け出せないでいた。
そして、58名がエントリーした第6回炎帝戦で見事10位に食い込んだ。「炎帝戦で10位以内に入る」という条件を満たしたため、遂に破門解除を宣告されたものの、先生から「まだ信用していない」と言われる羽目に。信用回復にはまだ時間が掛かりそうであった。
2022年9月の「ふるさと戦」では4位となったが、夏井先生から「陳腐であまりにも面白くない」と叱責を食らう羽目になり、放心状態となってしまった。
2022年3月から全国公演された勝村と高杉真宙の二人芝居『ライフ・イン・ザ・シアター』を観て感銘を受けた先生が俳句機関紙に『汗と薔薇』という12句の連句作品(※
[10]から通常回記事に掲載)を発表している。一方、この件が紹介された10月の査定では期待に応えられずに3度目の才能ナシに沈んだ。
その後も何とか才能アリを叩き出し、2023年2月の特待生候補者集結査定で6度目の才能アリを獲得。初登場から8年10か月を経る最長期間の下積みを経て、遂に森迫永依に続く番組36人目の特待生に認定。「プレバト!!」以前の旧来の俳句番組から夏井先生と共演経験のある人物では初の特待生である。
特待生として挑んだ2023年の春光戦予選では堂々と予選1位通過。顎が外れそうなほど先生は仰天。続く決勝は唯一詩がないとされた最下位に終わり、本人は大きく落胆した。
初の昇格試験では現状維持に留まるも、発想力が舞台のワンシーンのようだと強く褒められ、先生からほのかに期待感を抱かれている。
●[1] @14/04/17◆お題:春の房総半島 菜の花列車
『新入生踏みゆく花のカーペット』凡人5位50点
添削後
『新入生踏みゆく花色の校庭』
季語は「新入生」「花」。季重なりを指摘され、比喩の「カーペット」も添削された一句(出演動画不明)。
●[2] @17/01/26◆お題:横浜 スケートリンク
『芸人がすべり楽しむ氷上で』才能ナシ5位(最下位)10点
添削不可能
季語は「氷」。10点という低評価で添削もされず、夏井先生に破門された一句。兼題写真の右手に映るスケートを楽しむ2人が、服装からコンビ芸人の日本エレキテル連合に見え、芸人はギャグがスベるのを嫌がるが、唯一ここだけは滑るのを楽しめるのではと涙目で語った。浜田から「馬鹿にしてるのか」と言われ、芸人村上からも「俳句もヒドいが、芸人をイジっている。こういうことはやめてください」とツッコまれる。夏井先生の共演者として4人目となる才能ナシ最下位が告げられると、「彼女のせいですかね、もうどうせ怒られるんですから」と開き直る。「怒りを通り越して、殺意を覚える」と切り出す先生は、俳句の仕事がなくなるとパタッと句を作らなくなる人が多く、定期的に俳句を詠むことの重要性を挙げ、「この勝村という男は私の言うことを何一つ聞かない。素直にものを聞かないし、コレですよ」と添削ボードを叩き、「コレ直す!?私が?」と出来の酷さに添削を放棄する。「こういう弟子は今日を限りに破門にしておきます」と本人に告げ、梅沢名人も「こんな弟子は持たない方が良い」と賛同。本人は「今までどうもありがとうございました」と感謝の辞を伝え、「いいえ」と先生は返し、師弟関係が取り消された。
●[3] @17/03/09◆お題:卒業式
『校長の眼鏡にうつる春の風』才能アリ1位70点
添削なし
季語は「春の風」。破門後の汚名返上を果たした一句は、中学の卒業式の実体験。舞台に5~6人並んで卒業証書を受け取るが、証書を渡す校長を見ると、その眼鏡のレンズに外の景色が映り、春の到来を感じたと語った。梅沢名人は「うつる」が不要と指摘するが、千賀は逆に「うつる」はあった方が良いと論戦。先生はそこが大事な肝だとし、眼鏡に物が映るのは当然だが、本来は映るはずのない「春の風」が映る意味のため、この句では「うつる」があった方が良いと千賀に軍配を上げる。季語により、木々を揺らす風や光を感じさせると称賛し、「やっと教えたことを生かしてくれた」と褒め、初の添削なしとなった。
●[4] @20/02/06◆お題:
美容室『春の日の大人の入り口蒸しタオル』才能アリ1位71点
添削後
『大人の入り口春日の蒸しタオル』
季語は「春の日」。未だに先生と破門中という本人の実体験の句は、小6の頃に太いヒゲが生え始め、床屋で初めて顎に蒸しタオルを巻かれた。「熱い」と言うと子どもと思われるため無理に我慢したという思いを詠んだ。先生は「あなたの句だと分かって微かにホッとした」と語り、思春期に入る実感を「蒸しタオル」という物に託した点を褒める。梅沢名人に問題点の箇所を問うが、「急に言われても」と答えられず。この語順では中七が8音の字余りになるため、”句またがり”による解消を提案。「句またがりをこいつは知らないと思う。教えた覚えはない。ペーペーの弟子ですから」と手厳しい先生は、2カットにして語順を変え、季語も「春日」に変更して全体で17音を確保。季語が蒸しタオルの温かさと共に自分の皮膚に伝わる添削に「頑張ります」と本人は返した。
●[5] @21/04/08◆お題:
あくび『公魚の欠伸気づかぬ太公望』才能アリ2位70点
添削後
『太公望たいくつ公魚の欠伸』
季語は「公魚(わかさぎ)」。釣り人を指す「太公望(たいこうぼう)」は中国の故事を由来とする。ワカサギ釣りに連れて行かれたが、周囲の人と異なり、自分はせっかちですぐに竿を上げてしまう体験を詠んだという一句。さすがのワカサギも欠伸をして、「コイツじゃなければな」と侮辱するような様子だと語った。梅沢名人は前半の発想を褒める。先生は「発想が楽しい」と評し、公魚が欠伸をすることと、人物「太公望」との対比が良い点を称賛するも、「気づかぬ」の4音を別の表現にすべきと指摘して添削を行う。「太公望」の人物から始め、平仮名で「たいくつ」と入れて語順を整えると、映像が面白くなると解説する。釣り好きの人物が「たいくつ」で、欠伸をしているに違いないと想像させ、「た」の韻が踏める上、後半は「わかさ(ぎ)」「あ(くび)」と全部の単語がアの音をつなぐことで、調べ自体が変わってくると語り、「これが分かり出したら勝村、特待生に行けると思います」と忠告した。「でも先生ね、特待生はどうこうじゃなく破門を解いてやるってことは?」と浜田が問うと、「破門っていうのはそうそう解けるものではない」と先生は率直に答え、すぐさま本人が「まだですか!?」と仰天して返す。しかし、「炎帝戦でベスト10人にアンタが入ってたら許す」と厳しい条件付きでの破門解除を先生は宣告した。
●[6] @21/08/19◆お題:
蜩『殻破る閃閃秋の朝つれて』才能アリ1位72点
添削なし
季語は「秋の朝」。「閃閃(せんせん)」はひらひら動くさま、輝く様子のこと。子どもの頃、祖母の実家で見た蝉の羽化の思い出を詠んだ一句。朝5時くらいに目が覚めて屋外に出たら、外に干してある洗濯物の竿に蝉の幼虫が止まっており、羽化する寸前で真っ白な蝉が出て輝くさまを見た。トイレに行くことも忘れ、いつの間にか夜が明けており、この白さが朝を連れてきたのかなと子ども心に思ったのを書いたと語った。ジュニア名人・梅沢名人はこぞって絶賛する。先生は、「閃閃」が「ヒラヒラ」閃く感じと、「キラキラ」光る感じの2つを一緒に意味する言葉だと解説。秋の朝を連れてきたかのようなという作者の感じ方が描かれ、季語が主役に出た効果があると褒める。また、作者の意図通りの語順と言葉選びが出来ていると評して添削なしとした。才能アリ4回獲得で特待生認定の可否を尋ねる浜田に対し、先生は険しい顔で「そうですか?」と述べ、炎帝戦でベスト10に入れと申したはずだと前回の約束を振り返る。「あん時の句がヒドかったです。なんであん時にこんな句出さないんですかね。勝負所を間違えてますよ!あん時こそ真剣にやらないから、いつまでたっても特待生にもなれず…です」と破門状態が継続するという厳しい宣告を突き付け、本人は「無理言っちゃいました。こんなに成績がいいのに」と意気消沈してしまうことに。
●[7] @22/04/28◆お題:
ゴールデンウィーク『飛び石の蛙声静まる靴の音』才能ナシ4位(最下位)25点
添削後
『飛び石をゆけば蛙の声やみぬ』
季語は「蛙」。ゴールデンウィークが飛び石連休である点から発想。子どもの頃に行った神社の小さな池で、蛙の声が聞こえて、子どもたちが普段いない時間に飛び石を飛んでいると、蛙の声が静まっていたなという思い出を詠んだと語った。しかし、梅沢名人から松尾芭蕉の「古池や蛙飛び込む水の音」のパクリだと指摘される。先生は「(作者は)お前だったのか」と脅迫。芭蕉の句を下敷きにし、なんとつまらない句を作ったのかと本人を嗾ける。本歌取り(※古歌の俳句・趣向などを取り入れて作歌すること)の手法としてもぞんざいな句で、「芭蕉が化けて出ると思う」と手厳しく続ける。嫌々ながら筆を執る先生は普通に書くべきだと指南して添削。直しても凡人の句だと評した。ここで本人に、作句をサボっていた事実を確認。本人の芝居を観覧したと述べる先生は、「お芝居上手いなと、俳句も頑張ってくれてるんだろうと期待してた」と期待を裏切られたことを明かす。そして、梅沢名人を手本に挙げ、「舞台しながら俳句もやって、俳句の筋肉落としてない。もうしばらくアンタ、おっちゃんの弟子になんなさい」と忠告するが、指名された梅沢名人は「結構です」と勝村の弟子入りを拒否。破門も解けずに孤立する本人は「参りました」と降参した。
●[8] @22/07/21◆お題:
メール『夏の雲逝くな逝くなと文字叩く』第6回炎帝戦10位(58名中)添削後
『夏雲や逝くな逝くなと文字叩く』
季語は「夏の雲」。晴れた夏の雲がある日に、友達の奥さんの葬儀があり、葬儀場の外に多くの人が出ていて、みんな携帯電話(の画面・ボタン)を叩いていた。その時、あの雲の方に向かうが、「もしかしたらメールだったら気持ちが届くのかもしれないな」という気持ちを込めて書いたと語った。先生は「"コイツだったのか"と今、憮然としている」と手厳しく、「10位と11位は順位付けに本当に迷ったんで、替えときゃよかったなと」と吐き捨てる。そして、入道雲・雲の峰と人の生き死にのようなものを取り合わせる発想の句がないわけではないが、妙な切迫感がこの句全体を包んでいる点を褒める。また、最後の「文字叩く」は技術的に上手くはなく、稚拙さにリアリティが強く出ているのが作品の一番の魅力だと解説。「夏の雲」が妙に落ち着いているため、「や」で詠嘆した方が良いと述べて添削した。「夏雲や」で「あぁ!」と空を見上げ、その視線に「逝くな逝くな」という思いで何かの文字を叩いている感じにすれば、順位は微妙に変わるとも忠告した。浜田から破門をどうするかの問いかけに対し、先生は「"炎帝戦に残ったら破門解いてもいい"と言ったため、ひとまず解きますけど、信用はしてません」とコメント。先生の恨みが相当根深いことが露呈されてしまった。
●[9] @22/09/22◆お題:
磐梯吾妻レークライン(福島県)『山粧ひ一目惚れした吾も粧ひ』ふるさと戦④(福島)4位★添削後
『粧へる磐梯山に一目惚れ』
季語は「山粧う」。レークラインに行ったのが紅葉の時で、紅葉の美しい景色に一目惚れする。写真を撮ろうとした時、少し夕暮れで自分たちの頬まで赤くなり、一目惚れしたことが見つかって、さらに赤くなってしまったみたいだと語った。梅沢名人は「何を言ってるか分からない。もう一度破門食らった方が良い」と指摘。先生も「内容があまりにも面白くない句」と手厳しい。中七の「一目惚れした」が、どう考えても陳腐だと叱責する。作者の意図がある「一目惚れ」は歯を食いしばって残すが、せめて山の名前を書くべきで、何の山かを問いただす。本人が「磐梯山」と答えた時には、「言う前にもう書いてます」とさらに𠮟責する先生。「粧へる磐梯山に一目惚れ」で、言いたいことはこれで書けるが、"写真俳句"として本当に面白くなく、「写真に対して失礼というそんな感じ」だとけちょんけちょんに述べた。放心状態となった本人は「割と…傷ついてます」と述べるのが精一杯だった。
●[10] @22/10/27◆お題:
セルフのうどん店『出番待つ揚げ物軍隊秋の宵』才能ナシ4位35点
添削後
『揚げ物も万端うどん屋の秋宵』
季語は「秋の宵」。学校の部活が夜暗くなる前の夕方に終わり、その後みんなでうどん屋に食べに行くと、揚げ物が綺麗に並んでいて、軍隊のように見えている光景だと語った。先生が本人の舞台に感銘を受け、連句を掲載していたことが紹介されたが、期待に応えられず。梅沢名人は「さっぱり分からん。情けない。弟子として恥を知れ」と容赦なく吐き捨てる。先生は「苦笑いを超えて笑ってしまった」と述べ、擬人化に無理がありすぎると評す。「出番待つ」「軍隊」を消し、浜田の提案通り「うどん屋」を入れることを示唆。準備万端という言葉から「揚げ物は万端」とし、「うどん屋の秋宵(しゅうしょう)」と整えた。揚げ物がバーンと並び、「どんなうどんでもOK」な感じにはなると解説。本人の話から「楽しんで作る」という原点に戻っているのが良いと忠告し、笑いながら「揚げ物軍隊再挑戦して下さい」と提案。本人は「了解でございます」と丁重に頭を下げ、柔和な雰囲気で幕を閉じた。
●[11] @22/12/15◆お題:
観光バス『雪道にLINEスタンプバスの跡』才能アリ2位70点
添削後
『雪道のLINEスタンプバスの跡』
季語は「雪」。冬の長野旅行のサービスエリアで、地面に雪の轍(わだち)が沢山あり、明確なものや少し解けて薄くなるものなど、何となく顔の表情に見えて、バスに乗る旅人たちの思い出がそこにスタンプされていることを比喩して詠んだと語った。篠田麻里子は「LINEスタンプ」のセンスが良い、村上名人は面白い発想で、何度も比喩で怒られてるのに果敢にチャレンジするのが良いと心意気に言及する。先生は、雪道のタイヤの跡のみの映像で、それをLINEスタンプみたいと思える楽しい発想を称賛。悩ましいのは下五「バスの跡」を許容するかで、「タイヤの跡」が正しい表現だと指摘。しかし、何のタイヤの跡でも良いわけではなく、LINEスタンプの楽しい発想を活かすには、バスに皆が乗ってワイワイしているという空気は必要で、良い点を活かすための伏線として、「バス」という情報が必要になるという結論に至ったと解説する。それを許容した際、一点だけ勿体ないのが上五「に」で、ここを「の」と添削すれば「バス」の問題もずっと薄くなると述べた。本人は、「僕最初に"の"って書いたんですよ」と述べると驚きを隠せない先生は「なんでそれが判断できないのよ。あんたに費やしてきた時間がどんだけあったと思ってんの」と詰め寄ると、本人は思わず立ち上がって「俺たち、付き合っているみたいじゃないですか」と返すことに。およそ1年4か月ぶりとなる5度目の才能アリを獲得した。
●[12] @23/02/16◆お題:
つまずく『つまずいて春を見つけた排水溝』才能アリ3位▸5級70点
添削なし
季語は「春」。今年還暦を迎えるが、家の前をほうきで掃いていると何もない所でつまずくことがあるという本人。道路の横にある排水溝の端っこにタンポポの芽が出るのを発見し、汚いイメージの排水溝にも平等に春が来ることを思ったと語った。梅沢名人は「私のような"俳優"らしい句」、横尾名人は「"排水溝"を持ってきたのが素敵」とコメント。先生は「春」という季語を用いるのは難しいが、非常に素直に使って成功したケースだと評す。中七のフレーズに類想はあるが、下五のリアリティーが良いと褒める。「排水溝」は多少汚水の臭いがする場所だが、そこにも小さな春があることに気づいて詩がある点を発見できた着眼点こそ良いと解説。仮に下五が「アスファルト」なら、芽を出す植物以外に読みが無くなるが、「排水溝」が面白いのは、動物などの生き物も想像され、春の陽気に臭くなった排水溝の中にも小さな芽吹き・生命が動き出し、季語「春」の力も「排水溝」によって倍増する配慮があったと解説。「排水溝」は汚いから書くのをやめようなどと思わないのが俳人だと労った。苦節8年10か月(461週)もの年月を経て遂に特待生に認められた。
[ここから特待生として査定]
●[13] @23/03/16◆お題:
入学[正門と桜]『亡き妻と入学前夜のハイボール』第7回春光戦予選C1位(決勝進出)添削なし
季語は「入学」。後輩の奥様が病気で亡くなり、幼稚園児だった一人息子の小学校入学の前の日に、遺影を前に2人で奥さんが好きだったハイボールを飲んだという句だと語った。ジュニア名人は「タイトル戦優勝者の小さな遺影を作るべき」と神妙な面持ちで述べ、梅沢名人は「素晴らしい。次はレモンサワーで詠んでほしい」と高らかにコメント。先生は、家族の1つの物語が立ち上がってくると評す。男手一つで育てた子どもの入学の前夜であり、この「前夜」という状況を中七に綺麗に持ってきた点を称賛。さらに、季語「入学」は入学する年齢が分かるように書くべきだが、この句の場合はどの年齢でもちゃんと浮かび、大学入学の前夜ならばある程度の年齢のお父さんが浮かぶと解説。そこら辺の奥行き・幅もこれだけの言葉で書けており、作者を知って顎が外れそうになったと述べた。タイトル戦初の予選突破となった。
●[14] @23/03/30◆お題:
給与明細『我が給与マックのバイトに負けた春』第7回春光戦決勝10位(最下位・シード権なし)
添削後
『マックのバイトに追いつきたし春の我が給与』
季語は「春」。人気が高いマクドナルドのアルバイトに憧れた本人の思い出を詠んだ一句。高卒で就職した時の初任給が10万円少々あり、マックでバイトする友人の分まで居酒屋の飲み会の代金を奢ってあげたが、家に帰って何気なく給与を時給で計算したらマックのバイト未満だと知って愕然とした気持ちを詠んだと語った。先生は、実体験だが考え方に類想感があり、テーマに合致したが"詩がない"一言に尽きると指摘。昔の世代もマクドナルドが憧れるバイトの一つで、「マック」「我が給与」は句から外せないため、「マック」から始める語順で大幅な字余りで添削する。前向きに「追いつきたし」と明確に願望を書き、「春の我が給与」で「春」に季語としての匂いを発するが、添削したところで大して違いはないとバッサリ。本人は「ま、俳句じゃなかったですね。また頑張ります」と元気なく反省した。
●[15] @23/05/11◆お題:
浜田雅功『青梅雨やビンタを愛に昇格す』浜田杯7位(20名中)添削後
『青梅雨は豊かビンタは愛である』
季語は「青梅雨」。浜田と芸能人の親しい間柄を「ビンタ」という過激な言葉に込めた一句。浜田が大先輩の頭でもバンバン叩くのを見て「なんちゅう人が出てきたんだ」と驚いていたが、場の雰囲気が明るくなって誰も浜田を怒らず、アントニオ猪木のように喜んでビンタを受けたがるイメージだと語った。先生は「面白い切り口で愉快」だと評すが、下五の「昇格す」が説明になっていると問題点を指摘。俳句で詩を作るテクニックの1つ"断定する"を用い、「ビンタは愛である」と言い切るよう指南。余った音数で季語を描写すべきと述べ、「青梅雨は豊か」と添削した。先生は「ビンタ」はいかがなものかという今の時代の風潮はさておき、断言するところに詩が生まれると解説。本人は「ついお祭りみたいな感じだから"昇格"と入れたくなった」とコメントした。
●[16] @23/09/07◆お題:
エレベーター『この階で降りればいいのか鬼灯め』5級で
現状維持添削後
『この階で降りるか鬼灯を灯して』
季語「鬼灯(ほおずき)」に死者の魂を導く提灯の意味があると述べる本人。人生の意味が掛けられたエレベーターで、自分の意思で降りる場所が分からないが、勝手に鬼灯の灯りがついてそこで降ろされ、また新しい人生を切り開く気持ちを詠んだと語った。梅沢名人は下五は俳句らしいが中七が"普通の言葉"でバランスが悪いと指摘。査定ポイントは中七の口語・下五の強い言い方の是非。「表現者っぽくなってきたけど…」と評す先生は、得も言われぬ不思議な世界観を持った魅力的な句だと称賛する。「この階で降りていいのか」と自問自答し、鬼灯がポッと灯るという上質なお芝居の1シーンのような感じが良いと述べる。言い方を変えれば凄く良い句になる素材だが、中七が冗長過ぎており、「め」が強すぎると指摘。「降りるか」に変えて、「鬼灯」の後「灯(とも)して」と字を繰り返す添削をした。この階で降りるか迷っている中、手に持っている鬼灯を提灯のように灯し、恐る恐るその階で次の人生に足を踏み出すという形なら2ランク以上の昇格が狙えたと述べる。過去に破門をした因縁の相手に「初めて"何かやってくれるかもしれない"というほのかな期待感を持ち始めた」とエールを送った。
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