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20200206 プレバト!!俳句紹介【美容室】

2020年2月6日放送 プレバト!!
出演者が詠んだ俳句を紹介します。
◎は講評の50字要約です。

挑戦者→勝村政信[4],津田寛治[2],板橋駿谷[初],大友花恋[初],鈴木砂羽[初],馬場典子[9],梅沢富美男[89] ※数字は挑戦回数

●お題:美容室
※美容院でヘアカットする人物の後ろ姿とハサミを当てる画が映り込む写真

※番号クリックでリンク内移動します。
1才能アリ1位71点勝村政信
春の日の大人の入り口蒸しタオルはるのひのおとなのいりぐちむしたおる
2才能アリ2位70点津田寛治
受験子に順番譲るヘアサロンじゅけんしにじゅんばんゆずるへあさろん
3凡人3位52点板橋駿谷
春うらら耳元ハサミ三連符はるうららみみもとはさみさんれんぷ
4凡人4位45点大友花恋
青信号うなじくすぐる春一番あおしんごううなじくすぐるはるいちばん
5才能ナシ5位37点鈴木砂羽
染髪し越中春田台本膝にそめかみしえっちゅうはるたほんひざに
64級へ1ランク昇格馬場典子
啓蟄の決意辞表とショートヘアけいちつのけついじひょうとしょーとへあ
7名人10段★3へ1つ後退梅沢富美男
白髪の薄色に染め春立ちぬはくはつのうすいろにそめはるたちぬ
→編集後記

※今回は全員が俳優・女優の挑戦

◆発表待ちシートにて

***

●それでは順位別にみていきます

◆1位 才能アリ71点 勝村政信
春の日の 大人の入り口 蒸しタオル
◎思春期の髭剃りの実感を物に託した。句またがりで中八を解消して季語との温度感を表現。作者にホッとした。

【本人談】
小6の頃に太いヒゲが生え始め、今まで泡だけだったが、床屋で初めて顎に大人が使っていた蒸しタオルを巻いてくれた。「熱い」と言うと子どもと思われるため、無理に我慢したという思いを詠んだ。

夏井先生 
あなたの句だと分かって微かにホッとした
思春期に入る実感を「蒸しタオル」という物に託したのはよくやった。
問題点は1つある。おっちゃん分かるよね、問題点。
梅沢名人 まああの~、分かりますけど。急に言われても。
浜田 あはは、じゃあ分かってないねや、それは。
夏井先生 中七が8音
梅沢名人 そう、8音。
夏井先生 早く言えよ!
中七は極力7音にするのが定石。
この語順ではどうしても中七が8音の字余りになるため、「大人の」から始めて”句またがり”にする
句またがり。こいつは知らないと思う、句またがりを。「句またがり」というテクニックを教えた覚えはない。それぐらいペーペーの弟子ですから。
一同 (笑)
夏井先生 
「大人の入り口」でカットが切れる。季語を「春日」とし、「春日の蒸しタオル」。
1音なくなることで、全体が17音の破調の句になる。
季語が蒸しタオルの温かさと一緒に自分の皮膚に伝わってくる感じになる。
こうしてたら、もっと褒めたかった。

本人 頑張ります。

添削後
大人の入り口 春日の蒸しタオル

◆2位 才能アリ70点 津田寛治
受験子に 順番譲る ヘアサロン
◎本人の語った意図通り。受験生の散髪は類想的だが中七のエピソードに独自性がある。動詞より名詞に軸足を。

※「受験子(じゅけんし)」は受験をする子・学生のことで春の季語。

【本人談】
中3の春、散髪屋に行くと後から明日受験を控える友達が来た。散髪の順番を待っていると、”受験なら”と隣に座っていたおじさんが席順を友達に譲った様子を強く覚えていたという実体験を詠んだ(※)。

※方言を交えて
自分「おめゃあ明日受験でねぇんか、床屋さんとか来てていいんか?」
友達「母ちゃんに受験やさけ、切って来んとあかんざ」
→浜田「何を言うてるか分からへん」とツッコミが入る
おじさん「明日受験やったらはよ帰って勉強せなあかんやろ。ここへ座んね」


夏井先生 
エピソードを聞いたが、喋った秒数が綺麗に句の中に入っている。この力は褒めないといけない。
受験子が散髪屋に行くという発想は俳句の世界で見られるが、順番を譲るという中七の小さなエピソードをすくい取る所に作者のオリジナリティがある
原句でも良いが、「順番譲る」は「譲る」行為に軸足が乗っかる
それより「譲る順番」として「順番」に軸足がある方が、順番が先ほどから変更され、ちんまりと座る待合席の列の様子が見える
才能はあると思うが、人の句をウダウダ言う程ではない

一同 (笑)
本人 すみません。

添削後
受験子に 譲る順番 ヘアサロン

◆3位 凡人52点 板橋駿谷
春うらら 耳元ハサミ 三連符
◎上五に季語が2つだが馬名で一般的になった。名詞3つの畳みかけは内容に合いリズムが出る。季語は1つに。

※中学生の頃から「ラップ」が得意という本人の音楽性に着目した一句

【本人談】
春の暖かさと相まって耳元で髪を切るハサミの音が三連符のように聞こえ、ワクワクしていく心の高まりが出るかなと思った。

梅沢名人 俳句初めてだろうし、君にお教えしますけど、「♬春のうららの~」(曲名:花)という歌がありますよね。歌だからああいう風になっている。「春」も季語、「うらら」も季語。それが原因、ま、しょうがないわな。凡人だから

夏井先生 
その通り。そこ(季重なり)が一番大事。
季語は知識の問題になる。知識を入れればよいだけ。
ある時期、「ハルウララ」という競馬の馬が出てからこのような使い方をする人が急に増えた。
句は決して悪くない。「耳元」「ハサミ」「三連符」と名詞をポンポンと畳みかけ1つのリズムを作ろうとしている。ここは春の麗らかな気分にマッチしている。
基本的には、「春」を諦めて「うららかや」とすれば、問題ない。
「春」と「うらら」は切り分ける。これは覚えて。

本人 はい!
夏井先生 いいお返事ですね、ホントに。
本人 ありがとうございます。

添削後
うらら 耳元ハサミ 三連符

◆4位 凡人45点 大友花恋
青信号 うなじくすぐる 春一番
◎上五と季語の取り合わせに元気さがあるが中七が全然アウト。季語の強風に描写が合わず。「うなじ」も凡人。

梅沢名人 あらら…。

【本人談】
髪を切って美容院を出ると、風がフワ~っと吹いたときに、首のあたりがスースーして少し恥ずかしいが、ワクワクしてしまう気持ちを詠めたら良いなと思った。

梅沢名人 あの~、娘!
本人 はい。
梅沢名人 季語を勉強しないと「春一番」はドワーっと吹く風のこと
本人 強い…。
梅沢名人 だから、「うなじくすぐる」と「春一番」が繋がらない。うなじの毛を思いっきり上に持ち上げるくらいの風が吹いた。
本人 結構、突風になっちゃうんですね。

夏井先生 
さすがはおっちゃん。そこはすぐに分かってもらわないと困る。
「青信号」「春一番」の取り合わせは悪くない明るくて元気さが伝わる
信号が青になって、“さあ行くぞ!”という感じ。
ただ中七が全然アウト
凡人は風を描くとき、「うなじ」「くすぐる」という言葉をすぐに使いたがる
さらに、「春の風」くらいかなと思うと季語分かってない
くすぐったりするわけがない
本人 (笑いながら)ドカンって来そう。
夏井先生 ドカンと来ます。
「青信号行けば」くらいで良い。「うなじ春一番」と置くと、青信号で歩き出した。後ろからうなじに春一番の風がいきなりバーンと吹いてきて、前のめりになるような感じになる。
ただ、「うなじ」も凡人の発想。「春一番にさわぐ髪」なら迫力が出る。
季語を少し勉強して出直してらっしゃい

本人 (笑いながら)分かりました。勉強し直します。
浜田 (凡人)2人とも言われてるやん。
本人 はい。
板橋 し直します。

[ここがポイント]
風に「うなじ」は凡人の発想
※風に対してうなじがくすぐられるというのは誰もが思いつく凡人表現。それよりも「春一番」の季語を立たせるために「さわぐ髪」とすると、映像に勢いの出る俳句になるのです。

添削後
青信号 うなじ 春一番』
『青信号 春一番 


◆最下位 才能ナシ37点 鈴木砂羽
染髪し 越中春田 台本膝に
◎要素を詰め込み一句の時間軸が長すぎる。髪色を変えたという情報を入れ地名は諦め撮影前の現場を切り取る。

【本人談】
ロケ地が富山の映画撮影で久々に髪を真っ黒に染めた。越中の春田に向かう新幹線で台本を膝に載せたときの様子を詠もうと思った。

梅沢名人 最下位の方に何を言ってあげれば良いのか。何でも俳句の中に自分の思っていること全部突っ込めば良いというものでもない。詰め込み過ぎなの。
浜田 詰め込み過ぎっていうことは、どこか省いた方が良いのでは?
梅沢名人 まあそれ、急に言われても
一同 (笑)

夏井先生 
「詰め込み過ぎ」は全くその通り
読者を混乱させるのは、「染髪(そめかみ)」で髪を染めたという状況がある。
「越中」に行ったと思うと、「春田(はるた)」で季語の現場にもう立ってると思い直すと、「台本(ほん)膝に」で座ってたのかと。
一句の含む時間軸が長すぎる
どれか1つの言葉を諦めるのが直し方のポイント。
「染」はいらない。それより、髪の色を変えたというのが大事。「髪の色変え」と書く。
悪いけど「越中」は諦めてもらうしかない。
1つの現場にしないといけない。「美容院」「新幹線」の2つの光景になっている
撮影が始まる寸前の光景に持っていく。
後半は「台本(だいほん)を手に春田」とする。
髪の色を変えて、台本を握って撮影が始まるぞ。この春田の前で、となる。

本人 素晴らしいですね。ありがとうございます。

添削後
 台本 に春田

★特待生昇格試験★

浜田 降格になると皆さんと同じところ(平場)に戻らないとダメだという。
馬場 才能ナシと言われるあのドキドキだけはもう脱出したいんで、なんとか。
浜田 そうですね。

◆『啓蟄の決意 辞表とショートヘア 馬場典子
啓蟄(けいちつ)】春の時候の季語
3月5日頃冬眠中の虫や蛇が穴から出てくること

【本人談】
日本テレビを辞めよう(=フリーアナウンサーになる)と決意した時、後戻りしないために髪をショートにした。季語を「啓蟄」にしたのは、冬ごもりの虫が広い世の中に出ていくところが、会社という安全な船から世の中へ出ていく自分と重なると思った。

梅沢名人 素晴らしいですね。これが馬場ちゃんの句だと知らなくても、男性でもこういう風に考えてるんだろうなと思うような俳句ですから。これはもう昇格でしょう。大したもんだ。
本人 嬉しい。やった~!
梅沢名人 なっちゃん、こういうの好…。
浜田 うるさいなあ! 良いということですね。

夏井先生 
この句の評価のポイントは名詞4つで構成した是非です。

本人 えぇ~。
梅沢名人 あ、そうか。


■査定結果
4級へ1ランク昇格

理由:前半と後半の工夫が効いている!
◎名詞4つと助詞2つの構成で作者の意図が読者に伝わる。抽象的な心情に後半の映像が重なる。これぞ特待生。

本人 (両手を挙げて)やった~!ありがとうございます。
→梅沢名人とハイタッチ
梅沢名人 素晴らしいですよ、素晴らしい。
本人 あ~、嬉しい。

夏井先生 
名詞を重ねていく。名詞4つと助詞2つのみで構成されている
作者の意図通りの思いが読者の脳内に伝わってくるのを褒めたい。
前半は句またがり(→勝村を意識して強調)で、映像を具体的に持たない言葉で構成される。
啓蟄」という季語は、虫が出てくる”こと”を指すのではなく、虫が出る”頃”という時候の季語
時候も雰囲気はあるけど映像はない。「決意」も心情で目には見えない。
後半の「辞表」「ショートヘア」の2つは映像として見えてくる。
映像のない前半と、映像のある後半の2つを重ねることで、作者の思いや世界が伝わる工夫を強く褒めたい。
これが特待生の実力。直しはいらない。

梅沢名人 素晴らしいな、馬場ちゃん。
浜田 次回も頑張って上に…。
本人 ホントですね。

添削なし

★永世名人への道★

浜田 (永世名人王手に)凄いよね。
梅沢名人 お待たせ…いたしました。
浜田 え?
梅沢名人 お待たせいたしました。今視聴率がぐんぐん上がってます。もうプレバト!!のファンの方は今か今かとお待ちかね。
浜田 それくらい自信があるということですか。
梅沢名人 はい。おめでとうござい…。くす玉を用意しとけよ、お前らホントに。
一同 (笑)

◆『白髪の 薄色に染め 春立ちぬ 梅沢富美男

【本人談】
このお題が来たとき、本当に困った。楽屋に去年死んだ母親の写真が置いてあった。母親の髪は薄い紫色に染めてあった。これだ!と思って詠んだ。

本人 母親ですよ、夏ちゃん。

夏井先生 
この句の評価のポイントは中七「薄色に染め」の是非です。

本人 何?(表情が曇る) ははお…母親だ。

■査定結果
名人10段★3へ1つ後退

理由:何回同じ失敗をするの💢
◎取り合わせと紫を指す「薄色」の選択は悪くないが「染め」は不要。ゆったりと平仮名に。いい加減にしろ。

本人 何が失敗なんだよ。

夏井先生 
「白髪を染め」と季語「春立ちぬ」の取り合わせは悪くない
本人 春を感じるんです。
夏井先生 だから、説明するから聞きなさい。
若い人は「薄色」が「薄紫」だと知らない人も多い。
薄色
淡くて薄い紫色

淡い紫色を指す「薄色」という色の選択も悪くない
ところがどっこい、何?「染め」って
本人 何?
馬場 「染め」いらない
夏井先生 いらないでしょうよ。
馬場 「白髪」「薄色」だけで染めたのは分かる。
夏井先生 その通り。誰かがブツブツ言ってるけど。
浜田 馬場ちゃんです。
夏井先生 
「染め」を書く原因となるミスがもう1つある。
「白髪」が”の”だからこれがいる。
浜田 「を」や「を」
夏井先生 その通り。「を」。
「白髪薄色に」。で髪色を変えたと分かる。
しかも、色も平仮名で「うすむらさきに」とした方が優しくなり、中七がゆったりと満たされていく。
美しいでしょ。
馬場 (拍手しながら)柔らかい。
夏井先生 柔らかいでしょ。
それを「に染め」とかって。「いい加減にしろよ!」と言いたい。

本人 お前さんも(髪を)薄紫に染めてるじゃないか
夏井先生 それがどうしたよ
一同 (笑)
夏井先生 俳句でいらないってことをしっかりともう覚えて下さい。
本人 だから、そういう細かい指摘はどうでも良いんだ。今、視聴率が最高に上がってるんだ!
一同 (笑)
夏井先生 私にとって視聴率なんか関係ない
本人 「関係ない」って言うな。
夏井先生 あんたがいつ学ぶか、それだけを考えている。
浜田 そういうことです。
本人 母親の句3つ書いたけど、全部降格じゃねえか。本当に化けて出るぞ!
1つ後退薄暑なり日常を行く喪服の吾
1つ後退笹鳴の庭後にして帰京せり
1つ後退白髪を薄色に染め春立ちぬ

浜田 うるさいなあ!
本人 墓に行って化けて出てくれ!って言うもん!
浜田 うるさいなあ、もう。先生、ありがとうございました。

添削後
白髪 に 春立ちぬ

→次回は特待生一斉査定スペシャルです。

編集後記
今回は水彩画の後に俳句という珍しい構成。梅沢永世名人誕生かという期待がかかる展開で後半に上がる視聴率を意識したのでしょうか。「美容室」は様々な気持ちの転換点で実感を込めやすいお題でした。
俳句の評価の分かれ目は、美容室や散髪という点での読者の共感があるかで大きく分かれそうな感じでした。

1位は破門中の勝村さん。「大人の入り口」の描写が少々曖昧で、兼題が分からないと意味を取りづらいようにも感じますが、「蒸しタオル」が「髭」剃りと分かるかがポイントで、少々難しかったです。2週連続で中八が1位なのも気になりますが、季語を「春日」に直される展開も予想できました。破門がいつ解かれるかも注目です。

2位は前回の出演でミッツさんの「雪女郎」の句に「雪女は温泉で溶けてしまわないのか」と的確にツッコむ知的なセンスに個人的に注目していたツダカンさん。見事に連続才能アリでした。「順番譲る」はどこかで聞いたようなエピソードですが、今は予約制が一般的なので時代背景も感じます。「受験」「受験生」も季語ですが、音数を考慮してか「受験子」にしたセンスも良いですね。YouTubeの件ですが、当方もこうして意見を述べている以上、表現に注意したいと感じました(あくまで凡人の一意見とお受け取り下さい)。

上位2名は本人が語っていた通り「実体験」を詠んだのが成功。

3位は初登場の板橋さん。ポイントは「三連符」と名詞3つの畳みかけ。ラップをやっているためか、聴覚情報に着目し、韻を踏む雰囲気が出ました。4分音符や8部音符では単純に表現できないリズムを、「三連符」と表現し、ハサミの切る等間隔の音を上手く演出しました。小島瑠璃子さんの「春うらら大仏さんもるるるるる」と同じ季語の使い方でしたが、間違えやすい用法というところ。

4位も初登場の大友さんは実感を伴った一句。ポイントは季語の認識ミスでしたが、当方も「つむじ風二度なき雲を紡ぎけり」と詠んで国語の先生に「どんな風だよ」と大目玉を喰らった経験があるため、風の季語の難しさでこの失敗は気持ちが良く分かります。梅沢名人も「春隣」の季節を間違えていますから、「歳時記を読んで出直して」というアドバイスは少々キツいと思いました。中七と風の取り合わせが凡人的と指摘されましたが、上五と下五は字余りでバランスをとっており、単語の連ね方を見る限り、少々勉強すれば伸びる方だと思います。またリベンジして欲しいですね。

最下位は水彩画では活躍中ですが、俳句は初登場の鈴木砂羽さん。「染髪」は普通に”せんぱつ”と読みたくなりますし、「台本」を”ほん”と読ませるのは少々強引で、地名と季語も入って、17音の器が鬱陶しい句という印象。本人談も時系列で語っておらず、少々分かりにくかったのが残念。「台本」を諦めれば、「越中の春田に髪を染めて入る」という添削例もありそうですが、撮影という情報が抜け落ちてしまうところ。

特待生昇格試験は、次回の一斉査定試験にも挑戦する2名の査定。

馬場さんは名詞4つで見事に昇格。「決意」をどのようにとらえるかがポイントで、実感がある女性は非常に共感を得たのではないでしょうか。後半「辞表」「ショートヘア」でも決意らしきものは読み取れますし、「啓蟄」という奥ゆかしい季語に強い心情語は斬新すぎて合わないため、不要ではないかと当方は最初考えました。しかし、本人が語っていたように、退社とヘアカットという後戻りできない気持ちを表現するものとして、地中から這い出る生物も未知の世界に出てくる同じような立場かもしれない。暖かくなった前向きな希望を表現する意図として、敢えて「決意」と置いたのではと理解しました。季語である名詞の強調表現の可能性も考えましたが、「啓蟄や」と切れ字で強調するよりも、より季語が引き立つようにも思います。名詞を連ねる句またがりの句はこの番組では良く出てくる形ですが、より分かりやすさに重点を置いた意図も感じます。「啓蟄」は映像がない時候の季語という解説でしたが、当方は野山の地面を思い浮かべた方が、この句は鑑賞のし甲斐があるように思いました。

対する梅沢名人はくす玉を開けることは叶わず。亡き母に思いを馳せた一句でしたが、「染め」という動詞は不要と言う指摘でした。動詞は活用も重要ですが、その句に必要か不要かという判断の必要性もあるため、動詞や形容詞を用いた句は評価が厳しくなりやすいですね。「薄色」の知的表現を使うのはやはり名人ですが、この句に関しては「白」の一字も効いていません(薄紫色に染めるなら白髪でしょうから)。「髪は薄色春立ちぬ」とすれば、上五であと1ネタ仕込めたのです。勿論人物を書いても良いですが、永世名人になるならば、そこでの意外性を視聴者としては期待してしまいます。定型重視の梅沢名人の姿勢は素晴らしいですが、何らかの”タブー”にまた挑戦して欲しいところです。

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コメント

個人的には梅沢名人よりも星の数は少なくても東国原名人や村上名人の方が10段に相応しいと思います。
4級の馬場さんが気付いていたことに気が付けませんでしたし、
以前と同じ失敗を繰り返していることにはもっと危機感を持つべきだと思いました。

私ごときが厳しい言い方をするのは大変恐縮ですが、
今後も同様のミスが繰り返されれば星2つ以上の後退や10段からの降格もないとは言い切れません。
やたらと威張ったり、先生に噛み付いたりするのは番組的な演出としても、
俳句に向かう姿勢はもう少し謙虚になってもらいたいです。

Re: タイトルなし

双葉様

コメントありがとうございます!
確かに言われてみるとその様にも感じます。
原句では対象が誰か明確でないのは問題点といえそうです。
兼題から発想が飛ばない御大の弱点が顕著に出た例かもしれませんね。

梅沢さんの句ですけど、私は「白髪」という情報は必要だと思います。
なぜなら、「髪は薄色」では始めから髪が薄色だったという印象が強くなると思います。
「白髪」という言葉が要らないとすれば、「髪を薄色」とするべきではないでしょうか?

むしろこの句の問題点は、義母のことだとわからない点だと思います。
亡くなったことは想像で補うにしても、
「染め」の2音を「義母」に当てるだけでもだいぶ違うような気がしました。

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